JP2000144116A - 超撥水性被膜 - Google Patents

超撥水性被膜

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JP2000144116A
JP2000144116A JP10318972A JP31897298A JP2000144116A JP 2000144116 A JP2000144116 A JP 2000144116A JP 10318972 A JP10318972 A JP 10318972A JP 31897298 A JP31897298 A JP 31897298A JP 2000144116 A JP2000144116 A JP 2000144116A
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coating
water
silica film
trialkoxysilane
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JP10318972A
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Tsutomu Minami
努 南
Yoshiyuki Kowada
善之 小和田
Hiroshi Inaba
博司 稲葉
Keiji Honjo
啓司 本城
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Central Glass Co Ltd
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Central Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】透明な超撥水性被膜を得ること。 【解決手段】トリアルコキシシラン(R1−Si(O
23)(但し、R1:炭素数2以上のアルキル基、ア
ルケニル基、アリール基、またはアラルキル基、及びそ
れらの各種誘導体を示す、R2:炭素数1〜4のアルキ
ル基を示す)の単独重縮合物、または前記トリアルコキ
シシランまたはそのオリゴマーと金属アルコキシドまた
はそのオリゴマーとから得られる重縮合物からなる調整
液を含む塗布液を基板上に塗布し、熱処理を行い表面層
を凹凸形状に成膜する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性や耐候性に
優れた超撥水性能を示すシリカ膜に関し、車両用、船舶
用、航空機用あるいは建築用等の内外ウインドーガラス
やミラーガラスや装飾用ガラス、あるいは各種建築材や
建装材など広く使用可能であるシリカ膜に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】最近、半導体分野はもとより、ガラス基
板でなる窓材をはじめ、金属やプラスチック等の各種建
築建装資材あるいは布地などの表面に撥水性を付与する
ことが行われ、種々その性能を向上せしめるような提
案、特に超撥水性を持たせる提案がなされている。
【0003】例えば、特公平7−86146号公報に
は、400nm未満の凹凸が形成された基体の表面に、
少なくともシロキサン結合を介してフッ素を含む化学吸
着単分子膜が形成された撥水撥油防汚性被膜の製造方法
が記載されている。
【0004】また、特開平6−116430号公報に
は、凹凸に形成された無機硬質膜を表面上に形成したプ
ラスチックフイルムをフッ化炭素基とクロロシリル基を
含む化合物を非水系の溶媒に溶解した溶液に浸漬し、前
記無機硬質膜の凹凸表面にフッ素を含む化学吸着単分子
膜をシロキサン結合を介して形成させる工程からなる撥
水撥油性フイルムの製造方法が記載されている。
【0005】また、特開平6−340848号公報に
は、有機物塗膜について、Siに直接結合したアルキル
基を実質的に含まないポリシロキサン結合を有し、ポリ
シロキサン結合のSiの含有量がSiO2として20〜
90重量%である非撥水性有機物塗膜が記載されてい
る。
【0006】また、特開平7−197017号公報に
は、撥水表面を有する固体およびその生成方法につい
て、表面の少なくとも一部に、大きい周期の凹凸構造が
形成されその凹凸構造が前記周期より小さい周期の凹凸
構造を含む多段凹凸構造を有し、その表面積増倍因子が
5以上である撥水表面を有する固体を生成する方法を記
載している。
【0007】また、特開平7−206475号公報に
は、撥水性層担持部材について、表面上に複数個の凹部
および凸部を交互に繰り返し形成し、該表面を撥水性材
料からなる撥水性膜により被覆した撥水性層担持部材に
おいて、上記撥水性膜により被覆された凹部または凸部
のピッチが20μmから150μmまでの範囲にあり、
該ピッチに対する凹部の深さまたは凸部の頂部を結ぶこ
とによって得られる仮想表面の表面粗さが500μm以
下であるように凹部および凸部を形成した撥水性層担持
