JPH10175923A - 芳香族ジカルボン酸エステルの精製方法 - Google Patents

芳香族ジカルボン酸エステルの精製方法

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JPH10175923A
JPH10175923A JP34018196A JP34018196A JPH10175923A JP H10175923 A JPH10175923 A JP H10175923A JP 34018196 A JP34018196 A JP 34018196A JP 34018196 A JP34018196 A JP 34018196A JP H10175923 A JPH10175923 A JP H10175923A
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aromatic dicarboxylic
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aromatic
aromatic hydrocarbon
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 芳香族ジカルボン酸と多価アルコールのエス
テル化反応生成物から、着色不純物の少ない色相の良好
な芳香族ジカルボン酸エステルが得られる精製方法を提
供すること。 【解決手段】 芳香族ジカルボン酸と多価アルコールの
エステル化反応生成物を、芳香族炭化水素と水とに接触
させた後、芳香族炭化水素を分離し芳香族ジカルボン酸
エステルを晶析する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不純物を含む芳香
族ジカルボン酸から、不純物をほとんど含まない色相の
良好な芳香族ジカルボン酸エステルが得られるような芳
香族ジカルボン酸エステルの精製方法に関するものであ
る。
【0002】
【発明の技術的背景】ナフタレンジカルボン酸は、たと
えばジアルキルナフタレンを、コバルト、マンガンおよ
び臭素の存在下で酸化することにより製造されている。
しかし、このような方法で得られたナフタレンジカルボ
ン酸は、トリメリット酸、アルデヒド類などの不純物や
触媒に起因するコバルト、マンガンおよび臭素が含有さ
れている。このようなナフタレンジカルボン酸を原料と
して、たとえばポリエチレンナフタレートを製造する
と、得られたポリエチレンナフタレートが着色したり、
成形時に金型汚れが発生したりする。このため上記のよ
うにして得られたナフタレンジカルボン酸を精製するこ
とが必要になる。
【0003】ナフタレンジカルボン酸の精製方法として
は、特開平1−110650号公報には、触媒量の第三
アミン及びチタン含有化合物の存在下で2,6-ナフタレン
ジカルボン酸1モルに対して少なくとも2モルのエチレ
ングリコールと純粋でない2,6-ナフタレンジカルボン酸
とを反応させることによって2,6-ナフタレンジカルボン
酸ビス(2-ヒドロキシエチル)エステルを調製し、この
2,6-ナフタレンジカルボン酸ビス(2-ヒドロキシエチ
ル)エステルを結晶させ、そして精製された2,6-ナフタ
レンジカルボン酸ビス(2-ヒドロキシエチル)エステル
を回収する精製された2,6-ナフタレンジカルボン酸ビス
(2-ヒドロキシエチル)エステルの製造方法が記載され
ている。
【0004】また、特表平5−508870号公報に
は、適切な反応領域において、2,6-ナフタレンジカルボ
ン酸をメタノールと反応させて、溶解したジメチル-2,6
-ナフタレンジカルボキシレートおよびモノメチル-2,6-
ナフタレンジカルボキシレートを含む反応混合物を調製
し、反応混合物を約40℃を越えない温度に冷却するこ
とにより、溶解したジメチル-2,6-ナフタレンジカルボ
キシレートおよびモノメチル-2,6-ナフタレンジカルボ
キシレートの主要部分を結晶化し、反応混合物溶液を結
晶化したジメチル-2,6-ナフタレンジカルボキシレート
およびモノメチル-2,6-ナフタレンジカルボキシレート
から分別し、分別されたジメチル-2,6-ナフタレンジカ
ルボキシレートおよびモノメチル-2,6-ナフタレンジカ
ルボキシレートを再結晶溶剤中において、ジメチル-2,6
-ナフタレンジカルボキシレートの少なくとも一部およ
