JPH10221396A - コンデンサの充電電流測定方法 - Google Patents

コンデンサの充電電流測定方法

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JPH10221396A
JPH10221396A JP9348617A JP34861797A JPH10221396A JP H10221396 A JPH10221396 A JP H10221396A JP 9348617 A JP9348617 A JP 9348617A JP 34861797 A JP34861797 A JP 34861797A JP H10221396 A JPH10221396 A JP H10221396A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】コンデンサの絶縁抵抗を短時間でかつ正確に測
定すること。 【解決手段】コンデンサに直流電圧を印加し、電圧印加
直後におけるコンデンサの誘電分極成分の充電領域初期
の2つの時点t1 ,t2 の電流値i1 ,i2 を測定す
る。これら2つの測定電流値i1 ,i2 から、直線近似
式log i=a・logt+bの勾配aと切片bとを求め、
この直線近似式から十分に充電された時t3における電
流値i3 を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコンデンサの充電電
流測定方法、特にコンデンサの絶縁抵抗の測定に適した
測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、コンデンサの良否を判定するた
め、測定用の直流電圧をコンデンサに印加し、十分に充
電された後のコンデンサの漏れ電流(充電電流)を測定
することにより、コンデンサの絶縁抵抗を測定する方法
が知られている。当然ながら、良品は漏れ電流が少な
い。
【0003】従来、この種の充電電流測定方法として
は、JIS−C5102で規定された測定方式が知られ
ている。この方式は、コンデンサに十分に充電された状
態の電流値を測定する必要があるため、約60秒の測定
時間が必要であった。しかし、電子機器のコストダウ
ン、信頼性向上の要求に伴い、コンデンサなどの電子部
品もその生産能力向上と品質向上とが求められており、
コンデンサ1個当たりこのような長い測定時間を要する
従来の測定方法では、到底このような要求に応えること
ができない。
【0004】そこで、コンデンサに電圧印加を開始した
直後の短い時間内において、複数のタイミングにおいて
充電電流値を測定し、その複数の電流測定値によって所
望時間後の電流値を予測する方法が提案されている(特
公平5−78790号公報)。この方法では、一定の時
間間隔の3つの時点において、コンデンサを流れる電流
値I0 ,I1 ,I2 を測定し、これらの3つの電流測定
値から所定時間後の電流値Ix を次式で算出している。 Ix =(I1 2 −I0 ・I2 )/(2I1 −I2
0
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この方法を用いれば、
十分な充電状態に達する時間より前の状態で結果を算出
することができるので、短時間に絶縁抵抗を測定できる
という利点がある。しかしながら、上記の算出式は、コ
ンデンサの等価回路が図1のような回路であるという前
提のもとに導き出されたものであるため、セラミックコ
ンデンサのようなコンデンサの場合には、正確な絶縁抵
抗を求めることができない。
【0006】すなわち、図1ではコンデンサの等価回路
が、容量C0 と内部抵抗rと絶縁抵抗R0 とで構成され
ているが、実際のコンデンサの等価回路は図2のよう
に、容量C0 、内部抵抗r、絶縁抵抗R0 のほかに、誘
電分極成分Dが含まれる。誘電分極成分Dは、容量
1 ,C2 ・・・Cn と抵抗R1 ,R2 ・・・Rn とを
含んでいる。充電初期(例えば充電開始〜1m秒)には
容量C0 、内部抵抗rおよび絶縁抵抗R0 の影響が強く
現れるが、それ以後の充電特性は誘電分極成分Dによっ
て支配されると考えられる。したがって、上記のように
誘電分極成分Dを無視した予測方法では、充電終期(例
えば約1分後)の充電電流を正確に予測することは到底
できない。
【0007】そこで、本発明の目的は、コンデンサに十
分に充電された時点における電流値を短時間でかつ正確
に測定できるコンデンサの充電電流測定方法を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明は、コンデンサに直流電圧を
印加する工程と、電圧印加直後におけるコンデンサの誘
電分極成分の充電領域初期の2つの時点t1 ,t2 の電
流値i1 ,i2 を測定する工程と、上記測定された2つ