部材が記載されている。
【0008】また、特開平10−259037号公報に
は、少なくともジメチルシリコンアルコキシドからなる
調整液を塗布液として成膜した、表面層が凹凸形状を有
する撥水性シリカ膜が記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来得られている超撥
水性薄膜は、通常表面の凹凸のため不透明であり、その
応用範囲は限られており、また特開平10−25903
7号公報で得られる撥水膜は透明であるものの、用いる
原料は2官能シリコンアルコキシドを用いるものであり
成膜性が悪く、それを改善するためには下地層を設ける
等の前処理をする必要があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、膜の超撥水
性の制御に非常に重要な役割を果たしていると考えられ
る出発原料のアルコキシドにメチル基等の置換基を導入
し、置換基の種類と、得られる薄膜の親水・撥水性との
関係について検討した。その結果、フェニルトリエトキ
シシラン等のトリアルコキシシランを用いた場合に、超
撥水性薄膜が得られることを見いだした。
【0011】本発明は、可視光透過率がガラス基板と同
等以上であり、且つ耐熱性、耐候性等が優れ、例えばガ
ラス等の基板上に、特定の方法により透明シリカ膜を形
成し、そのシリカ膜自体の特性と表面の凹凸形状とによ
ってもたらされる特性との相乗効果を発現せしめること
により優れた超撥水性膜をもたらして格段にその性能を
発揮するものである。
【0012】すなわち、本発明は、トリアルコキシシラ
ン(R1−Si(OR23)(但し、R1:炭素数2以上
のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはアラ
ルキル基、及びそれらの各種誘導体を示す、R2:炭素
数1〜4のアルキル基を示す)の単独重縮合物、または
前記トリアルコキシシランもしくはそのオリゴマーと金
属アルコキシドもしくはそのオリゴマーとから得られる
重縮合物からなる調製液を含む塗布液が基板上に塗布さ
れ、熱処理されて表面層が凹凸形状に成膜されてなり、
透明で超撥水性を有することを特徴とするシリカ膜に関
する。
【0013】さらに、該表層面は、表面形状が約100
nm乃至400nmピッチの凹凸の中にさらに小さい凹
凸が形成されるフラクタル状の構造を有していることが
好ましい。
【0014】さらにまた、該凹凸形状は、JISB06
01の計測法による平均面粗さRa値が15nm以上、
表面積比SRが1.3以上であることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】基板上に形成した透明シリカ膜単
層で超撥水性被膜とするには、その表面を凹凸形状の集
合体状にし、かつ表面積を高めて、そのシリカ膜自体が
超撥水層として働き、表層表面の凹凸形状を活かして相
乗効果を発現せしめ、よりすぐれた超撥水性膜をより安
定した状態で得られるようにする。
【0016】透明シリカ膜は、トリアルコキシシラン
(R1−Si(OR23)(但し、R1:炭素数2以上の
アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはアラル
キル基、及びそれらの各種誘導体を示す、R2:炭素数
1〜4のアルキル基を示す)の単独重縮合物、または前
記トリアルコキシシランもしくはそのオリゴマーと金属
アルコキシドもしくはそのオリゴマーとから得られる重
縮合物からなる調製液を含む塗布液で被膜を形成し、熱
処理をすることによって形成される。
【0017】なお、前記R1のアルキル基としては、炭
素数が2〜15であるエチル、プロピル、ブチル、ペン
チル、ヘキシル、へプチル、オクチル、ノニル、デシ
ル、ウンデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデ
シル、ヘキサデシル、またはヘプタデシル等の官能基が
好ましく、直鎖或いは分岐のあるものの限定はされな
い。なお、炭素数が2〜8の官能基のものはより好まし
い。また、これらの誘導体として、例えばアセトキシメ
チル、アセトキシエチル、アセトキシプロピル、アクリ
ロキシプロピル、アリルアミノプロピル、アミノプロピ
ル、ブロモプロピル、クロロプロピル、メタクリロキシ
メチル、メタクリロキシプロピル、メトキシプロピル、
トリフルオロアセトキシプロピル、またはトリフルオロ
プロピル等の官能基も含むものも用いることが出来る。
【0018】R1のアルケニル基としては、炭素数が2
〜15であるビニル、プロペニル、アリル、ブテニル、
ペンテニル、ペンテニル、ペプテニル、オクテニル、ノ
ネニル、デセニル、ウンデセニル、トリデセニル、テト
ラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、または
ヘプタデセニル等の官能基が好ましく、特に、炭素数が
2〜8のものはより好ましい。
