JP2005151887A - 土壌病害の防除剤および防除方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 より高い防除効果を持続的に発揮し、かつ、十分な保存性を有する、より実用的な植物の土壌病害の防除剤を提供する。
【解決手段】 ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害を防除する効果を有するバチルス・メガテリウムFERM P-19589菌株またはその変異体の菌体を含有する植物の土壌病害の防除剤。
【選択図】 なし
【解決手段】 ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害を防除する効果を有するバチルス・メガテリウムFERM P-19589菌株またはその変異体の菌体を含有する植物の土壌病害の防除剤。
【選択図】 なし
Description
本発明は、植物の土壌病害の防除剤および土壌病害の防除方法に関する。
植物病原細菌の1種であるラルストニア・ソラナセアラム(Ralstonia solanacearum)(以下、本病原細菌ともいう)の寄生によって起こるナス科植物青枯病またはタバコ立枯病(以下、本病ともいう)は、タバコ、トマト、ナス、ピーマン等の多くの作物での被害が多い。
本病原細菌は、土壌中で長期間生存し、いったん植物体に感染すると速やかに増殖するため、作物病害の中でも防除が困難な難防除病害の一つとされている。
現在用いられている本病の主な防除対策として、化学的防除方法と耕種的防除方法がある。化学的防除方法としては、クロルピクリンおよび臭化メチル等の土壌くん蒸用の薬剤が用いられている。また、耕種的防除方法としては、抵抗性品種の利用、有機物の施用、土壌の耕うん、および、畑排水の促進などが挙げられる。しかし、耕種的防除方法は、防除効果が安定していないことが多く、耕種的防除方法のみでは本病の被害を十分に解消することはできなかったため、化学的防除方法と併用する必要があった。また、化学的防除方法に用いられる薬剤は、環境汚染およびオゾン層の破壊の原因となることから、今後使用量に制限が加えられる可能性がある。そこで、環境に対する負荷が少なく、かつ、高い防除効果を有する防除剤および防除方法が求められていた。
自然の土壌中には、多種多様な微生物が存在し、互いに影響を及ぼし合いながら生態系を形成している。これらの微生物の中には、植物の生育・病害の発生などの多大な影響を与えている微生物が多数存在することが明らかになっている。そこで、環境に対する負荷が少なく、かつ、土壌病害に対して防除効果を有する微生物を分離し、これを農業生産性向上のために利用しようとする試みがなされている。
土壌から分離された微生物を用いた本病の防除方法として、シュードモナス・プチーダ(Pseudomonas putida)を用いる方法(非特許文献1参照)、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)を用いる方法(非特許文献2参照)等のシュードモナス属細菌を用いた防除方法が挙げられる。これらのシュードモナス属細菌は、青枯病菌に対して培地上で抗菌活性を示し、温室内の短期実験で発病抑制効果が認められている。以上のシュードモナス属細菌は、培地上で立枯病菌に対して抗菌活性を示すことから、それらのシュードモナス属細菌が生産する抗菌物質が発病抑制機構の一つとして関与していることが示唆されている。
このようにシュードモナス属細菌は、温室内の短期実験では、本病の発病を抑制する効果が認められている。しかし、シュードモナス属細菌は、熱や乾燥に弱いため、長期保存できるように十分に乾燥させて製剤化することができず、製剤にした場合の保存性が十分でないという欠点があった。
このようにシュードモナス属細菌は、温室内の短期実験では、本病の発病を抑制する効果が認められている。しかし、シュードモナス属細菌は、熱や乾燥に弱いため、長期保存できるように十分に乾燥させて製剤化することができず、製剤にした場合の保存性が十分でないという欠点があった。
また、シュードモナス属細菌以外の細菌を用いた防除方法として、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)を用いたトマトの青枯病の防除方法(非特許文献3参照)、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)とバチルス属細菌(Bacillus sp.)を用いたジャガイモの青枯病の防除方法(非特許文献4参照)、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)を用いたタバコ立枯病およびナス科青枯病等の土壌病害の防除方法(特許文献1参照)、ならびに、バチルス・ラテロスポラス(Bacillus laterosporus)を用
いた土壌病害の防除方法(特許文献2参照)が挙げられる。
しかし、それらの防除方法に用いられる細菌は、ナス科植物の根に栽培後期まで十分に安定して定着するとはいえず、防除効果の持続性の点で改良の余地があった。
一方、堆肥を施用した土壌では、生物的および化学的な要因から、ナス科青枯病に対して抑止的になることが報告されている。しかし、堆肥等の有機物の施用が土壌病害の発病に及ぼす影響は、作物の種類や土壌病害の種類により異なる。このことは、施用する有機物の種類により、それを基質として優先的に増殖する微生物にある程度特異性が存在していること、および、施用の対象となる作物の種類により、作物の根圏に棲息する微生物が異なり、その結果、施用した有機物を基質として優先的に増殖する微生物も作物によってある程度異なるということを示している。
