JP3624421B2 - リーンバーンエンジンの空燃比制御装置 - Google Patents

リーンバーンエンジンの空燃比制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明はリーンバーンエンジンの空燃比制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンに供給する燃料を制御するものとして、次の条件
〈ア〉冷却水温が80℃以上
〈イ〉絞り弁開度が所定値以下
〈ウ〉車速変化が所定値以下
のすべての条件が成立したとき、理論空燃比へのフィードバック補正を停止し、空燃比をリーン側の目標空燃比へと切換えるものがある(特開昭63−50641号公報参照)。リーン空燃比では理論空燃比と同一のトルクを発生するのに空気流量が大きくなってポンピングロスが減ること、および燃焼ガスの比熱比が大きくなることのため、リーン空燃比で運転したほうが燃費が向上するわけである。
【0003】
このものでは、空燃比の切換の前後でトルクが変わらないように空燃比の切換時に補助空気流量を増減するため、図34のように吸気絞り弁5をバイパスする補助空気通路21にデューティ制御可能な流量制御弁22を設けており、コントロールユニット2では、制御弁に与えるオンデューティBα0、
Bα0=AACTW+AACABV+AACFB …▲1▼
ただし、AACTW;冷却水温に応じた基本特性値
AACABV;減速時空気増量分
AACFB;フィードバック補正分
からテーブル参照により制御弁22の流路面積ABα0を求め、また目標空燃比KMRから図35を内容とするテーブルを参照して空気補正率KBAを求め、これらから制御弁22の目標流路面積ABα1を
ABα1=ABα0+(Aα+ABα0)×KBA …▲2▼
ただし、Aα;絞り弁流路面積
により求めている。
【0004】
いま絞り弁開度が等しい状態で理論空燃比(ほぼ15)からリーン側の目標空燃比(たとえば20)へと切換えられたときは(簡単のため切換前後で水温もほぼ等しいとする)、切換時に切換前後の空気補正率の差に総流路面積(Aα+ABα0)をかけた値の分だけ、制御弁22が余計に開かれ、これによって空燃比をリーンとしたときのトルク低下を防止しようとするわけである。
【0005】
一方、絞り弁5のすぐ上流に位置するインジェクタ23には、
Qcyl=Qa/N …▲3▼
Tp=Qcyl/KMR …▲4▼
ただし、Qa;エアフローメータで計測される吸入空気流量
N;エンジン回転数
Qcyl;単位回転当たりの吸入空気流量
KMR;目標空燃比
によりシリンダ吸気相当の基本噴射パルス幅Tpが計算され、これから
Ti=Tp×α×KACC+Ts …▲5▼
ただし、α;空燃比フィードバック補正係数
ACC;過渡補正係数
Ts;無効パルス幅
で計算される燃料噴射パルス幅Tiが与えられる。
【0006】
ここで、▲4▼式の目標空燃比KMRは、
KMR=KTW×(NKMR×n+KMR×(1−n)) …▲6▼
ただし、KTW;水温増量補正係数
n;時定数相当値(1未満の値)
NKMR;NとTpから求めた目標空燃比のマップ値
により計算され、理論空燃比からリーン空燃比への切換時に図36のように1次の遅れで目標空燃比KMRが変化する。1次遅れで目標空燃比を与えるのは、切換時の空燃比の変化を滑らかにして切換時のトルクショックを低減するためである。
【0007】
しかしながら、実際の空燃比は、リーン空燃比への切換時に図36の一点鎖線のように実線の目標空燃比KMRよりさらに遅れるため、目標空燃比KMRから▲2▼式により目標流路面積ABα1を求めたのでは、空気増量が速すぎることになり、その差により切換の前後で一時的にトルク増加が生じる。これは、目標空燃比に合わせて応答よく補助空気流量が増量されても、壁流燃料量のほうはすみやかに平衡値へと少なくならないため、この燃料の応答遅れにより、壁流燃料量が平衡値に落ち着くまでのあいだ目標より濃い混合気が吸入されてしまうからである。
【0008】
そこで、壁流燃料量と補助空気流量の供給の位相が合うように補助空気流量の増量にも応答遅れをもたせるため、|NKBA−KBAOLD|と判定基準LHを比較し、|NKBA−KBAOLD|>LHのときは
KBA=NKBA×n1+KBAOLD×(1−n1) …▲7▼
ただし、NKBA;KMRから求めた空気補正率のマップ値
KBAOLD;前回のKBA
n1;時定数相当値(1未満の値)
により、また|NKBA−KBAOLD|≦LHになると、
KBA=NKBA×n2+KBAOLD×(1−n2) …▲8▼
ただし、n2;時定数相当値(n2<n1)
により空気補正率KBAを求めている。
【0009】
目標空燃比KMRが急変した場合、実空燃比の変化が時定数一定の遅れ波形とならず、初期に変化が速く、後期に遅くなることから、空気補正率の変化量(つまり|NKBA−KBAOLD|の値)に応じて遅れの程度を変化させることで、図36の一点鎖線のように切換前後のトルク段差を小さなものに抑えることができるのである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、目標空燃比の切換時に切換の前後でトルクを同一にするためには、補助空気流量を増量すればよいのであるが、制御弁22に対する制御量として制御弁流量そのものよりも制御弁22の流路面積が用いられることがある。このときは、リーン空燃比への切換時に制御弁流路面積を増加してやるわけである。
【0011】
しかしながら、制御弁22の前後差圧を考慮することなく制御弁流路面積を定めていると、目標空燃比の切換が吸気絞り弁5の前後差圧が小さくなる高負荷域で行われるときにトルクショックやトルクの2値感が残る。同一の制御弁流路面積でも、高負荷域では制御弁22の前後差圧が小さくなる分、制御弁流量が少なくなるため、高負荷になるほど目標空燃比の切換時に補助空気流量の増量量が不足し、これがトルクショックを生じさせるのである。
【0012】
なお、トルクショックを防止するには空燃比の値を少しづつ変化させることであるが、そうすると、目標空燃比の切換途中でのNOxの発生が多くなるため、空燃比の切換わる変化速度を遅くすることは適切な処置でない。
【0013】
