JP3620148B2 - エンジンの回転数制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明はエンジンの回転数制御装置、特にアイドル状態で自動変速機のセレクタ位置が走行レンジにある場合(この場合を簡単にアイドル自走中という)かつアイドル状態でアイドル回転数のフィードバック制御を行うものに関する。
【0002】
【従来の技術】
アイドル自走中かつアイドル回転数のフィードバック制御を行うものにおいて、制動装置の作動が検出されたとき、アイドル回転数のフィードバック補正量を増すことによってエンストを防止するようにしたものが提案されている(特開平1−110858号公報参照)。
【0003】
この提案の背景にある物理的現象は次のようなものである。
【0004】
トルクコンバータは、その出力軸回転数n2と入力軸回転数n1の比に対して図4に示した容量係数Cをもち、エンジンからみたトルクコンバータ負荷T1はT1=C×n12となる。たとえば、ブレーキ等により車両が停止している状態でトルクコンバータの出力軸が固定されているときは、回転数比n2/n1が0となり容量係数Cが非常に大きくなり、この逆に走行している状態では回転数比n2/n1が1に近づき容量係数Cが小さくなる。停車時に対し走行時はエンジンからみてトルクコンバータ負荷が小さくなるわけである。
【0005】
したがって、アイドル自走中にブレーキ操作が行われ、トルクコンバータの出力軸回転数n2が急激に低下すると、回転数比n2/n1の減少によりエンジンに対するトルクコンバータ負荷T1が急激に増加して、エンジン回転数が低下し、エンストに至る可能性があるので、従来装置では、アイドル自走中かつ空気量制御手段を用いてのアイドル回転数のフィードバック制御中にブレーキ操作を検出したとき供給空気量を所定時間大きくすることによって回転低下を回避するのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、供給空気量の増量により発生トルクを大きくしようとしても、空気量の増量操作から実際に発生トルクが大きくなるまでにかなり大きな時間的遅れがあるため、急制動に伴うトルクコンバータ負荷の急増に対応することは困難である。スロットル弁のバイパス通路に設けられる補助空気弁をステップ的に開いても、発生トルクに直接結びつくシリンダ吸入空気量はゆっくりとしか大きくならず、補助空気弁部の流量とシリンダ吸入空気量の相違が収束するためには、数100msec程度の時間を要するのである。
【0007】
また、上記公報には空気量に代えて、点火時期を使って制御してもよいとの記述があり、点火時期を使用してのトルク制御であれば、応答性としては問題ない。しかしながら、点火時期の動作中心は燃費の向上をねらって最大トルク点付近に設定されるのが通常で、たとえば図8において☆印の位置に設定される。したがって、その☆印の位置では発生トルクを増量させる余裕代がほとんどないため、応答の速いトルク制御手段としてはこのままでは力不足であり、アイドル自走中かつアイドル回転数のフィードバック制御中におけるブレーキ操作時の回転低下を十分に抑止することができない。
【0008】
なお、特開平2−81939号公報では、アイドル自走中におけるアイドル回転数のフィードバック制御により吸入空気量があまり減少されることがないように低車速時はそれ以外よりもフィードバック補正量の下限値を高めに設定し、ブレーキ操作時でもある程度の空気量を確保することによりブレーキ操作時のエンストを防止しようとしている。しかしながら、このものは要はエンジンへの負荷が減少してもフィードバック補正量が下限値より小さくならないようにすることにより供給空気量を減らさない構成であることから、そもそも目標回転数に制御することができない。フィードバック補正量を下限値より小さくできないために目標回転数より高い回転数で維持されたのでは、極く低速で走行したいアイドル状態での走行にもかかわらず車速が上昇することになり、運転性としては不十分な結果となるのである。
【0009】
そこで本発明は、アイドル自走中に応答の速いトルク制御手段を用いてアイドル回転数のフィードバック制御を行うとともに、アイドル自走中にブレーキ操作等によりトルクコンバータ負荷の急増が生じる可能性があるとき、応答の速いトルク制御手段に所定のトルク増量余裕代を生成させておくこと等により、アイドル状態での目標回転数を維持しつつアイドル自走中のブレーキ操作等によるエンストを防止することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第1の発明では、図36に示すように、アイドル状態での目標回転数NSETを設定する手段31と、アイドル状態を検出する手段32と、このアイドル状態の検出時にエンジン回転数が前記目標回転数NSETと一致するように応答の速いトルク制御手段を用いてアイドル回転数のフィードバック制御を行う手段33と、変速機が走行レンジにありかつエンジンからみたトルクコンバータ負荷の減少時かつアイドル状態の検出時であるかどうかを判定する手段34と、この判定結果より変速機が走行レンジにありかつエンジンからみたトルクコンバータ負荷の減少時かつアイドル状態の検出時に前記応答の速いトルク制御手段に所定のトルク増量余裕代を生成させる手段35と、このトルク増量余裕代を生成させている状態でエンジンからみたトルクコンバータ負荷が急増したときこのトルク増量余裕代を用いて発生トルクを増量させる手段36とを設けた。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において前記トルクコンバータ負荷の減少を検出する手段が、前記変速機の入力軸回転数n1と出力軸回転数n2をそれぞれ検出する手段と、これら入出力軸回転数比n2/n1に基づいて前記トルクコンバータ負荷T1を算出する手段と、前記入力軸回転数n1に基づいて前記出力軸回転数n2が0となるときの前記トルクコンバータ負荷または最大の前記トルクコンバータ負荷T0を算出する手段と、この出力軸回転数n2が0となるときの前記トルクコンバータ負荷または最大の前記トルクコンバータ負荷T0と前記入出力軸回転数比に基づく前記トルクコンバータ負荷T1との差より前記トルクコンバータ負荷の減少を検出する手段とからなる。
【0012】
第3の発明では、第1の発明において前記トルクコンバータの入力軸回転数としてエンジン回転数を用いるとともに、前記トルクコンバータの出力軸回転数を車両速度または車軸回転数と変速機の変速比とから計算により求める。
【0013】
第4の発明では、第1の発明において前記トルクコンバータ負荷の減少を、車両速度、駆動軸回転数またはトルクコンバータの出力軸回転数に基づいて検出する。
【0014】
第5の発明では、図37に示すように、アイドル状態での目標回転数NSETを設定する手段31と、アイドル状態を検出する手段32と、このアイドル状態の検出時にエンジン回転数が前記目標回転数NSETと一致するようにトルク制御手段を用いてアイドル回転数のフィードバック制御を行う手段41と、変速機が走行レンジにありかつエンジンからみたトルクコンバータ負荷の減少時かどうかを判定する手段42と、この判定結果より変速機が走行レンジにありかつエンジンからみたトルクコンバータ負荷の減少時に前記目標回転数を所定値だけ高く設定する手段43とを設けた。
【0015】
第6の発明では、第5の発明において前記トルクコンバータ負荷の減少を検出する手段が、前記変速機の入力軸回転数n1と出力軸回転数n2をそれぞれ検出する手段と、これら入出力軸回転数比n2/n1に基づいて前記トルクコンバータ負荷T1を算出する手段と、前記入力軸回転数n1に基づいて前記出力軸回転数n2が0となるときの前記トルクコンバータ負荷または最大の前記トルクコンバータ負荷T0を算出する手段と、この出力軸回転数n2が0となるときの前記トルクコンバータ負荷または最大の前記トルクコンバータ負荷T0と前記入出力軸回転数比に基づく前記トルクコンバータ負荷T1との差より前記トルクコンバータ負荷の減少を検出する手段とからなる。
【0016】
第7の発明では、第5の発明において前記トルクコンバータの入力軸回転数としてエンジン回転数を用いるとともに、前記トルクコンバータの出力軸回転数を車両速度または車軸回転数と変速機の変速比とから計算により求める。
【0017】
第8の発明では、第5の発明において前記トルクコンバータ負荷の減少を、車両速度、駆動軸回転数またはトルクコンバータの出力軸回転数に基づいて検出する。
【0018】
第9の発明では、第1から第4までのいずれか一つの発明において前記応答の速いトルク制御手段が点火時期制御手段であり、前記トルク増量余裕代生成手段35が前記点火時期制御手段による点火時期の動作中心を遅角側に移動させる手段である。
【0019】
第10の発明では、第1から第4までのいずれか一つの発明において前記応答の速いトルク制御手段が空燃比制御手段であり、前記トルク増量余裕代生成手段35が前記空燃比制御手段による空燃比の動作中心をリーン側に移動する手段である。
【0020】
第11の発明では、第1から第4までのいずれか一つの発明において前記応答性の速いトルク制御手段が発電量制御手段であり、前記トルク増量余裕代生成手段35が前記発電量制御手段による発電量の動作中心を増量側に移動する手段である。
【0021】
第12の発明では、第1から第4までのいずれか一つの発明において前記トルク増量余裕代生成手段35が、応答の遅いトルク制御手段により発生トルクを増加させるとともに、このトルク増加分を前記応答の速いトルク制御手段により相殺する手段である。
【0022】
第13の発明では、第12の発明において前記応答の遅いトルク制御手段が空気量制御手段である。
【0023】
第14の発明では、第1から第4まで、第9から第13までのいずれか一つの発明において前記トルク増量余裕代を前記トルクコンバータ負荷の減少量が大きくなるほど大きくする。
【0024】
第15の発明では、第14の発明において前記トルクコンバータ負荷の減少量をローパスフィルタによりフィルタリングする。
【0025】
第16の発明では、第15の発明において前記ローパスフィルタの時定数を、入力が出力より大きい場合は小さく入力が出力より小さい場合は大きくする。
【0026】
第17の発明では、第5から第8までのいずれか一つの発明において前記所定値を、前記トルクコンバータ負荷の減少量が大きくなるほど大きく設定する。
【0027】
第18の発明では、第17の発明において前記所定値を設定した後に前記トルクコンバータ負荷の減少量が小さくなったとき前記目標回転数を元の値に戻す。
【0028】
第19の発明では、第17または第18の発明において前記トルクコンバータ負荷の減少量をローパスフィルタによりフィルタリングする。
