JPH102020A - アンカーボルトの固定方法 - Google Patents

アンカーボルトの固定方法

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JPH102020A
JPH102020A JP17428496A JP17428496A JPH102020A JP H102020 A JPH102020 A JP H102020A JP 17428496 A JP17428496 A JP 17428496A JP 17428496 A JP17428496 A JP 17428496A JP H102020 A JPH102020 A JP H102020A
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JP
Japan
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anchor bolt
resin adhesive
induction heating
fixing
epoxy resin
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JP17428496A
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Inventor
Shigeki Beniya
繁希 紅谷
Minoru Fukuzawa
稔 福澤
Osamu Hachiri
統 八里
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Takao Kinzoku Kogyo Co Ltd
Alpha Technical Research Co
Original Assignee
Takao Kinzoku Kogyo Co Ltd
Alpha Technical Research Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンクリート、岩盤等の設置対象部に穿孔し
た孔内に樹脂接着剤を用いてアンカーボルトを固定する
に際し、ごく短時間で樹脂が硬化し、確実に所期の強度
が得られ、しかも設置対象部が湿潤している場合でも強
固な固定を行うようにすることもでき、さらには現場で
の施工にも適しているアンカーボルトの固定方法を提供
することを目的とする。 【解決手段】 設置対象部に穿孔した孔内に樹脂接着剤
を用いてアンカーボルトを固定するにあたり、上記樹脂
接着剤として2液硬化型エポキシ樹脂接着剤(殊に湿潤
状態でも接着力を有するもの)を用いると共に、アンカ
ーボルトを高周波誘導加熱方式により加熱してエポキシ
樹脂接着剤の硬化を行う。アンカーボルトの加熱は、コ
ンパクトな電源本体部(1) と、把手(2a)付きのコイル部
(2) と、ON、OFF操作を手元で行う操作部(3) とを
有する高周波誘導加熱装置を用いて行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、設置対象部に穿孔
した孔内に樹脂接着剤を用いてアンカーボルトを固定す
る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】岩盤・坑道などの岩層の安定、鉄骨・鉄
塔などの基礎台座への取り付け、コンクリート構造物の
補強または付帯設備の取り付けのために、アンカーボル
トが用いられている。
【0003】アンカーボルトの固定方法にはいくつかの
方式があるが、その一つとして、エポキシ樹脂でアンカ
ーボルトを固定する方法が知られている。すなわち、コ
ンクリート等に穿孔して穴をあけ、圧搾空気やブラシで
孔内の清掃を行ってから、孔内にボルトを挿入し、エポ
キシ樹脂を流し込み、注入またはパテ詰めして硬化させ
る。
【0004】特開平1−142199号公報には、アン
カーボルトを固着剤で固着するにあたり、固着剤とし
て、常温で不活性の硬化剤を成分として含む一液型のエ
ポキシ樹脂組成物を用い、アンカーボルトを加熱してそ
の一液型エポキシ樹脂組成物を硬化させるようにしたア
ンカーボルトの固着工法が示されている。ここで加熱手
段としては、高周波誘導加熱、高周波誘電加熱、マイク
ロ波加熱、超音波加熱、ヒーター加熱などが列挙され、
それらの中では高周波誘導加熱が最も好ましいとされて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】アンカーボルトをエポ