の電流値i1 ,i2 から、直線近似式log i=a・log
t+bの勾配aと切片bとを求める工程と、上記直線近
似式から充電時t3 における電流値i3 を求める工程
と、を含むものである。
【0009】セラミックコンデンサについて、充電時に
おける電流値の変化を正確に測定し、その電流値と時間
とを対数電流−対数時間の座標にプロットすると、図3
(実線で示す)のような特性があることを発見した。つ
まり、充電初期の微小期間はほぼ一定の大きな電流が
流れるが、それに続く遷移期間で急激に電流値が低下
し、その後、ある傾きを持った直線的な充電特性で電
流が低下した。この直線的な充電特性は、充電開始か
ら1分〜2分後まで持続していた。
【0010】上記特性について検討してみると、初期の
充電特性は容量C0 の充電領域であるのに対し、直線
的な充電特性は誘電分極成分Dの充電領域であること
が判明した。したがって、コンデンサに電圧印加を開始
した直後の短い期間内、特に誘電分極成分Dの充電領域
における複数のタイミングt1 ,t2 において電流値
1 ,i2 を測定し、その複数の測定電流値i1 ,i2
から直線近似式log i=a・log t+bの勾配aと切片
bとを求めれば、最終的な電流値i3 (例えば1分後の
電流値)を正確に予測することが可能となる。
【0011】なお、初期期間はコンデンサの容量値な
どによって変化するが、通常は初期期間と遷移期間
との和は10m秒以下である。したがって、電流値
1 ,i2 としては、充電開始から10m秒前後または
それ経過後の電流値を測定すれば、正確な直線近似式を
求めることができる。本発明方法を用いれば、コンデン
サ1個当たり数十m秒程度で絶縁抵抗を求めることがで
きるので、絶縁抵抗測定の作業能率を格段に向上させる
ことができる。
【0012】なお、充電特性はコンデンサによって変化
し、必ずしも直線になるとは限らない場合がある。その
場合には、請求項2に記載のように、対数近似式を用い
て十分充電が終了した後の電流値を予測することができ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】図4は本発明方法を実施するため
の電流測定装置の一例を示す。この測定装置は、本願出
願人が特願平7−293442号で提案したものであ
る。この測定装置は、直流測定電源10、スイッチ1
1、被測定物であるコンデンサ12、制限抵抗13、対
数増幅器14、計測用アンプ15、A/D変換器16,
18、演算処理回路(CPU)17を備えている。充電
初期は計測用アンプ15で電流値を計測し、所定の閾値
で対数増幅器14に切り換え、それ以後は対数増幅器1
4で電流値を計測する。この測定装置は、コンデンサ1
2の充電電流が幅広いレンジで変化しても正確に測定す
ることができるので、従来の測定装置では計測困難であ
った充電初期から充電終期までの電流値を連続的に計測
できる。
【0014】次に、本発明にかかる充電電流測定方法を
図5にしたがって説明する。まず、コンデンサに直流電
圧を印加する(ステップS1)。次に、誘電分極成分D
の充電領域の初期における2つの時点t1 ,t2 の電
流値i1 ,i2 を測定する(ステップS2)。続いて、
測定電流値i1 ,i2 からコンデンサの誘電分極成分D
の充電領域の直線近似式(log i=a・log t+b)の
勾配aと切片bを求める(ステップS3)。勾配aと切
片bは次式により計算される。 a=(log i2 −log i1 )/(log t2 −log t1 ) b=(log i1 ・log t2 −log i2 ・log t1 )/
(log t2 −log t1 ) 次に、勾配aと切片bとを求めた直線近似式log i=a
・log t+bに、最終充電時t3 (例えば60秒)を代
入すれば、充電時の電流値i3 を計算で求めることがで
きる(ステップS4)。この電流値i3 からコンデンサ
の絶縁抵抗を知ることができる。
【0015】図6は、上記のようにして求めた直線近似
式(破線で示す)および実測値(実線で示す)である。
被測定物であるコンデンサとしては、積層セラミックコ
ンデンサを用い、充電電流は50mAとした。直線近似
式を求めるための具体的データは以下の通りである。 t1 =4m秒, i1 =8μA t2 =20m秒,i2 =1.2μA a=−0.98,b=4.0×10-83 =60秒 計算値i3 =1.01nA,実測値i3 =0.96nA このように、計算値i3 と実測値i3 との誤差は5.2
%であっった。これにより、本発明方法が精度の高い測
定方法であることが実証された。
【0016】第1実施例では、対数座標における直線近
似式(log i=a・log t+b)を用いて時刻t3 の電
流値i3 を予測したが、コンデンサの種類によっては誘
電分極成分Dの充電領域が必ずしも直線にならない場
