JPH10233216A - リチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池

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JPH10233216A
JPH10233216A JP9051060A JP5106097A JPH10233216A JP H10233216 A JPH10233216 A JP H10233216A JP 9051060 A JP9051060 A JP 9051060A JP 5106097 A JP5106097 A JP 5106097A JP H10233216 A JPH10233216 A JP H10233216A
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JP
Japan
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positive electrode
weight
vinylidene fluoride
sheet
binder
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP9051060A
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English (en)
Inventor
Naoto Akaha
尚登 赤羽
Satoshi Kitagawa
聡 北川
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Maxell Holdings Ltd
Original Assignee
Hitachi Maxell Ltd
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Publication date
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Publication of JPH10233216A publication Critical patent/JPH10233216A/ja
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

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  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 正極活物質の劣化を防止して、高容量のリチ
ウム二次電池を提供する。 【解決手段】 シート状正極とシート状負極とをセパレ
ータを介して対向させたリチウム二次電池において、上
記シート状正極を導電性基体と該導電性基体上に形成さ
れた少なくとも正極活物質とバインダーを含有する塗膜
とで構成し、上記バインダーとして、少なくともポリテ
トラフルオロエチレンと、主成分モノマーとしてビニリ
デンフルオライドを含有する含フッ素系モノマー群と不
飽和二塩基酸のモノエステルとを共重合して得られるビ
ニリデンフルオライド系共重合体とを用いる。上記バイ
ンダー中における両者の比率としては、ポリテトラフル
オロエチレンが5〜95重量%で、ビニリデンフルオラ
イド系共重合体が5〜95重量%であることが好まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウム二次電池
に関し、さらに詳しくは、正極活物質の劣化が少なく、
高容量が得られるリチウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、正極活物質などにバインダーと
適当な溶剤を加え、分散、攪拌して調製した塗料を導電
性基体上に塗布、乾燥して正極活物質などを含有する塗
膜を形成したシート状正極と、同様に負極活物質などに
バインダーと適当な溶剤を加え、分散、攪拌して調製し
た塗料を導電性基体上に塗布、乾燥して負極活物質など
を含有する塗膜を形成したシート状負極を作製し、それ
らをセパレータを介して対向させた渦巻状電極体などの
積層電極体を、有機溶剤系の電解液と共に、電池ケース
内に封入して作製したリチウム二次電池は、単位容量当
