JP3364672B2 - SiO2を主成分とする酸化物皮膜の製造方法 - Google Patents

SiO2を主成分とする酸化物皮膜の製造方法

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JP3364672B2
JP3364672B2 JP00834497A JP834497A JP3364672B2 JP 3364672 B2 JP3364672 B2 JP 3364672B2 JP 00834497 A JP00834497 A JP 00834497A JP 834497 A JP834497 A JP 834497A JP 3364672 B2 JP3364672 B2 JP 3364672B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、金属、ガラス等
の種々の材質の基材の表面に形成されるSiOを主成
分とする酸化物皮膜の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術と発明が解決しようとする課題】金属アル
コキシドの加水分解およびその後の縮合重合により得ら
れるゾルを基材に塗布し、ついで乾燥させることにより
得られたゲル膜を焼成して酸化物皮膜を形成するゾル−
ゲル法によって、表面が平滑で内部が緻密な皮膜や表面
に凹凸を持った薄膜が作製できることが知られている。 【0003】表面が平滑で内部が緻密な皮膜の場合、基
材の腐食や、基材への液体の浸透という問題が生じるこ
とは少ないが、皮膜表面にさらにフッ化炭素鎖を持つシ
ランカップリング剤等をコーティングしても超はっ水性
を得ることはできず、しかも平滑な皮膜表面に樹脂など
の塗装を施す場合、良好な塗膜の密着性が得られないと
いう問題がある。一方、既存のゾル−ゲル法により作製
した凹凸を持った薄膜の場合、基材の腐食や、基材への
液体の浸透の防止には十分な効果が得られず、また、こ
の皮膜上に表面の凹凸を損なわないように薄くはっ水コ
ーティングを施した場合、比較的耐久性に優れたはっ水
膜が得られるものの、超はっ水性が得られるほどの膜表
面の凹凸による形状効果はないという問題がある。 【0004】この発明の目的は、上記問題を解決し、緻
密な皮膜と凹凸を持った皮膜との長所を合わせ持った酸
化物皮膜の製造方法を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段と発明の効果】この発明に
よるSiOを主成分とする酸化物皮膜の製造方法は、
SiOを主成分とするとともに、ゾル−ゲル法により
形成されており、緻密層上に凹凸層が一体に形成され、
凹凸層の表面全体に微細な凹凸が形成されて粗面化され
ている酸化物皮膜の製造方法であって、RnSi(O
4−n(但し、式中、Rはアルキル基、フェニ
ル基の疎水基、あるいはアルキル基のC−H結合の一部
がC−F結合に置換されたものであり、Rはアルキル
基であり、n=1、2である)と、イソプロパノール、
エタノール、メタノールの低級アルコールが単独でもし
くは混合して用いられるか、またはこれらにブタノール
を適量添加して用いられる溶媒と、水と、酸触媒とを、
これらの混合比が、モル比で1:1〜20:1〜20:
0.00001〜0.3とした液組成物に、SiO
子を40wt%以下混ぜ合わせたものを攪拌することに
より得たゾルを、金属またはガラスよりなる基材に塗布
して乾燥させることによりゲル膜とし、その後、焼成す
ることにより、 nSi(OR 4−n が加水分解
し、縮合重合した生成物および表面がR nSi(OR
4−n からの疎水基を持つ生成物で覆われた酸化物
粒子と水とが膜乾燥時にはじき合うことにより、SiO
を主成分とするとともに、緻密層上に凹凸層が一体に
形成されている酸化物皮膜を形成し、該酸化物皮膜は、
その膜厚が0.6〜2.8μmであり、凹凸層の表面粗
さが最大高さRmaxで0.03〜0.1μmであり、凹
部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の凸部まで
