JPH10229872A - 炭そ病防除効果を示す新規微生物 - Google Patents

炭そ病防除効果を示す新規微生物

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JPH10229872A
JPH10229872A JP9037718A JP3771897A JPH10229872A JP H10229872 A JPH10229872 A JP H10229872A JP 9037718 A JP9037718 A JP 9037718A JP 3771897 A JP3771897 A JP 3771897A JP H10229872 A JPH10229872 A JP H10229872A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 イチゴ炭そ病菌に対して拮抗作用を有し、そ
の拮抗作用を持続性をもって発揮することが可能な新規
微生物を提供する。 【解決手段】 イチゴ炭そ病菌に対して拮抗作用を有す
る新規な糸状菌、具体的にはタラロマイセス属に属する
微生物、ケトミウム属に属する微生物等を得た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規微生物に関
し、詳しくは、イチゴ炭そ病菌に対して拮抗作用を有
し、その拮抗作用を持続性をもって発揮することが可能
な新規糸状菌に関する。
【0002】
【従来の技術】炭そ病の病原菌は約600種あるといわ
れ、イチゴやリンゴ、モモ、スイカなどの炭そ病が知ら
れている。これら炭そ病菌のうちでも特に、グロメルラ
・シングラータを代表的な病原菌とするイチゴ炭そ病
は、イチゴの生産性を大きく左右する重要病害である。
実際、昭和62年には、栃木県を中心にイチゴ炭そ病が
大発生し、著しい苗不足や枯死株が発生するなど大きな
問題となり、上記イチゴ炭そ病の防除が重要な課題とな
っている。イチゴ炭そ病は、潜在感染株と無菌株との判
別が困難であるため、潜在感染株が原苗や親株として使
用される可能性がある。また、一度発生すると潜在感染
株や圃場周辺に投棄された罹病残渣から胞子が降雨や潅
水で溶けだし、発散して伝染源となり、防除が極めて困
難である。現場ではこのイチゴ炭そ病の発生により当作
の栽培を放棄したり、イチゴ栽培そのものを打ち切る農
家さえでている。
【0003】従来、この様なイチゴ炭そ病の防除は、雨
除け栽培や潜在感染株の診断、罹病残渣の適切処理など
病害の発生しにくい環境や伝染しない条件をつくる耕種
的防除と、農薬散布による薬剤防除とを組み合わせて行
われていた。しかし栽培者の高齢化に伴い、手間のかか
る耕種的防除は敬遠され、なかなか実施されないのが現
状である。
【0004】また、薬剤防除には、従来、ビテルタノー
ル、プロピネブ、ジチアノンなどの化学薬剤による水和
剤が用いられているが、これらの農薬は治療用と予防用
に分けられており、複数剤を交互使用しなければならな
い他、防除適期の判断が難しく、また、残効期間が短い
ため、多数回散布にならざるを得ないなどの問題点があ
った。さらに、これらの農薬に対する耐性菌の出現も報
告されている。
【0005】一方、植物栽培において、植物の土壌病原
菌に対して拮抗作用を有する微生物を利用した土壌病害
の防除方法や前記微生物を利用した微生物資材等に関し
て、近年、多くの研究や報告がなされており、実際に、
この様な有用微生物を利用した植物栽培も様々な栽培作
物について行われている。しかし、イチゴ炭そ病に関し
ては、その病原菌に対して拮抗作用を有し、かつ長期間
に亘ってその作用を持続する微生物が得られていないの
が実状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記観点から
なされたものであり、イチゴ炭そ病菌に対して拮抗作用
を有し、その拮抗作用を持続性をもって発揮することが
可能な新規微生物を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、イチゴ炭そ
病菌に対して拮抗作用を有し、その拮抗作用を持続性を
もって発揮することが可能な微生物を求めて鋭意研究を
