JPH10231357A - ポリエステルの製造法 - Google Patents
ポリエステルの製造法Info
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- JPH10231357A JPH10231357A JP4965797A JP4965797A JPH10231357A JP H10231357 A JPH10231357 A JP H10231357A JP 4965797 A JP4965797 A JP 4965797A JP 4965797 A JP4965797 A JP 4965797A JP H10231357 A JPH10231357 A JP H10231357A
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- polyester
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- polycondensation
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 リン化合物の系外への揮散やリン化合物によ
る反応装置の腐食等の問題がなく、高重合度で、色調の
良好な抗ピリング性ポリエステル繊維用として適したポ
リエステルを生産性良く製造する方法を提供する。 【解決手段】 ポリアルキレンテレフタレート又はこれ
を主体とするポリエステルを製造するに際し、ポリエス
テル低重合体に、リン酸のアルキレングリコールエステ
ルを、リン原子の含有量がポリエステルの酸成分に対し
て 0.5〜2.0 モル%となる量で添加し、重縮合触媒の存
在下に、極限粘度が0.55以上となるまで重縮合反応を行
う。
る反応装置の腐食等の問題がなく、高重合度で、色調の
良好な抗ピリング性ポリエステル繊維用として適したポ
リエステルを生産性良く製造する方法を提供する。 【解決手段】 ポリアルキレンテレフタレート又はこれ
を主体とするポリエステルを製造するに際し、ポリエス
テル低重合体に、リン酸のアルキレングリコールエステ
ルを、リン原子の含有量がポリエステルの酸成分に対し
て 0.5〜2.0 モル%となる量で添加し、重縮合触媒の存
在下に、極限粘度が0.55以上となるまで重縮合反応を行
う。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗ピリング繊維用
として適したポリエステルを製造する方法に関するもの
である。
として適したポリエステルを製造する方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維、特にポリエチレンテ
レフタレート繊維は、優れた性質を有し、衣料用繊維と
して広く使用されている。しかし、ポリエチレンテレフ
タレート繊維を衣料用に使用する場合、ピリング(毛
玉)の発生等好ましくない現象が発現し、実用上大きな
欠点の一つになっている。従来、このようなピリングを
防止するための方法が種々提案されている。
レフタレート繊維は、優れた性質を有し、衣料用繊維と
して広く使用されている。しかし、ポリエチレンテレフ
タレート繊維を衣料用に使用する場合、ピリング(毛
玉)の発生等好ましくない現象が発現し、実用上大きな
欠点の一つになっている。従来、このようなピリングを
防止するための方法が種々提案されている。
【0003】例えば、特公昭35−8562号公報には、低重
合度のポリエステルを紡糸して抗ピリング性繊維を製造
する方法が提案されている。しかし、この方法で十分な
抗ピリング性を有する繊維を得るためには、ポリエステ
ルの重合度を大幅に低下させなくてはならず、紡糸性が
著しく低下するばかりでなく、加工性、紡績性も著しく
損なわれるという欠点があった。
合度のポリエステルを紡糸して抗ピリング性繊維を製造
する方法が提案されている。しかし、この方法で十分な
抗ピリング性を有する繊維を得るためには、ポリエステ
ルの重合度を大幅に低下させなくてはならず、紡糸性が
著しく低下するばかりでなく、加工性、紡績性も著しく
損なわれるという欠点があった。
【0004】また、特公昭58− 18447号公報には、ポリ
エステル低重合体にリン酸、亜リン酸等のリン酸類を添
加して重縮合し、得られたポリエステルを製糸し、熱処
