JPH10179690A - 薬液に接して使用するのに好適なゴム成形体 - Google Patents

薬液に接して使用するのに好適なゴム成形体

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JPH10179690A
JPH10179690A JP9320630A JP32063097A JPH10179690A JP H10179690 A JPH10179690 A JP H10179690A JP 9320630 A JP9320630 A JP 9320630A JP 32063097 A JP32063097 A JP 32063097A JP H10179690 A JPH10179690 A JP H10179690A
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盛皓 須藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面の粘着性(べた付き)がなく、ゴム栓に
必要な硬さが付与され、日本薬局方、米国薬局方やヨー
ロッパ各国薬局方等で規格化された溶出物(亜鉛)の規
格値及びその他の規格値を満足し、注射針を刺す際の抵
抗及び注射針を抜いた後の薬液漏れ等が改善された容器
用ゴム栓及び注射器用ゴム栓の提供。 【解決手段】 超高分子量ポリエチレン微粉末を配合し
たハロゲン化ブチルゴムを、亜鉛化合物の不存在下に、
2−置換−4,6−ジチオール−s−トリアジン誘導体
の少なくとも1種又は有機過酸化物を用いて成形及び加
硫してなることを特徴とする薬液に接して使用するのに
好適なゴム成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薬液に接して使用
するのに好適なゴム成形体、更に詳しくは、加硫ハロゲ
ン化ブチルゴムからなる医薬品容器(以下単に容器とい
う)用ゴム栓及び医薬品注入器(例えば、注射器)(以
下単に注射器という)用ゴム栓に関し、具体的には注射
針刺し性に優れ、注射針抜き取り後の薬液漏れが改善さ
れ、且つ薬液中への亜鉛の溶出がない容器用ゴム栓及び
薬液中への亜鉛の溶出がない注射器用ゴム栓に関する。
【0002】
【従来の技術】ブチルゴム及びブチルゴムに塩素や臭素
等のハロゲンを付加したハロゲン化ブチルゴムは、耐気
体透過性に優れたゴムであり、この性質を利用して容器
用ゴム栓の材料として従来より使用されている。
【0003】ブチルゴムは、イソブチレンと少量のイソ
プレン(ブチルゴム中に例えば約1〜3重量%程度)を
共重合したゴムであり、天然ゴムやポリイソプレンゴム
等のジエン系ゴムに比して含まれている二重結合の濃度
が非常に低く、加硫をタイトに行うのが困難である。
【0004】一方、ハロゲン化ブチルゴムは、ゴム中の
イソプレンユニットに1個のハロゲン原子とほぼ1個の
二重結合を有している(−CH=C(CH3)−CH
(X)−CH2 −:Xはハロゲン原子を表す)ために、
二重結合とハロゲン原子を利用して加硫(架橋)が可能
であり、ブチルゴムより加硫をタイトにできる利点があ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ハロゲン化ブチルゴム
中のハロゲン原子を利用した加硫には、通常亜鉛華(酸
化亜鉛)が用いられ、二重結合を利用した加硫を同時に
行うために、硫黄或いはテトラメチルチウラムジスルフ
ィド等のチウラム系化合物等と、ジエチルジチオカルバ
ミン酸亜鉛等のジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤等と
が用いられている。又、アミン系シランカップリング剤
等のアミンを用いてハロゲン原子を利用してハロゲン化
ブチルゴムを加硫することも行われている。
【0006】これらの加硫系を用いることによって、ハ
ロゲン化ブチルゴムはブチルゴムよりも加硫をタイトに
することができるが、上記の加硫系はいずれも亜鉛華を
ゴム100重量部当たり5重量部以下の量で使用するた