たりのエネルギー密度や単位重量当たりのエネルギー密
度が高いという特徴を有している。
【0003】そして、上記シート状電極に使用するバイ
ンダーとしては、充電時の活物質による強い酸化作用に
対する耐性や有機溶媒系の電解液に対する化学的安定性
が要求されることから、ポリテトラフルオロエチレンが
好適であるといわれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記ポ
リテトラフルオロエチレンは、水や有機溶剤に不溶であ
るため、バインダーとして用いて塗料を調製したとき
に、導電性基体上に効率良く塗膜を形成できるようなチ
キソトロピー性の粘性特性を持つ塗料が得られないとい
う問題があった。また、活物質などと粉末状のポリテト
ラフルオロエチレンに適当な液体を加えて混合攪拌して
塗料を調製し、それを導電性基体上に塗布、乾燥して形
成しただけの塗膜は、塗膜中に含まれている粉末状のポ
リテトラフルオロエチレンの結着力が弱いため、膜形状
を保持する強度が得られず、従って、そのような状態の
塗膜は、例えば、導電性基体に対して塗膜を下方に向け
ただけで塗膜が剥離、落下してしまうという問題があっ
た。
【0005】そこで、ポリテトラフルオロエチレンをバ
インダーとして用いたシート状電極の作製にあたり、特
開平2−158055号公報には、粉末状の活物質と電
子伝導助剤とを混合し、その混合物に粘性剤としてカル
ボキシメチルセルロース(CMC)の水溶液を加えて混
練した後、さらにポリテトラフルオロエチレンのディス
パージョンを加えて混練することにより塗料を調製する
ことが提案され、該塗料を、圧延アルミニウム箔のよう
なフィルム状の導電性基体上に塗布し、乾燥することに
よって、導電性基体との接着強度が優れた塗膜を得るこ
とができた、と報告されている。
【0006】また、特開平1−320761号公報には
粘性剤としてポリアクリル酸ソーダやその他のアクリル
系ポリマーが使用できると記載されている。
【0007】しかしながら、上記粘性剤を添加して調製
した塗料は、水を溶剤として使用しているため、正極活
物質中からリチウムが溶出して水と反応し、それによっ
て、正極活物質の劣化が生じるという問題があった。こ
の現象は高容量が得られる正極活物質を使用したときほ
ど生じやすく、例えば、正極活物質として高容量が得ら
れることで知られているリチウムニッケル酸化物(Li
NiO2 )を用いた場合には、電池容量が1/10以下
にまで低下する。また、粘性剤をアルコールで溶解した
塗料でも、正極活物質の劣化を完全に防止することはで
きなかった。
【0008】従って、本発明は、上記のような従来のリ
チウム二次電池における問題点を解決し、正極活物質の
劣化を防止して、高容量のリチウム二次電池を提供する
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために種々検討を行った結果なされたものであ
り、導電性基体上に少なくとも正極活物質とバインダー
を含有する塗膜を形成することによってシート状正極を
作製するにあたり、上記バインダーとして、少なくとも
ポリテトラフルオロエチレンと、主成分モノマーとして
ビニリデンフルオライドを含有する含フッ素系モノマー
群と不飽和二塩基酸のモノエステルとを共重合して得ら
れるビニリデンフルオライド系共重合体(以後、この
「主成分モノマーとしてビニリデンフルオライドを含有
する含フッ素系モノマー群と不飽和二塩基酸のモノエス
テルとを共重合して得られるビニリデンフルオライド系
共重合体」を簡略化して「ビニリデンフルオライド系共
重合体」という)とを用いることによって、水やアルコ
ールを溶剤に使用することなく、シート状正極を作製し
て、正極活物質の劣化が少なく、高容量が得られるリチ
ウム二次電池を提供したものである。
【0010】すなわち、本発明においては、シート状正
極のバインダーとして、ポリテトラフルオロエチレンと
粘性剤としての作用を有するビニリデンフルオライド系
共重合体とを用いるが、後者のビニリデンフルオライド
系共重合体はアルコール以外の有機溶剤に溶解するの
で、アルコール以外の有機溶剤で溶解して活物質などの
固体粉末と混合、分散して塗料を調製することができ、
正極活物質中からのリチウムの溶出に基づく正極活物質
の劣化を防止することができる。また、このカルボキシ
