JPH10195366A - 消去可能なインキを充填したボールペン - Google Patents

消去可能なインキを充填したボールペン

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JPH10195366A
JPH10195366A JP9003259A JP325997A JPH10195366A JP H10195366 A JPH10195366 A JP H10195366A JP 9003259 A JP9003259 A JP 9003259A JP 325997 A JP325997 A JP 325997A JP H10195366 A JPH10195366 A JP H10195366A
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    • C09D11/00Inks
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 筆記後に消しゴムによって消去可能なインキ
を充填したボールペンを提供する。 【解決手段】 ボールペンに、0℃以下の造膜温度若し
くは0℃以下のガラス転移温度を有する樹脂、顔料粒
子、および水を含有するインキを充填してなることを特
徴とする消去可能なインキ2を充填したボールペン6。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、筆記後に消しゴム
によって消去可能なインキを充填したボールペンに関す
る。
【0002】
【従来の技術】これまでの消しゴムによって消去可能な
インキを充填したボールペンは、筆跡を消去可能にする
ためにインキの着色材として顔料をゴム状物質と併用し
て100万〜600万cPsという極めて高いインキ粘
度にすることにより実現させていた。このような方法で
あると、筆記感が重く且つインキの出が悪いため描線濃
度が薄いという欠点があった。この欠点を単純に解決し
ようとしてインキの粘度を低下させてインキの出を良く
することが考えられるが、インキの粘度を低下させると
インキが紙面に浸透しやくなり筆跡の消去性が著しく悪
くなる欠点を生じる。
【0003】そこで、これらの欠点を解決するためにゴ
ム成分とこれを溶解させる揮発性溶剤と溶解させない非
揮発性溶剤及び顔料からなるインキ組成物に更に微細粒
径でインキ成分に対して不活性な無機化合物及び/又は
半固状物質又は/及び融点が約130℃以下の軟質固体
物質を添加したボールペンインキがなされている。
【0004】このインキは、筆記時には比較的インキ粘
度が低くインキの流出を良くすることができ且つ、筆記
後はインキ組成中の揮発性溶剤が揮発し紙面に乗ったイ
ンキは極めて高い粘度に達することにより紙面へのイン
キの浸透が抑制され、消しゴム消去性は十分ではないが
可能にしたものであり、これらは揮発性溶剤にn−ヘキ
サン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソヘキサン、な
どの脂肪族炭化水素、ソルベントナフサ、ヘビ−ナフ
サ、ケロシン、リグロインなどの石油系溶剤、ベンゼ
ン、キシレン、トルエンなどの芳香族炭化水素及びこれ
らの混合溶剤を使用し、非揮発性溶剤にはDOP、DO
A、DBPなどの可塑剤が主成分として用いられており
人体に対して極めて有害な溶剤類を使用している。ま
た、このインキの溶剤系はゴム成分を溶解させる為に一
般に非極性溶剤が中心となり表面張力の低い溶剤系とな
る。
【0005】このために、インキの一部は揮発前に素早
く紙面内に浸透してしまう。一度浸透してしまったイン
キは消しゴムでは容易に消去できなくなるために消しゴ
ム消去性が不十分であるという欠点を有していた。その
他にも、種々の組成のボールベン用消去性インキが提案
されているが、これらも消去性は不十分であって、所望
の効果を奏するには、至っていないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
欠点を改良することであり、書き味、インキ流出性、消
去性、安全性に優れた消去可能なインキを充填したボー
ルペンを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意研究を
重ねた結果、特定の造膜温度、もしくはガラス転移温度
を有する樹脂をエマルジョン、ラテックスの状態で配合
することによりインキを低粘化させ、書き味、インキ流
出性、消去性と安全性が大幅に向上する水性のインキを
充填したボールペンを得ることに成功しし、本発明を完
成するに至ったのである。すなわち、本発明の消去可能
なインキを充填したボールペンは、ボールペンに0℃以
下の造膜温度もしくは0℃以下のガラス転移温度を有す
る樹脂、顔料粒子、および水を含有するインキを充填し
てなることを特徴とするものである。好ましくは、さら
にゲル化剤、潤滑剤を添加することからなる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を詳
しく説明する。本発明の消去可能なインキを充填したボ
ールペン(以下、「本発明のボールペン」という)のイ
ンキに用いる樹脂は、0℃以下の造膜温度もしくは0℃
以下のガラス転移温度を有する。0℃を越える造膜温度
もしくは0℃を越えるガラス転移温度を有する樹脂を使
用した場合は、筆記描線の樹脂膜が硬く、脆いため消し
ゴムで擦った場合、筆記描線の樹脂膜を破壊しにくく、
