JPH1087557A - 粗ナフタレンジカルボン酸の精製方法 - Google Patents

粗ナフタレンジカルボン酸の精製方法

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JPH1087557A
JPH1087557A JP24601096A JP24601096A JPH1087557A JP H1087557 A JPH1087557 A JP H1087557A JP 24601096 A JP24601096 A JP 24601096A JP 24601096 A JP24601096 A JP 24601096A JP H1087557 A JPH1087557 A JP H1087557A
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JP
Japan
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naphthalenedicarboxylic acid
aldehyde compound
crude
solution
acid
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JP24601096A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Iwasaki
崎 博 岩
Satoru Inoki
木 哲 猪
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルデヒド化合物を含有するナフタレンジカ
ルボン酸から、アルデヒド化合物の含有量が少ないナフ
タレンジカルボン酸エステル化混合物溶液を得ること。 【解決手段】 粗ナフタレンジカルボン酸とアルコール
とをエステル化反応させて、ナフタレンジカルボン酸と
ナフタレンジカルボン酸エステルとを含むナフタレンジ
カルボン酸エステル化混合物溶液とし、次に粗ナフタレ
ンジカルボン酸に含まれていたアルデヒド化合物のアル
デヒド基をカルボキシル基に酸化して、アルデヒド化合
物含有量を低減させたナフタレンジカルボン酸エステル
化混合物溶液を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルデヒド化合物
を含有するナフタレンジカルボン酸から、アルデヒド化
合物の含有量が少ないナフタレンジカルボン酸エステル
化混合物溶液もしくはナフタレンジカルボン酸エステル
化混合物または高純度のナフタレンジカルボン酸が得ら
れるような粗ナフタレンジカルボン酸の精製方法に関す
るものである。
【0002】
【発明の技術的背景】ナフタレンジカルボン酸は、たと
えばジアルキルナフタレンを、コバルト、マンガンおよ
び臭素の存在下で酸化することにより製造することがで
きる。しかし、このような方法で得られた粗ナフタレン
ジカルボン酸は、トリメリット酸、アルデヒド類などの
不純物や触媒に起因するコバルト、マンガンおよび臭素
が含有されている。このようなナフタレンジカルボン酸
を原料として、たとえばポリエチレンナフタレートを製
造すると、得られたポリエチレンナフタレートが着色し
たり、成形時に金型汚れが発生したりする。このため上
記のようにして得られたナフタレンジカルボン酸を精製
することが必要になる。
【0003】ナフタレンジカルボン酸の精製方法として
は、特開平1−110650号公報には、触媒量の第三
アミン及びチタン含有化合物の存在下で2,6-ナフタレン
ジカルボン酸1モルに対して少なくとも2モルのエチレ
ングリコールと純粋でない2,6-ナフタレンジカルボン酸
とを反応させることによって2,6-ナフタレンジカルボン
酸ビス(2-ヒドロキシエチル)エステルを調製し、この
2,6-ナフタレンジカルボン酸ビス(2-ヒドロキシエチ