ル基またはカーボネート基を有するビニリデンフルオラ
イド系共重合体は、塗膜を形成するための塗料にチキソ
トロピー性の粘性特性を持ち得るようにし、かつ正極活
物質、電子伝導助剤などの固体粒子との接着性や導電性
基体との接着性が優れているので、少量の添加でも導電
性基体上に形成された塗膜が剥離してしまうようなこと
がない。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明において、シート状正極の
塗膜中におけるバインダーの含有量は0.2〜20重量
%であることが好ましく、特に0.5〜10重量%であ
ることが好ましい。塗膜中におけるバインダーの含有量
が上記範囲より少ない場合は、塗膜の機械的強度が不足
して、塗膜が導電性基体から剥離しやすくなり、また、
塗膜中におけるバインダーの含有量が上記範囲より多い
場合は、塗膜中の正極活物質が減少して電池容量が低下
するおそれがある。
【0012】また、バインダー中におけるポリテトラフ
ルオロエチレンの含有量は5重量%以上、特に10重量
%以上であることが好ましい。すなわち、ポリテトラフ
ルオロエチレンはバインダー中において5〜95重量
%、特に10〜90重量%であることが好ましく、ビニ
リデンフルオライド系共重合体はバインダー中において
5〜95重量%、特に10〜90重量%であることが好
ましい。
【0013】これを詳しく説明すると、上記シート状正
極を用いて電池を組み立てると、塗膜が電解液に浸され
た状態となる。この時、塗膜のバインダー中のポリテト
ラフルオロエチレンの含有量が少ないと、正極活物質な
どの固体粒子を結着しているバインダー中からのビニリ
デンフルオライド系共重合体の電解液中での膨潤が大き
くなるため、固体粒子間および固体粒子と導電性基体と
の間の密着性が低下し、それらの間の電気的接触が低下
して、電池の電気容量が低下したり、大電流放電特性が
低下するなどの不都合を生じるおそれがある。そのた
め、本発明においては、バインダー中におけるポリテト
ラフルオロエチレンの含有量は5重量%以上、特に10
重量%以上であることが好ましい。
【0014】一方、ビニリデンフルオライド系共重合体
の含有率が少ないと、塗膜を形成するための塗料の粘度
特性がチキソトロピー性を持たず流動性が乏しくなり、
導電性基体上に塗料を効率良く塗布し、塗膜を効率良く
形成することがむつかしくなるおそれがある。そのた
め、バインダー中のビニリデンフルオライド系共重合体
の含有量は5重量%以上、特に10重量%以上であるこ
とが好ましい。
【0015】ただし、本発明においては、上記ポリテト
ラフルオロエチレンは水性ディスパージョンとして用い
ることができないため、例えば、ポリテトラフルオロエ
チレンのファインパウダーを有機溶剤に分散させたポリ
テトラフルオロエチレンの有機溶剤分散液として用いる
ことが適している。このポリテトラフルオロエチレンの
ファインパウダーは、例えば、平均粒径0.1〜0.5
μm程度のポリテトラフルオロエチレン粒子が水中に高
度に分散したポリテトラフルオロエチレンのディスパー
ジョンを凝集することによって得られる。また、上記ポ
リテトラフルオロエチレンのディスパージョンは、例え
ば、テトラフルオロエチレンモノマーを原料にして水中
で乳化重合によって合成された平均粒径が0.1〜0.
5μm程度のポリテトラフルオロエチレン粒子の水分散
液に、界面活性剤などを添加して調製される。
【0016】また、本発明において用いるビニリデンフ
ルオライド系共重合体は、主成分モノマーとしてビニリ
デンフルオライドを80重量%以上含有する含フッ素系
モノマー群95〜99.9重量%と不飽和二塩基酸のモ
ノエステル0.1〜5重量%とを共重合して得られる共
重合体が好ましい。このビニリデンフルオライド系共重
合体に含まれる不飽和二塩基酸のモノエステルが0.1
重量%より少ない場合は、塗膜の強度が充分に得られ
ず、一方、不飽和二塩基酸のモノエステルが5重量%よ
り多い場合は、塗膜の耐電解液安定性が低下するおそれ
がある。また、含フッ素系モノマー群中のビニリデンフ
ルオライドが80重量%より少ない場合は、塗料の調製
がしにくくなるおそれがある。
【0017】上記した主成分モノマーとしてビニリデン
フルオライドを80重量%以上含有する含フッ素系モノ
マー群としては、ビニリデンフルオライド単独、また
