JPH10199767A - 電気二重層コンデンサ用炭素材の製造法 - Google Patents
電気二重層コンデンサ用炭素材の製造法Info
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Abstract
と高めた電気二重層コンデンサ用炭素材を製造する方法
を提供することを目的とする。 【解決手段】 石油コークスまたは石炭ピッチコークス
からなる素材を炭化処理することにより、炭化処理後の
性状において揮発分が 1.0〜 5.0重量%でかつ水素と炭
素の原子数比H/Cが0.05〜0.30の条件を満足するよう
になす。ついでその炭化処理後の素材を水酸化カリウム
(KOH)などのアルカリ金属水酸化物で賦活処理す
る。
Description
電気二重層コンデンサ用の炭素材を製造する方法に関す
るものである。
分極性電極材として、種々の炭素質原料からアルカリ賦
活して得られる活性炭を用いる方法が提案されている。
号には、活性炭原料をアルカリ金属の水酸化物浴中70
0℃未満で熱処理して得られる高静電容量炭素質素材に
つき開示がある。ここで活性炭原料としては、一般に活
性炭を製造するための炭素質原料であればいかなるもの
でもよく、その例としてはたとえばヤシ殻、木粉、石
炭、樹脂などがあげられるとしてあり、実施例では、ヤ
シ殻、木粉、石炭、フェノール樹脂を炭化したものを用
いている。アルカリ金属の水酸化物としては、ナトリウ
ム、カリウム、セシウム、リチウムなどの水酸化物が用
いられるとしてあるが、実施例では専ら水酸化ナトリウ
ムを用いている。
ノール樹脂、フラン樹脂およびポリアクリロニトリル樹
脂から選ばれる樹脂を炭化して炭素材とした後、溶融状
態の水酸化カリウムを用いる賦活法で賦活した活性炭を
主体とする分極性電極を用いた電気二重層コンデンサお
よびその製造法が示されている。
フェノール樹脂積層板を粉砕して温度500〜900℃
で炭化処理した後、アルカリ金属水酸化物にて温度40
0〜900℃で賦活処理して得た炭素材からなる電気二
重層キャパシタ用炭素材が示されている。比較例とし
て、石油コークスを用いた場合(ただし炭化はしていな
い)についても示されている。
1/12203号には、原料素材として石油コークスま
たは石炭ピッチコークスについて記載がない。
コークスまたは石炭ピッチコークスを炭化したものを賦
活のために用いることにつき記載がない。なおこの特開
平8−162375号公報の実施例の[0022]の個
所には炭化処理につき言及があるが、これはフェノール
樹脂、フラン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、やしが
ら、おがくずの場合は炭化処理することを意味し、すで
に炭化されている石油コークスをさらに炭化処理するこ
とを意味していない。というのは、この公報の[000
8]における「フェノール樹脂、フラン樹脂及びポリア
クリロニトリル樹脂から選ばれる一種以上を炭化処理し
た炭素材を、溶融状態の水酸化カリウムを用いる賦活処
理法により賦活した活性炭を使用する。」の記載を受け
て、[0009]では「この活性炭は、前記特定の樹脂
を炭化処理して得られた炭素材と水酸化カリウムとを混
合した状態で加熱し、溶融状態の水酸化カリウムの存在
下で炭素材を賦活して得られる。この活性炭は、比表面
積が大きいとともに、『上記石油コークスを溶融水酸化
カリウムを用いる賦活処理法で賦活処理した従来の活性
炭』と比べて表面官能基の濃度が低く、かつ出発原料に
由来する重金属の不純物が少ないという特徴がある。」
とあるからである。
は、石油コークスを水酸化カリウムで賦活した例が示さ
れているが、これは石油コークスを炭化したものを賦活
した例ではない。
ない種々の炭素質原料から炭化処理を経て水酸化カリウ
ム等でアルカリ賦活して得られる活性炭、あるいは石油
コークスの如きすでに炭化されている炭素質原料を水酸
化カリウム等でアルカリ賦活して得られる活性炭を、電
気二重層コンデンサの分極性電極材として用いること
は、すでに試みられていることである。
は、単位容積当りの静電容量がなお低目であり、年々高
まっていく高性能化の要求の下には、電気二重層コンデ
ンサの分極性電極材としてなお改良を図らなければなら
