JPH10203819A - SiO2を主成分とする酸化物皮膜およびその製造方法 - Google Patents

SiO2を主成分とする酸化物皮膜およびその製造方法

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JPH10203819A
JPH10203819A JP834497A JP834497A JPH10203819A JP H10203819 A JPH10203819 A JP H10203819A JP 834497 A JP834497 A JP 834497A JP 834497 A JP834497 A JP 834497A JP H10203819 A JPH10203819 A JP H10203819A
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明 橋本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 緻密な皮膜と凹凸を有する皮膜との長所を合
わせ持った酸化物皮膜を提供する。 【解決手段】 SiO2 を主成分とするとともに、ゾル
−ゲル法により形成された酸化物皮膜1である。緻密層
2上に凹凸層3を一体に形成する。凹凸層3の表面全体
に微細な凹凸を形成して粗面化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、金属、ガラス等
の種々の材質の基材の表面に形成されるSiO2を主成
分とする酸化物皮膜およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】金属アル
コキシドの加水分解およびその後の縮合重合により得ら
れるゾルを基材に塗布し、ついで乾燥させることにより
得られたゲル膜を焼成して酸化物皮膜を形成するゾル−
ゲル法によって、表面が平滑で内部が緻密な皮膜や表面
に凹凸を持った薄膜が作製できることが知られている。
【0003】表面が平滑で内部が緻密な皮膜の場合、基
材の腐食や、基材への液体の浸透という問題が生じるこ
とは少ないが、皮膜表面にさらにフッ化炭素鎖を持つシ
ランカップリング剤等をコーティングしても超はっ水性
を得ることはできず、しかも平滑な皮膜表面に樹脂など
の塗装を施す場合、良好な塗膜の密着性が得られないと
いう問題がある。一方、既存のゾル−ゲル法により作製
した凹凸を持った薄膜の場合、基材の腐食や、基材への
液体の浸透の防止には十分な効果が得られず、また、こ
の皮膜上に表面の凹凸を損なわないように薄くはっ水コ
ーティングを施した場合、比較的耐久性に優れたはっ水
膜が得られるものの、超はっ水性が得られるほどの膜表
面の凹凸による形状効果はないという問題がある。
【0004】この発明の目的は、上記問題を解決し、緻
密な皮膜と凹凸を持った皮膜との長所を合わせ持った酸
化物皮膜およびその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段と発明の効果】この発明に
よる酸化物皮膜は、SiO2 を主成分とするとともに、
ゾル−ゲル法により形成されており、緻密層上に凹凸層
が一体に形成され、凹凸層の表面全体に微細な凹凸が形
成されて粗面化されているものである。
【0006】この発明の酸化物皮膜によれば、SiO2
を主成分とするとともに、ゾル−ゲル法により形成され
ており、緻密層上に凹凸層が一体に形成され、凹凸層の
表面全体に微細な凹凸が形成されて粗面化されているの
で、緻密層の働きにより、この酸化物皮膜が形成された
基材の腐食や基材への液体の浸透を防止することができ
る。また、凹凸層の働きにより、皮膜表面に凹凸層の形
状を損なわないように薄くはっ水コートすることによっ
て超はっ水性を得ることができ、しかも凹凸皮膜表面に
塗膜を施す場合、塗膜の密着性が優れたものとなる。
【0007】上記酸化物皮膜において、膜厚が0.1〜
10μmであることが好ましい。
【0008】また、上記酸化物皮膜において、凹凸層の
表面粗さが最大高さRmax で0.03〜3μmであり、
凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の凸部ま
での間隔が0.03〜10μmとなされていることが好
ましい。また、上記凹凸層の表面に、微細な凹凸に加
え、さらに相当直径0.03〜10μm、深さ0.03