理することにより抗ピリング性のポリエステル繊維を得
る方法が提案されている。しかし、リン酸類は重縮合反
応時に系外に揮散しやすいという問題があり、抗ピリン
グ性を付与するに十分な量のリン酸類を添加するには、
リン酸類を多量に(高濃度のグリコール溶液として)添
加しなければならず、ポリエステルが着色するととも
に、重合度が上がり難くなるという問題があった。
エステル低重合体にリン酸、亜リン酸等のリン酸類を添
加して重縮合し、得られたポリエステルを製糸し、熱処
理することにより抗ピリング性のポリエステル繊維を得
る方法が提案されている。しかし、リン酸類は重縮合反
応時に系外に揮散しやすいという問題があり、抗ピリン
グ性を付与するに十分な量のリン酸類を添加するには、
リン酸類を多量に(高濃度のグリコール溶液として)添
加しなければならず、ポリエステルが着色するととも
に、重合度が上がり難くなるという問題があった。
【0005】また、重縮合触媒として三酸化アンチモン
が広く使用されているが、リン酸類と三酸化アンチモン
とが共存すると、両者が反応してリン酸アンチモンが形
成され、ポリエステルが濁ったり、重縮合触媒が失活す
ることにより重合度が上がり難くなるという問題もあっ
た。
が広く使用されているが、リン酸類と三酸化アンチモン
とが共存すると、両者が反応してリン酸アンチモンが形
成され、ポリエステルが濁ったり、重縮合触媒が失活す
ることにより重合度が上がり難くなるという問題もあっ
た。
【0006】このような問題を解決する方法として、特
開平8−208821号公報には、ポリエステル低重合体にリ
ン酸の低濃度グリコール溶液を添加し、一定時間エステ
ル化反応を行った後、重縮合触媒として三酸化アンチモ
ンを添加して重縮合反応を行う方法が提案されている。
開平8−208821号公報には、ポリエステル低重合体にリ
ン酸の低濃度グリコール溶液を添加し、一定時間エステ
ル化反応を行った後、重縮合触媒として三酸化アンチモ
ンを添加して重縮合反応を行う方法が提案されている。
【0007】この方法によれば、抗ピリング性ポリエス
テル繊維用として好適なポリエステルを得ることができ
るが、リン酸により反応装置が腐食されたり、リン酸に
よる酸性下にエチレングリコールを多量に添加するた
め、ジエチレングリコールが生成しやすかったりすると
いう問題があると共に、重縮合反応前にエステル化反応
を行う段階を設ける必要があるため、生産性が低下する
という問題があった。
テル繊維用として好適なポリエステルを得ることができ
るが、リン酸により反応装置が腐食されたり、リン酸に
よる酸性下にエチレングリコールを多量に添加するた
め、ジエチレングリコールが生成しやすかったりすると
いう問題があると共に、重縮合反応前にエステル化反応
を行う段階を設ける必要があるため、生産性が低下する
という問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリエステ
ル低重合体にリン化合物を添加して重縮合反応を行う方
法によって、リン化合物の系外への揮散やリン化合物に
よる反応装置の腐食等の問題がなく、高重合度で、色調
の良好な抗ピリング性ポリエステル繊維用として適した
ポリエステルを生産性良く製造することのできる方法を
提供しようとするものである。
ル低重合体にリン化合物を添加して重縮合反応を行う方
法によって、リン化合物の系外への揮散やリン化合物に
よる反応装置の腐食等の問題がなく、高重合度で、色調
の良好な抗ピリング性ポリエステル繊維用として適した
ポリエステルを生産性良く製造することのできる方法を
提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するもので、その要旨は、ポリアルキレンテレフタ
レート又はこれを主体とするポリエステルを製造するに
際し、ポリエステル低重合体に、リン酸のアルキレング
リコールエステルを、リン原子の含有量がポリエステル
の酸成分に対して 0.5〜2.0 モル%となる量で添加し、
重縮合触媒の存在下に、極限粘度が0.55以上となるまで
重縮合反応を行うことを特徴とするポリエステルの製造
法にある。
解決するもので、その要旨は、ポリアルキレンテレフタ
レート又はこれを主体とするポリエステルを製造するに