【0019】R1のアリール基としては、トリル、キシ
リル、スチリル、アミノフェニル、クロロフェニル、ま
たはN−フェニルアミノプロピル等のベンゼン環を含む
ものが好ましい。
【0020】R1のアラルキル基としては、ベンジル、
フェネチル、またはシンナミル等が好ましい。
【0021】R2は炭素数が1〜4のメチル、エチル、
プロピル、またはブチル等が好ましい。
【0022】金属アルコキシドとしては、例えば、テト
ラメトキシシラン、テトラエトキシシラアン、テトラ−
n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、
テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキ
シシラン、アルミニウム−sec−ブトキシド、チタン
イソプロポキシド、チタン−n−ブトキシド、またはジ
ルコニウム−sec−ブトキシド等が好ましい。
【0023】以上からなる塗布液で被膜を形成し、熱処
理することにより被膜が形成されるが、特に、トリアル
コキシシランとして、フェニルトリアルコキシシラン、
プロピルトリアルコキシシラン、または3,3,3−ト
リフルオロプロピルトリアルコキシシラン等が好まし
い。
【0024】例えば、これらのフェニルトリアルコキシ
シラン、プロピルトリアルコキシシラン、または3,
3,3−トリフルオロプロピルトリアルコキシシランと
しては、例えばフェニルトリメトキシシラン、フェニル
トリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラ
ン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルト
リメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、
3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラ
ン、または3,3,3−トリフルオロプロピルトリエト
キシシランなどが挙げられる。また、フェニルシリコン
アルコキシドから少なくともなる調製液としては、ホル
ムアミドまたは水を溶媒とし、モル比で約0.1〜10
程度を加え、触媒として約0.1M〜5M程度の塩酸を
約1ml〜5ml程度加え、約10〜30分程度攪拌し
た後、2相分離したアルコキシドリッチな層(上層部
分)の液を塗布液とした。また、希釈溶媒を用いずアル
コキシド原料のみを塗布液とすることもできる。なお、
本発明の調製液は、トリアルコキシシランが該調製液中
に主成分として含まれていればよく、他の成分が混合さ
れていても差し支えない。
【0025】膜付けする塗布法としては、例えばディッ
ピング法、スピンコート法、ノズルフローコート法、ス
プレー法、リバースコート法、フレキソ法、印刷法、ま
たはフローコート法、ならびにこれらの併用等、既知の
塗布手段を採用し得るものである。
【0026】なお、本発明の超撥水性被膜は、基板に直
接成膜しても、或いは下地層を設けてその上層に形成し
てもよく、特に限定するものではない。
【0027】また、基板はガラス、金属、セラミックス
等でよく、耐熱性の材料であれば、特に限定されるもの
ではない。
【0028】前記透明シリカ膜を成膜する際の熱処理に
ついては、成膜後に膜が乾燥する前に熱処理することが
必要で、約350以上650℃以下程度で約1〜5分間
程度、好ましくは約500以上600℃以下程度で約1
〜2分間程度である。該温度が350℃未満では、前記
の凹凸形状が形成されない。
【0029】本発明のシリカ膜は、表面形状が約100
nm乃至400nmピッチの凹凸の中にさらに小さい凹
凸が形成される所謂フラクタルのような構造をしてい
る。
【0030】透明シリカ膜の表面形状は、該表層表面を
JISB0601による計測法によって求めると、中心
線平均粗さを面拡張した平均粗さRa値が約15nm以
上、かつ表面積比SRが約1.3以上のものが好まし
く、上記Ra値が10nm未満であればよりすぐれた超
撥水性膜とはなり難くなり、該Ra値が極端に大きくな
れば膜としての性能、強度あるいは均一均質性等の特性
が悪化しおのずと限界があり、また表面積比SRが1.
1未満であれば、よりすぐれた超撥水性膜とはなり難く
なり、好ましくは表面積比SR約1.1〜1.6程度で
あり、約1.6程度を超えれば、次第にヘイズ値が高く
なって透明性を失うようになるものである。
【0031】透明シリカ膜の膜厚としては、約40nm
以上300nm以下程度が好ましい。40nm未満で
は、前記の凹凸形状が形成されず、300nmを超える
膜厚では、焼成後に膜にクラックが発生する危険性が大
きくなったり、膜の透明性が悪くなったりする場合があ
る。好ましくは、約100〜200nmの範囲がよい。
【0032】本発明の超撥水性被膜は、接触角θは約1
40゜以上、好ましくは接触角θが約150゜以上17
0゜以下程度である。
【0033】得られた透明シリカ膜の評価法としては、
