JPH102246A - エンジンの回転数制御装置 - Google Patents

エンジンの回転数制御装置

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JPH102246A
JPH102246A JP8154460A JP15446096A JPH102246A JP H102246 A JPH102246 A JP H102246A JP 8154460 A JP8154460 A JP 8154460A JP 15446096 A JP15446096 A JP 15446096A JP H102246 A JPH102246 A JP H102246A
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torque
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load
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伸孝 高橋
Yoshitaka Deguchi
欣高 出口
Koichi Akahori
幸一 赤堀
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    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アイドル状態での目標回転数を維持しつつア
イドル自走中のブレーキ操作等によるエンストを防止す
る。 【解決手段】 アイドル状態での目標回転数NSETを
設定手段31が設定し、アイドル状態の検出時になると
エンジン回転数が目標回転数NSETと一致するように
応答の速いトルク制御手段を用いて制御手段33がアイ
ドル回転数のフィードバック制御を行う。変速機が走行
レンジにありかつ変速機負荷の減少時かつアイドル状態
の検出時であるかどうかを判定手段34が判定し、この
判定結果より変速機が走行レンジにありかつ変速機負荷
の減少時かつアイドル状態の検出時に前記応答の速いト
ルク制御手段に生成手段35が所定のトルク増量余裕代
を生成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はエンジンの回転数制御
装置、特にアイドル状態で自動変速機のセレクタ位置が
走行レンジにある場合(この場合を簡単にアイドル自走
中という)かつアイドル状態でアイドル回転数のフィー
ドバック制御を行うものに関する。
【0002】
【従来の技術】アイドル自走中かつアイドル回転数のフ
ィードバック制御を行うものにおいて、制動装置の作動
が検出されたとき、アイドル回転数のフィードバック補
正量を増すことによってエンストを防止するようにした
ものが提案されている(特開平1−110858号公報
参照)。
【0003】この提案の背景にある物理的現象は次のよ
うなものである。
【0004】トルクコンバータは、その出力軸回転数n
2と入力軸回転数n1の比に対して図4に示した容量係
数Cをもち、エンジンからみたトルクコンバータ負荷T
1はT1=C×n12となる。たとえば、ブレーキ等に
より車両が停止している状態でトルクコンバータの出力
軸が固定されているときは、回転数比n2/n1が0と
なり容量係数Cが非常に大きくなり、この逆に走行して
いる状態では回転数比n2/n1が1に近づき容量係数
Cが小さくなる。停車時に対し走行時はエンジンからみ
てトルクコンバータ負荷が小さくなるわけである。
【0005】したがって、アイドル自走中にブレーキ操
作が行われ、トルクコンバータの出力軸回転数n2が急
激に低下すると、回転数比n2/n1の減少によりエン
ジンに対するトルクコンバータ負荷T1が急激に増加し
て、エンジン回転数が低下し、エンストに至る可能性が
あるので、従来装置では、アイドル自走中かつ空気量制
御手段を用いてのアイドル回転数のフィードバック制御
中にブレーキ操作を検出したとき供給空気量を所定時間
大きくすることによって回転低下を回避するのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、供給空
気量の増量により発生トルクを大きくしようとしても、
空気量の増量操作から実際に発生トルクが大きくなるま
でにかなり大きな時間的遅れがあるため、急制動に伴う
トルクコンバータ負荷の急増に対応することは困難であ
る。スロットル弁のバイパス通路に設けられる補助空気
弁をステップ的に開いても、発生トルクに直接結びつく
シリンダ吸入空気量はゆっくりとしか大きくならず、補
助空気弁部の流量とシリンダ吸入空気量の相違が収束す
るためには、数100msec程度の時間を要するので
ある。
【0007】また、上記公報には空気量に代えて、点火
時期を使って制御してもよいとの記述があり、点火時期
を使用してのトルク制御であれば、応答性としては問題
ない。しかしながら、点火時期の動作中心は燃費の向上
をねらって最大トルク点付近に設定されるのが通常で、
たとえば図8において☆印の位置に設定される。したが
って、その☆印の位置では発生トルクを増量させる余裕
代がほとんどないため、応答の速いトルク制御手段とし
てはこのままでは力不足であり、アイドル自走中かつア
イドル回転数のフィードバック制御中におけるブレーキ
操作時の回転低下を十分に抑止することができない。
【0008】なお、特開平2−81939号公報では、
アイドル自走中におけるアイドル回転数のフィードバッ
ク制御により吸入空気量があまり減少されることがない
ように低車速時はそれ以外よりもフィードバック補正量
の下限値を高めに設定し、ブレーキ操作時でもある程度
の空気量を確保することによりブレーキ操作時のエンス
トを防止しようとしている。しかしながら、このものは
要はエンジンへの負荷が減少してもフィードバック補正
量が下限値より小さくならないようにすることにより供
給空気量を減らさない構成であることから、そもそも目
標回転数に制御することができない。フィードバック補
正量を下限値より小さくできないために目標回転数より
高い回転数で維持されたのでは、極く低速で走行したい
アイドル状態での走行にもかかわらず車速が上昇するこ
とになり、運転性としては不十分な結果となるのであ
る。
【0009】そこで本発明は、アイドル自走中に応答の
速いトルク制御手段を用いてアイドル回転数のフィード
バック制御を行うとともに、アイドル自走中にブレーキ
操作等により変速機負荷の急増が生じる可能性があると
き、応答の速いトルク制御手段に所定のトルク増量余裕
代を生成させておくこと等により、アイドル状態での目
標回転数を維持しつつアイドル自走中のブレーキ操作等
によるエンストを防止することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】第1の発明では、図36
に示すように、アイドル状態での目標回転数NSETを
設定する手段31と、アイドル状態を検出する手段32
と、このアイドル状態の検出時にエンジン回転数が前記
目標回転数NSETと一致するように応答の速いトルク
制御手段を用いてアイドル回転数のフィードバック制御
を行う手段33と、変速機が走行レンジにありかつエン
ジンからみた変速機負荷の減少時かつアイドル状態の検
出時であるかどうかを判定する手段34と、この判定結
果より変速機が走行レンジにありかつエンジンからみた
変速機負荷の減少時かつアイドル状態の検出時に前記応
答の速いトルク制御手段に所定のトルク増量余裕代を生
成させる手段35とを設けた。
【0011】第2の発明では、第1の発明において前記
変速機負荷の減少を検出する手段が、前記変速機の入力
軸回転数n1と出力軸回転数n2をそれぞれ検出する手
段と、これら入出力軸回転数比n2/n1に基づいて前
記変速機負荷T1を算出する手段と、前記入力軸回転数
n1に基づいて前記出力軸回転数n2が0となるときの
前記変速機負荷または最大の前記変速機負荷T0を算出
する手段と、この出力軸回転数n2が0となるときの前
記変速機負荷または最大の前記変速機負荷T0と前記入
出力軸回転数比に基づく前記変速機負荷T1との差より
前記変速機負荷の減少を検出する手段とからなる。
【0012】第3の発明では、第1の発明において前記
変速機の入力軸回転数としてエンジン回転数を用いると
ともに、前記変速機の出力軸回転数を車両速度または車
軸回転数と変速機の変速比とから計算により求める。
【0013】第4の発明では、第1の発明において前記
変速機負荷の減少を、車両速度、駆動軸回転数または変
速機の出力軸回転数に基づいて検出する。
【0014】第5の発明では、図37に示すように、ア
イドル状態での目標回転数NSETを設定する手段31
と、アイドル状態を検出する手段32と、このアイドル
状態の検出時にエンジン回転数が前記目標回転数NSE
Tと一致するようにトルク制御手段を用いてアイドル回
転数のフィードバック制御を行う手段41と、変速機が
走行レンジにありかつエンジンからみた変速機負荷の減
少時かどうかを判定する手段42と、この判定結果より
変速機が走行レンジにありかつエンジンからみた変速機
負荷の減少時に前記目標回転数を所定値だけ高く設定す
る手段43とを設けた。
【0015】第6の発明では、第5の発明において前記
変速機負荷の減少を検出する手段が、前記変速機の入力
軸回転数n1と出力軸回転数n2をそれぞれ検出する手
段と、これら入出力軸回転数比n2/n1に基づいて前
記変速機負荷T1を算出する手段と、前記入力軸回転数
n1に基づいて前記出力軸回転数n2が0となるときの
前記変速機負荷または最大の前記変速機負荷T0を算出
する手段と、この出力軸回転数n2が0となるときの前
記変速機負荷または最大の前記変速機負荷T0と前記入
出力軸回転数比に基づく前記変速機負荷T1との差より
前記変速機負荷の減少を検出する手段とからなる。
【0016】第7の発明では、第5の発明において前記
変速機の入力軸回転数としてエンジン回転数を用いると
ともに、前記変速機の出力軸回転数を車両速度または車
軸回転数と変速機の変速比とから計算により求める。
【0017】第8の発明では、第5の発明において前記
変速機負荷の減少を、車両速度、駆動軸回転数または変
速機の出力軸回転数に基づいて検出する。
【0018】第9の発明では、第1から第4までのいず
れか一つの発明において前記応答の速いトルク制御手段
が点火時期制御手段であり、前記トルク増量余裕代生成
手段35が前記点火時期制御手段による点火時期の動作
中心を遅角側に移動させる手段である。
【0019】第10の発明では、第1から第4までのい
ずれか一つの発明において前記応答の速いトルク制御手
段が空燃比制御手段であり、前記トルク増量余裕代生成
手段35が前記空燃比制御手段による空燃比の動作中心
をリーン側に移動する手段である。
【0020】第11の発明では、第1から第4までのい
ずれか一つの発明において前記応答性の速いトルク制御
手段が発電量制御手段であり、前記トルク増量余裕代生
成手段35が前記発電量制御手段による発電量の動作中
心を増量側に移動する手段である。
【0021】第12の発明では、第1から第4までのい
ずれか一つの発明において前記トルク増量余裕代生成手
