JPH10187862A - 積分器付コンパレータ回路および赤外線受光装置 - Google Patents

積分器付コンパレータ回路および赤外線受光装置

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JPH10187862A
JPH10187862A JP8348478A JP34847896A JPH10187862A JP H10187862 A JPH10187862 A JP H10187862A JP 8348478 A JP8348478 A JP 8348478A JP 34847896 A JP34847896 A JP 34847896A JP H10187862 A JPH10187862 A JP H10187862A
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clamp
integrator
comparator
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Fumitaka Nakamura
文孝 中村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 積分器付コンパレータ回路が広い温度範囲に
わたって適切に動作可能とする。 【解決手段】 定電流源スイッチングブロック13は、
BPFから赤外線リモートコントロール信号が入力され
ると積分コンデンサ15を一定電流で充電し、信号が入
力されないと積分コンデンサ15を一定電流で放電す
る。クランプ回路32では、積分コンデンサ15の端子
電圧がクランプ電圧Vclよりも高くなると、PNPト
ランジスタTr2のエミッタ・コレクタ間が導通し、端
子電圧の上昇を抑える。クランプ電圧Vclはクランプ
電圧発生回路33から与えられるトランジスタTr2の
ベース電圧に従って決定される。コンパレータ16のス
レッシュホールド電圧Vthと、クランプ電圧Vclと
は、同様な温度変化特性の符号となり、広い温度範囲に
わたってクランプ電圧Vclの方がスレッシュホールド
電圧Vthよりも一定範囲内で高い条件を満たすように
発生される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、たとえば赤外線リ
モートコントロール用受信器の復調回路などに用いられ
る積分器付コンパレータ回路および赤外線受光装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来から、赤外線リモートコントロール
受信器の復調回路として、図9に示すようなバイポーラ
半導体集積回路化された復調回路1が用いられている。
赤外線リモートコントロール用の送信器では、通常38
kHzで発光強度の振幅を変調した赤外光を発生し、搬
送波の有無でコード化する。フォトダイオード2は、赤
外光信号を受けて電気信号に変換する。フォトダイオー
ド2の出力は、ヘッドアンプ3、ACアンプ4、リミッ
トアンプ5および自動利得制御(以下「AGC」と略称
する)回路6を含むアンプブロック7で増幅される。ア
ンプブロック7で増幅された信号は、バンドパスフィル
タ(以下「BPF」と略称する)8で、発光強度の振幅
変調に用いられた周波数である38kHzを中心として
ろ波される。BPF8の中心周波数は、外付けの調整抵
抗9の抵抗値を変化させることによって調整可能であ
る。
【0003】積分回路10は、BPF8の出力を積分抵
抗11および積分コンデンサ12を用いて積分し、1回
目積分波形を作成する。1回目積分波形は、BPF8か
らの出力信号とともに定電流源スイッチングブロック1
3に与えられ、積分器付コンパレータ回路14の積分コ
ンデンサ15を充放電させるために、定電流源スイッチ
ングブロック13をスイッチングする。積分器付コンパ
レータ回路14は、積分コンデンサ15による2回目積
分波形の出力電圧レベルを弁別するコンパレータ16を
含む。コンパレータ16によって波形整形された信号
は、出力トランジスタ17のベースに与えられ、出力ト
ランジスタ17のコレクタと出力抵抗18との接続点か
ら復調回路1の外部へのVo端子に出力される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、省電力を図るた
めに、低電圧で電子回路を動作させることが多くなって