びモノメチル-2,6-ナフタレンジカルボキシレートの実
質的にすべてが溶解するのに十分な温度に加熱し、再結
晶溶剤中に溶解したジメチル-2,6-ナフタレンジカルボ
キシレートが再結晶し、一方ではモノメチル-2,6-ナフ
タレンジカルボキシレートの主要部分が再結晶母液に保
持される温度において再結晶し、再結晶ジメチル-2,6-
ナフタレンジカルボキシレートを再結晶母液から分別す
る精製ナフタレンジカルボン酸ジメチルの製法が記載さ
れている。
【0005】さらに、特開平7−173100号公報に
は、不純物を含有する2,6-ナフタレンジカルボン酸の粗
結晶を超臨界または亜臨界状態の水に溶解し、得られた
溶液を300℃以下に冷却して結晶を析出させ、次いで
該結晶を100〜300℃の温度において母液から分離
することを特徴とする高純度2,6-ナフタレンジカルボン
酸の製造方法が記載れている。
【0006】このような状況のもとさらに容易な操作
で、不純物の含有量をより少なくしうる芳香族ジカルボ
ン酸エステルの精製方法の出現が望まれている。
【0007】
【発明の目的】本発明は上記のような現状に鑑みてなさ
れたものであって、色相の良好な芳香族ジカルボン酸エ
ステルの結晶を得ることができるような芳香族ジカルボ
ン酸エステルの精製方法を提供することを目的としてい
る。
【0008】
【発明の概要】本発明に係る芳香族ジカルボン酸エステ
ルの精製方法は、芳香族ジカルボン酸と多価アルコール
とのエステル化反応生成物を芳香族炭化水素と水とに接
触させてエステル化反応生成物中の芳香族ジカルボン酸
エステルを芳香族炭化水素に溶解させた後、この芳香族
ジカルボン酸エステルを含む芳香族炭化水素溶液から芳
香族ジカルボン酸エステルの結晶を析出させることを特
徴としている。
【0009】また、本発明に係る芳香族ジカルボン酸エ
ステルの精製方法は、芳香族ジカルボン酸と多価アルコ
ールとのエステル化反応生成物を水に接触させてエステ
ル化反応生成物中の芳香族ジカルボン酸エステルを水に
溶解させ、次にこの芳香族ジカルボン酸エステルを含む
水溶液を芳香族炭化水素に接触させて水溶液中の芳香族
ジカルボン酸エステルを芳香族炭化水素に溶解させ、さ
らにこの芳香族ジカルボン酸エステルを含む芳香族炭化
水素溶液から芳香族ジカルボン酸エステルの結晶を析出
させることを特徴としている。
【0010】前記芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸
または2,6-ナフタレンジカルボン酸であることが好まし
く、前記多価アルコールは、エチレングリコールである
ことが好ましい。
【0011】本発明では、芳香族ジカルボン酸エステル
を含む芳香族炭化水素溶液から芳香族ジカルボン酸エス
テルの結晶を析出させるに先立って、該芳香族炭化水素
溶液と活性炭とを接触させてもよく、該芳香族炭化水素
溶液中の水添可能不純物を、水添触媒の存在下に水素と
接触させ、水添可能不純物を水添して芳香族炭化水素中
に溶解させてもよい。このような操作をすることによ
り、芳香族ジカルボン酸エステルをさらに精製すること
ができる。
【0012】また、本発明では、得られた芳香族ジカル
ボン酸エステルの結晶を芳香族炭化水素に溶解し、再び
晶析してもよく、得られた芳香族ジカルボン酸エステル
の結晶を芳香族炭化水素に溶解した芳香族炭化水素溶液
と活性炭とを接触させた後、晶析してもよく、得られた
芳香族ジカルボン酸エステルの結晶を芳香族炭化水素に
溶解した芳香族炭化水素溶液中の水添可能不純物を、水
添触媒の存在下に水素と接触させ、水添可能不純物を水
添して芳香族炭化水素中に溶解させた後、晶析してもよ
い。このような操作をすることにより、芳香族ジカルボ
ン酸エステルをさらに精製することができる。
【0013】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る芳香族ジカル
ボン酸エステルの精製方法について具体的に説明する。
【0014】本発明に係る芳香族ジカルボン酸エステル
の精製方法は、芳香族ジカルボン酸と多価アルコールと
のエステル化反応生成物を、芳香族炭化水素と水とに接
触させて不純物を除去している。
【0015】エステル化反応生成物は、芳香族ジカルボ
ン酸と多価アルコールとをエステル化反応させることに