【0029】
第20の発明では、第19の発明において前記ローパスフィルタの時定数を、入力が出力より大きい場合は小さく入力が出力より小さい場合は大きくする。
【0030】
第21の発明では、第17の発明において前記所定値を設定した後に前記トルクコンバータ負荷の減少量が小さくなったとき所定時間の後で前記目標回転数を元の値に戻す。
【0031】
第22の発明では、第1から第4の発明まで、第6から第16までのいずれか一つの発明において前記トルク増量余裕代の生成後に前記トルクコンバータ負荷が急増したかどうかを判定する手段と、この判定結果よりトルクコンバータ負荷が急増したとき前記トルク増量余裕代を用いて前記応答の速いトルク制御手段によりトルク増量側に制御する手段とを設けた。
【0032】
第23の発明では、第1から第4の発明まで、第9から第16までのいずれか一つの発明において前記トルク増量余裕代の生成後に前記トルクコンバータ負荷が急増しかつ回転低下が生じたかどうかを判定する手段と、この判定結果よりトルクコンバータ負荷が急増しかつ回転低下が生じたとき前記トルク増量余裕代を用いて前記応答の速いトルク制御手段によりアイドル回転数のフィードバック制御を行う手段とを設けた。
【0033】
第24の発明では、第23の発明において前記トルク増量余裕代を用いてのアイドル回転数のフィードバック制御におけるフィードバック制御量がアイドル回転数の変化量に応じた値である。
【0034】
第25の発明では、第23の発明において前記トルク増量余裕代を用いてのアイドル回転数のフィードバック制御におけるフィードバック制御量がアイドル回転数と目標回転数の偏差に応じた値である。
【0035】
【作用】
アイドル回転数のフィードバック制御中かつ自動変速機のセレクタ位置が走行レンジにある場合に、急ブレーキ操作が行われたとき応答の遅いトルク制御手段、たとえば空気量制御手段により、供給空気量を増量して発生トルクを大きくしようとしても、空気量の増量操作から実際に発生トルクが大きくなるまでにかなり大きな時間的遅れがあるため、急制動等に伴うエンジンからみたトルクコンバータ負荷の急増に対応することは困難である。また、点火時期制御手段は応答の速いトルク制御手段であるが、点火時期の動作中心が燃費の向上をねらって最大トルク点付近に設定されている場合には、発生トルクを増量させる余裕代がほとんどないため、点火時期制御によっても、急制動による回転低下を十分に抑止することができない。これに対して、第1の発明では変速機が走行レンジにありかつエンジンからみたトルクコンバータ負荷の減少時(つまり制動動作等により急激なトルクコンバータ負荷の増加が生じる可能性があるとき)かつアイドル状態になったとき応答の速いトルク制御手段に所定のトルク増量余裕代を生成させるので、アイドル自走時にエンジンからみたトルクコンバータ負荷の急増があっても、そのトルク増量余裕代を用いて高応答のトルク制御が行われ、これによって、耐エンスト性を高めつつアイドル回転数を目標回転数に維持することができる。
【0036】
第2と第6の各発明では、変速機の入力軸回転数と出力軸回転数をそれぞれ検出し、これら入出力軸回転数比に基づいてトルクコンバータ負荷を、また入力軸回転数に基づいて前記出力軸回転数が0となるときのトルクコンバータ負荷(または最大の前記トルクコンバータ負荷)を算出し、この出力軸回転数が0となるときのトルクコンバータ負荷(または最大の前記トルクコンバータ負荷)と入出力軸回転数比に基づくトルクコンバータ負荷との差よりトルクコンバータ負荷の減少を検出するので、精度良くエンジンからみたトルクコンバータ負荷の減少を検出することができる。
【0037】
第3と第7の各発明では、トルクコンバータの入力軸、出力軸の各回転数を検出する新たなセンサの追加によるコストアップを招くことがない。
【0038】
第4と第8の各発明では、トルクコンバータ負荷の減少を通常のエンジン制御システムにおいて既存のものを用いて簡易に検出できる。
【0039】
第5の発明では走行レンジかつエンジンからみたトルクコンバータ負荷の減少時にアイドル回転数のフィードバック制御における目標回転数が従来より所定値だけ高く設定され、アイドル状態になるとその高く設定された目標回転数となるようにトルク制御手段を用いてアイドル回転数のフィードバック制御が行われることから、走行レンジかつエンジンからみたトルクコンバータ負荷の減少時に急制動等により急激にエンジン回転数がアンダーシュートしてアイドル状態に移行したとしても、そのアンダーシュートによる最低回転数が相当高く保持され、これによってエンストに至ることが防止される。なお、通常より高くなる目標回転数は、あくまでも運転性と耐エンスト性のトレードオフから得られる値として設定することができ、第5の発明ではフィードバック制御によりその目標回転数にアイドル回転数が維持されるのであり、最低空気量を規定することにより耐エンスト性は満たされるものの目標回転数に維持されるかどうかはわからない特開平2−81939号公報とは異なる。
【0040】
燃費の向上などをねらって点火時期の動作中心を最大トルク点付近に設定している従来例では、アイドル状態における負荷の急増に対抗して発生トルクを増量させるだけの余裕代はないのであるが、第9の発明では、点火時期の動作中心を遅角側に移動させることで、十分なトルク増量余裕代が生まれる。また、点火時期制御手段を用いてのアイドル回転数のフィードバック制御であるため、急制動に伴うエンジン回転の低下に対しても十分な応答性をもつ。
【0041】
第10の発明では、三元触媒方式のとき空燃比の動作中心を三元点からリーン側に移動し、また第11の発明では発電量の動作中心を増量側に移動するので、これらの発明でも十分なトルク増量余裕代が生まれる。また、空燃比制御手段や発電量制御手段を用いてのアイドル回転数のフィードバック制御であるため、エンジン回転の低下に対して十分な応答性をもつ。
【0042】
第12の発明では、応答の遅いトルク制御手段により発生トルクを増加させるとともに、このトルク増加分を前記応答の速いトルク制御手段により相殺するので、発生トルクを一定に維持したまま、高応答のトルク増量余裕代をもった状態へと速やかに移行させることができる。
【0043】
アイドル回転低下に対する補償を大きくしようとトルク増量余裕代を一定値で大きくしたのでは、トルク増量余裕代を生成するための点火時期の遅角量が大きくなり燃費的にロスが生じてしまうが、第14の発明ではトルク増量余裕代をエンジンからみたトルクコンバータ負荷の減少量が大きくなるほど大きくするので、負荷減少量に応じた必要量だけのトルク増量余裕代を与えることができ、これにより燃費的なロスが生じることがない。
【0044】
トルクコンバータ負荷の減少量そのものに応じてトルク増量余裕代を算出するときには、トルクコンバータ負荷の増減に伴ってトルク増量余裕代をあまりにも敏感に追従させることになり、トルク制御の高精度化、高応答化が必要となるが、第15の発明では、トルク増量余裕代を求めるためのトルクコンバータ負荷の変化量をローパスフィルタによりなましているので、高精度化、高応答化を必要とすることなくトルク制御を適切に行うことができる。第19の発明でも、目標回転数を高くする所定値を求めるためのトルクコンバータ負荷の変化量をローパスフィルタによりなましているので、高精度化、高応答化を必要とすることなくトルク制御を適切に行うことができる。
【0045】
第16の発明では、ローパスフィルタの時定数を、入力が出力より大きい場合は小さく入力が出力より小さい場合は大きくするので、〈1〉高応答のトルク増量余裕代をあまり過敏に動かしたくない、しかしながら〈2〉高応答のトルク増量余裕代の準備はできれば速くしたい、といった2つの相反する要求を満たすことができる。第20の発明では、〈1〉所定値高くした目標回転数を、その後にトルクコンバータ負荷の減少量が小さくなったからといってあまり過敏に下げたくはない、しかしながら〈2〉トルクコンバータ負荷の減少時に目標回転数を所定値高くするときはできれば速くしたい、といった2つの相反する要求を満たすことができる。
【0046】
目標回転数を高くするための所定値が一定値のためトルクコンバータ負荷の大きな減少量に合わせて所定値を設定したのでは、目標回転数が高すぎて無用な燃料消費が生じるが、第17の発明ではトルクコンバータ負荷の減少量が大きくなるほど所定値を大きくするので、無用な燃料消費を避けることができる。
【0047】
第18の発明では、目標回転数を高くするするための所定値を設定した後にトルクコンバータ負荷の減少量が小さくなったとき目標回転数を元の値に戻すので、無用な燃料消費を抑えることができる。
【0048】
第21の発明では、トルクコンバータ負荷の減少量が小さくなった(つまりトルクコンバータ負荷が大きくなった)ことに対して、フィードバック制御により対応が十分終了したあとに、目標空燃比を元に戻すことができることになり、所定値高くした目標回転数を、その後にトルクコンバータ負荷の減少量が小さくなったからといってあまり過敏に下げたくはないという要求を満たすことができる。
【0049】
第22の発明では、応答の速いトルク制御手段にトルク増量余裕代を生成させた後にトルクコンバータ負荷が急増したときそのトルク増量余裕代を用いて応答の速いトルク制御手段によるトルク制御を行うようにしたので、アイドル自走中にトルクコンバータ負荷が急増したときにも確実にアイドル回転数のアンダーシュートを防止できる。
【0050】
第23の発明では、高応答のトルク増量余裕代を有する状態へと移行させた後にトルクコンバータ負荷が急増しかつ回転低下が生じたときその高応答のトルク増量余裕代を用いて応答の速いトルク制御手段によりアイドル回転数のフィードバック制御を行うので、アイドル回転数を目標値に維持しつつトルクコンバータ負荷の急増に確実に対処することができる。
【0051】
【実施例】
図1において1はエンジン本体である。吸入空気はエアクリーナ2から流入するが、その流量はアクセルペダルと連動するスロットル弁3により調整され、この調整された吸入空気がコレクタ4にいったん蓄えられたあと分岐管5を経て各気筒のシリンダに供給される。燃料はコントロールユニット11からの噴射信号に基づき燃料噴射弁6から吸気ポートに向けて噴射される。
【0052】
また、コントロールユニット11からの点火信号を受けるパワートランジスタ、点火コイル、ディストリビュータ12、点火プラグ13からなる点火装置により、シリンダ内のガスに点火が行われ、シリンダ内で燃焼したガスは排気通路8へ排出され、排気中のHC、CO、NOxが三元触媒9により浄化される。
【0053】