そこでこの発明は、目標空燃比の切換時のトルク制御のため流路面積を制御量とするときは、流路面積に対して負荷補正を行うことにより、空燃比の切換が高負荷域で行われるときにも、トルクショックを防止することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、図1に示すように、運転条件信号がリーン条件であるかどうかを判定する手段41と、この判定結果よりリーン条件ではこの条件に応じた目標空燃比を、またリーン条件以外の条件になるとこのリーン条件以外の条件に応じた目標空燃比を運転条件信号に応じて算出する手段42と、この目標空燃比と運転条件信号からシリンダ吸気相当の基本噴射量を算出する手段43と、この基本噴射量にもとづいて算出された燃料を供給する装置44と、吸気絞り弁45をバイパスする補助空気流量を調整する制御弁46と、前記絞り弁45の開度信号から絞り弁流路面積を算出する手段47と、前記制御弁46の開度信号から制御弁流路面積を算出する手段48と、これら2つの面積の合計を基本流路面積として算出する手段49と、低負荷ではほぼ一定値であり高負荷では負荷が大きくなるにつれて値が大きくなる流路面積の増量率を負荷信号に応じて算出する手段50と、この増量率と前記基本流路面積および目標空燃比とを用いて前記制御弁36の増量平衡面積を算出する手段51と、この増量平衡面積と前記制御弁流路面積の和を目標流路面積として算出する手段52と、この目標流路面積に応じて前記制御弁36を駆動する手段53とを設けた。
【0015】
第2の発明は、図37に示すように、運転条件信号がリーン条件であるかどうかを判定する手段41と、この判定結果よりリーン条件ではこの条件に応じた目標空燃比を、またリーン条件以外の条件になるとこのリーン条件以外の条件に応じた目標空燃比を運転条件信号に応じて算出する手段42と、この目標空燃比と運転条件信号からシリンダ吸気相当の基本噴射量を算出する手段43と、この基本噴射量にもとづいて算出された燃料を供給する装置44と、アクセルペダルに連動することなく制御量に応動する吸気絞り弁61と、アクセルペダルの開度信号から前記絞り弁61の基本流路面積を算出する手段62と、低負荷ではほぼ一定値であり高負荷では負荷が大きくなるにつれて値が大きくなる流路面積の増量率を負荷信号に応じて算出する手段50と、この増量率と前記基本流路面積および目標空燃比とを用いて前記絞り弁61の増量平衡面積を算出する手段63と、この増量平衡面積と前記基本流路面積の和を目標流路面積として算出する手段64と、この目標流路面積に応じて前記絞り弁61を駆動する手段65とを設けた。
【0016】
【作用】
基本流路面積と目標空燃比とだけから制御弁46の増量平衡面積を求めたときは、この面積により流れる制御弁流量が、負荷が高くなるほど少なくなるため、高負荷域で目標空燃比を切換えると、補助空気流量の増量量が不足して、トルクショックが残る。
【0017】
これに対して、第1の発明では負荷補正率をも用いて制御弁46の増量平衡面積が求められる。この負荷補正率によれば、絞り弁流路面積と目標空燃比が同じでも、高負荷域では低負荷域より増量平衡面積が大きくされる。つまり、制御弁の前後差圧の違いによる高負荷域での制御弁流量の低下分が、負荷補正率による面積の増量補正により補われるわけで、これにより高負荷域での目標空燃比の切換時にもトルクショックが残ることがない。
【0018】
第2の発明はアクセルペダルに連動することなく制御量に応動する吸気絞り弁61を用いて目標空燃比の切換時のトルク制御を行うものである。
【0019】
この発明でも、負荷補正率により高負荷域では低負荷域より大きな値の増量平衡面積が求められるため、第1の発明と同じに、目標空燃比の切換時に吸入空気流量を増量する場合に、高負荷域でも増量量が低下することがない。
【0020】
【実施例】
図2において、エアクリーナ11から吸入された空気は、一定の容積を有するコレクタ部12aにいったん蓄えられ、ここから分岐管を経て各気筒のシリンダに流入する。各気筒の吸気ポート12bにはインジェクタ3が設けられ、このインジェクタ3からエンジン回転に同期して間欠的に燃料が噴射される。
【0021】
一定の条件が成立したとき空燃比目標値を理論空燃比からリーン側の空燃比に切換えるのであるが、この切換時に補助空気流量を増量補正(理論空燃比への切換時は減量補正)することによって、切換の前後でトルクが同一となるようにトルク制御を行う。
【0022】
このため、吸気絞り弁5をバイパスする補助空気通路21に大流量の流量制御弁22が設けられている。この制御弁22は比例ソレノイド式で、コントロールユニット2からのオンデューティ(一定周期のON時間割合)が大きくなるほど通路21を流れる補助空気流量が増加する。
【0023】
制御弁22を大流量としたのは、空燃比切換時のトルク制御を余裕をもってかつ確実に行わせるためである。ただし、大流量としたときは、制御弁22の誤動作によりドライバーの要求以上のトルクが発生することがあるので、後述するようにフェイルセーフ機能を設けている。制御弁22は従来通りアイドル回転数制御にも共用される。
【0024】
なお、リーン空燃比域での燃焼不安定により増加するCO,HCを抑えるため、燃焼室内に流れ込む吸気にスワールが与えられるよう、吸気ポート12bの近くに、一部に切欠き(図示せず)を有するスワールコントロールバルブ13を設けている。リーン空燃比域でスワールコントロールバルブ13を全閉位置にして吸気を絞ることにより吸気の流速を高め、燃焼室内にスワールを生じさせるのである。理論空燃比域では排気管18に設けた三元触媒19によってNOxを浄化する。
【0025】
インジェクタ3からの供給燃料量と流量制御弁22を流れる補助空気流量とを制御するため、コントロールユニット2には、制御上必要となるエンジンの運転条件を検出する各種のセンサからの信号が入力されている。4はエアクリーナ11から吸入される空気流量を検出する熱線式のエアフローメータ、6は吸気絞り弁5の開度を検出するスロットルセンサ、7は単位クランク角度ごとの信号とref信号(クランク角度の基準位置ごとの信号)とを出力するクランク角度センサ、8は水温センサ、9は理論空燃比からリーン側の空燃比までの実際の空燃比を幅広く検出することのできる広域空燃比センサである。