更に擦って破壊しても紙の繊維間に顔料を包み込んだ樹
脂が残留するため、消去性は満足できない。
【0009】インキ組成中に占める樹脂の量は、2〜5
0重量%、好ましくは、20〜30重量%の範囲で便用
される。この樹脂の量が2重量%未満であるとインキの
消去性を発揮することができず、また、樹脂の量が50
重量%を越えると、筆記中に樹脂の造膜に伴う糸引きが
発生しやすくなり実用的ではない。
【0010】具体的な樹脂としては、次に示すものから
選択して、単独もしくは二種以上混合して用いられる。
例えば、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプ
レンゴム、アクリロニトリルとブタジエンとの共重合物
とのニトリルゴム、イソブチレンとイソプレンとの共重
合体であるブチルゴム、シス−1,4−ポリイソプレ
ン、アクリル酸の各種のエステルのゴム状重合体(アク
リルゴム)、多硫化系ゴム、エチレン・ブロピレンゴ
ム、ウレタンゴムなどのゴム状物質、スチレン・アクリ
ルニトリル共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・
スチレン三元共重合体、アクリロニトリル・塩化ビニリ
デン共重合体などのアクリルニトリル系共重合体、塩化
ビニル系重合体、塩化ビニリデン系重合体などビニル塩
化物重合体、酢酸ビニル重合体、酢酸ビニル−エチレン
重合体、酢酸ビニル−エチレン−塩化ビニル重合体、酢
酸ビニルマレート重合体などの酢酸ビニル系重合体、ポ
リブテン、ポリエチレンなどのポリオレフィンなどを挙
げることができる。
【0011】本発明のインキに用いる樹脂を更に詳しく
説明すると、上記した重合体のラテックス、エマルジョ
ンの状態で水と共に用いることのできる樹脂が好まし
い。例えば、スチレンブタジエンラテックス(SB
R)、アクリルニトリルブタジエンラテックス(NB
R)、ビニルピリジン共重合体ラテックス(VP)、メ
チルメタクリレートブタジエンラテックス(MBR,A
BR)、アクリレートラテックス(AR)、クロロプレ
ンラテックス(CR)、イソプレンラテックス(I
R)、ブチルラテックス(IIR)、チオコールラテッ
クス、ウレタンラテックス、天然ゴムラテックス(N
R)などを挙げることができる。これらのラテックス、
エマルジョンを構成する乳化剤は、非イオン性界面活性
剤又は陰イオン性界面活性剤であることが好ましい。乳
化剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グ
リセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステ
ル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレ
ンソルビタン脂肪酸エステル、ボリオキシエチレンソル
ビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン
脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルポリオキシエ
チレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオ
キシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエ
チレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリ
ン・アルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレン
アルキルアミン・脂肪酸アミドなどの非イオン性界面活
性剤、または、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンア
ルキルエーテル硫酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−ア
シルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル
リン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸
塩などの陰イオン性界面活性剤から選ばれた界面活性剤
を1種又は2種以上混合してなるものが挙げられる。
【0012】本発明のボールペンのインキには、ゲル化
剤を添加することが好ましい。このゲル化剤を配合する
ことにより、インキの紙への浸透を抑制させ、消しゴム
消去性を更に向上させることできる。ゲル化剤として
は、例えば、多糠類、セルロース誘導体、デンブン誘導
体、アクリル系樹脂、アクリルニトリル樹脂、ポリアル
キレングリコールなどの天然樹脂、合成高分子からなる
水溶性高分子等が挙げられ、これらは単独もしくは二種
類以上混合して使用される。
【0013】具体的には、グルコース、ガラクトース、
ラムノース、マンノース、カラギーナン、ペクチン酸、
ペクニチン酸、アルギン酸、プロテオグリカン、グリコ
プロテイン、ジュランガム、アガロース、カードラン及
びグルクロン酸塩等の単糖類から構成されるグアーガ
ム、ウエランガム、ラムザンガム、キサンタンガム、ポ
リビニルアルコール、ポリビニルアルコールとポリアク
リル酸の混合系、ポリビニルアルコールとポリアクリル
酸とポリアリルアミンの混合系、ポリメタクリル酸とポ
リエチレングリコールの混合系、ポリビニルベンジルト
リメチルアンモニウムクロリド(PVBMA)とポリメ
