JPH10231344A - 硬化性組成物およびそれからなる光学材料 - Google Patents

硬化性組成物およびそれからなる光学材料

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JPH10231344A
JPH10231344A JP9052319A JP5231997A JPH10231344A JP H10231344 A JPH10231344 A JP H10231344A JP 9052319 A JP9052319 A JP 9052319A JP 5231997 A JP5231997 A JP 5231997A JP H10231344 A JPH10231344 A JP H10231344A
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康次 島田
Katsumasa Yamamoto
勝政 山本
Michio Suzuki
道夫 鈴木
Takeo Ogiwara
武男 荻原
Yukio Ichikawa
幸男 市川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】屈折率が高く、比重が小さい樹脂を与え、しか
も取り扱い性に優れた硬化性組成物および前記硬化性組
成物からなる光学材料を提供すること。 【解決手段】テトラキス−(7−メルカプト−2,5−
ジチアヘプチル)メタン5〜90重量%および該テトラ
キス−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メ
タンと共重合可能な化合物10〜95重量%を含有して
なる硬化性組成物、ならびに前記硬化性組成物を共重合
させてなる光学材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硬化性組成物およ
びそれからなる光学材料に関する。さらに詳しくは、眼
鏡用プラスチックレンズ、フレネルレンズ、レンチキュ
アーレンズ、光ディスク基板、プラスチック光ファイバ
ー、LCD用プリズムシート、導光板、拡散シート等の
光学材料、塗料、接着剤、封止材等の原料として有用な
硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリスチレン系樹脂、ポリメチル
メタクリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ジエ
チレングリコールジアリルカーボネート樹脂等は、ガラ
ス等と対比して軽量で取扱いが容易であることから、光
学材料用樹脂として汎用されている。しかしながら、こ
れらの光学材料用樹脂には、屈折率が低く、複屈折率や
分散能が大きく、耐熱性や耐衝撃性に劣るという欠点が
ある。
【0003】これらの欠点、なかでも特に屈折率を向上
させる方法について近年検討されており、例えば、特公
平5−4404号公報には、芳香環にハロゲンを導入し
た樹脂が提案されている。しかしながら、前記樹脂は、
屈折率が1.60と高いが、比重が1.37と大きいた
め、例えばプラスチックレンズに用いた場合には、かか
るレンズに要求される軽量性が満足されないという欠点
がある。
【0004】一方、樹脂の高屈折率化を図ることを目的
として、樹脂原料のモノマー分子内に原子屈折率が高い
硫黄原子の含有率を高めることが試みられている(特開
平2−270859号公報、特開平5−208950号
公報)。ここで、硫黄原子の含有率を高めるためには、
一般にメルカプト化合物が用いられている。メルカプト
化合物としては、例えばメタンチオール、エタンチオー
ル、エタンジチオールなどの低分子量メルカプト化合物
が広く知られている。ところが、これらの低分子量メル
カプト化合物は、メルカプト基に基づく特有の臭気があ
り、また、樹脂を硬化させるために用いられる他の樹脂
原料との組成比の関係でその使用量が制限されるという
欠点がある。
【0005】このため、低分子量メルカプト化合物の代
わりに、トリメチロールプロパントリス−(チオグリコ
レート)やペンタエリスリトールテトラキス−(チオグ
リコレート)などのエポキシ樹脂硬化剤として用いられ
ている分子量が大きい多官能性のメルカプト化合物の使
用が考えられている。しかしながら、この種のメルカプ
ト化合物は、分子量が大きいので臭気が少なく、取扱い
性が良好であるという利点があるが、分子内の硫黄原子
の含有率が低いため、樹脂中の硫黄原子の含有率を理想
的に高め所望の屈折率を得ることが困難であるという欠
点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みてなされたものであり、本発明の第1の目的
は、屈折率が高く、比重が小さい樹脂を与え、しかも取
り扱い性に優れた硬化性組成物を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、前記硬化性組成物からな
る光学材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の要旨は、