めに、これらの加硫系を用いたハロゲン化ブチルゴム製
の容器用ゴム栓では、薬液中に亜鉛が溶出するという問
題がある。又、ハロゲン化ブチルゴムは、ブチルゴムよ
りも加硫がタイトにはなるものの、天然ゴム等のジエン
系ゴムの硫黄加硫物等に比べれば、加硫は不十分で加硫
物の表面が粘着性を帯びるという問題がある。
【0007】従って、上記のハロゲン化ブチルゴムの加
硫物を容器用ゴム栓に用いた場合には、注射針刺しの際
の抵抗が大きく、又、注射針を抜いた後の薬液漏れが問
題となる場合がある。又、注射器のピストンの先端に取
り付けるゴム栓等の注射器用のゴム栓においては、ゴム
栓が薬液と直接接触することから、接触時間が長くなっ
てもゴム栓から薬液中へ溶出物が出ないことが必要であ
るが、上記のように従来技術においてはゴム栓から薬液
中へ亜鉛が溶出するという問題がある。又、ゴム栓は十
分な気密を有することが必要であるが、前記の加硫系で
はハロゲン化ブチルゴムの加硫が不十分であるためにゴ
ム栓における気密性が問題となる場合がある。
【0008】一方、臭素化ブチルゴムを、亜鉛華を使用
せずに2−置換−4,6−メルカプト−s−トリアジン
で加硫してなる無毒性ゴムが、特開昭52−50345
号公報に提案されているが、この場合にも加硫は不十分
で、上記と同様の問題が発生する。
【0009】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、本発明の目的は、表面の粘着性(べた付
き)がなく、ゴム栓に必要な硬さが付与され、日本薬局
方、米国薬局方やヨーロッパ各国薬局方等で規格化され
た溶出物(亜鉛)の規格値及びその他の規格値を満足
し、注射針を刺す際の抵抗及び注射針を抜いた後の薬液
漏れ等が改善された容器用ゴム栓及び注射器用ゴム栓を
提供することである。
【0010】本発明者は、ブチルゴムに従来から充填さ
れている無機補強・充填材が、容器用ゴム栓から薬液中
に溶出する問題が、ハロゲン化ブチルゴムに超高分子量
ポリエチレン(PE)微粒子を併用することで解決さ
れ、注射針刺し抵抗も減少するとの特開昭60−144
346号公報の開示に注目した。上記公報には、塩素化
ブチルゴムを亜鉛華及びジチオカルバミン酸の亜鉛塩を
用いて加硫してなる容器用ゴム栓や、臭素化ブチルゴム
を亜鉛華及び硫黄加硫系等で加硫してなる容器用ゴム栓
が開示されている。上記公報には、塩素化ブチルゴムや
臭素化ブチルゴムをこれら以外の加硫系で加硫してなる
容器用ゴム栓については全く開示されていない。ところ
で、上記公報に開示の加硫系で加硫してなる容器用ゴム
栓は、亜鉛の溶出を無くすことはできず、又、注射針を
抜いた後の薬液漏れも、従来のゴム栓に比べれば改善さ
れてはいるが、完全には防止されてはいない。
【0011】本発明者は、ハロゲン化ブチルゴムの補強
・充填材として超高分子量PEを使用した場合の上記の
問題点を解決すべく、種々の加硫系について検討した結
果、トリアジンチオール誘導体を加硫剤とし、ハロゲン
化ブチルゴムのハロゲン原子を利用して亜鉛化合物の不
存在下で加硫することによって、又は有機過酸化物で加
硫することによって、前記本発明の目的が達成されるこ
とを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至
った。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的は本発明によ
って達せられた。即ち、本発明は、超高分子量ポリエチ
レン微粉末を配合したハロゲン化ブチルゴムを、亜鉛化
合物の不存在下に、2−置換−4,6−ジチオール−s
−トリアジン誘導体の少なくとも1種又は有機過酸化物
を用いて成形及び加硫してなることを特徴とする薬液に
接して使用するのに好適なゴム成形体を提供するもので
ある。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に発明の実施の形態を挙げて
本発明を更に詳細に説明する。本発明で使用されるハロ
ゲン化ブチルゴムは、イソブチレンとイソプレンとの共
