JP3891454B2 - 芳香族ジカルボン酸エステルの精製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、不純物を含む芳香族ジカルボン酸から、不純物をほとんど含まない色相の良好な芳香族ジカルボン酸エステルが得られるような芳香族ジカルボン酸エステルの精製方法に関するものである。
【0002】
【発明の技術的背景】
ナフタレンジカルボン酸は、たとえばジアルキルナフタレンを、コバルト、マンガンおよび臭素の存在下で酸化することにより製造されている。しかし、このような方法で得られたナフタレンジカルボン酸は、トリメリット酸、アルデヒド類などの不純物や触媒に起因するコバルト、マンガンおよび臭素が含有されている。このようなナフタレンジカルボン酸を原料として、たとえばポリエチレンナフタレートを製造すると、得られたポリエチレンナフタレートが着色したり、成形時に金型汚れが発生したりする。このため上記のようにして得られたナフタレンジカルボン酸を精製することが必要になる。
【0003】
ナフタレンジカルボン酸の精製方法としては、特開平1−110650号公報には、触媒量の第三アミン及びチタン含有化合物の存在下で2,6-ナフタレンジカルボン酸1モルに対して少なくとも2モルのエチレングリコールと純粋でない2,6-ナフタレンジカルボン酸とを反応させることによって2,6-ナフタレンジカルボン酸ビス(2-ヒドロキシエチル)エステルを調製し、この2,6-ナフタレンジカルボン酸ビス(2-ヒドロキシエチル)エステルを結晶させ、そして精製された2,6-ナフタレンジカルボン酸ビス(2-ヒドロキシエチル)エステルを回収する精製された2,6-ナフタレンジカルボン酸ビス(2-ヒドロキシエチル)エステルの製造方法が記載されている。
【0004】
また、特表平5−508870号公報には、適切な反応領域において、2,6-ナフタレンジカルボン酸をメタノールと反応させて、溶解したジメチル-2,6-ナフタレンジカルボキシレートおよびモノメチル-2,6-ナフタレンジカルボキシレートを含む反応混合物を調製し、反応混合物を約40℃を越えない温度に冷却することにより、溶解したジメチル-2,6-ナフタレンジカルボキシレートおよびモノメチル-2,6-ナフタレンジカルボキシレートの主要部分を結晶化し、反応混合物溶液を結晶化したジメチル-2,6-ナフタレンジカルボキシレートおよびモノメチル-2,6-ナフタレンジカルボキシレートから分別し、分別されたジメチル-2,6-ナフタレンジカルボキシレートおよびモノメチル-2,6-ナフタレンジカルボキシレートを再結晶溶剤中において、ジメチル-2,6-ナフタレンジカルボキシレートの少なくとも一部およびモノメチル-2,6-ナフタレンジカルボキシレートの実質的にすべてが溶解するのに十分な温度に加熱し、再結晶溶剤中に溶解したジメチル-2,6-ナフタレンジカルボキシレートが再結晶し、一方ではモノメチル-2,6-ナフタレンジカルボキシレートの主要部分が再結晶母液に保持される温度において再結晶し、再結晶ジメチル-2,6-ナフタレンジカルボキシレートを再結晶母液から分別する精製ナフタレンジカルボン酸ジメチルの製法が記載されている。
【0005】
さらに、特開平7−173100号公報には、不純物を含有する2,6-ナフタレンジカルボン酸の粗結晶を超臨界または亜臨界状態の水に溶解し、得られた溶液を300℃以下に冷却して結晶を析出させ、次いで該結晶を100〜300℃の温度において母液から分離することを特徴とする高純度2,6-ナフタレンジカルボン酸の製造方法が記載れている。
【0006】
このような状況のもとさらに容易な操作で、不純物の含有量をより少なくしうる芳香族ジカルボン酸エステルの精製方法の出現が望まれている。
【0007】
【発明の目的】
本発明は上記のような現状に鑑みてなされたものであって、色相の良好な芳香族ジカルボン酸エステルの結晶を得ることができるような芳香族ジカルボン酸エステルの精製方法を提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】
本発明に係る芳香族ジカルボン酸エステルの精製方法は、芳香族ジカルボン酸と多価アルコールとのエステル化反応生成物と芳香族炭化水素と水とを混合し、攪拌することにより、エステル化反応生成物を、芳香族炭化水素と水とに接触させてエステル化反応生成物中の芳香族ジカルボン酸エステルを芳香族炭化水素に溶解させた後、この芳香族ジカルボン酸エステルを含む芳香族炭化水素溶液から芳香族ジカルボン酸エステルの結晶を析出させることを特徴としている。
【0009】
