JPH06256262A - 2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルの精製法 - Google Patents
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルの精製法Info
- Publication number
- JPH06256262A JPH06256262A JP4645293A JP4645293A JPH06256262A JP H06256262 A JPH06256262 A JP H06256262A JP 4645293 A JP4645293 A JP 4645293A JP 4645293 A JP4645293 A JP 4645293A JP H06256262 A JPH06256262 A JP H06256262A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- dimethyl ester
- acid dimethyl
- naphthalenedicarboxylic acid
- value
- chloroform
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【構成】 粗2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル
エステルを再結晶することによる精製法において、溶媒
としてクロロホルムを使用する2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸ジメチルエステルの精製法。 【効果】 この精製法は、使用する溶媒であるクロロホ
ルム単位容積当りの2,6−ナフタレンジカルボン酸ジ
メチルエステルの溶解度が、従来の溶媒に対するのに比
べて高いため、装置規模を簡略化でき、またクロロホル
ムの沸点以上に加熱しないため耐圧容器を必要とせず、
操作性に優れると共に、着色物や不純物の極めて少ない
高純度の2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエス
テルが得られるものである。
エステルを再結晶することによる精製法において、溶媒
としてクロロホルムを使用する2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸ジメチルエステルの精製法。 【効果】 この精製法は、使用する溶媒であるクロロホ
ルム単位容積当りの2,6−ナフタレンジカルボン酸ジ
メチルエステルの溶解度が、従来の溶媒に対するのに比
べて高いため、装置規模を簡略化でき、またクロロホル
ムの沸点以上に加熱しないため耐圧容器を必要とせず、
操作性に優れると共に、着色物や不純物の極めて少ない
高純度の2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエス
テルが得られるものである。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、工業的に有利な2,6
−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルの精製法に
関する。
−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルの精製法に
関する。
【0002】
【従来の技術】2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチ
ルエステルとグリコール成分とから得られるポリエステ
ルは、ポリアルキレンテレフタレートに比べ耐熱性およ
び機械的特性が優れているため、フィルムやタイヤコー
ド、さらには電子・自動車部材として利用されるように
なり、その原料である高純度2,6−ナフタレンジカル
ボン酸ジメチルエステルの製造法の重要性が高まってき
ている。
ルエステルとグリコール成分とから得られるポリエステ
ルは、ポリアルキレンテレフタレートに比べ耐熱性およ
び機械的特性が優れているため、フィルムやタイヤコー
ド、さらには電子・自動車部材として利用されるように
なり、その原料である高純度2,6−ナフタレンジカル
ボン酸ジメチルエステルの製造法の重要性が高まってき
ている。
【0003】従来、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジ
メチルエステルを工業的に得る方法としては、2,6−
ナフタレンジカルボン酸をメタノール中で硫酸等の触媒
を用いてエステル化する方法が知られている。しかし、
このようにして得られた粗2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸ジメチルエステルは、通常、不純物を含んでいるた
めに黄褐色に着色している。また、未反応の原料である
2,6−ナフタレンジカルボン酸や反応中間体である
2,6−ナフタレンジカルボン酸モノメチルエステル等
も含有されている。
メチルエステルを工業的に得る方法としては、2,6−
ナフタレンジカルボン酸をメタノール中で硫酸等の触媒
を用いてエステル化する方法が知られている。しかし、
このようにして得られた粗2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸ジメチルエステルは、通常、不純物を含んでいるた
めに黄褐色に着色している。また、未反応の原料である
2,6−ナフタレンジカルボン酸や反応中間体である
2,6−ナフタレンジカルボン酸モノメチルエステル等
も含有されている。
【0004】2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル
エステルをポリエステルの原料として用いる場合、生成
するポリマーの色相(着色)の問題や生成するポリマー
の重合度、融点に対する影響等を考慮すると、高純度に
精製されたものを用いることが必要とされる。
エステルをポリエステルの原料として用いる場合、生成