キシ樹脂で固定する方法は、固着強度の点ではすぐれて
いるものの、完全硬化にはかなりの時間がかかり、しか
も完全硬化したかどうかの判定が難しいため、夏場は1
日程度、冬場は数日の養生期間を置いてからでしか、次
の作業を実施できないという不利がある。
【0006】これに対し、特開平1−142199号公
報に開示のアンカーボルトの固着工法は、一液型エポキ
シ樹脂組成物の完全硬化が短時間で行われるので、たと
えば誘導加熱終了後1時間もたてば、引き抜き試験で数
トンの固着強度が得られるとされている。しかしなが
ら、この方法は、屋外のように降雨などにより湿潤して
いる個所に施工するときは、所期の強度が得られないと
いう問題点がある。
【0007】本発明は、このような背景下において、コ
ンクリート、岩盤等の設置対象部に穿孔した孔内に樹脂
接着剤を用いてアンカーボルトを固定するに際し、ごく
短時間で樹脂が硬化し、確実に所期の強度が得られ、し
かも設置対象部が湿潤している場合でも強固な固定を行
うようにすることもでき、さらには現場での施工にも適
しているアンカーボルトの固定方法を提供することを目
的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のアンカーボルト
の固定方法は、設置対象部に穿孔した孔内に樹脂接着剤
を用いてアンカーボルトを固定するにあたり、前記樹脂
接着剤として2液硬化型エポキシ樹脂接着剤を用いると
共に、アンカーボルトを高周波誘導加熱方式により加熱
してエポキシ樹脂接着剤の硬化を行うことを特徴とする
ものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。
【0010】本発明においては、アンカーボルト固定用
の樹脂接着剤として、2液硬化型エポキシ樹脂接着剤を
用いる。この場合、2液硬化型エポキシ樹脂接着剤が、
湿潤状態でもアンカーボルトおよび孔内壁面の双方に対
して接着力を有するタイプの樹脂接着剤であることが特
に望ましい。
【0011】2液硬化型エポキシ樹脂接着剤の主剤とし
ては、ビスフェノールA型樹脂、ビスフェノールF型樹
脂、ビスフェノールAD型樹脂、ノボラック型エポキシ
樹脂、グリシジルエステル系樹脂、脂環式エポキシ樹
脂、三官能型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂などが用いられる。これらの中では、ビスフ
ェノールA型樹脂およびビスフェノールF型樹脂が特に
重要である。
【0012】2液硬化型エポキシ樹脂接着剤の硬化剤と
しては、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミンおよびケ
チミンよりなる群から選ばれた化合物が特に好適に用い
られる。これらは、乾燥面のみならず湿潤面に適用して
も充分な硬化を行うことができるからである。このうち
脂肪族ポリアミンの例は、ジエチレントリアミン、イミ
ノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリア
ミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタ
ミン、ペンタエチレンヘキサミン、アミノエチルエタノ
ールアミン、トリ(メチルアミノ)ヘキサン、ジメチル
アミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミ
ン、メチルイミノビスプロピルアミンなどであり、脂環
式ポリアミンの例は、メンセンジアミン、イソホロンジ
アミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシ
ル)メタン、メタキシリレンジアミンの水添物、N−エ
チルアミノピペラジンなどである。
【0013】上記のほか、チオコールタイプ、ポリアミ
ノポリアミド、メルカプタン系をはじめとする他の硬化
剤も用いることができる。しかしながら、湿潤面を対象
とするときは、チオコールタイプ、ポリアミノポリアミ
ド、メルカプタン系などの硬化剤は避けるべきである。
【0014】主剤と硬化剤は、使用に先立って混合すれ
ばよい。主剤と硬化剤との配合割合は、主剤100重量
部に対し20〜100重量部となるように設定すること
が多いが、必ずしもこの範囲に限られない。
【0015】上記の2液硬化型エポキシ樹脂接着剤に
は、固着強度の向上のために骨材(マグネシアクリンカ
