JPH10205599A

JPH10205599A - トロイダル型無段変速機

Info

Publication number: JPH10205599A
Application number: JP756797A
Authority: JP
Inventors: Katsuya Kobayashi; 克也小林
Original assignee: Nissan Motor Co Ltd
Current assignee: Nissan Motor Co Ltd
Priority date: 1997-01-20
Filing date: 1997-01-20
Publication date: 1998-08-04
Anticipated expiration: 2017-01-20
Also published as: JP3480218B2

Abstract

(57)【要約】【課題】トラニオンの回動位置にかかわらずリンクと
の摩擦抵抗を低減する。【解決手段】軸方向及び軸回りに変位可能な一対のト
ラニオン３と、トラニオン３の両端部に形成された回転
軸部３ａ、３ｂと、回転軸部３ａ、３ｂの間で回転軸か
ら所定量だけオフセットしたオフセット部３ｃと、両端
部に形成した貫通孔４Ｌ、４Ｒを介して回転軸部３ａ、
３ａと連結するとともに、ケーシング１０に固設された
支持部材１２でほぼ中央部を揺動自在に支持されたアッ
パーリンク４と、アッパーリンク４の貫通孔４Ｌ内周と
係合する一方、ニードルベアリング８を介して回転軸部
３ａに支持された球面軸受７と、アッパーリンク４と対
向する肩部３０に形成された突起部材３１は、アッパー
リンク４が揺動した場合にも常時アッパーリンク４と当
接可能かつ、ピボットシャフト２の回転軸長上に配設さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、車両等に用いられ
るトロイダル型無段変速機のトラニオンとリンクの連結
構造の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】トロイダル型無段変速機のトラニオンを
支持するリンクの構造としては、特開平７−１７４２０
１号公報等に示すものが知られている。

【０００３】これについて説明すると、トロイド状の溝
を対向面に形成した一対の入出力ディスクに狭持、押圧
される一対のパワーローラは、図９〜図１１に示すよう
に、入出力ディスクの回転軸を挟んで配設された一対の
トラニオン３’、３’に基端を支持された図示しないピ
ボットシャフトによって回転自在に軸支され、トラニオ
ン３’、３’はそれぞれ回転軸３ｚの軸方向及び軸回り
に変位可能に支持される。

【０００４】そしてトラニオン３’に連結したアクチュ
エータが、トラニオン３’を軸方向へ駆動することで、
パワーローラは回転軸３回りに回動し、入力ディスクと
出力ディスクの接触半径が変化して変速比が連続的に変
更される。

【０００５】対向配置されたトラニオン３’、３’は、
その上端をアッパーリンク４’を介して連結され、図１
０において、パワーローラに加わるスラスト力に抗し
て、アッパーリンク４’はトラニオン３’、３’の回転
軸３ｚ、３ｚ間の軸間距離を一定に保持する。

【０００６】このアッパーリンク４’は、図１０、図１
１のように、中央に設けた貫通孔４Ｃを介してケース側
で揺動自在に支持される一方、両端部に設けた貫通孔４
Ｌ、４Ｒを介してトラニオン３’、３’と連結し、トラ
ニオン３’、３’の相反する軸方向変位に応じて、図９
の矢印方向へ揺動するとともに、トラニオン３’、３’
の回転軸３ｚ回りの変位を許容する。

【０００７】このため、トラニオン３’、３’の上端側
の回転軸部３ａと貫通孔４Ｌの間には、貫通孔４Ｌ内周
と摺接する球面軸受７と、回転軸部３ａ外周と球面軸受
７内周の間を転動するニードルベアリング８がそれぞれ
介装され、トラニオン３’に対するアッパーリンク４’
の傾斜を許容する一方、トラニオン３’の径方向変位を
規制する。なお、アッパーリンク４’の反対側の端部に
形成された貫通孔４Ｒとトラニオン３’も同様に連結さ
れる。