段35が、応答の遅いトルク制御手段により発生トルク
を増加させるとともに、このトルク増加分を前記応答の
速いトルク制御手段により相殺する手段である。
【0022】第13の発明では、第12の発明において
前記応答の遅いトルク制御手段が空気量制御手段であ
る。
【0023】第14の発明では、第1から第4まで、第
9から第13までのいずれか一つの発明において前記ト
ルク増量余裕代を前記変速機負荷の減少量が大きくなる
ほど大きくする。
【0024】第15の発明では、第14の発明において
前記変速機負荷の減少量をローパスフィルタによりフィ
ルタリングする。
【0025】第16の発明では、第15の発明において
前記ローパスフィルタの時定数を、入力が出力より大き
い場合は小さく入力が出力より小さい場合は大きくす
る。
【0026】第17の発明では、第5から第8までのい
ずれか一つの発明において前記所定値を、前記変速機負
荷の減少量が大きくなるほど大きく設定する。
【0027】第18の発明では、第17の発明において
前記所定値を設定した後に前記変速機負荷の減少量が小
さくなったとき前記目標回転数を元の値に戻す。
【0028】第19の発明では、第17または第18の
発明において前記変速機負荷の減少量をローパスフィル
タによりフィルタリングする。
【0029】第20の発明では、第19の発明において
前記ローパスフィルタの時定数を、入力が出力より大き
い場合は小さく入力が出力より小さい場合は大きくす
る。
【0030】第21の発明では、第17の発明において
前記所定値を設定した後に前記変速機負荷の減少量が小
さくなったとき所定時間の後で前記目標回転数を元の値
に戻す。
【0031】第22の発明では、第1から第4の発明ま
で、第6から第16までのいずれか一つの発明において
前記トルク増量余裕代の生成後に前記変速機負荷が急増
したかどうかを判定する手段と、この判定結果より変速
機負荷が急増したとき前記トルク増量余裕代を用いて前
記応答の速いトルク制御手段によりトルク増量側に制御
する手段とを設けた。
【0032】第23の発明では、第1から第4の発明ま
で、第9から第16までのいずれか一つの発明において
前記トルク増量余裕代の生成後に前記変速機負荷が急増
しかつ回転低下が生じたかどうかを判定する手段と、こ
の判定結果より変速機負荷が急増しかつ回転低下が生じ
たとき前記トルク増量余裕代を用いて前記応答の速いト
ルク制御手段によりアイドル回転数のフィードバック制
御を行う手段とを設けた。
【0033】第24の発明では、第23の発明において
前記トルク増量余裕代を用いてのアイドル回転数のフィ
ードバック制御におけるフィードバック制御量がアイド
ル回転数の変化量に応じた値である。
【0034】第25の発明では、第23の発明において
前記トルク増量余裕代を用いてのアイドル回転数のフィ
ードバック制御におけるフィードバック制御量がアイド
ル回転数と目標回転数の偏差に応じた値である。
【0035】
【作用】アイドル回転数のフィードバック制御中かつ自
動変速機のセレクタ位置が走行レンジにある場合に、急
ブレーキ操作が行われたとき応答の遅いトルク制御手
段、たとえば空気量制御手段により、供給空気量を増量
して発生トルクを大きくしようとしても、空気量の増量
操作から実際に発生トルクが大きくなるまでにかなり大
きな時間的遅れがあるため、急制動等に伴うエンジンか
らみた変速機負荷の急増に対応することは困難である。
また、点火時期制御手段は応答の速いトルク制御手段で
あるが、点火時期の動作中心が燃費の向上をねらって最
大トルク点付近に設定されている場合には、発生トルク
を増量させる余裕代がほとんどないため、点火時期制御
によっても、急制動による回転低下を十分に抑止するこ
とができない。これに対して、第1の発明では変速機が
走行レンジにありかつエンジンからみた変速機負荷の減
少時(つまり制動動作等により急激な変速機負荷の増加
が生じる可能性があるとき)かつアイドル状態になった
とき応答の速いトルク制御手段に所定のトルク増量余裕
代を生成させるので、アイドル自走時にエンジンからみ
た変速機負荷の急増があっても、そのトルク増量余裕代
を用いて高応答のトルク制御が行われ、これによって、
耐エンスト性を高めつつアイドル回転数を目標回転数に
維持することができる。
【0036】第2と第6の各発明では、変速機の入力軸
回転数と出力軸回転数をそれぞれ検出し、これら入出力
軸回転数比に基づいて変速機負荷を、また入力軸回転数
に基づいて前記出力軸回転数が0となるときの変速機負
荷(または最大の前記変速機負荷)を算出し、この出力
軸回転数が0となるときの変速機負荷(または最大の前
記変速機負荷)と入出力軸回転数比に基づく変速機負荷
との差より変速機負荷の減少を検出するので、精度良く
エンジンからみた変速機負荷の減少を検出することがで
きる。
【0037】第3と第7の各発明では、変速機の入力
軸、出力軸の各回転数を検出する新たなセンサの追加に
よるコストアップを招くことがない。
【0038】第4と第8の各発明では、変速機負荷の減
少を通常のエンジン制御システムにおいて既存のものを
用いて簡易に検出できる。
【0039】第5の発明では走行レンジかつエンジンか
らみた変速機負荷の減少時にアイドル回転数のフィード
バック制御における目標回転数が従来より所定値だけ高
く設定され、アイドル状態になるとその高く設定された
目標回転数となるようにトルク制御手段を用いてアイド
ル回転数のフィードバック制御が行われることから、走
行レンジかつエンジンからみた変速機負荷の減少時に急
制動等により急激にエンジン回転数がアンダーシュート
してアイドル状態に移行したとしても、そのアンダーシ
ュートによる最低回転数が相当高く保持され、これによ
ってエンストに至ることが防止される。なお、通常より
高くなる目標回転数は、あくまでも運転性と耐エンスト
性のトレードオフから得られる値として設定することが
でき、第5の発明ではフィードバック制御によりその目
標回転数にアイドル回転数が維持されるのであり、最低
空気量を規定することにより耐エンスト性は満たされる
ものの目標回転数に維持されるかどうかはわからない特
開平2−81939号公報とは異なる。
【0040】燃費の向上などをねらって点火時期の動作
中心を最大トルク点付近に設定している従来例では、ア
イドル状態における負荷の急増に対抗して発生トルクを
増量させるだけの余裕代はないのであるが、第9の発明
では、点火時期の動作中心を遅角側に移動させること
で、十分なトルク増量余裕代が生まれる。また、点火時
期制御手段を用いてのアイドル回転数のフィードバック
制御であるため、急制動に伴うエンジン回転の低下に対
しても十分な応答性をもつ。
【0041】第10の発明では、三元触媒方式のとき空
燃比の動作中心を三元点からリーン側に移動し、また第
11の発明では発電量の動作中心を増量側に移動するの
で、これらの発明でも十分なトルク増量余裕代が生まれ
る。また、空燃比制御手段や発電量制御手段を用いての
アイドル回転数のフィードバック制御であるため、エン
ジン回転の低下に対して十分な応答性をもつ。
【0042】第12の発明では、応答の遅いトルク制御
手段により発生トルクを増加させるとともに、このトル
ク増加分を前記応答の速いトルク制御手段により相殺す
るので、発生トルクを一定に維持したまま、高応答のト
ルク増量余裕代をもった状態へと速やかに移行させるこ
とができる。
【0043】アイドル回転低下に対する補償を大きくし
ようとトルク増量余裕代を一定値で大きくしたのでは、
トルク増量余裕代を生成するための点火時期の遅角量が
大きくなり燃費的にロスが生じてしまうが、第14の発
明ではトルク増量余裕代をエンジンからみた変速機負荷
の減少量が大きくなるほど大きくするので、負荷減少量
に応じた必要量だけのトルク増量余裕代を与えることが
でき、これにより燃費的なロスが生じることがない。
【0044】変速機負荷の減少量そのものに応じてトル
ク増量余裕代を算出するときには、変速機負荷の増減に
伴ってトルク増量余裕代をあまりにも敏感に追従させる
ことになり、トルク制御の高精度化、高応答化が必要と
なるが、第15の発明では、トルク増量余裕代を求める
ための変速機負荷の変化量をローパスフィルタによりな
ましているので、高精度化、高応答化を必要とすること
なくトルク制御を適切に行うことができる。第19の発
明でも、目標回転数を高くする所定値を求めるための変
速機負荷の変化量をローパスフィルタによりなましてい
るので、高精度化、高応答化を必要とすることなくトル
ク制御を適切に行うことができる。
【0045】第16の発明では、ローパスフィルタの時
定数を、入力が出力より大きい場合は小さく入力が出力
より小さい場合は大きくするので、高応答のトルク増
量余裕代をあまり過敏に動かしたくない、しかしながら
高応答のトルク増量余裕代の準備はできれば速くした
い、といった2つの相反する要求を満たすことができ
る。第20の発明では、所定値高くした目標回転数
を、その後に変速機負荷の減少量が小さくなったからと
いってあまり過敏に下げたくはない、しかしながら変
速機負荷の減少時に目標回転数を所定値高くするときは
できれば速くしたい、といった2つの相反する要求を満
たすことができる。
【0046】目標回転数を高くするための所定値が一定
値のため変速機負荷の大きな減少量に合わせて所定値を
設定したのでは、目標回転数が高すぎて無用な燃料消費
が生じるが、第17の発明では変速機負荷の減少量が大
きくなるほど所定値を大きくするので、無用な燃料消費
を避けることができる。
【0047】第18の発明では、目標回転数を高くする
するための所定値を設定した後に変速機負荷の減少量が
小さくなったとき目標回転数を元の値に戻すので、無用
な燃料消費を抑えることができる。
【0048】第21の発明では、変速機負荷の減少量が
小さくなった(つまり変速機負荷が大きくなった)こと
に対して、フィードバック制御により対応が十分終了し
たあとに、目標空燃比を元に戻すことができることにな
り、所定値高くした目標回転数を、その後に変速機負荷
の減少量が小さくなったからといってあまり過敏に下げ
たくはないという要求を満たすことができる。
【0049】第22の発明では、応答の速いトルク制御
手段にトルク増量余裕代を生成させた後に変速機負荷が
急増したときそのトルク増量余裕代を用いて応答の速い
トルク制御手段によるトルク制御を行うようにしたの
で、アイドル自走中に変速機負荷が急増したときにも確
実にアイドル回転数のアンダーシュートを防止できる。
【0050】第23の発明では、高応答のトルク増量余
裕代を有する状態へと移行させた後に変速機負荷が急増
しかつ回転低下が生じたときその高応答のトルク増量余
裕代を用いて応答の速いトルク制御手段によりアイドル
回転数のフィードバック制御を行うので、アイドル回転
数を目標値に維持しつつ変速機負荷の急増に確実に対処
することができる。
【0051】
【実施例】図1において1はエンジン本体である。吸入
空気はエアクリーナ2から流入するが、その流量はアク
セルペダルと連動するスロットル弁3により調整され、
この調整された吸入空気がコレクタ4にいったん蓄えら
れたあと分岐管5を経て各気筒のシリンダに供給され