また、本発明者の知る限りでは、バチルス・メガテリウムに属する微生物が青枯病を防除する能力を有しているとの報告はない。
いた土壌病害の防除方法(特許文献2参照)が挙げられる。
しかし、それらの防除方法に用いられる細菌は、ナス科植物の根に栽培後期まで十分に安定して定着するとはいえず、防除効果の持続性の点で改良の余地があった。
一方、堆肥を施用した土壌では、生物的および化学的な要因から、ナス科青枯病に対して抑止的になることが報告されている。しかし、堆肥等の有機物の施用が土壌病害の発病に及ぼす影響は、作物の種類や土壌病害の種類により異なる。このことは、施用する有機物の種類により、それを基質として優先的に増殖する微生物にある程度特異性が存在していること、および、施用の対象となる作物の種類により、作物の根圏に棲息する微生物が異なり、その結果、施用した有機物を基質として優先的に増殖する微生物も作物によってある程度異なるということを示している。
また、本発明者の知る限りでは、バチルス・メガテリウムに属する微生物が青枯病を防除する能力を有しているとの報告はない。
以上のような状況下で、本病原菌に対してより高い防除効果を持続的に発揮し、かつ、十分な保存性を有する、より実用的な土壌病害の防除剤が求められていた。
特開平9−299076号
WO9639840
日本植物病理学会報(56巻、404(1990)
Revista de Microbiologia, vol.20, 18-26 (1989)
Annals of the Phytopathological Society of Japan, 58-3, 329-339 (1992)
Journal of the Indian Potato Association 20-3, 4, 219-222 (1993)
本発明は、上記観点からなされたものであり、より高い防除効果を持続的に発揮し、かつ、十分な保存性を有する、より実用的な植物の土壌病害の防除剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、様々な土壌で栽培したトマトの根圏から様々な細菌を分離し、本病に対する高い防除効果を有する菌株の検索を行った。その結果、本発明者らは、東京農工大学内の黒ボク土から分離したN2S6株が、青枯病に対して高い防除効果を持続的に発揮することを見い出し、これを用いることにより、上記課題を達成した。本発明は、上記知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害を防除する効果を有するバチルス・メガテリウムFERM P-19589菌株またはその変異体。
(2)ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害を防除する効果を有する菌株であって、バチルス・メガテリウムに属する菌株の菌体を含有することを特徴とする、ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害の防除剤。
(3)前記バチルス・メガテリウムに属する菌株が、バチルス・メガテリウムFERM P-19589菌株またはその変異体であることを特徴とする(2)に記載の土壌病害の防除剤。
(4)前記土壌病害が、ナス科植物青枯病およびタバコ立枯病であることを特徴とする(2)または(3)に記載の土壌病害の防除剤。
(5)有機物をさらに含有することを特徴とする(2)〜(4)のいずれか1つに記載の土壌病害の防除剤。
(6)前記有機物が、鶏糞堆肥であることを特徴とする(5)に記載の土壌病害の防除剤。
(7)植物を栽培する土壌、あるいは植物の根部または種子に、(2)〜(6)のいずれか1つに記載の土壌病害の防除剤を施用することを特徴とする、ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害を防除する方法。
(8)前記植物が、ナス科植物であることを特徴とする(7)に記載の土壌病害を防除する方法。
(9)前記土壌病害が、ナス科植物青枯病およびタバコ立枯病であることを特徴とする(7)または(8)に記載の土壌病害を防除する方法。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害を防除する効果を有するバチルス・メガテリウムFERM P-19589菌株またはその変異体。
(2)ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害を防除する効果を有する菌株であって、バチルス・メガテリウムに属する菌株の菌体を含有することを特徴とする、ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害の防除剤。
(3)前記バチルス・メガテリウムに属する菌株が、バチルス・メガテリウムFERM P-19589菌株またはその変異体であることを特徴とする(2)に記載の土壌病害の防除剤。
(4)前記土壌病害が、ナス科植物青枯病およびタバコ立枯病であることを特徴とする(2)または(3)に記載の土壌病害の防除剤。
(5)有機物をさらに含有することを特徴とする(2)〜(4)のいずれか1つに記載の土壌病害の防除剤。
(6)前記有機物が、鶏糞堆肥であることを特徴とする(5)に記載の土壌病害の防除剤。
(7)植物を栽培する土壌、あるいは植物の根部または種子に、(2)〜(6)のいずれか1つに記載の土壌病害の防除剤を施用することを特徴とする、ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害を防除する方法。
