JPH09104654A - ナフタレンジカルボン酸の精製方法 - Google Patents

ナフタレンジカルボン酸の精製方法

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JPH09104654A
JPH09104654A JP8189685A JP18968596A JPH09104654A JP H09104654 A JPH09104654 A JP H09104654A JP 8189685 A JP8189685 A JP 8189685A JP 18968596 A JP18968596 A JP 18968596A JP H09104654 A JPH09104654 A JP H09104654A
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naphthalenedicarboxylic acid
crude
acid
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oxygen
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JP8189685A
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Hiroaki Otsuka
宏明 大塚
Ken Fujita
研 藤田
Mamoru Donomae
守 堂野前
Nobuaki Urasato
延明 浦里
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SEKIYU SANGYO KASSEIKA CENTER
Cosmo Oil Co Ltd
Japan Petroleum Energy Center JPEC
Original Assignee
SEKIYU SANGYO KASSEIKA CENTER
Cosmo Oil Co Ltd
Petroleum Energy Center PEC
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粗製ナフタレンジカルボン酸の精製におい
て、その中の代表的不純物であるホルミルナフトエ酸の
−CHOを−COOHに変え、純度の向上と収率の向上
とを一挙に実現する。 【解決手段】 粗製ナフタレンジカルボン酸に、高温の
水性反応媒体中、白金のような貴金属触媒の存在下、分
子状酸素を、粗製物中の不完全酸化段階にある置換基を
カルボキシル基にまで酸化するに要する酸素量の少なく
とも0.5当量、好ましくは1当量以上、15当量まで
の範囲で作用させる。 生成したナフタレンジカルボン
酸を高温の水性反応媒体に溶解させたまま触媒と反応生
成液とを固液分離し、反応生成液をゆっくり冷却してナ
フタレンジカルボン酸を晶出させ、これを回収して精製
品を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルキル置換基ま
たは一部酸化されたアルキル置換基を有するナフタレン
化合物の置換基を酸化することにより得た、粗製のナフ
タレンジカルボン酸を精製する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ナフタレンジカルボン酸、とくに2,6
−ナフタレンジカルボン酸は、ポリエチレンナフタレー
ト(PEN)などの高機能性樹脂の原料として有用な化
合物である。
【0003】2,6−ナフタレンジカルボン酸の製造方
法として、従来、2,6−ジメチルナフタレンの液相酸
化法(たとえば特開平6−172260)が知られてい
る。しかし、このような方法で製造したナフタレンジカ
ルボン酸の中には、6−ホルミル−2−ナフトエ酸
(「6−F−2−NA」と略記する)をはじめとする不
純物が含まれている。 こうした不純物は、微量であっ
ても、2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリ
コールとの重縮合によって製造されるポリエステルを着
色したり、重合度を低下させたりして、品質上の障害を
もたらす。
【0004】そのため、上記のような不純物を含む2,
6−ナフタレンジカルボン酸の精製は重要な課題であっ
て、その解決策がこれまで多数提案されてきた。 たと
えば、液相酸化により得た低純度の2,6−ナフタレン
ジカルボン酸をメタノールとエステル化した(特開昭5
0−95253)後、蒸留(特公昭50−29291)す
るか、または再結晶(特開昭50−111056)する
かして、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルの形
で高純度化する方法がある。 粗製2,6−ナフタレン
ジカルボン酸をアルカリ水溶液に溶解後、脱色処理する
(特公昭52−20993、同52−20994、特開
昭49−133359、同50−105639、同62
−212341、同62−212342)、酸化処理す
る(特開昭48−68554、同48−68555、特
開平2−250849)、あるいは水素化処理する(特
公昭57−36901)精製方法もある。 また、高純
度テレフタル酸の製造法として確立されている水添精製
法を、ナフタレンジカルボン酸に適用した方法(アメリ
カ特許5256817)もある。
【0005】上記の精製技術のうち、メチルエステルの
形で精製を進める方法は、精製に先立ってカルボン酸と
メタノールとのエステル化反応を行なわなければならな
いため、工程が複雑となり、当然にコストも高くなる。
その他の精製法もアルカリや酸を用いるため、酸析や
中和の工程を必要とし、やはり経済的に不利である。水
添精製法は、粗製ナフタレンジカルボン酸中の不純物を
水素還元して除去するため、数%も含まれる酸化中間体
(2,6−ナフタレンジカルボン酸の場合は上記の6−
F−2−NAが代表的)がナフタレンジカルボン酸の形
で回収されず廃棄物となるため、かなりのロスが生じ
る。
【0006】テレフタル酸に関しては、4−カルボキシ
ベンズアルデヒド(「4−CBA」と略記)をはじめと
する不純物を含む粗製テレフタル酸を精製して高純度品
を得る方法が、数多く提案されている。 それらは、粗
テレフタル酸を水または水/酢酸混合溶媒中に懸濁させ
て酸化処理または水添処理するもの(特公昭41−20
820、同43−23447、同43−23448)、
同じ処理を溶液として行なうもの(特公昭42−218
19、同41−16860、同52−46212、同5
3−10051、同56−32319、同56−351
74、同56−35653、同57−51374、同5
7−51818、特開昭56−79635、同56−1
03136)のほか、テレフタル酸水溶液をパラジウム
や亜鉛を触媒として処理するもの(特公昭46−291
31、同47−3607、同47−44213、同49
−13780、同49−33189)、テレフタル酸の
アルカリ水溶液を酸素で処理するもの(特開昭56−1
13738)などである。
【0007】これらテレフタル酸の精製方法は、粗製テ
レフタル酸に関してはその中の不純物量が一般に少ない
ため効果的であるが、ナフタレンジカルボン酸に適用し
た場合、前記6−F−2−NAのような不純物の量が多
いため、工業的実施に耐える精製技術にはなり得ない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ナフ
タレンジカルボン酸の精製方法において、上記した欠点
のない方法、すなわち工程が簡単であって目的とする酸
の回収率が高く、廃棄物の発生量が少ない方法を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のナフタレンジカ
ルボン酸の精製方法は、アルキル置換基または一部酸化
されたアルキル置換基を有するナフタレン化合物の置換
基を酸化することにより得た粗製のナフタレンジカルボ
ン酸を精製する方法において、粗製のナフタレンジカル
ボン酸を、高温の水性反応媒体中で第VIII属貴金属触媒