る。燃料はコントロールユニット11からの噴射信号に
基づき燃料噴射弁6から吸気ポートに向けて噴射され
る。
【0052】また、コントロールユニット11からの点
火信号を受けるパワートランジスタ、点火コイル、ディ
ストリビュータ12、点火プラグ13からなる点火装置
により、シリンダ内のガスに点火が行われ、シリンダ内
で燃焼したガスは排気通路8へ排出され、排気中のH
C、CO、NOxが三元触媒9により浄化される。
【0053】コントロールユニット11にはディストリ
ビュータ12に内蔵されるクランク角センサ15からの
Ref信号(4気筒では180°ごと、6気筒では12
0°ごとに発生)と1°信号、エアフローメータ16か
らの吸入空気量信号、スロットルセンサ17からのスロ
ットル開度信号、水温センサ18からの冷却水温信号等
が入力され、これらに基づいて運転状態を判断しながら
燃料噴射量(空燃比)と点火時期を制御する。
【0054】上記のスロットル弁3をバイパスする補助
空気通路19には、コントロールユニット11からの出
力信号により直接作動するロータリーソレノイド式の補
助空気弁20が設けられる。補助空気弁20は一定の周
波数によりON−OFF駆動され、ON時間割合が大き
くなるほど補助空気量が増加する。
【0055】コントロールユニット11では、冷却水
温、始動後の経過時間、バッテリ電圧、パワステ油圧ス
イッチ、エアコンスイッチ、自動変速機のセレクタ位置
などによりアイドル状態での目標回転数を定めており、
アイドル状態のうち、後述する走行レンジかつ負荷減少
時でないときに、この目標回転数から実際の回転数が2
5rpm以上外れた場合は目標回転数に近づくように回
転数のフィードバック制御を行う。このフィードバック
制御においては、目標回転数より25rpm以上低いと
きは、上記のON時間割合(つまりONデューティ)を
大きくして補助空気量を増量し、この逆に目標回転数よ
り25rpm以上高いときはONデューティを小さくし
て補助空気量を減量するのである。なお、補助空気弁2
0と一体でFICDソレノイド(図示しない)が構成さ
れており、エアコンの作動時には補助空気弁とこのFI
CDソレノイドにより目標回転数に制御されるようにな
っている。
【0056】さて、アイドル自走中かつ空気量制御手段
を用いてのアイドル回転数のフィードバック制御中に急
ブレーキ操作が行われたときには、エンジンに対するト
ルクコンバータ負荷が急増して回転低下し、エンストす
る場合があるので、制動装置の作動が検出されたとき、
アイドル回転数のフィードバック補正量を増すようにし
たものがある。
【0057】しかしながら、供給空気量の増量により発
生トルクを大きくしようとしても、空気量の増量操作か
ら実際に発生トルクが大きくなるまでにかなり大きな時
間的遅れがあるため、急制動に伴うトルクコンバータ負
荷の急増に対応することは困難である。また、点火時期
を使用してのトルク制御(つまり点火時期制御手段を用
いてのアイドル回転数のフィードバック制御)であれ
ば、応答性としては問題ないのであるが、点火時期の動
作中心が燃費の向上をねらって最大トルク点付近に設定
されている場合には、発生トルクを増量させる余裕代が
ほとんどないため、アイドル回転数のフィードバック制
御中における急制動による回転低下を十分に抑止するこ
とができない。
【0058】これに対処するため本発明では、自動変速
機のセレクタ位置が走行レンジにありかつエンジンから
みたトルクコンバータ負荷(以下単に負荷で略称する)
が減少しているとき(つまり制動動作等により負荷の急
増が生じる可能性があるとき)、アイドル状態での目標
回転数NSETを予め所定値だけ高く設定しておき、走
行レンジかつ負荷減少時かつアイドル状態になると、点
火時期制御手段に所定のトルク増量余裕代が生成するよ
うに点火時期の動作中心を遅角側に移動させるととも
に、アイドル回転数が前記高く設定された目標回転数と
一致するように点火時期制御手段を用いてアイドル回転
数のフィードバック制御を行う。
【0059】コントロールユニット11で実行されるこ
の制御の内容を、以下のフローチャートにしたがって説
明する。
【0060】図2のフローチャートは、アイドル回転数
の制御を行うためのもので、一定時間(たとえば10m
s)毎に実行する。
【0061】まずステップ1では、アイドル状態かどう
かを検出する。たとえばスロットル弁3が全閉状態で所
定時間が経過したときあるいはエンジン回転数が所定値
以下になったときアイドル状態であると判断し、アイド
ルフラグ(始動時に“0”に初期設定)を“1”にセッ
トする。
【0062】ステップ2では自動変速機のセレクタ位置
を検出する。たとえば自動変速機からのインヒビタース
イッチ信号をみて、これがOFFのときは走行レンジに
あると判断して走行レンジフラグ(始動時に“0”に初
期設定)を“1”にセットする。
【0063】ステップ3ではエンジンに対するトルクコ
ンバータ負荷の減少を検出する。この検出については図
3のフローにより説明する。
【0064】ステップ11ではトルクコンバータの入力
軸回転数n1と出力軸回転数n2を読み込み、これらの
比(回転数比)n2/n1からステップ12において図
4を内容とするテーブルを検索してトルクコンバータの
容量係数Cを求め、ステップ13において T1=C×n12 …(1) の式によりそのときの負荷T1を、またステップ14に
おいて T0=C0×n12 …(2) ただし、C0:n2が0のときの容量係数の式によりト
ルクコンバータ出力軸を固定したときの負荷T0を計算
し、ステップ15では ΔT=T0−T1 …(3) の式によりT0からの負荷減少量ΔTを計算する。ΔT
は現在の回転数比n2/n1に対する負荷のとき、トル
クコンバータ出力軸を固定したときの負荷T0に対して
どのくらい減少しているかを示す値である。なお、C0
に代えて、図4の最大容量係数Cmaxを用いて(2)
式によりT0を求めてもかまわない。
【0065】この負荷減少量ΔTと正の所定値Hをステ
ップ16において比較し、ΔT≧Hであれば、負荷が減
少していると判断し、ステップ17で負荷減少フラグ
(始動時に“0”に初期設定)を“1”にセットし、Δ
T<Hのときにはステップ18で負荷減少フラグを
“0”にリセットする。負荷減少フラグ=1により負荷
が減少していることを表すわけである。
【0066】なお、トルクコンバータの上記の入出力軸
回転数n1、n2は、クランク角センサとこのセンサ出
力を用いてのエンジン回転数計測と同様な構成で計測す
ればよい。
【0067】なお、負荷減少の検出はこれに限られな
い。たとえば、トルクコンバータの入力軸回転数、出力
軸回転数をそれぞれ検出するセンサを新たに設けること
なく、次の構成(第2実施形態)により入力軸回転数、
出力軸回転数を検出することができる。まず、トルクコ
ンバータの入力軸がエンジン出力軸と直結される多くの
場合には、エンジン回転数がトルクコンバータの入力軸
回転数と等しいことよりコントロールユニット11の計
測するエンジン回転数をそのまま入力軸回転数n1とお
く。これに対してトルクコンバータの出力軸回転数n2
は車速、タイヤ径、変速機の減速比などから計算する。
ただし、このn2の計算に当たっては、変速機のセレク
タ位置の検出によりニュートラル状態でないことが前提
となる。この第2実施形態によれば、新たなセンサの追
加によるコストアップを招くことがない。
【0068】また、負荷減少量といった連続的値でな
く、たとえば図4において回転数比n2/n1と0.7
5を比較し、回転数比n2/n1が0.75を超えれば
負荷減少であると検出する構成(第3実施形態)として
もよい。同様に、第2、第3の各実施形態のように精密
に負荷減少量を求めるのではなく、おおざっぱに負荷が
減少している(あるいは減少していない)といった程度
の検出でもかまわない。この程度の検出であれば、トル
クコンバータの入出力軸回転数の双方を検出せずに、出
力軸回転数n2の情報のみに基づくことが可能である。
これは、ある程度の車速が出ている状態では、負荷が実
際上減少するからである。したがって、車速あるいはト
ルクコンバータの出力軸回転数(あるいは駆動軸回転
数)が所定値より大きいとき負荷減少であると判断させ
る構成(第4実施形態)が考えられる。
【0069】このようにして負荷減少を検出したら図2
のステップ4に戻り、アイドル状態での目標回転数NS
ETを設定する。目標回転数NSETは冷却水温、始動
後の経過時間、バッテリ電圧、パワステ油圧スイッチ、
エアコンスイッチ、自動変速機のセレクタ位置などによ
り予め定めている。たとえば図5に示したように、セレ
クタ位置が走行レンジにある場合にエアコンが非作動状
態より作動状態に切換えられると目標回転数が所定値だ
けアップされる。また、ほぼ40℃以下の低温状態でセ
レクタ位置が非走行レンジにあるときには、クリープ現
象が大きくなることもないので、アイドル回転を安定さ
せるため目標回転数が高められる。
【0070】ステップ5ではステップ2、3により設定
した2つのフラグをみて、走行レンジフラグ=1かつ負
荷減少フラグ=1(つまり走行レンジかつ負荷減少時)
のとき(つまりブレーキ操作等により負荷の急増が生じ
る可能性があるとき)はステップ6に進み、目標回転数
NSETを一定値NUPだけ高くした値を改めて目標回
転数NSETとおく。
【0071】ステップ7ではステップ1により設定した
アイドルフラグをみて、アイドルフラグ=1のときはス
テップ8に進み、点火時期制御手段に所定のトルク増量
余裕代を生成させる。トルク増量余裕代の生成は必要な
ときだけに行わなければならないため、走行レンジかつ
負荷減少時かつアイドル状態になったときをトルク増量
余裕代の生成が必要なときであると判断し、ステップ8
へと進ませているわけである。これに対して、目標回転
数を所定値だけ高く設定する処理は基本的にいつ行って
も問題はない。アイドル回転数のフィードバック制御に
入らない限りは目標回転数に向けての制御が行われない
ため、影響するところがないからである。
【0072】トルク増量余裕代の生成については図6の
フローにより説明する。
【0073】ステップ31ではアイドル状態での点火進
角値PGOVのテーブルを所定値RETだけ減量した新
たな点火進角値PGOVRのテーブルを作成する。たと
えば、回転数Nに応じて変化する点火進角値PGOVの
特性が図7において実線であったとすると、新たな点火
進角値PGOVRの特性は破線となるわけである。な
お、PGOVRのテーブルは予め用意しておいてもかま
わない。
【0074】なお、負荷減少をON、OFF的にとらえ
るならRETは固定値でよく、負荷減少量としてアナロ
グ的に捕らえるときは、負荷減少量に応じた可変値でR
ETを与えればよい。
【0075】所定のアイドル状態における点火時期と発
生トルクの関係を図8に示すと、点火時期は、遅角側の
燃焼安定限界点と進角側の最大トルク点(あるいはノッ
キング限界点)の間で使用することができ、従来は燃費
の向上などをねらって図中の☆印付近(最大トルク点付
近)の値をPGOV(動作中心)として使用しているた
め、アイドル状態における負荷の急増に対抗して発生ト
ルクを増量させるだけの余裕代はない。これに対して本