【０００８】なお、球面軸受７と回転軸部３ａ、３ｂの
間に介装されたニードルベアリング８によって、トラニ
オン３は軸回りの回転を円滑に行うことができる。

【０００９】そして、トラニオン３’の回転軸部３ａか
ら図９の左側へ張り出したオフセット部３ｃがアッパー
リンク４’の下面４０と対向する位置には平面状の肩部
３０が形成され、回転軸３ｚよりも端部側のアッパーリ
ンク４’の下面４０からは肩部３０と摺接する凸部４１
が形成され、変速が行われてアッパーリンク４’が揺動
しても、アッパーリンク４’の支点間隔である凸部４
１、４１と肩部３０、３０の接触位置は、図１０の軸線
Ｃ₁上で常時一定に保持される。

【００１０】こうして、トラニオン３’の軸方向の摩擦
抵抗を低減することで、変速制御特性のヒステリシスを
低下させるとともに、入出力ディスクの狭持、押圧によ
ってパワーローラに加わるスラスト力を支持して、トラ
ニオン３’、３’の軸間距離を一定に保っている。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようなトロイダル型無段変速機では、図１０（Ａ）及び
図１１（Ａ）に示すように、変速比がほぼ１、すなわ
ち、対向するパワーローラがほぼ平行な場合では、図１
０（Ａ）及び１１（Ａ）に示すように、球面軸受７とア
ッパーリンク４’に形成した貫通孔４Ｌ、４Ｒとの相対
回転中心αは凸部４１上に位置し、アッパーリンク４’
と球面軸受７の相対回転中心αと、アッパーリンク４’
とトラニオン３’の接触位置が一致するため、トラニオ
ン３’の摩擦抵抗が増大することはないが、変速比がＨ
ｉ側またはＬｏ側へ変化すると、図１０（Ｂ）及び図１
１（Ｂ）に示すように、トラニオン３’は回転軸３ｚ、
３ｚを結ぶ軸線Ｃ₁に対して回転軸３ｚ回りにθだけ回
動し、球面軸受７とアッパーリンク４’との相対回転中
心αは凸部４１から外れ、アッパーリンク４’とトラニ
オン３’の接触位置がずれてしまう。このとき、アッパ
ーリンク４’は肩部３０に当接した凸部４１を支点とし
て傾斜するため、アッパーリンク４’と球面リング７は
トラニオン３’の回転軸３ｚ方向に滑るため、トラニオ
ン３’の軸方向の摩擦抵抗が増大し、変速制御特性が変
速比に応じて変化するという問題があった。

【００１２】そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなさ
れたもので、トラニオンの回動位置にかかわらず摩擦抵
抗の増大を低減可能なトロイダル型無段変速機を提供す
ることを目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】第１の発明は、相互に対
向する面にトロイド状の溝を形成するとともに、同軸的
に配設された入力ディスク及び出力ディスクと、前記入
力及び出力ディスクの回転軸に対して直交する平面内に
配設され、軸方向及び軸回りに変位可能な一対のトラニ
オンと、前記一対のトラニオンを相反する軸方向へそれ
ぞれ駆動するアクチュエータと、前記トラニオンの両端
部に形成された回転軸部と、前記トラニオンの回転軸部
の間で回転軸から所定量だけオフセットしたオフセット
部と、前記入力ディスク及び出力ディスクとの対向面に
挟持されるとともに、前記一対のトラニオンのそれぞれ
のオフセット部に固設された偏心軸に軸支されて回転自
在な一対のパワーローラと、両端部に形成した貫通孔を
介して一対のトラニオンの回転軸部を連結するととも
に、ケーシングに固設された支持部材でほぼ中央部を揺
動自在に支持されたリンクと、前記回転軸部と前記リン
クの貫通孔との間に介装されて、リンクとトラニオンの
相対的な揺動を許容する一方、前記回転軸部の径方向へ
のトラニオンの変位を規制する球面軸受とを備えたトロ
イダル型無段変速機において、前記リンクと対向する肩
部には、リンクが揺動した場合にも常時リンクと当接可
能かつ、前記偏心軸の回転軸延長上に配設された突起部
を設ける。

【００１４】また、第２の発明は、前記第１の発明にお
いて、前記突起部と回転軸部との間の肩部には、前記球
面軸受及びリンクと突起部の当接位置へ向けてオイルを
供給するオイル供給孔を開口する。