〔1〕 式(I): C(CH2 SCH2 CH2 SCH2 CH2 SH)4 (I) で表わされるテトラキス−(7−メルカプト−2,5−
ジチアヘプチル)メタン5〜90重量%および該テトラ
キス−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メ
タンと共重合可能な化合物10〜95重量%を含有して
なる硬化性組成物、〔2〕 テトラキス−(7−メルカ
プト−2,5−ジチアヘプチル)メタンと共重合可能な
化合物が、ポリイソシアナート化合物、ポリイソチオシ
アナート化合物およびイソシアナート基を有するイソチ
オシアナート化合物からなる群より選ばれた少なくとも
1種である前記〔1〕記載の硬化性組成物、〔3〕 テ
トラキス−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチ
ル)メタンと共重合可能な化合物が重合性不飽和結合を
有するモノマーである前記〔1〕記載の硬化性組成物、
〔4〕 テトラキス−(7−メルカプト−2,5−ジチ
アヘプチル)メタンと共重合可能な化合物がエポキシ化
合物である前記〔1〕1記載の硬化性組成物、ならびに
〔5〕 前記硬化性組成物を共重合させてなる光学材料
に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の硬化性組成物は、前記し
たように、式(I): C(CH2 SCH2 CH2 SCH2 CH2 SH)4 (I) で表わされるテトラキス−(7−メルカプト−2,5−
ジチアヘプチル)メタン5〜90重量%および該テトラ
キス−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メ
タンと共重合可能な化合物10〜95重量%を含有した
ものである。
【0009】本発明に用いられるテトラキス−(7−メ
ルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタンは、特願平
8−103173号に記載された方法で製造することが
できる。即ち、例えば、ビス−(2−メルカプトエチ
ル)サルファイトとペンタエリスリチルテトラブロミド
などのペンタエリスリチルテトラハライドとを水酸化ナ
トリウムなどの塩基の存在下で必要に応じテトラ−n−
ブチルアンモニウムブロミドなどの4級アンモニウム塩
又は4級ホスホニウム塩を触媒として反応させることに
より得ることができる。ビス−(2−メルカプトエチ
ル)サルファイトとペンタエリスリチルテトラハライド
との反応は、両者を混合し、加熱下で上述の塩基を添加
しながら攪拌することにより行なわれる。このときの反
応温度は、通常、30〜120℃に設定することが好ま
しい。ビス−(2−メルカプトエチル)サルファイトと
ペンタエリスリチルテトラハライドとの使用割合は、ペ
ンタエリスリチルテトラハライドに対してビス−(2−
メルカプトエチル)サルファイトを4倍モル以上に設定
することが好ましく、4〜50倍モルに設定することが
より好ましい。また、塩基の使用量は、通常、ペンタエ
リスリチルテトラハライドの4〜6倍モルに設定するこ
とが好ましい。触媒の使用量は、通常、ペンタエリスリ
チルテトラハライドの0.01〜1.0倍モルに設定す
ることが好ましい。
【0010】前記テトラキス−(7−メルカプト−2,
5−ジチアヘプチル)メタンと共重合可能な化合物とし
ては、ポリイソシアナート化合物、ポリイソチオシアナ
ート化合物およびイソシアナート基を有するイソチオシ
アナート化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種
のモノマー(第1の態様)、重合性不飽和結合を有する
モノマー(第2の態様)、エポキシ化合物(第3の態
様)が挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いても
よく、任意のモノマーを適宜組み合わせて使用すること
もできる。いずれの態様においてもテトラキス−(7−
メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタンの配合量
は、5〜90重量%、好ましくは10〜80重量%、さ
らに好ましくは10〜75重量%である。5重量%未満
であると得られる光学材料の屈折率が低くなり、90重
量%を越えると硬化性組成物の重合反応が困難となる。
【0011】即ち、第1の態様の硬化性組成物は、テト
ラキス−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)
メタン(5〜90重量%)、並びにポリイソシアナート
化合物、ポリイソチオシアナート化合物及びイソシアナ
ート基を有するイソチオシアナート化合物からなる群よ
り選ばれた少なくとも1種のモノマー(10〜95重量
%)とをモノマー成分として含有することを特徴とす
る。第1の態様におけるポリイソシアナート化合物とし
ては特に限定されず、例えば、脂肪族ポリイソシアナー
ト類、脂環式ポリイソシアナート類、芳香族ポリイソシ
アナート類、含硫黄ポリイソシアナート類などを挙げる