発明では、走行レンジかつ負荷減少時かつアイドル状態
になったとき、点火時期の動作中心を☆印の位置より●
印の位置まで遅角し、この遅角した値PGOVRを改め
て点火時期の動作中心とすることによって図示のように
十分なトルク増量余裕代を生み出させるのである。ま
た、応答性についていえば、点火時期の操作からトルク
発生までの期間はクランク角で数10゜(気筒数に無関
係)であり、急制動に伴うエンジン回転の低下に対して
も十分な応答性をもっている。
【0076】このようにして、点火時期の動作中心の遅
角操作によりトルク増量余裕を生成する操作を終了した
ら、図2のステップ9に戻り、アイドル状態であればス
テップ10に進んで、アイドル回転数のフィードバック
制御を行う。
【0077】ここで、アイドル回転数のフィードバック
制御を行う場合には、〈1〉走行レンジかつ負荷減少時
の場合(つまりステップ6、7、8、9を通過したあと
にアイドル状態になる場合)と〈2〉それ以外の場合
(つまりステップ6、7、8を飛ばしてアイドル状態に
なる場合) とがあり、これらいずれの場合も点火時期制御手段を用
いてのアイドル回転数のフィードバック制御と補助空気
弁20による空気量制御手段を用いてのアイドル回転数
のフィードバック制御とをともに行う。なお、2つのフ
ィードバック制御を重複して行っても、システムの安定
性を損うハンチングの問題が生じることはない。ハンチ
ングが生じるかどうかは制御のチューニングしだいであ
り、システムの安定性を損なわない範囲で応答性が高ま
るように各フィードバック制御の制御ゲインを設定する
ことが可能である。
【0078】この場合に、〈1〉の走行レンジかつ負荷
減少時に目標回転数を一定値上昇させかつ点火時期の動
作中心を遅角側に移動させている点が従来と相違するの
で、走行レンジかつ負荷減少時に加えてステップ9でア
イドル状態になった場合に点火時期制御手段を用いての
アイドル回転数のフィードバック制御を図9のフローに
より説明する。
【0079】アイドルフラグ=1(アイドル状態)のと
きはステップ42に進み、エンジン回転数Nから図7の
破線を内容とするテーブルを検索してアイドル状態の点
火進角値PGOVRを求める。
【0080】ステップ43では目標回転数NSET(図
2のステップ6で一定値高く設定された値)と実回転数
Nとの差ΔNを計算し、ステップ44においてこのΔN
より図10を内容とするテーブルを検索して点火時期の
フィードバック量ADVFBを算出し、これをPGOV
R(ステップ42において既に得ている)に加算した値
をステップ45において点火進角値ADVに入れる。A
DVFBは図10に示したように、ΔN>25rpm
(NSET>N)のとき正の値(点火時期を進角補
正)、ΔN<−25rpm(NSET<N)のとき負の
値(点火時期を遅角補正)である。
【0081】ここで、ADVは圧縮上死点から進角側に
図ったクランク角である。このADVはRef信号に同
期して出力レジスタに移され、圧縮上死点前のクランク
角がADVと一致したとき点火コイルの一次電流が遮断
される。
【0082】このようにして、点火時期制御手段を用い
てのアイドル回転数のフィードバック制御では、目標回
転数NSETより25rpm以上低いとき、点火時期を
進角補正して発生トルクを増量し、この逆に目標回転数
NSETより25rpm以上高いとき点火時期を遅角補
正して発生トルクを減量するのである。
【0083】ここで、第1実施形態の作用を説明する。
【0084】アイドル自走中かつ空気量制御手段を用い
てのアイドル回転数のフィードバック制御中に急ブレー
キ操作が行われたとき供給空気量を増量して発生トルク
を大きくしようとしても、空気量の増量操作から実際に
発生トルクが大きくなるまでにかなり大きな時間的遅れ
があるため、急制動に伴う負荷の急増に対応することは
困難であること、また空気量制御手段に代えて点火時期
制御手段を用いてアイドル回転数のフィードバック制御
を行うにしても、点火時期の基準位置が燃費の向上をね
らって最大トルク点付近に設定されている場合には、発
生トルクを増量させる余裕代がほとんどないため、アイ
ドル自走中かつアイドル回転数のフィードバック制御中
の急制動による回転低下を十分に抑止することができな
いことを前述した。
【0085】これに対して本発明ではアイドル状態の前
の走行レンジかつ負荷減少時(つまり制動動作等により
急激な変速機負荷の増加が生じる可能性があるとき)に
アイドル回転数のフィードバック制御における目標回転
数を従来より一定値NUPだけ高く設定し、走行レンジ
かつ負荷減少時かつアイドル状態になったとき、点火時
期の動作中心を所定値RETだけ遅角側に移動して点火
時期制御手段に所定のトルク増量余裕代を生成させ、そ
のトルク増量余裕代の生じた点火時期制御手段を用いて
前記高く設定した目標回転数となるようにアイドル回転
数のフィードバック制御を行うので、アイドル自走中か
つアイドル回転数のフィードバック制御中に急制動等に
よる負荷の急増があっても、従来より高い目標回転数を
目標として、従来にはなかったトルク増量余裕代を用い
ての高応答のトルク制御が行われ、これによりエンスト
を防止しつつアイドル回転数を目標回転数に維持するこ
とができる。
【0086】また、アイドル状態途中で走行レンジかつ
負荷減少時となったとき(たとえば、Dレンジでブレー
キを踏んだ状態で停車しアイドル回転数のフィードバッ
ク制御を行っている状態よりブレーキペダルを緩めるこ
とによって車が自走し始めた場合に、車速の上昇に伴い
負荷が減少したとき)にも、目標回転数が従来より一定
値NUPだけ高く設定され、かつ点火時期制御手段に所
定のトルク増量余裕代が生成され、そのトルク増量余裕
代の生じた点火時期制御手段を用いて一定値NUPだけ
高く設定された目標回転数となるようにアイドル回転数
のフィードバック制御が行われるので、同様の作用効果
が生じる。
【0087】図11のフローチャートは第5実施形態
で、図9に対応する。図11も走行レンジかつ負荷減少
時であることが前提である。
【0088】この実施形態は、走行レンジかつ負荷減少
時にアイドル状態での目標回転数NSETを一定値NU
Pだけ高く設定し、走行レンジかつ負荷減少時かつアイ
ドル状態になると、空燃比の動作中心をリーン側に移動
させることにより空燃比制御手段に所定のトルク増量余
裕代を生成させ、そのトルク増量余裕代の生じた空燃比
制御手段を用いてアイドル回転数のフィードバック制御
を行うようにしたものである。
【0089】所定のアイドル状態における空燃比と発生
トルクの関係を図13に示すと、三元触媒方式のもので
は三元点の空燃比(14.7程度)が空燃比の動作中心
として使用され、リーンバーンシステムのエンジンにな
るとリーン運転条件の成立時に23程度の空燃比が空燃
比の動作中心として使用される。したがって、三元触媒
方式のとき☆印の位置から●印の位置まで空燃比の動作
中心をリーン側に移動させることにより、図示のように
十分なトルク増量余裕代を生み出すことができる。これ
に対してリーンバーンシステムのエンジンにおいてリー
ン運転条件でのアイドル時に空燃比の動作中心がもとも
と●の位置にあるときには、トルク増量余裕代を生成す
るためのリーン化操作は特に必要ない。応答性について
は、燃料噴射量の操作からトルク発生までの期間はクラ
ンク角で360゜程度(燃焼室内に直接に燃料を噴射す
るエンジンの場合は180゜程度)(これら360°、
180°の値も気筒数に無関係)であり、点火時期の遅
角操作によりトルク増量余裕を生成する場合と同様に、
エンジン回転の低下に対して十分な応答性をもってい
る。
【0090】具体的には、図11においてアイドルフラ
グ=1(アイドル状態)のときにステップ52に進み、
エアフローメータ出力より得られる吸入空気量Qとエン
ジン回転数Nとから TpL=(Q/N)×K×KLEAN …(4) ただし、K:定数 KLEAN:リーン化定数 の式により基本噴射パルス幅TpLを算出する。
【0091】ここで、(4)式右辺の(Q/N)×Kが
ほぼ三元点での空燃比が得られる従来の基本噴射パルス
幅Tpであり、この値にKLEANを乗算することによ
り図13において空燃比の動作中心を●印の位置へと移
すのである。
【0092】ステップ53では目標回転数NSET(図
2のステップ6で一定値高く設定された値)と実回転数
Nの差ΔNを計算し、ステップ54においてこの差ΔN
より図12を内容とするテーブルを検索して空燃比のフ
ィードバック量TPFBを求め、ステップ55で Ti=(TpL+TPFB)×α×Co×2+Ts …(5) ただし、Co:各種補正係数 α:空燃比フィードバック補正係数 Ts:無効パルス幅 の式によりシーケンシャル噴射の場合の燃料噴射パルス
幅Tiを計算する。
【0093】ここで、TPFBは図12に示したよう
に、ΔN>25rpm(NSET>N)のとき正の値
(燃料量を増量補正)、ΔN<−25rpm(NSET
<N)のとき負の値(燃料量を減量補正)である。
【0094】なお、(5)式において、Coはいろいろ
な条件下(たとえば始動時、暖機時、高負荷など)で円
滑な運転を確保するため、各センサからの信号をもとに
Tpを補正するための値、αは三元触媒9の転化作用を
最大限に引き出すため空燃比がいわゆるウィンドウに落
ち着くようにO2センサ10出力に基づいて演算される
値、Tsは噴射弁6が噴射信号を受けてから実際に開弁
するまでに作動遅れ時間がありこの作動遅れ時間が変動
するのを補正するための値である。ただし、トルク増量
余裕代を生成するため空燃比の動作中心をリーン側に移
動させる場合にまで、空燃比のフィードバック制御を行
ったのでは、リーン化できなくなるので、αを1.0に
クランプする。
【0095】応答の速いトルク制御手段に所定のトルク
増量余裕代を生成する方法はこれに限られない。たとえ
ば応答の速いトルク制御手段にオルタネータの発電量を
操作できる発電量制御手段があり、この発電量制御手段
を用いてアイドル回転数のフィードバック制御を行うも
のにおいて、トルク増量余裕代が必要となったときに発
電量の動作中心を、それまで増量していたレベルから通
常の発電量やそれ以下の発電量へと一時的に減少させる
ことにより、発電量の減少に相当するトルク増量余裕代
を生じさせることができる(第6実施形態)。
【0096】たとえば、オルタネータ(エンジン駆動)
での発電電圧を制御するレギュレータの目標電圧を操作
可能とし、大きな電気負荷が入ったとき、エンジン負荷
が急激に増えないように、ECUからのPWM信号によ
りその目標電圧を下げて負荷を軽くする公知のシステム
があるので、このシステムを利用して、トルク増量余裕
代が必要となったときその目標電圧を上昇させる。これ
により負荷を下げる方向のトルク余裕代が増加(つまり
トルク増量余裕代が増える)するのである。なお、この
システムは、上記のレギュレータとECUとが別になっ
ているものであるが、レギュレータをECUに内蔵した
ものでもかまわない。
【0097】なお、トルク増量余裕代を生成する方法が
相違する前記第1、第5、第6の各実施形態を単独で用
いるだけでなく、組み合わせて用いることにより、より
大きなトルク増量余裕を生成できることはいうまでもな