コントロールユニット11にはディストリビュータ12に内蔵されるクランク角センサ15からのRef信号(4気筒では180°ごと、6気筒では120°ごとに発生)と1°信号、エアフローメータ16からの吸入空気量信号、スロットルセンサ17からのスロットル開度信号、水温センサ18からの冷却水温信号等が入力され、これらに基づいて運転状態を判断しながら燃料噴射量(空燃比)と点火時期を制御する。
【0054】
上記のスロットル弁3をバイパスする補助空気通路19には、コントロールユニット11からの出力信号により直接作動するロータリーソレノイド式の補助空気弁20が設けられる。補助空気弁20は一定の周波数によりON−OFF駆動され、ON時間割合が大きくなるほど補助空気量が増加する。
【0055】
コントロールユニット11では、冷却水温、始動後の経過時間、バッテリ電圧、パワステ油圧スイッチ、エアコンスイッチ、自動変速機のセレクタ位置などによりアイドル状態での目標回転数を定めており、アイドル状態のうち、後述する走行レンジかつ負荷減少時でないときに、この目標回転数から実際の回転数が25rpm以上外れた場合は目標回転数に近づくように回転数のフィードバック制御を行う。このフィードバック制御においては、目標回転数より25rpm以上低いときは、上記のON時間割合(つまりONデューティ)を大きくして補助空気量を増量し、この逆に目標回転数より25rpm以上高いときはONデューティを小さくして補助空気量を減量するのである。なお、補助空気弁20と一体でFICDソレノイド(図示しない)が構成されており、エアコンの作動時には補助空気弁とこのFICDソレノイドにより目標回転数に制御されるようになっている。
【0056】
さて、アイドル自走中かつ空気量制御手段を用いてのアイドル回転数のフィードバック制御中に急ブレーキ操作が行われたときには、エンジンに対するトルクコンバータ負荷が急増して回転低下し、エンストする場合があるので、制動装置の作動が検出されたとき、アイドル回転数のフィードバック補正量を増すようにしたものがある。
【0057】
しかしながら、供給空気量の増量により発生トルクを大きくしようとしても、空気量の増量操作から実際に発生トルクが大きくなるまでにかなり大きな時間的遅れがあるため、急制動に伴うトルクコンバータ負荷の急増に対応することは困難である。また、点火時期を使用してのトルク制御(つまり点火時期制御手段を用いてのアイドル回転数のフィードバック制御)であれば、応答性としては問題ないのであるが、点火時期の動作中心が燃費の向上をねらって最大トルク点付近に設定されている場合には、発生トルクを増量させる余裕代がほとんどないため、アイドル回転数のフィードバック制御中における急制動による回転低下を十分に抑止することができない。
【0058】
これに対処するため本発明では、自動変速機のセレクタ位置が走行レンジにありかつエンジンからみたトルクコンバータ負荷(以下単に負荷で略称する)が減少しているとき(つまり制動動作等により負荷の急増が生じる可能性があるとき)、アイドル状態での目標回転数NSETを予め所定値だけ高く設定しておき、走行レンジかつ負荷減少時かつアイドル状態になると、点火時期制御手段に所定のトルク増量余裕代が生成するように点火時期の動作中心を遅角側に移動させるとともに、アイドル回転数が前記高く設定された目標回転数と一致するように点火時期制御手段を用いてアイドル回転数のフィードバック制御を行う。
【0059】
コントロールユニット11で実行されるこの制御の内容を、以下のフローチャートにしたがって説明する。
【0060】
図2のフローチャートは、アイドル回転数の制御を行うためのもので、一定時間(たとえば10ms)毎に実行する。
【0061】
まずステップ1では、アイドル状態かどうかを検出する。たとえばスロットル弁3が全閉状態で所定時間が経過したときあるいはエンジン回転数が所定値以下になったときアイドル状態であると判断し、アイドルフラグ(始動時に“0”に初期設定)を“1”にセットする。
【0062】
ステップ2では自動変速機のセレクタ位置を検出する。たとえば自動変速機からのインヒビタースイッチ信号をみて、これがOFFのときは走行レンジにあると判断して走行レンジフラグ(始動時に“0”に初期設定)を“1”にセットする。
【0063】
ステップ3ではエンジンに対するトルクコンバータ負荷の減少を検出する。この検出については図3のフローにより説明する。
【0064】
ステップ11ではトルクコンバータの入力軸回転数n1と出力軸回転数n2を読み込み、これらの比(回転数比)n2/n1からステップ12において図4を内容とするテーブルを検索してトルクコンバータの容量係数Cを求め、ステップ13において
T1=C×n12 …(1)
の式によりそのときの負荷T1を、またステップ14において
T0=C0×n12 …(2)
ただし、C0:n2が0のときの容量係数
の式によりトルクコンバータ出力軸を固定したときの負荷T0を計算し、ステップ15では
ΔT=T0−T1 …(3)
の式によりT0からの負荷減少量ΔTを計算する。ΔTは現在の回転数比n2/n1に対する負荷のとき、トルクコンバータ出力軸を固定したときの負荷T0に対してどのくらい減少しているかを示す値である。なお、C0に代えて、図4の最大容量係数Cmaxを用いて(2)式によりT0を求めてもかまわない。
【0065】
この負荷減少量ΔTと正の所定値Hをステップ16において比較し、ΔT≧Hであれば、負荷が減少していると判断し、ステップ17で負荷減少フラグ(始動時に“0”に初期設定)を“1”にセットし、ΔT<Hのときにはステップ18で負荷減少フラグを“0”にリセットする。負荷減少フラグ=1により負荷が減少していることを表すわけである。
【0066】
なお、トルクコンバータの上記の入出力軸回転数n1、n2は、クランク角センサとこのセンサ出力を用いてのエンジン回転数計測と同様な構成で計測すればよい。
【0067】
なお、負荷減少の検出はこれに限られない。たとえば、トルクコンバータの入力軸回転数、出力軸回転数をそれぞれ検出するセンサを新たに設けることなく、次の構成(第2実施形態)により入力軸回転数、出力軸回転数を検出することができる。まず、トルクコンバータの入力軸がエンジン出力軸と直結される多くの場合には、エンジン回転数がトルクコンバータの入力軸回転数と等しいことよりコントロールユニット11の計測するエンジン回転数をそのまま入力軸回転数n1とおく。これに対してトルクコンバータの出力軸回転数n2は車速、タイヤ径、変速機の減速比などから計算する。ただし、このn2の計算に当たっては、変速機のセレクタ位置の検出によりニュートラル状態でないことが前提となる。この第2実施形態によれば、新たなセンサの追加によるコストアップを招くことがない。
【0068】
また、負荷減少量といった連続的値でなく、たとえば図4において回転数比n2/n1と0.75を比較し、回転数比n2/n1が0.75を超えれば負荷減少であると検出する構成(第3実施形態)としてもよい。同様に、第2、第3の各実施形態のように精密に負荷減少量を求めるのではなく、おおざっぱに負荷が減少している(あるいは減少していない)といった程度の検出でもかまわない。この程度の検出であれば、トルクコンバータの入出力軸回転数の双方を検出せずに、出力軸回転数n2の情報のみに基づくことが可能である。これは、ある程度の車速が出ている状態では、負荷が実際上減少するからである。したがって、車速あるいはトルクコンバータの出力軸回転数(あるいは駆動軸回転数)が所定値より大きいとき負荷減少であると判断させる構成(第4実施形態)が考えられる。
【0069】
このようにして負荷減少を検出したら図2のステップ4に戻り、アイドル状態での目標回転数NSETを設定する。目標回転数NSETは冷却水温、始動後の経過時間、バッテリ電圧、パワステ油圧スイッチ、エアコンスイッチ、自動変速機のセレクタ位置などにより予め定めている。たとえば図5に示したように、セレクタ位置が走行レンジにある場合にエアコンが非作動状態より作動状態に切換えられると目標回転数が所定値だけアップされる。また、ほぼ40℃以下の低温状態でセレクタ位置が非走行レンジにあるときには、クリープ現象が大きくなることもないので、アイドル回転を安定させるため目標回転数が高められる。
【0070】
ステップ5ではステップ2、3により設定した2つのフラグをみて、走行レンジフラグ=1かつ負荷減少フラグ=1(つまり走行レンジかつ負荷減少時)のとき(つまりブレーキ操作等により負荷の急増が生じる可能性があるとき)はステップ6に進み、目標回転数NSETを一定値NUPだけ高くした値を改めて目標回転数NSETとおく。
【0071】
ステップ7ではステップ1により設定したアイドルフラグをみて、アイドルフラグ=1のときはステップ8に進み、点火時期制御手段に所定のトルク増量余裕代を生成させる。トルク増量余裕代の生成は必要なときだけに行わなければならないため、走行レンジかつ負荷減少時かつアイドル状態になったときをトルク増量余裕代の生成が必要なときであると判断し、ステップ8へと進ませているわけである。これに対して、目標回転数を所定値だけ高く設定する処理は基本的にいつ行っても問題はない。アイドル回転数のフィードバック制御に入らない限りは目標回転数に向けての制御が行われないため、影響するところがないからである。
【0072】
トルク増量余裕代の生成については図6のフローにより説明する。
【0073】
ステップ31ではアイドル状態での点火進角値PGOVのテーブルを所定値RETだけ減量した新たな点火進角値PGOVRのテーブルを作成する。たとえば、回転数Nに応じて変化する点火進角値PGOVの特性が図7において実線であったとすると、新たな点火進角値PGOVRの特性は破線となるわけである。なお、PGOVRのテーブルは予め用意しておいてもかまわない。
【0074】
なお、負荷減少をON、OFF的にとらえるならRETは固定値でよく、負荷減少量としてアナログ的に捕らえるときは、負荷減少量に応じた可変値でRETを与えればよい。
【0075】
所定のアイドル状態における点火時期と発生トルクの関係を図8に示すと、点火時期は、遅角側の燃焼安定限界点と進角側の最大トルク点(あるいはノッキング限界点)の間で使用することができ、従来は燃費の向上などをねらって図中の☆印付近(最大トルク点付近)の値をPGOV(動作中心)として使用しているため、アイドル状態における負荷の急増に対抗して発生トルクを増量させるだけの余裕代はない。これに対して本発明では、走行レンジかつ負荷減少時かつアイドル状態になったとき、点火時期の動作中心を☆印の位置より●印の位置まで遅角し、この遅角した値PGOVRを改めて点火時期の動作中心とすることによって図示のように十分なトルク増量余裕代を生み出させるのである。また、応答性についていえば、点火時期の操作からトルク発生までの期間はクランク角で数10゜(気筒数に無関係)であり、急制動に伴うエンジン回転の低下に対しても十分な応答性をもっている。