の間隔が0.03〜0.1μmとなされており、凹凸層
の表面に、微細な凹凸に加え、さらに相当直径0.03
〜0.5μm、深さ0.03〜0.5μmの孔が形成さ
れ、この孔の周面および底面全体にも微細な凹凸が形成
されて粗面化されており、孔の周面および底面の表面粗
さが最大高さRmaxで0.03〜0.1μmであり、凹
部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の凸部まで
の間隔が0.03〜0.1μmとなされていることを特
徴としている。 【0006】ここで、相当直径とは、孔の横断面積と等
しい面積を有する円の直径を意味する。 【0007】なお、後述する実施例に示されるように、
アルミニウム板およびガラス板へのゾルの塗布を、ゾル
中にアルミニウム板およびガラス板を浸漬して行なう場
合、アルミニウム板およびガラス板の引き上げ速度によ
って、SiOを主成分とする酸化物皮膜の膜厚が異な
っており、かつ膜厚の厚さによって、酸化物皮膜の表面
全体に形成された微細な凹凸層の表面にさらに形成され
る孔の大きさ、およびこの孔の周面および底面全体に形
成される微細な凹凸による孔周面および底面の表面粗さ
が異なっている。 【0008】例えば、ゾル中にアルミニウム板およびガ
ラス板を浸漬し、2mm/秒の引き上げ速度で引き上
げ、乾燥後に、焼成し、アルミニウム板およびガラス板
の表面に形成された酸化物皮膜の膜厚は0.8μmであ
り、緻密層上に、表面全体に微細な凹凸が形成されて粗
面化された凹凸層が一体に形成され、凹凸層の表面粗さ
は最大高さRmaxで0.03〜0.1μmであり、凹部
から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の凸部までの
間隔は0.03〜0.1μmであり、さらに、凹凸層の
表面に、微細な凹凸に加えて相当直径0.05〜0.1
μm、深さ0.05〜0.1μmの孔が形成され、この
孔の周面および底面全体にも微細な凹凸が形成されて粗
面化され、孔の周面および底面の表面粗さは最大高さR
maxで0.03〜0.05μmであり、凹部から最近接
の凹部あるいは凸部から最近接の凸部までの間隔は0.
03〜0.05μmである(実施例1と3参照)。 【0009】また、ゾル中にアルミニウム板およびガラ
ス板を浸漬し、20mm/秒の引き上げ速度で引き上
げ、乾燥後に、焼成し、アルミニウム板およびガラス板
の表面に形成された酸化物皮膜の膜厚は2.6μm、あ
るいは2.8μmであり、緻密層上に、表面全体に微細
な凹凸が形成されて粗面化された凹凸層が一体に形成さ
れ、凹凸層の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜
0.1μmであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部
から最近接の凸部までの間隔は0.03〜0.1μmで
あり、さらに、凹凸層の表面に、微細な凹凸に加えて相
当直径0.2〜0.5μm、深さ0.2〜0.5μmの
孔が形成され、これらの孔の周面および底面全体にも微
細な凹凸が形成されて粗面化されており、孔の周面およ
び底面の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜0.1
μmであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最
近接の凸部までの間隔は0.03〜0.1μmである
(実施例2と5参照)。 【0010】ゾル中にアルミニウム板およびガラス板を
浸漬し、5mm/秒の引き上げ速度で引き上げ、乾燥後
に、焼成し、アルミニウム板およびガラス板の表面に形
成された酸化物皮膜の膜厚は1.3μmであり、緻密層
上に、表面全体に微細な凹凸が形成されて粗面化された
凹凸層が一体に形成され、凹凸層の表面粗さは最大高さ
Rmaxで0.03〜0.1μmであり、凹部から最近接
の凹部あるいは凸部から最近接の凸部までの間隔は0.