ことができる。
【0012】脂肪族ポリイソシアナート類としては、エ
チレンジイソシアナート、トリメチレンジイソシアナー
ト、テトラメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレン
ジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、ビス
(イソシアナートエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナ
ートプロピル)ベンゼン、ビス(イソシアナートブチ
ル)ベンゼン、ビス(イソシアナートメチル)ナフタリ
ン等であり、好ましくはヘキサメチレンジイソシアナー
ト、キシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナー
トエチル)ベンゼンであり、さらに好ましくはキシリレ
ンジイソシアナートである。
【0013】脂環式ポリイソシアナート類としては、イ
ソホロンジイソシアナート、シクロヘキサンジイソシア
ナート、メチルシクロヘキサンジイソシアナート、ビス
(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘ
キシルメタンジイソシアナート、2,2’−ジメチルジ
シクロヘキシルメタンジイソシアナート、ジシクロヘキ
シルジメチルメタンジイソシアナート等であり、好まし
くはイソホロンジイソシアナート、シクロヘキサンジイ
ソシアナート、ビス(イソシアナートメチル)シクロヘ
キサンである。
【0014】芳香族ポリイソシアナート類としては、ト
リレンジイソシアナート、フェニレンジイソシアナー
ト、ジメチルフェニレンジイソシアナート、エチルフェ
ニレンジイソシアナート、ジエチルフェニレンジイソシ
アナート、ベンゼントリイソシアナート、トリメチルベ
ンゼントリイソシアナート、ナフタリンジイソシアナー
ト、ビフェニルジイソシアナート、4,4’−ジフェニ
ルメタンジイソシアナート、トルイジンジイソシアナー
ト等であり、好ましくはトリレンジイソシアナートであ
る。
【0015】含硫黄ポリイソシアナート類としては、チ
オジエチルジイソシアナート、ジチオジエチルジイソシ
アナート、チオジプロピルジイソシアナート、ジチオジ
プロピルジイソシアナート、ジフェニルスルフィド−
4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルスルフィド−
2,4’−ジイソシアナート、ビス(4−イソシアナー
トメチルベンゼン)スルフィド、1,4−ジチアン−
2,5−ジイソシアナート、ジフェニルジスルフィド−
4,4’−ジイソシアナート等であり、好ましくはジフ
ェニルスルフィド−4,4’−ジイソシアナートであ
る。
【0016】第1の態様におけるポリイソチオシアナー
ト化合物としては特に限定されず、例えば、脂肪族また
は脂環式ポリイソチオシアナート類、芳香族ポリイソチ
オシアナート類、含硫黄ポリイソチオシアナート類など
を挙げることができる。
【0017】脂肪族または脂環式ポリイソチオシアナー
ト類としては、1,2−ジイソチオシアナートエタン、
1,3−ジイソチオシアナートプロパン、1,4−ジイ
ソチオシアナートブタン、p−フェニレンジイソプロピ
リデンジイソチオシアナート、シクロヘキサンジイソチ
オシアナート等である。
【0018】芳香族ポリイソチオシアナート類として
は、1,2−ジイソチオシアナートベンゼン、1,3−
ジイソチオシアナートベンゼン、1,4−ジイソチオシ
アナートベンゼン、2,4−ジイソチオシアナートトル
エン、2,5−ジイソチオシアナート−m−キシレン、
4,4’−ジイソチオシアナート1,1’−ビフェニ
ル、1,1’−メチレンビス(4−イソチオシアナート
ベンゼン)等であり、好ましくは1,2−ジイソチオシ
アナートベンゼン、1,3−ジイソチオシアナートベン
ゼン、1,4−ジイソチオシアナートベンゼンである。
【0019】含硫黄ポリイソチオシアナート類として
は、チオビス(2−イソチオシアナートエタン)、ジチ
オビス(2−イソチオシアナートエタン)、チオビス
(3−イソチオシアナートプロパン)、チオビス(4−
イソチオシアナートベンゼン)、スルホニルビス(4−
イソチオシアナートベンゼン)等である。
【0020】第1の態様におけるイソシアナート基を有
するイソチオシアナート化合物としては特に限定され
ず、例えば、脂肪族または脂環式化合物、芳香族化合
物、含硫黄化合物などを挙げることができる。
【0021】脂肪族または脂環式化合物としては、1−
イソシアナート−3−イソチオシアナートプロパン、1
−イソシアナート−6−イソチオシアナートヘキサン、
1−イソシアナート−4−イソチオシアナートシクロヘ
キサン等である。
【0022】芳香族化合物としては、1−イソシアナー
ト−4−イソチオシアナートベンゼン、4−メチル−3
−イソシアナート−1−イソチオシアナートベンゼン等
である。
【0023】含硫黄化合物としては、4−イソシアナー
ト−4’−イソチオシアナートジフェニルスルフィド等
である。