(8)前記植物が、ナス科植物であることを特徴とする(7)に記載の土壌病害を防除する方法。
(9)前記土壌病害が、ナス科植物青枯病およびタバコ立枯病であることを特徴とする(7)または(8)に記載の土壌病害を防除する方法。
本発明の植物の土壌病害の防除剤は、より高い防除効果を持続的に発揮し、かつ、十分な保存性を有するという利点がある。また、本発明の植物の土壌病害を防除する方法は、より高い防除効果を持続的に発揮するという利点がある。
以下、本発明を詳細に説明する。
<本発明の菌株>
本発明者らは、後記実施例に詳細に示すように、トマト根圏の細菌を広く検索した結果、ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害を防除する効果を有する菌株であって、バチルス・メガテリウムに属する新規な菌株を見い出し、その株をN2S6株と命名した。
<本発明の菌株>
本発明者らは、後記実施例に詳細に示すように、トマト根圏の細菌を広く検索した結果、ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害を防除する効果を有する菌株であって、バチルス・メガテリウムに属する新規な菌株を見い出し、その株をN2S6株と命名した。
本菌株は、ニッスイ普通寒天培地(日水製薬(株))を十分の一に希釈して寒天を1.5重量%添加した平板培地上で、30℃で2日間培養すると、クリーム色で表面が滑らかな円形のコロニーを形成する。表1に、本菌株の培養的・形態学的性質、生理学的・化学分類学的性質等を示す。
次に、N2S6株の16SrRNAの3’末端側の900bpの塩基配列を決定した。その配列を用いて、データベースBLAST(Nucleic Acids Res. 25, 3389-3402 (1997))でホモロジー検索を行ったところ、バチルス・メガテリウムの16SrRNAの塩基配列と100%一致した。
前述の菌学的性質および16SrRNAの解析結果から、N2S6株は、バチルス・メガテリウムに属する菌株であると同定された。
本発明の菌株は、ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害を防除する効果を有するバチルス・メガテリウムFERM P-19589菌株(N2S6株)またはその変異体である。
本発明における「変異体」には、上述したようなバチルス・メガテリウムFERM P-19589菌株(N2S6株)の菌学的性質を有し、かつ、ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害を防除する効果を有する菌株である限り、バチルス・メガテリウムFERM P-19589菌株(N2S6株)から誘導されたいかなる変異体も含まれる。変異には、自然変異または化学的変異剤や紫外線等による人工変異を含む。
なお、以下の明細書の記載における「菌株」の語は、「菌株またはその変異体」の意味で用いる場合がある。
前述の菌学的性質および16SrRNAの解析結果から、N2S6株は、バチルス・メガテリウムに属する菌株であると同定された。
本発明の菌株は、ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害を防除する効果を有するバチルス・メガテリウムFERM P-19589菌株(N2S6株)またはその変異体である。
本発明における「変異体」には、上述したようなバチルス・メガテリウムFERM P-19589菌株(N2S6株)の菌学的性質を有し、かつ、ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害を防除する効果を有する菌株である限り、バチルス・メガテリウムFERM P-19589菌株(N2S6株)から誘導されたいかなる変異体も含まれる。変異には、自然変異または化学的変異剤や紫外線等による人工変異を含む。
なお、以下の明細書の記載における「菌株」の語は、「菌株またはその変異体」の意味で用いる場合がある。
本発明における「ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害」とは、ラルストニア・ソラナセアラムが植物に感染することにより引き起こされる植物の病害を意味し、例えば、トマト青枯病およびタバコ立枯病等が含まれる。
本発明における「ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害」は、ラルストニア・ソラナセアラムが感染することにより引き起こされる植物の病害である限り、その病害の対象となる植物の種類に制限はなく、そのような植物には、ナス、トマト、トウガラシ、ピーマン、ジャガイモ、タバコ等のナス科植物の他、インゲン、ソラマメ、イチゴ、ダイコン等が含まれる。
なお、ラルストニア・ソラナセアラムは、以前はシュードモナス(Pseudomonas)に分類されており、シュードモナス・ソラナセアラムと呼ばれていたが、現在はラルストニア属に分類され、ラルストニア・ソラナセアラムと呼ばれている。
本発明における「ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害」は、ラルストニア・ソラナセアラムが感染することにより引き起こされる植物の病害である限り、その病害の対象となる植物の種類に制限はなく、そのような植物には、ナス、トマト、トウガラシ、ピーマン、ジャガイモ、タバコ等のナス科植物の他、インゲン、ソラマメ、イチゴ、ダイコン等が含まれる。