【0026】
ところで、制御弁22に対する制御量として流量そのものでなく、制御弁22の流路面積を採用する場合に、制御弁22の前後差圧を考慮することなく制御弁22の流路面積を定めていると、同一の流路面積でも高負荷域では制御弁22の前後差圧が小さくなる分だけ制御弁流量が少なくなるため、高負荷になるほどリーン側の目標空燃比への切換時に補助空気流量の増量量が不足し、これによりトルクショックが残ってしまう。なお、トルクショックなどを防止するには空燃比を少しづつ変化させることであるが、そうすると、空燃比の切換途中でのNOxの発生が多くなる。
【0027】
これに対処するため、この例では負荷補正を行うのであるが、これを説明する前に全体の制御を、図3から図29までに示すフローチャートとこの制御に使われるテーブルやマップの内容を表す特性図を用いて、〈1〉制御弁22の流量制御、〈2〉目標燃空比の設定、〈3〉噴射量制御の順に概説する。
【0028】
なお、燃料制御は目標空燃比をめざして行い、空気流量の検出値から最終的に供給燃料量を求めていることを考えると、(空気流量)×(燃空比)=(供給燃料量)の関係が成立することから、燃空比のほうが空燃比より扱いやすいため、以下では一部の数値に燃空比を用いている。
【0029】
〈1〉制御弁22の流量制御
〈1−1〉アイドル回転数制御との関係
図15で示したように、アイドル回転数制御用のオンデューティISCONPとは別個にトルク制御デューティTcvdtyを計算しておき(図15のステップ72)、アイドル回転数制御のクローズド条件でなくなると、ISCONPに代えてトルク制御デューティTcvdtyを出力する(図15のステップ73,74)。
【0030】
ここで、アイドル回転数制御用のオンデューティISCONPは、たとえば
ISCONP=Areg+ISCi+ISCp+ISCtr+ISCat+ISCa+ISCrfn …(1)
ただし、Areg;ウォームアップデューティ(エアレギュレータ相当)
ISCi;アイドルフィードバック補正の積分分
ISCp;アイドルフィードバック補正の微分分
ISCtr;減速時空気増量分(ダッシュポット相当)
ISCat;A/T車のN←→Dレンジ補正分(Dレンジで大)
ISCa;エアコンON時の補正分
ISCrfn;ラジエータファンON時の補正分
により計算する(図15のステップ71)。
【0031】
(1)式のウォームアップデューティAregは、エンジン始動後の1回目はそのときの冷却水温に応じてテーブル参照に求めた値(テーブル値)をそのまま変数としてのAregに入れて使用し、その後は一定の周期(たとえば1secごと)で冷却水温に応じたテーブル値と前回の値を比較してAregの値を増減しながら(たとえばテーブル値>前回のAregでAreg=Areg+1、テーブル値<前回のAregでAreg=Areg−1)暖機完了まで働く値である。このため吸気管にエアレギュレータは設けられていない。Areg以外の値は従来と同様である。
【0032】
〈1−2〉トルク制御デューティTcvdty
これは、図16,図17に示したようにサブルーチンで計算する。
【0033】
まず絞り弁開度TVOから図18を内容とするテーブルを参照して絞り弁流路面積Atvoを、また制御弁22に与える基本デューティIscdtから図19を内容とするテーブルを参照して制御弁流路面積Aisc0を求め、これらの和を基本流路面積として変数Aa0に入れる(図16のステップ81,82)。なお、テーブル参照(マップ参照についても)はいずれも補間計算付きであるため、以下では単にテーブル参照(マップ参照)という。
【0034】
ここで、基本デューティIscdtは
Iscdt=(Iscdty−Tcvofs)×Tcvgin …(2)
ただし、Iscdty;減量基本デューティ
Tcvofs;制御弁立上がりデューティ
Tcvgin;デューティ補正率
である。
【0035】
(2)式の減量基本デューティIscdtyは、前回のフィードバック補正条件の終了時に保持されるフィードバック補正量ISCcl(=ISCi+ISCp)を減量補正したもので、
Iscdty=ISCcl×Gistv …(21)
である。この減量補正は、空燃比切換時のトルク制御のために制御弁22を動かし得る範囲を拡大することによって制御弁22の最大流量を小さくし、目標値をめざして微小な流量制御を行うフィードバック補正条件での弁精度を落とさないようにするためである。
【0036】
(2)式の制御弁立上がりデューティTcvofsとデューティ補正率Tcvginについてはバッテリ電圧低下時の補正で、後述する。
【0037】
基本流路面積Aa0からは増量平衡面積Tatcvhを
Tatcvh=Aa0×Kqh0×(1/(Dml×LTCGIN#)−1) …(3)
ただし、Kqh0;差圧補正率
LTCGIN#;トルク制御ゲイン
Dml;目標燃空比のランプ応答値
により求める(図16のステップ84)。
【0038】
(3)式をわかりやすくするため、
Tatcvh=Aa0×(1/Tdml−1) …(3−1)
ただし、Tdml;目標燃空比のマップ値
とすれば、この式は従来例の▲2▼式の第2項と同様の式である。
【0039】
(3−1)式において、(1/Tdml−1)は理論空燃比からの空燃比差相当であるため、これに総流路面積としてのAa0をかけた値は増量面積分(理論空燃比への切換時は減量面積分)を表しているのである。
【0040】
たとえば、理論空燃比(14.5)で目標燃空比のマップ値Tdmlは1、空燃比がリーン側の20でTdmlはほぼ0.66といった値である。なお、Tdmlが1や0.66という値であるのは、後述するように燃空比(目標燃空比)に空燃比の逆数そのものでなく、理論燃空比を1とする相対値を採用しているためである。
【0041】
ここで、(3−1)式のTdmlに1を入れるとTatcvh=0、またTdmlに0.66を入れるとTatcvh=1/0.66−1≒0.52となり、(0.52−0)×Aa0が理論空燃比からリーン空燃比への切換時の増量面積分となるわけである。
【0042】
(3)式に戻り、差圧補正率Kqh0については後述する。(3)式のトルク制御ゲインLTCGIN#はマッチングに必要となる値(たとえば0.79程度)である。
【0043】