きている。積分コンデンサ15を定電流で充電している
と、端子電圧は時間とともに上昇し、コンパレータ16
の電源電圧との関係で、正常に動作可能な範囲を逸脱す
るおそれが生じる。積分コンデンサ15の端子電圧が正
常な範囲から逸脱すると、2回目積分波形が歪み、赤外
線信号を正常に復調することができなくなる。このた
め、積分コンデンサ16の端子電圧を制限するクランプ
回路を設けることが考えられる。
【0005】半導体集積回路では、必要とする各種基準
電圧を内部回路で発生することが多い。積分器付コンパ
レータ回路14にクランプ回路を設けると、コンパレー
タとしてのレベル弁別用の基準電圧であるスレッシュホ
ールド(以下、「スレッシュ」と略称する)電圧と、ク
ランプ回路用のクランプ電圧とを発生させる必要があ
る。半導体集積回路内部で発生させる基準電圧は、ある
程度の温度変化を伴う。温度変化を小さくするのは、技
術的に不可能ではないけれども、コストが増大したり、
調整に手間がかかる。このため、常温でクランプ電圧と
コンパレータのスレッシュ電圧との関係を適切に調整し
ても、動作温度が常温から外れると、クランプ回路を設
けても積分波形が歪んだり、積分コンデンサの端子電圧
がスレッシュ電圧に達する前にクランプ回路が動作し
て、コンパレータが入力電圧を正しく弁別することがで
きない事態も生じ得る。すなわち、常温時の動作では問
題は生じないけれども、周囲の温度が変動すると、かえ
って積分器付コンパレータ回路14の動作が阻害される
おそれがある。
【0006】本発明の目的は、広い温度範囲にわたって
適切なパルス幅で出力を得ることができる積分器付コン
パレータ回路を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、入力側に設け
られる積分器の出力電圧レベルを弁別する積分器付コン
パレータ回路において、予め定める温度範囲で、積分器
の出力電圧レベルを弁別する基準電圧を、予め定める電
圧範囲内で超えるクランプ電圧を発生するクランプ電圧
発生回路と、クランプ電圧発生回路から発生されるクラ
ンプ電圧に基づいて、積分回路の出力電圧レベルを制限
するクランプ回路とを含むことを特徴とする積分器付コ
ンパレータ回路である。本発明に従えば、クランプ電圧
発生回路は、予め定める温度範囲で積分器の出力電圧レ
ベルを弁別する基準電圧を超えるようにクランプ電圧を
発生する。発生するクランプ電圧は基準電圧を予め定め
る電圧範囲内で超えるので、この電圧範囲内ではコンパ
レータとして動作することが可能となる。クランプ電圧
が基準電圧を超えても、その範囲は予め定められている
ので、コンパレータの出力のパルス幅を一定の範囲内に
収めることができ、コンパレータとして適切な動作を行
うことができる。
【0008】また本発明で前記クランプ電圧発生回路
は、前記クランプ電圧を、温度変化特性の符号が前記基
準電圧の温度変化特性の符号と一致するように発生する
ことを特徴とする。本発明に従えば、クランプ電圧の温
度特性と基準電圧の温度特性とは、符号が一致するの
で、適切な関係で動作することができる温度範囲を広
げ、特に温度上昇時の上限温度を改善することができ
る。
【0009】また本発明で、前記基準電圧および前記ク
ランプ電圧は、バイポーラトランジスタのベース・エミ
ッタ間電圧に依存する成分を、温度変化特性に寄与する
割合が最大となるようにそれぞれ含むことを特徴とす
る。本発明に従えば、基準電圧およびクランプ電圧を、
バイポーラトランジスタのベース・エミッタ間電圧に依
存する成分の割合を多くするように発生するので、広い
温度範囲にわたって適切な動作を行うことができる。
【0010】さらに本発明は、前述の積分器付コンパレ
ータ回路と、赤外線受光素子と、赤外線受光素子の赤外
線検出出力を増幅する増幅回路と、増幅回路の出力か
ら、予め定める周波数帯域成分を選択するフィルタ回路
と、フィルタ回路の出力を、積分器付コンパレータの積
分器よりも大きな時定数で積分し、積分出力を積分器付
コンパレータに与える積分回路とを含むことを特徴とす
る赤外線受光装置である。本発明に従えば、赤外線受光
素子によって検出される赤外線に対応する出力を増幅回
路で増幅し、予め定める周波数帯域成分をフィルタ回路
で選択した後、積分器付コンパレータの積分器よりも大
きな時定数の積分回路によって1回目積分を行う。1回
目積分を行った積分波形を積分器付コンパレータ回路で
2回目積分を行い、その出力をレベル弁別する。積分器