【0024】第2の態様の硬化性組成物は、式(I)で
表されるメルカプト化合物(5〜90重量%)、重合性
不飽和結合を有するモノマー(10〜95重量%)とを
モノマー成分として含有することを特徴とする。
【0025】上記重合性不飽和結合を有するモノマーと
しては特に限定されず、例えば、芳香族ビニル化合物、
脂環式ビニル化合物、(メタ)アクリル酸、単官能(メ
タ)アクリル酸誘導体、多官能(メタ)アクリル酸誘導
体などを挙げることができる。ここで、「(メタ)アク
リ」とは、「アクリ」および「メタクリ」の双方を意味
する(以下同様)。
【0026】芳香族ビニル化合物としては、スチレン、
α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレ
ン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシ
スチレン、ブチルチオスチレン、ジビニルベンゼン等で
あり、好ましくはスチレン、ジビニルベンゼンである。
【0027】脂環式ビニル化合物としては、シクロヘキ
セン、4−ビニルシクロヘキセン、1,5−シクロオク
タジエン、5−ビニルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−
2−エン等である。
【0028】単官能(メタ)アクリル酸誘導体として
は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メ
タ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オ
クタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アク
リレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、
ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)
アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、フ
ェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリ
レート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、クロロフ
ェニル(メタ)アクリレート、ブロモフェニル(メタ)
アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレー
ト、メトキシフェニル(メタ)アクリレート、シアノフ
ェニル(メタ)アクリレート、クロロメチル(メタ)ア
クリレート、ブロモエチル(メタ)アクリレート、2−
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸
ポリエチレングリコールエステル、N,N−ジメチル
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)ア
クリルアミド等であり、好ましくはメチル(メタ)アク
リレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェ
ニル(メタ)アクリレートである。
【0029】多官能(メタ)アクリル酸誘導体として
は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メ
タ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)
アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)ア
クリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アク
リレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレ
ート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリスリトールトリ(またはテトラ)(メ
タ)アクリレート等のポリオールポリ(メタ)アクリレ
ート、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフ
ィド等のポリチオールポリ(メタ)アクリレートであ
り、好ましくはエチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペ
ンタエリスリトールトリ(またはテトラ)(メタ)アク
リレート、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)ス
ルフィドである。上記重合性不飽和結合を有するモノマ
ーは、単独で用いても良いし、2種以上の任意のモノマ
ーを組み合わせて用いることもできる。
【0030】第3の態様の硬化性組成物は、式(I)で
表わされるメルカプト化合物(5〜90重量%)及びエ
ポキシ化合物(10〜95重量%)とをモノマーとして