より得られる。このエステル化反応において、芳香族ジ
カルボン酸と多価アルコールは、芳香族ジカルボン酸の
カルボキシル基(−COOH)と多価アルコールのヒドロキ
シ基(−OH)との比(−OH/−COOH)が、0.5〜2
0、好ましくは1〜10となるように用いられる。
【0016】芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボ
ン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカル
ボン酸、4,4'-ジカルボキシジフェニルエーテル、ジフ
ェノキシエタンジカルボン酸などが挙げられ、これらの
なかではテレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸を
用いることが好ましい。
【0017】芳香族ジカルボン酸は、製造時に用いられ
た触媒、製造時に生成するアルデヒド類などの不純物を
含んでいるため色相が良好ではない。たとえば2,6-ナフ
タレンジカルボン酸は、一般にジアルキルナフタレン
を、コバルト、マンガンおよび臭素の存在下で酸化する
ことにより製造されるが、このような2,6-ナフタレンジ
カルボン酸結晶の色は茶褐色である。なお、結晶の色相
測定は、スガ試験機株式会社製カラーテスターを使用
し、結晶を錠剤化して反射法により行なわれる。
【0018】多価アルコールとしては、エチレングリコ
ール、トリメチレングリコール、ブタンジオール、シク
ロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、1,
3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス
(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビス(4-β-ヒド
ロキシエトキシフェニル)スルホンなどのジアルコー
ル;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロー
ルプロパン、トリメチロールメタンなどのトリアルーコ
ル;ペンタエリスリトールなどのテトラアルコールなど
が挙げられ、これらのなかではエチレングリコールを用
いることが好ましい。
【0019】エステル化反応は、反応温度が通常180
〜280℃、好ましくは200〜260℃で行われる。
圧力は、通常0〜100kg/cm2 、好ましくは0.
5〜70kg/cm2 の条件下で行われる。また反応時
間は、反応条件にもよるが通常0.2〜6時間、好まし
くは0.5〜3時間である。
【0020】前記エステル化反応は有機溶媒の存在下で
行ってもよい。有機溶媒としては、ET 値が31kcal・
mol-1以上の有機溶媒、エーテル化合物、芳香族炭化水
素などが挙げられる。
【0021】具体的には、ジオキサン、ジフェニルエー
テル、アニソール、テトラヒドロフランなどのエーテル
化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼ
ン、クメン、サイメン、トリメチルベンゼン、ジイソプ
ロピルベンゼンなどの芳香族炭化水素などが挙げられ
る。
【0022】ここでET 値とは、下記式で表される化合
物の各種溶媒中のUV吸収スペクトルの吸収波長から下
記式により計算したエネルギー値(K.Dimroth(1963) に
よる)であり、溶媒の極性を表わす尺度である。
【0023】ET =hcνNA (h:Planckの定数、c:光の波長、ν:振動数、
A :Avogadro定数)
【0024】
【化1】
【0025】有機溶媒は、仕込み時の多価アルコールに
対して、通常0.1〜2倍重量、好ましくは0.3〜2
倍重量、より好ましくは0.5〜1.5倍重量となるよ
うな量で用いられる。
【0026】このような有機溶媒の存在下に、芳香族ジ
カルボン酸と多価アルコールとをエステル化反応させる
と、エステル化反応が促進されるとともに、多価アルコ
ールオリゴマー基の生成を抑制する。
【0027】このエステル化反応におけるエステル化率
は、通常50〜95%である。なお本明細書において、
エステル化率(%)とは、仕込み時の芳香族ジカルボン
酸のカルボキシル基のモル数(仕込カルボキシル基)
と、反応後における未反応の芳香族ジカルボン酸および