の存在下に、粗製ナフタレンジカルボン酸中の不完全酸
化段階にある置換基をカルボキシル基まで酸化するに要
する酸素量に対し0.5〜15当量の分子状酸素により
酸化し、生成したナフタレンジカルボン酸を前記高温の
水性反応媒体に溶解させた状態で前記貴金属触媒と固液
分離し、ついで反応生成液を冷却してナフタレンジカル
ボン酸を析出させ回収することを特徴とする。
【0010】本発明の精製方法を適用できる粗製のナフ
タレンジカルボン酸は、上記のように、アルキル置換基
または一部酸化されたアルキル置換基を有するナフタレ
ン化合物の置換基を酸化することにより得たものであ
り、このアルキル置換基の代表的なものは、メチル、エ
チル、プロピル、イソプロピルなどの炭素数1〜3の低
級アルキル基である。 一部酸化したアルキル置換基と
しては、アルデヒド基やヒドロキシアルキル基など、カ
ルボキシル基以外の酸素含有炭化水素基が挙げられる。
【0011】このような粗製のナフタレンジカルボン酸
は、ジアルキルナフタレンまたはその置換アルキル基の
一部を完全に(カルボキシル基まで)または不完全に酸
化したものを出発原料として、これを気相または液相で
酸化して得たものであればよい。 出発原料の具体例と
しては、2,6−ジメチルナフタレン、2,7−ジメチ
ルナフタレン、1,2−ジメチルナフタレン、1,3−
ジメチルナフタレン、1,4−ジメチルナフタレン、
1,5−ジメチルナフタレン、1,6−ジメチルナフタ
レン、1,7−ジメチルナフタレン、1,8−ジメチル
ナフタレン、2,3−ジメチルナフタレン、2,6−ジ
エチルナフタレン、2,7−ジエチルナフタレン、2,
6−ジイソプロピルナフタレン、2,7−ジイソプロピ
ルナフタレン、6−アセチル−2−メチルナフタレン、
6−ホルミル−2−メチルナフタレン、4−ヒドロキシ
メチル−1−メチルナフタレン、6−メチル−2−ナフ
トエ酸などが挙げられる。
【0012】これら出発原料の酸化反応の生成物であっ
て本発明による精製の対象として好適なものは、低級脂
肪族カルボン酸を反応媒体とし、コバルト、マンガン、
臭素などの触媒を用いて、分子状酸素により液相酸化し
て得たナフタレンジカルボン酸の粗製物である。 この
ような粗製物の例としては、特開平6−172260に
記載の製造法による粗製ナフタレンジカルボン酸を挙げ
ることができる。 特開平6−172260のナフタレ
ンジカルボン酸の製造法は、メチルナフタレンを5〜3
8倍量の低級脂肪族カルボン酸に溶解し、触媒として、
Co,MnおよびBrを低級脂肪族カルボン酸に対して
それぞれ特定量使用し、分子状酸素でメチルナフタレン
(メチル基1〜4個を有するもの)を酸化することから
なる。
【0013】本発明で使用する反応媒体は、前記したよ
うに水性のものであって、水または水を主体とする媒体
である。 後者の例としては、酢酸水溶液がある。 し
かし、一般には蒸留水、イオン交換水などの水を使用す
れば十分である。 反応媒体の使用量は、反応温度にお
いて粗製のナフタレンジカルボン酸を少なくとも部分的
に、好ましくは完全に溶解する量とする。 通常は、粗
製物に対して重量で2〜20倍量を使用する。 とく
に、3〜10倍量が好ましい。 反応媒体の量が少なす
ぎれば、いうまでもなく粗製ナフタレンジカルボン酸の
溶解量が小さく、酸化反応による精製が十分に行なわれ
ない。 多すぎる場合、反応上は差し支えないが、大型
の反応器を必要とし、ナフタレンジカルボン酸の回収に
要するエネルギー消費が増すなど、経済的に不利にな
る。
【0014】反応温度は、粗製のナフタレンジカルボン
酸が反応媒体に十分に溶解する温度をえらぶ。 低い温
度では溶解度が低く、多量の溶媒が必要になる。 温度
が高すぎては、ナフタレン環の開裂やカルボキシル基の
脱離など、望ましくない分解反応が生じる。 好ましい
温度は250〜330℃であり、とくに好ましい温度は
280〜310℃である。
【0015】不純物を酸化する酸素は、空気、酸素およ
び不活性ガス(窒素など)との混合ガスなどに含まれる
分子状酸素を使用すればよいが、空気で十分である。