付コンパレータ回路は、広い温度範囲で適正に動作する
ので、受光した赤外線に含まれる信号成分を、適切に復
調することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態と
しての積分器付コンパレータ回路14を含む電気的構成
を示す。図1には、図9に示したバイポーラ半導体集積
回路による復調回路1のうち、積分回路10、定電流源
スイッチングブロック13および積分器付コンパレータ
回路14に関連する部分が示される。図9に対応する部
分には同一の参照符を付す。定電流源スイッチングブロ
ック13には、バイアス回路20によって発生されるバ
イアス電圧が与えられる。BPF8の出力と積分抵抗1
1との間には、入力回路21が設けられる。積分コンデ
ンサ15に発生する2回目積分波形は、クランプ回路2
2によってクランプされ、電圧レベルが制限される。ク
ランプ回路22のクランプ電圧は、クランプ電圧発生回
路23によって発生される。
【0012】クランプ回路22は、NPNトランジスタ
Tr1と、PNP形トランジスタTr2とを含む。2つ
のトランジスタTr1,Tr2のエミッタおよびベース
は共通接続され、共通接続されるエミッタは積分コンデ
ンサ15の出力端子、すなわち積分コンデンサ15と定
電流源スイッチングブロック13との接続点に接続され
る。共通接続されるベースにはクランプ電圧発生回路2
3からの出力が与えられる。コンパレータ16は、エミ
ッタが共通接続されて作動増幅器を構成する一対のNP
NトランジスタTr3,Tr4を中心に構成される。ト
ランジスタTr3のベースには、定電流源スイッチング
ブロック13と積分コンデンサ15の接続点から、NP
NトランジスタTr5のベース・エミッタ間およびNP
NトランジスタTr6のエミッタ・ベース間を介して2
回目積分波形の電圧信号が与えられる。他方のNPNト
ランジスタTr4のベースには、NPNトランジスタT
r7のエミッタ電圧が、抵抗R1を介して与えられる。
クランプ電圧発生回路23では、コレクタとベースとを
直結した2つのNPNトランジスタTr8,Tr9とP
NPトランジスタTr10と、2つの抵抗R3,R4を
含む。PNPトランジスタTr10のエミッタは正の電
源電圧Vccに接続され、Tr10のコレクタは抵抗R
3の一端に接続される。抵抗R3の他端は抵抗R4の一
端に接続される。抵抗R3および抵抗R4の接続点か
ら、クランプ回路22に与える出力電圧が取出される。
抵抗R4の他端は、NPNトランジスタTr8のコレク
タに接続される。トランジスタTr8のエミッタは、ト
ランジスタTr9のコレクタに接続され、トランジスタ
Tr9のエミッタは接地電圧レベルGNDに接続され
る。
【0013】定電流源スイッチングブロック13は、コ
レクタが共通接続されるPNPトランジスタTr11お
よびNPNトランジスタTr12を有する。トランジス
タTr11は、BPF8からの出力に応じて一定のコレ
クタ電流I1をON/OFFする。トランジスタTr1
2には、一定のコレクタ電流I2が流れる。I1>I2
の関係があるので、トランジスタTr11がON状態の
ときには、トランジスタTr11およびトランジスタT
r12の共通接続されたコレクタから、I1−I2の電
流が導出され、積分コンデンサ15を充電する。トラン
ジスタTr11がOFFとなると、積分コンデンサ15
から放電電流I2がトランジスタTr12のコレクタに
流れる。
【0014】積分コンデンサ15が、定電流源スイッチ
ングブロック13からの電流I1−I2で充電される
と、積分コンデンサ15の端子電圧は上昇する。端子電
圧が上がり過ぎないように、トランジスタTr1および
トランジスタTr2を含むクランプ回路22によって、
クランプ電圧Vclを超えないように制限される。な
お、各トランジスタのベース・エミッタ間電圧は全てV
beで等しいと見なしても、誤差は他の要因よりは小さ
くなることは周知であるので、以下の説明では全てVb
eで等しいとして取り扱う。また、各トランジスタの電
流増幅率は充分に大きく、コレクタやエミッタに流れる
電流に対して、ベースに流れる電流は無視することがで
きるものとする。
【0015】積分コンデンサ15の端子電圧が接地電圧
GND側であって低いときには、クランプ回路22のト
ランジスタTr1を介して端子電圧がクランプされ、こ
のときクランプ電圧発生回路23からVclのクランプ
電圧となるような出力電圧が共通接続されたトランジス