なお、ラルストニア・ソラナセアラムは、以前はシュードモナス(Pseudomonas)に分類されており、シュードモナス・ソラナセアラムと呼ばれていたが、現在はラルストニア属に分類され、ラルストニア・ソラナセアラムと呼ばれている。
本発明における「植物の土壌病害を防除する効果を有する菌株」とは、植物の土壌病害を予防または治癒する効果を有する菌株を意味する。ここでいう「植物の土壌病害を予防する効果を有する菌株」とは、その菌株を施用すること以外は同じ条件で、ラルストニア・ソラナセアラムを含む土壌でそれに感染しうる植物を1ヶ月間栽培した場合に、その菌株を施用しなかった植物の発病度(後述の実施例2の式1参照)より、その菌株を施用した植物の発病度が低いことをいい、また、「植物の土壌病害を治癒する効果を有する菌株」とは、その菌株を施用すること以外は同じ条件で、ラルストニア・ソラナセアラムに感染した植物を1ヶ月間栽培した場合に、その菌株を施用した植物の発病度がその菌株を施用しなかった植物における発病度より低いことをいう。
本発明における「ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害を防除する効果を有する菌株」には、具体的には、例えば後述の実施例2の実験を行った場合の防除価が、通常50以上、好ましくは70以上、より好ましくは90以上である場合が含まれる。
バチルス・メガテリウムN2S6株は、平成15年11月19日より、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に受託番号FERM P-19589で寄託されている。
<本発明の防除剤>
本発明の防除剤は、ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害を防除する効果を有する菌株であって、バチルス・メガテリウムに属する菌株の菌体を含有することを特徴とする、ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害の防除剤である。本発明の防除剤は、ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害を防除する効果を有する菌株であって、バチルス・メガテリウムに属する菌株の菌体を含有するものであれば特に制限はなく、そのような菌株を一種のみ含有するものであってもよいし、そのような菌株を複数種同時に含有するものであってもよい。
バチルス・メガテリウムN2S6株は、平成15年11月19日より、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に受託番号FERM P-19589で寄託されている。
<本発明の防除剤>
本発明の防除剤は、ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害を防除する効果を有する菌株であって、バチルス・メガテリウムに属する菌株の菌体を含有することを特徴とする、ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害の防除剤である。本発明の防除剤は、ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害を防除する効果を有する菌株であって、バチルス・メガテリウムに属する菌株の菌体を含有するものであれば特に制限はなく、そのような菌株を一種のみ含有するものであってもよいし、そのような菌株を複数種同時に含有するものであってもよい。
そのような菌株として、バチルス・メガテリウムFERM P-19589菌株またはその変異体を好ましく用いることができる。
本発明に用いる菌株は、通常の微生物の培養方法と同様の方法により培養することができる。すなわち、往復動式振盪培養、ジャーファーメンター培養などによる液体培養法や、固体培養法によることができる。この培養に用いる培地成分としては、特に制限はなく、通常の微生物の培養に用いられる各種の合成物または天然物を用いることができる。
例えば、炭素源としては、グルコース、がラクトース、ラクトース、アラビノース、マンノース、麦芽エキス澱粉加水分解物などの糖類、クエン酸などの有機酸類、グリセリンなどのアルコール類などを用いることができ、また、窒素源としては、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウムなどのアンモニウム塩や硝酸塩が用
いられ、有機窒素源としては、酵母エキス、コーン・スティープ・リカー、肉エキス、小麦胚芽、ポリペプトン、大豆粉などが用いられる。さらに、無機塩類としては、リン酸、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸マンガン、硫酸第1鉄などを用いることができる。本発明の菌株の培養は、通気培養や振とう培養などの好気的条件下で行うことが望ましい。また、培養は、通常15〜35℃の範囲、好ましくは20〜30℃の範囲で行う。培養に用いる培地のpHは、通常5〜8の範囲とし、好ましくは6〜7の範囲とする。培養期間は、1〜4日間、好ましくは2〜3日間である。
培養で得られた培養物は、そのまま用いることもできるが、培養物を培地と共に粉砕または細断して用いてもよい。また、培養物中の培地から菌体をかき取って用いてもよいし、この培養物を遠心分離することにより菌体を分離して用いてもよい。さらに、上記のように回収した培養物の粉砕物や菌体は、自然乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥などにより乾燥粉末として用いるのがよい。この乾燥粉末は、水分含有量が20重量%以下であるものが好ましい。