ル)エステルを結晶させ、そして精製された2,6-ナフタ
レンジカルボン酸ビス(2-ヒドロキシエチル)エステル
を回収する精製された2,6-ナフタレンジカルボン酸ビス
(2-ヒドロキシエチル)エステルの製造方法が記載され
ている。
【0004】また、特表平5−508870号公報に
は、適切な反応領域において、2,6-ナフタレンジカルボ
ン酸をメタノールと反応させて、溶解したジメチル-2,6
-ナフタレンジカルボキシレートおよびモノメチル-2,6-
ナフタレンジカルボキシレートを含む反応混合物を調製
し、反応混合物を約40℃を越えない温度に冷却するこ
とにより、溶解したジメチル-2,6-ナフタレンジカルボ
キシレートおよびモノメチル-2,6-ナフタレンジカルボ
キシレートの主要部分を結晶化し、反応混合物溶液を結
晶化したジメチル-2,6-ナフタレンジカルボキシレート
およびモノメチル-2,6-ナフタレンジカルボキシレート
から分別し、分別されたジメチル-2,6-ナフタレンジカ
ルボキシレートおよびモノメチル-2,6-ナフタレンジカ
ルボキシレートを再結晶溶剤中において、ジメチル-2,6
-ナフタレンジカルボキシレートの少なくとも一部およ
びモノメチル-2,6-ナフタレンジカルボキシレートの実
質的にすべてが溶解するのに十分な温度に加熱し、再結
晶溶剤中に溶解したジメチル-2,6-ナフタレンジカルボ
キシレートが再結晶し、一方ではモノメチル-2,6-ナフ
タレンジカルボキシレートの主要部分が再結晶母液に保
持される温度において再結晶し、再結晶ジメチル-2,6-
ナフタレンジカルボキシレートを再結晶母液から分別す
る精製ナフタレンジカルボン酸ジメチルの製法が記載さ
れている。
【0005】さらに、特開平7−173100号公報に
は、不純物を含有する2,6-ナフタレンジカルボン酸の粗
結晶を超臨界または亜臨界状態の水に溶解し、得られた
溶液を300℃以下に冷却して結晶を析出させ、次いで
該結晶を100〜300℃の温度において母液から分離
することを特徴とする高純度2,6-ナフタレンジカルボン
酸の製造方法が記載れている。
【0006】このような状況のもとさらに容易な操作
で、不純物の含有量をより少なくしうる粗ナフタレンジ
カルボン酸の精製方法の出現が望まれている。
【0007】
【発明の目的】本発明は上記のような現状に鑑みてなさ
れたものであって、アルデヒド化合物の含有量を低減さ
せることができるような粗ナフタレンジカルボン酸の精
製方法を提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】本発明に係る粗ナフタレンジカルボン酸
の精製方法は、粗ナフタレンジカルボン酸とアルコール
とをエステル化反応させて、ナフタレンジカルボン酸と
ナフタレンジカルボン酸エステルとを含むナフタレンジ
カルボン酸エステル化混合物溶液とし、次に下記(1)
〜(4)のいずれかの方法により、粗ナフタレンジカル
ボン酸に含まれていたアルデヒド化合物のアルデヒド基
をカルボキシル基に酸化して、アルデヒド化合物含有量
を低減させたナフタレンジカルボン酸エステル化混合物
溶液を得ることを特徴としている; (1)アルデヒド化合物と、過酸化物と、有機カルボン
酸の金属塩とを接触させる (2)アルデヒド化合物と、過酸化物と、塩素酸類の金
属塩とを接触させる (3)アルデヒド化合物と、過酸とを接触させる (4)アルデヒド化合物と、酸素含有ガスと、貴金属触
媒とを接触させる 本発明では、前記アルコールとして、メタノールまたは
エチレングリコールを用いることができる。
【0009】また、本発明では、ナフタレンジカルボン
酸のエステル化を水の共存下に行うことができる。本発
明によると、粗ナフタレンジカルボン酸からアルデヒド
化合物含量の少ない高純度のナフタレンジカルボン酸エ
ステル化混合物溶液を製造することができる。
【0010】本発明では、前記アルデヒド化合物含有量
を低減させたナフタレンジカルボン酸エステル化混合物