い。
【0098】図14のフローチャートは第7実施形態
で、図2に対応する。なお、図2と同一部分には同一の
ステップ番号をつけている。
【0099】第1、第5、第6の各実施形態においてト
ルク増量余裕代を生成するためとはいえ、走行レンジか
つ負荷減少時かつアイドル状態になったとたんに点火時
期、空燃比または発電量の動作中心を一気に変化させた
のでは、発生トルクが減少してアイドル回転数が一時的
に低下する。このときの回転低下をアイドル回転数につ
いての通常のフィードバック制御によりカバーできるよ
うゆっくりと点火時期、空燃比または発電量の動作中心
を変化させることが考えられるが、その一方で、点火時
期、空燃比または発電量の動作中心を変化させている途
中で負荷が急増したときには回転低下に対して十分なト
ルク補償がなされず、大きな回転低下が生じてしまう可
能性がある。
【0100】これに対処するため第7実施形態では、基
本的にアイドル回転数のフィードバック制御に頼らず、
走行レンジかつ負荷減少時かつアイドル状態となったと
きフィードフォワード的に応答の遅いトルク制御手段
(たとえば補助空気弁20による空気量制御手段)によ
り発生トルクを上昇させるとともに、その発生トルクの
上昇分を応答の速いトルク制御手段(たとえば点火時期
制御手段)により相殺させることによって、発生トルク
を一定に維持したまま、高応答のトルク増量余裕代を生
成させる(図14のステップ61)。
【0101】このトルク増量余裕代を生成する操作につ
いて図15のフローにより説明する。図15も第1実施
形態の図9、第5実施形態の図11と同じに走行レンジ
かつ負荷減少時であることが前提である。
【0102】アイドルフラグ=1(アイドル状態)のと
きステップ71よりステップ72に進み初回フラグをみ
る。初回フラグは始動時に“0”に初期設定されること
から、始動後に初めてアイドルフラグ=1となったとき
には初回フラグ=0であることよりステップ73に進
み、テーブル(図7の実線参照)の検索により求めたア
イドル状態の点火進角値PGOVを点火進角値ADVに
入れる。
【0103】ステップ74〜79は、補助空気弁20に
よる空気量制御手段により発生トルクを上昇させる部分
である。まず、ステップ74では、必要となるトルク増
量余裕代TYOYUを算出する。このトルク増量余裕代
TYOYUの算出については図16のフローにより説明
する。
【0104】ステップ91〜95では図3のステップ1
1〜15と同様にして負荷減少量ΔTを求め、このΔT
からステップ96において図17を内容とするテーブル
を検索してトルク増量余裕代TYOYUを求める。
【0105】TYOYU(実線の特性)は図17に示し
たように、〈1〉傾き(ゲイン)が1より小さい、
〈2〉ΔTが小さいところでは不感帯をもつ、〈3〉Δ
Tが大きいところでは最大値リミッタをもつなどの特性
をもたせている。
【0106】ここで、〈1〉としたのは次の理由からで
ある。アイドル回転低下に対する補償を大きくしようと
トルク増量余裕代TYOYUを十分な大きさとしたので
は、後述する点火時期の遅角量(図20のRET2のこ
と)が大きくなり燃費的にロスが生じてしまうため、ト
ルク増量余裕代TYOYUは必要量に留めておくことが
望ましい。したがって、負荷減少量ΔTに応じた必要量
だけのトルク増量余裕代TYOYUを〈1〉により与え
るのである。
【0107】このようにしてトルク増量余裕代TYOY
Uを算出したら図15のステップ75に戻り、トルク増
量余裕代TYOYUからこの余裕代のトルクを増量する
のに必要となる補助空気増加量ΔQを ΔQ=(N/定数)×TYOYU …(6) の式により算出し、ステップ76では初回フラグを
“1”にセットしたあと、ステップ77において QISC=QBASE+QAC+QND−QFB+ΔQ …(7) ただし、QBASE:基本値 QND:ギア位置補正量 QAC:エアコン補正量 QFB:フィードバック補正量 の式により補助空気弁流量QISCを計算する。
【0108】ここで、QBASEは自動変速機のセレクタ位
置がニュートラルレンジにあるときにアイドル状態での
目標回転数を維持するのに必要となる補助空気弁流量
(吸入空気量)で、たとえば図18に示す特性となる。
NDは自動変速機のセレクタ位置が走行レンジであると
き一定値、ニュートラルレンジにあるとき0となる値で
ある。QACはエアコン作動時に一定値、エアコン非作動
時に0となる値である。QFBは回転数Nが目標回転数N
SETと一致するように両者の偏差に応じて算出される
値である。
【0109】ステップ78ではQISCより図19を内容
とするテーブルを検索して補助空気弁20に与えるON
デューティISCONを求め、このISCONをステッ
プ79において補助空気弁制御用の出力レジスタに転送
する。
【0110】ここで、ΔQのぶんだけ補助空気弁16を
通過する空気流量が多くなるが、このときの空気増量は
あくまで補助空気弁部流量の増加であり、発生トルクに
直接結び付くシリンダ吸入空気流量でない。この両者の
相違が収束するためには数100msec程度の時間を
要し(図21の最上段参照)、これが、補助空気弁によ
る空気量制御手段がトルク制御手段として応答が遅い理
由である。
【0111】ステップ76での初回フラグの“1”への
セットにより次からはステップ72よりステップ80、
81、82、83に流れ、ここで空気量制御手段による
発生トルクの上昇分を点火時期制御手段による遅角制御
により相殺する。
【0112】ここで、この点火時期制御手段による遅角
制御がどのようなものなのかを先に説明する。
【0113】上記の(7)式において右辺のΔQ以外の
値を Qetc=QBASE+QAC+QND−QFB …(8) の式よりQetcでまとめると、(7)式は、 QISC=Qetc+ΔQ …(9) となり、この空気流量QISCに対してアイドル状態での
点火進角値PGOVを用いたとき(9)式に対応して TISC=Tetc+TZOU …(a) ただし、Tetc:Qetcに対応して発生するトルク TZOU:ΔQ分の増加に対して発生するトルク増加量 のトルクTISCが発生してTZOUの分だけが過大となるの
で、ΔQの増加前と発生トルクが変わらないようにする
には β=Tetc/(Tetc+TZOU) …(b) となるように点火時期を遅角させてやればよい。ある回
転数の条件での点火時期に対する発生トルク感度特性は
図20に示したようになるので、同特性上でβに対する
点火時期Jを求めれば、その点火時期JによりΔQの増
加前と発生トルクが変わらないようにできるのである。
なお、図20においてベース点火時期とあるのが図7の
PGOVである。
【0114】このようにしてΔQの増加前と発生トルク
が変わらないようにするわけであるが、ルーチン上にお
いては発生トルクをわざわざ求める必要はなく、 β=Qetc/(Qetc+ΔQ) …(10) の式によりゲインβを求めることができる。なお、一般
に使うエンジンのトルクは、出力トルク(発生トルクに
対し摩擦等のロスやポンピングロスなどを差し引いた、
結果的に外からみえる(計測される)トルク)である
が、本発明中で述べているのは出力トルクではなく発生
トルクである。
【0115】図15に戻り、まずステップ80、81で
は上記(8)、(9)式によりゲインβを求め、ステッ
プ82においてこのβより図20を内容とするテーブル
を検索して点火時期を求め、これをADVに入れたあ
と、ステップ77、78、79の操作を実行する。この
ときの点火進角値(図20に示したようにアイドル状態
での点火進角値PGOVから所定量RET2だけ遅角し
た値)によるトルク減少量は空気流量増加によるトルク
増加量を打ち消すものとなり、高応答のトルク増量余裕
代を生成させるに際して発生トルクが一定に維持される
のである。
【0116】なお、アイドル状態の途中で非アイドル状
態になったときは、ステップ71よりステップ83、8
4に流れ、初回フラグを“0”にリセットし、ISCO
Nに所定値(走行中でも少なくともアイドル維持できる
程度の空気量に相当するONデューティ)を入れ、ステ
ップ79の操作を実行する。
【0117】このように、第7実施形態では、走行レン
ジかつ負荷減少時かつアイドル状態となったとき、補助
空気量の増加により発生トルクを上昇させるとともに、
その空気量増加による発生トルクの上昇分を点火時期の
遅角操作によるトルク減量(図21第2段目の破線参
照)で相殺するので、発生トルクを一定に維持したま
ま、高応答のトルク増量余裕代をもった状態へと速やか
に移行させることができる。
【0118】なお、第7実施形態では、応答の速いトル
ク制御手段が点火時期制御手段である場合で説明した
が、空燃比制御手段あるいは発電量制御手段を用いるこ
ともできる。
【0119】図22のフローチャートは第8実施形態
で、第7実施形態の図16に対応する。図16と同一の
部分には同一のステップ番号をつけている。なお、図1
4と図15は第8実施形態でも使用する。
【0120】第8実施形態は、図22においてステップ
101が第7実施形態の図16と異なり、演算周期毎に
逐次求められる負荷減少量ΔTそのものでなく、負荷減
少量ΔTをフィルタリング処理によりなました値(後述
するY(K))に応じてトルク増量余裕代TYOYUを
算出するようにしたものである。このフィルタリング処
理については図23のフローにより説明する。
【0121】ステップ111では、図22のステップ9
5で得た負荷減少量ΔTを入力U(K)に入れる。ステ
ップ112では Y(K)=A×Y(K−1)+(1−A)×U(K−1) …(11) ただし、A:係数 Y(K−1):1演算周期前のY(K) U(K−1):1演算周期前のU(K) の式(デジタルローパスフィルタの計算式)により、出
力Y(K)を算出し、この出力Y(K)をステップ11
3においてあらためてΔTに入れる。
【0122】ここで、(11)式の係数Aには高周波数
の情報を取り除くことのできる値を選択する。
【0123】ステップ114、115では次回の演算の
ため、出力Y(K)をメモリY(K−1)に、入力U
(K)をメモリU(K−1)に移しておく。
【0124】第7実施形態のように、負荷減少量ΔTそ
のものに応じてトルク増量余裕代TYOYUを算出する
ときには、負荷の増減に伴ってトルク増量余裕代TYO
YUが敏感に追従するので、トルク制御の高精度化、高
応答化が必要となる。また、図21に示したように補助
空気弁による空気量制御によりトルクを増量する場合
は、そもそもその吸気系の伝達特性により余裕トルクの
生じた状態への移行速度が制限されてしまう。
【0125】これに対して第8実施形態では、トルク増
量余裕代TYOYUを求めるための負荷減少量ΔTをロ
ーパスフィルタによりなましているので、高精度化、高
応答化を必要とすることなくトルク制御を適切に行うこ
とができる。
【0126】図24のフローチャートは第9実施形態
で、第8実施形態の図23に対応する。図23と同一の
部分には同じステップ番号をつけている。図23とはス
テップ121、122、123が相違する。
【0127】第9実施形態は、第8実施形態と同じに
高応答のトルク増量余裕代をあまり過敏に動かしたくな