【００１５】また、第３の発明は、前記第２の発明にお
いて、前記突起部は、オイル供給孔に面して配設される
とともに、突起部がこのオイル供給孔にノズルを形成す
るよう配設される。

【００１６】また、第４の発明は、前記第１の発明にお
いて、前記突起部は、トラニオンの肩部と一体に形成さ
れる。

【００１７】

【発明の効果】したがって、第１の発明は、一対のトラ
ニオンを連結するリンクは、リンクの端部側とトラニオ
ンの肩部に設けた突起部が変速動作によるリンクの揺動
及びトラニオンの回動にかかわらず常時当接してパワー
ローラのスラスト力を支持し、突起部を偏心軸の回転軸
延長上に設けたため、球面軸受とリンクの相対回転中心
と、リンクとトラニオンの当接位置を、変速比にかかわ
らず常時一致させることが可能となって、トラニオンの
軸方向への摩擦抵抗を前記従来例に比して低減すること
ができ、変速比にかかわらず変速制御特性を一定に維持
して安定した変速制御を行うことができると同時に、ト
ラニオンの軸方向の摩擦抵抗を低減することで、変速の
応答性を向上させることが可能となる。

【００１８】また、第２の発明は、肩部に開口したオイ
ル供給孔は、突起部よりもトラニオンの回転半径の内周
側に形成されるため、球面軸受へ向けてオイルを常時供
給しながら、変速に伴ってトラニオンが回転した場合で
も、遠心力によって外周に流れたオイルが、突起部材と
リンクの当接位置を潤滑することが可能となって、トラ
ニオンとリンクの当接位置と球面軸受の潤滑を一つのオ
イル供給孔によって行うことができ、前記従来例に比し
て潤滑性能を向上させながらも製造コストの上昇を抑制
することができる。

【００１９】また、第３の発明は、オイル供給孔に面し
て配設された突起部は、オイル供給孔にノズルを形成す
るとともに、リンクと当接するように肩部から突設され
るため、ノズルを形成する部材と肩部から突出する部材
を一体に形成することで、部品点数及び加工工数を低減
して製造コストの上昇を抑制できる。

【００２０】また、第４の発明は、突起部がトラニオン
の肩部と一体に形成されるため、部品点数及び加工工数
を低減して製造コストの上昇を抑制することができる。

【００２１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を添付
図面に基づいて説明する。

【００２２】図１〜図４において、トロイド状の溝を対
向面に形成した一対の入出力ディスク（図示せず）で挟
持される一対のパワーローラ１Ｌ、１Ｒは、入出力ディ
スクの回転軸を挟んで配設された一対のトラニオン３、
３に基端を支持されたピボットシャフト２、２（偏心
軸）によって回転自在に軸支される。

【００２３】パワーローラ１Ｌ、１Ｒは、トラニオン
３、３の軸方向の変位に応じて傾転角を変更すること
で、任意の変速比を無段階に設定するものである。

【００２４】入出力ディスクの回転軸Ｃ₀と直交する平
面内で、この回転軸Ｃ₀を挟んだ左右に配設されたトラ
ニオン３、３は、上端部及び下端部に回転軸３ｚに沿っ
て回転軸部３ａ、３ｂを形成する一方、回転軸部３ａ、
３ｂの間には入出力ディスクの外周方向へ所定量だけオ
フセットしたオフセット部３ｃが形成され、ピボットシ
ャフト２はトラニオン３の回転軸と直交するようにオフ
セット部３ｃで基端側を支持される。

【００２５】トラニオン３の下端側の回転軸部３ｂは、
軸方向へ変位可能、かつ軸回りに回転可能な油圧シリン
ダ６のロッド６ｂを介してピストン６ａと結合してお
り、油圧シリンダ６への供給油圧に応じてトラニオン
３、３は図中上下方向の回転軸３ｚ方向へ変位するとと
もに、このトラニオン３、３の軸方向変位に伴って、パ
ワーローラ１Ｌ、１Ｒが傾転するため、トラニオン３は
回転軸３ｚまわりに回動する。