際し、ポリエステル低重合体に、リン酸のアルキレング
リコールエステルを、リン原子の含有量がポリエステル
の酸成分に対して 0.5〜2.0 モル%となる量で添加し、
重縮合触媒の存在下に、極限粘度が0.55以上となるまで
重縮合反応を行うことを特徴とするポリエステルの製造
法にある。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
する。
【0011】本発明において、ポリエステルを形成する
主成分としては、ジカルボン酸成分としてテレフタル
酸、ジオール成分としてエチレングリコール(いずれも
エステル形成性誘導体を含む)が好ましく用いられる。
これらと共に、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウ
ムスルホイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジ
ピン酸、アゼライン酸、コハク酸、プロピレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、ペンタエリスリトール、ビ
スフェノールSやビスフェノールAのエチレンオキシド
付加物、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン
等及びこれらのエステル形成性誘導体を共重合成分とし
て併用してもよい。
主成分としては、ジカルボン酸成分としてテレフタル
酸、ジオール成分としてエチレングリコール(いずれも
エステル形成性誘導体を含む)が好ましく用いられる。
これらと共に、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウ
ムスルホイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジ
ピン酸、アゼライン酸、コハク酸、プロピレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、ペンタエリスリトール、ビ
スフェノールSやビスフェノールAのエチレンオキシド
付加物、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン
等及びこれらのエステル形成性誘導体を共重合成分とし
て併用してもよい。
【0012】本発明で使用するリン化合物は、リン酸の
アルキレングリコールエステルである。リン酸のアルキ
レングリコールエステルのグリコール成分としては、エ
チレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プ
ロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール等を挙げることが
できるが、ポリエステルを構成するグリコールと同じも
のが好ましい。特に好ましいものは、エチレングリコー
ルである。また、上記グリコール成分を2種以上含有す
る複合エステルでもよく、さらに、これらグリコールエ
ステルの混合物を使用してもよい。
アルキレングリコールエステルである。リン酸のアルキ
レングリコールエステルのグリコール成分としては、エ
チレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プ
ロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール等を挙げることが
できるが、ポリエステルを構成するグリコールと同じも
のが好ましい。特に好ましいものは、エチレングリコー
ルである。また、上記グリコール成分を2種以上含有す
る複合エステルでもよく、さらに、これらグリコールエ
ステルの混合物を使用してもよい。
【0013】本発明で使用するリン酸のアルキレングリ
コールエステルは、ジエステルあるいはトリエステルで
あることが好ましい。モノエステルでは、重縮合反応時
の系外への揮散の問題はないが、ポリエステルの一般的
な重縮合触媒である三酸化アンチモンを重縮合触媒とし
て使用すると、これと反応しやすく、ポリエステルに難
溶なアンチモン化合物を形成してポリエステルを濁らせ
る。また、三酸化アンチモンの触媒活性を失わせ、ポリ
エステルの重合度上昇を妨げるという問題を引き起こし
やすい。