重ねた結果、タラロマイセス属や、ケトミウム属等に属
する糸状菌より前記性質を有する新規糸状菌を取得する
ことに成功し本発明を完成させた。
【0008】すなわち本発明は、イチゴ炭そ病菌に対し
て拮抗作用を有する糸状菌である。上記糸状菌として具
体的には、前記性質を有するタラロマイセス属に属する
糸状菌およびケトミウム属に属する糸状菌が挙げられ
る。
【0009】上記タラロマイセス属に属する糸状菌とし
て具体的には、前記性質を有するタラロマイセス・フラ
バスが挙げられ、より具体的には、タラロマイセス・フ
ラバス Y−9401株が挙げられる。
【0010】上記ケトミウム属に属する糸状菌として具
体的には、前記性質を有するケトミウム・アウレウムが
挙げられ、より具体的には、ケトミウム・アウレウム
SAY−07株およびケトミウム・アウレウム SAY
−09株が挙げられる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を説明
する。 (1)本発明の新規糸状菌 本発明の新規糸状菌は、イチゴ炭そ病菌に対して拮抗作
用を有する。
【0012】この様な本発明の糸状菌は、イチゴ炭そ病
菌に対して拮抗作用を有する糸状菌であれば特に制限さ
れないが、具体的には、前記性質を有するタラロマイセ
ス属に属する糸状菌およびケトミウム属に属する糸状菌
が挙げられる。
【0013】また、上記タラロマイセス属に属する糸状
菌として具体的には、前記性質を有するタラロマイセス
・フラバスが挙げられ、より具体的には、タラロマイセ
ス・フラバス Y−9401株が挙げられる。さらに、
上記ケトミウム属に属する糸状菌として具体的には、前
記性質を有するケトミウム・アウレウムが挙げられ、よ
り具体的には、ケトミウム・アウレウム SAY−07
株およびケトミウム・アウレウム SAY−09株が挙
げられる。
【0014】これらの菌株は、後記実施例に示すよう
に、本発明者らがイチゴ栽培圃場で栽培中のイチゴ植物
体から分離した新規菌株であり、その菌学的性質から1
つはタラロマイセス・フラバスと同定され、残りの2つ
はケトミウム・アウレウムと同定された。
【0015】また、上記3菌株は、イチゴ炭そ病菌に対
して拮抗作用を有するが、公知の糸状菌では、イチゴ炭
そ病菌に対して拮抗作用を有するという報告は今までに
はなく、この点で公知の糸状菌と区別される新菌株であ
り、それぞれ、タラロマイセス・フラバス Y−940
1株、ケトミウム・アウレウム SAY−07株、ケト
ミウム・アウレウム SAY−09株と命名された。
【0016】この様に本発明のイチゴ炭そ病菌に対して
拮抗作用を有する糸状菌はそれ自体新規であり、上記3
菌株に限らず上記性質を有する本発明の糸状菌は、本発
明に含まれる。
【0017】イチゴ炭そ病菌に対して拮抗作用を有する
糸状菌は、次のようにして取得することができる。すな
わち、イチゴ栽培圃場の栽培イチゴから採取された葉
を、殺菌済みのシャーレに置き20〜35℃で保温し、
その間に葉面上に観察される菌体よりイチゴ炭そ病菌以
外の菌体を分離し、純化する。得られた菌株とイチゴ炭
そ病菌を対峙培養させ、イチゴ炭そ病菌の生育を抑制す
る株を選別する。
【0018】また、この様な方法に従い分離された上記
タラロマイセス・フラバス Y−9401株、ケトミウ
ム・アウレウム SAY−07株、ケトミウム・アウレ
ウムSAY−09株は、平成8年9月2日に、通商産業
省工業技術院生命工学工業技術研究所特許微生物寄託セ
ンター(郵便番号305 茨城県つくば市東一丁目1番
3号)に、上記の順に微生物受託番号FERM P−1
5816、FERM P−15817、FERM P−1
5818として寄託されている。
【0019】上記本発明の新規糸状菌は、例えば、イチ
ゴ炭そ病防除用の微生物資材に用いることが可能であ
る。以下、本発明の糸状菌を用いたイチゴ炭そ病防除用
の微生物資材について説明する。
【0020】(2)本発明の糸状菌を用いたイチゴ炭そ
病防除用の微生物資材 本発明の糸状菌を微生物資材に用いる場合には、通常の
微生物資材に微生物を用いる場合と同様に、菌体をその
菌体が増殖可能な培地で培養した培養物を用いることが
好ましく、更に、培養により胞子が十分に形成された上