溶液から、ナフタレンジカルボン酸とナフタレンジカル
ボン酸エステルとを含むナフタレンジカルボン酸エステ
ル化混合物の結晶を析出させて、アルデヒド化合物含有
量を低減させたナフタレンジカルボン酸エステル化混合
物を得ることもできる。
【0011】また、前記アルデヒド化合物含有量を低減
させたナフタレンジカルボン酸エステル化混合物溶液の
アルコール濃度を低下させた後加熱してナフタレンジカ
ルボン酸エステルを加水分解し、得られた溶液を冷却し
て析出したナフタレンジカルボン酸を分離回収すると高
純度のナフタレンジカルボン酸を得ることができる。
【0012】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る粗ナフタレン
ジカルボン酸の精製方法について具体的に説明する。
【0013】本発明に係る粗ナフタレンジカルボン酸の
精製方法は、粗ナフタレンジカルボン酸とアルコールと
をエステル化反応させて、ナフタレンジカルボン酸とナ
フタレンジカルボン酸エステルとを含むナフタレンジカ
ルボン酸エステル化混合物溶液とし、次に粗ナフタレン
ジカルボン酸に含まれていたアルデヒド化合物のアルデ
ヒド基をカルボキシル基に酸化して、アルデヒド化合物
含有量を低減させて、アルデヒド化合物含有量の少ない
ナフタレンジカルボン酸エステル化混合物溶液を製造し
ている。
【0014】本発明で用いられる粗ナフタレンジカルボ
ン酸は、たとえばジアルキルナフタレンを、コバルト、
マンガンおよび臭素の存在下で酸化することにより製造
されたものであり、この粗ナフタレンジカルボン酸に
は、通常4-ホルミル-2-ナフトエ酸、6-ホルミル-2-ナフ
トエ酸などのアルデヒド類やトリメリット酸などの不純
物が含有されている。
【0015】本発明では、まず上記のような粗ナフタレ
ンジカルボン酸とアルコールとをエステル化反応させ
て、ナフタレンジカルボン酸とナフタレンジカルボン酸
エステルとを含むナフタレンジカルボン酸エステル化混
合物溶液とする。
【0016】ナフタレンジカルボン酸は、アルコール1
モルに対し通常0.007〜0.5モル、好ましくは
0.03〜0.10モルの量で用いられる。ここでアル
コールとしては、炭素原子数が8以下のアルコールが好
ましく、具体的にはメタノール、エタノール、プロパノ
ール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、
ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノールなどの脂肪
族アルコール、シクロヘキサノールなどの脂環式アルコ
ール、フェノール、ベンジルアルコールなどの芳香族ア
ルコール、エチレングリコールなどのジアルコールなど
が挙げられる。これらの中では、脂肪族アルコール、ジ
アルコールが好ましく、メタノール、エチレングリコー
ルが特に好ましい。
【0017】前記ナフタレンジカルボン酸のエステル化
は水の共存下に行ってもよく、この場合アルコール水溶
液のアルコール濃度が、通常20〜95重量%、好まし
くは40〜90重量%、より好ましくは60〜80重量
%となるような量で用いられる。
【0018】ナフタレンジカルボン酸のエステル化は、
通常2〜80kg/cm2 、好ましくは10〜50kg
/cm2 の圧力下、通常200〜300℃、好ましくは
160〜280℃の温度で、通常0.2〜6時間、好ま
しくは1〜4時間行われる。ナフタレンジカルボン酸の
エステル化率は、アルコール水溶液中のアルコール濃度
にもよるが通常20〜90重量%、好ましくは40〜7
0重量%である。
【0019】なお本明細書においてエステル化率(%)
は、下記式によって算出される値である。
【0020】
【数1】
【0021】エステル化反応によりナフタレンジカルボ
ン酸モノエステル、ナフタレンジカルボン酸ジエステル
などのナフタレンジカルボン酸エステルが生成し、ナフ