また、本発明に係る芳香族ジカルボン酸エステルの精製方法は、芳香族ジカルボン酸と多価アルコールとのエステル化反応生成物を水に接触させてエステル化反応生成物中の芳香族ジカルボン酸エステルを水に溶解させ、次にこの芳香族ジカルボン酸エステルを含む水溶液を芳香族炭化水素に接触させて水溶液中の芳香族ジカルボン酸エステルを芳香族炭化水素に溶解させ、さらにこの芳香族ジカルボン酸エステルを含む芳香族炭化水素溶液から芳香族ジカルボン酸エステルの結晶を析出させることを特徴としている。
【0010】
前記芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸または2,6-ナフタレンジカルボン酸であることが好ましく、前記多価アルコールは、エチレングリコールであることが好ましい。
【0011】
本発明では、芳香族ジカルボン酸エステルを含む芳香族炭化水素溶液から芳香族ジカルボン酸エステルの結晶を析出させるに先立って、該芳香族炭化水素溶液と活性炭とを接触させてもよく、該芳香族炭化水素溶液中の水添可能不純物を、水添触媒の存在下に水素と接触させ、水添可能不純物を水添して芳香族炭化水素中に溶解させてもよい。このような操作をすることにより、芳香族ジカルボン酸エステルをさらに精製することができる。
【0012】
また、本発明では、得られた芳香族ジカルボン酸エステルの結晶を芳香族炭化水素に溶解し、再び晶析してもよく、得られた芳香族ジカルボン酸エステルの結晶を芳香族炭化水素に溶解した芳香族炭化水素溶液と活性炭とを接触させた後、晶析してもよく、得られた芳香族ジカルボン酸エステルの結晶を芳香族炭化水素に溶解した芳香族炭化水素溶液中の水添可能不純物を、水添触媒の存在下に水素と接触させ、水添可能不純物を水添して芳香族炭化水素中に溶解させた後、晶析してもよい。このような操作をすることにより、芳香族ジカルボン酸エステルをさらに精製することができる。
【0013】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る芳香族ジカルボン酸エステルの精製方法について具体的に説明する。
【0014】
本発明に係る芳香族ジカルボン酸エステルの精製方法は、芳香族ジカルボン酸と多価アルコールとのエステル化反応生成物を、芳香族炭化水素と水とに接触させて不純物を除去している。
【0015】
エステル化反応生成物は、芳香族ジカルボン酸と多価アルコールとをエステル化反応させることにより得られる。このエステル化反応において、芳香族ジカルボン酸と多価アルコールは、芳香族ジカルボン酸のカルボキシル基(−COOH)と多価アルコールのヒドロキシ基(−OH)との比(−OH/−COOH)が、0.5〜20、好ましくは1〜10となるように用いられる。
【0016】
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、4,4'-ジカルボキシジフェニルエーテル、ジフェノキシエタンジカルボン酸などが挙げられ、これらのなかではテレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸を用いることが好ましい。
【0017】
芳香族ジカルボン酸は、製造時に用いられた触媒、製造時に生成するアルデヒド類などの不純物を含んでいるため色相が良好ではない。たとえば2,6-ナフタレンジカルボン酸は、一般にジアルキルナフタレンを、コバルト、マンガンおよび臭素の存在下で酸化することにより製造されるが、このような2,6-ナフタレンジカルボン酸結晶の色は茶褐色である。なお、結晶の色相測定は、スガ試験機株式会社製カラーテスターを使用し、結晶を錠剤化して反射法により行なわれる。
【0018】
多価アルコールとしては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ブタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビス(4-β-ヒドロキシエトキシフェニル)スルホンなどのジアルコール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタンなどのトリアルーコル;ペンタエリスリトールなどのテトラアルコールなどが挙げられ、これらのなかではエチレングリコールを用いることが好ましい。
【0019】
エステル化反応は、反応温度が通常180〜280℃、好ましくは200〜260℃で行われる。圧力は、通常0〜100kg/cm2 、好ましくは0.5〜70kg/cm2 の条件下で行われる。また反応時間は、反応条件にもよるが通常0.2〜6時間、好ましくは0.5〜3時間である。
【0020】