は、ビニリデンフルオライドと他のモノマーの少なくと
も一種との混合物が挙げられる。この他のモノマーとし
ては、ビニルフルオライド、トリフルオロエチレン、ト
リフルオロクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、
ヘキサフルオロプロピレン、フルオロアルキルビニルエ
ーテルなどが挙げられる。
【0018】上記ビニリデンフルオライドを80重量%
以上含有する含フッ素系モノマー群と共重合させる不飽
和二塩基酸のモノエステルとしては、例えば、マレイン
酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノメチルエステ
ルなどが挙げられる。
【0019】本発明において、正極活物質としては、例
えば、リチウムニッケル酸化物、リチウムコバルト酸化
物、リチウムマンガン酸化物(これらは、通常、LiN
iO2 、LiCoO2 、LiMn2 4 で表されるが、
LiとNiの比、LiとCoとの比、LiとMnとの比
は化学量論組成からずれている場合が多い)などのリチ
ウム含有複合金属酸化物を単独でまたは2種以上の混合
物として、あるいはそれらの固溶体として用いるのが好
ましい。
【0020】そして、正極の作製にあたっては、必要に
応じ、上記正極活物質に鱗片状黒鉛、カーボンブラック
などの電子伝導助剤を添加することができる。
【0021】正極は、例えば、上記正極活物質を含み、
必要に応じて鱗片状黒鉛、カーボンブラックなどの電子
伝導助剤を含み、さらにバインダーを含む塗料を導電性
基体上に塗布し、乾燥して、導電性基体上に少なくとも
正極活物質とバインダーを含有する塗膜を形成する工程
を経て作製される。
【0022】上記塗料の調製に当たって、ポリテトラフ
ルオロエチレンはそのファインパウダーをあらかじめ有
機溶剤に分散させたポリテトラフルオロエチレンの有機
溶剤分散液として用い、ビニリデンフルオライド系共重
合体はあらかじめ有機溶剤に溶解させた溶液として用
い、それらを混合して塗料を調製するのが好ましい。
【0023】本発明のシート状正極の塗膜形成用に使用
する塗料の溶剤としては、ビニリデンフルオライド系共
重合体を溶解させるものであれば特に限定されることは
ないが、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルアセ
トアミド、ジエチルアセトアミド、テトラヒドロフラン
などを単独でまたは2種以上混合して用いることができ
る。
【0024】また、本発明において、負極活物質として
は、例えば、リチウム金属またはリチウム含有化合物が
用いられるが、そのリチウム含有化合物としてはリチウ
ム合金とそれ以外のものとがある。上記リチウム合金と
しては、例えば、リチウム−アルミニウム、リチウム−
鉛、リチウム−ビスマス、リチウム−インジウム、リチ
ウム−ガリウム、リチウム−インジウム−ガリウムなど
のリチウムと他の金属との合金が挙げられる。リチウム
合金以外のリチウム含有化合物としては、例えば、乱層
構造を有する炭素材料、黒鉛などが挙げられる。これら
は製造時にはリチウムを含んでいないものもあるが、負
極活物質として作用するときには、化学的手段、電気化
学的手段などによりリチウムを含有した状態になる。
【0025】負極は、例えば、上記負極活物質に、必要
に応じて、例えば鱗片状黒鉛、カーボンブラックなどの
電子伝導助剤を添加し、さらに、例えばポリビニリデン
フロライド、エチレン−プロピレンジエンターポリマー
などのバインダーを加え、さらに溶剤を加え、混合して
塗料を調製し、その塗料を導電性基体上に塗布し、乾燥
して、塗膜を形成する工程を経て作製される。
【0026】本発明において、上記塗料を導電性基体上
に塗布する際の塗布方法としては、例えば、押出しコー
ター、リバースローラー、ドクターブレードなどをはじ
め、各種の塗布方法を採用することができる。
【0027】本発明において、シート状正極、シート状
負極などのシート状電極の導電性基体としては、例え
ば、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン、銅などの金
属製導電材料を網、パンチドメタル、フォームメタル
や、板状に加工した箔などが用いられる。
【0028】電解液としては、例えば、1,2−ジメト
キシエタン、1,2−ジエトキシエタン、プロピレンカ
ーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクト
ン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ジエ
チルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチ
ルカーボネートなどの単独または2種以上の混合溶媒
に、例えば、LiCF3 SO3 、LiC4 9 SO3
LiClO4 、LiPF6 、LiBF4 などの電解質を
単独でまたは2種以上を溶解させて調製した有機溶剤系
の電解液が用いられる。
【0029】セパレータとしては、例えば、厚さ10〜
50μmで、開孔率30〜70%の微多孔性ポリエチレ
ンフィルムまたは微多孔性ポリプロピレンフィルムなど
が好適に用いられる。
【0030】電池は、例えば、上記のようにして作製さ
れるシート状正極とシート状負極との間にセパレータを
介在させて渦巻状に巻回して作製した渦巻状電極体を、
ニッケルメッキを施した鉄やステンレス鋼製の電池ケー
ス内に挿入し、電解液を注入し、封口する工程を経て作
製される。また、上記電池には、通常、電池内部に発生
したガスをある一定圧力まで上昇した段階で電池外部に
排出して、電池の高圧下での破裂を防止するための防爆
機構が取り入れられる。
【0031】
【実施例】つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限
定されるものではない。なお、以下の実施例などにおい
て、溶液の濃度を示す%は重量%である。
【0032】実施例1 (1)正極の作製 正極の作製を、正極活物質として用いるリチウムニッ
ケル酸化物の合成、塗膜の形成の順に説明する。
【0033】リチウムニッケル酸化物の合成 水酸化リチウム(LiOH・H2 O)と酸化ニッケル
(III)(Ni2 3 )とを熱処理してリチウムニッケル
酸化物を合成した。上記リチウムニッケル酸化物の合成
は以下のように行った。
【0034】水酸化リチウムと酸化ニッケルとをLi/
Ni=1/1.05(モル比)の割合になるように秤量
した後、メノウ製の乳鉢で粉砕しつつ混合した。これを
酸素(O2 )気流中において500℃で2時間予備加熱
した後、昇温速度50℃/h以下で700℃で20時間
加熱して焼成することによってリチウムニッケル酸化物
を合成した。なお、合成されたリチウムニッケル酸化物
は水分に対して弱いため、粉砕などの取扱いはアルゴン
ガス雰囲気中で行った。
【0035】塗膜の形成 まず、上記リチウムニッケル酸化物と、電子伝導助剤と
しての鱗片状黒鉛と、バインダーとしてのポリテトラフ
ルオロエチレンおよびビニリデンフルオライド系共重合
体を下記の割合で含む塗料を調製した。なお、本実施例
で用いるビニリデンフルオライド系共重合体はビニリデ
ンフルオライド99重量%とマレイン酸モノメチルエス
テル1重量%とを共重合することによって合成されたも
のである。
【0036】 リチウムニッケル酸化物 90重量部 鱗片状黒鉛 6重量部 ポリテトラフルオロエチレン 3重量部 ビニリデンフルオライド系共重合体 1重量部 (モノマー組成:ビニリデンフルオライド99重量%、マレイン酸モノメチル エステル1重量%) N−メチルピロリドン 40重量部
【0037】上記塗料の調製は次に示すように行った。
まず、溶剤としてのN−メチルピロリドンの一部を用い
てビニリデンフルオライド系共重合体の12%溶液を調
製した。つぎに、残りのN−メチルピロリドンにポリテ
トラフルオロエチレンのファインパウダーを加えて分散
させ、それらに正極活物質のリチウムニッケル酸化物と
電子伝導助剤の鱗片状黒鉛とを加え、混合することによ
って塗料を調製した。そして、得られた塗料を厚さ20
μmのアルミニウム箔上にアプリケータを用いて塗布
し、100〜120℃で乾燥して塗膜を形成した。同様
に、アルミニウム箔の裏面側にも上記塗料を塗布し、1
00℃で8時間真空乾燥して、塗膜を形成した。そし
て、得られた電極体をロールプレスして、片面の塗膜厚
みが80μmのシート状正極を作製した。
【0038】(2)負極の作製 まず、負極活物質として人造黒鉛(2800℃で合成)
を用い、バインダーとしてポリビニリデンフルオライド
(ただし、あらかじめN−メチルピロリドンに溶解させ