コールエステルは、ジエステルあるいはトリエステルで
あることが好ましい。モノエステルでは、重縮合反応時
の系外への揮散の問題はないが、ポリエステルの一般的
な重縮合触媒である三酸化アンチモンを重縮合触媒とし
て使用すると、これと反応しやすく、ポリエステルに難
溶なアンチモン化合物を形成してポリエステルを濁らせ
る。また、三酸化アンチモンの触媒活性を失わせ、ポリ
エステルの重合度上昇を妨げるという問題を引き起こし
やすい。
【0014】優れた抗ピリング性を発現させるために
は、リン酸のアルキレングリコールエステルを、リン原
子の含有量がポリエステルの酸成分に対して 0.5〜2.0
モル%となるように添加する必要がある。
は、リン酸のアルキレングリコールエステルを、リン原
子の含有量がポリエステルの酸成分に対して 0.5〜2.0
モル%となるように添加する必要がある。
【0015】本発明の方法によれば、リン化合物は重縮
合反応を行ってもほとんど揮散しないので、リン化合物
の添加量がほぼそのままポリエステル中での含有量とな
る。したがって、リン化合物の添加量は、所望とするポ
リエステル中での含有量と同量あるいはそれよりも若干
多い程度でよい。すなわち、ポリエステルの酸成分に対
して 0.5〜2.5 モル%の範囲で添加すればよい。
合反応を行ってもほとんど揮散しないので、リン化合物
の添加量がほぼそのままポリエステル中での含有量とな
る。したがって、リン化合物の添加量は、所望とするポ
リエステル中での含有量と同量あるいはそれよりも若干
多い程度でよい。すなわち、ポリエステルの酸成分に対
して 0.5〜2.5 モル%の範囲で添加すればよい。
【0016】リン化合物の添加量が少なすぎると染色(1
30℃×1時間程度)に代表される湿熱処理を行っても、
優れた抗ピリング性は発現せず、逆に多すぎるとポリエ
ステルが三次元化し、ポリエステルの優れた性質が損な
われる。
30℃×1時間程度)に代表される湿熱処理を行っても、
優れた抗ピリング性は発現せず、逆に多すぎるとポリエ
ステルが三次元化し、ポリエステルの優れた性質が損な
われる。
【0017】上記のようなリン酸のアルキレングリコー
ルエステルをポリエステル低重合体に添加する場合、グ
リコール溶液として投入することが好ましい。そして、
グリコール溶液は、必要に応じ、任意の温度で加熱処理
を施して使用してもよい。
ルエステルをポリエステル低重合体に添加する場合、グ
リコール溶液として投入することが好ましい。そして、
グリコール溶液は、必要に応じ、任意の温度で加熱処理
を施して使用してもよい。
【0018】また、重縮合反応は、重縮合触媒の存在下
に行われ、重縮合触媒としては、アンチモン、ゲルマニ
ウム、スズ、チタン、亜鉛、アルミニウム、マグネシウ
ム、カルシウム、マンガン、コバルト等の金属の化合物
のほか、スルホサリチル酸、o−スルホ安息香酸無水物
等の有機スルホン酸化合物が好ましく用いられる、ポリ
エステルの色調等の特性値やコストの点からアンチモン
化合物、特に三酸化アンチモンが好ましく用いられる。
に行われ、重縮合触媒としては、アンチモン、ゲルマニ
ウム、スズ、チタン、亜鉛、アルミニウム、マグネシウ
ム、カルシウム、マンガン、コバルト等の金属の化合物
のほか、スルホサリチル酸、o−スルホ安息香酸無水物
等の有機スルホン酸化合物が好ましく用いられる、ポリ
エステルの色調等の特性値やコストの点からアンチモン
化合物、特に三酸化アンチモンが好ましく用いられる。
【0019】重縮合触媒は、重縮合反応開始前に添加す
る。そして、重縮合触媒の添加量は、ポリエステルを構
成する酸成分1モルに対して1×10-5〜1×10-2モル、
好ましくは5×10-5〜5×10-3モル、最適には1×10-4
〜3×10-3モルとするのが適当である。
る。そして、重縮合触媒の添加量は、ポリエステルを構
成する酸成分1モルに対して1×10-5〜1×10-2モル、
好ましくは5×10-5〜5×10-3モル、最適には1×10-4
〜3×10-3モルとするのが適当である。
【0020】ポリエステルを製造する際の重縮合反応
は、通常、0.01〜13.3 hPa程度の減圧下、 260〜310
℃、好ましくは 275〜290 ℃の温度で行われるが、極限
粘度が0.55以上となるまで行うことが必要である。極限
粘度が0.55未満であると、繊維とするときの強度が不十