酸素の供給量は、粗製ナフタレンジカルボン酸中に存在
する不純物であって本発明で酸化処理の対象とするも
の、とくにホルミルナフトエ酸のホルミル基のような不
完全酸化段階にある置換基をカルボキシル基まで酸化さ
せるために必要な酸素量を1当量とするとき、少なくと
も0.5当量必要であり、好ましくは1当量以上、とく
に好ましくは5当量以上とする。 酸素の供給量が不足
であると、不完全酸化物の酸化が進行せず、脱カルボニ
ル反応が起る。 たとえば、粗製2,6−ナフタレンジ
カルボン酸の場合、不純物である6−F−2−NAが脱
カルボニル反応のためナフトエ酸に変化し、2,6−ナ
フタレンジカルボン酸にならない。6−F−2−NAを
2,6−ナフタレンジカルボン酸にすることが、本発明
の意図する反応である。 一方、酸素量を大にすること
は、着色不純物の生成やナフタレン環の開裂等の副反応
が起るうえ、反応器の耐圧を高くしなければ実現しない
から不利である。 最大15当量、通常は5〜10当量
が最適である。 酸素含有ガス中の酸素ガスの分圧は、
0.01〜6MPaが適当であり、0.5〜2MPaが好まし
い。 ここでいう不完全酸化段階にある置換基とは、ア
ルデヒド、ヒドロキシアルキル、アルキルなどの置換基
である。
【0016】反応系全体の圧力は、反応媒体の少なくと
も一部が液体で存在し得る状態にする。 50重量%以
上が液相部に存在することが好ましく、75重量%程度
存在することがとくに好ましい。 圧力は、系の温度、
酸素分圧、ならびに反応媒体の種類および量に影響され
るため一概にいえないが、通常3〜13MPa であり、好
ましい範囲は5〜10MPaである。
【0017】酸化触媒として使用する金属触媒は、前記
のように周期律表第VIII族の貴金属すなわちルテニウ
ム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムお
よび白金の1種または2種以上である。 この触媒は、
粗製のナフタレンジカルボン酸中に不純物として混入し
ている、不完全酸化段階にある置換基を有する化合物を
さらに酸化して、これを目的物であるナフタレンジカル
ボン酸に選択的に変換する。 効果が高いのは、白金、
パラジウム、ロジウムおよびルテニウムである。触媒は
粉末状や顆粒状で使用してもよいし、担体に担持させて
使用してもよい。担体としては、活性炭、黒鉛、アルミ
ナ、ゼオライト、シリカなどが使用できるが、とくに活
性炭が好ましい。 担持量は、全触媒量に対し金属量に
して0.1〜5重量%が適当であり、0.1〜1.0重
量%が好ましく、とくに0.5重量%前後が最適であ
る。 触媒の使用量は、反応温度、粗製ナフタレンジカ
ルボン酸中の不純物の濃度、反応器内の滞留時間などの
条件によって決定されるが、一般に、酸化触媒中の貴金
属成分1に対し、粗製ナフタレンジカルボン酸が、重量
で約200〜約30,000、好ましくは約2,000
〜約20,000となるようにえらんで使用すればよ
い。 貴金属触媒が少ないと不純物の酸化反応率が低い
値に止まるし、一方で過大な量の触媒の存在は、脱カル
ボニル反応を進行させて好ましくない。
【0018】反応時間は、粗製ナフタレンジカルボン酸
と酸化触媒の量比、酸素濃度および反応温度によって異
なる。 実操業のめやすとして反応混合物が酸化触媒と
接触している滞留時間、あるいは供給重量速度(WHS
V)で示せば、約200〜200,000g(反応溶
液)/g(酸化触媒中の貴金属成分)・hr、好ましくは、
1,000〜100,000g/g・hrである。
【0019】ナフタレンジカルボン酸は一般に常温常圧
下では水に難溶ないしほとんど不溶であるが、高温高圧
下では反応媒体への溶解度が高まるから、溶解させた状
態で濾過・遠心分離などの手段で酸化触媒と反応生成液
とを固液分離することによって、とり出すことができ
る。 ナフタレンジカルボン酸が水性反応媒体に溶解し
やすい高温高圧の条件とは、温度が250℃以上、圧力
が3MPa 以上であって、この条件下ではナフタレンジカ
ルボン酸の水に対する溶解度が、少なくとも10重量%