〜3μmの孔が形成され、この孔の周面および底面全体
にも微細な凹凸が形成されて粗面化されており、孔の周
面および底面の表面粗さが最大高さRmax で0.01〜
1μmであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から
最近接の凸部までの間隔が0.01〜1μmとなされて
いることが好ましい。ここで、相当直径とは、孔の横断
面積と等しい面積を有する円の直径を意味する。
【0009】この発明による酸化物皮膜の製造方法は、
1 nSi(OR2 4-n (但し式中R1 はアルキル
基、フェニル基等の疎水基、あるいはアルキル基等のC
−H結合の一部がC−F結合に置換されたものであり、
2 はアルキル基であり、n=1、2である。)と、溶
媒と、水と、酸触媒とよりなる液組成物に、酸化物粒子
を混ぜ合わせたものを攪拌することにより得たゾルを基
材に塗布して乾燥させることによりゲル膜を作製し、そ
の後焼成することを特徴とするものである。
【0010】上記において、アルキル基等のC−H結合
の一部がC−F結合に置換されたものの具体例として
は、たとえばCF3 (CF2 n CH2 CH2 Si(O
CH33 、CF3 (CF2 n CH2 CH2 Si(C
3 )(OCH3 2 (但し両式中n=0、1、2、
3、4…である。)等のフルオロアルキルアルコキシシ
ランが挙げられる。
【0011】上記において、溶媒としては、イソプロパ
ノール、エタノール、メタノール等の低級アルコールが
単独でもしくは混合して用いられ、またはこれらにブタ
ノールや、ブタノールより炭素数の多いアルコールを適
量添加して用いられる。あるいは、これらにエーテル、
ケトン、アミド等の有機溶媒が添加される場合もある。
【0012】上記において、酸化物粒子としては、Si
2 、TiO2 等の表面に−OH基を有するもの、ある
いはカップリング剤で表面修飾したものが用いられ、そ
の粒径は5nm〜2μmであることが好ましい。酸化物
粒子は、R1 nSi(OR24-n が加水分解し、縮合
重合した生成物と結合し、表面が疎水基で覆われる。
【0013】上記において、液組成物には、さらに微量
のSi(OR2 4 やR3 nSi(OR2 4-n (但し
式中R2 はアルキル基であり、R3 は末端に親水基を有
するH2 N(CH2 3 等の置換基であり、n=1、2
である。)を添加しておいてもよい。その添加量は適宜
変更されるが、Si(OR2 4 がテトラエトキシシラ
ンの場合、R1 nSi(OR2 4-n がメチルトリエト
キシシランであれば、テトラエトキシシランのメチルト
リエトキシシランに対する混合比は、モル比でx:(1
−x)(但し0<x≦0.3)である。
【0014】この発明の酸化物皮膜の製造方法によれ
ば、固体として残る成分、すなわちR1 nSi(O
2 4-n が加水分解し、縮合重合した生成物および表
面がR1 nSi(OR2 4-n からの疎水基を持つ生成
物で覆われた酸化物粒子と水とが膜乾燥時にはじき合う
ことにより、SiO2 を主成分とするとともに、緻密層
上に凹凸層が一体に形成されている酸化物皮膜が1回の
工程で形成される。
【0015】上記方法において、R1 nSi(OR2
4-n と、溶媒と、水と、酸触媒との混合比は、好ましく
はモル比で1:1〜20:1〜20:0.00001〜
0.3である。
【0016】また、上記方法において、原料全体中の酸
化物粒子の量は40wt%以下が好ましい。40wt%
を越えると、酸化物粒子を液組成物中に分散できなくな
るおそれがある。
【0017】さらに、上記方法において、酸化物粒子が
SiO2 からなることが好ましい。この場合、製造され
る酸化物皮膜が無色透明となり、この皮膜上に表面の凹
凸を損なわないようにさらにフッ化炭素鎖を持つシラン
カップリング剤等ではっ水コートすることにより、たと
えば自動車のフロントガラスに適用した場合、充分な視
界を確保した上で、超はっ水性を得ることができ、極め
て好都合である。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を、
図面を参照して説明する。
【0019】図1はこの発明による酸化物皮膜の1実施
形態を示す。図1において、酸化物皮膜(1) は、SiO
2 を主成分とするとともに、ゾル−ゲル法により形成さ