走査型電子顕微鏡(SEM)による約3万5千倍程度で
表層表面を上面視した写真観察、ならびにサイクリック
コンタクトモード原子間力顕微鏡(CC−AFM)によ
る表層表面を斜視した写真観察ならびに該観察による該
膜の中心線平均粗さRaを面拡張した平均粗さRa値と
表面積比SRを求めて表示できるようにしたものである
(実施例1参照のこと)。またさらに、超撥水性能の評
価方法の一つとしては、接触角計を用い、該膜の大気中
(約25℃)での水滴(水滴量約10μl)に対する接
触角θ(゜)を測定することで行った。
【0034】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。但し、本発明はかかる実施例に限定されるものでは
ない。
【0035】各実施例の被膜の評価を下記の方法で行っ
た。 撥水性試験 :測定機器−協和界面科学製CA−X型 測定環境−大気中(25℃) 水滴−純水(10μl) 被膜形状観察:走査型電子顕微鏡(FE−SEM、日
立S4500)を用いて被膜の表層表面の写真観察(倍
率、約3万5千倍)を行った 走査型プローブ顕微鏡の原子間力顕微鏡(AFM、モ
ード(デジタルインスツルメント、NamoScope
−E、5μm四方スキャン))を用いて、被膜の表層表
面および断面を写真観察し、JISB0601で定義さ
れている中心線平均粗さRa値と表面積比SRを求めた 膜厚の測定 :DEKTAK(Sloan社製、303
0)にて測定した その他 :クラック等の欠陥の有無、膜の各種
試験による耐久性、可視光透過率の変化等光学特性へ
の影響など、建築用、産業用ならびに自動車等車両用、
船舶用、航空機用などの窓材をはじめ、各種ガラス物品
に必要な事項を評価した。
【0036】実施例1 基板としては、大きさ約100mmX100mmで、厚
さ約2mmのフロートガラス(組成はソーダーライムシ
リケート系)を用い、コーティング面を酸化セリウムで
充分に研摩し、上水で水洗、イオン交換水でリンスした
後、イソプロピルアルコールまたはアセトンで払拭し、
コーティング用ガラス基板とした。一方、コーティング
溶液は以下の手順で調製した。まず、フェニルシリコン
アルコキシドとしては、フェニルトリエトキシシラン
〔C65Si(OCH2CH33〕を用い、溶媒として
はホルムアミド〔HCONH2〕を用い、モル比でフェ
ニルトリエトキシシラン:ホルムアミド=1.25:5
の割合で混合し、これに2Mの塩酸1mlを添加し、約
30分撹拌した後静置して2相分離した液のアルコキシ
ドリッチな上層の液をコーティング溶液として用いた。
該コーティング溶液を先に準備したガラス基板上にディ
ップコーティングにより塗布した後、膜がウェットな状
態のうちに約500℃で約1分間熱処理をしてシリカ膜
を形成した。なお、ディップコーティングする際の引き
上げ速度は、約2mm/secとした。
【0037】その結果、得られた透明シリカ膜付きガラ
スの被膜について評価すると、被膜の水に対する接触角
は約165゜で超撥水性を示し、優れた撥水性能を示す
ものであり,高い接触角を長時間保った。被膜の形状に
ついては、前記AFMで被膜の表層表面および断面を写
真観察し、JISB0601で定義されている中心線平
均粗さRa値等を求めたところ、表面が約200nmピ
ッチの凹凸形状で、表面粗さ(中心線粗さ)が約15〜
17nmの範囲内であり、また、表面積比SRは約1.
3であった。また、前記SEMでも被膜の表層表面の写
真観察を行ったところ、図1に示すように表面が約20
0nm程度の凹凸形状をしており、さらにその凹凸の中
に微細な凹凸を形成する、所謂フラクタルに似た表面形
状を持つことが判った。さらに、可視光透過率も約94
%とガラス基板のみの透過率92%よりも向上した。こ
れは、透明シリカ膜の表面凹凸形状により、反射率が低
減したためである。該膜の反射色調はニュートラルであ
った。
【0038】実施例2 コーティング溶液として、n−プロピルトリエトキシシ
ラン〔CH3CH2CH2Si(OCH2CH33〕をシリ
コンアルコキシドの原料として用いた以外は、実施例1
と同様とした。
【0039】その結果、被膜の水に対する接触角は約1
60゜で超撥水性を示し、優れた撥水性能を示すもので
あり、高い接触角を比較的長時間保った。また、被膜の
形状については、表面粗さ(中心線粗さ)が約16〜1
7nmの範囲内であり、また、表面積比SRは約1.3
であった。
【0040】実施例3 コーティング溶液として、3,3,3−トリフルオロプ
ロピルトリエトキシシラン〔CF3CH2CH2Si(O
CH2CH33 〕をシリコンアルコキシドの原料として
用いた以外は、実施例1と同様とした。
【0041】その結果、被膜の水に対する接触角は約1
62゜で超撥水性を示し、優れた撥水性能を示すもので
あり、高い接触角を比較的長時間保った。また、被膜の
形状については、表面粗さ(中心線粗さ)が約15〜1
7nmの範囲内であり、また、表面積比SRは約1.3
であった。