タレンジカルボン酸とナフタレンジカルボン酸エステル
とを含むナフタレンジカルボン酸エステル化混合物溶液
が得られる。
【0022】本発明では、前記エステル化反応を行った
後、粗ナフタレンジカルボン酸に含有されていたアルデ
ヒド化合物のアルデヒド基を酸化する。アルデヒド基を
酸化する方法としては、下記(1)〜(4)のいずれか
の方法が採用される。 (1)アルデヒド化合物と、過酸化物と、有機カルボン
酸の金属塩とを接触させる。具体的には、前記ナフタレ
ンジカルボン酸エステル化混合物溶液に、過酸化物と、
有機カルボン酸の金属塩とを添加し加熱する。
【0023】ここで過酸化物としては、過酸化水素、ク
メンヒドロペルオキシド(CHP)、ターシャルブチル
ヒドロペルオキシド(TBHPO)などを挙げることが
できる。また有機カルボン酸の金属塩としては、蟻酸、
酢酸、酪酸、シュウ酸、マロン酸、安息香酸、フタル
酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの、コバルト塩、
マンガン塩、ニッケル塩、鉄塩、銅塩、クロム塩、バナ
ジウム塩、モリブデン塩などが挙げられる。
【0024】過酸化物は、ナフタレンジカルボン酸エス
テル化混合物溶液に対して通常0.01〜15重量%、
好ましくは0.1〜10重量%の割合で用いられ、有機
カルボン酸の金属塩は、ナフタレンジカルボン酸エステ
ル化混合物溶液に対して通常0.01〜15重量%、好
ましくは0.1〜2.0重量%の割合で用いられる。
【0025】アルデヒド化合物の酸化は、通常、常圧〜
80kg/cm2 、好ましくは常圧〜50kg/cm2
の圧力下、通常50〜300℃、好ましくは100〜2
80℃の温度で、通常0.05〜2.0時間、好ましく
は0.1〜1.0時間行われる。 (2)アルデヒド化合物と、過酸化物と、塩素酸類の金
属塩とを接触させる。具体的には、前記ナフタレンジカ
ルボン酸エステル化混合物溶液に、過酸化物と、塩素酸
類の金属塩とを添加し加熱する。
【0026】ここで過酸化物としては、前記と同様のも
のが挙げられる。また、塩素酸類の金属塩としては、次
亜塩素酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、塩素酸ナト
リウム、塩素酸カリウムなどが挙げられる。
【0027】過酸化物は、ナフタレンジカルボン酸エス
テル化混合物溶液に対して通常0.01〜15重量%、
好ましくは0.1〜10重量%の割合で用いられ、塩素
酸類の金属塩は、ナフタレンジカルボン酸エステル化混
合物溶液に対して通常0.01〜15重量%、好ましく
は0.1〜2.0重量%の割合で用いられる。
【0028】アルデヒド化合物の酸化は、通常、常圧〜
80kg/cm2 、好ましくは常圧〜50kg/cm2
の圧力下、通常50〜300℃、好ましくは100〜2
50℃の温度で、通常0.05〜2.0時間、好ましく
は0.1〜1.0時間行われる。 (3)アルデヒド化合物と、過酸とを接触させる。具体
的には、前記ナフタレンジカルボン酸エステル化混合物
溶液に、過酸を添加し加熱する。
【0029】ここで過酸としては、過安息香酸、m-クロ
ロ過安息香酸、過酢酸、過酪酸、トリフロロ過酢酸、ト
リフロロオキシマレイン酸、モノペルオキシフタル酸な
どが挙げられる。
【0030】過酸は、ナフタレンジカルボン酸エステル
化混合物溶液に対して通常0.01〜15重量%、好ま
しくは0.1〜10重量%の割合で用いらる。アルデヒ
ド化合物の酸化は、通常、常圧〜80kg/cm2 、好
ましくは常圧〜50kg/cm2 の圧力下、通常50〜
300℃、好ましくは100〜250℃の温度で、通常
0.05〜2.0時間、好ましくは0.1〜1.0時間
行われる。 (4)アルデヒド化合物と、酸素含有ガスと、貴金属触
媒とを接触させる。具体的には、前記ナフタレンジカル
ボン酸エステル化混合物溶液に、貴金属触媒を添加し、