分となり、糸切れが発生しやすくなって製糸工程以降の
操業性が悪化する。
は、通常、0.01〜13.3 hPa程度の減圧下、 260〜310
℃、好ましくは 275〜290 ℃の温度で行われるが、極限
粘度が0.55以上となるまで行うことが必要である。極限
粘度が0.55未満であると、繊維とするときの強度が不十
分となり、糸切れが発生しやすくなって製糸工程以降の
操業性が悪化する。
【0021】なお、本発明において、ヒンダードフェノ
ール化合物のような安定剤、コバルト化合物、蛍光増白
剤、染料のような色調改良剤、二酸化チタンのような顔
料等の添加物を含有させても差し支えない。
ール化合物のような安定剤、コバルト化合物、蛍光増白
剤、染料のような色調改良剤、二酸化チタンのような顔
料等の添加物を含有させても差し支えない。
【0022】このようにして得られたポリエステルは、
常法によって溶融紡糸し、延伸し、捲縮を付与した後、
切断して短繊維とされる。
常法によって溶融紡糸し、延伸し、捲縮を付与した後、
切断して短繊維とされる。
【0023】そして、得られた繊維を湿熱処理すること
により、抗ピリング性の優れたポリエステル繊維とな
る。湿熱処理は、繊維状で行っても、紡績糸、織編物等
に加工した後に行ってもよい。
により、抗ピリング性の優れたポリエステル繊維とな
る。湿熱処理は、繊維状で行っても、紡績糸、織編物等
に加工した後に行ってもよい。
【0024】湿熱処理は、熱水又は水蒸気等を用いて、
80〜160 ℃の範囲の温度で、約 0.5〜2時間行うのが好
ましい。処理温度が80℃未満であると、繊維に十分な抗
ピリング性を付与することができず、160 ℃を超える温
度では、ポリエステル繊維の強度が低くなりすぎ、ポリ
エステル繊維本来の好ましい性質が損なわれる。なお、
熱水又は水蒸気処理は、それ自体単独の工程として行っ
てもよいし、繊維又は布帛の種々の加工工程、例えば染
色工程等と兼用してもよい。
80〜160 ℃の範囲の温度で、約 0.5〜2時間行うのが好
ましい。処理温度が80℃未満であると、繊維に十分な抗
ピリング性を付与することができず、160 ℃を超える温
度では、ポリエステル繊維の強度が低くなりすぎ、ポリ
エステル繊維本来の好ましい性質が損なわれる。なお、
熱水又は水蒸気処理は、それ自体単独の工程として行っ
てもよいし、繊維又は布帛の種々の加工工程、例えば染
色工程等と兼用してもよい。
【0025】また、湿熱処理は、若干酸性あるいはアル
カリ性の条件で行ってもよく、通常、pH3〜10の範囲
で行われる。
カリ性の条件で行ってもよく、通常、pH3〜10の範囲
で行われる。
【0026】以上のように、本発明の方法で得られるリ
ン酸エステル結合を有するポリエステルからなる繊維を
湿熱処理することにより抗ピリング性に優れたポリエス
テル繊維を容易に製造することができ、しかも、得られ
る繊維は、高強度で、加工性が良く、色調、染色性等に
おいても優れた性能を示す。
ン酸エステル結合を有するポリエステルからなる繊維を
湿熱処理することにより抗ピリング性に優れたポリエス
テル繊維を容易に製造することができ、しかも、得られ
る繊維は、高強度で、加工性が良く、色調、染色性等に
おいても優れた性能を示す。
【0027】
【作用】本発明においては、リン化合物としてリン酸の
アルキレングリコールエステルを用いるので、重縮合反
応時にポリエステル低重合体とエステル結合を形成しや
すく、重縮合反応時に系外に揮散しないとともに、重縮
合触媒として三酸化アンチモンを使用してもリン酸アン
チモンが形成されず、色調の良好な含リンポリエステル
が得られる。
アルキレングリコールエステルを用いるので、重縮合反
応時にポリエステル低重合体とエステル結合を形成しや
すく、重縮合反応時に系外に揮散しないとともに、重縮
合触媒として三酸化アンチモンを使用してもリン酸アン
チモンが形成されず、色調の良好な含リンポリエステル
が得られる。
【0028】このポリエステルからなる繊維は、リン酸
エステル結合を有しており、このリン酸エステル結合が
通常のエステル結合に比べて加水分解されやすいため、
染色工程やアルカリ減量等の湿熱処理の際、加水分解反
応が速やかに進行し、その結果、ポリエステルの重合度
が低下し、良好な抗ピリング性が発現するものと認めら
れる。