重合体ゴム(共重合体中のイソプレンの含有量は、通常
1〜5重量%程度)に塩素或いは臭素等のハロゲンを付
加したものであり、従来公知のハロゲン化ブチルゴムは
いずれも本発明において使用することができる。
【0014】本発明で使用される2−置換−4,6−ジ
チオール−s−トリアジン誘導体(以下ではトリアジン
誘導体と称することがある。)は、下記の一般式で表さ
れる化合物である。
【0015】上記式中のR1はOR4、SR4又はNR5
6であり、R4、R5及びR6は同じでも異なってもよく、
水素原子、アルキル基(炭素数が1〜18程度)、アル
ケニル基(炭素数が1〜18程度)、フェニル基、ベン
ジル基等のアリールアルキル基、トリル基、キシリル基
等のアルキルアリール基又はシクロアルキル基(炭素数
が5〜8程度)である。又、R2及びR3は同じでも異な
ってもよく、水素原子、アミノ基(第2〜3級)、第4
級アンモニウム基、ナトリウム、カリウム原子等のアル
カリ金属原子又は1/2カルシウム、1/2バリウム原
子等の1/2アルカリ土類金属原子である。
【0016】本発明においては該トリアジン誘導体は特
に限定されないが、代表的な化合物としては、例えば、
2,4,6−トリチオール−s−トリアジン(トリチオ
シアヌル酸)、2−ブチルアミノ−4,6−ジチオール
−s−トリアジン、2−エチルアミノ−4,6−ジチオ
ール−s−トリアジン・ジオクチルアミン、2−ブチル
−4,6−ジチオール−s−トリアジン・ジトリエチル
アンモニウム塩等が挙げられる。入手の容易さから2−
ブチルアミノ−4,6−ジチオール−s−トリアジンが
好ましい。
【0017】トリアジン誘導体は、本発明のゴム成形体
に必要な強度特性等を付与し、種々の衛生試験法の規格
値を満足する量を予め予備実験によって確認して使用さ
れ、使用量は特に限定されない。通常、トリアジン誘導
体の使用量はハロゲン化ブチルゴム100重量部当り
0.1〜10重量部であり、0.1重量部未満ではハロ
ゲン化ブチルゴムの加硫が不十分となり、10重量部を
超えて使用してもハロゲン化ブチルゴムの加硫はそれ以
上に進行せず不経済である。好ましくは0.5〜5重量
部である。
【0018】本発明で使用される有機過酸化物は、ハロ
ゲン化ブチルゴムを加硫することができるものであれば
特に限定されない。例えば、1,3−(t−ブチルパー
オキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5
−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキ
サン−3、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,
3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジイソブチルパー
オキシド、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオ
キシ)バレレート等が挙げられる。
【0019】上記の有機過酸化物とともに、必要に応じ
て加硫(架橋)助剤を使用することができる。加硫助剤
としては、例えば、トリアリルイソシアヌレート、トリ
メチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタク
リレート、ジアリルフタレート、エチレングリコールジ
メタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタク
リレート、ビスマレイミド等の多官能性モノマーや1,
2−ポリブタジエン等が挙げられる。
【0020】有機過酸化物及び加硫助剤は、本発明のゴ
ム成形体に必要な強度特性等を付与し、種々の衛生試験
の規格値を満足する量を予め予備実験によって確認して
使用され、これらの使用量は特に限定されない。有機過
酸化物及び加硫助剤の種類によって使用量に違いはある
が、通常、有機化酸化物はハロゲン化ブチルゴム100
重量部当たり0.1〜5重量部程度、加硫助剤はハロゲ