ない。
来に比し静電容量の点でさらに性能を一段と高めた電気
二重層コンデンサ用炭素材を製造する方法を提供するこ
とを目的とするものである。
デンサ用炭素材の製造法は、石油コークスまたは石炭ピ
ッチコークスからなる素材を炭化処理することにより、
炭化処理後の性状において揮発分が 1.0〜 5.0重量%で
かつ水素と炭素の原子数比H/Cが0.05〜0.30の条件を
満足するようになした後、その炭化処理後の素材をアル
カリ金属水酸化物で賦活処理することを特徴とするもの
である。
クスまたは石炭ピッチコークスを用いる。石油コークス
または石炭ピッチコークスを素材として用いることは、
これらが低価格であること、安定して大量に入手できる
ことなどの点で有利である。
を500℃程度の高温で熱分解(コーキング)して得ら
れる固形の炭素を主成分とする製品で、通常の石炭系の
コークスに対して石油コークスと呼ぶ。石油コークスに
はディレード・コーキング法によるものとフルイド・コ
ーキング法によるものとがあり、現在においては前者に
よるものが大半を占めている。本発明においては、この
石油コークスでコーカーから取り出されたままの状態で
ある生石油コークスを用いることができる。ディレード
・コーキング法により生産される生石油コークスは揮発
分が10〜13重量%であり、フルイド・コーキング法
により生産される生石油コークスは揮発分が4〜7重量
%である。本発明においてはいずれの方法による生石油
コークスを用いてもよいが、容易に入手が可能でかつ品
質の安定したディレード・コーキング法により生産され
る生石油コークスが特に好適である。
コールタールが副生する。これを蒸留してタール軽油、
カルボル油、ナフタリン油、洗浄油などを得るが、この
際約70%が釜残のコールタールピッチとなる。このコ
ールタールピッチを炭化したものが石炭ピッチコークス
(単にピッチコークスとも言う)であり、現在では石油
コークスと同じくほとんどディレード・コーキング法で
作られる。このディレードコーカーから出てきた石炭ピ
ッチコークスが生ピッチコークス(生コークスとも言
う)であり、揮発分はたとえば5,6重量%から10重
量%程度である。本発明においては、このディレードコ
ーカーから出てきた生ピッチコークスである石炭ピッチ
コークスを用いることができる。
の素材を炭化処理することにより、炭化処理後の性状に
おいて揮発分が 1.0〜 5.0重量%(好ましくは 1.1〜
4.0重量%)でかつ水素と炭素の原子数比H/Cが0.05
〜0.30(好ましくは0.06〜0.27)である条件の双方を満
足するようになす。炭化処理を行っても、揮発分が 5.0
重量%を越えていたり、H/Cの原子数比が0.30を越え
ていたりするときは、たとえどちらか一方が上記の範囲
にあっても、静電容量の向上の目的を充分には達しえな
い。また揮発分が 0.1重量%未満の場合や、水素と炭素
の原子数比H/Cが0.05未満の場合は、たとえどちらか
一方が上記の範囲内にあっても、炭化が過多になって、
やはり静電容量の向上の目的を充分には達しえない。
材を不活性ガス雰囲気下に温度550〜900℃(好ま
しくは600〜900℃、さらに好ましくは650〜8
50℃)で加熱処理することによりなされる。加熱処理
温度が余りに低いとき、あるいは余りに高いときには、
静電容量の大きな炭素材が得られがたい。
子数比H/Cの条件の双方を満足するように炭化処理を
行った後は、その炭化処理後の素材をアルカリ金属水酸
化物で賦活処理する。
て行われる。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化カ
リウムが特に好適であり、そのほか、水酸化ナトリウ
ム、水酸化リチウム、水酸化セシウムなどを用いること
もできる。
合は、重量比で、1:0.5 〜1:10(好ましくは1:
1〜1:5)とすることが多い。アルカリ金属水酸化物
の過少は賦活不足を招き、その過多は得られる炭素材
(活性炭)の脆化を招く。
物の固体またはその水溶液を用いる。固体を用いるとき
は、アルカリ金属水酸化物が吸湿性であることから、保
管に際して空気中の湿分を遮断する必要があり、また賦
活前の原料と均等に混ぜる操作が必要である。アルカリ