タTr1,Tr2のベースに与えられるので、このとき
のトランジスタTr2のベース電圧はVclからベース
・エミッタ間電圧Vbeだけ低い電圧となる。トランジ
スタTr1のエミッタは、ベース電圧よりもさらにVb
eだけ低い電圧となるので、積分コンデンサ15の端子
電圧はVcl−2Vbeにクランプされる。このときト
ランジスタTr4のベースに与えられるスレッシュ電圧
Vthは、トランジスタTr3のベース電圧よりも高く
なっている。
【0016】トランジスタTr4のベース電圧は、抵抗
R1を流れる電流I3による電圧降下分をトランジスタ
Tr7のエミッタ電圧に加えた電圧となる。トランジス
タTr7のエミッタ電圧は、ベース電圧よりもVbeだ
け低くなり、ベース電圧はクランプ電圧発生回路23の
トランジスタTr10、抵抗R3,R4およびトランジ
スタTr8,Tr9を直列に流れる電流をI4とする
と、2×Vbe+(R3+R4)×I4で表されるの
で、トランジスタTr4のベース電圧Vthは次の第1
式のように表される。
【0017】 Vth = 2×Vbe+(R3+R4)×I4−Vbe+R1×I3 = Vbe+R1×I3+(R3+R4)×I4 …(1) 電流I3は、カレントミラー回路24から供給され、そ
の値はトランジスタTr4のコレクタ電流と等しくな
る。したがって、トランジスタTr4がOFFとなる
と、電流I3=0となり、第1式で示されるスレッシュ
電圧はVthのR1×R3だけ小さくなる。すなわちコ
ンパレータとしてのレベル弁別の基準電圧となるスレッ
シュ電圧Vthはヒステリシスを有し、ヒステリシス幅
はR1×I3となる。
【0018】赤外線信号が入力されると、定電流源スイ
ッチングブロック13のトランジスタTr11がON状
態となり、積分コンデンサ15は充電されて端子電圧が
上昇する。積分コンデンサ15の端子電圧上昇ととも
に、トランジスタTr3のベース電圧も上昇し、トラン
ジスタTr4のベース電圧であるスレッシュ電圧Vth
を超えるとトランジスタTr3がON状態となり、トラ
ンジスタTr4はOFF状態となる。トランジスタTr
4がOFF状態となると、スレッシュ電圧Vthは前述
のヒステリシス電圧分だけ低下し、トランジスタTr
3,Tr4の共通接続されたエミッタ電圧はトランジス
タTr3のベース電圧を基準として決定され、このベー
ス電圧よりもVbeだけ低い電圧となる。トランジスタ
Tr3のコレクタ電流は、カレントミラー回路25から
供給され、カレントミラー回路25はトランジスタTr
3のコレクタ電流に等しい電流I5を出力トランジスタ
17のベースをONさせるためにも出力する。コンパレ
ータ16のトランジスタTr4がONしている状態で
は、出力トランジスタ17はOFF状態となり、Vo端
子からの出力電圧は正の電源電圧Vccから抵抗R2を
介して与えられる。トランジスタTr3がON状態とな
って出力トランジスタ17がON状態となると、Vo端
子には出力トランジスタ17のコレクタ電流だけ抵抗R
2で電圧降下した電圧が導出される。
【0019】図2および図3は、クランプ回路22を設
けることの効果を示す。図2(a)に示すように、クラ
ンプ回路22によって積分コンデンサ15の端子電圧を
ON時のスレッシュ電圧Vthから一定範囲内に抑える
場合と、仮想線で示すようにクランプ回路を設けない場
合とでは、図2(b)に示すように出力パルス幅に差が
生じてしまう。定電流源スイッチングブロック13で積
分コンデンサ12を充放電する際に、充電電流および放
電電流がそれぞれ一定電流であるので、クランプ回路が
なくて積分コンデンサ15の端子電圧がスレッシュ電圧
Vthからかなり大きくなってしまうと、放電の際にヒ
ステリシスをもってON時のスレッシュ電圧よりも低く
なっているOFF時のスレッシュ電圧まで低下するのに
時間がかかるからである。また図3(a)に示すよう
に、クランプ回路22を設けていると、実線で示すよう
に一旦ON時のスレッシュ電圧Vthを超えて(b)の
ように出力パルスがONになってローレベルになった
後、放電によって端子電圧がOFFのスレッシュ電圧よ
りも低下して出力パルスがOFFのハイレベルになるよ
うなときであっても、クランプ回路がないとOFFのス
レッシュ電圧まで積分コンデンサ15の端子電圧が下が
らず、出力パルスはONのローレベルのままであるよう
な事態も生じ得る。
【0020】図4は、図1でクランプ電圧Vclおよび