増量平衡面積Tatcvhは、その上限を制御弁22の最大流量時の流路面積TCVMAX#から上記の制御弁流路面積Aisc0を差し引いた値(TCVMAX#−Aisc0)に制限する(図16のステップ85)。Aisc0の分はアイドル回転数制御ですでに使用されている値であるため、これを差し引いた残りが、空燃比切換時のトルク制御のために制御弁22を動かしうる範囲となるからである。
【0044】
Tatcvh>TCVMAX#−Aisc0になったとき(つまり上限にかかったとき)は、FAACOF=1とする(図16のステップ86,88)。このフラグFAACOFはランプ応答値Dmlの変化速度を可変にするためのフラグで、FAACOF=1になるとDmlの変化速度を遅くする。これは、上限にかかるまでは速い変化速度で制御弁22を動かすことができても、上限にかかった後は変化速度を速くせず、急激なトルク変化を防止するためである。
【0045】
増量平衡面積Tatcvhに対し、
Tatcv0=Tatcvo+(Tatcvh−Tatcvo)×Tcvtc …(4)
ただし、Tatcvo;Tatcvhの前回値
Tcvtc;進み補償時定数相当値(1以上の値)
により1次進みの式で進み補償面積を求める(図16のステップ91)。MPI方式で制御弁22の下流の吸気管容積が大きいときは、燃料の遅れよりも吸気管での空気の遅れのほうが相対的に大きいため、応答のよい燃料に合わせて空気を進ませることで、シリンダへの空気流量と燃料の両者の供給の位相を一致させるのである。
【0046】
また、SPI方式で制御弁下流の吸気管容積が小さいときは、空気よりも燃料のほうが遅れてシリンダに流入するので、燃料に合わせて空気のシリンダへの流入を遅らせるため、
Tatcv0=Tatcv0n−1+(Tatcvh−Tatcv0n−1)×Tcvtc …(5)
ただし、Tatcv0n−1;Tatcv0の前回値
Tcvtc;遅れ補償時定数相当値(1未満の値)
により1次遅れの式で遅れ補償面積を求めることで(図16のステップ92)、シリンダへの空気と燃料の供給の位相を一致させる。
【0047】
図16と図17のフローチャートは、MPI方式で吸気管容積の大きいエンジンとSPI方式で吸気管容積の小さいエンジンの2種類のタイプのいずれにも共用できるようにするため、Tcvtc≧1.0であるかどうかみて、Tcvtc≧1.0のとき吸気管容積の大きなエンジンであると判断して上記の(4)式を、Tcvtc<1.0であれば(5)式を採用するようにしている(図16のステップ90,91、ステップ90,92)。
【0048】
(4),(5)式の進み補償または遅れ補償時定数相当値Tcvtcは、エンジン回転数Nから図21を内容とするテーブルを参照して求める(図16のステップ89)。図21には吸気管容積の大きい用と小さい用の両方の特性を示しているが、図2に示したエンジンでは吸気管容積が小さい用の特性は不要である。
このようにして求めた進み補償または遅れ補償面積Tatcv0から目標流路面積Tatcvを
Tatcv=Tatcv0n−DLYIS+Aisc0+Aokuri …(6)
ただし、Aokuri;先送り分
により求める(図17のステップ93)。
【0049】
ここで、目標流路面積Tatcvは下限を0、上限を制御弁最大流量時の流路面積TCVMAX#と進み補償のための余裕分MXOS#を加えた値(TCVMAX#+MXOS#)に制限するのであるが、この制限によりこれらの制限値を(6)式の目標流路面積Tatcvがはみ出ることがある。このはみ出た分を次回(10ms後)に反映させるため、Tatcv<0であれば、アンダーフローしたTatcvの値を先送り分として変数Aokuriに入れ(図17のステップ94,95)、Tatcv>TCVMAX#+MXOS#のときも、Tatcv−(TCVMAX#+MXOS#)のオーバーフロー値を先送り分として変数Aokuriに入れる(図17のステップ96,97)。このAokuriの値が、次回に(6)式を用いて目標流路面積Tatcvを計算するときに使われるわけである。
【0050】
(6)式のTatcv0n−DLYISは進み補償または遅れ補償面積Tatcv0の所定回(たとえばDLYIS#)前の値である。これはインジェクタ3に開弁信号が送られてからインジェクタ3が実際に開き始めるまでのデッドタイムを考慮するものである。
【0051】
目標流路面積Tatcvは図22を内容とするテーブルを参照してオンデューティDtytcに変換し(図17のステップ99)、トルク制御デューティTcvdtyを
Tcvdty=Dtytc/Tcvgin+Tcvofs …(7)
ただし、Tcvgin;デューティ補正率
Tcvofs;制御弁立上がりデューティ
により計算する(図17のステップ100,101)。この式は、(2)式をIscdtyについて求めた式と同等である。
【0052】
(7)式の制御弁立上がりデューティTcvofsは、オンデューティがある値になるまでは、図25のように実質的に制御弁22が働かない分で、バッテリ電圧Vbから図24を内容とするテーブルを参照することにより求める。図25のように、比例ソレノイド式の制御弁22ではバッテリ電圧Vbが低下するほど制御弁立上がりデューティTcvofsが大きくなることを考慮しているわけである。
【0053】
デューティ補正率Tcvginは、図23を内容とするテーブルを参照して求める。これは、図25の制御弁22の流量特性において、斜めに立ち上がる直線の傾きがバッテリ電圧Vbの低下とともに小さくなるため、バッテリ電圧Vbが低下しても、制御弁流量を同一とするための補正である。
【0054】
〈2〉目標燃空比の設定
目標燃空比はマップ値Tdml→ランプ応答値Dml→ダンパ値Kmrの順に求める。
【0055】
〈2−1〉目標燃空比のマップ値Tdml
図6に示したように、リーン条件であれば図7を内容とするリーンマップを参照して目標燃空比MDMLLを、またリーン条件でなければ図8の非リーンマップを参照して目標燃空比MDMLSをそれぞれ求め(図6のステップ31,32、ステップ31,33)、これを目標燃空比のマップ値として変数Tdmlに入れる(図6のステップ34)。
【0056】
ここで、目標燃空比マップ値となるMDMLL,MDMLSの値は、図7,図8のように燃空比そのものの値でなく、理論燃空比を1.0とする相対値である。