するポリマーの色相(着色)の問題や生成するポリマー
の重合度、融点に対する影響等を考慮すると、高純度に
精製されたものを用いることが必要とされる。
【0005】一般的に行われている精製法としては、蒸
留法と再結晶法が挙げられる。しかし、蒸留法は極めて
高い温度を必要とする上、精製物中に2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸ジメチルエステルの熱分解が生じ、この
熱分解物、すなわち着色物やナフトエ酸メチル等の不純
物を混入するという欠点がある。また、工程を簡略化で
きる点でも再結晶法の方が勝っている。
留法と再結晶法が挙げられる。しかし、蒸留法は極めて
高い温度を必要とする上、精製物中に2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸ジメチルエステルの熱分解が生じ、この
熱分解物、すなわち着色物やナフトエ酸メチル等の不純
物を混入するという欠点がある。また、工程を簡略化で
きる点でも再結晶法の方が勝っている。
【0006】再結晶法としては、例えば特公昭42−2
3183号公報にクロルベンゼン再結晶法が、また特公
昭46−9697号公報にキシレン再結晶法が、更には
特公昭46−4867号公報に炭素数9〜10の芳香族
炭化水素を再結晶溶媒として用いる方法が提案されてい
る。しかし、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル
エステルはこれらの溶媒に対して溶解度が低いため、溶
媒を可燃性であるにもかかわらず、多量に用いるか又は
高温に加熱する必要があり、危険が伴うという問題があ
った。これに対し、特開昭50−84467号公報や特
開昭50−111056号公報には、低沸点溶媒である
メタノールによる再結晶法が提案されている。しかし、
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルはメ
タノールに対して極めて難溶性(0.43g/100ml
(60℃))であるため大量のメタノールを使用しなけ
ればならず、大規模の装置が必要になる点からも不利で
あった。
3183号公報にクロルベンゼン再結晶法が、また特公
昭46−9697号公報にキシレン再結晶法が、更には
特公昭46−4867号公報に炭素数9〜10の芳香族
炭化水素を再結晶溶媒として用いる方法が提案されてい
る。しかし、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル
エステルはこれらの溶媒に対して溶解度が低いため、溶
媒を可燃性であるにもかかわらず、多量に用いるか又は
高温に加熱する必要があり、危険が伴うという問題があ
った。これに対し、特開昭50−84467号公報や特
開昭50−111056号公報には、低沸点溶媒である
メタノールによる再結晶法が提案されている。しかし、
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルはメ
タノールに対して極めて難溶性(0.43g/100ml
(60℃))であるため大量のメタノールを使用しなけ
ればならず、大規模の装置が必要になる点からも不利で
あった。
【0007】更に、特開平2−96550号公報では溶
解性及び安全性の面での改善案として、塩化メチレンに
よる再結晶法が提案されている。しかしながら、ここに
到っても、過剰な2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメ
チルエステルを塩化メチレンに溶解するためには、実質
的に塩化メチレンの沸点40℃以上に加熱しなければな
らず耐圧容器を必要とする。更に、室温程度までの冷
却、再結晶化をさせる際にも沸点が低いため気化し易く
溶媒の損失を伴うという欠点があった。
解性及び安全性の面での改善案として、塩化メチレンに
よる再結晶法が提案されている。しかしながら、ここに
到っても、過剰な2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメ
チルエステルを塩化メチレンに溶解するためには、実質
的に塩化メチレンの沸点40℃以上に加熱しなければな
らず耐圧容器を必要とする。更に、室温程度までの冷
却、再結晶化をさせる際にも沸点が低いため気化し易く
溶媒の損失を伴うという欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、安全で、かつ
特別な装置を必要とせずに、効率良く2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸ジメチルエステルを精製する方法の開発
が望まれていた。
特別な装置を必要とせずに、効率良く2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸ジメチルエステルを精製する方法の開発
が望まれていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結
果、再結晶法により精製を行う際に溶媒としてクロロホ
ルムを用いれば、従来の再結晶溶媒に比べ単位容積当り
の溶解度が高くなるため、高温加熱する必要がなくな
り、小規模の装置で高収率かつ安全に2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸ジメチルエステルを精製できることを見
出し、本発明を完成した。
発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結
果、再結晶法により精製を行う際に溶媒としてクロロホ
ルムを用いれば、従来の再結晶溶媒に比べ単位容積当り
の溶解度が高くなるため、高温加熱する必要がなくな
り、小規模の装置で高収率かつ安全に2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸ジメチルエステルを精製できることを見
出し、本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明は粗2,6−ナフタレン