タクリル酸ナトリウムの混合系、ポリビニルベンジルト
リメチルアンモニウムクロリド(PVBMA)とポリス
チレンスルホン酸ナトリウムの混合系、ポリカルボン酸
やポリスチレンスルホン酸とアルカリ金属やアルカリ土
類全属の混合系などが挙げられる。ゲル化剤の量は、イ
ンキ組成中0〜20重量%、好ましくは、0.2〜5重
量%の範囲で便用される。このゲル化剤の量が20重量
%を越えると、筆記時のインキのゾル化ができなくなり
インキの流動性が悪くなり、充分なインキ流出ができな
くなり、好ましくない。
【0014】本発明のボールペンのインキに用いる潤滑
剤は、O/W型エマルジョンの状態であり、エマルジョ
ン中の油は脂肪酸、高級アルコール、炭化水素油、油脂
類や合成潤滑油などO/W型のエマルジョン化が可能な
油が使用される。具体的には、オレイン酸、ステアリン
酸、リノール酸などの脂肪酸類、椰子油、オリーブ油、
ひまし油、牛脂などの油脂類、オレイルアルコール、イ
ソステアリルアルコール、セチルアルコールなどの高級
アルコール類、鉱物油、スクワラン、ポリブテン、流動
パラフィンなどの炭化水素油などが挙げられる。潤滑剤
中のO/W型エマルジョンを構成する乳化剤としては、
ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステ
ル、デカグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂
肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エ
ステル、ボリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポ
リエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチ
レンアルキルエーテルポリオキシエチレンポリオキシプ
ロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポ
リオキシエチレンラノリン・ラノリン・アルコール・ミ
ツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂
肪酸アミドなどの非イオン性界面活性剤、または、アル
キル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸
塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシルメチルタウリン
塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、α−
オレフィンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテルリン酸塩などの陰イオン性
界面活性剤から選ばれた界面活性剤から選ばれた1種又
は2種以上が挙げられる。潤滑剤における油の配合量
は、インキ組成中0〜10重量%、好ましくは、1〜5
重量%の範囲で便用される。また、潤滑剤中のO/W型
エマルジョンを構成する乳化剤の量は、油の配合量によ
り決定され、油の配合量に対して0.1〜200重量
%、好ましくは、1〜100重量%の範囲で便用され
る。
【0015】本発明のボ−ルペンのインキに用いる顔料
粒子は、通常、筆記具のインキにおいて使用されている
一般的な顔料が使用されるが、顔料粒子の粒子径は10
μm以下であることが好ましい。顔料粒子の粒子径が1
0μmを越えると、ボ−ルペンチップのボールと受け座
との隙間より顔料粒子径が大きくなり、物理的にインキ
の流出ができなくなる不都合を生じる。便用できる顔料
をカラーインデックス(C.I.)番号により例示すれ
ば、無機顔料では、ピグメントブラック6、7、9、1
0、11、ピグメントレッド101、105、106、
107、108、ピグメントブルー27、28、29、
35、ピグメントグリーン17、18、19、21、ピ
グメントホワイト6、ピグメントイエロー42、有機顔
料では、ピグメントブラックl、ピグメントレッドl、
2、3、4、5、6、7、9、12、22、ビグメント
バイオレット19,ピグメントブルーl、2、15、1
5:3、15:4、16、17、ピグメントグリーン
2、7、8、10ピグメントイエロー1,3、などが便
用される。具体的には、酸化チタン、黄色酸化鉄、赤色
酸化鉄、カーボンブラック、キナクリドンレッド、モノ
アゾエロー、フタロシアニンブルーなどである。顔料粒
子の配合量は、インキ組成中1〜50重量%、好ましく
は、3〜30重量%の範囲で便用される。
【0016】本発明のボールペンのインキに用いる水の
配合量は、インキ組成中15〜98重量%であり、イオ
ン交換水、蒸留水が使用される。いずれにしても、使用
するボールペンの機溝や所望する描線濃度を考慮した配
合組成にすることが望ましい。
【0017】本発明のボールペンのインキには、前記成
分に加え、更に通常筆記具インキ組成物に使用される他
の添加剤、例えば、防菌剤、PH調整剤、有機溶剤とし
てエチレングルコール、ジエチレングルコール、ポリア
ルキレングリコール、プロピレングリコール、グリセリ
ンなど水可溶の有機溶剤を必要に応じて配合することが
できる。
【0018】本発明のボールペンは、前記成分、並び
に、前記通常筆記具インキ組成物に使用される他の添加
剤を充填してなるものであるが、ボールペン自体の構
造、形状は何等限定されるものではない。例えば、図1