【0057】
〈2−2〉目標燃空比のランプ応答値Dml
ランプ応答値Dmlの波形はその名のとおり、図10に示したように、ステップ変化するマップ値Tdmlに対してランプ応答にしたもので、具体的には図9のように、リーン方向への燃空比の変化速度をDmll、リッチ方向への燃空比変化速度をDmlrとすれば、Dmlold(前回のDml)とTdmlの比較によりいずれの方向への変化であるかがわかるため、Dmlold<Tdmlであればリッチ方向への切換であるとして、Tdmlと(Dmlold+Dmlr)の小さいほうをDmlに入れ、この逆にDmlold≧Tdmlのときはリーン方向への切換であるとしてTdmlと(Dmlold−Dmll)の大きいほうをDmlに入れることで(図9のステップ44,45、ステップ44,46)、ランプ応答値が得られる。NOxで考えた場合、理論空燃比からリーン空燃比への切換時のほうが触媒の活性度合いがよいので、DmllのほうがDmlrより小さくできる。
【0058】
一方、次の条件
〈ア〉スタートスイッチがONであること
〈イ〉Tdml≧上限値TDMLR#のとき
のいずれかが成立したときはDml=Tdmlとする(図9のステップ41,42,43)。
【0059】
なお、ランプ応答値Dmlはエンジン回転に同期(ref信号に同期)させて求めている。エンジン回転に同期させて求めるのは、排気性能がエンジン回転に同期して変化するためである。
【0060】
図11は、上記2つの変化速度Dmll,Dmlrを求めるためのサブルーチンで、増量平衡面積Tatcvhが上限値や下限値にかかる前(つまりFAACOF=0のとき)はランプ応答値Dmlの変化速度を速くするため、大きな値の所定値DDMLLH#、DDMLRH#をそれぞれ変数Dmll,Dmlrにいれる(図11のステップ51,52)。
【0061】
これに対して、増量平衡面積Tatcvhが上限値や下限値にかかった後(つまりFAACOF=1のとき)は、絞り弁開度変化量の絶対値|ΔTVO|に応じた大きさの値を選択して変数Dmll,Dmlrに入れている(図11のステップ51,53)。たとえば、一方の変数Dmllで代表させると、|ΔTVO|<DTVO1#で所定値DDMLL0#を、DTVO1#≦|ΔTVO|<DTVO2#で所定値DDMLL1#を、DTVO2#≦|ΔTVO|<DTVO3#で所定値DDMLL2#を、DTVO3#≦|ΔTVO|で所定値DDMLL3#をそれぞれ選択する。ただし、DDMLL0#<DDMLL1#<DDMLL2#<DDMLL3#<DDMLLH#である。
【0062】
〈2−3〉目標燃空比のダンパ値Kmr
図12のように、ランプ応答値Dmlに対して、
Dmlo=Dml×Fbyatc+Dmlon−1×(1−Fbyatc) …(9)
ただし、Fbyatc;遅れ時定数相当値(1未満の値)
により1次の遅れを加える(図12のステップ65)。
【0063】
これは、MPI方式で吸気管容積が大きいときに、制御弁からシリンダに達するまでに遅れをもつ補助空気流量の増量量に合わせて(9)式により燃料供給を遅らせることで((9)式で目標空燃比を遅らせると、最終的に燃料の供給が遅れることになる)、空燃比切換時にシリンダへの燃料と空気の供給の位相を一致させるのである。したがって、(9)式はなまし処理である点で従来例の▲6▼式と同等である(従来例の▲6▼式はトルク変化をなめらかにすることを目的とする本発明の図9,図10相当となる)。
【0064】
(9)式のダンパ値Dmloは、3回前までの値をストアしておき、所定回前(たとえばDLYFBA#回前)の値を変数Kmrに入れる(図12のステップ66)。DLYFBA#回前の値とするのは、図14に示したように、制御弁22の遅れ(デッドタイム)を考慮したものである。
【0065】
ただし、次の条件
〈ア〉スタートスイッチがONであること
〈イ〉Dml>1.0であること
〈ウ〉|ΔTVO|≧所定値DTVOTR#であること
のいずれかが成立したときは、遅れ処理を行わない(図12のステップ61,62,63,67)。
【0066】
(9)式の遅れ時定数相当値Fbyatcは、図13を内容とするテーブルのうち吸気管容積大用を参照して求める(図12のステップ64)。空燃比切換時の空気流量の増量量の遅れは、エンジン回転数Nが低下するほど大きくなるため、この傾向に合わせて図13のようにFbyatcの値を設定している(吸気管容積が小さいエンジンに対しては低回転域でだけ)。
【0067】
図13にはまた、吸気管容積小用の特性を重ねて示しており、SPI方式で吸気管容積が小さいエンジンでは、燃料よりも空気のほうが応答がよいので、燃料を遅らせる必要がないため、Fbyatc=1.0としている。つまり、図13を内容とするテーブルを実際に装着するエンジンの吸気管容積の大小に合わせて、不要となる図13の一方の特性を削除することで、図12のフローチャートをSPI方式にも共用できるのである。
【0068】
なお、MPI方式で吸気管容積が大きい場合に、空燃比切換時に補助空気流量の増量量と燃料量の両者の供給の位相を一致させるには、(a)補助空気流量の増量量に合わせて燃料量を遅らせるか、(b)燃料量に合わせて補助空気流量の増量量を進めてやるかの2つの実施例があり、図12と図16のフローチャートは2つの実施例(SPI方式に対する分まで含めると合計で4つの実施例)をともに織り込んだものとなっている。したがって、実施例レベルではいずれかを選択するため、
(a)に対する実施例のとき図16のステップ90,91,92を削除、
(b)に対する別の実施例のとき図12のステップ64,65を削除
しなければならない。
【0069】
〈2−4〉目標燃空比Tfbya
これは図6のように、
Tfbya=Kmr+Kas+Ktw …(8)
ただし、Kmr;目標燃空比のダンパ値
Kas;始動後増量補正係数
Ktw;水温増量補正係数
により計算する(図6のステップ38)。
【0070】
ここで、始動後増量補正係数Kasは、クランキング中はその値が冷却水温に応じて定まり、エンジン始動直後より時間とともに徐々に減少する値、水温増量補正係数Ktwは冷却水温からテーブルを参照して求める値(図6のステップ37,36)で、いずれも公知である。