程度ある。 実用上の限界は、温度330℃、圧力10
MPa である。 好適範囲は、温度280〜310℃、圧
力7〜10MPaである。
【0020】反応は、連続的に行なってもよいしバッチ
操作で行なってもよい。 触媒を固定床としてそこへ反
応液を通過させる連続法を採用すれば、触媒と反応液と
の固液分離ができる。 触媒は還元処理などの通常の再
生処理の後、再使用できる。
【0021】固液分離に続いて、得られた反応生成液を
冷却し、ナフタレンジカルボン酸を晶出させる。 晶出
の温度は、250℃以下30℃程度までの間とする。
好ましいのは、100〜35℃である。 このとき、冷
却速度は25℃/min以下が好ましく、さらに好ましくは
10℃/min以下とする。 冷却速度が速すぎると、析出
するナフタレンジカルボン酸の粒子が極端に細かくな
り、母液との分離が困難になる。 析出した精製ナフタ
レンジカルボン酸は、濾過・遠心分離などの手段により
回収する。
【0022】
【作用】不完全酸化段階にある置換基、代表的にはホル
ミル基−CHOは、高温高圧の水性反応媒体中で、貴金
属触媒の存在下に適量の分子状酸素を作用させると、カ
ルボキシル基に酸化される。 その結果、たとえば粗製
2,6−ナフタレンジカルボン酸に含まれる代表的不純
物である6−F−2−NAは2,6−ナフタレンジカル
ボン酸となり、純度の向上と収率の改善とが一挙に実現
する。
【0023】
【実施例】以下の実施例において、純度の測定は、高速
液体クロマトグラフィ−(HPLC)により、分析カラ
ム:Asahipak ODP−50(Shodex)、溶媒:10mM
−NaH2PO4+5mM−テトラブチルアンモニウムブロ
マイド(pH7.5)水溶液/アセトニトリルを用いて
行なった。 色相は、粉体試料を用意して板状に押しか
ためたものについて、L値(明度)、a値〔赤(+)〜緑
(−)〕、b値〔黄(+)〜青(−)〕を求めた。 L
値は100に近いほど明るい色であり、a値およびb値
は、0に近いほど白色に近いものとなる。
【0024】〔実施例1〕特開平6−172260に記
載の方法に従って、2,6−ジメチルナフタレンを酸化
して、粗製ナフタレンジカルボン酸を製造した。 得ら
れた粗製ナフタレンジカルボン酸は、純度98.6重量
%で、不純物として6−F−2−NAを14,000pp
m 含み、色相は〔L90,a −4,b 12〕である。
【0025】図1に示す実験装置を用いて、上記粗製ナ
フタレンジカルボン酸の精製を行なった。 この装置
は、図示してないヒーターと保温材を設けてあり、温度
コントローラーにより温度を正確に制御されている。
【0026】まず、上部にコンデンサー(11)および
ガス吹き込み管(12)を有し、撹拌機(13)をそな
えたチタン製反応槽(1)に、上記粗製2,6−ナフタ
レンジカルボン酸120g、活性炭担持5%パラジウム
触媒2.52gおよび水600gを装入した。 バルブ
(3)を開いてガス吹き込み管(12)から空気を圧入
し、内部の圧力0.6MPa とした。 これにより圧入さ
れた酸素は、不完全酸化段階にある置換基に対して5.
9当量に相当する。 撹拌機(13)で撹拌しながら、
加熱器(2)で反応槽を加熱し、昇温させた。反応槽内
の温度が300℃、圧力9.0MPaに達した後、30分
間反応を続けた。
【0027】反応終了後、温度を保ったままバルブ
(5)を開き、反応混合物を焼結金属フィルター(4)
を通して触媒と反応生成液とに固液分離し、液を導入管
(62)を通して、コンデンサー(61)が設けてある
冷却槽(6)に移送した。
【0028】40℃に至るまで、20℃/minの冷却速度
で冷却し、精製ナフタレンジカルボン酸を晶出させた。
冷却槽(6)の内圧を常圧まで下げた後、バルブ
(7)を開いて、精製ナフタレンジカルボン酸を含むス
ラリーを採取した。
【0029】このスラリーを減圧濾過して固体と母液と
を分離した。 固体を乾燥させてから純度を測定したと
ころ、99.95重量%以上(6−F−2−NA含有量
500ppm以下)であり、色相も〔L 94,a −1.