03〜0.1μmであり、さらに、凹凸層の表面に、微
細な凹凸に加えて相当直径0.1〜0.2μm、深さ
0.1〜0.2μmの孔が形成され、これら孔の周面お
よび底面全体にも微細な凹凸が形成されて粗面化されて
おり、孔の周面および底面の表面粗さは最大高さRmax
で0.03〜0.07μmであり、凹部から最近接の凹
部あるいは凸部から最近接の凸部までの間隔は0.03
〜0.07μmである(実施例4参照)。 【0011】この発明の方法により製造された酸化物皮
膜によれば、ゾル−ゲル法により、 nSi(O
4−n が加水分解し、縮合重合した生成物および
表面がR nSi(OR 4−n からの疎水基を持つ
生成物で覆われた酸化物粒子と水とが膜乾燥時にはじき
合うことにより、SiOを主成分とするとともに、緻
密層上に凹凸層が一体に形成されている酸化物皮膜を形
し、凹凸層の表面全体に微細な凹凸が形成されて粗面
化されているので、緻密層の働きにより、この酸化物皮
膜が形成された基材の腐食や基材への液体の浸透を防止
することができる。また、凹凸層の働きにより、皮膜表
面に凹凸層の形状を損なわないように薄くはっ水コート
することによって超はっ水性を得ることができ、しかも
凹凸皮膜表面に塗膜を施す場合、塗膜の密着性が優れた
ものとなる。 【0012】上記において、アルキル基のC−H結合の
一部がC−F結合に置換されたものの具体例としては、
たとえばCF(CFCHCHSi(OCH
、CF(CFCHCHSi(C
)(OCH(但し両式中n=0、1、2、
3、4…である。)等のフルオロアルキルアルコキシシ
ランが挙げられる。 【0013】上記において、溶媒としては、イソプロパ
ノール、エタノール、またはメタノールの低級アルコー
ルが単独でもしくは混合して用いられ、またはこれらに
ブタノールを適量添加して用いられる。 【0014】上記において、SiO粒子の粒径は、5
nm〜0.02μmであることが好ましい。SiO
子は、RnSi(OR4−nが加水分解し、縮合
重合した生成物と結合し、表面が疎水基で覆われる。 【0015】上記において、液組成物には、さらに微量
のSi(ORやRnSi(OR4−n(但
し式中Rはアルキル基であり、Rは末端に親水基を
有するHN(CH等の置換基であり、n=1、
2である。)を添加しておいてもよい。その添加量は適
宜変更されるが、Si(ORがテトラエトキシシ
ランの場合、RnSi(OR4−nがメチルトリ
エトキシシランであれば、テトラエトキシシランのメチ
ルトリエトキシシランに対する混合比は、モル比でx:
(1−x)(但し0<x≦0.3)である。 【0016】この発明の酸化物皮膜の製造方法によれ
ば、固体として残る成分、すなわちRnSi(O
4−nが加水分解し、縮合重合した生成物および
表面がRnSi(OR4−nからの疎水基を持つ
生成物で覆われたSiO粒子と水とが膜乾燥時にはじ
き合うことにより、SiOを主成分とするとともに、
緻密層上に凹凸層が一体に形成されている酸化物皮膜が
1回の工程で形成される。 【0017】上記方法において、RnSi(OR
4−nと、溶媒と、水と、酸触媒との混合比は、好まし
くはモル比で1:1〜20:1〜20:0.00001
〜0.3である。 【0018】また、上記方法において、原料全体中のS
iO粒子の量は40wt%以下である。40wt%を
越えると、SiO粒子を液組成物中に分散できなくな
るおそれがある。 【0019】さらに、上記方法において、SiO粒子
を用いることにより、製造される酸化物皮膜が無色透明
となり、この皮膜上に表面の凹凸を損なわないようにさ
らにフッ化炭素鎖を持つシランカップリング剤等ではっ
水コートすることにより、たとえば自動車のフロントガ
ラスに適用した場合、充分な視界を確保した上で、超は
っ水性を得ることができ、極めて好都合である。 【0020】 【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を、
図面を参照して説明する。 【0021】図1は、この発明の方法により製造された
酸化物皮膜の実施形態を説明するためのもので、図1に