【0071】
〈3〉噴射量制御
〈3−1〉制御弁22のフェイルセーフ
図5に示したように、エアフローメータ4の出力電圧QaはA/D変換した後でテーブル参照により空気流量単位に変換するが(図5のステップ21,22)、この変換により得た空気流量Qを上限値Fqmaxに制限する(図5のステップ23,24)。これは、大流量の制御弁22に誤作動が生じると、大流量の補助空気がシリンダに流入してドライバーの要求以上のトルクが発生するので、これを防止するためである。
【0072】
図26は上限値Fqmaxを求めるためのフローチャートである。図26において、絞り弁流路面積Fatvoを図27を内容とするテーブルを参照して、また制御弁22が正常に働くとしたときの制御弁流路面積の予測値Aiscを図28を内容とするテーブルを参照してそれぞれ求める(図26のステップ111,112)。
【0073】
なお、図27で横軸のTvoabsは絞り弁開度TVOから全閉時のTVOを引いた値、またAOFST#は絞り弁開度TVOを実空気流量に対応させるためのオフセット量である。図28で横軸のAacdtyはISCONP(アイドル回転数制御用のオンデューティ)かTcvdty(トルク制御デューティ)のいずれかの値である。
【0074】
絞り弁流路面積Fatvoと制御弁流路面積の予測値Aiscの合計の流路面積(Fatvo+Aisc)は、
Pqmax=(Fatvo+Aisc)×KAQGIN# …(10)
ただし、KAQGIN#;定数
により空気流量単位に変換する(図26のステップ113)。(10)式のPqmaxは制御弁22が正常に働くとしたときの総吸入空気流量の予測値である。
この予測値Pqmaxから上限値Fqmaxを
Fqmax=Pqmax×Qmxg …(11)
ただし、Qmxg;ゲイン
により求める(図26のステップ115)。
【0075】
ゲインQmxgはエアフローメータ4から得た空気流量Qと予測値Pqmaxの比(Q/Pqmax)より図29を内容とするテーブルを参照して求める(図26のステップ114)。図29において、Q/Pqmaxが小さな領域ではゲインQmxgの値が一定であるが、Q/Pqmaxの大きな領域になるとゲインQmxgの値を大きくしている。これは、たとえば絞り弁開度TVOが小さい領域で制御弁22が全開固着したとき空燃比が過度にリーン側にずれてリーン失火を生じ回転が下がりすぎるので、このリーン失火を防止するためである。Q/Pqmaxは制御弁22の誤作動の度合いを表すため、この度合いが大きいときはリーン失火を生じないように予測値Pqmaxに対する上限値Fqmaxの割合を大きくするのである。
【0076】
〈3−2〉シリンダ吸気相当の基本噴射パルス幅Tp
図5において、Q>Fqmaxのときは上限値Fqmax(=Q)から、またそれ以外ではQをそのまま用いてシリンダ吸気相当の基本噴射パルス幅Tpを、公知の式
Tp0=(Q/Ne)×KCONST#×Ktrm …(12)
Tp=Tp0×Fload+Tp×(1−Fload) …(13)
ただし、Tp0;絞り弁部相当の基本噴射パルス幅
KCONST#;ベース空燃比を与える定数
Ktrm;トリミング係数
Fload;吸気管空気遅れ係数
により計算する(図5のステップ25)。
【0077】
(13)式は過渡時(運転条件の変化に関するもので、空燃比の切換とは関係ない)の吸気管の空気の応答遅れを考慮するものである。
【0078】
〈3−3〉燃料噴射パルス幅Ti
図3は吸気ポート12bに設けたインジェクタ3への燃料噴射パルス幅Tiを算出するためのフローチャートで、これを、
Ti=Tp×Tfbya×(α+αm)×Ktr+Ts …(14)
ただし、α:空燃比フィードバック補正係数
αm;空燃比学習制御係数
Ktr;過渡補正係数
Ts:バッテリ電圧に応じた無効パルス幅
によって計算し(図3のステップ2)、これを図4で示したように噴射タイミングで出力する(図4のステップ11)。
【0079】
(14)式の過渡補正係数Ktrは、燃料の吸気管での輸送遅れを補正するもので、従来例の▲4▼式のKACCと同様の値である。たとえば、初期値は絞り弁開度変化量の絶対値|ΔTVO|が所定値を越えた時点(つまり加速や減速を判定した時点)の|ΔTVO|に応じて定まり、時間とともに減少する値である。
【0080】
以上で概説を終える。
【0081】
さて、この例では増量平衡面積Tatcvhを計算する場合に差圧補正率Kqh0を導入し、この差圧補正率Kqh0と目標燃空比のランプ応答値Dmlおよび基本流路面積Aa0とから(3)式で示したように増量平衡面積Tatcvhを計算する(図16のステップ84)。
【0082】
差圧補正率Kqh0は、負荷としてのQh0(公知のリニアライズ流量のことで、絞り弁開度TVOとエンジン回転数Nおよび排気量Vから定まっている)から図20を内容とするテーブルを参照することにより求める(図16のステップ83)。
【0083】
図20に示したように、Qh0の小さな低負荷域ではKqh0は1にほぼ近い値であるが、高負荷になるにつれてKqh0の値が1より大きくなり、これによって(3)式の増量平衡面積Tatcvhの値を大きくしている。
【0084】
これは、図20に示したソニック領域では制御弁22の開度と流量が比例するのに対し、高負荷域では比例せず高負荷になるにつれて流量が不足することになるので、負荷に関係なく一定の制御弁流量とするには、高負荷で流量不足を補う必要があるため、差圧補正率Kqh0を図20の特性としたわけである。
【0085】
ここで、この例の作用を図30を参照しながら説明すると、図においてAのアクセル開度以上をリーン条件として、アクセルペダルをゆっくり踏み込んでゆくと、差圧補正率Kqh0の導入により、この例ではAのアクセル開度までは理論空燃比でのトルクカーブをトレースし、Aのアクセル開度からはほぼトルク一定でリーン空燃比でのトルクカーブに近づいてゆく。Aのように比較的負荷の大きな領域でリーン空燃比へと切換えても、このトルク特性によれば切換時にトルク段差が生じることがないのである。
【0086】
これに対して、差圧補正率Kqh0を導入せず、
Tatcvh=Aa0×(1/(Dml×LTCGIN#)−1)…(3−2)