ン化ブチルゴム100重量部当たり5〜10重量部程度
の範囲でそれぞれ使用される。
【0021】本発明の特徴は、ハロゲン化ブチルゴムを
有機過酸化物で加硫するか、又は、ハロゲン化ブチルゴ
ムを、そのハロゲン原子を利用してトリアジン誘導体を
用いて加硫することであり、換言すれば亜鉛華或いはこ
れとジチオカルバミン酸の亜鉛塩等の加硫促進剤等を用
いた二重結合を利用した加硫は行わないことである。従
って、本発明においては、亜鉛華及び加硫促進剤である
各種有機化合物の亜鉛塩等の無機亜鉛化合物及び有機亜
鉛化合物が含まれるその他の亜鉛化合物は一切使用しな
い。
【0022】本発明のゴム成形体を、加硫剤としてトリ
アジン誘導体を用いて製造する場合には、該トリアジン
誘導体とともにマグネシウム、カルシウム等の酸化物或
いは炭酸塩等を加硫反応の調節及び生成するハロゲン化
水素の受容体(受酸剤)としてゴム100重量部当り
0.1〜10重量部程度の割合で配合することができ
る。
【0023】本発明の他の特徴は、ハロゲン化ブチルゴ
ムの補強・充填剤として超高分子量ポリエチレン(P
E)の微粉末を使用することである。超高分子量PE
は、粘度平均分子量が約100万以上の超高分子量のP
Eであり、LLDPE、LDPE、HDPE等の従来の
PEと同様の、Ziegler触媒を使用する重合によ
って製造される。因に一般のPEの粘度平均分子量は約
2〜10万である。超高分子量PEの微粉末は、機械的
粉砕法や該PEの溶液(熱四塩化炭素やトリクレン等に
可溶)に貧溶剤を添加して沈殿させる等の任意の方法で
微粉末化したものであり、通常100メッシュの篩を通
過させたもの、好ましくは200メッシュ、更に好まし
くは300メッシュの篩を通過させたものが使用され
る。
【0024】超高分子量PE微粉末の使用によって、ハ
ロゲン化ブチルゴムの加硫の不十分さから加硫物(ゴム
成形体)表面が粘着性を帯びるという問題は消失した。
超高分子量PE微粉末の使用量は、ゴム成形体が容器用
ゴム栓であるか注射器用ゴム栓であるかによって異な
り、容器用ゴム栓においてはハロゲン化ブチルゴム10
0重量部当り5〜25重量部の割合で、注射器用ゴム栓
においては該ゴム100重量部当り20〜70重量部の
割合で使用される。上記の各下限量未満では、各ゴム栓
に必要な硬さを付与することができず、容器用ゴム栓で
は注射針を刺す際の抵抗が大きくなり、注射器用ゴム栓
では注射器内での滑り抵抗が大きくなり、上記の各上限
量を超えると、それぞれのゴム栓が硬くなりすぎ、各ゴ
ム栓の弾性や伸び等が低下するので好ましくない。好ま
しくは、超高分子量PE微粉末の使用量は、容器用ゴム
栓においてはハロゲン化ブチルゴム100重量部当たり
5〜20重量部であり、注射器用ゴム栓においてはハロ
ゲン化ブチルゴム100重量部当たり20〜60重量部
である。
【0025】本発明においては、本発明の効果が損なわ
れない範囲で、ハロゲン化ブチルゴムにシリカ、クレー
類、ケイ酸マグネシウム類等の従来から使用されている
無機補強・充填剤を1種又は2種以上組み合わせて併用
することができる。使用量はハロゲン化ブチルゴム10
0重量部当たり40重量部(2種以上を併用する場合に
は合計量が)以下が好ましい。
【0026】以上の各成分を通常の混合機で混練するこ
とによってゴム組成物を調製し、これを用いて圧縮成
形、射出成形等によって所定の形状のゴム成形体に加工
するとともに加硫を行う。このようにして本発明の容器
用ゴム栓及び注射器用ゴム栓が得られる。本発明におい
ては、ゴム成形体の製造方法は全く限定されないことは
いうまでもない。又、必要に応じて、本発明のゴム成形
体の所望表面或いは全表面をフッ素樹脂やシリコーン樹
脂等で被覆することができる。
【0027】本発明においては、超高分子量PE微粉末
の使用と、上記のトリアジン誘導体又は有機過酸化物の
加硫系の使用により、ハロゲン化ブチルゴムの加硫状態
はタイトではないにも拘らず、加硫物(ゴム成形体)表
面の粘着性は防止され、これを用いた容器用ゴム栓及び
注射器用ゴム栓は、従来技術では得られない優れた効果