れており、緻密層(2) 上に凹凸層(3) が一体に形成され
ているものである。凹凸層(3) の表面全体に微細な凹凸
が形成されて粗面化されている。
【0020】酸化物皮膜(1) の膜厚(T)は、0.1〜
10μmである。凹凸層(3) の表面粗さは最大高さR
max で0.03〜3μmであり、凹部(4) から最近接の
凹部(4) あるいは凸部(5) から最近接の凸部(5) までの
間隔(W) が0.03〜10μmとなされている。
【0021】図2はこの発明による酸化物皮膜の他の実
施形態を示す。図2において、酸化物皮膜(10)は、図1
と同様な酸化物皮膜(1) における凹凸層(3) の表面に、
微細な凹凸に加え、さらに相当直径(D)0.03〜1
0μm、深さ(S)0.03〜3μmの孔(11)が形成さ
れたものである。この孔(11)の周面および底面全体にも
微細な凹凸が形成されて粗面化されており、孔(11)の周
面および底面の表面粗さは最大高さRmax で0.01〜
1μmであり、凹部(12)から最近接の凹部(12)あるいは
凸部(13)から最近接の凸部(13)までの間隔(W1)が0.0
1〜1μmとなされている。
【0022】図1および図2に見られる酸化物皮膜(1)
(10) の製造方法は、R1 nSi(OR2 4-n (但し
式中R1 はアルキル基、フェニル基等の疎水基、あるい
はアルキル基等のC−H結合の一部がC−F結合に置換
されたものであり、R2 はアルキル基であり、n=1、
2である。)と、溶媒と、水と、酸触媒とよりなる液組
成物に、酸化物粒子を混ぜ合わせたものを攪拌すること
により得たゾルを基材に塗布する工程と、機材に塗布し
たゾルを乾燥させゲル膜を形成する工程と、ゲル膜を焼
成する工程とを含む。
【0023】ここで、液組成物におけるR1 nSi(O
2 4-n と、溶媒と、水と、酸触媒との混合比は、モ
ル比で1:1〜20:1〜20:0.00001〜0.
3であることが好ましく、原料全体中の酸化物微粒子の
量は40wt%であることが好ましい。
【0024】ゾルの基材への塗布は、ディッピング、ス
プレーコティング、スピン等により行う。スピンとは、
基材表面にゾルを滴下した後、遠心力により塗布する方
法である。
【0025】ゲル膜の焼成は70〜800℃で30秒〜
10分間加熱することにより行う。
【0026】なお、製造された酸化物皮膜に化学的、機
械的耐久性を持たせるために、180℃以上で熱処理す
ることが好ましい。
【0027】
【実施例と比較例】以下、この発明の具体的実施例を比
較例とともに説明する。
【0028】実施例1 メチルトリエトキシシランと、溶媒であるエタノールお
よび2−プロパノールと、水と、塩酸と、2−プロパノ
ールに分散させた粒径0.01〜0.02μmのSiO
2 粒子を原料として用意した。なお、SiO2 粒子を分
散させている2−プロパノールは溶媒の一部として用い
た。メチルトリエトキシシラン、溶媒(エタノール、2
−プロパノールのモル比が1:1)、水、塩酸のモル比
が1:5:4:0.005、粒子濃度が10wt%とな
るように原料を混合し、メチルトリエトキシシランを加
水分解、縮合重合させることによりゾルを得た。つい
で、このゾル中にアルミニウム板およびガラス板を浸漬
し、2mm/秒の引き上げ速度で引き上げ、乾燥させた
後、400℃で5分間焼成し、アルミニウム板およびガ
ラス板の表面に酸化物皮膜を形成した。
【0029】アルミニウム板の表面に形成された酸化物
皮膜をSEMにより観察したところ、膜厚は0.8μm
であり、緻密層上に、表面全体に微細な凹凸が形成され
て粗面化された凹凸層が一体に形成されていた。凹凸層
の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜0.1μmで
あり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の
凸部までの間隔は0.03〜0.1μmであった。さら
に、凹凸層の表面に、微細な凹凸に加えて相当直径0.
05〜0.1μm、深さ0.05〜0.1μmの孔が5
×109 個/cm2 以上形成されていた。この孔の周面
および底面全体にも微細な凹凸が形成されて粗面化され
ており、孔の周面および底面の表面粗さは最大高さR
max で0.03〜0.05μmであり、凹部から最近接
の凹部あるいは凸部から最近接の凸部までの間隔は0.