前記エステル化反応は有機溶媒の存在下で行ってもよい。有機溶媒としては、ET 値が31kcal・mol-1以上の有機溶媒、エーテル化合物、芳香族炭化水素などが挙げられる。
【0021】
具体的には、ジオキサン、ジフェニルエーテル、アニソール、テトラヒドロフランなどのエーテル化合物;
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、サイメン、トリメチルベンゼン、ジイソプロピルベンゼンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。
【0022】
ここでET 値とは、下記式で表される化合物の各種溶媒中のUV吸収スペクトルの吸収波長から下記式により計算したエネルギー値(K.Dimroth(1963) による)であり、溶媒の極性を表わす尺度である。
【0023】
ET =hcνNA
(h:Planckの定数、c:光の波長、ν:振動数、NA :Avogadro定数)
【0024】
【化1】
【0025】
有機溶媒は、仕込み時の多価アルコールに対して、通常0.1〜2倍重量、好ましくは0.3〜2倍重量、より好ましくは0.5〜1.5倍重量となるような量で用いられる。
【0026】
このような有機溶媒の存在下に、芳香族ジカルボン酸と多価アルコールとをエステル化反応させると、エステル化反応が促進されるとともに、多価アルコールオリゴマー基の生成を抑制する。
【0027】
このエステル化反応におけるエステル化率は、通常50〜95%である。
なお本明細書において、エステル化率(%)とは、仕込み時の芳香族ジカルボン酸のカルボキシル基のモル数(仕込カルボキシル基)と、反応後における未反応の芳香族ジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸モノエステルのカルボキシル基のモル数(残存カルボキシル基)とから下記式によって算出される値である。
【0028】
【数1】
【0029】
前記エステル化反応により得られたエステル化反応生成物には、芳香族ジカルボン酸モノエステル、芳香族ジカルボン酸ジエステルなどの芳香族ジカルボン酸エステル、未反応の芳香族ジカルボン酸などが含有されている。
【0030】
本発明では前記のようにして得られたエステル化反応生成物と、芳香族炭化水素と水とに接触させて不純物を除去する。
具体的には、エステル化反応生成物と芳香族炭化水素と水とを混合し、攪拌することにより、エステル化反応生成物を、芳香族炭化水素と水とに接触させる。この操作により、エステル化反応生成物中の芳香族ジカルボン酸エステルは芳香族炭化水素に溶解し、エステル化反応生成物中の不純物の一部は水に溶解する。
【0031】
その後、エステル化反応生成物と芳香族炭化水素と水との混合液を静置して、芳香族炭化水素を抜き出し、通常の操作により芳香族ジカルボン酸エステルを晶析させることにより高純度の芳香族ジカルボン酸エステルの結晶が得られる。結晶を除去した後の芳香族炭化水素は、前記操作に再使用できる。
【0032】
ここで芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、サイメン、トリメチルベンゼン、ジイソプロピルベンゼンなどが挙げられる。芳香族炭化水素は、1種単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。
【0033】
上記操作においてエステル化反応生成物と芳香族炭化水素と水との接触は、通常、常圧〜80kg/cm2 、好ましくは常圧〜40kg/cm2 の圧力下、通常50〜250℃、好ましくは90〜200℃の温度で行われる。
【0034】
水は、エステル化反応生成物に対し通常0.1〜50倍重量、好ましくは0.5〜30倍重量の量で用られる。芳香族炭化水素は、エステル化反応生成物に対し通常1〜100倍重量、好ましくは1〜50倍重量の量で用いられる。
【0035】
また本発明では、以下のような操作によっても芳香族ジカルボン酸エステルの精製を行うことができる。
まず、エステル化反応生成物と水とを接触させ、エステル化反応生成物中の芳香族ジカルボン酸エステルを水に溶解させる。この操作によりエステル化反応生成物中の不純物の一部も水に溶解する。
【0036】
次にこの芳香族ジカルボン酸エステルを含む水溶液と芳香族炭化水素とを接触させ、水溶液中の芳香族ジカルボン酸エステルを芳香族炭化水素に溶解させる。この操作によっては水溶液中の不純物は芳香族炭化水素にほとんど溶解しない。
【0037】