芳香族ジカルボン酸モノエステルのカルボキシル基のモ
ル数(残存カルボキシル基)とから下記式によって算出
される値である。
【0028】
【数1】
【0029】前記エステル化反応により得られたエステ
ル化反応生成物には、芳香族ジカルボン酸モノエステ
ル、芳香族ジカルボン酸ジエステルなどの芳香族ジカル
ボン酸エステル、未反応の芳香族ジカルボン酸などが含
有されている。
【0030】本発明では前記のようにして得られたエス
テル化反応生成物と、芳香族炭化水素と水とに接触させ
て不純物を除去する。具体的には、エステル化反応生成
物と芳香族炭化水素と水とを混合し、攪拌することによ
り、エステル化反応生成物を、芳香族炭化水素と水とに
接触させる。この操作により、エステル化反応生成物中
の芳香族ジカルボン酸エステルは芳香族炭化水素に溶解
し、エステル化反応生成物中の不純物の一部は水に溶解
する。
【0031】その後、エステル化反応生成物と芳香族炭
化水素と水との混合液を静置して、芳香族炭化水素を抜
き出し、通常の操作により芳香族ジカルボン酸エステル
を晶析させることにより高純度の芳香族ジカルボン酸エ
ステルの結晶が得られる。結晶を除去した後の芳香族炭
化水素は、前記操作に再使用できる。
【0032】ここで芳香族炭化水素としては、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、サ
イメン、トリメチルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン
などが挙げられる。芳香族炭化水素は、1種単独でまた
は2種以上組合わせて用いることができる。
【0033】上記操作においてエステル化反応生成物と
芳香族炭化水素と水との接触は、通常、常圧〜80kg
/cm2 、好ましくは常圧〜40kg/cm2 の圧力
下、通常50〜250℃、好ましくは90〜200℃の
温度で行われる。
【0034】水は、エステル化反応生成物に対し通常
0.1〜50倍重量、好ましくは0.5〜30倍重量の
量で用られる。芳香族炭化水素は、エステル化反応生成
物に対し通常1〜100倍重量、好ましくは1〜50倍
重量の量で用いられる。
【0035】また本発明では、以下のような操作によっ
ても芳香族ジカルボン酸エステルの精製を行うことがで
きる。まず、エステル化反応生成物と水とを接触させ、
エステル化反応生成物中の芳香族ジカルボン酸エステル
を水に溶解させる。この操作によりエステル化反応生成
物中の不純物の一部も水に溶解する。
【0036】次にこの芳香族ジカルボン酸エステルを含
む水溶液と芳香族炭化水素とを接触させ、水溶液中の芳
香族ジカルボン酸エステルを芳香族炭化水素に溶解させ
る。この操作によっては水溶液中の不純物は芳香族炭化
水素にほとんど溶解しない。
【0037】さらにこの芳香族ジカルボン酸エステルを
含む芳香族炭化水素溶液から通常の操作により芳香族ジ
カルボン酸エステルを析出させることにより高純度の芳
香族ジカルボン酸エステルの結晶が得られる。結晶を除
去した後の芳香族炭化水素は、前記操作に再使用でき
る。
【0038】上記操作においてエステル化反応生成物と
水との接触は、通常、常圧〜80kg/cm2 、好まし
くは常圧〜40kg/cm2 の圧力下、通常50〜25
0℃、好ましくは90〜200℃の温度で行われる。水
は、エステル化反応生成物に対し通常0.1〜50倍重
量、好ましくは0.5〜30倍重量の量で用いられる。
【0039】芳香族ジカルボン酸エステルを含む水溶液
と芳香族炭化水素との接触は、通常、常圧〜80kg/
cm2 、好ましくは常圧〜40kg/cm2 の圧力下、
通常50〜250℃、好ましくは90〜200℃の温度
で行われる。芳香族炭化水素は、水溶液に対し通常0.
5〜50倍重量、好ましくは1〜30倍重量の量で用い
られる。
【0040】本発明では、芳香族ジカルボン酸エステル
を含む芳香族炭化水素溶液から芳香族ジカルボン酸エス
テルの結晶を析出させるに先立って、芳香族炭化水素溶
液に活性炭処理または水素添加処理を行ってもよい。
【0041】活性炭処理は、芳香族炭化水素溶液と活性
炭とを接触させることにより行われる。具体的には、芳
香族ジカルボン酸エステルを含む芳香族炭化水素溶液と
活性炭とを混合し、80〜250℃、好ましくは80〜
200℃の温度で、0.05〜2時間、好ましくは0.