【００２６】一方、対向するトラニオン３、３の上端及
び下端側の回転軸部３ａ、３ｂは、入出力ディスクの回
転軸と直交する平面内で揺動自在なアッパーリンク４、
ロアリンク５を介して相互に連結され、これらアッパー
リンク４及びロアリンク５は、ピボットシャフト２、２
に取り付けられたパワーローラ１Ｌ、１Ｒからのスラス
ト力を支持する。

【００２７】アッパーリンク４、ロアリンク５の長手方
向の両端部及び中央部にはそれぞれ貫通孔が形成され
て、両端部側の貫通孔４Ｌ、４Ｒ及び５Ｌ、５Ｒでトラ
ニオン３、３の回転軸部３ａ、３ｂを挿通する一方、中
央部の貫通孔４Ｃ、５Ｃはケーシング１０側から入出
力ディスクの回転軸Ｃ₀へ向けて、それぞれ図中上下方
向へ突設されたリンク支持部材１２、１３と嵌合する。
なお、リンク支持部材１２、１３は、アッパーリンク４
及びロアリンク５を揺動自由に支持するため、貫通孔４
Ｃ、５Ｃの内周と接触する面を球面軸受で構成してい
る。

【００２８】ここで、左右の油圧シリンダ６、６がトラ
ニオン３、３を、相反する軸方向へ同期的に駆動する
と、アッパーリンク４、ロアリンク５はトラニオン３、
３の軸方向変位に応じて、リンク支持部材１２、１３を
支点にして、主に入出力ディスクの回転軸Ｃ₀と直交す
る平面内で揺動する。

【００２９】このため、回転軸部３ａ、３ｂと、アッパ
ーリンク４及びロアリンク５の両端部の貫通孔４Ｌ、４
Ｒ及び５Ｌ、５Ｒとの間には、球面軸受７とニードルベ
アリング８がそれぞれ介装され、トラニオン３に対する
アッパーリンク４及びロアリンク５の傾斜を許容する一
方、アッパーリンク４及びロアリンク５はトラニオン
３、３の径方向の変位を規制して、パワーローラ１Ｌ、
１Ｒに加わるスラスト力によって、トラニオン３の回転
軸３ｚ、３ｚが変位するのを防止する。

【００３０】トラニオン３の回転軸部３ａ、３ｂの外周
には、ニードルベアリング８が係合し、さらに、ニード
ルベアリング８の外周には球面軸受７の内周が係合し、
この球面軸受７の外周に形成した球面が、各貫通孔４
Ｌ、４Ｒ及び５Ｌ、５Ｒの内周と係合する。

【００３１】そして、図２、図３にも示すように、トラ
ニオン３がアッパーリンク４及びロアリンク５の下面４
０及び上面５０と対向するオフセット部３ｃの上下に
は、平面状の肩部３０、３０がそれぞれ形成され、この
肩部３０、３０にはアッパーリンク４及びロアリンク５
の下面４０及び上面５０と当接する突起部材３１、３１
がそれぞれ固設される。

【００３２】ここで、図１に示すように、トラニオン
３、３とアッパーリンク４、ロアリンク５が直交して、
パワーローラ１Ｌ、１Ｒの回転軸線Ｃ₂、Ｃ₂が入出力デ
ィスクの回転軸線Ｃ₀と一致するトロイダル型無段変速
機の中立状態のときに、肩部３０はアッパーリンク４及
びロアリンク５の下面４０及び上面５０と平行となる平
面で形成され、突起部材３１の突出高さは、この中立状
態のときに下面４０及び上面５０と肩部３０との間隙が
所定値以上となるように設定され、この所定値は、トラ
ニオン３、３が軸方向へ変位して、アッパーリンク４及
びロアリンク５が揺動した際に、下面４０及び上面５０
が突起部材３１以外で接触しないような値に設定され
る。

【００３３】そして、突起部材３１は、図４（Ｂ）にお
いて、ピボットシャフト２の回転軸線Ｃ₂の延長線上に
配設される。なお、図４（Ａ）では、トラニオン３の回
転軸３ｚ、３ｚを結ぶ軸線Ｃ₁とピボットシャフト２の
回転軸線Ｃ₂は平行となる。