により増量平衡面積Tatcvhを計算させたときは、破線で示したように、アクセル開度の小さな領域ではほぼ理論空燃比でのトルクカーブをトレースするものの、すぐにこのトルクカーブから徐々に外れてゆき、Bのアクセル開度からリーン空燃比でのトルクをトレースする。つまり、図に斜線で示した面積が差圧補正率Kqh0を導入しない場合の補助空気流量の増量量不足によるトルクの低下分に相当する。
【0087】
このように、本実施例では、基本流路面積Aa0と目標燃空比のランプ応答値Dmlとが同じでも、差圧補正率(負荷に応じた補正率)Kqh0で高負荷になるほど増量平衡面積Tatcvhを大きくすることで、高負荷域での切換時にも補助空気流量の増量量が不足することがなく、これによって高負荷域での空燃比切換時にトルクショックを招くことがない。
【0088】
図31は他の実施例である。吸気絞り弁5はアクセルペダル31と機械的に連動するのでなく、ステップモータ32により駆動される。ステップモータ32は、コントロールユニット33からの制御量に応じて回動する。
【0089】
先の実施例では補助空気通路21に設けた流量制御弁22で、アイドル回転数制御と目標空燃比の切換時のトルク制御との両方を行ったが、この例では流量制御弁22はアイドル回転数制御のためだけに用い、目標空燃比の切換時のトルク制御は絞り弁32のほうで行う。34はアクセルセンサ、35は絞り弁5の実際の開度を検出するセンサである。
【0090】
図32はアクセル開度に応じた流量制御と目標空燃比の切換時のトルク制御とを合わせて示す。
【0091】
〈4−1〉アクセル開度に応じた流量制御
アクセルセンサ34で検出されるアクセル開度から図33を内容とするテーブルを参照して絞り弁の基本流路面積Atvo0を求める(図32のステップ122)。図33に示す基本流路面積Atvo0が得られるようにステップモータ32により絞り弁5を駆動してやれば、絞り弁5がアクセルペダルと機械的に連動している場合と同じ特性になるわけである。
【0092】
〈4−2〉目標燃空比の切換のためのトルク制御
絞り弁5の基本流路面積Atvo0と目標燃空比のランプ応答値Dmlとから増量平衡面積Latvohを
Latvoh=Atvo0×Kqh0×(1/(Dml×LTCGIN#)−1) …(31)
ただし、Kqh0;差圧補正率
LTCGIN#;トルク制御ゲイン
により求め(図32のステップ124)、この増量平衡面積Latvohに対し先の実施例と同様にして進み補償または遅れ補償を行い(図32のステップ125)、絞り弁5の目標流路面積Tatvoを
Tatvo=Latvo+Atvo0 …(32)
ただし、Latvo;進み補償または遅れ補償面積
により求める(図32のステップ126)。
【0093】
(31)、(32)式はそれぞれ(3)、(6)式に対応するもので、リーン燃空比への切換時には(32)式によりリーン増量面積分(Latvo)だけ余計に絞り弁5を開くわけである。
【0094】
〈4−3〉リニアライズ流量Qh0の計算
絞り弁開度センサ35からの絞り弁実開度TVOから所定のテーブルを参照して絞り弁5の実流路面積Atvoを、また流量制御弁22へのオンデューティISCONから所定のテーブルを参照して制御弁22の実流路面積Aiscをそれぞれ求める(図32のステップ129)。ISCONは、たとえば(1)式のISCONPからウォームアップデューティAregを差し引いた値(従来の値)である。
【0095】
これらの和(Atvo+Aisc)をエンジン回転数Nと排気量Vで割った値を変数Qh0に入れる(図32のステップ130)。
【0096】
この他の例でも(31)式に示したように先の実施例と同じ差圧補正率Kqh0を導入することで、目標空燃比の切換時に吸入空気流量を増量する場合に、高負荷域で増量量が低下することがない。
【0097】
【発明の効果】
第1の発明では、運転条件信号がリーン条件であるかどうかを判定し、この判定結果よりリーン条件ではこの条件に応じた目標空燃比を、またリーン条件以外の条件になるとこのリーン条件以外の条件に応じた目標空燃比を運転条件信号に応じて算出し、この目標空燃比と運転条件信号からシリンダ吸気相当の基本噴射量を算出し、この基本噴射量にもとづいて算出された燃料を供給する一方で、吸気絞り弁をバイパスする補助空気流量を調整する制御弁を設け、絞り弁の開度信号から絞り弁流路面積を、制御弁の開度信号から制御弁流路面積をそれぞれ算出し、これら2つの面積の合計を基本流路面積として求めるとともに、低負荷ではほぼ一定値であり高負荷では負荷が大きくなるにつれて値が大きくなる流路面積の増量率を負荷信号に応じて算出し、この増量率と前記基本流路面積および目標空燃比とを用いて前記制御弁の増量平衡面積を算出し、この増量平衡面積と前記制御弁流路面積の和を目標流路面積として求め、この目標流路面積に応じて前記制御弁を駆動するように構成したため、高負荷域での目標空燃比の切換時にも補助空気流量の増量量が不足することがなく、これによって高負荷域での空燃比切換時にトルクショックを招くことがない。
【0098】
第2の発明は、運転条件信号がリーン条件であるかどうかを判定し、この判定結果よりリーン条件ではこの条件に応じた目標空燃比を、またリーン条件以外の条件になるとこのリーン条件以外の条件に応じた目標空燃比を運転条件信号に応じて算出し、この目標空燃比と運転条件信号からシリンダ吸気相当の基本噴射量を算出し、この基本噴射量にもとづいて算出された燃料を供給する一方で、アクセルペダルに連動することなく制御量に応動する吸気絞り弁を設け、アクセルペダルの開度信号からこの絞り弁の基本流路面積を算出するとともに、低負荷ではほぼ一定値であり高負荷では負荷が大きくなるにつれて値が大きくなる流路面積の増量率を負荷信号に応じて算出し、この増量率と前記基本流路面積および目標空燃比とを用いて前記絞り弁の増量平衡面積を算出し、この増量平衡面積と前記基本流路面積の和を目標流路面積として求め、この目標流路面積に応じて前記絞り弁を駆動するように構成したため、第1の発明と同様の効果を生じる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明のクレーム対応図である。
【図2】一実施例のシステム図である。
【図3】燃料噴射パルス幅Tiの算出を説明するための流れ図である。