おいて、酸化物皮膜(1) は、SiOを主成分とすると
ともに、ゾル−ゲル法により形成されており、緻密層
(2) 上に凹凸層(3) が一体に形成されているものであ
る。凹凸層(3) の表面全体に微細な凹凸が形成されて粗
面化されている。 【0022】酸化物皮膜(1) の膜厚(T)は、0.6〜
2.8μmである。凹凸層(3) の表面粗さは最大高さR
maxで0.03〜0.1μmであり、凹部(4) から最近
接の凹部(4) あるいは凸部(5) から最近接の凸部(5) ま
での間隔(W) が0.03〜0.1μmとなされている。 【0023】そして、図2に示すように、図1の酸化物
皮膜(1) における凹凸層(3) の表面に、微細な凹凸に加
え、さらに相当直径(D)0.03〜0.5μm、深さ
(S)0.03〜0.5μmの孔(11)が形成されたもの
である。この孔(11)の周面および底面全体にも微細な凹
凸が形成されて粗面化されており、孔(11)の周面および
底面の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜0.1μ
mであり、凹部(12)から最近接の凹部(12)あるいは凸部
(13)から最近接の凸部(13)までの間隔(W1)が0.03〜
0.1μmとなされている。 【0024】図1および図2に示す酸化物皮膜(1) の製
造方法は、RnSi(OR −n(但し式中R
はアルキル基、フェニル基の疎水基、あるいはアルキル
基のC−H結合の一部がC−F結合に置換されたもので
あり、Rはアルキル基であり、n=1、2である。)
と、溶媒と、水と、酸触媒とよりなる液組成物に、Si
粒子を混ぜ合わせたものを攪拌することにより得た
ゾルを基材に塗布する工程と、機材に塗布したゾルを乾
燥させゲル膜を形成する工程と、ゲル膜を焼成する工程
とを含む。 【0025】ここで、液組成物におけるRnSi(O
4−nと、溶媒と、水と、酸触媒との混合比は、
モル比で1:1〜20:1〜20:0.00001〜
0.3であることが好ましく、原料全体中の酸化物微粒
子の量は40wt%である。 【0026】ゾルの基材への塗布は、ディッピング、ス
プレーコティング、スピン等により行う。スピンとは、
基材表面にゾルを滴下した後、遠心力により塗布する方
法である。 【0027】ゲル膜の焼成は180〜800℃で30秒
〜10分間加熱することにより行う。製造された酸化物
皮膜に化学的、機械的耐久性を持たせるために、180
℃以上で熱処理することが好ましい。 【0028】 【実施例】以下、この発明の具体的実施例を比較例とと
もに説明する。 【0029】実施例1 メチルトリエトキシシランと、溶媒であるエタノールお
よび2−プロパノールと、水と、塩酸と、2−プロパノ
ールに分散させた粒径0.01〜0.02μmのSiO
粒子を原料として用意した。なお、SiO粒子を分
散させている2−プロパノールは溶媒の一部として用い
た。メチルトリエトキシシラン、溶媒(エタノール、2
−プロパノールのモル比が1:1)、水、塩酸のモル比
が1:5:4:0.005、粒子濃度が10wt%とな
るように原料を混合し、メチルトリエトキシシランを加
水分解、縮合重合させることによりゾルを得た。つい
で、このゾル中にアルミニウム板およびガラス板を浸漬
し、2mm/秒の引き上げ速度で引き上げ、乾燥させた
後、400℃で5分間焼成し、アルミニウム板およびガ
ラス板の表面に酸化物皮膜を形成した。 【0030】アルミニウム板の表面に形成された酸化物
皮膜をSEMにより観察したところ、膜厚は0.8μm
であり、緻密層上に、表面全体に微細な凹凸が形成され
て粗面化された凹凸層が一体に形成されていた。凹凸層
の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜0.1μmで
あり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の
凸部までの間隔は0.03〜0.1μmであった。さら
に、凹凸層の表面に、微細な凹凸に加えて相当直径0.