本発明の防除剤に用いる菌株またはその変異体の菌体は、生菌である。また、本発明の防除剤に用いる菌株の生菌は、胞子でなくてもよいが、胞子であることが好ましい。胞子の状態では熱や乾燥に特に強いため、防除剤に胞子を用いる場合は防除剤を十分に乾燥させることができ、防除剤の保存性がより向上するからである。
したがって、胞子を形成させるため、培養の終期において、培地の組成、培地のpH、培養温度、培養湿度、培養する際の酸素濃度などの培養条件を、その胞子形成条件に適合させるように調製することが好ましい。また、本発明において胞子を用いる場合は、防除剤の保存性の観点から、胞子の水分含有量を20重量%以下とするのが好ましい。
本発明の防除剤に含まれる菌株の濃度は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、そのコロニー形成単位として、好ましくは109〜1013 CFU/g、より好ましくは1010〜1012 CFU/gとすることができる。
いられ、有機窒素源としては、酵母エキス、コーン・スティープ・リカー、肉エキス、小麦胚芽、ポリペプトン、大豆粉などが用いられる。さらに、無機塩類としては、リン酸、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸マンガン、硫酸第1鉄などを用いることができる。本発明の菌株の培養は、通気培養や振とう培養などの好気的条件下で行うことが望ましい。また、培養は、通常15〜35℃の範囲、好ましくは20〜30℃の範囲で行う。培養に用いる培地のpHは、通常5〜8の範囲とし、好ましくは6〜7の範囲とする。培養期間は、1〜4日間、好ましくは2〜3日間である。
培養で得られた培養物は、そのまま用いることもできるが、培養物を培地と共に粉砕または細断して用いてもよい。また、培養物中の培地から菌体をかき取って用いてもよいし、この培養物を遠心分離することにより菌体を分離して用いてもよい。さらに、上記のように回収した培養物の粉砕物や菌体は、自然乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥などにより乾燥粉末として用いるのがよい。この乾燥粉末は、水分含有量が20重量%以下であるものが好ましい。
本発明の防除剤に用いる菌株またはその変異体の菌体は、生菌である。また、本発明の防除剤に用いる菌株の生菌は、胞子でなくてもよいが、胞子であることが好ましい。胞子の状態では熱や乾燥に特に強いため、防除剤に胞子を用いる場合は防除剤を十分に乾燥させることができ、防除剤の保存性がより向上するからである。
したがって、胞子を形成させるため、培養の終期において、培地の組成、培地のpH、培養温度、培養湿度、培養する際の酸素濃度などの培養条件を、その胞子形成条件に適合させるように調製することが好ましい。また、本発明において胞子を用いる場合は、防除剤の保存性の観点から、胞子の水分含有量を20重量%以下とするのが好ましい。
本発明の防除剤に含まれる菌株の濃度は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、そのコロニー形成単位として、好ましくは109〜1013 CFU/g、より好ましくは1010〜1012 CFU/gとすることができる。
本発明の防除剤には、本発明の菌株の他に、有機物が含まれていなくてもよいが、有機物を含んでいても良い。ここでいう「有機物」とは、本菌株に加えてその有機物も含有する防除剤を用いること以外は、同様の防除剤を植物に施用して同様の条件で1ヶ月間植物を栽培した場合に、その有機物も含有している防除剤の防除価の方が、その有機物を含有していない防除剤の防除価より高いような有機物を意味する。
そのような有機物であれば、特に制限はなく、たとえば、鶏糞堆肥、生ゴミ炭化物、コーヒー炭化物、豚ぷん堆肥、稲わら堆肥が挙げられるが、鶏糞堆肥が好ましい。
本発明の菌株と鶏糞堆肥とが組み合わせられると、ラルストニア・ソラナセアラムが感染することにより引き起こされる植物の病害の防除効果が相乗的に向上するからである。
また、本発明の防除剤は、担体と組み合わされて、農薬組成物としてもよい。固体の担体については、特に制限はないが、カオリンクレー、パイロフェライトクレー、ベントナイト、ジークライト、モンモリロナイト、珪藻土、合成含水酸化珪素、酸性白土、タルク類、粘土、セラミック、石英、セリサイト、バーミキュライト、パーライト、大谷石、アンスラ石、石灰石、石炭灰、ゼオライト、アタパルジャイトなどの鉱物質微粉末などが好適に用いられる。液体担体についても、特に制限はないが、水、大豆油、菜種油、コーン油などの植物油、液体動物油、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸などの水溶性高分子化合物、パラフィンなどの鉱物油が好適に用いられる。
さらに、必要に応じて、デンプンの加水分解物やD−ソルビトール、ラクトース、マルチトース、CMCなどの可溶性増量剤、カゼイン、ゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸、ベントナイトなどの固着剤や分散剤、プロピレングリコールやエチレングリコールなどの凍結防止剤、キサンタンガムなどの天然多糖類やポリアクリル酸などの増粘剤を用いて粒状化してもよい。
本発明の防除剤および農薬組成物は、上記の物質の他に、本発明の効果を妨げない限り、防除剤等に含まれる菌株の培養に用いた培地、殺虫剤、除草剤、殺菌剤、土壌改良剤、堆肥、肥料、pH調整剤等の任意の物質を含んでいてもよい。