【図4】燃料噴射パルス幅Tiの出力を説明するための流れ図である。
【図5】シリンダ吸気相当の基本噴射パルス幅Tpの算出を説明するための流れ図である。
【図6】目標燃空比Tfbyaの算出を説明するための流れ図である。
【図7】リーンマップの内容を説明するための特性図である。
【図8】非リーンマップの内容を説明するための特性図である。
【図9】目標燃空比のランプ応答値Dmlの算出を説明するための流れ図である。
【図10】目標燃空比のランプ応答値Dmlの波形図である。
【図11】変化速度Ddmlr、Ddmllの計算を説明するための流れ図である。
【図12】目標燃空比のダンパ値Kmrの算出を説明するための流れ図である。
【図13】2つの実施例の遅れ時定数相当値Fbyatcのテーブル内容を重ねて示す特性図である。
【図14】制御弁22のデッドタイムを説明するための波形図である。
【図15】制御弁22へのオンデューティの算出を説明するための流れ図である。
【図16】前記2つの実施例とは別の2つの実施例に共用のトルク制御デューティTcvdtyの算出を説明するための流れ図である。
【図17】トルク制御デューティTcvdtyの算出を説明するための流れ図である。
【図18】絞り弁流路面積Atvoのテーブル内容を示す特性図である。
【図19】制御弁流路面積Aisc0のテーブル内容を示す特性図である。
【図20】差圧補正率Kgh0のテーブル内容を示す特性図である。
【図21】前記2つの実施例とは別の2つの実施例の遅れ進み補償時定数相当値Tcvtcのテーブル内容を重ねて示す特性図である。
【図22】基本デューティDtytcのテーブル内容を示す特性図である。
【図23】デューティ補正率Tcvginのテーブル内容を示す特性図である。
【図24】制御弁立上がりデューティTcvofsのテーブル内容を示す特性図である。
【図25】制御弁22の流量特性図である。
【図26】上限値Fqmaxの算出を説明するための流れ図である。
【図27】絞り弁流路面積Fatvoのテーブル内容を示す特性図である。
【図28】制御弁流路面積の予測値Aiscのテーブル内容を示す特性図である。
【図29】ゲインQmxgのテーブル内容を示す特性図である。
【図30】前記実施例の作用を説明するためのトルク特性図である。
【図31】他の実施例のシステム図である。
【図32】他の実施例の目標流路面積Tatvoの算出を説明するための流れ図である。
【図33】絞り弁の基本流路面積Atvo0のテーブル内容を示す特性図である。
【図34】従来例のシステム図である。
【図35】従来例の空気補正率KBAのテーブル内容を示す特性図である。
【図36】従来例の作用を説明するための波形図である。
【図37】第2の発明のクレーム対応図である。
【符号の説明】
2 コントロールユニット
3 インジェクタ(燃料供給装置)
4 エアフローメータ
5 吸気絞り弁
6 スロットルセンサ
7 クランク角度センサ(回転数センサ)
12a コレクタ部
12b 吸気ポート
21 補助空気通路
22 流量制御弁
31 アクセルペダル
32 ステップモータ
34 アクセルセンサ
35 絞り弁開度センサ
41 リーン条件判定手段
42 目標空燃比算出手段
43 基本噴射量算出手段
44 燃料供給装置
45 吸気絞り弁
46 流量制御弁
47 絞り弁流路面積算出手段
48 制御弁流路面積算出手段
49 基本流路面積算出手段
50 負荷補正率算出手段
51 増量平衡面積算出手段
52 目標流路面積算出手段
53 駆動手段
61 吸気絞り弁
62 基本流路面積算出手段
63 増量平衡面積算出手段
64 目標流路面積算出手段
65 駆動手段

Claims (2)

  1. 運転条件信号がリーン条件であるかどうかを判定する手段と、
    この判定結果よりリーン条件ではこの条件に応じた目標空燃比を、またリーン条件以外の条件になるとこのリーン条件以外の条件に応じた目標空燃比を運転条件信号に応じて算出する手段と、
    この目標空燃比と運転条件信号からシリンダ吸気相当の基本噴射量を算出する手段と、
    この基本噴射量にもとづいて算出された燃料を供給する装置と、
    吸気絞り弁をバイパスする補助空気流量を調整する制御弁と、
    前記絞り弁の開度信号から絞り弁流路面積を算出する手段と、
    前記制御弁の開度信号から制御弁流路面積を算出する手段と、
    これら2つの面積の合計を基本流路面積として算出する手段と、
    低負荷ではほぼ一定値であり高負荷では負荷が大きくなるにつれて値が大きくなる流路面積の増量率を負荷信号に応じて算出する手段と、
    この増量率と前記基本流路面積および目標空燃比とを用いて前記制御弁の増量平衡面積を算出する手段と、
    この増量平衡面積と前記制御弁流路面積の和を目標流路面積として算出する手段と、
    この目標流路面積に応じて前記制御弁を駆動する手段と
    を設けたことを特徴とするリーンバーンエンジンの空燃比制御装置。
  2. 運転条件信号がリーン条件であるかどうかを判定する手段と、
    この判定結果よりリーン条件ではこの条件に応じた目標空燃比を、またリーン条件以外の条件になるとこのリーン条件以外の条件に応じた目標空燃比を運転条件信号に応じて算出する手段と、
    この目標空燃比と運転条件信号からシリンダ吸気相当の基本噴射量を算出する手段と、
    この基本噴射量にもとづいて算出された燃料を供給する装置と、
    アクセルペダルに連動することなく制御量に応動する吸気絞り弁と、
    アクセルペダルの開度信号から前記絞り弁の基本流路面積を算出する手段と、低負荷ではほぼ一定値であり高負荷では負荷が大きくなるにつれて値が大きくなる流路面積の増量率を負荷信号に応じて算出する手段と、
    この増量率と前記基本流路面積および目標空燃比とを用いて前記絞り弁の増量平衡面積を算出する手段と、
    この増量平衡面積と前記基本流路面積の和を目標流路面積として算出する手段と、
    この目標流路面積に応じて前記絞り弁を駆動する手段と
    を設けたことを特徴とするリーンバーンエンジンの空燃比制御装置。
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