合がある。その場合には、対数近似式(log (log i)
=a・log t+b)を用いて電流値i3 を求めてもよ
い。この場合には、勾配aと切片bは次のようにして求
められる。
【0017】
【数1】
【数2】
【0018】第1,第2実施例では、コンデンサに流れ
る充電電流を制限抵抗13(図4参照)によってJIS
で決められた50mAに制限したものであるが、制限抵
抗13の抵抗値を小さくして充電電流を大きくすると、
図7に示すように充電の応答が速くなることを発見し
た。図7の実線は充電電流を50mAとした場合、二点
鎖線は充電電流を100mAとした場合である。
【0019】すなわち、容量C0 による充電領域の電
流値が高くなるとともに、その時間が短縮された。これ
に対し、誘電分極成分Dの充電領域の充電曲線は全く
変化しておらず、充電領域の開始点がより速くなっ
た。つまり、線型的な誘電分極成分Dの充電領域が延
長されたものである。
【0020】そのため、第1実施例では電流値i1 ,i
2 を測定する時間t1 ,t2 を充電開始から10m秒前
後のタイミングとしたが、これより前の時間帯の電流値
を測定しても、近似式を求めることが可能となった。つ
まり、より高速にかつより正確に絶縁抵抗を測定するこ
とが可能となった。
【0021】第1,第2実施例では、コンデンサに対し
電圧を連続的に印加し、その充電特性から近似式を求め
たものであるが、本発明者は必ずしも連続的に印加しな
くても、図3と同様な特性が得られることを発見した。
図8は、所定間隔おきに断続的に直流電圧を印加した場
合の充電特性を示す。
【0022】図8より明らかなように、充電開始からt
4 までの期間では図3と同様に容量C0 による充電領域
が現れ、誘電分極成分Dの充電領域が現れた直後に
電圧印加を停止する。次に、時刻t5 で再び電圧を印加
すると、最初は大きな電流が流れるものの、直ぐに直線
的な充電特性’に安定する。この充電特性’は、充
電開始からt4 までの期間における充電領域の延長線
上にある。以後、同様に断続印加を繰り返すと、直線的
な充電特性に従って充電電流が低下する。なお、図8で
は等間隔で電圧印加を行ったように見えるが、図8の横
軸は対数時間であるため、実際には1回目より2回目の
電圧印加の方が長い。これは説明を簡単にするためであ
り、電圧印加の時間間隔を一定としても良いし、1回目
の方が長くても良いことは勿論である。
【0023】上記のような断続印加方式を用いた場合、
1回目の電圧印加における誘電分極成分の充電領域内
のある時刻t6 で電流値i6 を測定した後、2回目の電
圧印加における誘電分極成分の充電領域’内のある時
刻t7 で電流値i7 を測定すれば、第1実施例と同様に
簡単に直線近似式を求めることができる。なお、直線近
似式では近似できない場合には、対数近似式を用いても
よい。この方法を用いれば、連続的に電圧を印加する必
要がないので、絶縁抵抗測定装置の設備能力を向上させ
ることが可能である。
【0024】図9は本発明方法を用いた特性測定・選別
・テーピング装置の一具体例を示す。図において、20
はターンテーブルであり、ターンテーブル20は矢印方
向に一定ピッチ間隔で間欠的に回転する。ターンテーブ
ル20の周囲には、被測定物であるチップ型コンデンサ
を1個ずつ保持できる複数の保持部21が等ピッチ間隔
で設けられている。ターンテーブル20の周囲には、コ
ンデンサをターンテーブル20へ供給する供給部22、
容量測定部23、本発明が実施される充電IR測定部2
4、不良品排出部25、良品取出部26等が設けられて
おり、供給部22にはコンデンサを1個ずつターンテー
ブル20へ送り込むパーツフィーダなどの供給装置27
が配置されている。
【0025】また、良品取出部26に対応してテーピン
グ装置28が配置されている。テーピング装置28はコ
ンデンサ収納用の基材テープ29を矢印方向に1ピッチ
ずつ間欠的に駆動しており、基材テープ29の収納部2
9aには良品取出部26から良品コンデンサが1個ずつ
収納される。収納部29aへコンデンサを収納した後、
テーピング装置28は周知のように基材テープ29にカ
バーテープ(図示せず)を接着する。
【0026】従来の場合には、コンデンサをターンテー
ブル上で長時間充電しなければならないため、テーピン
グ装置と同期させることができず、ターンテーブルで特
性測定を終了した良品のコンデンサを取出容器などに所
定個数溜めておき、取出容器からコンデンサを改めてパ
ーツフィーダなどを用いて1個ずつ取り出し、テーピン
グ装置に供給していた。そのため、特性測定から梱包に
至る作業スピードが非常に遅く、設備の大型化、コスト
の増大を招いていた。
【0027】これに対し、本発明方法を用いた場合に
は、コンデンサの充電時の電流、つまり絶縁抵抗を瞬時
に求めることができるので、ターンテーブル20の1回
もしくは数回の停止期間中に絶縁抵抗測定を終了でき、