含有することを特徴とする。上記エポキシ化合物として
は、エポキシ基を有するモノマー、エポキシ基を有する
オリゴマーなどが挙げられる。
【0031】上記エポキシ基を有するモノマー及び上記
エポキシ基を有するオリゴマーとしては特に限定され
ず、例えば、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシ
ジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、2−エチ
ルヘキシルグリシジルエーテル、sec−ブチルフェニ
ルグリシジルエーテル、tert−ブチルフェニルグリ
シジルエーテル、2−メチルオクチルグリシジルエーテ
ル等の単官能グリシジルエーテル類;
【0032】1,6−ヘキサンジオールグリシジルエー
テル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテ
ル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グ
リセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグ
リシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエ
ーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテ
ル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等
の多官能グリシジルエーテル類;
【0033】ビス〔4−(2,3−エポキシプロピルチ
オ)フェニル〕スルフィド、1,4−ジ(2,3−エポ
キシプロピルチオ)ベンゼン等の多官能グリシジルチオ
エーテル類;
【0034】グリシジルアクリレート、グリシジルメタ
クリレート、ジグリシジルフタレート、ジグリシジルヘ
キサヒドロフタレート、ジグリシジルテトラヒドロフタ
レート、ジメチルジグリシジルヘキサヒドロフタレート
等のグリシジルエステル類;ビスフェノールAグリシジ
ルエーテル、ビスフェノールFグリシジルエーテル、ブ
ロモ化ビスフェノールAグリシジルエーテル、ビフェノ
ールグリシジルエーテル、テトラメチルビフェノールグ
リシジルエーテル、レゾルシングリシジルエーテル、ハ
イドロキノングリシジルエーテル、ジヒドロキシナフタ
レングリシジルエーテル、ビスフェノールノボラック樹
脂グリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂グリ
シジルエーテル、クレゾールノボラック樹脂グリシジル
エーテル、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂グリシ
ジルエーテル、テルペンフェノール樹脂グリシジルエー
テル、ナフトールノボラック樹脂グリシジルエーテル等
のグリシジルエーテル類;
【0035】3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−
3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、
3,4−エポキシシクロヘキシルエチル−3,4−エポ
キシシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘ
キセンジオキシド、アリルシクロヘキセンジオキシド、
3,4−エポキシ−4−メチルシクロヘキシル−2−プ
ロピレンオキシド、2−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキ
サン−m−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロ
ヘキシル)アジペート、ビス(3,4−エポキシシクロ
ヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ
シクロヘキシル)エーテル、ビス(3,4−エポキシシ
クロヘキシルメチル)エーテル、ビス(3,4−エポキ
シシクロヘキシル)ジエチルシロキサン等の脂環式エポ
キシ樹脂化合物等を挙げることができる。
【0036】好ましくは、エチレングリコールジグリシ
ジルエーテル、ビス〔4−(2,3−エポキシプロピル
チオ)フェニル〕スルフィド、グリシジルアクリレー
ト、グリシジルメタクリレート、ビスフェノールAグリ
シジルエーテル、ブロモ化ビスフェノールAグリシジル
エーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−
3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートであ
る。上記エポキシ化合物は、単独で用いても良いし、2
種以上の任意のエポキシ化合物を組み合わせて用いるこ
ともできる。
【0037】本発明の硬化性組成物は、通常の方法によ
り熱、あるいは紫外線等の光により、また重合開始剤等
を用いることにより共重合させることができる。第1の
態様の場合は、例えば60〜150℃に加熱することに