スレッシュ電圧Vthを得るための構成を簡略化して示
す。図4では、図1のクランプ電圧発生回路23に電流
I4を流すための回路を定電流源26で置換して等価的
に示す。スレッシュ電圧Vthが前述の第1式で表され
ると、クランプ電圧Vclは次の第2式で表される。
【0021】 Vcl = 2×Vbe+R4×I4+Vbe = 3×Vbe+R4+I4 …(2) バイポーラシリコントランジスタではベース・エミッタ
間電圧Vbeは0.7Vであり、抵抗R1,R3,R4
の抵抗値を25.5kΩとし、電流I3およびI4を3
0μAとすると、第1式および第2式から、スレッシュ
電圧Vthおよびクランプ電圧Vclは次の第3式およ
び第4式のようにそれぞれ求められる。
【0022】 Vth ≒ 0.7V+25.5kΩ×30μA+24kΩ×30μA = 2.185V …(3) Vcl ≒ 3×0.7V+12kΩ×30μA = 2.46V …(4) 第3式で示されるスレッシュ電圧Vthは第4式で示さ
れるクランプ電圧Vclより低いので、積分コンデンサ
15の端子電圧がクランプ電圧Vclに達するまでにコ
ンパレータ16はONになることができる。
【0023】図1および図4に示すような回路は、温度
変化によって動作点が変わる。各抵抗を、半導体集積回
路中に拡散抵抗として形成すると、抵抗値の温度変化も
比較的大きくなる。ボルツマン定数をk、絶対温度を
T、単位電荷量をqとすると、第1式および第2式に基
づき、スレッシュ電圧Vthおよびクランプ電圧Vcl
のうちで温度変化を生ずる成分Vtht ,Vclt は、
次の第5式および第6式のようにそれぞれ表される. Vtht = Vbe+3×(R1+R3+R4)/6000×(kT/q) ×ln10 …(5) Vclt = 3×Vbe+3×R4/6000×(kT/q)×ln10 …(6) 第5式および第6式の右辺の第1項はベース・エミッタ
間電圧Vbeによるものを示し、第2項は拡散抵抗によ
るものを示す。温度Tで微分すると、スレッシュ電圧V
thおよびクランプ電圧Vclの温度特性として、次の
第7式および第8式がそれぞれ得られる。
【0024】
【数1】
【0025】第3式および第4式は、周囲温度が25℃
のときの値であり、周囲温度が75℃まで50℃上昇す
ると、第7式および第8式に基づき、スレッシュ電圧V
thとクランプ電圧Vclとの関係は、次の第9式およ
び第10式にそれぞれ示すように逆転する。
【0026】
【数2】
【0027】すなわち、周囲温度が上昇してくると、コ
ンパレータ16がONとなるためのスレッシュ電圧Vt
hがクランプ電圧Vclを超えてしまい、コンパレータ
16の入力トランジスタTr3のベースにはスレッシュ
電圧Vthより低い電圧レベルしか与えられなくなって
しまう。高温でのクランプ電圧Vclをスレッシュ電圧
Vthよりも高くすると、常温でクランプ電圧Vclが
スレッシュ電圧Vthよりもかなり高くなってしまい、
積分コンデンサ15の充電時に端子電圧が上昇するの
で、図2の仮想線で示す状態に近付く。積分コンデンサ
15を放電する際に端子電圧がOFF側のスレッシュ電
圧よりも低下するまでに時間がかかり、コンパレータと
しての出力パルス幅が大きくなってしまうので好ましく
ない結果を生じる。また、積分コンデンサ15の放電に
よる端子電圧低下がOFF側のスレッシュ電圧に達する
のに時間がかかると、コンパレータがOFF状態となら
ないうちに次の充電が開始されてしまう、図3に示すよ
うな動作も起こりやすい。このような積分波形の歪みを
防ぐためにも、クランプ電圧とスレッシュ電圧との差を
あまり大きくすることは好ましくない。
【0028】図5は、本発明の実施の他の形態としての
積分器付コンパレータ回路34を含む電気的構成を示
す。図5には、図9に示したバイポーラ半導体集積回路
による復調回路1のうち、定電流源スイッチングブロッ
ク13の一部と積分器付コンパレータ回路14に対応す
る部分とが示される。本実施形態で、図1の実施形態と
同等の部分には同一の参照符を付す。本実施形態では、
クランプ回路32にクランプ電圧発生回路33から、コ
ンパレータ16の基準電圧であるスレッシュ電圧Vth
の温度変化特性の符号と、クランプ電圧Vclの温度変
化特性の符号とが一致するように、またNPNトランジ
スタTr1のベース電圧よりもPNPトランジスタTr
2のベース電圧の方が高くなるようにそれぞれのトラン
ジスタのベース電圧を与える。コンパレータ16のスレ