酸素含有ガス雰囲気下で加熱する。
【0031】ここで貴金属触媒としては、貴金属を必要
に応じて担体に担持した触媒を用いることができ、貴金
属としては、Pt,Ru,Rh,Pd,Ir,Os,A
g,PtO2 ,RuO2 ,Ptブラックなどが挙げら
れ、担体としては、活性炭、Al2 3 ,Al2 3
SiO2 ,ゼオライト、ジルコニア、チタニアなどが挙
げられる。
【0032】貴金属触媒は、ナフタレンジカルボン酸エ
ステル化混合物溶液に対して通常0.01〜15重量
%、好ましくは0.1〜10重量%の割合で用いらる。
アルデヒド化合物の酸化は、通常、常圧〜80kg/c
2 、好ましくは常圧〜50kg/cm2 の圧力下、通
常50〜300℃、好ましくは100〜280℃の温度
で、通常0.05〜2.0時間、好ましくは0.1〜
1.0時間行われる。
【0033】上記(1)〜(4)の方法により、アルデ
ヒド化合物のアルデヒド基がカルボキシル基に酸化され
る。また上記(1)〜(4)の方法によると、エチレン
グリコールやナフタレンジカルボン酸モノエステルの水
酸基が酸化されることはほとんどない。
【0034】本発明では、上記工程に引き続き、ナフタ
レンジカルボン酸エステル化混合物溶液を冷却すること
によりナフタレンジカルボン酸およびナフタレンジカル
ボン酸エステル体を晶析させることができる。そして、
析出したナフタレンジカルボン酸およびナフタレンジカ
ルボン酸エステル体を、アルコール(水)溶液と分離す
ることによりアルデヒド化合物含有量の少ないナフタレ
ンジカルボン酸とナフタレンジカルボン酸エステル体と
の混合物であるナフタレンジカルボン酸エステル化混合
物が得られる。
【0035】得られるナフタレンジカルボン酸とナフタ
レンジカルボン酸エステル体との比率は、アルコール
(水)溶液のアルコール濃度および/または晶析させる
際の温度を調整することにより調節することができる。
【0036】アルコールとしてエチレングリコールを用
い、上記の方法により得られたアセトアルデヒド含有量
を低減させたナフタレンジカルボン酸エステル化混合物
溶液およびナフタレンジカルボン酸エステル化混合物
は、ポリエチレンナフタレートの原料として好適に用い
られる。
【0037】本発明において、高純度のナフタレンジカ
ルボン酸を得ようとする場合には、前記アルデヒド化合
物のアルデヒド基を酸化させた後の、ナフタレンジカル
ボン酸エステル化混合物溶液のアルコール濃度を低下さ
せた後加熱してナフタレンジカルボン酸エステルを加水
分解し、得られた溶液を冷却して析出したナフタレンジ
カルボン酸を分離回収する。
【0038】アルコール濃度を低下させる方法としては
特に限定されないが、たとえばナフタレンジカルボン酸
エステル化混合物溶液と水とを混合する方法、ナフタレ
ンジカルボン酸エステル化混合物溶液からアルコールの
一部を蒸発させる方法、ナフタレンジカルボン酸エステ
ル化混合物溶液と該溶液よりアルコール濃度の低いアル
コール水溶液とを混合する方法などが用いられる。
【0039】加水分解する際のナフタレンジカルボン酸
エステル化混合物溶液のアルコール濃度(アルコールと
水との合計量を100重量%とする)は、60重量%以
下、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重
量%以下である。
【0040】また、加水分解は、通常2〜80kg/c
2 、好ましくは10〜50kg/cm2 の圧力下、通
常160〜300℃、好ましくは200〜280℃の温
度で、通常0.2〜6時間、好ましくは1〜4時間行わ
れる。
【0041】加水分解を行った後、アルコール水溶液を
冷却することによりナフタレンジカルボン酸を晶析させ
ることができる。そして、析出したナフタレンジカルボ
ン酸を、アルコール水溶液と分離することにより高純度
のナフタレンジカルボン酸が得られる。
【0042】本発明の方法により得られた高純度のナフ