【0042】実施例4 シリコンアルコキシドとしてフェニルトリエトキシシラ
ンを用い、溶媒および加水分解触媒としての塩酸は用い
ず、アルコキシド原料のみをコーティング溶液とした。
被膜の成膜および熱処理については、実施例1と同様と
した。
【0043】その結果、被膜の水に対する接触角は約1
65゜で超撥水性を示し、優れた撥水性能を示すもので
あり、高い接触角を比較的長時間保った。また、被膜の
形状については、表面粗さ(中心線粗さ)が約15〜1
7nmの範囲内であり、また、表面積比SRは約1.3
であった。またさらに、前記SEMでも被膜の表層表面
の写真観察を行ったところ、表面が約200nm程度の
凹凸形状をしており、さらにその凹凸の中に微細な凹凸
を形成する、所謂フラクタルに似た表面形状を持つこと
が分かった。該膜の反射色調はニュートラルであった。
【0044】比較例1 コーティング溶液として、メチルトリエトキシシラン
〔CH3Si(OCH2CH33〕とホルムアミドをモル
比で、1.25:5となるように混合撹拌の後、2Mの
塩酸を1ml加えて撹拌したものを用いた。なお、溶媒
にホルムアミドを用いた場合の混合溶液は、実施例1〜
3の場合とは異なり、2相分離しない均一な溶液であっ
た。また、被膜のコーティングおよび焼成は、実施例1
と同様とした。その結果、形成された被膜は、透明なシ
リカ膜であったものの、被膜の水に対する接触角は、約
80〜90゜と撥水性能が実施例1〜4に比べて低く、
所期の超撥水性能を有する撥水性被膜とは到底言い難い
ものであった。
【0045】比較例2 コーティング液として、メチルトリエトキシシランと水
をモル比で、1.25:5となるように混合撹拌の後、
2Mの塩酸を1ml加えて撹拌したものを用いた。な
お、溶媒に水を用いた場合の混合溶液は、実施例1〜3
の場合とは異なり、加水分解反応後は、2相分離しない
均一な溶液であった。また、被膜のコーティングおよび
焼成は、実施例1と同様とした。
【0046】その結果、形成された被膜は、透明なシリ
カ膜であったものの、被膜の水に対する接触角は、約8
0〜85゜と撥水性能が実施例1〜4に比べて低く、所
期の超撥水性能を有する撥水性被膜とは到底言い難いも
のであった。
【0047】
【発明の効果】本発明の超撥水性被膜の形成法によれ
ば、安定かつ確実に厄介な工程もなく手軽に容易な特定
の手段をもって、格段に優れた透明シリカ膜であって、
かつその膜自体が超撥水性能を発現する被膜を、安価に
効率よく高生産性で得ることができ、クラック等の欠陥
がなく、且つ充分な可視光線透過率と耐久性、密着性、
耐熱性ならびに耐候性に優れるシリカ膜となるので、建
築用、産業用ならびに自動車等車両用、船舶用、航空機
用などの窓材をはじめ、各種の超撥水性被膜に広く採用
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の被膜表面の微細凹凸構造を示す図面
代用のSEM写真
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小和田 善之 大阪府豊中市新千里南町2−2−38−309 (72)発明者 稲葉 博司 三重県松阪市大口町1510 セントラル硝子 株式会社硝子研究所内 (72)発明者 本城 啓司 三重県松阪市大口町1510 セントラル硝子 株式会社硝子研究所内 Fターム(参考) 4D075 AA01 AB01 AC12 AC64 BB02X BB23Z BB65X CA18 CA32 DB01 DB13 DB14 DC01 DC08 DC11 EA06 EA07 EB42 4G059 AA01 AC01 AC22 FA22 FB03 4H020 BA32

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トリアルコキシシラン(R1−Si(O
    23)(但し、R1:炭素数2以上のアルキル基、ア
    ルケニル基、アリール基、またはアラルキル基、及びそ
    れらの各種誘導体を示す、R2:炭素数1〜4のアルキ
    ル基を示す)の単独重縮合物、または前記トリアルコキ
    シシランもしくはそのオリゴマーと金属アルコキシドも
    しくはそのオリゴマーとから得られる重縮合物からなる
    調製液を含む塗布液が基板上に塗布され、熱処理されて
    表面層が凹凸形状に成膜されてなり、透明で超撥水性を
    有することを特徴とするシリカ膜。
  2. 【請求項2】表層面は、表面形状が約100nm乃至4
    00nmピッチの凹凸の中にさらに小さい凹凸が形成さ
    れるフラクタル状の構造を有していることを特徴とする
    請求項1記載のシリカ膜。
  3. 【請求項3】凹凸形状が、JISB0601の計測法に
    よる平均面粗さRa値が15nm以上、表面積比SR
    1.3以上であることを特徴とする請求項2記載のシリ
    カ膜。
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