03〜0.05μmであった。
【0030】また、表面に酸化物皮膜が形成されたガラ
ス板の透過率を、測定波長域400〜700nmで測定
したところ、90〜92%であった。なお、用いたガラ
ス板自体の透過率は測定波長域400〜700nmで9
0〜91%である。
【0031】実施例2 ゾル中にアルミニウム板およびガラス板を浸漬した後、
アルミニウム板およびガラス板を引き上げるさいの引上
げ速度を20mm/秒とした他は、上記実施例1と同様
にしてアルミニウム板およびガラス板の表面に酸化物皮
膜を形成した。
【0032】アルミニウム板の表面に形成された酸化物
皮膜をSEMにより観察したところ、膜厚は2.6μm
であり、緻密層上に、表面全体に微細な凹凸が形成され
て粗面化された凹凸層が一体に形成されていた。凹凸層
の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜0.1μmで
あり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の
凸部までの間隔は0.03〜0.1μmであった。さら
に、凹凸層の表面に、微細な凹凸に加えて相当直径0.
2〜0.5μm、深さ0.2〜0.5μmの孔が3.8
×107 個/cm2 、相当直径0.05〜0.1μm、
深さ0.05〜0.1μmの孔が5×109 個/cm2
以上形成されていた。これらの孔の周面および底面全体
にも微細な凹凸が形成されて粗面化されており、孔の周
面および底面の表面粗さは最大高さRmax で0.03〜
0.1μmであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部
から最近接の凸部までの間隔は0.03〜0.1μmで
あった。
【0033】また、表面に酸化物皮膜が形成されたガラ
ス板の透過率を、測定波長域400〜700nmで測定
したところ、83〜91%であった。
【0034】実施例3 液組成物中の溶媒として、2−プロパノールを単独で用
いた他は、上記実施例1と同様にしてアルミニウム板お
よびガラス板の表面に酸化物皮膜を形成した。
【0035】アルミニウム板の表面に形成された酸化物
皮膜をSEMにより観察したところ、膜厚は0.6μm
であり、緻密層上に、表面全体に微細な凹凸が形成され
て粗面化された凹凸層が一体に形成されていた。凹凸層
の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜0.1μmで
あり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の
凸部までの間隔は0.03〜0.1μmであった。さら
に、凹凸層の表面に、微細な凹凸に加えて相当直径0.
05〜0.1μm、深さ0.05〜0.1μmの孔が5
×109 個/cm2 以上形成されており、この孔の周面
および底面全体にも微細な凹凸が形成されて粗面化され
ており、孔の周面および底面の表面粗さは最大高さR
max で0.03〜0.05μmであり、凹部から最近接
の凹部あるいは凸部から最近接の凸部までの間隔は0.
03〜0.05μmであった。
【0036】また、表面に酸化物皮膜が形成されたガラ
ス板の透過率を、測定波長域400〜700nmで測定
したところ、91〜93%であった。
【0037】実施例4 ゾル中にアルミニウム板およびガラス板を浸漬した後、
アルミニウム板およびガラス板を引き上げるさいの引上
げ速度を5mm/秒とした他は、上記実施例3と同様に
してアルミニウム板およびガラス板の表面に酸化物皮膜
を製造した。
【0038】アルミニウム板の表面に形成された酸化物
皮膜をSEMにより観察したところ、膜厚は1.3μm
であり、緻密層上に、表面全体に微細な凹凸が形成され
て粗面化された凹凸層が一体に形成されていた。凹凸層
の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜0.1μmで
あり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の
凸部までの間隔は0.03〜0.1μmであった。さら
に、凹凸層の表面に、微細な凹凸に加えて相当直径0.