ー、珪砂等)や無機質フィラー(炭酸カルシウム、シリ
カ粉等)を配合したり、加熱効率を上げるために磁性体
や導電材を配合することもできる。そのほか、反応性稀
釈剤、流れ調整剤などの添加剤を配合することもでき
る。
【0016】本発明の方法を実施するにあたっては、ま
ずコンクリート、岩盤等の設置対象部に穿孔して穴をあ
け、圧搾空気やブラシで孔内の清掃を行ってから、孔内
にアンカーボルトを挿入し、エポキシ樹脂を充填すれば
よい。先にエポキシ樹脂を一部または全部充填してから
アンカーボルトを挿入することもできる。縦孔や斜め上
向きの孔の場合にはエポキシ樹脂を流し込めばよいが、
横孔の場合には強制注入方式やパテ詰め方式が採用され
る。アンカーボルトの側にもエポキシ樹脂を付着させて
おいて孔内に挿入することもできる。
【0017】ついで、アンカーボルトを高周波誘導加熱
方式により加熱すれば、アンカーボルトは急速に加熱さ
れる。高周波誘導加熱の原理は、強磁性物質を交流磁場
内に置くことにより、ヒステリシス損や渦電流のために
内部発熱することを利用するものである。
【0018】高周波誘導加熱方式によるアンカーボルト
の加熱は、人力による持ち運びが可能な大きさおよび重
量の電源本体部(1) と、アンカーボルトを誘導加熱する
ための把手(2a)付きのコイル部(2) と、ON、OFF操
作を作業員が手元で行うための操作部(3) とを有する高
周波誘導加熱装置を用いて行うことが特に望ましい。
【0019】電源本体部(1) は、受電コネクターにより
供給されたAC100Vの電力を高周波電力に変換する
電源を備えている。高周波誘導加熱を行うときの出力
は、たとえば、 0.5〜10KW、発振周波数は3〜50
KHzとすることが多い。電源本体部(1) には、過電流
が流れるのを防止しかつ内部放熱板の温度が上がりすぎ
て内部素子が損傷するのを防止するために保護回路部を
設け、過電流アラームおよび温度アラームを発するよう
にするのが通常である。またこの電源本体部(1)(ある
いは後述の操作部(3) )には、タイマー(4) を設けて、
加熱時間を設定できるようにする。さらに電源本体部
(1) には、携帯および移動を容易にするために、上面に
は握り部(5) 、底面にはキャスター(6) を設けることが
望ましい。
【0020】コイル部(2) は、アンカーボルトを誘導加
熱するためのものであり、電源本体部(1) との間は適当
な長さの導線(8) で連絡する。操作を容易にするため、
コイル部(2) は把手(2a)を備えていることが望ましい。
作業に際しては、設置対象部に穿孔した孔内にアンカー
ボルトを挿入してエポキシ樹脂を充填した後、そのアン
カーボルトの設置対象部より突き出た部位に、コイル部
(2) を上から嵌め込むか、横から挟み込むようにする。
コイル部(2) は、アンカーボルトの種類によって交換す
ることができるようにすることが望ましい。
【0021】操作部(3) は、一旦電源本体部(1) の電源
をONにしておけば、あとはON、OFF操作を作業員
が手元で行うことができるようにするためのものであ
り、電源本体部(1) との間は適当な長さの導線(9) で連
絡する。先に述べたように、この操作部(3) にタイマー
(4) を設けることもできる。操作部(3) のスイッチをO
Nにすれば、コイル部(2) のコイルに高周波電流が流
れ、その結果アンカーボルトに渦電流が誘導されてすみ
やかに加熱される。
【0022】加熱時間はたとえば15秒〜1分程度また
はこの加熱の数回の繰り返しで充分であり、これにより
アンカーボルトはたとえば100〜250℃程度に加熱
される。この時点で加熱を停止すれば、以後は放置する
だけで熱伝導によりエポキシ樹脂が硬化していき、常温
に戻る頃にはエポキシ樹脂接着剤の完全硬化がなされて
いる。加熱停止後、完全硬化に至る時間は、たとえば1
0〜50分程度である。
【0023】アンカーボルトの形状、長さに限定はな
く、材質もほとんどの金属アンカー材料が可能であり、
自由度が大である。寸切りボルトや建築用の異形棒鋼を
用いてもよい。開先も不要である。
【0024】〈作用〉コンクリート、岩盤等の設置対象
部に穿孔した孔内に樹脂接着剤を用いてアンカーボルト
を固定するに際し、本発明に従って、樹脂接着剤として
2液硬化型エポキシ樹脂接着剤を用いると共に、アンカ
ーボルトを高周波誘導加熱方式により加熱すれば、ごく
短時間でエポキシ樹脂接着剤が硬化し、確実に所期の強