ジカルボン酸ジメチルエステルを再結晶することによる
精製法において、溶媒としてクロロホルムを使用するこ
とを特徴とする2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチ
ルエステルの精製法を提供するものである。
ジカルボン酸ジメチルエステルを再結晶することによる
精製法において、溶媒としてクロロホルムを使用するこ
とを特徴とする2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチ
ルエステルの精製法を提供するものである。
【0011】本発明の精製法の精製対象である粗2,6
−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルは、いかな
る方法により得られたものであってもよい。例えば、
2,6−ジアルキルナフタレンの酸化反応により得られ
る2,6−ナフタレンジカルボン酸、又は二酸化炭素の
存在下、酸化カドミウム触媒としてナフタレンカルボン
酸のカルボキシル基を転位させるヘンケル反応により得
られる2,6−ナフタレンジカルボン酸を、触媒として
硫酸等を用いる公知の方法でメチルエステル化すること
により得られるものが挙げられる。
−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルは、いかな
る方法により得られたものであってもよい。例えば、
2,6−ジアルキルナフタレンの酸化反応により得られ
る2,6−ナフタレンジカルボン酸、又は二酸化炭素の
存在下、酸化カドミウム触媒としてナフタレンカルボン
酸のカルボキシル基を転位させるヘンケル反応により得
られる2,6−ナフタレンジカルボン酸を、触媒として
硫酸等を用いる公知の方法でメチルエステル化すること
により得られるものが挙げられる。
【0012】本発明の精製法は溶媒としてクロロホルム
を用い、常法に従って粗2,6−ナフタレンジカルボン
酸ジメチルエステルを再結晶することにより実施され
る。
を用い、常法に従って粗2,6−ナフタレンジカルボン
酸ジメチルエステルを再結晶することにより実施され
る。
【0013】本発明におけるクロロホルムの使用量は
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルの純
度等によって異なるがクロロホルムの沸点以上に加熱せ
ずとも固体が全て溶解する量であれば特に制限されな
い。一般にクロロホルム100mlに対して、粗2,6−
ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル3〜20g、
特に5〜15gを用いるのが好ましい。この際、20g
を越える2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエス
テルを用いると精製後の純度が低下するため好ましくな
い。また、3gより少ない場合、精製品を得るために過
冷却しなければならず、さらに収率の低下をも招くので
好ましくない。ちなみに、クロロホルムに対する2,6
−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルの溶解度
は、クロロホルム100ml当たり30℃で5.3g、4
0℃で7.0g、50℃で9.9gである。
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルの純
度等によって異なるがクロロホルムの沸点以上に加熱せ
ずとも固体が全て溶解する量であれば特に制限されな
い。一般にクロロホルム100mlに対して、粗2,6−
ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル3〜20g、
特に5〜15gを用いるのが好ましい。この際、20g
を越える2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエス
テルを用いると精製後の純度が低下するため好ましくな
い。また、3gより少ない場合、精製品を得るために過
冷却しなければならず、さらに収率の低下をも招くので
好ましくない。ちなみに、クロロホルムに対する2,6
−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルの溶解度
は、クロロホルム100ml当たり30℃で5.3g、4
0℃で7.0g、50℃で9.9gである。
【0014】2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル
エステルとクロロホルムとの混合物を加熱溶解する温度
は、固体が全て溶解する温度であれば充分であるが、好
ましくはクロロホルムの沸点付近までの25〜70℃が
好ましく、特に60〜70℃が好ましい。この際、温度
が25℃未満であると多量の溶媒が必要となり装置が大
きくなってしまうため好ましくなく、また、逆に70℃
を超えると溶媒の沸点以上になるため装置を耐圧性能を
持たせなければならない上、高温加熱による分解生成物
の混入が生じ、好ましくない。
エステルとクロロホルムとの混合物を加熱溶解する温度
は、固体が全て溶解する温度であれば充分であるが、好
ましくはクロロホルムの沸点付近までの25〜70℃が
好ましく、特に60〜70℃が好ましい。この際、温度
が25℃未満であると多量の溶媒が必要となり装置が大
きくなってしまうため好ましくなく、また、逆に70℃
を超えると溶媒の沸点以上になるため装置を耐圧性能を
持たせなければならない上、高温加熱による分解生成物
の混入が生じ、好ましくない。
【0015】その後冷却して2,6−ナフタレンジカル
ボン酸ジメチルエステルを再結晶させる温度は、結晶が
析出する温度であればいかなる温度でもかまわないが、
通常室温付近の0〜30℃、特に15〜25℃が適当で
ある。この際、温度を0℃未満にすると不純物も析出し
精製度が低下し、また、温度が30℃を超えると精製
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルの回