タレンジカルボン酸は、ポリエチレンナフタレートの原
料として好適に用いられる。
【0043】
【発明の効果】本発明に係る粗ナフタレンジカルボン酸
の精製方法によると、アルデヒド化合物含有量の少ない
ナフタレンジカルボン酸エステル体混合物溶液もしくは
ナフタレンジカルボン酸エステル体混合物または高純度
のナフタレンジカルボン酸が得られる。
【0044】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。
【0045】
【実施例1】 (1)エステル化 6-フォルミル-2-ナフトエ酸を2300ppm含有する
粗2,6-ナフタレンジカルボン酸(NDA)2g、エチレ
ングリコール(EG)6.5gおよび水3.5gを50
mlのオートクレーブに仕込み、系内を窒素置換(5k
g/cm2 加圧)し、250℃で3時間加熱した後、オ
ートクレーブを冷却した。このとき2,6-ナフタレンジカ
ルボン酸はその大部分がエステル化され、モノエステル
とジエステルを含む混合物となっている。この混合物の
組成の分析値を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】(2)6-フォルミル-2-ナフトエ酸の酸化 次に、オートクレーブに亜塩素酸ナトリウム0.1gを
添加し、再度系内を窒素置換(5kg/cm2 加圧)
し、150℃に昇温した。次に、過酸化水素1.0gを
添加したエチレングリコール水溶液(エチレングリコー
ル;6.5g、水;3.5g)の溶液をフィードポンプ
を用いてオートクレーブに供給した。150℃で0.5
時間加熱した後、オートクレーブを25℃まで冷却し
た。 (3)NDAの晶析 この後、50mlの蒸留水に前記反応で得られた反応液
を注ぎ入れた。数分間攪拌した後に、結晶と溶液を濾過
分離し、さらに30mlの蒸留水で洗浄した。一昼夜乾
燥した後、2.2gの結晶(2,6-ナフタレンジカルボン
酸と2,6-ナフタレンジカルボン酸エステルとの混合物)
を回収した。この結晶中の6-フォルミル-2-ナフトエ酸
含量は350ppmであった。
【0048】
【実施例2】 (1)エステル化 6-フォルミル-2-ナフトエ酸を2300ppm含有する
粗2,6-ナフタレンジカルボン酸(NDA)2g、エチレ
ングリコール(EG)6.5gおよび水3.5gを50
mlのオートクレーブに仕込み、系内を窒素置換(5k
g/cm2 加圧)し、250℃で3時間加熱した後、オ
ートクレーブを冷却した。このとき2,6-ナフタレンジカ
ルボン酸はその大部分がエステル化され、モノエステル
とジエステルを含む混合物となっている。この混合物の
組成の分析値を表3に示す。
【0049】
【表2】
【0050】(2)6-フォルミル-2-ナフトエ酸の酸化 次に、オートクレーブを150℃まで冷却した。続い
て、m-クロロ安息香酸0.1gを添加したエチレングリ
コール水溶液(エチレングリコール;6.5g、水;
3.5g)の溶液をフィードポンプを用いてオートクレ
ーブに供給した。150℃で0.5時間加熱した後、オ
ートクレーブを25℃まで冷却した。 (3)NDAの晶析 この後、50mlの蒸留水に前記反応で得られた反応液
を注ぎ入れた。数分間攪拌した後に、結晶と溶液を濾過
分離し、さらに30mlの蒸留水で洗浄した。一昼夜乾
燥した後、2.2gの結晶(2,6-ナフタレンジカルボン
酸と2,6-ナフタレンジカルボン酸エステルとの混合物)
を回収した。この結晶中の6-フォルミル-2-ナフトエ酸
含量は430ppmであった。
【0051】
【実施例3】 (1)エステル化 6-フォルミル-2-ナフトエ酸を2300ppm含有する
粗2,6-ナフタレンジカルボン酸(NDA)2g、エチレ
ングリコール(EG)6.5gおよび水3.5gを50
mlのオートクレーブに仕込み、系内を窒素置換(5k
g/cm2 加圧)し、250℃で3時間加熱した後、オ