度が得られる。また2液硬化型エポキシ樹脂接着剤の種
類を選べば、設置対象部が湿潤している場合でも強固な
固定を行うことができる。
【0025】ちなみに、一液硬化型エポキシ樹脂組成物
を用いた場合には、樹脂組成の選択が限られることもあ
り、高周波誘導加熱方式を採用しても、対象個所が湿潤
しているときには所期の固着強度が得られがたい。
【0026】高周波誘導加熱方式によるアンカーボルト
の加熱を、人力による持ち運びが可能な大きさおよび重
量の電源本体部(1) と、アンカーボルトを誘導加熱する
ための把手(2a)付きのコイル部(2) と、ON、OFFを
操作を作業員が手元で行うための操作部(3) とを有する
高周波誘導加熱装置を用いて行うようにすれば、現場で
の施工を円滑に行うことができる。
【0027】
【実施例】次に実施例をあげて本発明をさらに詳細に説
明する。
【0028】実施例1 図1は本発明の方法を実施する際に用いる高周波誘導加
熱装置の一例を示した説明図である。図2は誘導加熱操
作を行うときの状態を示した要部の説明図である。
【0029】〈装置〉図1の高周波誘導加熱装置は、電
源本体部(1) と、コイル部(2) と、操作部(3) とからな
る。
【0030】電源本体部(1) は、人力による持ち運びが
可能な大きさおよび重量を有するコンパクトなものであ
り、仕様の一例は次の通りである。 ・ 商用電源:AC100V、 1.6KVA、50/60
Hz ・ 周波数:20KHz(15〜30KHz間で動作可
能) ・ 出力電力: 1.5KW(3段階切り換え) ・ 冷却方式:空冷 ・ 保護機能:過電流、温度(半導体) ・ 外形寸法:巾350mm、奥行き350mm、高さ23
0mm ・ 重量:10.5kg
【0031】電源本体部(1) には、タイマー(4) を設け
てある。また携帯および移動の便のために、握り部(5)
およびキャスター(6) を設けてある。(7) は、強、中、
弱の3段階切り換えスイッチである。
【0032】コイル部(2) は、アンカーボルトを誘導加
熱するためのものであり、電源本体部(1) との間は約5
メートルの導線(8) で連絡してある。コイル部(2) には
把手(2a)を設けてある。
【0033】操作部(3) は、ONスイッチ(3a)とOFF
スイッチ(3b)とを有し、電源本体部(1) との間は約5メ
ートルの導線(9) で連絡してある。
【0034】〈操作〉コンクリートブロックにドリルに
より直径20mm、深さ130mmの孔を穿孔し、孔内の清
掃を行ってから、孔内に直径16mmの鉄棒(アンカーボ
ルト)を挿入し、さらにその隙間に、ビスフェノールA
型液状樹脂(油化シェルエポキシ株式会社製の「エピコ
ート828」)と脂肪族アミン系硬化剤(エアープロダ
クト社製の「アンカミン2089M」)とを重量比で1
00:40の割合で良く混合したもの(混合後の粘度は
1100cps )23gを注ぎ込んだ。(図2参照)
【0035】ついで、上記の高周波誘導加熱装置のコイ
ル部(2) を鉄棒の頭部側に嵌め込み、また鉄棒には接触
温度計を取り付け、出力電力 1.5KW、発振周波数20
KHzの条件で誘導加熱を行った。鉄棒の温度は、15
秒後には150℃、20秒後には170℃、25秒後に
は200℃になったので、この時点でコイル部(2) を外
して放置した。15分後には常温まで冷却したが、樹脂
部はすでに完全硬化しており、引き抜き試験では鉄棒が
破断した。
【0036】なお、高周波誘導加熱を行わなかったとき
は、完全硬化には少なくとも3時間(気温が25℃以上
の場合)を要した。
【0037】実施例2 湿潤面の場合の硬化性を見るため、孔内に水を注入して
から、実施例1と同様にして、鉄棒の挿入、樹脂の充
填、高周波誘電加熱操作を行った。孔内の隙間の水は樹
脂で置き換えられた。鉄棒の温度は、25秒後には20
0℃になったので、この時点で装置を外して放置した。
30分後には常温まで冷却したが、樹脂部はすでに完全
硬化しており、引き抜き試験では鉄棒が破断した。
【0038】実施例3 コンクリートブロックにドリルにより直径20mm、深さ
130mmの孔を穿孔し、孔内の清掃を行ってから、孔内
に直径16mmの鉄棒(アンカーボルト)を挿入し、さら
にその隙間に、ビスフェノールF型樹脂(エアープロダ
クト社製の「ディックエピクロ830」)と脂環式アミ
ン系硬化剤(エアープロダクト社製の「アンカミン20
75」)とを重量比で100:40の割合で良く混合し
たもの(混合後の粘度は1000cps )23gを注ぎ込