【００３４】さらに、回転軸部３ａ外周と突起部材３１
の間の肩部３０には、球面軸受７及び突起部材３１とア
ッパーリンク４、ロアリンク５の当接位置へ向けてオイ
ルを供給するオイル供給孔としてのオリフィス１１Ａ、
１１Ａが開口形成される。なお、オリフィス１１Ａは回
転軸３ｚと突起部材３１を結ぶ線上で、突起部材３１に
近接して形成され、球面軸受７へオイルを噴射可能な位
置に開口形成される。

【００３５】このオリフィス１１Ａは、図２、図３に示
すように、トラニオン３のオフセット部３ｃ内部で回転
軸３ｚに沿って貫通形成した油路１１の両端内周に、所
定の間隙を形成するプラグ１４、１４を埋設したもの
で、この油路１１は回転軸部３ｂに形成した油路１５を
介して図示しないオイル供給回路と連通する。

【００３６】さらに、突起部材３１の肩部３０上の配設
位置は、図４（Ａ）に示すように、パワーローラ１Ｌ、
１Ｒが平行となる変速比が１のときに、トラニオン３、
３の回転軸３ｚ、３ｚを結ぶ軸線Ｃ₁上で突起部材３
１、３１がアッパーリンク４の下面４０とロアリンク５
の上面５０に当接するよう配設される。

【００３７】以上のように構成され、次に作用について
説明する。

【００３８】図１において、左右の油圧シリンダ６、６
を相反する方向へ駆動して、例えば、パワーローラ１Ｌ
を下降、パワーローラ１Ｒを上昇させるようトラニオン
３、３を駆動すると、図１が入力ディスク側から見た断
面とし、入力ディスクが図中時計回りに回転していると
仮定した場合、パワーローラ１Ｌ、１Ｒは変速比がＨｉ
側となるよう傾転する。

【００３９】この変速の際には、トラニオン３、３が相
反する軸方向へ変位しながら、パワーローラ１Ｌ、１Ｒ
の傾転に応じて軸回りに回動し、上記のようにトラニオ
ン３、３を駆動すると、図１において、アッパーリンク
４及びロアリンク５はリンク支持部材１２、１３を中心
にして反時計回りに揺動する。

【００４０】そして、アッパーリンク４及びロアリンク
５とトラニオン３、３の突起部材３１、３１との当接位
置は、変速比が１未満の場合、図４（Ｂ）のように、図
４（Ａ）の変速比＝１の位置からパワーローラ１Ｌ、１
Ｒの傾転に応じた角度θまで回動する。なお、この場合
では、アッパーリンク４の図中上方に入力ディスクが、
同じく図中下方に出力ディスクが配置されていることに
なる。

【００４１】ここで、前記従来例にも述べたように、パ
ワーローラ１Ｌ、１Ｒには入出力ディスクの狭持圧力に
よってスラスト力が図中矢印のように加わって、図４
（Ａ）のように、変速比＝１の場合には、対向するトラ
ニオン３、３の回転軸３ｚ、３ｚを結ぶ軸線Ｃ₁に沿っ
てアッパーリンク４の引っ張り方向へ作用する。

【００４２】この変速比＝１の場合では、前記従来例と
同様に、アッパーリンク４とトラニオン３、３の支点と
なる突起部材３１、３１は、ピボットシャフト２の回転
軸線Ｃ₂と平行する軸線Ｃ₁と同軸上に配置される。すな
わち、前記従来例と同様に、球面軸受７とアッパーリン
ク４に形成した貫通孔４Ｌ、４Ｒとの相対回転中心αは
突起部材３１、３１上に位置し、アッパーリンク４と球
面軸受７の相対回転中心αと、アッパーリンク４とトラ
ニオン３の接触位置が一致するため、トラニオン３の軸
方向の摩擦抵抗を低減することができる。