金属水酸化物の水溶液を用いるときは、市販されている
水溶液を用いて、その水溶液に賦活前の原料を混入する
だけでよい。ただし高温で賦活処理を行うので、その水
溶液の水分を飛ばすだけの熱量をより多く必要とする。
そこで、市販されている水溶液のうち最大の濃度のもの
を用いることが好ましい。
ましくは600〜900℃、さらに好ましくは700〜
900℃が適当であり、温度が余りに低いときは静電容
量の大きな炭素材が得られがたく、一方温度が余りに高
いときには装置の材質に大きな制約が加わるので実際的
でなくなる。
水、粉砕、造粒などの精製工程や二次加工工程に供す
る。
BET比表面積が200〜2000m2/g程度、細孔容積
が0.15〜0.80ml/g程度であるが、比表面積や細孔容積の
値の如何にかかわらず、静電容量の大きな電気二重層コ
ンデンサ用炭素材として好適に用いることができる。
上記で得た炭素材の粉末品、導電材料、バインダーおよ
び溶媒を混合してペースト状の混合物を調製してからシ
ート状に成形して電極材料となし、該シート2枚をセパ
レータを介して重ねて外装容器に収容し、この中に電解
液を注入する方法、(b) 上記で得た炭素材の粉末品と電
解液との混合物を調製してペースト状となし、これをセ
パレータを介在させた状態で外装容器に収容する方法、
(c) 上記で得た炭素材の粉末品に樹脂系粉末品(たとえ
ばフェノール樹脂)を混合した後、高温(600〜10
00℃)で熱処理して炭素成形体を作り、電解液を含浸
させて、これをセパレータを介在させた状態で外装容器
に収容する方法をはじめ、従来採用されている各種の方
法により作製される。電解液としては、水溶液系電解液
や非水溶媒系電解液が用いられる。
二重層コンデンサ用炭素材は、石油コークスまたは石炭
ピッチコークスからなる素材を用い、該素材を炭化処理
することにより炭化処理後の性状において揮発分が 1.0
〜 5.0重量%でかつ水素と炭素の原子数比H/Cが0.05
〜0.30の条件の双方を満足するようになした後、その炭
化処理後の素材をアルカリ金属水酸化物で賦活処理する
ことにより得ている。
ークスからなる素材を炭化処理したときの揮発分および
H/Cの変遷を模式的に示したグラフであり、縦軸が揮
発分VM、横軸が水素と炭素の原子数比H/Cである。
素材の段階の石油コークスまたは石炭ピッチコークスの
特性値は図1の右上寄りにあるが、それを炭化していく
と特性値はしだいに図の左下の方に移行し、炭化を徹底
的に行うと左下のカルサインコークスとなる。そして電
気二重層コンデンサ用にとって好適な炭素材は、図1の
左下寄りに四角で示した特定の領域内にまで炭化を行っ
た後、その炭化物をアルカリ金属水酸化物で賦活処理し
たものである。
理由は、石油コークスまたは石炭ピッチコークスを用
い、炭化処理により結晶化を適度に進ませ、さらにそれ
をアルカリ金属賦活という特定の賦活法により炭素材
(活性炭)となしているため、電圧印加において活性炭
表面の電子の流れが良くなり、電気二重層に有効に活用
される界面が増大したためと思われる。
る。以下「部」、「%」とあるのは重量基準で示したも
のである。
サコ社製のディレード生石油コークス)および石炭ピッ
チコークス(三菱化学株式会社製の生ピッチコークス)
を、窒素ガス雰囲気下に、後述の表1に記載の所定の温
度で所定時間炭化処理し、得られた炭化物の揮発分およ
び水素と炭素の原子数比H/Cを測定した。
のための炭化処理を行う前の素材)100部を、水酸化
カリウム(KOH)の48%濃度の水溶液にKOHが1
50部、170部、200部または300部となるよう
に混合して混合物を調製し、窒素ガス雰囲気下に温度8
00℃で4時間または24時間賦活反応を行った。賦活
反応後は、得られた炭素材(活性炭)をアルカリ洗浄お
よび酸洗浄して該炭素材に含まれる金属を充分に除去
し、ついで乾燥した。
性炭)を平均粒径10〜15μm に粉砕し、130℃で
一夜乾燥した。この炭素材4g(80%)、ポリテトラ
フルオロエチレン粉末 0.5g(10%)およびカーボン
ブラック 0.5g(10%)を混練機に仕込み、乾燥状態
のままペースト状態になるまで2時間以上混練した。つ
いでミニブレンダーで粉砕し、500μm のステンレス
鋼製篩でふるって粒度を揃えた。次に、直径1インチの