んだ。
【0039】ついで、高周波誘導加熱装置のコイル部
(2) を鉄棒の頭部側に嵌め込み、また鉄棒には接触温度
計を取り付け、出力 1.5KW、発振周波数20KHzの
条件で誘導加熱を行った。鉄棒の温度は20秒後には1
70℃になったので、この時点で装置を外して、樹脂の
発熱をチェックしたところ、2分後に発熱を開始し、1
9分後には樹脂部は完全硬化した。引き抜き試験では鉄
棒が破断した。
【0040】なお、高周波誘導加熱を行わなかったとき
は、完全硬化には少なくとも5時間(気温が25℃以上
の場合)を要した。
【0041】実施例4 湿潤面の場合の硬化性を見るため、孔内に水を注入して
から、実施例2と同様にして、鉄棒の挿入、樹脂の充
填、高周波誘電加熱操作を行った。孔内の隙間の水は樹
脂で置き換えられた。鉄棒の温度は、20秒後には17
0℃になったので、この時点で装置を外して放置した。
30分後には常温まで冷却したが、樹脂部はすでに完全
硬化しており、引き抜き試験では鉄棒が破断した。
【0042】実施例5 コンクリートブロックにドリルにより直径20mm、深さ
130mmの孔を穿孔し、孔内の清掃を行ってから、孔内
に直径16mmの鉄棒(アンカーボルト)を挿入し、さら
にその隙間に、ビスフェノールA型液状樹脂(油化シェ
ルエポキシ株式会社製の「エピコート828」)、水、
ケチミン系硬化剤(ヘンケツ白水株式会社製の「バーサ
ミドK−13」)およびトリエタノールトリアミンを重
量比で100: 0.8:20:2の割合で良く混合したも
の(混合後の粘度は3000cps)23gを注ぎ込ん
だ。
【0043】ついで、高周波誘導加熱装置のコイル部
(2) を鉄棒の頭部側に嵌め込み、また鉄棒には接触温度
計を取り付け、出力 1.5KW、発振周波数20KHzの
条件で誘導加熱を行った。鉄棒の温度は15秒後には1
70℃になったので、この時点で装置を外して放置し
た。20分後には常温まで冷却したが、樹脂部はすでに
完全硬化しており、引き抜き試験では鉄棒が破断した。
【0044】なお、高周波誘導加熱を行わなかったとき
は、完全硬化には少なくとも24時間(気温が25℃以
上の場合)を要した。
【0045】実施例6 湿潤面の場合の硬化性を見るため、孔内に水を注入して
から、実施例5と同様にして、鉄棒の挿入、樹脂の充
填、高周波誘電加熱操作を行った。孔内の隙間の水は樹
脂で置き換えられた。鉄棒の温度は、15秒後には17
0℃になったので、この時点で装置を外して放置した。
20分後には常温まで冷却したが、樹脂部はすでに完全
硬化しており、引き抜き試験では鉄棒が破断した。
【0046】比較例1〜2 A社の120℃×30分硬化タイプ(粘度40000cp
s )の一液硬化型エポキシ樹脂組成物(比較例1)、B
社の150℃×30分硬化タイプ(粘度750cps )の
一液硬化型エポキシ樹脂組成物(比較例2)を用い、実
施例2または4に準じて湿潤面に対するアンカーボルト
の固定を試みた。しかしながら、いずれの場合も、アン
カーボルト側は接着していたが、コンクリート界面で未
硬化となり、引き抜き試験で鉄棒の抜けを生じた。
【0047】実施例7、参考例1 ビスフェノールA型液状樹脂(油化シェルエポキシ株式
会社製の「エピコート828」)、チオコール系硬化剤
(東レ株式会社製の「LP−70」)および第三アミン
系硬化剤(2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチ
ル)フェノール)を重量比で100:60:10の割合
で良く混合したものを用いたほかは、実施例1および2
を繰り返した。
【0048】この場合、乾燥面に対するアンカーボルト
の固定は可能であり、引き抜き試験では鉄棒が破断し
た。しかしながら、湿潤面に対してはコンクリート界面
で未硬化となり、引き抜き試験で鉄棒の抜けを生じた。
【0049】実施例8、参考例2 ビスフェノールA型液状樹脂(油化シェルエポキシ株式
会社製の「エピコート828」)とポリアミノポリアミ
ド系硬化剤(エアープロダクト社製の「アンカマイド3
75A」)とを重量比で100:55の割合で良く混合
したものを用いたほかは、実施例1および2を繰り返し
た。
【0050】この場合、乾燥面に対するアンカーボルト
の固定は可能であり、引き抜き試験では鉄棒が破断し
た。しかしながら、湿潤面に対しては未硬化の部分がで
き、べたつきも残り、引き抜き試験で鉄棒の抜けを生じ
た。
【0051】実施例9、参考例3 ビスフェノールA型液状樹脂(油化シェルエポキシ株式