【００４３】一方、図４（Ｂ）のように、変速比＝１以
外の変速比で、トラニオン３、３に加わる力は、パワー
ローラ１Ｌ、１Ｒの傾転に応じてピボットシャフト２の
回転軸線Ｃ₂は、軸線Ｃ₁から角度θだけ傾くが、アッパ
ーリンク４の支点となる突起部材３１、３１もトラニオ
ン３、３と共に角度θだけ回転軸３ｚまわりに回動する
ため、アッパーリンク４とトラニオン３、３の当接位置
となる突起部材３１、３１は、常にトラニオン３、３に
働くスラスト力の延長線上、すなわち、ピボットシャフ
ト２の回転軸Ｃ₂の延長線上に位置する。

【００４４】したがって、変速比が変化した場合にも、
球面軸受７とアッパーリンク４に形成した貫通孔４Ｌ、
４Ｒとの相対回転中心αは突起部材３１、３１上に位置
するため、アッパーリンク４と球面軸受７の相対回転中
心αと、アッパーリンク４とトラニオン３の接触位置は
変速比にかかわらず常時一致して、すべての変速比にお
いてトラニオン３の軸方向の摩擦抵抗を低減することが
可能となって、前記従来例に比して変速制御特性を大幅
に向上させることができ、また、トラニオン３の駆動抵
抗を低減することで、変速の応答性を向上させることが
可能となるのである。

【００４５】なお、詳述はしないが、ロアリンク５につ
いても同様である。

【００４６】そして、トラニオン３の突起部３１、３１
とアッパーリンク４及びロアリンク５の当接位置の内周
側、すなわち、回転軸３ｚ側からは、常時オリフィス１
１Ａより球面軸受７及び突起部材３１とアッパーリンク
４及びロアリンク５の当接位置へ向けてオイルが供給さ
れており、変速に伴ってトラニオン３が回転すると、遠
心力によって外周に流れたオイルは、突起部材３１とア
ッパーリンク４の下面４０及びロアリンク５の上面５０
を潤滑することが可能となって、トラニオン３とアッパ
ーリンク４及びロアリンク５の当接位置と球面軸受７、
ニードルベアリング８の潤滑を一つのオリフィス１１Ａ
によって行うことができ、前記従来例に比して潤滑性能
を向上させながらも製造コストの上昇を抑制することが
できるのである。

【００４７】図５、図６は第２の実施形態を示し、前記
第１実施形態の突起部３１に代わって、油路１１の両端
の開口部でオリフィス１１Ａを形成する部材と、トラニ
オン３の肩部３０に突設されてアッパーリンク４及びロ
アリンク５と当接する突起部材を一体にしたもので、そ
の他の構成は前記第１実施形態と同様である。

【００４８】突起部材３２は球状の部材で形成されて、
肩部３０に開口した油路１１の一部を塞ぐように、油路
１１の両端の開口部に面して埋設されるとともに、前記
第１実施形態の突起部材と同様に、アッパーリンク４及
びロアリンク５の下面４０及び上面５０と当接するよう
肩部３０から所定量だけ突出する。

【００４９】ここで、突起部材３２は油路１１の開口部
をオリフィス１１Ａとして球面軸受７と対向する位置に
開口し、このオリフィス１１Ａは、アッパーリンク４及
びロアリンク５の当接位置よりも回転軸３ｚ側に配置さ
れる。

【００５０】この場合では、前記第１実施形態のよう
な、オリフィス１１Ａを形成するためだけのプラグ１４
を不要にしながら、前記第１実施形態と同様に、パワー
ローラ１Ｌ、１Ｒからのスラスト力を支持することがで
き、部品点数及び加工、組立工数を削減して、製造コス
トの低減を推進することが可能となる。

【００５１】図７、図８は第３の実施形態を示し、前記
第１実施形態の突起部材３１に代わって、トラニオン３
の肩部３０から凸部３ｄを突出させたもので、その他の
構成は前記第１実施形態と同様である。

【００５２】この場合では、アッパーリンク４及びロア
リンク５の下面４０及び上面５０と当接する凸部３ｄが
トラニオン３と一体に形成されるため、前記第１実施形
態に比して部品点数及び加工、組立工数を削減して、製
造コストの低減を推進することが可能となる。