【0076】
このようにして、点火時期の動作中心の遅角操作によりトルク増量余裕を生成する操作を終了したら、図2のステップ9に戻り、アイドル状態であればステップ10に進んで、アイドル回転数のフィードバック制御を行う。
【0077】
ここで、アイドル回転数のフィードバック制御を行う場合には、
〈1〉走行レンジかつ負荷減少時の場合(つまりステップ6、7、8、9を通過したあとにアイドル状態になる場合)と
〈2〉それ以外の場合(つまりステップ6、7、8を飛ばしてアイドル状態になる場合)
とがあり、これらいずれの場合も点火時期制御手段を用いてのアイドル回転数のフィードバック制御と補助空気弁20による空気量制御手段を用いてのアイドル回転数のフィードバック制御とをともに行う。なお、2つのフィードバック制御を重複して行っても、システムの安定性を損うハンチングの問題が生じることはない。ハンチングが生じるかどうかは制御のチューニングしだいであり、システムの安定性を損なわない範囲で応答性が高まるように各フィードバック制御の制御ゲインを設定することが可能である。
【0078】
この場合に、〈1〉の走行レンジかつ負荷減少時に目標回転数を一定値上昇させかつ点火時期の動作中心を遅角側に移動させている点が従来と相違するので、走行レンジかつ負荷減少時に加えてステップ9でアイドル状態になった場合に点火時期制御手段を用いてのアイドル回転数のフィードバック制御を図9のフローにより説明する。
【0079】
アイドルフラグ=1(アイドル状態)のときはステップ42に進み、エンジン回転数Nから図7の破線を内容とするテーブルを検索してアイドル状態の点火進角値PGOVRを求める。
【0080】
ステップ43では目標回転数NSET(図2のステップ6で一定値高く設定された値)と実回転数Nとの差ΔNを計算し、ステップ44においてこのΔNより図10を内容とするテーブルを検索して点火時期のフィードバック量ADVFBを算出し、これをPGOVR(ステップ42において既に得ている)に加算した値をステップ45において点火進角値ADVに入れる。ADVFBは図10に示したように、ΔN>25rpm(NSET>N)のとき正の値(点火時期を進角補正)、ΔN<−25rpm(NSET<N)のとき負の値(点火時期を遅角補正)である。
【0081】
ここで、ADVは圧縮上死点から進角側に図ったクランク角である。このADVはRef信号に同期して出力レジスタに移され、圧縮上死点前のクランク角がADVと一致したとき点火コイルの一次電流が遮断される。
【0082】
このようにして、点火時期制御手段を用いてのアイドル回転数のフィードバック制御では、目標回転数NSETより25rpm以上低いとき、点火時期を進角補正して発生トルクを増量し、この逆に目標回転数NSETより25rpm以上高いとき点火時期を遅角補正して発生トルクを減量するのである。
【0083】
ここで、第1実施形態の作用を説明する。
【0084】
アイドル自走中かつ空気量制御手段を用いてのアイドル回転数のフィードバック制御中に急ブレーキ操作が行われたとき供給空気量を増量して発生トルクを大きくしようとしても、空気量の増量操作から実際に発生トルクが大きくなるまでにかなり大きな時間的遅れがあるため、急制動に伴う負荷の急増に対応することは困難であること、また空気量制御手段に代えて点火時期制御手段を用いてアイドル回転数のフィードバック制御を行うにしても、点火時期の基準位置が燃費の向上をねらって最大トルク点付近に設定されている場合には、発生トルクを増量させる余裕代がほとんどないため、アイドル自走中かつアイドル回転数のフィードバック制御中の急制動による回転低下を十分に抑止することができないことを前述した。
【0085】
これに対して本発明ではアイドル状態の前の走行レンジかつ負荷減少時(つまり制動動作等により急激な変速機負荷の増加が生じる可能性があるとき)にアイドル回転数のフィードバック制御における目標回転数を従来より一定値NUPだけ高く設定し、走行レンジかつ負荷減少時かつアイドル状態になったとき、点火時期の動作中心を所定値RETだけ遅角側に移動して点火時期制御手段に所定のトルク増量余裕代を生成させ、そのトルク増量余裕代の生じた点火時期制御手段を用いて前記高く設定した目標回転数となるようにアイドル回転数のフィードバック制御を行うので、アイドル自走中かつアイドル回転数のフィードバック制御中に急制動等による負荷の急増があっても、従来より高い目標回転数を目標として、従来にはなかったトルク増量余裕代を用いての高応答のトルク制御が行われ、これによりエンストを防止しつつアイドル回転数を目標回転数に維持することができる。
【0086】
また、アイドル状態途中で走行レンジかつ負荷減少時となったとき(たとえば、Dレンジでブレーキを踏んだ状態で停車しアイドル回転数のフィードバック制御を行っている状態よりブレーキペダルを緩めることによって車が自走し始めた場合に、車速の上昇に伴い負荷が減少したとき)にも、目標回転数が従来より一定値NUPだけ高く設定され、かつ点火時期制御手段に所定のトルク増量余裕代が生成され、そのトルク増量余裕代の生じた点火時期制御手段を用いて一定値NUPだけ高く設定された目標回転数となるようにアイドル回転数のフィードバック制御が行われるので、同様の作用効果が生じる。
【0087】
図11のフローチャートは第5実施形態で、図9に対応する。図11も走行レンジかつ負荷減少時であることが前提である。
【0088】
この実施形態は、走行レンジかつ負荷減少時にアイドル状態での目標回転数NSETを一定値NUPだけ高く設定し、走行レンジかつ負荷減少時かつアイドル状態になると、空燃比の動作中心をリーン側に移動させることにより空燃比制御手段に所定のトルク増量余裕代を生成させ、そのトルク増量余裕代の生じた空燃比制御手段を用いてアイドル回転数のフィードバック制御を行うようにしたものである。
【0089】
所定のアイドル状態における空燃比と発生トルクの関係を図13に示すと、三元触媒方式のものでは三元点の空燃比(14.7程度)が空燃比の動作中心として使用され、リーンバーンシステムのエンジンになるとリーン運転条件の成立時に23程度の空燃比が空燃比の動作中心として使用される。したがって、三元触媒方式のとき☆印の位置から●印の位置まで空燃比の動作中心をリーン側に移動させることにより、図示のように十分なトルク増量余裕代を生み出すことができる。これに対してリーンバーンシステムのエンジンにおいてリーン運転条件でのアイドル時に空燃比の動作中心がもともと●の位置にあるときには、トルク増量余裕代を生成するためのリーン化操作は特に必要ない。応答性については、燃料噴射量の操作からトルク発生までの期間はクランク角で360゜程度(燃焼室内に直接に燃料を噴射するエンジンの場合は180゜程度)(これら360°、180°の値も気筒数に無関係)であり、点火時期の遅角操作によりトルク増量余裕を生成する場合と同様に、エンジン回転の低下に対して十分な応答性をもっている。
【0090】
具体的には、図11においてアイドルフラグ=1(アイドル状態)のときにステップ52に進み、エアフローメータ出力より得られる吸入空気量Qとエンジン回転数Nとから
TpL=(Q/N)×K×KLEAN …(4)
ただし、K:定数
KLEAN:リーン化定数
の式により基本噴射パルス幅TpLを算出する。
【0091】
ここで、(4)式右辺の(Q/N)×Kがほぼ三元点での空燃比が得られる従来の基本噴射パルス幅Tpであり、この値にKLEANを乗算することにより図13において空燃比の動作中心を●印の位置へと移すのである。
【0092】
ステップ53では目標回転数NSET(図2のステップ6で一定値高く設定された値)と実回転数Nの差ΔNを計算し、ステップ54においてこの差ΔNより図12を内容とするテーブルを検索して空燃比のフィードバック量TPFBを求め、ステップ55で
Ti=(TpL+TPFB)×α×Co×2+Ts …(5)
ただし、Co:各種補正係数
α:空燃比フィードバック補正係数
Ts:無効パルス幅
の式によりシーケンシャル噴射の場合の燃料噴射パルス幅Tiを計算する。
【0093】
ここで、TPFBは図12に示したように、ΔN>25rpm(NSET>N)のとき正の値(燃料量を増量補正)、ΔN<−25rpm(NSET<N)のとき負の値(燃料量を減量補正)である。
【0094】
なお、(5)式において、Coはいろいろな条件下(たとえば始動時、暖機時、高負荷など)で円滑な運転を確保するため、各センサからの信号をもとにTpを補正するための値、αは三元触媒9の転化作用を最大限に引き出すため空燃比がいわゆるウィンドウに落ち着くようにO2センサ10出力に基づいて演算される値、Tsは噴射弁6が噴射信号を受けてから実際に開弁するまでに作動遅れ時間がありこの作動遅れ時間が変動するのを補正するための値である。ただし、トルク増量余裕代を生成するため空燃比の動作中心をリーン側に移動させる場合にまで、空燃比のフィードバック制御を行ったのでは、リーン化できなくなるので、αを1.0にクランプする。
【0095】
応答の速いトルク制御手段に所定のトルク増量余裕代を生成する方法はこれに限られない。たとえば応答の速いトルク制御手段にオルタネータの発電量を操作できる発電量制御手段があり、この発電量制御手段を用いてアイドル回転数のフィードバック制御を行うものにおいて、トルク増量余裕代が必要となったときに発電量の動作中心を、それまで増量していたレベルから通常の発電量やそれ以下の発電量へと一時的に減少させることにより、発電量の減少に相当するトルク増量余裕代を生じさせることができる(第6実施形態)。
【0096】
たとえば、オルタネータ(エンジン駆動)での発電電圧を制御するレギュレータの目標電圧を操作可能とし、大きな電気負荷が入ったとき、エンジン負荷が急激に増えないように、ECUからのPWM信号によりその目標電圧を下げて負荷を軽くする公知のシステムがあるので、このシステムを利用して、トルク増量余裕代が必要となったときその目標電圧を上昇させる。これにより負荷を下げる方向のトルク余裕代が増加(つまりトルク増量余裕代が増える)するのである。なお、このシステムは、上記のレギュレータとECUとが別になっているものであるが、レギュレータをECUに内蔵したものでもかまわない。
【0097】
なお、トルク増量余裕代を生成する方法が相違する前記第1、第5、第6の各実施形態を単独で用いるだけでなく、組み合わせて用いることにより、より大きなトルク増量余裕を生成できることはいうまでもない。
【0098】
図14のフローチャートは第7実施形態で、図2に対応する。なお、図2と同一部分には同一のステップ番号をつけている。
【0099】
