JPH10230370A - スポット溶接機の多点電極ホルダ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、２つの電極を備えたスポット溶接
機において、電極の磨耗等によってヤスリ仕上げをした
時、仮に左右の電極の高さが１ｍｍ程度あったとして調
心作用によって多点溶接部を均等に加圧し流れる電流の
正常化を図る。 【構成】 本発明のスポット溶接機の多点電極ホルダ
は、対向した上部電極と下部電極のいずれかを上下動さ
せてその電極間に介在させた溶接物をスポット溶接する
溶接機の電極ホルダにおいて、上部電極ホルダ１を、下
方の内面部に円弧状の溝２を設けると共に該溝２部にピ
ン孔３を設けてなる外側ホルダ４と、上方部分に前記溝
２の形状と合致させた円弧状の摺動部５を設けると共に
下方に２つの電極嵌着穴６を設けた内側ホルダ７と、前
記外側ホルダの溝２に内側ホルダの円弧状の摺動部５を
回動可能に軸支するピン８とにより構成したことを特徴
とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、多点を同時にスポ
ット溶接できるスポット溶接機の多点電極ホルダに関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】図４は、従来の多点スポット溶接機（実
開昭６０−７４８６６号公報）を示す縦断面図である。
この多点スポット溶接機は、可動上側電極１１を多点電
極構造とすると共に下側電極１２も多点電極構造にして
いる。なお、１３は鋼板等の溶接接合部である。

【０００３】このような従来の多点スポット溶接機にお
いては、多点を同時にスポット溶接するものであるか
ら、作業時間を大幅に短縮することができる。

【０００４】図５は、従来の多点のプロジェクション溶
接装置（実開昭５９−６０７７号公報）を示す縦断面図
である。このプロジェクション溶接装置は溶接装置本体
２１に上下移動できるように構成された上部電極取付部
２２と、固定された下部電極取付部２３が対向してい
る。上部電極取付部２２の下面には上部電極２４が取着
されている。その取着構造は両者の間に小隙間ａを存
し、長手方向の中央部が線接触するようにする。そして
中央部に丸ピン２５を挿入してこのピン２５を中心とし
て上部電極２４が小隙間ａの範囲で開動するようになっ
ている。更に上部電極取付部２２の両端部にはコイルば
ね２６が埋設されており上部電極２４の両端側に適当な
弾力を作用させている。また、溶接部材２７は、平板の
下面に３箇所の突起２７ａが形成されていて、該溶接部
材２７は、電極２４に挟持されるようになっている。一
方、下部電極２８の上面には前述した溶接部材の突起２
７ａに対向する位置に導電材からなる電極２９ａ、２９
ｂ、２９ｃが固着されている。そして下部電極２８の上
面に被溶接３０が載せられる。

【０００５】このような従来のプロジェクション溶接装
置では、上部電極２４が長手方向の中央部で調心作用を
するので、溶接の際溶接部材２７の突起部２７ａは被溶
接部材３０の面に対しほぼ均一な圧力で電流が流れ、複
数の溶接点は均一で安定した溶接を行なうことができ
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、スポッ
ト溶接においては電極の磨耗が宿命であり、頻繁に電極
の先端部を平滑に仕上げ（上下の電極の隙間は０．２ｍ
ｍ以内にする）なければならないが、前者の図４に示し
たスポット溶接機では、電極に磨耗及びスパッタ等の付
着があった時に作業者がヤスリ等で手仕上げをし、複数
（２）打点の長手方向の調心を行うことは作業効率が極
めて悪く、このことを考慮すると不可能に近いものであ
った。