1〜0.2μm、深さ0.1〜0.2μmの孔が1.8
×108 個/cm2 、相当直径0.05〜0.1μm、
深さ0.05〜0.1μmの孔が5×109 個/cm2
以上形成されていた。これら孔の周面および底面全体に
も微細な凹凸が形成されて粗面化されており、孔の周面
および底面の表面粗さは最大高さRmax で0.03〜
0.07μmであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸
部から最近接の凸部までの間隔は0.03〜0.07μ
mであった。
【0039】また、表面に酸化物皮膜が形成されたガラ
ス板の透過率を、測定波長域400〜700nmで測定
したところ、92〜93%であった。
【0040】実施例5 ゾル中にアルミニウム板およびガラス板を浸漬した後、
アルミニウム板およびガラス板を引き上げるさいの引上
げ速度を20mm/秒とした他は、上記実施例3と同様
にしてアルミニウム板およびガラス板の表面に酸化物皮
膜を形成した。
【0041】アルミニウム板の表面に形成された酸化物
皮膜をSEMにより観察したところ、膜厚は2.8μm
であり、緻密層上に、表面全体に微細な凹凸が形成され
て粗面化された凹凸層が一体に形成されていた。凹凸層
の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜0.1μmで
あり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の
凸部までの間隔は0.03〜0.1μmであった。さら
に、凹凸層の表面に、微細な凹凸に加えて相当直径0.
2〜0.5μm、深さ0.2〜0.5μmの孔が1.1
×108 個/cm2 、相当直径0.05〜0.1μm、
深さ0.05〜0.1μmの孔が5×109 個/cm2
以上形成されていた。これら孔の周面および底面全体に
も微細な凹凸が形成されて粗面化されており、孔の周面
および底面の表面粗さは最大高さRmax で0.03〜
0.1μmであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部
から最近接の凸部までの間隔は0.03〜0.1μmで
あった。
【0042】また、表面に酸化物皮膜が形成されたガラ
ス板の透過率を、測定波長域400〜700nmで測定
したところ、86〜91%であった。
【0043】実施例6 液組成物中の溶媒として、1−ブタノールと2−プロパ
ノールとをモル比で48:52となるように混合したも
のを用いた他は、上記実施例1と同様にしてアルミニウ
ム板およびガラス板の表面に酸化物皮膜を製造した。
【0044】アルミニウム板の表面に形成された金属酸
化物皮膜をSEMにより観察したところ、膜厚は0.8
μmであり、緻密層上に、表面全体に微細な凹凸が形成
されて粗面化された凹凸層が一体に形成されていた。凹
凸層の表面粗さは最大高さRmax で0.03〜0.1μ
mであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近
接の凸部までの間隔は0.03〜0.1μmであった。
【0045】また、表面に酸化物皮膜が形成されたガラ
ス板の透過率を、測定波長域400〜700nmで測定
したところ、90〜93%であった。
【0046】実施例7 ゾル中にアルミニウム板およびガラス板を浸漬した後、
アルミニウム板およびガラス板を引き上げるさいの引上
げ速度を20mm/秒とした他は、上記実施例6と同様
にしてアルミニウム板およびガラス板の表面に酸化物皮
膜を製造した。
【0047】アルミニウム板の表面に形成された金属酸
化物皮膜をSEMにより観察したところ、膜厚は2.4
μmであり、緻密層上に、表面全体に微細な凹凸が形成
されて粗面化された凹凸層が一体に形成されていた。凹
凸層の表面粗さは最大高さRmax で0.03〜0.1μ
mであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近
接の凸部までの間隔は0.03〜0.1μmであった。
【0048】また、表面に酸化物皮膜が形成されたガラ
ス板の透過率を、測定波長域400〜700nmで測定
したところ、92〜93%であった。
【0049】比較例1 メチルトリエトキシシランと、テトラエトキシシラン
と、2−プロパノールと、水と、塩酸と、2−プロパノ
ールに分散させた粒径0.01〜0.02μmのSiO
2 粒子を原料として用意した。なお、SiO2 粒子を分
散させている2−プロパノールは溶媒の一部として用い
た。メチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、2−プロパノール、水、塩酸のモル比が0.5:
0.5:5:4:0.005、粒子濃度が10wt%と
なるように原料を混合し、メチルトリエトキシシランお
よびテトラエトキシシランを加水分解、縮合重合させる
ことによりゾルを得た。ついで、このゾル中にアルミニ
ウム板およびガラス板を浸漬し、5mm/秒の引き上げ
速度で引き上げ、乾燥させた後、400℃で5分間焼成
し、アルミニウム板およびガラス板の表面に酸化物皮膜
を形成した。