ッシュ電圧Vthを決定するNPNトランジスタTr7
のベース電圧は、NPNトランジスタTr8,Tr9の
直列回路と抵抗R4の接続点の電圧よりもベースをコレ
クタに接続したNPNトランジスタTr13のコレクタ
・エミッタ間電圧だけ高い電圧を与える。クランプ回路
32のPNPトランジスタTr2のベース電圧は、抵抗
R6の両端間の電圧だけNPNトランジスタTr1のベ
ース電圧よりも高くなる。
【0029】図6は、本実施形態のクランプ電圧発生回
路33によってクランプ電圧Vclと基準電圧であるス
レッシュ電圧Vthを発生する部分の構成を示す。クラ
ンプ電圧Vclとスレッシュ電圧Vthとを発生する回
路には、それぞれ定電流源36,37からの電流が供給
される。したがってスレッシュ電圧Vthとクランプ電
圧Vclとは、次の第11式と第12式とのようにそれ
ぞれ表される。
【0030】 Vth = 3×Vbe−Vbe+R1×I3 = 2×Vbe+R1×I3 …(11) Vcl = 2×Vbe+(R5+R4)×I4+Vbe = 3×Vbe+(R5+R4)×I4 …(12) R1=25.5kΩ、R4=12kΩ、R5=6kΩ、
I3=I4=30μA、Vbe=0.7Vとすると、常
温でのスレッシュ電圧Vthおよびクランプ電圧Vcl
は次の第13式および第14式のようにそれぞれ表され
る。
【0031】 Vth = 2×0.7V+25.5kΩ×30μA = 2.165V …(13) Vcl = 3×0.7V+18kΩ×30μA = 2.64V …(14) スレッシュ電圧Vthおよびクランプ電圧Vclのうち
の温度に依存する成分Vtht ,Vclt は、第5式お
よび第6式と同様に、次の第15式および第16式のよ
うにそれぞれ表される。
【0032】 Vtht = 2×Vbe+3×R1/6000×(kT/q)×ln10 …(15) Vclt = 3×Vbe+3×(R5+R4)/6000×(kT/q) ×ln10 …(16) 第15式および第16式を温度Tで微分すると、温度変
化特性として次の第17式および第18式が得られる。
【0033】
【数3】
【0034】第17式および第18式に示すように、本
実施形態によれば、スレッシュ電圧Vthの温度変化特
性とクランプ電圧Vclの温度変化特性とはともにトラ
ンジスタのベース・エミッタ間電圧Vbeに依存する割
合が最も大きく、その絶対値は最大となる。シリコント
ランジスタでは、ベース・エミッタ間電圧の温度係数は
−2mV/℃程度であることが知られており、スレッシ
ュ電圧Vthおよびクランプ電圧Vclの温度変化特性
も負となる。
【0035】図7は、周囲温度が変化したときにスレッ
シュ電圧Vthおよびクランプ電圧Vclが変化する状
態を図1の実施形態と本実施形態とを比較して示す。
(a)に示す図1の実施形態では、75℃ではクランプ
電圧よりもスレッシュ電圧の方が高くなってしまい、2
5℃の常温付近〜50℃の温度範囲で正常に動作す
る。、(b)に示す本実施形態では、100℃以上の高
温時でもクランプ電圧Vclの方がスレッシュ電圧Vt
hよりも高く、高温時にも積分器付コンパレータ回路3
4は動作可能であることが判る。
【0036】図8は、積分器付コンパレータ回路34を
含む半導体集積回路化された復調回路のうち、図1の構
成に対応する部分を示す。このように集積回路として、
従来の復調回路1と同様に赤外線リモートコントロール
受信器に使用すれば、2回積分を行ってコンパレータで
パルスを検出する復調動作の際に、パルス幅の検出精度
を高めかつ高温時でも動作が可能となる。なお本実施形
態の積分器付コンパレータ34は、以上説明したような
赤外線リモートコントロール受信器の復調回路ばかりで
はなく、交流信号の有無を検出する回路などに広く応用
することができる。
【0037】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、積分器付
コンパレータ回路の積分器の出力電圧レベルは、クラン
プ回路によって制限されるので、過大な入力信号が入っ
てきても積分波形が歪むのを防ぎ、出力パルス幅が大き
くなり過ぎるのを抑制することができる。クランプ回路
のクランプ電圧はコンパレータの基準電圧に対して、予
め定める温度範囲でめ定める電圧範囲内で超えるように
発生されるので、コンパレータとしての出力パルス幅の
誤差を小さくすることができる。
【0038】また本発明によれば、クランプ電圧の温度