て濃度12%の溶液として使用)を用い、それらを下記
の割合で含む塗料を調製した。
【0039】 人造黒鉛(2800℃で合成) 90重量部 ポリビニリデンフルオライド樹脂液 83.3重量部 (ただし、ポリビニリデンフルオライド固形分10重量部)
【0040】得られた塗料を厚さ18μmの銅箔上にア
プリケータを用いて塗布し、100〜120℃で乾燥し
て塗膜を形成した。同様に、銅箔の裏面側にも上記塗料
を塗布し、100℃で8時間真空乾燥して塗膜を形成し
た。そして、得られた電極体をロールプレスして、片面
の塗膜厚みが80μmのシート状負極を作製した。な
お、正極と負極の活物質の重量比が2:1になるよう塗
膜密度を調整した。
【0041】(3)電解液の調製 エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの
混合溶液(体積比で1:1)に1mol/lのLiPF
6 を溶解して有機溶剤系の電解液を調製した。
【0042】(4)筒形電池の組立て 上記のシート状正極を幅28mm×長さ220mmの帯
状に切断し、シート状負極を幅30mm×長さ260m
mの帯状に切断した。そして、それぞれの電極の一方の
端部の塗膜の一部を剥がして、金属箔を露出させた部分
にアルミニウム製のリード体を抵抗溶接し、厚み25μ
mで開孔率50%の微多孔性ポリプロピレンフィルムか
らなる帯状セパレータを上記シート状正極とシート状負
極との間に介在させ、渦巻状に巻回して渦巻状電極体を
作製し、その渦巻状電極体をステンレス鋼製の電池ケー
ス内に挿入した。
【0043】そして、負極側のリード体の先端を絶縁体
を貫通させて電池ケースの底部に溶接し、さらに、電池
ケースの開口部に絶縁体を挿入し、溝を形成した後、封
口板と正極側のリード体とを溶接した。そして、このよ
うな工程を経て作製された缶体を60℃で10時間真空
乾燥した後、乾燥雰囲気中で電解液2mlを注入した
後、封口して図1に示す筒形のR5形電池(外径:1
4.95mm、高さ:39.7mm)を作製した。
【0044】図1に示す電池について説明すると、1は
前記の正極で、2は負極である。ただし、図1では、煩
雑化を避けるため、正極1や負極2の作製に当って使用
した導電性基体としての金属箔などは図示していない。
そして、3はセパレータで、4は電解液である。
【0045】5はステンレス鋼製の電池ケースであり、
この電池ケース5は負極端子を兼ねている。電池ケース
5の底部にはポリテトラフルオロエチレンシートからな
る絶縁体6が配置され、電池ケース5の内周部にもポリ
テトラフルオロエチレンシートからなる絶縁体7が配置
されていて、前記正極1、負極2およびセパレータ3か
らなる渦巻状電極体や、電解液4などは、この電池ケー
ス5内に収容されている。
【0046】8はステンレス鋼製の封口板であり、この
封口板8の中央部にはガス通気孔8aが設けられてい
る。9はポリプロピレン製の環状パッキング、10はチ
タン製の可撓性薄板で、11は環状でポリプロピレン性
の熱変形部材である。
【0047】上記熱変形部材11は温度によって変形す
ることにより、可撓性薄板10の破壊圧力を変える作用
をする。
【0048】12はニッケルメッキを施した圧延鋼製の
端子板であり、この端子板12には切刃12aとガス排
出孔12bとが設けられていて、電池内部にガスが発生
して電池の内部圧力が上昇し、その内圧上昇によって可
撓性薄板10が変形したときに、上記切刃12aによっ
て可撓性薄板10を破壊し、電池内部のガスを上記ガス
排出孔12bから電池外部に排出して、電池の高圧下で
の破壊が防止できるように設計されている。
【0049】13は絶縁体で、14はアルミニウム製の
リード体であり、このリード体14は正極1と封口板8
とを電気的に接続しており、端子板12は封口板8との
接触により正極端子として作用する。15は負極2と電
池ケース5とを電気的に接続するリード体である。
【0050】実施例2 実施例1のポリテトラフルオロエチレン3重量部を3.
6重量部に変更し、ビニリデンフルオライド系共重合体
(モノマー組成:ビニリデンフルオライド99重量%、
マレイン酸モノメチルエステル1重量%)1重量部を
0.4重量部に変更したほかは、実施例1と同様にして
R5形電池を作製した。
【0051】実施例3 実施例1のポリテトラフルオロエチレン3重量部を0.