【０００７】また、後者の図５に示した溶接装置では、
被溶接部材３０が平板であり、且つ溶接部材２７は下面
に突起を有するプロジェクション溶接に好適なものであ
るが、２つの電極を用いるスポット溶接には適用できな
いというものであった。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、対向した上部
電極と下部電極のいずれかを上下動させてその電極間に
介在させた溶接物をスポット溶接する溶接機の電極ホル
ダにおいて、上部電極ホルダ１を、下方の内面部に円弧
状の溝２を設けると共に該溝２部にピン孔３を設けてな
る外側ホルダ４と、上方部分に前記溝２の形状と合致さ
せた円弧状の摺動部５を設けると共に下方に２つの電極
嵌着穴６を設けた内側ホルダ７と、前記外側ホルダの溝
２に内側ホルダの円弧状の摺動部５を回動可能に軸支す
るピン８とにより構成したことを特徴とするスポット溶
接機の多点電極ホルダである。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図１〜
図３に基づいて詳細に説明する。図１は、本発明にかか
る多点電極ホルダの斜視図であり、図２は、外側ホルダ
４の図であり、（ａ）は正面図、（ｂ）は右側面図であ
る。図３は、内側ホルダ７の図であり、（ａ）は正面
図、（ｂ）は右側面図である。

【００１０】上部電極ホルダ１は、外側ホルダ４と内側
ホルダ７とピン８とにより構成されている。なお、図中
１０は下部電極ホルダである。前記外側ホルダ４は、図
２の（ａ）、（ｂ）に示すように、その下方内面部に円
弧状の溝２が設けられると共に、該溝２部に内側ホルダ
７を開動可能に嵌着させるためのピン孔３が設けられて
いる。前記内側ホルダ７は、図３の（ａ）、（ｂ）に示
すように、その上方部分に円弧状の摺動部５が形成され
ていて、ピン８により前記溝２内を摺動回転ができるよ
うになっている。また、内側ホルダの下面には、電極を
嵌着するための穴６が設けられている。なお、３’はピ
ン穴である。

【００１１】上述の如く構成された本発明の多点電極ホ
ルダでは、例えば、溶接チップ（電極の先端部）が磨耗
とか溶接時のスパッタの付着等によりチップをヤスリ等
により研磨した時、仮に左右の電極の高さが１ｍｍ程度
あったとしても、片側の上下電極が接触した後、ピン８
を支点として反対側の電極にモーメントが働いて溶接部
材ｘには加圧力が均等に作用し、多点溶接部に流れる電
流を正常化することができる。

【００１９】

【発明の効果】以上の説明から理解できるように、本発
明のスポット溶接機の多点電極ホルダは、２つの電極を
備えたスポット溶接機において、電極の磨耗等によって
ヤスリ仕上げをしたとき、仮に左右の電極の高さが１ｍ
ｍ程度あったとして調心作用によって多点溶接部に流れ
る電流を均等化させることができるので溶接品質を高め
ることができる。また、電極の磨耗等によるヤスリ仕上
げは、左右の電極の高さ調整を厳密に行なわなくてもよ
いため、この作業が大幅に軽減できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明にかかる多点電極ホルダの斜視図。

【図２】 本発明の外側ホルダの図であり、（ａ）は正
面図、（ｂ）は右側面図。

【図３】 本発明の内側ホルダの図であり、（ａ）は正
面図、（ｂ）は右側面図。

【図４】 従来の多点スポット溶接機の縦断面図。

【図５】 従来の多点のプロジェクション溶接装置の縦
断面図。 〔図面の簡単な説明〕

【符号の説明】

１ 上部電極ホルダ、 ２ 円弧状の溝、 ３ ピ
ン孔、 ４ 外側ホルダ、 ５ 円弧状の摺動部、 ６ 電
極嵌着穴、 ７ 内側ホルダ、 ８ ピン、 ９ 電
極、 １０ 下部電極ホルダ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 対向した上部電極と下部電極のいずれか
   を上下動させてその電極間に介在させた溶接物をスポッ
   ト溶接する溶接機の電極ホルダにおいて、 上部電極ホルダ１を、下方の内面部に円弧状の溝２を設
   けると共に該溝２部にピン孔３を設けてなる外側ホルダ
   ４と、上方部分に前記溝２の形状と合致させた円弧状の
   摺動部５を設けると共に下方に２つの電極嵌着穴６を設
   けた内側ホルダ７と、前記外側ホルダの溝２に内側ホル
   ダの円弧状の摺動部５を回動可能に軸支するピン８とに
   より構成したことを特徴とするスポット溶接機の多点電
   極ホルダ。