記糸状菌を含有する培養物を用いることがより好まし
い。
【0021】本発明の糸状菌の培養は、通常の糸状菌の
培養方法と同様にして行うことが可能であり、例えば、
通常の液体培養、固体培養により行うことができるが、
胞子を収率よく得ようとするならば、固体培養により調
製することが好ましい。例えば、タラロマイセス・フラ
バス Y−9401株を用いる場合には、液体培養で
は、ポテトデキストロース培地、サブロー培地等の培地
を用いて、20〜37℃で3〜14日間、培養すること
で上記糸状菌の菌体培養物を得ることができる。また、
同様に固体培養を行う場合には、米、麦、トウモロコシ
等の穀類、フスマ等の植物由来の固体成分あるいは、糖
や窒素源等の栄養源を粘土鉱物等の多孔質担体に含浸さ
せた固体培地等を用いればよい。また、上記菌株以外の
本発明の糸状菌を培養する場合にも、上記菌株に準じて
培養を行うことが可能である。
【0022】この様にして得られる本発明の糸状菌の培
養物は、そのまま、あるいは、必要に応じて、培養物を
粉砕又は細断してから、または培養物から遠心分離等に
よって菌体を分離してから、あるいは培養物や菌体を乾
燥してから微生物資材に用いることが可能である。ま
た、微生物資材の保存安定性を考慮して、上記糸状菌の
胞子を用いて微生物資材を調製することが行われるが、
培養後、培養物からの胞子の回収は、やはり、通常の方
法に従えばよく、例えば、乾燥、粉砕、ふるい等の組合
せにより行うことができる。
【0023】微生物資材の剤形は、特に制限されず、通
常の微生物資材と同様の剤形、例えば、水和剤、培土混
合剤等とすることができる。本発明の糸状菌を含有する
微生物資材の製造は、通常の微生物資材と同様に行うこ
とが可能であり、例えば、担体と共に微生物を微生物資
材に配合する等の方法が挙げられる。微生物資材に用い
る担体としては、通常、微生物資材に用いられる有機質
あるいは無機質の素材を主材として用いることが可能で
あり、具体的には、赤玉土、焼成赤玉土、鹿沼土、黒ボ
ク土、バーミキュライト、パーライト、ゼオライト、石
炭灰、石灰などの無機質素材、ピートモス、パルプ、
藁、バカス、油かす、魚かす、骨粉、血粉、カニがら、
木炭、貝化石などの有機質素材を用いることができる。
これら無機質、有機質素材は1種を単独で又は2種以上
の混合物として微生物資材の担体に用いることが可能で
ある。
【0024】また、上記微生物資材には糸状菌、担体以
外に上記糸状菌に必要な栄養素、あるいは、界面活性剤
等の分散補助剤等を配合することが可能であり、これら
任意成分は、通常の微生物資材の場合と同様に各種剤形
に合わせて適当量が適宜配合される。
【0025】上記の様にして得られる本発明の糸状菌を
含有する微生物資材の施用方法は、通常の微生物資材を
用いるのと同様の方法で行えばよく、例えば、水和剤の
場合は適当な濃度の溶液として葉面散布、潅注、苗の根
部浸漬、土壌、培土または養液への混合等により行うこ
とができる。また、培土混合剤の場合には、栽培用土全
体に適当量の微生物資材を配合する、あるいは作物の根
圏をカバーする範囲の土壌(栽培用土)に、適当量の微
生物資材を均一に混合する等の一般的な方法が挙げられ
る。
【0026】上記微生物資材の施用量は、施用方法、施
用時期等にもよるが、例えば、水和剤を葉面散布する場
合には、その施用の菌体濃度は、通常約104CFU
(コロニー形成単位)/mL〜109CFU/mLであ
り、施用量は、5〜30L/a程度であることが好まし
い。また、培土混合剤等はなんら希釈することなく製剤
のままで施用することも可能であり、栽培用土に混合す
る場合、菌体の施用量が、106〜109CFU/a程度
となるように施用することが好ましい。また、施用時期
に関しては、播種時、原苗期、仮植期、定植期の何れで
もよく、施用頻度は、本発明の糸状菌が継続性をもっ
て、例えば、約2ヶ月以上、イチゴ炭そ病菌に対して拮
抗作用を有することから、1〜3ヶ月に1回の頻度で施
用することでイチゴ炭そ病の発生を抑えることが可能と
なる。
【0027】また、微生物資材の施用にあたっての温度
管理については、本発明の糸状菌のの生育・活動至適温
度が炭そ病菌のそれとおおよそ同じで、概ね26〜30