充電IR測定部24を1区画もしくは数少ない区画で構
成することができる。そのため、ターンテーブル20と
テーピング装置28とを同期させることができ、特性測
定が終了したコンデンサをターンテーブル22から直接
テーピング装置28へ送り込むことができる。その結
果、従来に比べて作業スピードが格段に向上するだけで
なく、設備の小型化およびコスト削減を実現できる。
【0028】図10は特性測定・選別・テーピング装置
の他の具体例を示す。この装置は、1台のターンテーブ
ル20を中心として、その両側にパーツフィーダなどの
供給装置27を配置するとともに、2台のテーピング装
置28を配置したものである。2本のテープ29は互い
に逆方向に送られる。この装置の場合、図9の装置に比
べて作業スピードの一層の向上と、効率化とが図れる。
【0029】図11は特性測定・選別・バルクケース詰
め装置の一具体例を示す。この装置では、パーツフィー
ダ27、ターンテーブル20を経て取り出された良品コ
ンデンサは、ターンテーブル20からバルクケース詰め
装置30によってバルクケース31へ詰められる。バル
クケース31には所定個数のコンデンサを収納できるよ
うになっており、一定個数のコンデンサが収納された
後、バルクケース31は矢印方向に駆動される。この場
合も、図9と同様な効果がある。
【0030】なお、本発明はセラミックコンデンサに限
らず、電解コンデンサやフィルムコンデンサなど、誘電
分極成分を有するコンデンサであれば、如何なるコンデ
ンサであっても適用可能である。
【0031】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、コンデンサに電圧印加を開始した後、誘電分極
成分の充電領域における複数のタイミングにおいて電流
値を測定し、その複数の測定電流値から直線近似式また
は対数近似式を求め、この近似式によって充電終了時点
の電流値を予測するようにしたので、絶縁抵抗を短時間
でかつ正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンデンサの等価回路の一例の回路図である。
【図2】コンデンサの等価回路の他の例の回路図であ
る。
【図3】コンデンサの充電電流の変化を示す図である。
【図4】充電電流測定装置の一例の回路図である。
【図5】本発明にかかる充電電流測定方法の工程図であ
る。
【図6】本発明方法を用いた直線近似式と実測値との比
較図である。
【図7】充電電流を大きくした時のコンデンサの充電特
性図である。
【図8】断続印加時におけるコンデンサの充電特性図で
ある。
【図9】本発明方法を用いた特性測定・選別・テーピン
グ装置の一例の平面図である。
【図10】本発明方法を用いた特性測定・選別・テーピ
ング装置の他の例の平面図である。
【図11】本発明方法を用いた特性測定・選別・バルク
ケース詰め装置の一例の平面図である。
【符号の説明】
10 直流測定電源 12 コンデンサ 13 抵抗 14 対数増幅器 15 計測用アンプ 16,18 A/D変換器 17 CPU 20 ターンテーブル 24 充電IR測定部 27 パーツフィーダ 28 テーピング装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田端 利成 京都府長岡京市天神2丁目26番10号 株式 会社村田製作所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コンデンサに直流電圧を印加する工程と、 電圧印加直後におけるコンデンサの誘電分極成分の充電
    領域初期の2つの時点t1 ,t2 の電流値i1 ,i2
    測定する工程と、 上記測定された2つの電流値i1 ,i2 から、直線近似
    式log i=a・log t+bの勾配aと切片bとを求める
    工程と、 上記直線近似式から充電時t3 における電流値i3 を求
    める工程と、を含むコンデンサの充電電流測定方法。
  2. 【請求項2】コンデンサに直流電圧を印加する工程と、 電圧印加直後におけるコンデンサの誘電分極成分の充電
    領域初期の2つの時点t1 ,t2 の電流値i1 ,i2
    測定する工程と、 上記測定された2つの電流値i1 ,i2 から、対数近似
    式log (log i)=a・log t+bの勾配aと切片bと
    を求める工程と、 上記対数近似式から充電時t3 における電流値i3 を求
    める工程と、を含むコンデンサの充電電流測定方法。
  3. 【請求項3】コンデンサへの充電電流を50mAより大
    きな電流としたことを特徴とする請求項1または2に記
    載のコンデンサの充電電流測定方法。
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