5,b 1.8〕と改善されていた。 ナフタレンジカル
ボン酸の回収率は99重量%以上であった。
【0030】〔実施例2〕実施例1と同じ装置を使用
し、実施例1と同様に製造した粗製2,6−ナフタレン
ジカルボン酸を精製した。 操業条件および結果は、つ
ぎのとおり: (装 入 物) 粗製2,6−ナフタレンジカルボン酸 120g 活性炭担持5%ルテニウム触媒 2.52g 水 600g 空気 圧力0.6MPaに至るまで=酸素量 5.9当量 (反応条件) 温度 300℃、 圧力 9.0MPa、 時間 30分間 (晶出条件) 40℃まで20℃/minの冷却速度で冷却 (精 製 品) 2,6−ナフタレンジカルボン酸純度 99.95重量%以上 6−F−2−NA含有量 500ppm以下 色相〔L 94.1,a −1.8,b 2.1〕 2,6−ナフタレンジカルボン酸回収率 99重量%以上。
【0031】〔実施例3〕実施例1と同じ装置を使用
し、実施例1と同様に製造した粗製2,6−ナフタレン
ジカルボン酸を精製した。 操業条件および結果は、つ
ぎのとおり: (装 入 物) 粗製2,6−ナフタレンジカルボン酸 120g 活性炭担持5%パラジウム触媒 2.52g 水 600g 空気 圧力0.1MPaに至るまで=酸素量 1当量 (反応条件) 温度 300℃、 圧力 9.0MPa、 時間 30分間 (晶出条件) 40℃まで20℃/minの冷却速度で冷却 (精 製 品) 2,6−ナフタレンジカルボン酸純度 99.95重量%以上 6−F−2−NA含有量 500ppm以下 色相〔L 94,a −1.7,b 2.2〕 2,6−ナフタレンジカルボン酸回収率 99重量%以上。
【0032】〔実施例4〕実施例1と同じ装置を使用
し、実施例1と同様に製造した粗製2,6−ナフタレン
ジカルボン酸を精製した。 反応触媒として、水/酢酸
混合物を使用した。そのほかの操業条件および結果は、
つぎのとおり: (装 入 物) 粗製2,6−ナフタレンジカルボン酸 120g 活性炭担持5%パラジウム触媒 2.52g 50重量%酢酸水溶液 600g 空気 圧力0.6MPaに至るまで=酸素量 5.9当量 (反応条件) 温度 300℃、 圧力 9.0MPa、 時間 30分間 (晶出条件) 40℃まで20℃/minの冷却速度で冷却 (精 製 品) 2,6−ナフタレンジカルボン酸純度 99.95重量%以上 6−F−2−NA含有量 500ppm以下 色相〔L 94,a −1.8,b 2.1〕 2,6−ナフタレンジカルボン酸回収率 99重量%以上。
【0033】〔実施例5〕実施例1と同じ装置を使用
し、実施例1と同様に製造した粗製2,6−ナフタレン
ジカルボン酸を精製した。 操業条件および結果は、つ
ぎのとおりである: (装 入 物) 粗製2,6−ナフタレンジカルボン酸 12g 活性炭担持5%パラジウム触媒 0.252g 水 600g 空気 圧力0.1MPaに至るまで=酸素量 10当量 (反応条件) 温度 250℃、 圧力 4MPa、 時間 60分間 (晶出条件) 40℃まで20℃/minの冷却速度で冷却 (精 製 品) 2,6−ナフタレンジカルボン酸純度 99.95重量%以上 6−F−2−NA含有量 500ppm以下 色相〔L 94,a −2.1,b 2.2〕 2,6−ナフタレンジカルボン酸回収率 99重量%以上。
【0034】〔実施例6〕実施例1と同じ装置を使用
し、実施例1と同様に製造した粗製2,6−ナフタレン
ジカルボン酸を精製した。 晶出した粗製2,6−ナフ
タレンジカルボン酸の分離は、減圧濾過によった。 そ
のほかの操業条件および結果は、つぎのとおりである: (装 入 物) 粗製2,6−ナフタレンジカルボン酸 120g 活性炭担持5%パラジウム触媒 2.52g 水 600g 空気 圧力1.0MPaに至るまで=酸素量 10当量 (反応条件) 温度 300℃、 圧力 9.3MPa、 時間 30分間 (晶出条件) 40℃まで20℃/minの冷却速度で冷却 (精 製 品) 2,6−ナフタレンジカルボン酸純度 99.95重量%以上 6−F−2−NA含有量 500ppm以下 色相〔L 94.5,a −1.7,b 2.1〕 2,6−ナフタレンジカルボン酸回収率 99重量%以上。