℃であるため、特に通常のイチゴ栽培の温度管理を操作
する必要はない。
【0028】上記微生物資材は、本発明の新規糸状菌を
含有するものであり、イチゴ炭そ病の防除に対して高い
防除効果と長い残効期間を有する。さらに、上記微生物
資材は、特に食用イチゴの炭そ病防除において優れた効
果を発揮するものであるが、シクラメン、大豆、茶等の
他の作物の炭そ病防除に用いてもよい。
【0029】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。
【0030】
【実施例1】 タラロマイセス・フラバス Y−940
1株、ケトミウム・アウレウム SAY−07株、ケト
ミウム・アウレウム SAY−09株の取得 イチゴ栽培圃場で栽培中のイチゴ苗から1株につき葉を
1枚ずつ採集し、これらを殺菌済みのシャーレに置い
て、20〜35℃で保温した。保温中に葉面上に観察さ
れた菌体のうちイチゴ炭そ病菌以外の菌体を分離し、純
化した。得られた菌株からイチゴ炭そ病菌に対して拮抗
作用を有する菌株を以下の方法でスクリーニングした。
【0031】すなわち、上記で分離、純化された菌株の
それぞれを、ストレプトマイシンを100mg/Lの割
合で含有するポテトデキストロース寒天培地に接種し
て、28℃、7時間の培養を行った後、コロニーを培地
ごと7mmφの滅菌したコルクボーラーで打ち抜いたも
のと、同様に培養され、さらに培養後同様に培地ごと打
ち抜かれた7mmφのイチゴ炭そ病菌コロニーを、上記
と同様の培地を入れた同一プレート上に並べ、28℃で
対峙培養した。対峙培養開始から5日後に、上記各菌株
がイチゴ炭そ病菌と対峙培養されたプレートをそれぞれ
観察し、イチゴ炭そ病菌の生育を抑制した3株を選別し
た。
【0032】これら3つの菌株をそれぞれY−9401
株、SAY−07株およびSAY−09株と命名し、そ
れぞれについて菌学的性質を調べた。結果を以下に示す
が、表1はコロニーの特徴を、表2は形態をそれぞれ示
す表である。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】上記の菌学的性質を有する3つの菌株の分
類学上の位置を、バージェイズ・マニュアル・オブ・シ
ステマチック・バクテリオロジー、第1版、第2巻(1
986年)を参照して検討すると、Y−9401株は、
その菌学的性質から、タラロマイセス属に属する菌株と
判定された。更にその他の諸性質を検討した結果、この
菌株はタラロマイセス・フラバスと同定された。公知の
タラロマイセス・フラバスがイチゴ炭そ病菌に対して圃
場レベルすなわち実用段階において拮抗作用を有すると
いう報告は今までにはなく、この点で公知の菌株と区別
される新菌株である。
【0036】また、同様にSAY−07株およびSAY
−09株は、その菌学的性質から、ケトミウム属に属す
る菌株と判定された。更にその他の諸性質を検討した結
果、この菌株はケトミウム・アウレウムと同定された。
公知のケトミウム・アウレウムがイチゴ炭そ病菌に対し
て圃場レベルすなわち実用段階において拮抗作用を有す
るという報告は今までにはなく、この点で公知の菌株と
区別される新菌株である。
【0037】タラロマイセス・フラバス Y−9401
株、ケトミウム・アウレウム SAY−07株およびケ
トミウム・アウレウム SAY−09株は、通商産業省
工業技術院生命工学工業技術研究所特許微生物寄託セン
ターに、上記の順に微生物受託番号FERM P−15
816、FERM P−15817、FERM P−15
818としてそれぞれ寄託されている。
【0038】
【実施例2】 ポット育苗栽培における防除効果試験 上記で得られたケトミウム・アウレウムSAY−07
株、ケトミウム・アウレウムSAY−09株を用いて、
イチゴ炭そ病の防除効果に関する試験を行った。
【0039】上記2つの菌を、それぞれフラスコで培養
(PDブロス、28℃、7日間)後、菌そうを回収し、
ホモジナイザーで破砕した。また、炭そ病菌であるグロ
メルラ・シングラータをPDブロスで上記同様に培養し
た後、分生子を回収した。
【0040】検体のイチゴとしては、9cmφのポット
30個のそれぞれに、殺菌した栽培用土を詰め、これに