に示すように、軸筒1内に消去可能なインキ2を充填し
たインキ収容管3を有し、該インキ収容管3はボール弁
からなるインキ逆流防止機構部4、ボール5aを備えた
チップ体5に連通されたボールペン6が挙げられる。好
ましくは、ボールペンのボール径は0.3mm〜2.0
mmからなることが望ましい。この範囲のボール径を使
用したボールペンとすることにより、更に良好な書き
味、インキ流出性を得ることができる。
【0019】本発明のボールペンが、良好な消去性を有
する理由は、含有する0℃以下のガラス転移温度を有す
る樹脂の持つ柔軟性とゲル化剤によるゲル状態インキと
の相互作用により紙面内にインキが浸透しづらく紙面内
にインキを浸透させることなく紙面上に容易に樹脂を造
膜することができかつ容易に破壊することができるから
である。また、マトリックス溶剤を無害な水から構成さ
れているため、描線を筆記した際にも有害な揮発成分は
なく安全性に優れているのである。更に、潤滑剤をエマ
ルジョン状態で含有させることによりチップ摩耗が少な
く軽いタッチで筆記が可能となる。
【0020】
【実施例】以下、実施例にて本発明の消去可能なインキ
を充填したボールペンについて更に詳述するが、本発明
はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0021】(実施例1)下記の成分を配合して、本実
施例のボールペンに充填する消去可能なインキを得た。 樹脂:スチレン・ブタジエン系ラテックス 14.40重量部 (日本ゼオン(株)製:商標「Nipol LXll0」、 ガラス転移温度−50℃,固形分40.5%) スチレン・ブタジエン系ラテックス 7.20重量部 (日本ゼオン(株)製:商標「Nipol 2570×5」、 ガラス転移温度−20℃,固形分41%) 潤滑剤:オレイン酸 0.95重量部 ポリグリセリンポリリシノレート 0.05重量部 (坂本薬品工業(株)製:商標「CR-310」) 顔料粒子:カーボンブラック (三菱化学(株)製:商標「MCF一88」、 1.68重量部 平均粒子径0.15μm) 界面活性剤:ポリオキシエチレンオレイルエーテル 0.01重量部 (日光ケミカルズ(株)製:商標「B0-10TX」) ゲル化剤:キサンタンガムとローカストピーンガムの混合系0.50重量部 溶剤:ポリオキシエチレングリコール 0.56重量部 水(イオン交換水) 7.21重量部
【0022】この消去可能なボールペン用インキは、ま
ず、上記スチレン・ブタジエン系ラテックスを所定量混
合し、これにオレイン酸とポリグリセリンポリリシノレ
ートを均一に混合した潤滑剤を加えて高速ディスパーで
高速撹拌しインキ成分Aを得た。次に、カーボンブラッ
ク、界面活性剤、溶剤、水を加え混合撹拌した後、ダイ
ノミルにて均一分散させインキ成分Bを得た。得られた
インキ成分A,Bを所定量添加し再度高速撹拌してイン
キ成分Cを得た。得られたインキ成分Cに所定量のゲル
化剤を添加して低速回転で充分均一溶解させて消去可能
なボールペンのインキを得た。
【0023】(実施例2)下記の成分を配合して、本実
施例のボールペンに充填する消去可能なインキを得た。 樹脂:スチレン・ブタジエン系ラテックス 14.40重量部 (日本ゼオン(株)製:商標「Nipol LXll0」 ガラス転移温度−50℃,固形分40.5%) スチレン・ブタジエン系ラテックス 7.20重量部 (日本ゼオン(株)製:商標「Nipol 2570×5」 ガラス転移温度−20℃,固形分41%) 潤滑剤:オレイン酸 0.95重量部 ポリグリセリンポリリシノレート 0.05重量部 (坂本薬品工業(株)製:商標「CR-310」 顔料粒子:フタロシアニンブルー (大日精化(株)製:平均粒子径0.1μm、 商標「chromofine Blue 4920」) 4.00重量部 界面活性剤:ポリオキシエチレンオレイルエーテル 0.01重量部 (日光ケミカルズ(株)製:商標「BO-10TX」) ゲル化剤:カラギーナン 0.50重量部 溶剤:エチレングリコール 0.56重量部 水(イオン交換水) 7.21重量部
【0024】この消去可能なボールペン用インキは、ま
ず、上記スチレン・ブタジエン系ラテックスを所定量混
合し、これにオレイン酸とポリグリセリンポリリシノレ
ートを均一に混合した潤滑剤を加えて高速ディスパーで
高速撹拌しインキ成分Dを得た。次に、フタロシアニン
ブル−、界面活性剤、溶剤、水を加え混合撹拌した後、
ダイノミルにて均一分散させインキ成分Eを得た。得ら
れたインキ成分D,Eを所定量添加し再度高速撹拌して
インキ成分Fを得た。得られたインキ成分Fに所定量の
ゲル化剤を添加して低速回転で充分均一溶解させて消去
可能なボールペンのインキを得た。
【0025】(実施例3)下記の成分を配合して、本実
施例のボールペンに充填する消去可能なインキを得た。 樹脂:スチレン・ブタジエン系ラテックス 14.40重量部 (日本ゼオン(株)製:商標「Nipol LXll0」 ガラス転移温度−50℃,固形分40.5%) スチレン・ブタジエン系ラテックス 7.20重量部 (日本ゼオン(株)製:商標「Nipol 2570×5 ガラス転移温度−20℃,固形分41%) 潤滑剤:オレイン酸 0.95重量部 ポリグリセリンポリリシノレート 0.05重量部 (坂本薬品工業(株)製:商標「CR-310」 顔料粒子:キナクリドンレッド (大日本インキ(株)製:平均粒子径0.2μm、 商標「Fastogen Super Red BN」) 1.68重量部 界面活性剤:ポリオキシエチレンオレイルエーテル 0.01重量部 (日光ケミカルズ(株)製:商標「B0-10TX」) ゲル化剤:キサンタンガムとローカストビーンガムの混合系0.50重量部 溶剤:ポリオキシエチレングリコール 0.56重量部 水(イオン交換水) 7.21重量部