第1、第5、第6の各実施形態においてトルク増量余裕代を生成するためとはいえ、走行レンジかつ負荷減少時かつアイドル状態になったとたんに点火時期、空燃比または発電量の動作中心を一気に変化させたのでは、発生トルクが減少してアイドル回転数が一時的に低下する。このときの回転低下をアイドル回転数についての通常のフィードバック制御によりカバーできるようゆっくりと点火時期、空燃比または発電量の動作中心を変化させることが考えられるが、その一方で、点火時期、空燃比または発電量の動作中心を変化させている途中で負荷が急増したときには回転低下に対して十分なトルク補償がなされず、大きな回転低下が生じてしまう可能性がある。
【0100】
これに対処するため第7実施形態では、基本的にアイドル回転数のフィードバック制御に頼らず、走行レンジかつ負荷減少時かつアイドル状態となったときフィードフォワード的に応答の遅いトルク制御手段(たとえば補助空気弁20による空気量制御手段)により発生トルクを上昇させるとともに、その発生トルクの上昇分を応答の速いトルク制御手段(たとえば点火時期制御手段)により相殺させることによって、発生トルクを一定に維持したまま、高応答のトルク増量余裕代を生成させる(図14のステップ61)。
【0101】
このトルク増量余裕代を生成する操作について図15のフローにより説明する。図15も第1実施形態の図9、第5実施形態の図11と同じに走行レンジかつ負荷減少時であることが前提である。
【0102】
アイドルフラグ=1(アイドル状態)のときステップ71よりステップ72に進み初回フラグをみる。初回フラグは始動時に“0”に初期設定されることから、始動後に初めてアイドルフラグ=1となったときには初回フラグ=0であることよりステップ73に進み、テーブル(図7の実線参照)の検索により求めたアイドル状態の点火進角値PGOVを点火進角値ADVに入れる。
【0103】
ステップ74〜79は、補助空気弁20による空気量制御手段により発生トルクを上昇させる部分である。まず、ステップ74では、必要となるトルク増量余裕代TYOYUを算出する。このトルク増量余裕代TYOYUの算出については図16のフローにより説明する。
【0104】
ステップ91〜95では図3のステップ11〜15と同様にして負荷減少量ΔTを求め、このΔTからステップ96において図17を内容とするテーブルを検索してトルク増量余裕代TYOYUを求める。
【0105】
TYOYU(実線の特性)は図17に示したように、
〈1〉傾き(ゲイン)が1より小さい、
〈2〉ΔTが小さいところでは不感帯をもつ、
〈3〉ΔTが大きいところでは最大値リミッタをもつ
などの特性をもたせている。
【0106】
ここで、〈1〉としたのは次の理由からである。アイドル回転低下に対する補償を大きくしようとトルク増量余裕代TYOYUを十分な大きさとしたのでは、後述する点火時期の遅角量(図20のRET2のこと)が大きくなり燃費的にロスが生じてしまうため、トルク増量余裕代TYOYUは必要量に留めておくことが望ましい。したがって、負荷減少量ΔTに応じた必要量だけのトルク増量余裕代TYOYUを〈1〉により与えるのである。
【0107】
このようにしてトルク増量余裕代TYOYUを算出したら図15のステップ75に戻り、トルク増量余裕代TYOYUからこの余裕代のトルクを増量するのに必要となる補助空気増加量ΔQを
ΔQ=(N/定数)×TYOYU …(6)
の式により算出し、ステップ76では初回フラグを“1”にセットしたあと、ステップ77において
QISC=QBASE+QAC+QND−QFB+ΔQ …(7)
ただし、QBASE:基本値
QND:ギア位置補正量
QAC:エアコン補正量
QFB:フィードバック補正量
の式により補助空気弁流量QISCを計算する。
【0108】
ここで、QBASEは自動変速機のセレクタ位置がニュートラルレンジにあるときにアイドル状態での目標回転数を維持するのに必要となる補助空気弁流量(吸入空気量)で、たとえば図18に示す特性となる。QNDは自動変速機のセレクタ位置が走行レンジであるとき一定値、ニュートラルレンジにあるとき0となる値である。QACはエアコン作動時に一定値、エアコン非作動時に0となる値である。QFBは回転数Nが目標回転数NSETと一致するように両者の偏差に応じて算出される値である。
【0109】
ステップ78ではQISCより図19を内容とするテーブルを検索して補助空気弁20に与えるONデューティISCONを求め、このISCONをステップ79において補助空気弁制御用の出力レジスタに転送する。
【0110】
ここで、ΔQのぶんだけ補助空気弁16を通過する空気流量が多くなるが、このときの空気増量はあくまで補助空気弁部流量の増加であり、発生トルクに直接結び付くシリンダ吸入空気流量でない。この両者の相違が収束するためには数100msec程度の時間を要し(図21の最上段参照)、これが、補助空気弁による空気量制御手段がトルク制御手段として応答が遅い理由である。
【0111】
ステップ76での初回フラグの“1”へのセットにより次からはステップ72よりステップ80、81、82、83に流れ、ここで空気量制御手段による発生トルクの上昇分を点火時期制御手段による遅角制御により相殺する。
【0112】
ここで、この点火時期制御手段による遅角制御がどのようなものなのかを先に説明する。
【0113】
上記の(7)式において右辺のΔQ以外の値を
Qetc=QBASE+QAC+QND−QFB …(8)
の式よりQetcでまとめると、(7)式は、
QISC=Qetc+ΔQ …(9)
となり、この空気流量QISCに対してアイドル状態での点火進角値PGOVを用いたとき(9)式に対応して
TISC=Tetc+TZOU …(a)
ただし、Tetc:Qetcに対応して発生するトルク
TZOU:ΔQ分の増加に対して発生するトルク増加量
のトルクTISCが発生してTZOUの分だけが過大となるので、ΔQの増加前と発生トルクが変わらないようにするには
β=Tetc/(Tetc+TZOU) …(b)
となるように点火時期を遅角させてやればよい。ある回転数の条件での点火時期に対する発生トルク感度特性は図20に示したようになるので、同特性上でβに対する点火時期Jを求めれば、その点火時期JによりΔQの増加前と発生トルクが変わらないようにできるのである。なお、図20においてベース点火時期とあるのが図7のPGOVである。
【0114】
このようにしてΔQの増加前と発生トルクが変わらないようにするわけであるが、ルーチン上においては発生トルクをわざわざ求める必要はなく、
β=Qetc/(Qetc+ΔQ) …(10)
の式によりゲインβを求めることができる。なお、一般に使うエンジンのトルクは、出力トルク(発生トルクに対し摩擦等のロスやポンピングロスなどを差し引いた、結果的に外からみえる(計測される)トルク)であるが、本発明中で述べているのは出力トルクではなく発生トルクである。
【0115】
図15に戻り、まずステップ80、81では上記(8)、(9)式によりゲインβを求め、ステップ82においてこのβより図20を内容とするテーブルを検索して点火時期を求め、これをADVに入れたあと、ステップ77、78、79の操作を実行する。このときの点火進角値(図20に示したようにアイドル状態での点火進角値PGOVから所定量RET2だけ遅角した値)によるトルク減少量は空気流量増加によるトルク増加量を打ち消すものとなり、高応答のトルク増量余裕代を生成させるに際して発生トルクが一定に維持されるのである。
【0116】
なお、アイドル状態の途中で非アイドル状態になったときは、ステップ71よりステップ83、84に流れ、初回フラグを“0”にリセットし、ISCONに所定値(走行中でも少なくともアイドル維持できる程度の空気量に相当するONデューティ)を入れ、ステップ79の操作を実行する。
【0117】
このように、第7実施形態では、走行レンジかつ負荷減少時かつアイドル状態となったとき、補助空気量の増加により発生トルクを上昇させるとともに、その空気量増加による発生トルクの上昇分を点火時期の遅角操作によるトルク減量(図21第2段目の破線参照)で相殺するので、発生トルクを一定に維持したまま、高応答のトルク増量余裕代をもった状態へと速やかに移行させることができる。
【0118】
なお、第7実施形態では、応答の速いトルク制御手段が点火時期制御手段である場合で説明したが、空燃比制御手段あるいは発電量制御手段を用いることもできる。
【0119】
図22のフローチャートは第8実施形態で、第7実施形態の図16に対応する。図16と同一の部分には同一のステップ番号をつけている。なお、図14と図15は第8実施形態でも使用する。
【0120】
第8実施形態は、図22においてステップ101が第7実施形態の図16と異なり、演算周期毎に逐次求められる負荷減少量ΔTそのものでなく、負荷減少量ΔTをフィルタリング処理によりなました値(後述するY(K))に応じてトルク増量余裕代TYOYUを算出するようにしたものである。このフィルタリング処理については図23のフローにより説明する。
【0121】
ステップ111では、図22のステップ95で得た負荷減少量ΔTを入力U(K)に入れる。ステップ112では
Y(K)=A×Y(K−1)+(1−A)×U(K−1) …(11)
ただし、A:係数
Y(K−1):1演算周期前のY(K)
U(K−1):1演算周期前のU(K)
の式(デジタルローパスフィルタの計算式)により、出力Y(K)を算出し、この出力Y(K)をステップ113においてあらためてΔTに入れる。
【0122】
ここで、(11)式の係数Aには高周波数の情報を取り除くことのできる値を選択する。
【0123】
ステップ114、115では次回の演算のため、出力Y(K)をメモリY(K−1)に、入力U(K)をメモリU(K−1)に移しておく。
【0124】
第7実施形態のように、負荷減少量ΔTそのものに応じてトルク増量余裕代TYOYUを算出するときには、負荷の増減に伴ってトルク増量余裕代TYOYUが敏感に追従するので、トルク制御の高精度化、高応答化が必要となる。また、図21に示したように補助空気弁による空気量制御によりトルクを増量する場合は、そもそもその吸気系の伝達特性により余裕トルクの生じた状態への移行速度が制限されてしまう。
【0125】
これに対して第8実施形態では、トルク増量余裕代TYOYUを求めるための負荷減少量ΔTをローパスフィルタによりなましているので、高精度化、高応答化を必要とすることなくトルク制御を適切に行うことができる。
【0126】
図24のフローチャートは第9実施形態で、第8実施形態の図23に対応する。図23と同一の部分には同じステップ番号をつけている。図23とはステップ121、122、123が相違する。
【0127】