い、しかしながら高応答のトルク増量余裕代の準備は
できれば速くしたい、といった2つの相反する要求を満
たすため、ローパスフィルタの時定数を、出力に対し入
力が増加するときは小さく、逆に減少するときは大きく
したものである。一例としてローパスフィルタの演算周
期を10msecとし、上昇側の時定数を0.1se
c、下降側の時定数を10secとするのであれば、ス
テップ121において出力Y(K−1)と入力U(K−
1)を比較し、Y(K−1)≧U(K−1)のときステ
ップ122で係数Aに0.9を、またY(K−1)<U
(K−1)のとき係数Aに0.999を入れるのであ
る。たとえば図25において最上段に示した入力Uに対
して上昇側、下降側とも時定数が0.1secのローパ
スフィルタを通したものは第二段目に示す波形となり入
力Uに応じて敏感に、また上昇側、下降側とも時定数1
0secのフィルタを通したものは第三段目の波形とな
り入力Uに対してゆっくりと追従している。これに対し
て、上昇側の時定数を0.1sec、下降側の時定数を
10secとした第9実施形態のローパスフィルタを通
したものは最下段に示す波形となり、上昇方向には敏感
に、下降側にはゆっくりとそれぞれ追従することにな
り、上記、の相反する要求を満たすものとなってい
る。点火時期制御手段をトルク増量余裕代を有する状態
へと移行させた後に急ブレーキ操作により実際に負荷が
急増したときのローパスフィルタ出力を図26に示す。
【0128】次に、図27、図29、図30のフローチ
ャートは第10実施形態である。
【0129】この実施形態は、第7、第8、第9の各実
施形態のいずれかを前提とするもので、高応答のトルク
制御手段をトルク増量余裕代を有する状態へと移行させ
た後に、たとえば図28に示すように急ブレーキ操作に
より実際に負荷が急増したときその高応答のトルク制御
手段によりその高応答のトルク増量余裕代を用いてトル
ク制御を行うようにしたものである。
【0130】図27のフロチャートは実際の負荷の急増
を検出するためのもので、図3と同じ部分には同じステ
ップ番号をつけている。図3と異なるステップ131で
は、メモリΔT-1に入っている値とΔTとの差dΔTを
計算する。ここで、メモリΔT-1には前回に計算したΔ
Tが入っている。つまり、dΔTはこれが正のときΔT
(n2=0のときの負荷よりの減少量)の減少速度(演
算周期当たりの減少量)を表す。図28にも示すよう
に、ΔTの波形は必要トルクの波形とちょうど対象的に
なるため、dΔT(傾きを表す)が急になるほど実際に
負荷が急増していることを表すのである。ステップ13
2では次回演算のためΔTの値をメモリΔT-1に移す。
【0131】図29、図30のフロチャートは第7実施
形態の図15に対応し、図27のフローチャートによる
dΔTの演算終了後に実行する。図29、図30でも図
15と同じ部分には同じステップ番号をつけており、図
15とはステップ141〜149が相違する。
【0132】図15と相違する部分について主に述べる
と、図30においてステップ141でΔTの減少速度d
ΔTと正の所定値E1を比較し、dΔT>E1のときは
負荷が急増したと判断し、空気量制御手段では対応でき
ないためステップ142〜145で負荷の増加量(ΔT
の減少速度dΔT)に基づき高応答のトルク制御手段で
ある点火時期制御手段を用いてフィードフォワード的に
トルク増量を行う。
【0133】ただし、厳密なフィードフォワードで負荷
の急増をカバーする必要はない(つまりdΔTに対応す
る進角量Aを厳密に算出する必要がない)。というの
は、トルク増量余裕代が確保されているかぎり高応答で
フィードバック制御が効果を発揮し、回転落ちを最小限
に止めることができるからである。そこで、所定値A0
を初期値として一定時間割合で減少して0になる値を進
角量Aとして与える。
【0134】具体的にはステップ142で初回フラグ2
をみる。初回フラグ2も始動時に“0”に初期設定され
ることから、始動後に初めてdΔT>E1となったとき
には初回フラグ2=0であることよりステップ143に
進み、所定値A0を点火時期進角量Aに入れる。ステッ
プ144では初回フラグ2を“1”にセットしたあと、
ステップ145において、トルク増量余裕代を生じさせ
ている状態での点火進角値ADV(図29ステップ82
の値)に点火時期進角量Aを加算した値をあらためて点
火進角量ADVに入れる。
【0135】ステップ146では次回演算のため、Aの
値をメモリA(old)に移す。
【0136】ステップ144での初回フラグ2の“1”
へのセットにより次からはステップ142よりステップ
147に進み、 A=A(old)−GEN …(12) ただし、GEN:減量分(正の値) A(old):Aの前回値 の式により点火時期進角量Aを10ms毎にGENずつ
減量する。ステップ148ではAと0を比較しA<0と
なるまではステップ145、146の操作を繰り返し、
A<0となったときはステップ149でAに0を入れた
あとステップ145、146の操作を実行する。
【0137】このようにして、第10実施形態では、高
応答のトルク増加余裕代を準備しているアイドル状態で
負荷が実際に急増したとき、その負荷増加量に応じた点
火時期の進角操作(図31参照)によりトルク増量を行
うので、アイドル状態で制動動作等により負荷が急増し
たときにも確実にアイドル回転のアンダーシュートを防
止できる。
【0138】なお、図29、図30では点火時期の進角
操作により高応答のトルク増量を行っているが、空燃比
のリッチ化や発電量の減量によっても高応答のトルク増
量を行うことができる。
【0139】図32のフロチャートは第11実施形態、
図33のフローチャートは第12実施形態で、図32、
図33はいずれも第10実施形態の図30に対応する。
図32、図33において図30と同一の部分には同一の
ステップ番号をつけている。なお、図29は第11、第
12の各実施形態のフローチャートでもある。
【0140】これらの実施形態は、高応答のトルク増加
余裕代を準備しているアイドル状態で負荷が実際に急増
しかつ回転数の低下があった場合に、第11実施形態で
はその回転数の低下量に応じて、また第12実施形態で
は目標回転数NSETと実回転数Nの差に応じてそれぞ
れフィードバック的にトルク増量を行い、これによって
アイドル回転数を目標値に維持しつつ急激な負荷増加に
対処するものである。
【0141】具体的には、第11実施形態の図32にお
いて負荷の急増を検知した場合にステップ141よりス
テップ151に進む。ステップ151では回転数の演算
周期当たりの変化量ΔN2(=N-1−N、ただしN-1
前回の回転数)を算出し、この回転数変化量ΔN2を正
の所定値Fとステップ152において比較する。ΔN2
>Fのときは回転低下があると判断し、ステップ15
3、154に進んでその回転数変化量ΔN2より点火時
期のフィードバック量(たとえば比例分+積分分)AD
VFB2を算出し、このフィードバック量ADVFB2
を、トルク増量余裕代を生じさせている状態での点火進
角値ADV(図29ステップ82の値)に加算した値を
あらためて点火進角量ADVに入れる。ステップ155
では次回演算のためNをメモリN-1に移す。
【0142】次に第12実施形態の図33では、第11
実施形態と相違する部分を主に説明すると、図33にお
いて実際に回転低下したときステップ152よりステッ
プ161、162、163に進んで目標回転数NSET
と実回転数Nの偏差ΔN3(=NSET−N)より点火
時期のフィードバック量(たとえば比例分+積分分)A
DVFB3を算出し、このフィードバック量ADVFB
3を、トルク増量余裕代を生じさせている状態での点火
進角値ADV(図29ステップ82の値)に加算した値
をあらためて点火進角量ADVに入れる。
【0143】なお、第10、第11、第12の各実施形
態において、走行レンジでないときや負荷減少時でない
ときに、点火時期制御によるアイドル回転数の通常のフ
ィードバック制御をもともと行っている場合は、点火時
期制御による通常のフィードバック制御中にトルク増量
余裕代を使ってしまわないように、点火時期操作量の制
限を、トルク増加余裕代の生成に合わせて変化させる必
要がある。図34に示すように、トルク増量余裕代の生
成時に点火時期の動作点(動作中心)を☆の位置から●
の位置に移した場合に、フィードバック制御による点火
時期の通常制御範囲(幅)を制限しておき、第10、第
11、第12の各実施形態において負荷の急増時にだけ
それ以上の点火時期操作量を許す構成とするのである。
【0144】第10、第11、第12の各実施形態は第
7、第8、第9の各実施形態のいずれかを前提とする場
合で述べたが、これに限らず第1から第6までの各実施
形態に第10、第11、第12の各実施形態を加えるこ
ともできる。たとえば、第1実施形態と第7実施形態の
組み合わせで述べると、高応答のトルク制御手段をトル
ク増量余裕代を有する状態へと移行させた後に負荷の急
増を検出したときには図9に示したアイドル回転数フィ
ードバック制御に優先して図29、図30に示したトル
ク増量余裕代の生成と負荷急増対応制御を実行させるの
である。
【0145】第1実施形態では、図2に示したように、
ステップ5、6において走行レンジかつ負荷減少時に目
標回転数NSETを一定値NUPだけ上昇させ、ステッ
プ7、8において走行レンジかつ負荷減少時に加えてア
イドル状態になったとき、点火時期制御手段に所定のト
ルク増量余裕代を生成させ、かつステップ9、10にお
いて点火時期制御手段を用いてのアイドル回転数のフィ
ードバック制御と補助空気弁による空気量制御手段を用
いてのアイドル回転数のフィードバック制御とをともに
行っているが、 走行レンジかつ負荷減少時かつアイドル状態で点火時
期制御手段に所定のトルク増量余裕代を生成させる構成
(図2においてステップ6を省略したもの)、 走行レンジかつ負荷減少時に目標回転数NSETを一
定値NUPだけ高く設定する構成(図2においてステッ
プ7、8を省略したもの)が考えられる。
【0146】なお、の構成の場合、アイドル回転数の
フィードバック制御を行うのに用いるトルク制御手段が
応答の速いトルク制御手段である必要はなく、応答の遅
いトルク制御手段を用いてアイドル回転数のフィードバ
ック制御を行う場合でも、走行レンジかつエンジンから
みた変速機負荷の減少時に急制動等により急激にエンジ
ン回転数がアンダーシュートしてアイドル状態に移行し
たとしても、エンストに至ることを防止することができ
ることはいうまでもない。
【0147】図2のステップ6において目標回転数を高
くするための所定値NUPは一定値で説明したが、負荷
減少量ΔT(図3ステップ15の値)が大きいときほど
所定値NUPを大きくすることにより、トルク増量余裕
代TYOYUを負荷減少量ΔTに応じて算出する実施形
態(第7実施形態)と同様の効果を、また負荷減少量Δ
Tをローパスフィルタによりフィルタリング処理した値
が大きくなるほど所定値NUPを大きくすることによ
り、第8実施形態と同様の効果を、またそのローパスフ
ィルタの時定数を、出力に対し入力が増加するときは小
さく、逆に減少するときは大きくすることで、第9の各