金型を用い、プレス後の厚みが 0.5mmになるように仕込
み量を調節し、500kg/cm2の圧力でプレス成型して、
電極を作製した。
した後、グローブボックス内で有機電解液(テトラエチ
ルアンモニウムテトラフルオロボレートのプロピレンカ
ーボネート溶液、1モル/リットル)を真空含浸させ
た。ついでグローブボックス内で、図2に示したセルを
組み立てた。セルを構成する各部材の意味は図2に付記
してある。なおセパレータとセパレータ間の電極は、充
電に必要な電解液を供給するために設けた。グローブボ
ックス内で手締めしたセルに、50kg/cm2の圧をかけた
状態でさらに手締めした。
0mAの定電流で 3.5Vの電圧まで充電し、その後 3.5V
の定電圧充電に切り換えた後、充電開始1時間後に10
mAの定電流放電を行った。放電後の電流密度は1.88mA/c
m2である。静電容量は、放電時のエネルギー量から、W
=CV2 /2(Cは静電容量(F/cm3) 、Vは電圧(V) )
の式により算出した。
の特性と賦活条件、および静電容量の測定結果を、下記
の表1に示す。表1に関する注釈は次の通りである。 ・ 「実」は実施例、「比」は比較例である。 ・ 「PCD 」は石油コークス(ディレード生石油コー
クス)、「PCF 」は石油コークス(フルイド生石油コ
ークス)、「PCC 」は石油コークス(カルサイン)、
「CPC」は石炭ピッチコークスである。 ・ 「H/C」は水素/炭素原子数比、「KOH/C」
は素材に対するKOHの重量比である。 ・ 比較例1〜2は、炭化処理は行ったものの、炭化物
の特性が本願規定の範囲から外れる場合である。 ・ 比較例3〜6と比較例8〜9は、炭化処理を行って
いないものを賦活処理した場合である。比較例7は、す
でに炭化が完全に行われている市販のカルサインコーク
スを用いた場合である。なお比較例3〜9においては、
入手した素材につき特別の炭化処理を行っていないが、
素材の特性を便宜上「炭化物の特性」の欄に記載してあ
る。
炭ピッチコークスを炭化処理して揮発分が 1.0〜 5.0%
以下で水素と炭素の原子数比H/Cが0.05〜0.30の条件
を満足するようにしたときは(実施例1〜8)、大きな
静電容量が得られることがわかる。ただし、炭化処理を
行っても、揮発分または水素と炭素の原子数比H/Cが
上記の条件を満たさないときは、静電容量の向上が望み
えない(比較例1〜2)。また石油コークスまたは石炭
ピッチコークスを素材として用いても、炭化処理を経る
ことなくKOH賦活したときには、やはり静電容量の向
上が望みえない(比較例3〜6、比較例8〜9)。比較
例7は石油コークス(カルサイン)を素材として用いた
ものであるが、すでに炭化が進みすぎているため、これ
をKOH賦活しても静電容量は極めて小さい。
ール樹脂を温度700℃で4時間炭化して揮発分 3.0重
量%、H/C 3.0とした後、温度800℃、KOH/C
= 1.7でKOH賦活したときは、静電容量の測定結果は
20.7F/cm3 にすぎなかった。
CV2 /2で表わされるエネルギー密度が高く、電気二
重層コンデンサ用炭素材としてすぐれている。従って、
本発明によれば、従来のこの目的の炭素材に比し、静電
容量の点でさらに性能を一段と高めることができる。
る素材を炭化処理したときの揮発分VMおよび水素と炭
素の原子数比H/Cの変遷を模式的に示したグラフであ
る。
用のセルの構造図である。
Claims (1)
- 【請求項1】石油コークスまたは石炭ピッチコークスか
らなる素材を炭化処理することにより、炭化処理後の性
状において揮発分が 1.0〜 5.0重量%でかつ水素と炭素
の原子数比H/Cが0.05〜0.30の条件を満足するように
なした後、その炭化処理後の素材をアルカリ金属水酸化
物で賦活処理することを特徴とする電気二重層コンデン
サ用炭素材の製造法。
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JP00063897A JP4113596B2 (ja) | 1997-01-07 | 1997-01-07 | 電気二重層コンデンサ用炭素材の製造法 |
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