変化特性の符号が基準電圧の温度変化特性の符号と一致
するので、広い温度範囲でクランプ電圧と基準電圧との
差を適正な範囲に保ちコンパレータの出力パルス幅の誤
差を小さくすることができる。
【0039】また本発明によれば、基準電圧およびクラ
ンプ電圧は、バイポーラトランジスタのベース・エミッ
タ間電圧に依存する成分が温度変化特性に寄与する割合
が最大となるので、広い温度範囲にわたって対応する変
化を示し、適正な動作を補償することができる。
【0040】さらに本発明によれば、赤外線を受光した
信号を増幅し、周波数帯域で選択した後広い温度範囲に
わたって適切に動作する積分器付コンパレータ回路で復
調するので、赤外線によって伝達される信号を適切に復
調することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の積分器付コンパレータ
回路14および関連する構成の電気回路図である。
【図2】図1の積分器付コンパレータ回路14における
クランプ回路22の効果を示すグラフである。
【図3】図1の積分器付コンパレータ回路34における
クランプ回路22の効果を示すグラフである。
【図4】図1のクランプ電圧発生回路23によるスレッ
シュ電圧Vthおよびクランプ電圧Vclの発生に関連
する構成を示す電気回路図である。
【図5】本発明の実施の他の形態の積分器付コンパレー
タ回路34の電気回路図である。
【図6】図5のクランプ電圧発生回路33によるスレッ
シュ電圧Vthおよびクランプ電圧Vclの発生に関連
する構成を示す電気回路図である。
【図7】図1の実施形態および図5の実施形態によって
発生されるスレッシュ電圧Vthおよびクランプ電圧V
clの温度変化特性を示すグラフである。
【図8】図5の実施形態の積分器付コンパレータ回路3
4および関連する構成の電気回路図である。
【図9】赤外線リモートコントロール受信器の概略的な
電気的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
2 フォトダイオード 13 定電流源スイッチングブロック 14,34 積分器付コンパレータ回路 15 積分コンデンサ 16 コンパレータ 17 出力トランジスタ 18 出力抵抗 22,32 クランプ回路 23,33 クランプ電圧発生回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H04B 10/26 H04B 9/00 Y 10/14 10/04 10/06 H04Q 9/00 371

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力側に設けられる積分器の出力電圧レ
    ベルを弁別する積分器付コンパレータ回路において、 予め定める温度範囲で、積分器の出力電圧レベルを弁別
    する基準電圧を、予め定める電圧範囲内で超えるクラン
    プ電圧を発生するクランプ電圧発生回路と、 クランプ電圧発生回路から発生されるクランプ電圧に基
    づいて、積分回路の出力電圧レベルを制限するクランプ
    回路とを含むことを特徴とする積分器付コンパレータ回
    路。
  2. 【請求項2】 前記クランプ電圧発生回路は、前記クラ
    ンプ電圧を、温度変化特性の符号が前記基準電圧の温度
    変化特性の符号と一致するように発生することを特徴と
    する請求項1記載の積分器付コンパレータ回路。
  3. 【請求項3】 前記基準電圧および前記クランプ電圧
    は、バイポーラトランジスタのベース・エミッタ間電圧
    に依存する成分を、温度変化特性に寄与する割合が最大
    となるようにそれぞれ含むことを特徴とする請求項2記
    載の積分器付コンパレータ回路。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の積分器
    付コンパレータ回路と、 赤外線受光素子と、 赤外線受光素子の赤外線検出出力を増幅する増幅回路
    と、 増幅回路の出力から、予め定める周波数帯域成分を選択
    するフィルタ回路と、 フィルタ回路の出力を、積分器付コンパレータの積分器
    よりも大きな時定数で積分し、積分出力を積分器付コン
    パレータに与える積分回路とを含むことを特徴とする赤
    外線受光装置。
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