実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0148】ただし、目標回転数NSETは低いほうが
燃費がよくなり望ましいので、目標回転数NSETを高
くする際にはできるだけ必要最低限に設定したい。そこ
で、いったん高くした目標回転数をそのまま維持させる
のではなく、図35に示したように、負荷減少時に目標
回転数を所定値NUPだけ高くした後に、負荷減少量Δ
Tが小さくなったときには、その負荷減少量ΔTが小さ
くなったタイミングにおいて目標回転数を元の値に戻す
ことで(図35の中段の実線参照)、無用な燃費の消費
を抑えることができる。
【0149】また、〈a〉負荷減少量ΔTが小さくなっ
たタイミングにおいて目標回転数をステップ的に小さく
するのではなく、ΔTをローパスフィルタによりフィル
タリング処理した値に応じて目標回転数を下げるように
構成(図35の中段の破線参照)、〈b〉ΔTが小さく
なったタイミングより一定の割合で目標回転数を元の値
に戻すように構成(図35の下段の破線参照)、〈c〉
ΔTが小さくなったタイミングから所定の時間は目標回
転数を所定値NUPした状態を維持する構成(図35の
下段の一点鎖線参照)とすることでも、第8実施形態と
同様の効果を得ることができる。
【0150】実施形態では、アイドル状態で自動変速機
のセレクタ位置が走行レンジにある場合をアイドル自走
中で説明したが、変速機はこれに限らない。たとえば、
変速比を連続的に変更できるCVTや手動式の変速機で
あってもかまわない。このときには、トルクコンバータ
負荷に代えて、エンジン出力軸に作用する変速機からの
負荷を用いる。
【0151】
【発明の効果】アイドル自走中に急ブレーキ操作が行わ
れたとき応答の遅いトルク制御手段、たとえば空気量制
御手段により、供給空気量を増量して発生トルクを大き
くしようとしても、空気量の増量操作から実際に発生ト
ルクが大きくなるまでにかなり大きな時間的遅れがある
ため、急制動等に伴う変速機負荷の急増に対応すること
は困難である。また、点火時期制御手段は応答の速いト
ルク制御手段であるが、点火時期の動作中心が燃費の向
上をねらって最大トルク点付近に設定されている場合に
は、発生トルクを増量させる余裕代がほとんどないた
め、点火時期制御によっても、急制動による回転低下を
十分に抑止することができない。これに対して、第1の
発明では変速機が走行レンジにありかつエンジンからみ
た変速機負荷の減少時(つまり制動動作等により急激な
変速機負荷の増加が生じる可能性があるとき)かつアイ
ドル状態になったとき応答の速いトルク制御手段に所定
のトルク増量余裕代を生成させるので、アイドル自走中
に変速機負荷の急増があっても、そのトルク増量余裕代
を用いて高応答のトルク制御が行われ、これによって、
耐エンスト性を高めつつアイドル回転数を目標回転数に
維持することができる。
【0152】第2と第6の各発明では、変速機の入力軸
回転数と出力軸回転数をそれぞれ検出し、これら入出力
軸回転数比に基づいて変速機負荷を、また入力軸回転数
に基づいて前記出力軸回転数が0となるときの変速機負
荷(または最大の前記変速機負荷)を算出し、この出力
軸回転数が0となるときの変速機負荷(または最大の前
記変速機負荷)と入出力軸回転数比に基づく変速機負荷
との差より変速機負荷の減少を検出するので、精度良く
エンジンからみた変速機負荷の減少を検出することがで
きる。
【0153】第3と第7の各発明では、変速機の入力
軸、出力軸の各回転数を検出する新たなセンサの追加に
よるコストアップを招くことがない。
【0154】第4と第8の各発明では、変速機負荷の減
少を通常のエンジン制御システムにおいて既存のものを
用いて簡易に検出できる。
【0155】第5の発明では走行レンジかつエンジンか
らみた変速機負荷の減少時にアイドル回転数のフィード
バック制御における目標回転数が従来より所定値だけ高
く設定され、アイドル状態になるとその高く設定された
目標回転数となるようにトルク制御手段を用いてアイド
ル回転数のフィードバック制御が行われることから、走
行レンジかつエンジンからみた変速機負荷の減少時に急
制動等により急激にエンジン回転数がアンダーシュート
してアイドル状態に移行したとしても、そのアンダーシ
ュートによる最低回転数が相当高く保持され、これによ
ってエンストに至ることが防止される。
【0156】燃費の向上などをねらって点火時期の動作
中心を最大トルク点付近に設定している従来例では、ア
イドル状態における負荷の急増に対抗して発生トルクを
増量させるだけの余裕代はないのであるが、第9の発明
では、点火時期の動作中心を遅角側に移動させること
で、十分なトルク増量余裕代が生まれる。また、点火時
期制御手段を用いてのアイドル回転数のフィードバック
制御であるため、急制動に伴うエンジン回転の低下に対
しても十分な応答性をもつ。
【0157】第10の発明では、三元触媒方式のとき空
燃比の動作中心を三元点からリーン側に移動し、また第
11の発明では発電量の動作中心を増量側に移動するの
で、これらの発明でも十分なトルク増量余裕代が生まれ
る。また、空燃比制御手段や発電量制御手段を用いての
アイドル回転数のフィードバック制御であるため、エン
ジン回転の低下に対して十分な応答性をもつ。
【0158】第12の発明では、応答の遅いトルク制御
手段により発生トルクを増加させるとともに、このトル
ク増加分を前記応答の速いトルク制御手段により相殺す
るので、発生トルクを一定に維持したまま、高応答のト
ルク増量余裕代をもった状態へと速やかに移行させるこ
とができる。
【0159】アイドル回転低下に対する補償を大きくし
ようとトルク増量余裕代を一定値で大きくしたのでは、
トルク増量余裕代を生成するための点火時期の遅角量が
大きくなり燃費的にロスが生じてしまうが、第14の発
明ではトルク増量余裕代をエンジンからみた変速機負荷
の減少量が大きくなるほど大きくするので、負荷減少量
に応じた必要量だけのトルク増量余裕代を与えることが
でき、これにより燃費的なロスが生じることがない。
【0160】変速機負荷の減少量そのものに応じてトル
ク増量余裕代を算出するときには、変速機負荷の増減に
伴ってトルク増量余裕代をあまりにも敏感に追従させる
ことになり、トルク制御の高精度化、高応答化が必要と
なるが、第15の発明では、トルク増量余裕代を求める
ための変速機負荷の変化量をローパスフィルタによりな
ましているので、高精度化、高応答化を必要とすること
なくトルク制御を適切に行うことができる。第19の発
明でも、目標回転数を高くする所定値を求めるための変
速機負荷の変化量をローパスフィルタによりなましてい
るので、高精度化、高応答化を必要とすることなくトル
ク制御を適切に行うことができる。
【0161】第16の発明では、ローパスフィルタの時
定数を、入力が出力より大きい場合は小さく入力が出力
より小さい場合は大きくするので、高応答のトルク増
量余裕代をあまり過敏に動かしたくない、しかしながら
高応答のトルク増量余裕代の準備はできれば速くした
い、といった2つの相反する要求を満たすことができ
る。第20の発明では、所定値高くした目標回転数
を、その後に変速機負荷の減少量が小さくなったからと
いってあまり過敏に下げたくはない、しかしながら変
速機負荷の減少時に目標回転数を所定値高くするときは
できれば速くしたい、といった2つの相反する要求を満
たすことができる。
【0162】目標回転数を高くするための所定値が一定
値のため変速機負荷の大きな減少量に合わせて所定値を
設定したのでは、目標回転数が高すぎて無用な燃料消費
が生じるが、第17の発明では変速機負荷の減少量が大
きくなるほど所定値を大きくするので、無用な燃料消費
を避けることができる。
【0163】第18の発明では、目標回転数を高くする
するための所定値を設定した後に変速機負荷の減少量が
小さくなったとき目標回転数を元の値に戻すので、無用
な燃料消費を抑えることができる。
【0164】第21の発明では、変速機負荷の減少量が
小さくなった(つまり変速機負荷が大きくなった)こと
に対して、フィードバック制御により対応が十分終了し
たあとに、目標回転数を元に戻すことができることにな
り、所定値高くした目標回転数を、その後に変速機負荷
の減少量が小さくなったからといってあまり過敏に下げ
たくはないという要求を満たすことができる。
【0165】第22の発明では、応答の速いトルク制御
手段にトルク増量余裕代を生成させた後に変速機負荷が
急増したときそのトルク増量余裕代を用いて応答の速い
トルク制御手段によるトルク制御を行うようにしたの
で、アイドル自走中に変速機負荷が急増したときにも確
実にアイドル回転数のアンダーシュートを防止できる。
【0166】第23の発明では、高応答のトルク増量余
裕代を有する状態へと移行させた後に変速機負荷が急増
しかつ回転低下が生じたときその高応答のトルク増量余
裕代を用いて応答の速いトルク制御手段によりアイドル
回転数のフィードバック制御を行うので、アイドル回転
数を目標値に維持しつつ変速機負荷の急増に確実に対処
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の制御システム図である。
【図2】アイドル回転数の制御を説明するためのフロー
チャートである。
【図3】負荷減少の検出を説明するためのフローチャー
トである。
【図4】トルクコンバータの容量係数の特性図である。
【図5】アイドル状態での目標回転数NSETの特性図
である。
【図6】トルク増量余裕代の生成を説明するためのフロ
ーチャートである。
【図7】アイドル状態での点火進角値PGOVの特性図
である。
【図8】点火時期に対する発生トルクの特性図である。
【図9】点火時期制御手段を用いてのアイドル回転数の
フィードバック制御を説明するためのフローチャートで
ある。
【図10】点火時期のフィードバック量ADVFBの特
性図である。
【図11】第5実施形態のトルク増量余裕代の生成を説
明するためのフローチャートである。
【図12】第5実施形態の空燃比のフィードバック量T
PFBの特性図である。
【図13】第5実施形態の空燃比に対する発生トルクの
特性図である。
【図14】第7実施形態のアイドル回転数の制御を説明
するためのフローチャートである。
【図15】第7実施形態のトルク増量余裕代の生成を説
明するためのフローチャートである。
【図16】第7実施形態のトルク増量余裕代TYOYU
の算出を説明するためのフローチャートである。
【図17】第7実施形態のトルク増量余裕代TYOYU
の特性図である。
【図18】第7実施形態の補助空気弁流量の基本値Q
BASEを説明するための特性図である。
【図19】第7実施形態の補助空気弁に与えるONデュ
ーティISCONの特性図である。
【図20】第7実施形態の点火時期に対するトルク感度
の特性図である。
【図21】第7実施形態の作用を説明するための波形図
である。
【図22】第8実施形態のトルク増量余裕代TYOYU
の算出を説明するためのフローチャートである。
【図23】第8実施形態のフィリタリング処理を説明す
るためのフローチャートである。
【図24】第9実施形態のフィリタリング処理を説明す
るためのフローチャートである。