会社製の「エピコート828」)、メルカプタン系硬化
剤(油化シェルエポキシ株式会社製の「3−800」)
および第3アミン系硬化剤(エアープロダクト社製の
「K−54」)を重量比で100:95:5の割合で良
く混合したものを用いたほかは、実施例1および2を繰
り返した。
【0052】この場合、乾燥面に対するアンカーボルト
の固定は可能であり、引き抜き試験では鉄棒が破断し
た。しかしながら、湿潤面に対しては硬化後の樹脂が柔
らかいため、引き抜き試験で鉄棒の抜けを生じた。
【0053】
【発明の効果】作用の項で述べたように、コンクリー
ト、岩盤等の設置対象部に穿孔した孔内に樹脂接着剤を
用いてアンカーボルトを固定するに際し、本発明に従っ
て、樹脂接着剤として2液硬化型エポキシ樹脂接着剤を
用いると共に、アンカーボルトを高周波誘導加熱方式に
より加熱すれば、ごく短時間でエポキシ樹脂接着剤が硬
化し、確実に所期の強度が得られる。また2液硬化型エ
ポキシ樹脂接着剤の種類を選べば、設置対象部が湿潤し
ている場合でも強固な固定を行うことができる。
【0054】高周波誘導加熱方式によるアンカーボルト
の加熱を、人力による持ち運びが可能な大きさおよび重
量の電源本体部(1) と、アンカーボルトを誘導加熱する
ための把手(2a)付きのコイル部(2) と、ON、OFFを
操作を作業員が手元で行うための操作部(3) とを有する
高周波誘導加熱装置を用いて行うようにすれば、現場で
の施工を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施する際に用いる高周波誘導
加熱装置の一例を示した説明図である。
【図2】誘導加熱操作を行うときの状態を示した要部の
説明図である。
【符号の説明】
(1) …電源本体部、(2) …コイル部、(2a)…把手、(3)
…操作部、(3a)…ONスイッチ、(3b)…OFFスイッ
チ、(4) …タイマー、(5) …握り部、(6) …キャスタ
ー、(7) …切り換えスイッチ、(8), (9)…導線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 八里 統 滋賀県甲賀郡土山町大字南土山乙41番地 高尾金属工業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】設置対象部に穿孔した孔内に樹脂接着剤を
    用いてアンカーボルトを固定するにあたり、前記樹脂接
    着剤として2液硬化型エポキシ樹脂接着剤を用いると共
    に、アンカーボルトを高周波誘導加熱方式により加熱し
    てエポキシ樹脂接着剤の硬化を行うことを特徴とするア
    ンカーボルトの固定方法。
  2. 【請求項2】2液硬化型エポキシ樹脂接着剤が、湿潤状
    態でもアンカーボルトおよび孔内壁面の双方に対して接
    着力を有するタイプの樹脂接着剤である請求項1記載の
    アンカーボルトの固定方法。
  3. 【請求項3】2液硬化型エポキシ樹脂接着剤が、ビスフ
    ェノールA型樹脂またはビスフェノールF型樹脂を主剤
    とし、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミンおよびケチ
    ミンよりなる群から選ばれた化合物を硬化剤とするもの
    である請求項1または2記載のアンカーボルトの固定方
    法。
  4. 【請求項4】高周波誘導加熱方式によるアンカーボルト
    の加熱を、人力による持ち運びが可能な大きさおよび重
    量の電源本体部(1) と、アンカーボルトを誘導加熱する
    ための把手(2a)付きのコイル部(2) と、ON、OFF操
    作を作業員が手元で行うための操作部(3) とを有する高
    周波誘導加熱装置を用いて行うことを特徴とする請求項
    1ないし3のいずれかに記載のアンカーボルトの固定方
    法。
JP17428496A 1996-06-12 1996-06-12 アンカーボルトの固定方法 Pending JPH102020A (ja)

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JP17428496A JPH102020A (ja) 1996-06-12 1996-06-12 アンカーボルトの固定方法

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