さらにこの芳香族ジカルボン酸エステルを含む芳香族炭化水素溶液から通常の操作により芳香族ジカルボン酸エステルを析出させることにより高純度の芳香族ジカルボン酸エステルの結晶が得られる。結晶を除去した後の芳香族炭化水素は、前記操作に再使用できる。
【0038】
上記操作においてエステル化反応生成物と水との接触は、通常、常圧〜80kg/cm2 、好ましくは常圧〜40kg/cm2 の圧力下、通常50〜250℃、好ましくは90〜200℃の温度で行われる。水は、エステル化反応生成物に対し通常0.1〜50倍重量、好ましくは0.5〜30倍重量の量で用いられる。
【0039】
芳香族ジカルボン酸エステルを含む水溶液と芳香族炭化水素との接触は、通常、常圧〜80kg/cm2 、好ましくは常圧〜40kg/cm2 の圧力下、通常50〜250℃、好ましくは90〜200℃の温度で行われる。芳香族炭化水素は、水溶液に対し通常0.5〜50倍重量、好ましくは1〜30倍重量の量で用いられる。
【0040】
本発明では、芳香族ジカルボン酸エステルを含む芳香族炭化水素溶液から芳香族ジカルボン酸エステルの結晶を析出させるに先立って、芳香族炭化水素溶液に活性炭処理または水素添加処理を行ってもよい。
【0041】
活性炭処理は、芳香族炭化水素溶液と活性炭とを接触させることにより行われる。具体的には、芳香族ジカルボン酸エステルを含む芳香族炭化水素溶液と活性炭とを混合し、80〜250℃、好ましくは80〜200℃の温度で、0.05〜2時間、好ましくは0.1〜1時間接触させる。活性炭処理の後、芳香族炭化水素溶液と活性炭とを分離し、芳香族炭化水素溶液から芳香族ジカルボン酸エステルを晶析することにより高純度の芳香族ジカルボン酸エステルの結晶が得られる。
【0042】
水素添加処理は、芳香族炭化水素溶液中の水添可能不純物を、水添触媒の存在下に水素と接触させ、水添可能不純物を水添して芳香族炭化水素中に溶解させることにより行われる。水素添加処理は、常圧〜80kg/cm2 、好ましくは常圧〜60kg/cm2 の圧力下、80〜250℃、好ましくは80〜200℃の温度で、0.05〜2.0時間、好ましくは0.1〜1.0時間行われる。この際用いられる水添触媒としては、従来公知の触媒、たとえば、Fe,Co,Ni,Ru,Rh,Pd,Os,Ir,Ptなどを用いることができる。水添触媒は、芳香族炭化水素溶媒に対して、水添触媒中の金属重量換算で、0.0005〜1重量%、好ましくは0.003〜0.3重量%の割合で用いられる。
【0043】
水素添加処理の後、芳香族ジカルボン酸エステルを晶析することにより高純度の芳香族ジカルボン酸エステルの結晶が得られる。
本発明では、前記のようにして得られた芳香族ジカルボン酸エステルの結晶を、芳香族炭化水素に溶解し、再び晶析することにより、芳香族ジカルボン酸エステルをさらに精製することができる。
【0044】
また、前記のようにして得られた芳香族ジカルボン酸エステルの結晶を芳香族炭化水素に溶解した芳香族炭化水素溶液にさらに活性炭処理または水素添加処理を行ってもよい。活性炭処理および水素添加処理の条件は前記と同様である。
【0045】
本発明の方法により得られた高純度の芳香族ジカルボン酸エステルの結晶は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの原料として好適に用いられる。
【0046】
【発明の効果】
本発明に係る芳香族ジカルボン酸エステルの精製方法によると、色相の良好な芳香族ジカルボン酸エステルの結晶が得られる。
【0047】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0048】
【実施例1】
(1)エステル化
2,6-ナフタレンジカルボン酸(NDA)(純度96%)30g、エチレングリコール(EG)75gおよびトルエン60gをオートクレーブに仕込み、系内を窒素置換(5kg/cm2 加圧)し、250℃で3時間加熱した後、オートクレーブを冷却した。反応物を室温で水洗しながら取り出し水を含んだエステル化反応生成物101gを得た。この生成物の組成の分析値を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
(2)NDA−EGエステルの精製
(1)で得られたエステル化反応生成物77g、水25gおよびトルエン150gを丸底フラスコに仕込み、窒素気流下94℃に加熱したオイルバスに浸した。15分攪拌後静置しトルエン層を抜き出した。室温に冷却し析出した結晶を回収し母液は抽出操作に使用した。上記操作を繰り返し行いNDA−EGエステルの結晶(抽出結晶)21gを得た。得られた結晶の色相を表2に示す。
【0051】
【実施例2】