エステル結合を有しており、このリン酸エステル結合が
通常のエステル結合に比べて加水分解されやすいため、
染色工程やアルカリ減量等の湿熱処理の際、加水分解反
応が速やかに進行し、その結果、ポリエステルの重合度
が低下し、良好な抗ピリング性が発現するものと認めら
れる。
【0029】なお、通常のポリエチレンテレフタレート
繊維では、湿熱処理を施しても極限粘度が高々1〜2%
しか低下しないのに対して、このポリエステル繊維で
は、湿熱処理を施すことにより、極限粘度が10〜20%も
低下する。
繊維では、湿熱処理を施しても極限粘度が高々1〜2%
しか低下しないのに対して、このポリエステル繊維で
は、湿熱処理を施すことにより、極限粘度が10〜20%も
低下する。
【0030】このように、湿熱処理時に重合度が大きく
低下するので、ポリエステルの極限粘度を大きくしてお
くことができ、高強度で、製糸性及び加工性の良い繊維
とすることができる。
低下するので、ポリエステルの極限粘度を大きくしてお
くことができ、高強度で、製糸性及び加工性の良い繊維
とすることができる。
【0031】
【実施例】次に、実施例をあげて本発明を具体的に説明
する。なお、特性値等の測定、評価法は次のとおりであ
る。 (a) リン原子含有量 ポリエステルを、直径4cm、厚さ8mmの円形板に溶融成
形したものについて、リガク社製3270型X線スペクトロ
メータを用いて定量した。 (b) 極限粘度(〔η〕) フェノールと四塩化エタンとの等重量混合物を溶媒と
し、20℃で測定した。 (c) 色調(b値) 日本電色工業社製の色差計ND−Σ80型を用い、ハンター
のLab表色系のb値を求めて評価した。(b値は、値
が大きいほど黄色味、小さいほど青色味が強くなり、極
端に小さくならない限り、小さいほうがよい。) (d) 抗ピリング性 JIS L 1076 A法による測定法で判定して1〜5級に分
類した。(3級以上が合格である。) (e) 強伸度 オリエンティック社製テンシロン UTM−4−100 型を用
い、試料長20mm、引張速度20mm/分で測定した。
する。なお、特性値等の測定、評価法は次のとおりであ
る。 (a) リン原子含有量 ポリエステルを、直径4cm、厚さ8mmの円形板に溶融成
形したものについて、リガク社製3270型X線スペクトロ
メータを用いて定量した。 (b) 極限粘度(〔η〕) フェノールと四塩化エタンとの等重量混合物を溶媒と
し、20℃で測定した。 (c) 色調(b値) 日本電色工業社製の色差計ND−Σ80型を用い、ハンター
のLab表色系のb値を求めて評価した。(b値は、値
が大きいほど黄色味、小さいほど青色味が強くなり、極
端に小さくならない限り、小さいほうがよい。) (d) 抗ピリング性 JIS L 1076 A法による測定法で判定して1〜5級に分
類した。(3級以上が合格である。) (e) 強伸度 オリエンティック社製テンシロン UTM−4−100 型を用
い、試料長20mm、引張速度20mm/分で測定した。
【0032】実施例1 ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート及びその
低重合体の存在するエステル化反応器にテレフタル酸と
エチレングリコールとのモル比1/1.6 のスラリーを連
続的に供給し、温度 250℃、圧力 50hPaの条件で反応さ
せ、滞留時間を8時間として平均重合度7のポリエステ
ル低重合体を連続的に得た。このポリエステル低重合体
55.5kgにリン酸のトリエチレングリコールエステルを酸
成分1モルに対してリン酸として75×10-4モルとなる量
及び重縮合触媒として酸成分1モルに対して2×10-4モ
ルの三酸化アンチモンを加えた後、重縮合反応器中を徐
々に減圧にして、最終的に圧力 0.67hPa、温度 275℃で
4時間重縮合反応を行った。得られたポリエステルは、
〔η〕が0.64で、b値が 2.0と良好な色調を有してい
た。このポリエステルを孔径 0.3mm、孔数 720の紡糸口
金を用いて、紡糸温度 270℃、紡糸速度 900m/分、吐
出量 360g/分の紡糸条件で溶融紡糸し、その後、引き
揃えて12万dの未延伸トウを得た。次いで、このトウを
加熱ローラ温度65℃で 3.3倍に第一段延伸した後、加熱
ローラ温度60℃で 1.1倍に第二段延伸した。その後、ヒ