【図25】第9実施形態の作用を説明するための波形図
である。
【図26】第9実施形態の作用を説明するための波形図
である。
【図27】第10実施形態の負荷急増の検出を説明する
ためのフローチャートである。
【図28】第10実施形態の負荷急増を説明するための
波形図である。
【図29】第10実施形態のトルク増量余裕代の生成と
負荷急増対応制御を説明するためのフローチャートであ
る。
【図30】第10実施形態のトルク増量余裕代の生成と
負荷急増対応制御を説明するためのフローチャートであ
る。
【図31】第10実施形態の点火時期進角量Aの変化波
形図である。
【図32】第11実施形態のトルク増量余裕代の生成と
負荷急増対応制御を説明するためのフローチャートであ
る。
【図33】第12実施形態のトルク増量余裕代の生成と
負荷急増対応制御を説明するためのフローチャートであ
る。
【図34】第10、第11、第12の各実施形態の作用
を説明するための特性図である。
【図35】その他の実施形態の作用を説明するための特
性図である。
【図36】第1の発明のクレーム対応図である。
【図37】第5の発明のクレーム対応図である。
【符号の説明】
6 燃料噴射弁 11 コントロールユニット 13 点火プラグ 15 クランク角センサ 16 エアフローメータ
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F02D 45/00 362 F02D 45/00 362Q F02P 5/15 F16H 59/08 F16H 59/08 59/40 59/40 59/42 59/42 59/44 59/44 59/46 59/46 59/70 59/70 F02P 5/15 E K

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アイドル状態での目標回転数を設定する手
    段と、 アイドル状態を検出する手段と、 このアイドル状態の検出時にエンジン回転数が前記目標
    回転数と一致するように応答の速いトルク制御手段を用
    いてアイドル回転数のフィードバック制御を行う手段
    と、 変速機が走行レンジにありかつエンジンからみた変速機
    負荷の減少時かつアイドル状態の検出時であるかどうか
    を判定する手段と、 この判定結果より変速機が走行レンジにありかつエンジ
    ンからみた変速機負荷の減少時かつアイドル状態の検出
    時に前記応答の速いトルク制御手段に所定のトルク増量
    余裕代を生成させる手段とを設けたことを特徴とするエ
    ンジンの回転数制御装置。
  2. 【請求項2】前記変速機負荷の減少を検出する手段は、
    前記変速機の入力軸回転数と出力軸回転数をそれぞれ検
    出する手段と、これら入出力軸回転数比に基づいて前記
    変速機負荷を算出する手段と、前記入力軸回転数に基づ
    いて前記出力軸回転数が0となるときの前記変速機負荷
    または最大の前記変速機負荷を算出する手段と、この出
    力軸回転数が0となるときの前記変速機負荷または最大
    の前記変速機負荷と前記入出力軸回転数比に基づく前記
    変速機負荷との差より前記変速機負荷の減少を検出する
    手段とからなることを特徴とする請求項1に記載のエン
    ジンの回転数制御装置。
  3. 【請求項3】前記変速機の入力軸回転数としてエンジン
    回転数を用いるとともに、前記変速機の出力軸回転数を
    車両速度または車軸回転数と変速機の変速比とから計算
    により求めることを特徴とする請求項1に記載のエンジ
    ンの回転数制御装置。
  4. 【請求項4】前記変速機負荷の減少を、車両速度、駆動
    軸回転数または変速機の出力軸回転数に基づいて検出す
    ることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの回転数
    制御装置。
  5. 【請求項5】アイドル状態での目標回転数を設定する手
    段と、 アイドル状態を検出する手段と、 このアイドル状態の検出時にエンジン回転数が前記目標
    回転数と一致するようにトルク制御手段を用いてアイド
    ル回転数のフィードバック制御を行う手段と、 変速機が走行レンジにありかつエンジンからみた変速機
    負荷の減少時かどうかを判定する手段と、 この判定結果より変速機が走行レンジにありかつエンジ
    ンからみた変速機負荷の減少時に前記目標回転数を所定
    値だけ高く設定する手段とを設けたことを特徴とするエ
    ンジンの回転数制御装置。
  6. 【請求項6】前記変速機負荷の減少を検出する手段は、
    前記変速機の入力軸回転数と出力軸回転数をそれぞれ検
    出する手段と、これら入出力軸回転数比に基づいて前記
    変速機負荷を算出する手段と、前記入力軸回転数に基づ
    いて前記出力軸回転数が0となるときの前記変速機負荷
    または最大の前記変速機負荷を算出する手段と、この出
    力軸回転数が0となるときの前記変速機負荷または最大
    の前記変速機負荷と前記入出力軸回転数比に基づく前記
    変速機負荷との差より前記変速機負荷の減少を検出する
    手段とからなることを特徴とする請求項5に記載のエン
    ジンの回転数制御装置。
  7. 【請求項7】前記変速機の入力軸回転数としてエンジン
    回転数を用いるとともに、前記変速機の出力軸回転数を
    車両速度または車軸回転数と変速機の変速比とから計算
    により求めることを特徴とする請求項5に記載のエンジ
    ンの回転数制御装置。
  8. 【請求項8】前記変速機負荷の減少を、車両速度、駆動
    軸回転数または変速機の出力軸回転数に基づいて検出す
    ることを特徴とする請求項5に記載のエンジンの回転数
    制御装置。
  9. 【請求項9】前記応答の速いトルク制御手段は点火時期
    制御手段であり、前記トルク増量余裕代生成手段は前記
    点火時期制御手段による点火時期の動作中心を遅角側に
    移動させる手段であることを特徴とする請求項1から4
    までのいずれか一つに記載のエンジンの回転数制御装
    置。
  10. 【請求項10】前記応答の速いトルク制御手段は空燃比
    制御手段であり、前記トルク増量余裕代生成手段は前記
    空燃比制御手段による空燃比の動作中心をリーン側に移
    動する手段であることを特徴とする請求項1から4まで
    のいずれか一つに記載のエンジンの回転数制御装置。
  11. 【請求項11】前記応答性の速いトルク制御手段は発電
    量制御手段であり、前記トルク増量余裕代生成手段は前
    記発電量制御手段による発電量の動作中心を増量側に移
    動する手段であることを特徴とする請求項1から4まで
    のいずれか一つに記載のエンジンの回転数制御装置。
  12. 【請求項12】前記トルク増量余裕代生成手段は、応答
    の遅いトルク制御手段により発生トルクを増加させると
    ともに、このトルク増加分を前記応答の速いトルク制御
    手段により相殺する手段であることを特徴とする請求項
    1から4までのいずれか一つに記載のエンジンの回転数
    制御装置。
  13. 【請求項13】前記応答の遅いトルク制御手段は空気量
    制御手段であることを特徴とする請求項12に記載のエ
    ンジンの回転数制御装置。
  14. 【請求項14】前記トルク増量余裕代を前記変速機負荷
    の減少量が大きくなるほど大きくすることを特徴とする
    請求項1、2、3、4、9、10、11、12、13ま
    でのいずれか一つに記載のエンジンの回転数制御装置。
  15. 【請求項15】前記変速機負荷の減少量をローパスフィ
    ルタによりフィルタリングすることを特徴とする請求項
    14に記載のエンジンの回転数制御装置。
  16. 【請求項16】前記ローパスフィルタの時定数を、入力
    が出力より大きい場合は小さく入力が出力より小さい場
    合は大きくすることを特徴とする請求項15に記載のエ
    ンジンの回転数制御装置。
  17. 【請求項17】前記所定値を、前記変速機負荷の減少量
    が大きくなるほど大きく設定することを特徴とする請求
    項5から8までのいずれか一つに記載のエンジンの回転
    数制御装置。
  18. 【請求項18】前記所定値を設定した後に前記変速機負
    荷の減少量が小さくなったとき前記目標回転数を元の値
    に戻すことを特徴とする請求項17に記載のエンジンの
    回転数制御装置。
  19. 【請求項19】前記変速機負荷の減少量をローパスフィ
    ルタによりフィルタリングすることを特徴とする請求項
    17または18に記載のエンジンの回転数制御装置。
  20. 【請求項20】前記ローパスフィルタの時定数を、入力
    が出力より大きい場合は小さく入力が出力より小さい場
    合は大きくすることを特徴とする請求項19に記載のエ
    ンジンの回転数制御装置。
  21. 【請求項21】前記所定値を設定した後に前記変速機負
    荷の減少量が小さくなったとき所定時間の後で前記目標
    回転数を元の値に戻すことを特徴とする請求項17に記
    載のエンジンの回転数制御装置。
  22. 【請求項22】前記トルク増量余裕代の生成後に前記変
    速機負荷が急増したかどうかを判定する手段と、この判
    定結果より変速機負荷が急増したとき前記トルク増量余
    裕代を用いて前記応答の速いトルク制御手段によりトル
    ク増量側に制御する手段とを設けたことを特徴とする請
    求項1、2、3、4、9、10、11、12、13、1
    4、15、16のいずれか一つに記載のエンジンの回転
    数制御装置。
  23. 【請求項23】前記トルク増量余裕代の生成後に前記変
    速機負荷が急増しかつ回転低下が生じたかどうかを判定
    する手段と、この判定結果より変速機負荷が急増しかつ
    回転低下が生じたとき前記トルク増量余裕代を用いて前
    記応答の速いトルク制御手段によりアイドル回転数のフ
    ィードバック制御を行う手段とを設けたことを特徴とす
    る請求項1、2、3、4、9、10、11、12、1
    3、14、15、16のいずれか一つに記載のエンジン
    の回転数制御装置。
  24. 【請求項24】前記トルク増量余裕代を用いてのアイド
    ル回転数のフィードバック制御におけるフィードバック
    制御量はアイドル回転数の変化量に応じた値であること
    を特徴とする請求項23に記載のエンジンの回転数制御
    装置。
  25. 【請求項25】前記トルク増量余裕代を用いてのアイド
    ル回転数のフィードバック制御におけるフィードバック
    制御量はアイドル回転数と目標回転数の偏差に応じた値
    であることを特徴とする請求項23に記載のエンジンの
    回転数制御装置。
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