1〜1時間接触させる。活性炭処理の後、芳香族炭化水
素溶液と活性炭とを分離し、芳香族炭化水素溶液から芳
香族ジカルボン酸エステルを晶析することにより高純度
の芳香族ジカルボン酸エステルの結晶が得られる。
【0042】水素添加処理は、芳香族炭化水素溶液中の
水添可能不純物を、水添触媒の存在下に水素と接触さ
せ、水添可能不純物を水添して芳香族炭化水素中に溶解
させることにより行われる。水素添加処理は、常圧〜8
0kg/cm2 、好ましくは常圧〜60kg/cm2
圧力下、80〜250℃、好ましくは80〜200℃の
温度で、0.05〜2.0時間、好ましくは0.1〜
1.0時間行われる。この際用いられる水添触媒として
は、従来公知の触媒、たとえば、Fe,Co,Ni,R
u,Rh,Pd,Os,Ir,Ptなどを用いることが
できる。水添触媒は、芳香族炭化水素溶媒に対して、水
添触媒中の金属重量換算で、0.0005〜1重量%、
好ましくは0.003〜0.3重量%の割合で用いられ
る。
【0043】水素添加処理の後、芳香族ジカルボン酸エ
ステルを晶析することにより高純度の芳香族ジカルボン
酸エステルの結晶が得られる。本発明では、前記のよう
にして得られた芳香族ジカルボン酸エステルの結晶を、
芳香族炭化水素に溶解し、再び晶析することにより、芳
香族ジカルボン酸エステルをさらに精製することができ
る。
【0044】また、前記のようにして得られた芳香族ジ
カルボン酸エステルの結晶を芳香族炭化水素に溶解した
芳香族炭化水素溶液にさらに活性炭処理または水素添加
処理を行ってもよい。活性炭処理および水素添加処理の
条件は前記と同様である。
【0045】本発明の方法により得られた高純度の芳香
族ジカルボン酸エステルの結晶は、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリエチレンナフタレートなどの原料として
好適に用いられる。
【0046】
【発明の効果】本発明に係る芳香族ジカルボン酸エステ
ルの精製方法によると、色相の良好な芳香族ジカルボン
酸エステルの結晶が得られる。
【0047】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。
【0048】
【実施例1】 (1)エステル化 2,6-ナフタレンジカルボン酸(NDA)(純度96%)
30g、エチレングリコール(EG)75gおよびトル
エン60gをオートクレーブに仕込み、系内を窒素置換
(5kg/cm2 加圧)し、250℃で3時間加熱した
後、オートクレーブを冷却した。反応物を室温で水洗し
ながら取り出し水を含んだエステル化反応生成物101
gを得た。この生成物の組成の分析値を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】(2)NDA−EGエステルの精製 (1)で得られたエステル化反応生成物77g、水25
gおよびトルエン150gを丸底フラスコに仕込み、窒
素気流下94℃に加熱したオイルバスに浸した。15分
攪拌後静置しトルエン層を抜き出した。室温に冷却し析
出した結晶を回収し母液は抽出操作に使用した。上記操
作を繰り返し行いNDA−EGエステルの結晶(抽出結
晶)21gを得た。得られた結晶の色相を表2に示す。
【0051】
【実施例2】実施例1の(2)においてトルエンの代わ
りにトリメチルベンゼンを使用したこと以外は同様の操
作を行った。得られた結晶の色相を表2に示す。
【0052】
【比較例1】実施例1の(1)と同様の操作で得られた
エステル化反応生成物を乾燥し、水を加えないでトルエ
ンだけを加えた以外は実施例1の(2)の操作と同様に
行った。得られた結晶の色相を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】トルエンと水を用いて芳香族ジカルボン酸
エステルを精製すると、トルエンのみを用いて精製する
のに比較して得られる結晶の色相は大幅に改善された。
【0055】
【実施例3】実施例1の(2)と同様の操作で得られた
NDA−EGエステルの結晶10g、活性炭(鶴見コー
ル)2gおよびトリメチルベンゼン50gを窒素気流下
150℃1時間攪拌後、熱時に濾過を行い、濾液を室温
まで冷却し結晶を析出させた。析出した結晶を濾過操作
により回収し窒素気流下乾燥した。得られた結晶の色相
を表3に示す。
【0056】
【実施例4】実施例1の(2)と同様の操作で得られた