【0035】〔実施例7〕実施例1と同じ装置を使用
し、実施例1と同様に製造した粗製2,6−ナフタレン
ジカルボン酸を精製した。 操業条件および結果は、つ
ぎのとおり: (装 入 物) 粗製2,6−ナフタレンジカルボン酸 120g 活性炭担持0.5%パラジウム触媒 2.52g 水 600g 空気 圧力0.6MPaに至るまで=酸素量 5.9当量 (反応条件) 温度 300℃、 圧力 9.0MPa、 時間 30分間 (晶出条件) 40℃まで20℃/minの冷却速度で冷却 (精 製 品) 2,6−ナフタレンジカルボン酸純度 99.95重量%以上 6−F−2−NA含有量 500ppm以下 色相〔L 95.0,a −1.4,b 1.2〕 2,6−ナフタレンジカルボン酸回収率 99重量%以上。
【0036】〔比較例1〕実施例1と同じ装置を使用
し、実施例1と同様に製造した粗製2,6−ナフタレン
ジカルボン酸を精製した。 触媒としては活性炭を使用
した。 その他の操業条件および結果は、つぎのとおり
である: (装 入 物) 粗製2,6−ナフタレンジカルボン酸 120g 活性炭 2.46g 水 600g 空気 圧力0.6MPaに至るまで=酸素量 5.9当量 (反応条件) 温度 300℃、 圧力 9.0MPa、 時間 30分間 (晶出条件) 40℃まで20℃/minの冷却速度で冷却 (精 製 品) 2,6−ナフタレンジカルボン酸純度 99.2重量%以上 6−F−2−NA含有量 8000ppm以下 色相〔L 90.7,a −3.3,b 8.8〕 貴金属触媒を使用しないときは、精製の効果が得られな
いことが確認された。
【0037】〔比較例2〕実施例1と同じ装置を使用
し、実施例1と同様に製造した粗製2,6−ナフタレン
ジカルボン酸を精製した。 触媒としては酸化銅を使用
した。 その他の操業条件および結果はつぎのとおりで
ある: (装 入 物) 粗製2,6−ナフタレンジカルボン酸 120g 酸化銅 2.59g 水 600g 空気 圧力0.6MPaに至るまで=酸素量 5.9当量 (反応条件) 温度 300℃、 圧力 9.0MPa、 時間 30分間 (晶出条件) 40℃まで20℃/minの冷却速度で冷却 (精 製 品) 2,6−ナフタレンジカルボン酸純度 78.1重量% 6−F−2−NA含有量 5,000ppm以下 2−ナフトエ酸含有量 21.4重量% 色相〔L 89.9,a −4.9,b 10.2〕 酸化銅触媒では脱カルボニル反応が進み、2−ナフトエ
酸が多量に生成することが確認された。 そのため、
2,6−ナフタレンジカルボン酸の回収率は低い値であ
った。
【0038】〔比較例3〕実施例1と同じ装置を使用
し、実施例1と同様に製造した粗製2,6−ナフタレン
ジカルボン酸を精製した。 操業条件および結果はつぎ
のとおりである: (装 入 物) 粗製2,6−ナフタレンジカルボン酸 120g 活性炭担持5%パラジウム触媒 2.52g 水 600g 空気 圧力0.1MPaに至るまで=酸素量 0.2当量 (反応条件) 温度 300℃、 圧力 9.0MPa、 時間 30分間 (晶出条件) 40℃まで20℃/minの冷却速度で冷却 (精 製 品) 2,6−ナフタレンジカルボン酸純度 98重量%以上 6−F−2−NA含有量 500ppm以下 2−ナフトエ酸含有量 1.5重量% 色相〔L 91.1,a −1.9,b 5.8〕 酸素量が不足であったため脱カルボニル反応が進み、2
−ナフトエ酸が多量に生成していた。
【0039】〔実施例8〕実施例1と同じ装置を使用
し、特開平6−172260に記載の方法により製造し
た下記の粗製2,7−ナフタレンジカルボン酸を精製し
た: 純度:98.8重重% 不純物 7−フォルミル−2−ナフトエ酸 12,000ppm 色相:〔L 90,a −3.2,b 11〕。
【0040】晶出した粗製2,7−ナフタレンジカルボ
ン酸の分離は、減圧濾過によった。そのほかの操業条件