ートドラム温度 190℃で熱セットし、機械捲縮を付与し
た後、長さ51mmに切断した。得られた短繊維は、繊度
1.4d、強度 4.0g/d、伸度35%であった。この短繊
維を常法により英式番手40Sの紡績糸とし、筒編地を作
製した後、 130℃の熱水中で60分間処理した。熱水処理
した筒編地の抗ピリング性は5級であった。
低重合体の存在するエステル化反応器にテレフタル酸と
エチレングリコールとのモル比1/1.6 のスラリーを連
続的に供給し、温度 250℃、圧力 50hPaの条件で反応さ
せ、滞留時間を8時間として平均重合度7のポリエステ
ル低重合体を連続的に得た。このポリエステル低重合体
55.5kgにリン酸のトリエチレングリコールエステルを酸
成分1モルに対してリン酸として75×10-4モルとなる量
及び重縮合触媒として酸成分1モルに対して2×10-4モ
ルの三酸化アンチモンを加えた後、重縮合反応器中を徐
々に減圧にして、最終的に圧力 0.67hPa、温度 275℃で
4時間重縮合反応を行った。得られたポリエステルは、
〔η〕が0.64で、b値が 2.0と良好な色調を有してい
た。このポリエステルを孔径 0.3mm、孔数 720の紡糸口
金を用いて、紡糸温度 270℃、紡糸速度 900m/分、吐
出量 360g/分の紡糸条件で溶融紡糸し、その後、引き
揃えて12万dの未延伸トウを得た。次いで、このトウを
加熱ローラ温度65℃で 3.3倍に第一段延伸した後、加熱
ローラ温度60℃で 1.1倍に第二段延伸した。その後、ヒ
ートドラム温度 190℃で熱セットし、機械捲縮を付与し
た後、長さ51mmに切断した。得られた短繊維は、繊度
1.4d、強度 4.0g/d、伸度35%であった。この短繊
維を常法により英式番手40Sの紡績糸とし、筒編地を作
製した後、 130℃の熱水中で60分間処理した。熱水処理
した筒編地の抗ピリング性は5級であった。
【0033】実施例2〜5及び比較例1〜5 リン化合物の種類と添加量を変えた以外は、実施例1と
同様にしてポリエステル繊維を得た。得られたポリエス
テル繊維の評価結果を表1に示す。
同様にしてポリエステル繊維を得た。得られたポリエス
テル繊維の評価結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】表1から明らかなように、実施例1〜5で
は、高強度で、良好な抗ピリング性及び色調を有する繊
維が得られた。
は、高強度で、良好な抗ピリング性及び色調を有する繊
維が得られた。
【0036】これに対して、比較例では、次のような問
題があった。比較例1では、極限粘度が低いため、繊維
化することができなかった。比較例2では、リン原子含
有量が少ないため、抗ピリング性が不十分であり、比較
例3では、リン原子含有量が多すきたため、ポリエステ
ルがゲル化した。比較例4では、リン酸を用いたため、
これが三酸化アンチモンと反応して不溶解物を形成し、
ポリエステルが濁るとともに、重縮合反応が十分進まな
かった。比較例5では、リン酸のアルキルエステルを用
いたため、重縮合反応時にリン化合物が揮散し、ポリエ
ステルのリン原子含有量が少なく、抗ピリング性が不十
分であった。
題があった。比較例1では、極限粘度が低いため、繊維
化することができなかった。比較例2では、リン原子含
有量が少ないため、抗ピリング性が不十分であり、比較
例3では、リン原子含有量が多すきたため、ポリエステ
ルがゲル化した。比較例4では、リン酸を用いたため、
これが三酸化アンチモンと反応して不溶解物を形成し、
ポリエステルが濁るとともに、重縮合反応が十分進まな
かった。比較例5では、リン酸のアルキルエステルを用
いたため、重縮合反応時にリン化合物が揮散し、ポリエ
ステルのリン原子含有量が少なく、抗ピリング性が不十
分であった。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、ポリエステル低重合体
にリン化合物を添加して重縮合反応を行う方法によっ
て、リン化合物の系外への揮散やリン化合物による反応
装置の腐食等の問題がなく、高重合度で、色調の良好な
抗ピリング性ポリエステル繊維用として適したポリエス
テルを生産性良く製造することが可能となる。そして、
このポリエステルからなる繊維は、湿熱処理する前は十
分な強度を有しており、製糸性及び加工性が良好であ