NDA−EGエステルの結晶10g、0.5%Pd/炭
素0.5g、トルエン100gを加圧容器に仕込み、水
素で5kg/cm2 に加圧し200℃で20分反応を行
った。熱時に濾過を行い濾液を室温まで冷却し結晶を析
出させた。析出した結晶を濾過操作により回収し窒素気
流下乾燥した。得られた結晶の色相を表3に示す。
【0057】
【実施例5】実施例1の(1)と同様の操作で得られた
NDA−EGエステルの結晶10gをトルエン200g
で再結晶操作を行った。得られた結晶の色相を表3に示
す。
【0058】
【表3】

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ジカルボン酸と多価アルコールと
    のエステル化反応生成物を芳香族炭化水素と水とに接触
    させてエステル化反応生成物中の芳香族ジカルボン酸エ
    ステルを芳香族炭化水素に溶解させた後、この芳香族ジ
    カルボン酸エステルを含む芳香族炭化水素溶液から芳香
    族ジカルボン酸エステルの結晶を析出させることを特徴
    とする芳香族ジカルボン酸エステルの精製方法。
  2. 【請求項2】 芳香族ジカルボン酸と多価アルコールと
    のエステル化反応生成物を水に接触させてエステル化反
    応生成物中の芳香族ジカルボン酸エステルを水に溶解さ
    せ、次にこの芳香族ジカルボン酸エステルを含む水溶液
    を芳香族炭化水素に接触させて水溶液中の芳香族ジカル
    ボン酸エステルを芳香族炭化水素に溶解させ、さらにこ
    の芳香族ジカルボン酸エステルを含む芳香族炭化水素溶
    液から芳香族ジカルボン酸エステルの結晶を析出させる
    ことを特徴とする芳香族ジカルボン酸エステルの精製方
    法。
  3. 【請求項3】 前記芳香族ジカルボン酸は、テレフタル
    酸または2,6-ナフタレンジカルボン酸である請求項1ま
    たは2に記載の芳香族ジカルボン酸エステルの精製方
    法。
  4. 【請求項4】 前記多価アルコールは、エチレングリコ
    ールである請求項1ないし3のいずれかに記載の芳香族
    ジカルボン酸エステルの精製方法。
  5. 【請求項5】 芳香族ジカルボン酸エステルを含む芳香
    族炭化水素溶液から芳香族ジカルボン酸エステルの結晶
    を析出させるに先立って、該芳香族炭化水素溶液と活性
    炭とを接触させる請求項1〜4のいずれかに記載の芳香
    族ジカルボン酸エステルの精製方法。
  6. 【請求項6】 芳香族ジカルボン酸エステルを含む芳香
    族炭化水素溶液から芳香族ジカルボン酸エステルの結晶
    を析出させるに先立って、該芳香族炭化水素溶液中の水
    添可能不純物を、水添触媒の存在下に水素と接触させ、
    水添可能不純物を水添して芳香族炭化水素中に溶解させ
    る請求項1〜4のいずれかに記載の芳香族ジカルボン酸
    エステルの精製方法。
  7. 【請求項7】 得られた芳香族ジカルボン酸エステルの
    結晶を芳香族炭化水素に溶解し、再び晶析して芳香族ジ
    カルボン酸エステルの結晶を得る請求項1〜4のいずれ
    かに記載の芳香族ジカルボン酸エステルの精製方法。
  8. 【請求項8】 得られた芳香族ジカルボン酸エステルの
    結晶を芳香族炭化水素に溶解した芳香族炭化水素溶液と
    活性炭とを接触させた後、晶析して芳香族ジカルボン酸
    エステルの結晶を得る請求項1〜4のいずれかに記載の
    芳香族ジカルボン酸エステルの精製方法。
  9. 【請求項9】 得られた芳香族ジカルボン酸エステルの
    結晶を芳香族炭化水素に溶解した芳香族炭化水素溶液中
    の水添可能不純物を、水添触媒の存在下に水素と接触さ
    せ、水添可能不純物を水添して芳香族炭化水素中に溶解
    させた後、晶析して芳香族ジカルボン酸エステルの結晶
    を得る請求項1〜4のいずれかに記載の芳香族ジカルボ
    ン酸エステルの精製方法。
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JP2011079823A (ja) * 2009-10-08 2011-04-21 Oxea Gmbh ポリオールエステルの製造方法

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