および結果は、つぎのとおりである: (装 入 物) 粗製2,7−ナフタレンジカルボン酸 120g 活性炭担持5%パラジウム触媒 2.52g 水 600g 空気 圧力0.6MPaに至るまで=酸素量 5.9当量 (反応条件) 温度 300℃、 圧力 9.0MPa、 時間 30分間 (晶出条件) 40℃まで20℃/minの冷却速度で冷却 (精 製 品) 2,7−ナフタレンジカルボン酸純度 99.95重量%以上 7−フォルミル−2−ナフトエ酸含有量 500ppm以下 色相〔L 94.2,a −1.9,b 2.3〕 2,7−ナフタレンジカルボン酸回収率 99重量%以上。
【0041】〔比較例4〕実施例1と同じ装置を用い、
実施例1と同様に製造した粗製2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸を精製した。 操業条件および結果はつぎのと
おりである: (装 入 物) 粗製2,6−ナフタレンジカルボン酸 12g 活性炭担持5%パラジウム触媒 2.52g 水 600g 空気 圧力0.6MPaに至るまで=酸素量 59当量 (反応条件) 温度 250℃、 圧力 4.0MPa、 時間 30分間 (晶出条件) 40℃まで20℃/minの冷却速度で冷却 (精 製 品) 2,6−ナフタレンジカルボン酸純度 99.75重量%以上 6−F−2−NA含有量 500ppm以下 2−ナフトエ酸含有量 2,000ppm 色相〔L 91.9,a −2.1,b 11.4〕
【0042】
【発明の効果】本発明に従い、水性反応媒体中で既知の
貴金属触媒を使用して、適量の酸素を粗製のナフタレン
ジカルボン酸に作用させることにより、不完全酸化段階
にある置換基をカルボキシル基にまで酸化して、含まれ
ている不純物を目的生成物に変えることができる。 つ
まり、主たる不純物であるホルミルナフトエ酸をナフタ
レンジカルボン酸に変える。 その結果、ナフタレンジ
カルボン酸の純度のみならず収率も向上する。 本発明
により精製したナフタレンジカルボン酸は、着色性の成
分が減少しているから、色相が著しく改善される。 従
ってこの精製品の使用は、それを原料とするポリマーの
色相の改善に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に使用した実験装置の構成を
示す、概念的な縦断面図。
【符号の説明】
1 反応槽 11 コンデンサー 12 ガス吹き込み管 13
撹拌機 2 加熱器 4 焼結金属フィルター 6 冷却槽 61 コンデンサー 62 導入管 3,5,7 バルブ
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 51/43 C07C 51/43 51/47 51/47 51/487 51/487 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 堂野前 守 神奈川県大和市中央5−2−26−502 (72)発明者 浦里 延明 埼玉県幸手市北3−7−21

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルキル置換基または一部酸化されたア
    ルキル置換基を有するナフタレン化合物の置換基を酸化
    することにより得た粗製のナフタレンジカルボン酸を精
    製する方法において、粗製のナフタレンジカルボン酸
    を、高温の水性反応媒体中で第VIII属貴金属触媒の存在
    下に、粗製ナフタレンジカルボン酸中の不完全酸化段階
    にある置換基をカルボキシル基まで酸化するに要する酸
    素量に対し0.5〜15当量の分子状酸素により酸化
    し、生成したナフタレンジカルボン酸を前記高温の水性
    反応媒体に溶解させた状態で前記貴金属触媒と固液分離
    し、ついで反応生成液を冷却してナフタレンジカルボン
    酸を析出させ、回収することを特徴とするナフタレンジ
    カルボン酸の精製方法。
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