る。
にリン化合物を添加して重縮合反応を行う方法によっ
て、リン化合物の系外への揮散やリン化合物による反応
装置の腐食等の問題がなく、高重合度で、色調の良好な
抗ピリング性ポリエステル繊維用として適したポリエス
テルを生産性良く製造することが可能となる。そして、
このポリエステルからなる繊維は、湿熱処理する前は十
分な強度を有しており、製糸性及び加工性が良好であ
る。
Claims (3)
- 【請求項1】 ポリアルキレンテレフタレート又はこれ
を主体とするポリエステルを製造するに際し、ポリエス
テル低重合体に、リン酸のアルキレングリコールエステ
ルを、リン原子の含有量がポリエステルの酸成分に対し
て 0.5〜2.0モル%となる量で添加し、重縮合触媒の存
在下に、極限粘度が0.55以上となるまで重縮合反応を行
うことを特徴とするポリエステルの製造法。 - 【請求項2】 リン酸のアルキレングリコールエステル
が、ジエステル及び/又はトリエステルである請求項1
記載のポリエステルの製造法。 - 【請求項3】 重縮合触媒が、三酸化アンチモンである
請求項1又は2記載のポリエステルの製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4965797A JPH10231357A (ja) | 1997-02-17 | 1997-02-17 | ポリエステルの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4965797A JPH10231357A (ja) | 1997-02-17 | 1997-02-17 | ポリエステルの製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10231357A true JPH10231357A (ja) | 1998-09-02 |
Family
ID=12837266
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4965797A Pending JPH10231357A (ja) | 1997-02-17 | 1997-02-17 | ポリエステルの製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10231357A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002090419A1 (de) * | 2001-05-03 | 2002-11-14 | Zimmer Aktiengesellschaft | Zusammensetzung und verfahren zur herstellung von polyester |
JP2004250485A (ja) * | 2003-02-18 | 2004-09-09 | Nippon Ester Co Ltd | 共重合ポリエステル及び成形品 |
JP2007521378A (ja) * | 2003-07-11 | 2007-08-02 | イーストマン ケミカル カンパニー | 最大歩留りのためのpetプロセスへのuv吸収剤の添加 |
-
1997
- 1997-02-17 JP JP4965797A patent/JPH10231357A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002090419A1 (de) * | 2001-05-03 | 2002-11-14 | Zimmer Aktiengesellschaft | Zusammensetzung und verfahren zur herstellung von polyester |
JP2004250485A (ja) * | 2003-02-18 | 2004-09-09 | Nippon Ester Co Ltd | 共重合ポリエステル及び成形品 |
JP2007521378A (ja) * | 2003-07-11 | 2007-08-02 | イーストマン ケミカル カンパニー | 最大歩留りのためのpetプロセスへのuv吸収剤の添加 |
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