第9実施形態は、▲1▼第8実施形態と同じに高応答のトルク増量余裕代をあまり過敏に動かしたくない、しかしながら▲2▼高応答のトルク増量余裕代の準備はできれば速くしたい、といった2つの相反する要求を満たすため、ローパスフィルタの時定数を、出力に対し入力が増加するときは小さく、逆に減少するときは大きくしたものである。一例としてローパスフィルタの演算周期を10msecとし、上昇側の時定数を0.1sec、下降側の時定数を10secとするのであれば、ステップ121において出力Y(K−1)と入力U(K−1)を比較し、Y(K−1)≧U(K−1)のときステップ122で係数Aに0.9を、またY(K−1)<U(K−1)のとき係数Aに0.999を入れるのである。たとえば図25において最上段に示した入力Uに対して上昇側、下降側とも時定数が0.1secのローパスフィルタを通したものは第二段目に示す波形となり入力Uに応じて敏感に、また上昇側、下降側とも時定数10secのフィルタを通したものは第三段目の波形となり入力Uに対してゆっくりと追従している。これに対して、上昇側の時定数を0.1sec、下降側の時定数を10secとした第9実施形態のローパスフィルタを通したものは最下段に示す波形となり、上昇方向には敏感に、下降側にはゆっくりとそれぞれ追従することになり、上記▲1▼、▲2▼の相反する要求を満たすものとなっている。点火時期制御手段をトルク増量余裕代を有する状態へと移行させた後に急ブレーキ操作により実際に負荷が急増したときのローパスフィルタ出力を図26に示す。
【0128】
次に、図27、図29、図30のフローチャートは第10実施形態である。
【0129】
この実施形態は、第7、第8、第9の各実施形態のいずれかを前提とするもので、高応答のトルク制御手段をトルク増量余裕代を有する状態へと移行させた後に、たとえば図28に示すように急ブレーキ操作により実際に負荷が急増したときその高応答のトルク制御手段によりその高応答のトルク増量余裕代を用いてトルク制御を行うようにしたものである。
【0130】
図27のフロチャートは実際の負荷の急増を検出するためのもので、図3と同じ部分には同じステップ番号をつけている。図3と異なるステップ131では、メモリΔT−1に入っている値とΔTとの差dΔTを計算する。ここで、メモリΔT−1には前回に計算したΔTが入っている。つまり、dΔTはこれが正のときΔT(n2=0のときの負荷よりの減少量)の減少速度(演算周期当たりの減少量)を表す。図28にも示すように、ΔTの波形は必要トルクの波形とちょうど対象的になるため、dΔT(傾きを表す)が急になるほど実際に負荷が急増していることを表すのである。ステップ132では次回演算のためΔTの値をメモリΔT−1に移す。
【0131】
図29、図30のフロチャートは第7実施形態の図15に対応し、図27のフローチャートによるdΔTの演算終了後に実行する。図29、図30でも図15と同じ部分には同じステップ番号をつけており、図15とはステップ141〜149が相違する。
【0132】
図15と相違する部分について主に述べると、図30においてステップ141でΔTの減少速度dΔTと正の所定値E1を比較し、dΔT>E1のときは負荷が急増したと判断し、空気量制御手段では対応できないためステップ142〜145で負荷の増加量(ΔTの減少速度dΔT)に基づき高応答のトルク制御手段である点火時期制御手段を用いてフィードフォワード的にトルク増量を行う。
【0133】
ただし、厳密なフィードフォワードで負荷の急増をカバーする必要はない(つまりdΔTに対応する進角量Aを厳密に算出する必要がない)。というのは、トルク増量余裕代が確保されているかぎり高応答でフィードバック制御が効果を発揮し、回転落ちを最小限に止めることができるからである。そこで、所定値A0を初期値として一定時間割合で減少して0になる値を進角量Aとして与える。
【0134】
具体的にはステップ142で初回フラグ2をみる。初回フラグ2も始動時に“0”に初期設定されることから、始動後に初めてdΔT>E1となったときには初回フラグ2=0であることよりステップ143に進み、所定値A0を点火時期進角量Aに入れる。ステップ144では初回フラグ2を“1”にセットしたあと、ステップ145において、トルク増量余裕代を生じさせている状態での点火進角値ADV(図29ステップ82の値)に点火時期進角量Aを加算した値をあらためて点火進角量ADVに入れる。
【0135】
ステップ146では次回演算のため、Aの値をメモリA(old)に移す。
【0136】
ステップ144での初回フラグ2の“1”へのセットにより次からはステップ142よりステップ147に進み、
A=A(old)−GEN …(12)
ただし、GEN:減量分(正の値)
A(old):Aの前回値
の式により点火時期進角量Aを10ms毎にGENずつ減量する。ステップ148ではAと0を比較しA<0となるまではステップ145、146の操作を繰り返し、A<0となったときはステップ149でAに0を入れたあとステップ145、146の操作を実行する。
【0137】
このようにして、第10実施形態では、高応答のトルク増加余裕代を準備しているアイドル状態で負荷が実際に急増したとき、その負荷増加量に応じた点火時期の進角操作(図31参照)によりトルク増量を行うので、アイドル状態で制動動作等により負荷が急増したときにも確実にアイドル回転のアンダーシュートを防止できる。
【0138】
なお、図29、図30では点火時期の進角操作により高応答のトルク増量を行っているが、空燃比のリッチ化や発電量の減量によっても高応答のトルク増量を行うことができる。
【0139】
図32のフロチャートは第11実施形態、図33のフローチャートは第12実施形態で、図32、図33はいずれも第10実施形態の図30に対応する。図32、図33において図30と同一の部分には同一のステップ番号をつけている。なお、図29は第11、第12の各実施形態のフローチャートでもある。
【0140】
これらの実施形態は、高応答のトルク増加余裕代を準備しているアイドル状態で負荷が実際に急増しかつ回転数の低下があった場合に、第11実施形態ではその回転数の低下量に応じて、また第12実施形態では目標回転数NSETと実回転数Nの差に応じてそれぞれフィードバック的にトルク増量を行い、これによってアイドル回転数を目標値に維持しつつ急激な負荷増加に対処するものである。
【0141】
具体的には、第11実施形態の図32において負荷の急増を検知した場合にステップ141よりステップ151に進む。ステップ151では回転数の演算周期当たりの変化量ΔN2(=N−1−N、ただしN−1は前回の回転数)を算出し、この回転数変化量ΔN2を正の所定値Fとステップ152において比較する。ΔN2>Fのときは回転低下があると判断し、ステップ153、154に進んでその回転数変化量ΔN2より点火時期のフィードバック量(たとえば比例分+積分分)ADVFB2を算出し、このフィードバック量ADVFB2を、トルク増量余裕代を生じさせている状態での点火進角値ADV(図29ステップ82の値)に加算した値をあらためて点火進角量ADVに入れる。ステップ155では次回演算のためNをメモリN−1に移す。
【0142】
次に第12実施形態の図33では、第11実施形態と相違する部分を主に説明すると、図33において実際に回転低下したときステップ152よりステップ161、162、163に進んで目標回転数NSETと実回転数Nの偏差ΔN3(=NSET−N)より点火時期のフィードバック量(たとえば比例分+積分分)ADVFB3を算出し、このフィードバック量ADVFB3を、トルク増量余裕代を生じさせている状態での点火進角値ADV(図29ステップ82の値)に加算した値をあらためて点火進角量ADVに入れる。
【0143】
なお、第10、第11、第12の各実施形態において、走行レンジでないときや負荷減少時でないときに、点火時期制御によるアイドル回転数の通常のフィードバック制御をもともと行っている場合は、点火時期制御による通常のフィードバック制御中にトルク増量余裕代を使ってしまわないように、点火時期操作量の制限を、トルク増加余裕代の生成に合わせて変化させる必要がある。図34に示すように、トルク増量余裕代の生成時に点火時期の動作点(動作中心)を☆の位置から●の位置に移した場合に、フィードバック制御による点火時期の通常制御範囲(幅)を制限しておき、第10、第11、第12の各実施形態において負荷の急増時にだけそれ以上の点火時期操作量を許す構成とするのである。
【0144】
第10、第11、第12の各実施形態は第7、第8、第9の各実施形態のいずれかを前提とする場合で述べたが、これに限らず第1から第6までの各実施形態に第10、第11、第12の各実施形態を加えることもできる。たとえば、第1実施形態と第7実施形態の組み合わせで述べると、高応答のトルク制御手段をトルク増量余裕代を有する状態へと移行させた後に負荷の急増を検出したときには図9に示したアイドル回転数フィードバック制御に優先して図29、図30に示したトルク増量余裕代の生成と負荷急増対応制御を実行させるのである。
【0145】
第1実施形態では、図2に示したように、ステップ5、6において走行レンジかつ負荷減少時に目標回転数NSETを一定値NUPだけ上昇させ、ステップ7、8において走行レンジかつ負荷減少時に加えてアイドル状態になったとき、点火時期制御手段に所定のトルク増量余裕代を生成させ、かつステップ9、10において点火時期制御手段を用いてのアイドル回転数のフィードバック制御と補助空気弁による空気量制御手段を用いてのアイドル回転数のフィードバック制御とをともに行っているが、
▲1▼走行レンジかつ負荷減少時かつアイドル状態で点火時期制御手段に所定のトルク増量余裕代を生成させる構成(図2においてステップ6を省略したもの)、
▲2▼走行レンジかつ負荷減少時に目標回転数NSETを一定値NUPだけ高く設定する構成(図2においてステップ7、8を省略したもの)
が考えられる。
【0146】
なお、▲2▼の構成の場合、アイドル回転数のフィードバック制御を行うのに用いるトルク制御手段が応答の速いトルク制御手段である必要はなく、応答の遅いトルク制御手段を用いてアイドル回転数のフィードバック制御を行う場合でも、走行レンジかつエンジンからみた変速機負荷の減少時に急制動等により急激にエンジン回転数がアンダーシュートしてアイドル状態に移行したとしても、エンストに至ることを防止することができることはいうまでもない。
【0147】
図2のステップ6において目標回転数を高くするための所定値NUPは一定値で説明したが、負荷減少量ΔT(図3ステップ15の値)が大きいときほど所定値NUPを大きくすることにより、トルク増量余裕代TYOYUを負荷減少量ΔTに応じて算出する実施形態(第7実施形態)と同様の効果を、また負荷減少量ΔTをローパスフィルタによりフィルタリング処理した値が大きくなるほど所定値NUPを大きくすることにより、第8実施形態と同様の効果を、またそのローパスフィルタの時定数を、出力に対し入力が増加するときは小さく、逆に減少するときは大きくすることで、第9の各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0148】