【００５３】なお、上記実施形態において、肩部３０で
開口する油路１１の両端にオリフィス１１Ａを形成した
が、図示はしないが、ノズルやチョークで構成してもよ
い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態を示すトロイダル型無段変速
機の要部断面図。

【図２】同じくトラニオンの拡大断面図を示す。

【図３】同じくトラニオンの平面図を示す。

【図４】作用を示し、（Ａ）は変速比が１のときのアッ
パーリンクとトラニオンの平面図を、（Ｂ）は変速比が
Ｈｉ側またはＬｏ側のときのアッパーリンクとトラニオ
ンの平面図をそれぞれ示す。

【図５】第２の実施形態を示すリンク及びトラニオンの
拡大断面図。

【図６】同じくトラニオンの平面図を示す。

【図７】第３の実施形態を示すリンク及びトラニオンの
拡大断面図。

【図８】同じくトラニオンの平面図を示す。

【図９】従来のトロイダル型無段変速機のリンクとトラ
ニオンの連結関係を示す要部側面図。

【図１０】同じく従来例の作用を示し、（Ａ）は変速比
が１のときのアッパーリンクとトラニオンの平面図を、
（Ｂ）は変速比がＨｉ側またはＬｏ側のときのアッパー
リンクとトラニオンの平面図をそれぞれ示す。

【図１１】同じく従来例の作用を示し、（Ａ）は変速比
が１のときのアッパーリンクとトラニオンの断面図を、
（Ｂ）は変速比がＨｉ側またはＬｏ側のときのアッパー
リンクとトラニオンの断面図をそれぞれ示す。

【符号の説明】

１パワーローラ２ピボットシャフト３トラニオン３ａ、３ｂ回転軸部３ｃオフセット部３ｄ凸部３ｚ回転軸４アッパーリンク５ロアリンク６油圧シリンダ７球面軸受８ニードルベアリング１０ケーシング１１油路１１Ａオリフィス１２、１３リンク支持部材１４プラグ３０肩部３１突起部材

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】相互に対向する面にトロイド状の溝を形
成するとともに、同軸的に配設された入力ディスク及び
出力ディスクと、前記入力及び出力ディスクの回転軸に
対して直交する平面内に配設され、軸方向及び軸回りに
変位可能な一対のトラニオンと、前記一対のトラニオン
を相反する軸方向へそれぞれ駆動するアクチュエータ
と、前記トラニオンの両端部に形成された回転軸部と、
前記トラニオンの回転軸部の間で回転軸から所定量だけ
オフセットしたオフセット部と、前記入力ディスク及び
出力ディスクとの対向面に挟持されるとともに、前記一
対のトラニオンのそれぞれのオフセット部に固設された
偏心軸に軸支されて回転自在な一対のパワーローラと、
両端部に形成した貫通孔を介して一対のトラニオンの回
転軸部を連結するとともに、ケーシングに固設された支
持部材でほぼ中央部を揺動自在に支持されたリンクと、
前記回転軸部と前記リンクの貫通孔との間に介装され
て、リンクとトラニオンの相対的な揺動を許容する一
方、前記回転軸部の径方向へのトラニオンの変位を規制
する球面軸受とを備えたトロイダル型無段変速機におい
て、前記リンクと対向する肩部には、リンクが揺動した場合
にも常時リンクと当接可能かつ、前記偏心軸の回転軸長
上に配設された突起部を設けたことを特徴とするトロイ
ダル型無段変速機。
【請求項２】前記突起部と回転軸部との間の肩部に
は、前記球面軸受及びリンクと突起部の当接位置へ向け
てオイルを供給するオイル供給孔を開口したことを特徴
とする請求項１に記載のトロイダル型無段変速機。
【請求項３】前記突起部は、オイル供給孔に面して配
設されるとともに、突起部がこのオイル供給孔にノズル
を形成するよう配設されたことを特徴とする請求項２に
記載のトロイダル型無段変速機。
【請求項４】前記突起部は、トラニオンの肩部と一体
に形成されたことを特徴とする請求項１に記載のトロイ
ダル型無段変速機。