より共重合させることができる。第2の態様の場合は、
重合開始剤として、例えば2,2’−アゾビス(2,4
−ジメチルバレロニトリル)等のラジカル重合開始剤を
用いて共重合させることができる。第3の態様の場合
は、例えば、カチオン重合開始剤を用いて共重合させる
ことができる。
【0038】上記カチオン重合開始剤としては特に限定
されず、例えば、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯
体、三フッ化ホウ素・アミン錯体、塩化アルミニウム、
四塩化チタン、四塩化スズ、塩化鉄(III) 、塩化亜鉛等
のルイス酸類;アンモニウム塩、スルホニウム塩、オキ
ソニウム塩、ホスホニウム塩等を挙げることができる。
また、本発明ではいずれの態様においても、光安定剤、
紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色防止剤、重合禁止剤、
離型剤、消泡剤、ブルーイング剤、蛍光染料などの添加
剤を必要に応じて適宜加えてもよい。
【0039】本発明の光学材料は、以上の硬化性組成物
を共重合させることにより得られるものである。共重合
反応は、前記のような硬化触媒や重合開始剤を適宜使用
して、通常公知の方法に準じて行えばよい。
【0040】即ち、共重合に際しての重合温度および重
合時間については、硬化性組成物の組成、用途、使用す
る重合開始剤の種類およびその使用量により異なるため
一概には規定できないが、例えば重合温度については0
〜200℃、好ましくは20〜150℃の範囲であり、
なかでも第1の態様では前記のように60〜150℃が
好ましい。重合時間については0.2〜100時間、好
ましくは1〜72時間である。なお、本発明の光学材料
は、このような方法で得られる光学材料と同一の構造、
即ち本発明におけるモノマー成分を繰り返し単位として
有するものであれば、上記以外の方法で得られるもので
あってもよい。
【0041】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定
されるものではない。
【0042】製造例1 攪拌機、温度計および冷却器を備えた1000mL容の
四つ口フラスコを用意し、これにビス−(2−メルカプ
トエチル)サルファイトを600g(3.9モル)、ペ
ンタエリスリチルテトラブロミドを50g(0.129
モル)および触媒としてのテトラ−n−ブチルアンモニ
ウムブロミドを4.1g(0.0127モル)加えた。
次に、これを80〜100℃に加熱し、窒素雰囲気下で
10%水酸化ナトリウム水溶液を219g(0.53モ
ル)滴下した。その後、80〜100℃に維持しながら
3時間攪拌した。つぎに、反応液を50℃まで冷却し、
分液して2回水洗した後に有機層を減圧下で濃縮した。
この濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用
いて分離したところ、式(I)で示されるテトラキス−
(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタン7
2.6g(0.107モル)が得られた。
【0043】実施例1 テトラキス−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチ
ル)メタン(HIS4)11.6g(64重量%)とm
−キシリレンジイソシアナート6.4g(36重量%)
との混合物を均一に混合して硬化性組成物を得た。この
硬化性組成物を充分に脱気した後、直径5cm、厚さ
0.3cmのガラスモールドに注入し、60℃で5時間
加熱した後、15時間かけて100℃まで昇温し、10
0℃で3時間、ついで120℃で3時間保った後、脱型
した。得られた光学材料は、均一で無色透明であった。
以下の方法により、得られた光学材料の各物性を評価し
た。その結果を表1に示す。
【0044】(1)屈折率およびアッベ数 アッベ屈折計((株)アタゴ製、4T型)を用いて、2
0℃における屈折率およびアッベ数を測定した。 (2)比重 JIS−K6911に従って測定した。
【0045】実施例2 表1に示した組成を有する硬化性組成物100重量部
に、ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業
(株)製、商品名:V−65)0.8重量部を添加し、
均一に溶解させた。つぎに、この硬化性組成物を充分に
脱気し、直径5cm、厚さ0.3cmのガラスモールド
に注入し、36℃で7時間加熱した後、7時間かけて8
0℃まで昇温し、80℃で1時間保った後、脱型した。
得られた光学材料は、均一で無色透明であった。実施例
1と同様にして、各物性を評価した。その結果を表1に
示す。
【0046】実施例3 表1に示した組成を有する硬化性組成物を用いたこと以
外は、実施例2と同様にして光学材料を調製し、各物性
を評価した。その結果を表1に示す。
【0047】実施例4 表1に示した硬化性組成物100重量部に、硬化促進剤
として2−エチル−4−メチルイミダゾール(和光純薬