本発明の防除剤および微生物農薬の剤型は、特に制限はなく、液体、粉末、粒子、錠剤、シート状等、いずれの形態をとってもよい。
本発明の防除剤および農薬組成物の使用方法については、特に制限はないが、本発明の防除剤および農薬組成物を、植物を栽培する土壌に混和、散布または潅注等を行うことにより、本発明の防除剤等を施用してもよく、あるいは、本発明の防除剤および農薬組成物中に植物の根部または種子を浸漬する等して直接塗布することにより、本発明の防除剤等を施用してもよい。ここで、土壌に施用する場合は、本発明の防除剤および農薬組成物を土壌に施用してから植物を植えてもよく、また、植物を土壌に植えた後でその土壌に施用してもよい。
さらに、必要に応じて、デンプンの加水分解物やD−ソルビトール、ラクトース、マルチトース、CMCなどの可溶性増量剤、カゼイン、ゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸、ベントナイトなどの固着剤や分散剤、プロピレングリコールやエチレングリコールなどの凍結防止剤、キサンタンガムなどの天然多糖類やポリアクリル酸などの増粘剤を用いて粒状化してもよい。
本発明の防除剤および農薬組成物は、上記の物質の他に、本発明の効果を妨げない限り、防除剤等に含まれる菌株の培養に用いた培地、殺虫剤、除草剤、殺菌剤、土壌改良剤、堆肥、肥料、pH調整剤等の任意の物質を含んでいてもよい。
本発明の防除剤および微生物農薬の剤型は、特に制限はなく、液体、粉末、粒子、錠剤、シート状等、いずれの形態をとってもよい。
本発明の防除剤および農薬組成物の使用方法については、特に制限はないが、本発明の防除剤および農薬組成物を、植物を栽培する土壌に混和、散布または潅注等を行うことにより、本発明の防除剤等を施用してもよく、あるいは、本発明の防除剤および農薬組成物中に植物の根部または種子を浸漬する等して直接塗布することにより、本発明の防除剤等を施用してもよい。ここで、土壌に施用する場合は、本発明の防除剤および農薬組成物を土壌に施用してから植物を植えてもよく、また、植物を土壌に植えた後でその土壌に施用してもよい。
なお、本発明の防除剤および農薬組成物の施用量は、本発明の効果を発揮する限り特に制限はないが、植物の根部または種子に直接塗布して施用する場合は、本発明の菌株の濃度が、好ましくは106〜109CFU/ml、さらに好ましくは107〜109CFU/mlであるような溶液を用いて、通常30分〜3時間、好ましくは1〜2時間浸漬することができる。
また、本発明の防除剤または農薬組成物を、植物を栽培する土壌に施用する場合は、後述の実施例2の実験を行った場合の防除価が、好ましくは50以上、より好ましくは70以上となるような量の本発明の菌株を施用することができる。
また、本発明の防除剤等の土壌への施用時期は、本発明の効果を発揮する限り特に制限はないが、例えば、植物を本圃土壌に移植する7日前から移植後1ヶ月までの間に行うことができる。また、本発明の防除剤等の施用の回数は1回に限られず、2回以上行ってもよい。
また、本発明の防除剤等の土壌への施用時期は、本発明の効果を発揮する限り特に制限はないが、例えば、植物を本圃土壌に移植する7日前から移植後1ヶ月までの間に行うことができる。また、本発明の防除剤等の施用の回数は1回に限られず、2回以上行ってもよい。
本発明の防除剤および農薬組成物は、ラルストニア・ソラナセアラムが感染することにより引き起こされる植物の病害の防除に有効に作用する。ラルストニア・ソラナセアラムが感染することにより引き起こされる植物の病害である限り、その病害の対象となる植物の種類に制限はない。そのような植物には、ナス、トマト、トウガラシ、ピーマン、ジャガイモ、タバコ等のナス科植物の他、インゲン、ソラマメ、イチゴ、ダイコン等が含まれる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
青枯病を抑制する拮抗菌を分離するために、千葉県山武群の5ヶ所の圃場から採取した5種類の土壌、岩手県の2ヶ所の圃場から採取した2種類の土壌、東京農工大学の3ヶ所の圃場から採取した3種類の土壌、名古屋大学農学部附属農場の2ヶ所の圃場から採取した2種類の土壌、および、岐阜県中津川の圃場から採取した1種類の土壌の合わせて13種類の土壌を用意し、それぞれの土壌でトマト栽培を行った。
本病の病原菌はトマト根面へ定着して感染するので、トマト根圏・根面で棲息している細菌であれば、防除剤として用いる場合に、その細菌が根圏・根面によく定着し、本病に対する防除効果が持続すると考えられた。
そこで、栽培したトマトの根部を掘り取り、根部に付着している土壌を振り落とした上で、根の先端を切り出し、それを滅菌蒸留水中でホモジナイズして懸濁液を得た。
得られた懸濁液を3つに分け、そのうちの1つを1/10普通ブイヨン培地に塗布して培養し、培養可能な全細菌数を測定した。また、3つに分けた懸濁液の別の1つを80℃で10分処理後、1/10普通ブイヨン培地に塗布して培養し、懸濁液中に含まれる胞子形成菌数を測定するとともに、生育しているそれらの菌株から異なる種類の菌株を分離した
。また、3つに分けた懸濁液の残りの1つにグルコースとアスパラギンを添加してから28℃で3〜5日培養を行い、80℃で10分処理後、1/10普通ブイヨン培地に塗布して培養し、根圏・根面では栄養細胞状態であると予想される胞子形成菌株を分離した。このように、胞子形成細菌を分離したのは、細菌を製剤化したときの製剤の保存性を考慮したためである。以上のようにして、根面に良く定着すると考えられる胞子形成細菌を135株得た。