を有することとなり、特に容器用ゴム栓では、注射針を
刺す際の低い抵抗、注射針を抜いた後の薬液漏れがな
い、亜鉛が全く溶出しない、又、注射器用ゴム栓では亜
鉛が全く溶出しないという優れた効果が付与される。
【0028】
【実施例】次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に
具体的に説明する。尚、以下における部及び%は、特に
断りのない限り重量基準である。
【0029】実施例1〜2及び比較例1 ハロゲン化ブチルゴム(塩素化ブチルゴム:日本ブチル
社製HT1066)、200メッシュ通過の超高分子量
PE微粉末(三井石油化学社製ミペロン)及び加硫剤と
して2−ジブチルアミノ−4,6−ジチオール−s−ト
リアジン(三協化成社製ZISNET−DB)又は有機
過酸化物として2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブ
チルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂社製パーヘキサ
2,5B)を用い、後記表1に記載の配合処方に従って
ハロゲン化ブチルゴムと超高分子量PEとを80〜12
0℃の温度で加圧型ニーダーで混練し、その後ロールを
用いて残りの配合剤を添加して容器用ゴム栓用のゴム組
成物を得た。
【0030】得られた各ゴム組成物を圧縮成形により後
記表1に記載の条件で成形及び加硫して容器用ゴム栓に
加工した。いずれのゴム栓にも表面の粘着性はなかっ
た。又、上記ゴム組成物を同じ条件でプレス加硫して2
mm厚さのシートを作成し、JIS K6301に従っ
て強度特性等を測定した。結果を表1に示す。得られた
ゴム栓について、下記の試験法によって各種試験を行っ
た。それらの結果を後記表2〜3に示した。
【0031】(1) 溶出物試験 日本薬局方(第13改訂)の輸液用ゴム栓試験法:試料
の10倍量の水で121℃で1時間加熱する。試験結果
を表2に示す。 (2) 特殊試験 耐ゴム落ち性(Coring resistance) British Standard 3263(1960)に準拠して水を入れたビ
ンにゴム栓をし、アルミキャップ締めをした後、ゴム栓
中央部の針入部のアルミ部を取り除き、標準試験針22
G(TOP社製)で100回貫通させ、瓶を数回振動せ
た後に水を濾過し、濾紙上のゴム片の数を数える。 針刺し試験 British Standard 3263(1960) に準拠して上記の標準試
験針をゴム栓中を20cm/min.の速度で通過させ
る時の力(g)を自記録式歪み−応力測定装置で測定す
る。 液漏れ 500mlの瓶に水を入れ、ゴム栓を打栓し、アルミキ
ャップ締めをした後、121℃で30分間加熱し冷却す
る。ゴム栓に上記の標準針を刺し、瓶を倒立させた状態
で1時間放置する。次にエアー針を刺し、水を400m
l抜いた時点で標準針を引き抜き、その時の水の流出量
を測定する。以上の試験結果を後記表3に示す。
【0032】
【表1】表1:実施例1〜2及び比較例1の配合処方形
成・加硫条件及び強度特性 (注)TMT:テトラメチルチウラムジスルフィド EZ:ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛
【0033】
【表2】表2:溶出試験結果
【0034】
【表3】表3:特殊試験結果
【0035】実施例3〜4及び比較例2 実施例1〜2及び比較例1において、超高分子量PEの
使用量を40部としたことと、実施例4及び比較例2で
有機過酸化物の量を1.0重量部及び2重量部からそれ
ぞれ0.7重量部及び0重量部に減らしたこと以外は、
これらの例と同じ表4に記載の配合処方でゴム組成物を
調製し、これらのゴム組成物を用いて注射器ピストン用
ゴム栓を圧縮成形(加硫条件は実施例1〜2及び比較例
1と同じ)により作製した。いずれのゴム栓も表面の粘
着性はなかった。実施例1と同様にして強度特性を評価
した。結果を表4に示す。又、各ピストン用ゴム栓につ
いて溶出試験を行ったが、表1に記載の結果とほぼ同じ