05〜0.1μm、深さ0.05〜0.1μmの孔が5
×10個/cm以上形成されていた。この孔の周面
および底面全体にも微細な凹凸が形成されて粗面化され
ており、孔の周面および底面の表面粗さは最大高さRma
xで0.03〜0.05μmであり、凹部から最近接の
凹部あるいは凸部から最近接の凸部までの間隔は0.0
3〜0.05μmであった。 【0031】また、表面に酸化物皮膜が形成されたガラ
ス板の透過率を、測定波長域400〜700nmで測定
したところ、90〜92%であった。なお、用いたガラ
ス板自体の透過率は測定波長域400〜700nmで9
0〜91%である。 【0032】実施例2 ゾル中にアルミニウム板およびガラス板を浸漬した後、
アルミニウム板およびガラス板を引き上げるさいの引上
げ速度を20mm/秒とした他は、上記実施例1と同様
にしてアルミニウム板およびガラス板の表面に酸化物皮
膜を形成した。 【0033】アルミニウム板の表面に形成された酸化物
皮膜をSEMにより観察したところ、膜厚は2.6μm
であり、緻密層上に、表面全体に微細な凹凸が形成され
て粗面化された凹凸層が一体に形成されていた。凹凸層
の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜0.1μmで
あり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の
凸部までの間隔は0.03〜0.1μmであった。さら
に、凹凸層の表面に、微細な凹凸に加えて相当直径0.
2〜0.5μm、深さ0.2〜0.5μmの孔が3.8
×10個/cm、相当直径0.05〜0.1μm、
深さ0.05〜0.1μmの孔が5×10個/cm
以上形成されていた。これらの孔の周面および底面全体
にも微細な凹凸が形成されて粗面化されており、孔の周
面および底面の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜
0.1μmであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部
から最近接の凸部までの間隔は0.03〜0.1μmで
あった。 【0034】また、表面に酸化物皮膜が形成されたガラ
ス板の透過率を、測定波長域400〜700nmで測定
したところ、83〜91%であった。 【0035】実施例3 液組成物中の溶媒として、2−プロパノールを単独で用
いた他は、上記実施例1と同様にしてアルミニウム板お
よびガラス板の表面に酸化物皮膜を形成した。 【0036】アルミニウム板の表面に形成された酸化物
皮膜をSEMにより観察したところ、膜厚は0.6μm
であり、緻密層上に、表面全体に微細な凹凸が形成され
て粗面化された凹凸層が一体に形成されていた。凹凸層
の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜0.1μmで
あり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の
凸部までの間隔は0.03〜0.1μmであった。さら
に、凹凸層の表面に、微細な凹凸に加えて相当直径0.
05〜0.1μm、深さ0.05〜0.1μmの孔が5
×10個/cm以上形成されており、この孔の周面
および底面全体にも微細な凹凸が形成されて粗面化され
ており、孔の周面および底面の表面粗さは最大高さRma
xで0.03〜0.05μmであり、凹部から最近接の
凹部あるいは凸部から最近接の凸部までの間隔は0.0
3〜0.05μmであった。 【0037】また、表面に酸化物皮膜が形成されたガラ
ス板の透過率を、測定波長域400〜700nmで測定
したところ、91〜93%であった。 【0038】実施例4 ゾル中にアルミニウム板およびガラス板を浸漬した後、
アルミニウム板およびガラス板を引き上げるさいの引上
げ速度を5mm/秒とした他は、上記実施例3と同様に
してアルミニウム板およびガラス板の表面に酸化物皮膜
を製造した。 【0039】アルミニウム板の表面に形成された酸化物
皮膜をSEMにより観察したところ、膜厚は1.3μm
であり、緻密層上に、表面全体に微細な凹凸が形成され
て粗面化された凹凸層が一体に形成されていた。凹凸層
の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜0.1μmで
あり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の
凸部までの間隔は0.03〜0.1μmであった。さら
に、凹凸層の表面に、微細な凹凸に加えて相当直径0.