ただし、目標回転数NSETは低いほうが燃費がよくなり望ましいので、目標回転数NSETを高くする際にはできるだけ必要最低限に設定したい。そこで、いったん高くした目標回転数をそのまま維持させるのではなく、図35に示したように、負荷減少時に目標回転数を所定値NUPだけ高くした後に、負荷減少量ΔTが小さくなったときには、その負荷減少量ΔTが小さくなったタイミングにおいて目標回転数を元の値に戻すことで(図35の中段の実線参照)、無用な燃費の消費を抑えることができる。
【0149】
また、
〈a〉負荷減少量ΔTが小さくなったタイミングにおいて目標回転数をステップ的に小さくするのではなく、ΔTをローパスフィルタによりフィルタリング処理した値に応じて目標回転数を下げるように構成(図35の中段の破線参照)、
〈b〉ΔTが小さくなったタイミングより一定の割合で目標回転数を元の値に戻すように構成(図35の下段の破線参照)、
〈c〉ΔTが小さくなったタイミングから所定の時間は目標回転数を所定値NUPした状態を維持する構成(図35の下段の一点鎖線参照)
とすることでも、第8実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0150】
実施形態では、アイドル状態で自動変速機のセレクタ位置が走行レンジにある場合をアイドル自走中で説明したが、変速機はこれに限らない。たとえば、変速比を連続的に変更できるCVTや手動式の変速機であってもかまわない。このときには、トルクコンバータ負荷に代えて、エンジン出力軸に作用する変速機からの負荷を用いる。
【0151】
【発明の効果】
アイドル自走中に急ブレーキ操作が行われたとき応答の遅いトルク制御手段、たとえば空気量制御手段により、供給空気量を増量して発生トルクを大きくしようとしても、空気量の増量操作から実際に発生トルクが大きくなるまでにかなり大きな時間的遅れがあるため、急制動等に伴うトルクコンバータ負荷の急増に対応することは困難である。また、点火時期制御手段は応答の速いトルク制御手段であるが、点火時期の動作中心が燃費の向上をねらって最大トルク点付近に設定されている場合には、発生トルクを増量させる余裕代がほとんどないため、点火時期制御によっても、急制動による回転低下を十分に抑止することができない。これに対して、第1の発明では変速機が走行レンジにありかつエンジンからみたトルクコンバータ負荷の減少時(つまり制動動作等により急激なトルクコンバータ負荷の増加が生じる可能性があるとき)かつアイドル状態になったとき応答の速いトルク制御手段に所定のトルク増量余裕代を生成させるので、アイドル自走中にトルクコンバータ負荷の急増があっても、そのトルク増量余裕代を用いて高応答のトルク制御が行われ、これによって、耐エンスト性を高めつつアイドル回転数を目標回転数に維持することができる。
【0152】
第2と第6の各発明では、変速機の入力軸回転数と出力軸回転数をそれぞれ検出し、これら入出力軸回転数比に基づいてトルクコンバータ負荷を、また入力軸回転数に基づいて前記出力軸回転数が0となるときのトルクコンバータ負荷(または最大の前記トルクコンバータ負荷)を算出し、この出力軸回転数が0となるときのトルクコンバータ負荷(または最大の前記トルクコンバータ負荷)と入出力軸回転数比に基づくトルクコンバータ負荷との差よりトルクコンバータ負荷の減少を検出するので、精度良くエンジンからみたトルクコンバータ負荷の減少を検出することができる。
【0153】
第3と第7の各発明では、トルクコンバータの入力軸、出力軸の各回転数を検出する新たなセンサの追加によるコストアップを招くことがない。
【0154】
第4と第8の各発明では、トルクコンバータ負荷の減少を通常のエンジン制御システムにおいて既存のものを用いて簡易に検出できる。
【0155】
第5の発明では走行レンジかつエンジンからみたトルクコンバータ負荷の減少時にアイドル回転数のフィードバック制御における目標回転数が従来より所定値だけ高く設定され、アイドル状態になるとその高く設定された目標回転数となるようにトルク制御手段を用いてアイドル回転数のフィードバック制御が行われることから、走行レンジかつエンジンからみたトルクコンバータ負荷の減少時に急制動等により急激にエンジン回転数がアンダーシュートしてアイドル状態に移行したとしても、そのアンダーシュートによる最低回転数が相当高く保持され、これによってエンストに至ることが防止される。
【0156】
燃費の向上などをねらって点火時期の動作中心を最大トルク点付近に設定している従来例では、アイドル状態における負荷の急増に対抗して発生トルクを増量させるだけの余裕代はないのであるが、第9の発明では、点火時期の動作中心を遅角側に移動させることで、十分なトルク増量余裕代が生まれる。また、点火時期制御手段を用いてのアイドル回転数のフィードバック制御であるため、急制動に伴うエンジン回転の低下に対しても十分な応答性をもつ。
【0157】
第10の発明では、三元触媒方式のとき空燃比の動作中心を三元点からリーン側に移動し、また第11の発明では発電量の動作中心を増量側に移動するので、これらの発明でも十分なトルク増量余裕代が生まれる。また、空燃比制御手段や発電量制御手段を用いてのアイドル回転数のフィードバック制御であるため、エンジン回転の低下に対して十分な応答性をもつ。
【0158】
第12の発明では、応答の遅いトルク制御手段により発生トルクを増加させるとともに、このトルク増加分を前記応答の速いトルク制御手段により相殺するので、発生トルクを一定に維持したまま、高応答のトルク増量余裕代をもった状態へと速やかに移行させることができる。
【0159】
アイドル回転低下に対する補償を大きくしようとトルク増量余裕代を一定値で大きくしたのでは、トルク増量余裕代を生成するための点火時期の遅角量が大きくなり燃費的にロスが生じてしまうが、第14の発明ではトルク増量余裕代をエンジンからみたトルクコンバータ負荷の減少量が大きくなるほど大きくするので、負荷減少量に応じた必要量だけのトルク増量余裕代を与えることができ、これにより燃費的なロスが生じることがない。
【0160】
トルクコンバータ負荷の減少量そのものに応じてトルク増量余裕代を算出するときには、トルクコンバータ負荷の増減に伴ってトルク増量余裕代をあまりにも敏感に追従させることになり、トルク制御の高精度化、高応答化が必要となるが、第15の発明では、トルク増量余裕代を求めるためのトルクコンバータ負荷の変化量をローパスフィルタによりなましているので、高精度化、高応答化を必要とすることなくトルク制御を適切に行うことができる。第19の発明でも、目標回転数を高くする所定値を求めるためのトルクコンバータ負荷の変化量をローパスフィルタによりなましているので、高精度化、高応答化を必要とすることなくトルク制御を適切に行うことができる。
【0161】
第16の発明では、ローパスフィルタの時定数を、入力が出力より大きい場合は小さく入力が出力より小さい場合は大きくするので、〈1〉高応答のトルク増量余裕代をあまり過敏に動かしたくない、しかしながら〈2〉高応答のトルク増量余裕代の準備はできれば速くしたい、といった2つの相反する要求を満たすことができる。第20の発明では、〈1〉所定値高くした目標回転数を、その後にトルクコンバータ負荷の減少量が小さくなったからといってあまり過敏に下げたくはない、しかしながら〈2〉トルクコンバータ負荷の減少時に目標回転数を所定値高くするときはできれば速くしたい、といった2つの相反する要求を満たすことができる。
【0162】
目標回転数を高くするための所定値が一定値のためトルクコンバータ負荷の大きな減少量に合わせて所定値を設定したのでは、目標回転数が高すぎて無用な燃料消費が生じるが、第17の発明ではトルクコンバータ負荷の減少量が大きくなるほど所定値を大きくするので、無用な燃料消費を避けることができる。
【0163】
第18の発明では、目標回転数を高くするするための所定値を設定した後にトルクコンバータ負荷の減少量が小さくなったとき目標回転数を元の値に戻すので、無用な燃料消費を抑えることができる。
【0164】
第21の発明では、トルクコンバータ負荷の減少量が小さくなった(つまりトルクコンバータ負荷が大きくなった)ことに対して、フィードバック制御により対応が十分終了したあとに、目標回転数を元に戻すことができることになり、所定値高くした目標回転数を、その後にトルクコンバータ負荷の減少量が小さくなったからといってあまり過敏に下げたくはないという要求を満たすことができる。
【0165】
第22の発明では、応答の速いトルク制御手段にトルク増量余裕代を生成させた後にトルクコンバータ負荷が急増したときそのトルク増量余裕代を用いて応答の速いトルク制御手段によるトルク制御を行うようにしたので、アイドル自走中にトルクコンバータ負荷が急増したときにも確実にアイドル回転数のアンダーシュートを防止できる。
【0166】
第23の発明では、高応答のトルク増量余裕代を有する状態へと移行させた後にトルクコンバータ負荷が急増しかつ回転低下が生じたときその高応答のトルク増量余裕代を用いて応答の速いトルク制御手段によりアイドル回転数のフィードバック制御を行うので、アイドル回転数を目標値に維持しつつトルクコンバータ負荷の急増に確実に対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の制御システム図である。
【図2】アイドル回転数の制御を説明するためのフローチャートである。
【図3】負荷減少の検出を説明するためのフローチャートである。
【図4】トルクコンバータの容量係数の特性図である。
【図5】アイドル状態での目標回転数NSETの特性図である。
【図6】トルク増量余裕代の生成を説明するためのフローチャートである。
【図7】アイドル状態での点火進角値PGOVの特性図である。
【図8】点火時期に対する発生トルクの特性図である。
【図9】点火時期制御手段を用いてのアイドル回転数のフィードバック制御を説明するためのフローチャートである。
【図10】点火時期のフィードバック量ADVFBの特性図である。
【図11】第5実施形態のトルク増量余裕代の生成を説明するためのフローチャートである。
【図12】第5実施形態の空燃比のフィードバック量TPFBの特性図である。
【図13】第5実施形態の空燃比に対する発生トルクの特性図である。
【図14】第7実施形態のアイドル回転数の制御を説明するためのフローチャートである。