結果が得られた。
【0036】
【表4】表4:実施例3〜4及び比較例2の配合処方、
形成・加硫条件及び強度特性
【0037】
【発明の効果】以上の本発明によれば、日本薬局方、米
国薬局方やヨーロッパ各国薬局方等で規格化された溶出
物(亜鉛)の規格値及びその他の規格値を満足し、表面
の粘着性のない、容易に注射針刺し込みが可能であり、
又、注射針を抜き取った後の薬液の漏れが改善された輸
液用容器、種々の固体状や液体状の製剤用容器等に使用
されるゴム栓、及び長時間薬液と接触しても溶出物がな
い注射器用等の医薬品注入器用ゴム栓を提供することが
できる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超高分子量ポリエチレン微粉末を配合し
    たハロゲン化ブチルゴムを、亜鉛化合物の不存在下に、
    2−置換−4,6−ジチオール−s−トリアジン誘導体
    の少なくとも1種又は有機過酸化物を用いて成形及び加
    硫してなることを特徴とする薬液に接して使用するのに
    好適なゴム成形体。
  2. 【請求項2】 医薬品容器用のゴム栓である請求項1に
    記載のゴム成形体。
  3. 【請求項3】 超高分子量ポリエチレン微粉末の使用量
    が、ハロゲン化ブチルゴム100重量部当り5〜25重
    量部の割合である請求項2に記載のゴム成形体。
  4. 【請求項4】 医薬品注入器用のゴム栓である請求項1
    に記載のゴム成形体。
  5. 【請求項5】 超高分子量ポリエチレン微粉末の使用量
    が、ハロゲン化ブチルゴム100重量部当り20〜70
    重量部の割合である請求項4に記載のゴム成形体。
  6. 【請求項6】 超高分子量ポリエチレン微粉末が、10
    0メッシュ篩パスの粒径を有する請求項1に記載のゴム
    成形体。
  7. 【請求項7】 2−置換−4,6−ジチオール−s−ト
    リアジン誘導体が、2,4,6−トリチオール−s−ト
    リアジン(トリチオシアヌル酸)、2−ブチルアミノ−
    4,6−ジチオール−s−トリアジン、2−エチルアミ
    ノ−4,6−ジチオール−s−トリアジン・ジオクチル
    アミン及び2−ブチル−4,6−ジチオール−s−トリ
    アジン・ジトリエチルアンモニウム塩から選ばれる少な
    くとも1種である請求項1に記載のゴム成形体。
  8. 【請求項8】 トリアジン誘導体の使用量が、ハロゲン
    化ブチルゴム100重量部当り0.1〜10重量部の範
    囲である請求項1に記載のゴム成形体。
  9. 【請求項9】 有機過酸化物が、1,3−(t−ブチル
    パーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル
    −2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,
    5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘ
    キサン−3、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−
    3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジイソブチル
    パーオキシド及びn−ブチル4,4−ビス(t−ブチル
    パーオキシ)バレレートから選ばれる少なくとも1種で
    ある請求項1に記載のゴム成形体。
  10. 【請求項10】 有機過酸化物の使用量が、ハロゲン化
    ブチルゴム100重量部当たり0.1〜5重量部の範囲
    である請求項1に記載のゴム成形体。
JP32063097A 1996-11-07 1997-11-07 医薬品容器用及び医薬品注入器用ゴム栓 Expired - Lifetime JP3193895B2 (ja)

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