【0050】アルミニウム板の表面に形成された酸化物
皮膜をSEMにより観察したところ、膜厚は1.5μm
であった。皮膜表面には相当直径0.05〜0.15μ
m、深さ0.05〜0.15μmの孔が2.8×107
個/cm2 形成されていたが、実施例1〜7に見られる
ような微細な凹凸は存在しなかった。
【0051】また、表面に酸化物皮膜が形成されたガラ
ス板の透過率を、測定波長域400〜700nmで測定
したところ、91〜93%であった。
【0052】比較例2 メチルトリエトキシシランと、2−プロパノールと、水
と、塩酸とよりなり、かつ各成分の量がモル比で1:
5:4:0.005である液組成物を用意した。そし
て、この液組成物を混合し、メチルトリエトキシシラン
の加水分解、縮合重合によりゾルを得た。ついで、この
ゾル中にアルミニウム板およびガラス板を浸漬し、5m
m/秒の引き上げ速度で引き上げ、乾燥させた後、40
0℃で5分間焼成し、アルミニウム板およびガラス板の
表面に酸化物皮膜を形成した。
【0053】アルミニウム板の表面に形成された酸化物
皮膜を観察したところ、膜厚は0.7μmであった。ま
た、皮膜全体が緻密であって、表面は全体に平滑であっ
た。
【0054】また、表面に酸化物皮膜が形成されたガラ
ス板の透過率を、測定波長域400〜700nmで測定
したところ、91〜93%であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による酸化物皮膜の1実施形態を示す
一部切欠き拡大斜視図である。
【図2】この発明による酸化物皮膜の他の実施形態を示
す一部切欠き拡大斜視図である。
【符号の説明】
(1)(10) :酸化物皮膜 (2) :緻密層 (3) :凹凸層
フロントページの続き (72)発明者 多田 清志 堺市海山町6丁224番地 昭和アルミニウ ム株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SiO2 を主成分とするとともに、ゾル
    −ゲル法により形成されており、緻密層上に凹凸層が一
    体に形成され、凹凸層の表面全体に微細な凹凸が形成さ
    れて粗面化されている酸化物皮膜。
  2. 【請求項2】 膜厚が0.1〜10μmである請求項1
    記載の酸化物皮膜。
  3. 【請求項3】 凹凸層の表面粗さが最大高さRmax
    0.03〜3μmであり、凹部から最近接の凹部あるい
    は凸部から最近接の凸部までの間隔が0.03〜10μ
    mとなされている請求項1または2記載の酸化物皮膜。
  4. 【請求項4】 凹凸層の表面に、微細な凹凸に加え、さ
    らに相当直径0.03〜10μm、深さ0.03〜3μ
    mの孔が形成され、この孔の周面および底面全体にも微
    細な凹凸が形成されて粗面化されており、孔の周面およ
    び底面の表面粗さが最大高さRmax で0.01〜1μm
    であり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接
    の凸部までの間隔が0.01〜1μmとなされている請
    求項1、2または3記載の酸化物皮膜。
  5. 【請求項5】 R1 nSi(OR2 4-n (但し式中R
    1 はアルキル基、フェニル基等の疎水基、あるいはアル
    キル基等のC−H結合の一部がC−F結合に置換された
    ものであり、R2 はアルキル基であり、n=1、2であ
    る。)と、溶媒と、水と、酸触媒とよりなる液組成物
    に、酸化物粒子を混ぜ合わせたものを攪拌することによ
    り得たゾルを基材に塗布して乾燥させることによりゲル
    膜とし、その後焼成することを特徴とする酸化物皮膜の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 R1 nSi(OR2 4-n と、溶媒と、
    水と、酸触媒との混合比が、モル比で1:1〜20:1
    〜20:0.00001〜0.3である請求項5記載の
    酸化物皮膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 原料全体中の酸化物粒子の量が40wt
    %以下である請求項5または6記載の酸化物皮膜の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 酸化物粒子がSiO2 からなる請求項
    5、6または7記載の酸化物皮膜の製造方法。
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JP2010502554A (ja) * 2006-09-07 2010-01-28 デグサ ノヴァラ テクノロジー ソチエタ ペル アツィオーニ ゾル−ゲル法
JP2010077021A (ja) * 2009-11-30 2010-04-08 Mitsubishi Chemicals Corp 多孔性シリカ膜、それを有する積層基板、それらの製造方法およびエレクトロルミネッセンス素子

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