【図15】第7実施形態のトルク増量余裕代の生成を説明するためのフローチャートである。
【図16】第7実施形態のトルク増量余裕代TYOYUの算出を説明するためのフローチャートである。
【図17】第7実施形態のトルク増量余裕代TYOYUの特性図である。
【図18】第7実施形態の補助空気弁流量の基本値QBASEを説明するための特性図である。
【図19】第7実施形態の補助空気弁に与えるONデューティISCONの特性図である。
【図20】第7実施形態の点火時期に対するトルク感度の特性図である。
【図21】第7実施形態の作用を説明するための波形図である。
【図22】第8実施形態のトルク増量余裕代TYOYUの算出を説明するためのフローチャートである。
【図23】第8実施形態のフィリタリング処理を説明するためのフローチャートである。
【図24】第9実施形態のフィリタリング処理を説明するためのフローチャートである。
【図25】第9実施形態の作用を説明するための波形図である。
【図26】第9実施形態の作用を説明するための波形図である。
【図27】第10実施形態の負荷急増の検出を説明するためのフローチャートである。
【図28】第10実施形態の負荷急増を説明するための波形図である。
【図29】第10実施形態のトルク増量余裕代の生成と負荷急増対応制御を説明するためのフローチャートである。
【図30】第10実施形態のトルク増量余裕代の生成と負荷急増対応制御を説明するためのフローチャートである。
【図31】第10実施形態の点火時期進角量Aの変化波形図である。
【図32】第11実施形態のトルク増量余裕代の生成と負荷急増対応制御を説明するためのフローチャートである。
【図33】第12実施形態のトルク増量余裕代の生成と負荷急増対応制御を説明するためのフローチャートである。
【図34】第10、第11、第12の各実施形態の作用を説明するための特性図である。
【図35】その他の実施形態の作用を説明するための特性図である。
【図36】第1の発明のクレーム対応図である。
【図37】第5の発明のクレーム対応図である。
【符号の説明】
6 燃料噴射弁
11 コントロールユニット
13 点火プラグ
15 クランク角センサ
16 エアフローメータ
Claims (25)
- アイドル状態での目標回転数を設定する手段と、
アイドル状態を検出する手段と、
このアイドル状態の検出時にエンジン回転数が前記目標回転数と一致するように応答の速いトルク制御手段を用いてアイドル回転数のフィードバック制御を行う手段と、
変速機が走行レンジにありかつエンジンからみたトルクコンバータ負荷の減少時かつアイドル状態の検出時であるかどうかを判定する手段と、
この判定結果より変速機が走行レンジにありかつエンジンからみたトルクコンバータ負荷の減少時かつアイドル状態の検出時に前記応答の速いトルク制御手段に所定のトルク増量余裕代を生成させる手段と、
このトルク増量余裕代を生成させている状態でエンジンからみたトルクコンバータ負荷が急増したときこのトルク増量余裕代を用いて発生トルクを増量させる手段と
を設けたことを特徴とするエンジンの回転数制御装置。 - 前記トルクコンバータ負荷の減少を検出する手段は、前記変速機の入力軸回転数と出力軸回転数をそれぞれ検出する手段と、これら入出力軸回転数比に基づいて前記トルクコンバータ負荷を算出する手段と、前記入力軸回転数に基づいて前記出力軸回転数が0となるときの前記トルクコンバータ負荷または最大の前記トルクコンバータ負荷を算出する手段と、この出力軸回転数が0となるときの前記トルクコンバータ負荷または最大の前記トルクコンバータ負荷と前記入出力軸回転数比に基づく前記トルクコンバータ負荷との差より前記トルクコンバータ負荷の減少を検出する手段とからなることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの回転数制御装置。
- 前記トルクコンバータの入力軸回転数としてエンジン回転数を用いるとともに、前記トルクコンバータの出力軸回転数を車両速度または車軸回転数と変速機の変速比とから計算により求めることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの回転数制御装置。
- 前記トルクコンバータ負荷の減少を、車両速度、駆動軸回転数またはトルクコンバータの出力軸回転数に基づいて検出することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの回転数制御装置。
- アイドル状態での目標回転数を設定する手段と、
アイドル状態を検出する手段と、このアイドル状態の検出時にエンジン回転数が前記目標回転数と一致するようにトルク制御手段を用いてアイドル回転数のフィードバック制御を行う手段と、
変速機が走行レンジにありかつエンジンからみたトルクコンバータ負荷の減少時かどうかを判定する手段と、
この判定結果より変速機が走行レンジにありかつエンジンからみたトルクコンバータ負荷の減少時に前記目標回転数を所定値だけ高く設定する手段と
を設けたことを特徴とするエンジンの回転数制御装置。 - 前記トルクコンバータ負荷の減少を検出する手段は、前記変速機の入力軸回転数と出力軸回転数をそれぞれ検出する手段と、これら入出力軸回転数比に基づいて前記トルクコンバータ負荷を算出する手段と、前記入力軸回転数に基づいて前記出力軸回転数が0となるときの前記トルクコンバータ負荷または最大の前記トルクコンバータ負荷を算出する手段と、この出力軸回転数が0となるときの前記トルクコンバータ負荷または最大の前記トルクコンバータ負荷と前記入出力軸回転数比に基づく前記トルクコンバータ負荷との差より前記トルクコンバータ負荷の減少を検出する手段とからなることを特徴とする請求項5に記載のエンジンの回転数制御装置。
- 前記トルクコンバータの入力軸回転数としてエンジン回転数を用いるとともに、前記トルクコンバータの出力軸回転数を車両速度または車軸回転数と変速機の変速比とから計算により求めることを特徴とする請求項5に記載のエンジンの回転数制御装置。
- 前記トルクコンバータ負荷の減少を、車両速度、駆動軸回転数またはトルクコンバータの出力軸回転数に基づいて検出することを特徴とする請求項5に記載のエンジンの回転数制御装置。
- 前記応答の速いトルク制御手段は点火時期制御手段であり、前記トルク増量余裕代生成手段は前記点火時期制御手段による点火時期の動作中心を遅角側に移動させる手段であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載のエンジンの回転数制御装置。
- 前記応答の速いトルク制御手段は空燃比制御手段であり、前記トルク増量余裕代生成手段は前記空燃比制御手段による空燃比の動作中心をリーン側に移動する手段であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載のエンジンの回転数制御装置。
- 前記応答性の速いトルク制御手段は発電量制御手段であり、前記トルク増量余裕代生成手段は前記発電量制御手段による発電量の動作中心を増量側に移動する手段であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載のエンジンの回転数制御装置。
- 前記トルク増量余裕代生成手段は、応答の遅いトルク制御手段により発生トルクを増加させるとともに、このトルク増加分を前記応答の速いトルク制御手段により相殺する手段であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載のエンジンの回転数制御装置。
- 前記応答の遅いトルク制御手段は空気量制御手段であることを特徴とする請求項12に記載のエンジンの回転数制御装置。
- 前記トルク増量余裕代を前記トルクコンバータ負荷の減少量が大きくなるほど大きくすることを特徴とする請求項1、2、3、4、9、10、11、12、13までのいずれか一つに記載のエンジンの回転数制御装置。
- 前記トルクコンバータ負荷の減少量をローパスフィルタによりフィルタリングすることを特徴とする請求項14に記載のエンジンの回転数制御装置。
- 前記ローパスフィルタの時定数を、入力が出力より大きい場合は小さく入力が出力より小さい場合は大きくすることを特徴とする請求項15に記載のエンジンの回転数制御装置。
- 前記所定値を、前記トルクコンバータ負荷の減少量が大きくなるほど大きく設定することを特徴とする請求項5から8までのいずれか一つに記載のエンジンの回転数制御装置。
- 前記所定値を設定した後に前記トルクコンバータ負荷の減少量が小さくなったとき前記目標回転数を元の値に戻すことを特徴とする請求項17に記載のエンジンの回転数制御装置。
- 前記トルクコンバータ負荷の減少量をローパスフィルタによりフィルタリングすることを特徴とする請求項17または18に記載のエンジンの回転数制御装置。
- 前記ローパスフィルタの時定数を、入力が出力より大きい場合は小さく入力が出力より小さい場合は大きくすることを特徴とする請求項19に記載のエンジンの回転数制御装置。
- 前記所定値を設定した後に前記トルクコンバータ負荷の減少量が小さくなったとき所定時間の後で前記目標回転数を元の値に戻すことを特徴とする請求項17に記載のエンジンの回転数制御装置。
- 前記トルク増量余裕代の生成後に前記トルクコンバータ負荷が急増したかどうかを判定する手段と、この判定結果よりトルクコンバータ負荷が急増したとき前記トルク増量余裕代を用いて前記応答の速いトルク制御手段によりトルク増量側に制御する手段とを設けたことを特徴とする請求項1、2、3、4、9、10、11、12、13、14、15、16のいずれか一つに記載のエンジンの回転数制御装置。
- 前記トルク増量余裕代の生成後に前記トルクコンバータ負荷が急増しかつ回転低下が生じたかどうかを判定する手段と、この判定結果よりトルクコンバータ負荷が急増しかつ回転低下が生じたとき前記トルク増量余裕代を用いて前記応答の速いトルク制御手段によりアイドル回転数のフィードバック制御を行う手段とを設けたことを特徴とする請求項1、2、3、4、9、10、11、12、13、14、15、16のいずれか一つに記載のエンジンの回転数制御装置。
- 前記トルク増量余裕代を用いてのアイドル回転数のフィードバック制御におけるフィードバック制御量はアイドル回転数の変化量に応じた値であることを特徴とする請求項23に記載のエンジンの回転数制御装置。
- 前記トルク増量余裕代を用いてのアイドル回転数のフィードバック制御におけるフィードバック制御量はアイドル回転数と目標回転数の偏差に応じた値であることを特徴とする請求項23に記載のエンジンの回転数制御装置。
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