工業(株)製)0.5重量部を添加し、均一に溶解させ
た。つぎに、この硬化性組成物を充分に脱気した後、直
径5cm、厚さ0.3cmのガラスモールドに注入し、
50℃で2時間加熱した後、3時間かけて80℃まで昇
温し、80℃で5時間保った後、3時間かけて100℃
まで昇温し、100℃で10時間保った後、脱型した。
得られた光学材料は、均一で無色透明であった。実施例
1と同様にして、各物性を評価した。その結果を表1に
示す。
【0048】実施例5 表1に示した硬化性組成物100重量部に、ラジカル重
合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキ
サノエート(日本油脂(株)製、商品名:パーブチル
O)1.0重量部を添加し、均一に溶解させた。つぎ
に、この硬化性組成物を充分に脱気した後、直径5c
m、厚さ0.3cmのガラスモールドに注入し、55℃
で7時間加熱した後、4時間かけて90℃まで昇温し、
90℃で2時間保った後、1時間かけて130℃まで昇
温し、130℃で1時間保った後、脱型した。得られた
光学材料は均一で無色透明であった。実施例1と同様に
して、各物性を評価した。その結果を表1に示す。
【0049】表1に示した結果から明らかなように、実
施例1〜5で得られた光学材料は、いずれも、従来の優
れた光学材料(屈折率1.60、比重1.37)よりも
優れた性質を有する。即ち、実施例1で得られた光学材
料は屈折率1.66、比重1.35であり、実施例2で
得られた光学材料は屈折率1.64、比重1.19であ
り、実施例3で得られた光学材料は屈折率1.66、比
重1.24であり、実施例4で得られた光学材料は屈折
率1.70、比重1.35であり、実施例5で得られた
光学材料は屈折率1.69、比重1.324である。
【0050】表1中、HIS4は、テトラキス−(7−
メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタンを、mX
DIは、m−キシリレンジイソシアナートを、DVB
は、純度80%の高純度ジビニルベンゼンを、MPSM
Aは、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフ
ィドを、Stは、スチレンを、MPGは、ビス〔4−
(2,3−エポキシプロピルチオ)フェニル〕スルフィ
ドを、TDIは、トリレンジイソシアナートを、DMD
Sは、ビス−(2−メルカプトエチル)サルファイトを
それぞれ表す。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】本発明は、硫黄原子の含有率が高く従っ
て屈折率が高く、しかも比重の小さな樹脂を製造するた
めの、光学材料として極めて有用な硬化性組成物を提供
することができる。さらに該硬化性組成物を硬化反応に
付すことにより得られる光学材料を提供することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G02B 3/00 G02B 3/00 Z 3/08 3/08 6/00 391 6/00 391 G02C 7/02 G02C 7/02 (72)発明者 荻原 武男 福島県いわき市錦町落合16 呉羽化学工業 株式会社錦工場内 (72)発明者 市川 幸男 福島県いわき市錦町落合16 呉羽化学工業 株式会社錦工場内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I): C(CH2 SCH2 CH2 SCH2 CH2 SH)4 (I) で表わされるテトラキス−(7−メルカプト−2,5−
    ジチアヘプチル)メタン5〜90重量%および該テトラ
    キス−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メ
    タンと共重合可能な化合物10〜95重量%を含有して
    なる硬化性組成物。
  2. 【請求項2】 テトラキス−(7−メルカプト−2,5
    −ジチアヘプチル)メタンと共重合可能な化合物が、ポ
    リイソシアナート化合物、ポリイソチオシアナート化合
    物およびイソシアナート基を有するイソチオシアナート
    化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種である請
    求項1記載の硬化性組成物。
  3. 【請求項3】 テトラキス−(7−メルカプト−2,5
    −ジチアヘプチル)メタンと共重合可能な化合物が重合
    性不飽和結合を有するモノマーである請求項1記載の硬
    化性組成物。
  4. 【請求項4】 テトラキス−(7−メルカプト−2,5
    −ジチアヘプチル)メタンと共重合可能な化合物がエポ
    キシ化合物である請求項1記載の硬化性組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4いずれか記載の硬化性組成
    物を共重合させてなる光学材料。
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