実施例1の(2)においてトルエンの代わりにトリメチルベンゼンを使用したこと以外は同様の操作を行った。得られた結晶の色相を表2に示す。
【0052】
【比較例1】
実施例1の(1)と同様の操作で得られたエステル化反応生成物を乾燥し、水を加えないでトルエンだけを加えた以外は実施例1の(2)の操作と同様に行った。得られた結晶の色相を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】
トルエンと水を用いて芳香族ジカルボン酸エステルを精製すると、トルエンのみを用いて精製するのに比較して得られる結晶の色相は大幅に改善された。
【0055】
【実施例3】
実施例1の(2)と同様の操作で得られたNDA−EGエステルの結晶10g、活性炭(鶴見コール)2gおよびトリメチルベンゼン50gを窒素気流下150℃1時間攪拌後、熱時に濾過を行い、濾液を室温まで冷却し結晶を析出させた。析出した結晶を濾過操作により回収し窒素気流下乾燥した。得られた結晶の色相を表3に示す。
【0056】
【実施例4】
実施例1の(2)と同様の操作で得られたNDA−EGエステルの結晶10g、0.5%Pd/炭素0.5g、トルエン100gを加圧容器に仕込み、水素で5kg/cm2 に加圧し200℃で20分反応を行った。熱時に濾過を行い濾液を室温まで冷却し結晶を析出させた。析出した結晶を濾過操作により回収し窒素気流下乾燥した。得られた結晶の色相を表3に示す。
【0057】
【実施例5】
実施例1の(1)と同様の操作で得られたNDA−EGエステルの結晶10gをトルエン200gで再結晶操作を行った。得られた結晶の色相を表3に示す。
【0058】
【表3】
Claims (9)
- 芳香族ジカルボン酸と多価アルコールとのエステル化反応生成物と芳香族炭化水素と水とを混合し、攪拌することにより、エステル化反応生成物を、芳香族炭化水素と水とに接触させてエステル化反応生成物中の芳香族ジカルボン酸エステルを芳香族炭化水素に溶解させた後、この芳香族ジカルボン酸エステルを含む芳香族炭化水素溶液から芳香族ジカルボン酸エステルの結晶を析出させることを特徴とする芳香族ジカルボン酸エステルの精製方法。
- 芳香族ジカルボン酸と多価アルコールとのエステル化反応生成物を水に接触させてエステル化反応生成物中の芳香族ジカルボン酸エステルを水に溶解させ、次にこの芳香族ジカルボン酸エステルを含む水溶液を芳香族炭化水素に接触させて水溶液中の芳香族ジカルボン酸エステルを芳香族炭化水素に溶解させ、さらにこの芳香族ジカルボン酸エステルを含む芳香族炭化水素溶液から芳香族ジカルボン酸エステルの結晶を析出させることを特徴とする芳香族ジカルボン酸エステルの精製方法。
- 前記芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸または 2,6- ナフタレンジカルボン酸である請求項1または2に記載の芳香族ジカルボン酸エステルの精製方法。
- 前記多価アルコールは、エチレングリコールである請求項1ないし3のいずれかに記載の芳香族ジカルボン酸エステルの精製方法。
- 芳香族ジカルボン酸エステルを含む芳香族炭化水素溶液から芳香族ジカルボン酸エステルの結晶を析出させるに先立って、該芳香族炭化水素溶液と活性炭とを接触させる請求項1〜4のいずれかに記載の芳香族ジカルボン酸エステルの精製方法。
- 芳香族ジカルボン酸エステルを含む芳香族炭化水素溶液から芳香族ジカルボン酸エステルの結晶を析出させるに先立って、該芳香族炭化水素溶液中の水添可能不純物を、水添触媒の存在下に水素と接触させ、水添可能不純物を水添して芳香族炭化水素中に溶解させる請求項1〜4のいずれかに記載の芳香族ジカルボン酸エステルの精製方法。
- 得られた芳香族ジカルボン酸エステルの結晶を芳香族炭化水素に溶解し、再び晶析して芳香族ジカルボン酸エステルの結晶を得る請求項1〜4のいずれかに記載の芳香族ジカルボン酸エステルの精製方法。
- 得られた芳香族ジカルボン酸エステルの結晶を芳香族炭化水素に溶解した芳香族炭化水素溶液と活性炭とを接触させた後、晶析して芳香族ジカルボン酸エステルの結晶を得る請求項1〜4のいずれかに記載の芳香族ジカルボン酸エステルの精製方法。
- 得られた芳香族ジカルボン酸エステルの結晶を芳香族炭化水素に溶解した芳香族炭化水素溶液中の水添可能不純物を、水添触媒の存在下に水素と接触させ、水添可能不純物を水添して芳香族炭化水素中に溶解させた後、晶析して芳香族ジカルボン酸エステルの結晶を得る請求項1〜4のいずれかに記載の芳香族ジカルボン酸エステルの精製方法。
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