青枯病を抑制する拮抗菌を分離するために、千葉県山武群の5ヶ所の圃場から採取した5種類の土壌、岩手県の2ヶ所の圃場から採取した2種類の土壌、東京農工大学の3ヶ所の圃場から採取した3種類の土壌、名古屋大学農学部附属農場の2ヶ所の圃場から採取した2種類の土壌、および、岐阜県中津川の圃場から採取した1種類の土壌の合わせて13種類の土壌を用意し、それぞれの土壌でトマト栽培を行った。
本病の病原菌はトマト根面へ定着して感染するので、トマト根圏・根面で棲息している細菌であれば、防除剤として用いる場合に、その細菌が根圏・根面によく定着し、本病に対する防除効果が持続すると考えられた。
そこで、栽培したトマトの根部を掘り取り、根部に付着している土壌を振り落とした上で、根の先端を切り出し、それを滅菌蒸留水中でホモジナイズして懸濁液を得た。
得られた懸濁液を3つに分け、そのうちの1つを1/10普通ブイヨン培地に塗布して培養し、培養可能な全細菌数を測定した。また、3つに分けた懸濁液の別の1つを80℃で10分処理後、1/10普通ブイヨン培地に塗布して培養し、懸濁液中に含まれる胞子形成菌数を測定するとともに、生育しているそれらの菌株から異なる種類の菌株を分離した
。また、3つに分けた懸濁液の残りの1つにグルコースとアスパラギンを添加してから28℃で3〜5日培養を行い、80℃で10分処理後、1/10普通ブイヨン培地に塗布して培養し、根圏・根面では栄養細胞状態であると予想される胞子形成菌株を分離した。このように、胞子形成細菌を分離したのは、細菌を製剤化したときの製剤の保存性を考慮したためである。以上のようにして、根面に良く定着すると考えられる胞子形成細菌を135株得た。
得られた菌株を用いて、トマト青枯病に対する拮抗試験を行った。まず、岩手県で採取した黄色土に、乾土1g当たり106 CFUのラルストニア・ソラナセアラムYulRif45を接種することにより汚染土壌を作成した。汚染土壌をポットに詰め、トマトを播種した。その後、胞子形成細菌を1/10普通ブイヨン培地で24時間静置培養した菌液を、トマトの種子一粒につき、1ml接種した。それを1ヶ月栽培した後で、青枯病の発生の有無を調査し、スクリーニングした胞子形成細菌の青枯病に対する防除効果の有無を確認した。その結果、東京農工大学内の黒ボク土から分離したN2S6株が、青枯病の病原菌に対して最も高い防除効果を示した。また、N2S6株は、病害を引き起こす等の悪影響をトマトに与えなかった。
N2S6株が、実際に栽培されている植物に対しても青枯病の防除効果を有しているかを調べるため、以下の実験を行った。
岩手県で採取した黄色土に、乾土1g当たり106 CFUのラルストニア・ソラナセアラムYulRif45を接種することにより汚染土壌を作成した。汚染土壌を1/10,000aワグネルポットに詰め、トマト(品種:桃太郎)の種子を6粒播いた。その後、N2S6株を1/10普通ブイヨン培地を用いて28℃で24時間静置培養した菌液を、109CFU/mlに調整し、種子1粒につき1ml接種した。コントロールとして、N2S6株を用いる代わりに、バチルス属細菌を有効成分とする青枯病軽減資材(「エコガード」:片倉チッカリン(株)製品)を用いて同様の操作を行った。
岩手県で採取した黄色土に、乾土1g当たり106 CFUのラルストニア・ソラナセアラムYulRif45を接種することにより汚染土壌を作成した。汚染土壌を1/10,000aワグネルポットに詰め、トマト(品種:桃太郎)の種子を6粒播いた。その後、N2S6株を1/10普通ブイヨン培地を用いて28℃で24時間静置培養した菌液を、109CFU/mlに調整し、種子1粒につき1ml接種した。コントロールとして、N2S6株を用いる代わりに、バチルス属細菌を有効成分とする青枯病軽減資材(「エコガード」:片倉チッカリン(株)製品)を用いて同様の操作を行った。
それらのトマトを1ヶ月栽培した後、青枯病の発病度を調べた。
発病の程度は、表2に示すように0〜4までの5段階とし、式1および式2により定義される、発病度と防除価を算出した。
0×n0+1×n1+2×n2+3×n3+4×n4
式1 発病度(%)=――――――――――――――――――――――― ×100
4×N
但し、Nは総サンプル数、n0〜n4は発病指数0〜4のそれぞれに属する個体数
無処理区発病度−処理区発病度
式2 防除価(%)=――――――――――――――――― ×100
無処理区発病度
その結果を表3に示す。なお、この試験は10反復で行った。
式1 発病度(%)=――――――――――――――――――――――― ×100
4×N
但し、Nは総サンプル数、n0〜n4は発病指数0〜4のそれぞれに属する個体数
無処理区発病度−処理区発病度
式2 防除価(%)=――――――――――――――――― ×100
無処理区発病度
その結果を表3に示す。なお、この試験は10反復で行った。
表3に示した結果から明らかなように、無処理区に比べN2S6株処理区では青枯病の発病が抑制された。一方、バチルス菌資材「エコガード」処理区では、青枯病の発病抑制効果が認められなかった。
より厳しい条件での青枯病防除効果を確認するため、乾土1g当たり5×106 CFUのラルストニア・ソラナセアラムYulRif45を接種した汚染土壌を用いること以外は実施例2と同様の方法で実験を行った。その結果を表4に示す。
表4の結果から分かるように、無処理区に比べN2S6株処理区では青枯病の発病が抑制された。一方、「エコガード」処理区においても、青枯病の発病抑制効果が認められたものの、N2S6株処理区よりは効果が低かった。