【0026】この消去可能なボールペン用インキは、ま
ず、上記スチレン・ブタジエン系ラテックスを所定量混
合し、これにオレイン酸とポリグリセリンポリリシノレ
ートを均一に混合した潤滑剤を加えて高速ディスパーで
高速撹拌しインキ成分Gを得た。次に、キナクリドンレ
ッド、界面活性剤、溶剤、水を加え混合撹拌した後、ダ
イノミルにて均一分散させインキ成分Hを得た。得られ
たインキ成分G,Hを所定量添加し再度高速撹拌してイ
ンキ成分Iを得た。得られたインキ成分Iに所定量のゲ
ル化剤を添加して低速回転で充分均一溶解させて消去可
能なボールペンのインキを得た。
【0027】上記実施例1〜3で得られたインキをそれ
ぞれボールペン(三菱鉛筆(株)製のUM−100、ボ
ール径0.5mm、図1参照)に充填して消去可能なイ
ンキを充填したボールペンを得た。これらのボールペン
で紙面に筆記したところ、軽い書き味で充分な描線濃度
の描線が得られた。得られた描線を消しゴムにて擦った
ところ、良好な消しゴム消去性を示した。
【0028】
【発明の効果】本発明の消去可能なインキを充填したボ
ールペンは、インキがゲル状であるが筆記時にはボール
とのせん断により容易にゾル化してインキが低粘化する
ためインキ流出性に優れ、しかも、紙面に転写したイン
キは再び容易にゲル化するために紙面に対する浸透性が
抑制されるため紙面上に容易に樹脂膜を形成することが
できる。得られた樹脂膜は、樹脂の持つ柔軟性により、
描線膜を容易に破壊できるため消しゴム消去性に優れ
る。更に、マトリックス溶剤が無害な水から構成されて
いるため描線を筆記した際にも有害な揮発成分はなく安
全性に優れる。更にまた、潤滑剤をO/W型エマルジョ
ンの状態で含有するインキを充填したボールペンは、更
に潤滑剤の作用により軽い書き味で筆記できるものとな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の消去可能なインキを充填したボールペ
ンの一例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 軸筒 2 消去可能なインキ 3 インキ収容管 4 インキ逆流防止機構部 5a ボール 5 チップ体 6 ボールペン

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボールペンに、0℃以下の造膜温度若し
    くは0℃以下のガラス転移温度を有する樹脂、顔料粒
    子、および水を含有するインキを充填してなることを特
    徴とする消去可能なインキを充填したボールペン。
  2. 【請求項2】 樹脂が、天然ゴム、スチレンブタジエン
    ゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルとブタジエ
    ンとの共重合物とのニトリルゴム、イソブチレンとイソ
    プレンとの共重合体であるブチルゴム、シス−l,4−
    ポリイソプレン、アクリル酸の各種のエステルのゴム状
    重合体(アクリルゴム)、多硫化系ゴム、エチレン・プ
    ロピレンゴム、ウレタンゴムなどのゴム状物質、スチレ
    ン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル・ブ
    タジエン・スチレン三元共重合体、アクリロニトリル・
    塩化ビニリデン共重合体などのアクリルニトリル系共重
    合体、塩化ビニル系重合体、塩化ビニリデン系重合体な
    どのビニル塩化物重合体、酢酸ビニル重合体、酢酸ビニ
    ル−エチレン重合体、酢酸ビニル−エチレン−塩化ビニ
    ル重合体、酢酸ビニルマレート重合体などの酢酸ビニル
    系重合体、ポリブテン、ポリエチレンなどのポリオレフ
    ィンから選ばれたラテックス、エマルジョンの状態であ
    るインキを充填してなる請求項1記載の消去可能なイン
    キを充填したボールペン。
  3. 【請求項3】 ラテックス、エマルジョンを構成する乳
    化剤が非イオン性界面活性剤又は陰イオン性界面活性剤
    であるインキを充填してなる請求項1又は2記載の消去
    可能なインキを充填したボールペン。
  4. 【請求項4】 乳化剤がソルビタン脂肪酸エステル、グ
    リセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステ
    ル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレ
    ンソルビタン脂肪酸エステル、ボリオキシエチレンソル
    ビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン
    脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステ
    ル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルポリオキシエ
    チレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオ
    キシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエ
    チレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリ
    ン・アルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレン
    アルキルアミン・脂肪酸アミドなどの非イオン性界面活
    性剤、または、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンア
    ルキルエーテル硫酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−ア
    シルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエ
    ーテル酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル
    リン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸
    塩などの陰イオン性界面活性剤から選ばれた界面活性剤
    を1種又は2種以上混合してなるインキを充填してなる
    請求項1〜3の何れか一つに記載の消去可能なインキを
    充填したボールペン。
  5. 【請求項5】 ゲル化剤を添加したインキを充填してな
    る請求項1〜4の何れか一つに記載の消去可能なインキ
    を充填したボールペン。
  6. 【請求項6】 ゲル化剤が、多糖類、セルロース誘導
    体、デンプン誘導体、アクリル系樹脂、アクリルニトリ
    ル樹脂、ポリアルキレングリコールなどの天然樹脂、合
    成高分子からなる水溶性高分子であるインキを充填して
    なる請求項1〜5の何れか一つに記載の消去可能なイン
    キを充填したボールペン。
  7. 【請求項7】 潤滑剤をO/W型エマルジョンの状態で
    含有するインキを充填してなる請求項l〜6の何れか一
    つに記載の消去可能なボールペン用インキ組成物。
  8. 【請求項8】 潤滑剤中のO/W型エマルジョンを構成
    する油が脂肪酸、高級アルコール、炭化水素油、油脂類
    や合成潤滑油などO/W型のエマルジョン化が可能な油
    を1種又は2種以上混合してなるインキを充填してなる
    請求項l〜7の何れか一つに記載の消去可能なボールペ
    ン用インキ組成物。
  9. 【請求項9】 潤滑剤中のO/W型エマルジョンを構成
    する乳化剤がソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂
    肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステル、ポリグ
    リセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタ
    ン脂肪酸エステル、ボリオキシエチレンソルビット脂肪
    酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エス
    テル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオ
    キシエチレンアルキルエーテルポリオキシエチレンポリ
    オキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレ
    ンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマ
    シ油、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリン・アルコ
    ール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルア
    ミン・脂肪酸アミドなどの非イオン性界面活性剤、また
    は、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエー
    テル硫酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシルメチル
    タウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸
    塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、
    ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩などの陰
    イオン性界面活性剤から選ばれた界面活性剤を1種又は
    2種以上混合してなるインキを充填してなる請求項1〜
    8の何れか一つに記載の消去可能なインキを充填したボ
    ールペン。
  10. 【請求項10】 顔料粒子の粒子径が10μm以下であ
    るインキを充填してなる請求項1〜9の何れか一つに記
    載の消去可能なインキを充填したボールペン。
  11. 【請求項11】 ボールペンのボール径が0.3mm〜
    2.0mmからなる請求項1〜10の何れか一つに記載
    の消去可能なインキを充填したボールペン。
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