1〜0.2μm、深さ0.1〜0.2μmの孔が1.8
×10個/cm、相当直径0.05〜0.1μm、
深さ0.05〜0.1μmの孔が5×10個/cm
以上形成されていた。これら孔の周面および底面全体に
も微細な凹凸が形成されて粗面化されており、孔の周面
および底面の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜
0.07μmであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸
部から最近接の凸部までの間隔は0.03〜0.07μ
mであった。 【0040】また、表面に酸化物皮膜が形成されたガラ
ス板の透過率を、測定波長域400〜700nmで測定
したところ、92〜93%であった。 【0041】実施例5 ゾル中にアルミニウム板およびガラス板を浸漬した後、
アルミニウム板およびガラス板を引き上げるさいの引上
げ速度を20mm/秒とした他は、上記実施例3と同様
にしてアルミニウム板およびガラス板の表面に酸化物皮
膜を形成した。 【0042】アルミニウム板の表面に形成された酸化物
皮膜をSEMにより観察したところ、膜厚は2.8μm
であり、緻密層上に、表面全体に微細な凹凸が形成され
て粗面化された凹凸層が一体に形成されていた。凹凸層
の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜0.1μmで
あり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の
凸部までの間隔は0.03〜0.1μmであった。さら
に、凹凸層の表面に、微細な凹凸に加えて相当直径0.
2〜0.5μm、深さ0.2〜0.5μmの孔が1.1
×10個/cm、相当直径0.05〜0.1μm、
深さ0.05〜0.1μmの孔が5×10個/cm
以上形成されていた。これら孔の周面および底面全体に
も微細な凹凸が形成されて粗面化されており、孔の周面
および底面の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜
0.1μmであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部
から最近接の凸部までの間隔は0.03〜0.1μmで
あった。 【0043】また、表面に酸化物皮膜が形成されたガラ
ス板の透過率を、測定波長域400〜700nmで測定
したところ、86〜91%であった。 【0044】実施例6 液組成物中の溶媒として、1−ブタノールと2−プロパ
ノールとをモル比で48:52となるように混合したも
のを用いた他は、上記実施例1と同様にしてアルミニウ
ム板およびガラス板の表面に酸化物皮膜を製造した。 【0045】アルミニウム板の表面に形成された金属酸
化物皮膜をSEMにより観察したところ、膜厚は0.8
μmであり、緻密層上に、表面全体に微細な凹凸が形成
されて粗面化された凹凸層が一体に形成されていた。凹
凸層の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜0.1μ
mであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近
接の凸部までの間隔は0.03〜0.1μmであった。 【0046】また、表面に酸化物皮膜が形成されたガラ
ス板の透過率を、測定波長域400〜700nmで測定
したところ、90〜93%であった。 【0047】実施例7 ゾル中にアルミニウム板およびガラス板を浸漬した後、
アルミニウム板およびガラス板を引き上げるさいの引上
げ速度を20mm/秒とした他は、上記実施例6と同様
にしてアルミニウム板およびガラス板の表面に酸化物皮
膜を製造した。 【0048】アルミニウム板の表面に形成された金属酸
化物皮膜をSEMにより観察したところ、膜厚は2.4
μmであり、緻密層上に、表面全体に微細な凹凸が形成
されて粗面化された凹凸層が一体に形成されていた。凹
凸層の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜0.1μ
mであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近
接の凸部までの間隔は0.03〜0.1μmであった。 【0049】また、表面に酸化物皮膜が形成されたガラ
ス板の透過率を、測定波長域400〜700nmで測定
したところ、92〜93%であった。 【0050】比較例1 メチルトリエトキシシランと、テトラエトキシシラン
と、2−プロパノールと、水と、塩酸と、2−プロパノ
ールに分散させた粒径0.01〜0.02μmのSiO
粒子を原料として用意した。なお、SiO粒子を分
散させている2−プロパノールは溶媒の一部として用い
た。メチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、2−プロパノール、水、塩酸のモル比が0.5:
0.5:5:4:0.005、粒子濃度が10wt%と
なるように原料を混合し、メチルトリエトキシシランお
よびテトラエトキシシランを加水分解、縮合重合させる
ことによりゾルを得た。ついで、このゾル中にアルミニ