有機物をバチルス・メガテリウムと併用することによって、より安定した防除効果が得ることができるかを検討するために、以下の実験を行った。
鶏糞堆肥、生ゴミ炭化物およびコーヒー炭化物を、岩手県で採取した黄色土の乾土に対して、それぞれ質量比8.7%、6.5%および1.8%となるように添加した。これらの物質を添加した土を、黄色土の代わりに用いること以外は、実施例2と同様の方法で発病度および防除価についての実験を行った。その結果を表5に示す。
表5に示した結果から明らかなように、鶏糞堆肥および生ゴミ炭化物について、青枯病の発病抑制効果が認められ、鶏糞堆肥が最も高い発病抑制効果を示した。このことから、拮抗菌と有機物、とくに鶏糞堆肥を併用することにより、青枯病に対する高い防除効果が得られることが分かった。
N2S6株の青枯病の防除効果が、長期間に渡って持続するかどうかを確認するため、N2S6株を1/10普通ブイヨン培地を用いて28℃で24時間静置培養後、菌液中の菌株濃度が109 CFU/mlとなるように調整した。
トマト(品種:桃太郎)の種を、調整後のそれぞれの菌液に1時間浸漬した後、園芸用培土である「与作N15」(チッソ旭肥料(株)製品)をつめた128穴セルトレーに播種した。苗が二葉期まで成長した段階で、根部を上述の調整後の菌液に1時間30分浸漬した後、JAくみあい園芸用育苗培土「げんきくん1号」をつめたビニールポットに仮植した。苗は七葉期になるまで栽培後、4月4日に圃場に定植した。圃場は、出光興産(株)研究所内の青枯病汚染圃場(103 CFU/g)を用い、定植の30日前に、その圃場に鶏糞堆肥を10aあたり4tの割合で施した。1区あたりトマト10本を栽培し、3反復で試験を行った。定植後は通常の耕作方法によって栽培し、8月10日に青枯病の発病を調査した。その結果を表6に示す。
トマト(品種:桃太郎)の種を、調整後のそれぞれの菌液に1時間浸漬した後、園芸用培土である「与作N15」(チッソ旭肥料(株)製品)をつめた128穴セルトレーに播種した。苗が二葉期まで成長した段階で、根部を上述の調整後の菌液に1時間30分浸漬した後、JAくみあい園芸用育苗培土「げんきくん1号」をつめたビニールポットに仮植した。苗は七葉期になるまで栽培後、4月4日に圃場に定植した。圃場は、出光興産(株)研究所内の青枯病汚染圃場(103 CFU/g)を用い、定植の30日前に、その圃場に鶏糞堆肥を10aあたり4tの割合で施した。1区あたりトマト10本を栽培し、3反復で試験を行った。定植後は通常の耕作方法によって栽培し、8月10日に青枯病の発病を調査した。その結果を表6に示す。
表6の結果から明らかなように、N2S6株処理により青枯病の発病抑制効果が認められた
。さらに、N2S6株を鶏糞堆肥と併用することによって、青枯病についてのより高い発病抑制効果が認められ、また、この効果は栽培後期まで持続していることが確認された。
。さらに、N2S6株を鶏糞堆肥と併用することによって、青枯病についてのより高い発病抑制効果が認められ、また、この効果は栽培後期まで持続していることが確認された。
Claims (9)
- ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害を防除する効果を有するバチルス・メガテリウムFERM P-19589菌株またはその変異体。
- ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害を防除する効果を有する菌株であって、バチルス・メガテリウムに属する菌株の菌体を含有することを特徴とする、ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害の防除剤。
- 前記バチルス・メガテリウムに属する菌株が、バチルス・メガテリウムFERM
P-19589菌株またはその変異体であることを特徴とする請求項2に記載の土壌病害の防除剤。 - 前記土壌病害が、ナス科植物青枯病およびタバコ立枯病であることを特徴とする請求項2または3に記載の土壌病害の防除剤。
- 有機物をさらに含有することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の土壌病害の防除剤。
- 前記有機物が、鶏糞堆肥であることを特徴とする請求項5に記載の土壌病害の防除剤。
- 植物を栽培する土壌、あるいは植物の根部または種子に、請求項2〜6のいずれか1項に記載の土壌病害の防除剤を施用することを特徴とする、ラルストニア・ソラナセアラムが原因で起こる植物の土壌病害を防除する方法。
- 前記植物が、ナス科植物であることを特徴とする請求項7に記載の土壌病害を防除する方法。
- 前記土壌病害が、ナス科植物青枯病およびタバコ立枯病であることを特徴とする請求項7または8に記載の土壌病害を防除する方法。
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---|---|---|---|---|
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CN113637612A (zh) * | 2021-09-03 | 2021-11-12 | 山东农业大学 | 一株耐盐菌株by2g20及其应用 |
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2003
- 2003-11-26 JP JP2003396010A patent/JP2005151887A/ja active Pending
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