4重量部に変更し、ビニリデンフルオライド系共重合体
(モノマー組成:ビニリデンフルオライド99重量%、
マレイン酸モノメチルエステル1重量%)1重量部を
3.6重量部に変更したほかは、実施例1と同様にして
R5形電池を作製した。
【0052】比較例1 実施例1のシート状正極の塗膜作製用バインダーとして
のポリテトラフルオロエチレンのファインパウダーに代
えてポリテトラフルオロエチレンの60%ディスパージ
ョン5重量部(ポリテトラフルオロエチレン固形分とし
ては3重量部)を用い、ビニリデンフルオライド系共重
合体(モノマー組成:ビニリデンフルオライド99重量
%、マレイン酸モノメチルエステル1重量%)1重量部
に代えてカルボキシメチルセルロース1重量部を用い、
かつ溶剤のN−メチルピロリドン40重量部を蒸留水3
8重量部に変更したほかは、実施例1と同様にしてR5
形電池を作製した。
【0053】比較例2 実施例1のポリテトラフルオロエチレン3重量部を0重
量部に変更し、ビニリデンフルオライド系共重合体(モ
ノマー組成:ビニリデンフルオライド99重量%、マレ
イン酸モノメチルエステル1重量%)1重量部を4重量
部に変更したほかは、実施例1と同様にしてR5形電池
を作製した。
【0054】上記のようにして作製した実施例1〜3お
よび比較例1〜2の電池について電池容量の測定を行っ
た。その結果を表1に示す。なお、電池容量の測定方法
は次の通りである。
【0055】電池容量の測定方法:充放電電流をCで表
示した場合、R5形で560mAを1Cとして充放電を
行った。充電は1Cの電流制限回路を設けて4.1Vの
定電圧で行い、放電は電池の電極間電圧が2.75Vに
低下するまで行った。そして、このときの放電容量を測
定し、実施例1の電池の放電容量を100%とし、それ
と他の電池との比を求めた。表1には、実施例1の電池
の放電容量を100%としたときの各電池の放電容量の
比を電池容量(%)として示す。
【0056】
【表1】
【0057】表1に示す実施例1〜3の電池容量(%)
と比較例1〜2の電池容量(%)との対比から明らかな
ように、バインダーとしてポリテトラフルオロエチレン
とビニリデンフルオライド系共重合体とを用いた実施例
1〜3の電池は、特に従来電池に相当する比較例1の電
池に比べて、電池容量(%)が大きく、高容量が得られ
た。
【0058】これに対して、正極のバインダーとしてポ
リテトラフルオロエチレンとカルボキシメチルセルロー
スを用い、水を溶剤として塗料化した塗料を用いた比較
例1の電池は、電池容量(%)がきわめて小さく、ま
た、ビニリデンフルオライド系共重合体のみをバインダ
ーとして用いた比較例2の電池は、実施例1〜3の電池
に比べて電池容量(%)が小さかった。上記のように、
比較例1の電池の電池容量(%)がきわめて小さかった
のは、比較例1の電池では水を溶剤として塗料化した塗
料を用いたため、正極活物質のリチウムニッケル酸化物
の劣化が生じたためであると考えられる。また、比較例
2の電池の電池容量(%)が実施例1〜3の電池の電池
容量(%)より小さかったのは、ポリテトラフルオロエ
チレンを用いていないため、正極活物質などの固体粒子
間および固体粒子と導電性基体との間の密着性が低下
し、それらの間の電気的接触が低下したためであると考
えられる。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、正極
活物質の劣化を防止して、高容量のリチウム二次電池を
提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリチウム二次電池の一例を模式的に示
す断面図である。
【符号の説明】
1 正極 2 負極 3 セパレータ 4 電解液

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シート状正極とシート状負極とをセパレ
    ータを介して対向させたリチウム二次電池において、上
    記シート状正極が導電性基体上に少なくとも正極活物質
    とバインダーを含有する塗膜を形成したものからなり、
    上記シート状正極のバインダーが、少なくともポリテト
    ラフルオロエチレンと、主成分モノマーとしてビニリデ
    ンフルオライドを含有する含フッ素系モノマー群と不飽
    和二塩基酸のモノエステルとを共重合して得られるビニ
    リデンフルオライド系共重合体を含むのであることを特
    徴とするリチウム二次電池。
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