ウム板およびガラス板を浸漬し、5mm/秒の引き上げ
速度で引き上げ、乾燥させた後、400℃で5分間焼成
し、アルミニウム板およびガラス板の表面に酸化物皮膜
を形成した。 【0051】アルミニウム板の表面に形成された酸化物
皮膜をSEMにより観察したところ、膜厚は1.5μm
であった。皮膜表面には相当直径0.05〜0.15μ
m、深さ0.05〜0.15μmの孔が2.8×10
個/cm形成されていたが、実施例1〜7に見られる
ような微細な凹凸は存在しなかった。 【0052】また、表面に酸化物皮膜が形成されたガラ
ス板の透過率を、測定波長域400〜700nmで測定
したところ、91〜93%であった。 【0053】比較例2 メチルトリエトキシシランと、2−プロパノールと、水
と、塩酸とよりなり、かつ各成分の量がモル比で1:
5:4:0.005である液組成物を用意した。そし
て、この液組成物を混合し、メチルトリエトキシシラン
の加水分解、縮合重合によりゾルを得た。ついで、この
ゾル中にアルミニウム板およびガラス板を浸漬し、5m
m/秒の引き上げ速度で引き上げ、乾燥させた後、40
0℃で5分間焼成し、アルミニウム板およびガラス板の
表面に酸化物皮膜を形成した。 【0054】アルミニウム板の表面に形成された酸化物
皮膜を観察したところ、膜厚は0.7μmであった。ま
た、皮膜全体が緻密であって、表面は全体に平滑であっ
た。 【0055】また、表面に酸化物皮膜が形成されたガラ
ス板の透過率を、測定波長域400〜700nmで測定
したところ、91〜93%であった。
【図面の簡単な説明】 【図1】この発明の方法により製造された酸化物皮膜の
実施形態を説明するための一部切欠き拡大斜視図であ
る。 【図2】この発明の方法により製造された酸化物皮膜の
実施形態を示す一部切欠き拡大斜視図である。 【符号の説明】 (1) :酸化物皮膜 (2) :緻密層 (3) :凹凸層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 多田 清志 堺市海山町6丁224番地 昭和アルミニ ウム株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−302340(JP,A) 特開 平6−64938(JP,A) 特開 平8−122501(JP,A) 特開 平9−249410(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 33/113 - 33/193 C03C 17/02 C03C 17/25

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 SiOを主成分とするとともに、ゾル
    −ゲル法により形成されており、緻密層上に凹凸層が一
    体に形成され、凹凸層の表面全体に微細な凹凸が形成さ
    れて粗面化されている酸化物皮膜の製造方法であって、 R Si(OR4−n(但し、式中、Rはアル
    キル基、フェニル基の疎水基、あるいはアルキル基のC
    −H結合の一部がC−F結合に置換されたものであり、
    はアルキル基であり、n=1、2である)と、イソ
    プロパノール、エタノール、メタノールの低級アルコー
    ルが単独でもしくは混合して用いられるか、またはこれ
    らにブタノールを添加して用いられる溶媒と、水と、酸
    触媒とを、これらの混合比が、モル比で1:1〜20:
    1〜20:0.00001〜0.3とした液組成物に、
    SiO粒子を40wt%以下混ぜ合わせたものを攪拌
    することにより得たゾルを、金属またはガラスよりなる
    基材に塗布して乾燥させることによりゲル膜とし、その
    後、焼成することにより、R Si(OR4−n
    が加水分解し、縮合重合した生成物および表面がR
    Si(OR4−nからの疎水基を持つ生成物で覆わ
    れたSiO粒子と水とが膜乾燥時にはじき合うことに
    より、SiOを主成分とするとともに、緻密層上に凹
    凸層が一体に形成されている酸化物皮膜を形成し、該酸
    化物皮膜は、その膜厚が0.6〜2.8μmであり、凹
    凸層の表面粗さが最大高さRmaxで0.03〜0.1μ
    mであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近
    接の凸部までの間隔が0.03〜0.1μmとなされて
    おり、凹凸層の表面に、微細な凹凸に加え、さらに相当
    直径0.03〜0.5μm、深さ0.03〜0.5μm
    の孔が形成され、この孔の周面および底面全体にも微細
    な凹凸が形成されて粗面化されており、孔の周面および
    底面の表面粗さが最大高さRmaxで0.03〜0.1μ
    mであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近
    接の凸部までの間隔が0.03〜0.1μmとなされて
    いることを特徴とする、SiOを主成分とする酸化物
    皮膜の製造方法。
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