ートクレーブを冷却した。このとき2,6-ナフタレンジカ
ルボン酸はその大部分がエステル化され、モノエステル
とジエステルを含む混合物となっている。この混合物の
組成の分析値を表3に示す。
【0052】
【表3】
【0053】(2)6-フォルミル-2-ナフトエ酸の酸化 次に、オートクレーブに2%白金/炭素0.2gを添加
し、系内を窒素置換(10kg/cm2 加圧)し、15
0℃で0.5時間加熱した後、オートクレーブを25℃
まで冷却した。 (3)NDAの晶析 この後、50mlの蒸留水に前記反応で得られた反応液
を注ぎ入れた。数分間攪拌した後に、結晶と溶液を濾過
分離し、さらに30mlの蒸留水で洗浄した。一昼夜乾
燥した後、2.2gの結晶(2,6-ナフタレンジカルボン
酸と2,6-ナフタレンジカルボン酸エステルとの混合物)
を回収した。この結晶中の6-フォルミル-2-ナフトエ酸
含量は780ppmであった。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粗ナフタレンジカルボン酸とアルコール
    とをエステル化反応させて、ナフタレンジカルボン酸と
    ナフタレンジカルボン酸エステルとを含むナフタレンジ
    カルボン酸エステル化混合物溶液とし、 次に下記(1)〜(4)のいずれかの方法により、粗ナ
    フタレンジカルボン酸に含まれていたアルデヒド化合物
    のアルデヒド基をカルボキシル基に酸化して、アルデヒ
    ド化合物含有量を低減させたナフタレンジカルボン酸エ
    ステル化混合物溶液を得ることを特徴とする粗ナフタレ
    ンジカルボン酸の精製方法; (1)アルデヒド化合物と、過酸化物と、有機カルボン
    酸の金属塩とを接触させる (2)アルデヒド化合物と、過酸化物と、塩素酸類の金
    属塩とを接触させる (3)アルデヒド化合物と、過酸とを接触させる (4)アルデヒド化合物と、酸素含有ガスと、貴金属触
    媒とを接触させる
  2. 【請求項2】 前記アルコールが、メタノールまたはエ
    チレングリコールである請求項1に記載の粗ナフタレン
    ジカルボン酸の精製方法。
  3. 【請求項3】 ナフタレンジカルボン酸のエステル化を
    水の共存下に行う請求項1または2に記載の粗ナフタレ
    ンジカルボン酸の精製方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の方法で製造したアルデヒ
    ド化合物含有量を低減させたナフタレンジカルボン酸エ
    ステル化混合物溶液から、ナフタレンジカルボン酸とナ
    フタレンジカルボン酸エステルとを含むナフタレンジカ
    ルボン酸エステル化混合物の結晶を析出させて、アルデ
    ヒド化合物含有量を低減させたナフタレンジカルボン酸
    エステル化混合物を得ることを特徴とする粗ナフタレン
    ジカルボン酸の精製方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3の方法で製造したアルデヒ
    ド化合物含有量を低減させたナフタレンジカルボン酸エ
    ステル化混合物溶液のアルコール濃度を低下させた後加
    熱してナフタレンジカルボン酸エステルを加水分解し、
    得られた溶液を冷却して析出したナフタレンジカルボン
    酸を分離回収することを特徴とする粗ナフタレンジカル
    ボン酸の精製方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016529290A (ja) * 2013-08-30 2016-09-23 フラニックス・テクノロジーズ・ベーフェー 2−ホルミル−フラン−5−カルボン酸および2,5−フランジカルボン酸を含む酸組成物の精製方法

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