食用のイチゴである女峰の苗を1株ずつ定植し2日間育
苗した、育苗期の苗を用いた。
【0041】上記育苗期のイチゴ苗のそれぞれに、ケト
ミウム・アウレウムSAY−07株の培養物の粉砕物
を、107CFU/株の割合でイチゴ苗全体にスプレー
で散布した。
【0042】散布の1週間後に、上記炭そ病菌の分生子
を5×104CFU/株の割合で、イチゴ苗全体にスプ
レー散布することによりイチゴに接種した。接種後、2
8±2℃の恒温恒湿槽で保湿し感染させた後、20℃以
上に保温したビニールハウスの中で2ヶ月間栽培した。
栽培終了後、全てのイチゴ苗について発病状況を観察
し、以下の式により枯死率(処理区枯死率)を算出し
た。
【0043】
【数1】 枯死率(%)=(枯死株数/検体総数)× 100
【0044】また、比較のために上記と同様の栽培試験
を上記ケトミウム・アウレウムSAY−07株の培養物
の粉砕物の散布を行わなかった以外は、全く上記と同様
にして行い、枯死率(無処理区枯死率)を求めた。これ
らの枯死率の値より以下の計算式により防除価を算出し
た。
【0045】
【数2】防除価(%)=((無処理区枯死率−処理区枯死
率)/無処理区枯死率)×100
【0046】上記と同様の栽培試験を上記ケトミウム・
アウレウムSAY−07株の培養物の粉砕物の替わりに
ケトミウム・アウレウムSAY−09株の培養物の粉砕
物を用いた以外は、全く上記と同様にして行い、枯死率
を求め防除価を算出した。
【0047】結果は、ケトミウム・アウレウムSAY−
07株処理区に関しては、防除価73.3%(枯死率2
0%)であり、ケトミウム・アウレウムSAY−09株
処理区に関しては、86.7%(枯死率10%)であっ
た。なお、無処理区における枯死率は75%であった。
【0048】また、ケトミウム・アウレウムSAY−0
7株およびケトミウム・アウレウムSAY−09株とも
イチゴに対する植物毒性は、観察されなかった。また、
試験終了後、イチゴより上記2菌が分離され、上記2菌
とも2ヶ月以上の間イチゴに定着していたことが確認さ
れた。
【0049】
【実施例3】実施例2と同様の栽培試験をケトミウム・
アウレウムSAY−09株について再度行い、防除価を
算出した。
【0050】結果は、防除価100%(枯死率0%)で
あった。なお、無処理区における枯死率は44%であっ
た。
【0051】
【実施例4】実施例2と同様の栽培試験をタラロマイセ
ス・フラバス Y−9401株について、1993年〜
1995年において行い、各栽培年で防除価を算出し
た。結果を表3に示す。
【0052】
【表3】
【0053】これらの結果から明らかなように、本発明
の糸状菌は、イチゴ炭そ病に対する防除効果が高く、そ
の効果は長期に亘って持続されることが確認された。
【0054】
【発明の効果】本発明の新規微生物は、イチゴ炭そ病菌
に対して拮抗作用を有し、その拮抗作用を持続性をもっ
て発揮することが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊豆 進 千葉県袖ケ浦市上泉1280番地出光興産株式 会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イチゴ炭そ病菌に対して拮抗作用を有す
    る糸状菌。
  2. 【請求項2】 タラロマイセス属に属する請求項1記載
    の糸状菌。
  3. 【請求項3】 タラロマイセス・フラバスである請求項
    2記載のタラロマイセス属に属する糸状菌。
  4. 【請求項4】 タラロマイセス・フラバス Y−940
    1株である請求項3記載のタラロマイセス・フラバス。
  5. 【請求項5】 ケトミウム属に属する請求項1記載の糸
    状菌。
  6. 【請求項6】 ケトミウム・アウレウムである請求項5
    記載のケトミウム属に属する糸状菌。
  7. 【請求項7】 ケトミウム・アウレウム SAY−07
    株である請求項6記載のケトミウム・アウレウス。
  8. 【請求項8】 ケトミウム・アウレウム SAY−09
    株である請求項6記載のケトミウム・アウレウス。
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