収率が低下してしまい好ましくない。
ボン酸ジメチルエステルを再結晶させる温度は、結晶が
析出する温度であればいかなる温度でもかまわないが、
通常室温付近の0〜30℃、特に15〜25℃が適当で
ある。この際、温度を0℃未満にすると不純物も析出し
精製度が低下し、また、温度が30℃を超えると精製
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルの回
収率が低下してしまい好ましくない。
【0016】2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル
エステルは、上述した本発明の精製法のみでも実用にた
え得る程度の純度までに精製することが可能であるが、
更に、同様の再結晶の操作をくり返すか、あるいは他の
精製方法、例えば蒸留、昇華、及び活性炭や活性白土等
を用いた脱色操作を併用することにより精製効果を一層
高めることができる。
エステルは、上述した本発明の精製法のみでも実用にた
え得る程度の純度までに精製することが可能であるが、
更に、同様の再結晶の操作をくり返すか、あるいは他の
精製方法、例えば蒸留、昇華、及び活性炭や活性白土等
を用いた脱色操作を併用することにより精製効果を一層
高めることができる。
【0017】この中でも特に活性炭による吸着処理を併
用するのが好ましい。ここで用いられる活性炭として
は、例えば粒状、顆粒状、球状、破砕状及び粉末状のい
ずれの形状のものも使用できるが、表面積が大きいこと
から、特に粉末状のものが好ましい。処理方法は、例え
ば上述の条件に従い、クロロホルムに粗2,6−ナフタ
レンジカルボン酸ジメチルエステルを溶解して得られた
溶液に、活性炭を混合し、30分以上撹拌してから活性
炭を濾過等により除去するか、あるいは該溶液を活性炭
充填層の中を通すことにより行うのが好ましい。また、
活性炭による吸着処理時の温度は15〜60℃、特に室
温付近の25〜40℃が好ましい。吸着処理終了後、処
理液を必要に応じて減圧濃縮した後、冷却して結晶析出
させることにより、精製2,6−ナフタレンジカルボン
酸ジメチルエステルが得られる。なお、かかる活性炭処
理を用いた再結晶は、一度クロロホルムによる再結晶を
行った2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステ
ルに対して実施するのがより好ましい。
用するのが好ましい。ここで用いられる活性炭として
は、例えば粒状、顆粒状、球状、破砕状及び粉末状のい
ずれの形状のものも使用できるが、表面積が大きいこと
から、特に粉末状のものが好ましい。処理方法は、例え
ば上述の条件に従い、クロロホルムに粗2,6−ナフタ
レンジカルボン酸ジメチルエステルを溶解して得られた
溶液に、活性炭を混合し、30分以上撹拌してから活性
炭を濾過等により除去するか、あるいは該溶液を活性炭
充填層の中を通すことにより行うのが好ましい。また、
活性炭による吸着処理時の温度は15〜60℃、特に室
温付近の25〜40℃が好ましい。吸着処理終了後、処
理液を必要に応じて減圧濃縮した後、冷却して結晶析出
させることにより、精製2,6−ナフタレンジカルボン
酸ジメチルエステルが得られる。なお、かかる活性炭処
理を用いた再結晶は、一度クロロホルムによる再結晶を
行った2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステ
ルに対して実施するのがより好ましい。
【0018】
【発明の効果】本発明の精製法は、使用する溶媒である
クロロホルム単位容積当りの2,6−ナフタレンジカル
ボン酸ジメチルエステルの溶解度が、従来の溶媒に対す
るのに比べて高いため、装置規模を簡略化でき、またク
ロロホルムの沸点以上に加熱しないため耐圧容器を必要
とせず、操作性に優れると共に、着色物や不純物の極め
て少ない高純度の2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメ
チルエステルが得られるものである。
クロロホルム単位容積当りの2,6−ナフタレンジカル
ボン酸ジメチルエステルの溶解度が、従来の溶媒に対す
るのに比べて高いため、装置規模を簡略化でき、またク
ロロホルムの沸点以上に加熱しないため耐圧容器を必要
とせず、操作性に優れると共に、着色物や不純物の極め
て少ない高純度の2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメ
チルエステルが得られるものである。
【0019】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に説明する
が、本発明はこれらによって何ら限定されるものではな
い。
が、本発明はこれらによって何ら限定されるものではな
い。
【0020】尚、本実施例においては、品質の尺度とし
て以下に示す方法により、酸価の測定及び色相の比較を
行った。 1.酸価の測定 滴定により行った。 2.色相の比較 粉体試料を成形し、板状としたものについて、L値(明
度)、a値〔赤(+)〜緑(−)〕、b値〔黄(+)〜
青(−)〕を求め、これを比較した。なお、a値及びb
値は0に近い程無色であり、L値は100に近い程白色
である。
て以下に示す方法により、酸価の測定及び色相の比較を
行った。 1.酸価の測定 滴定により行った。 2.色相の比較 粉体試料を成形し、板状としたものについて、L値(明
度)、a値〔赤(+)〜緑(−)〕、b値〔黄(+)〜
青(−)〕を求め、これを比較した。なお、a値及びb
値は0に近い程無色であり、L値は100に近い程白色
である。
【0021】実施例1 2,6−ナフタレンジカルボン酸10gを常法によりメ
タノール100mlと濃硫酸7mlを用いて130℃で加熱
下2時間エステル化した。メタノール濃縮後、析出物を
濾過、10%重炭酸ナトリウム水溶液で1回洗浄、更に
メタノールにより2回洗浄後乾燥し10.5gの固体を
得た。得られた粗2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメ
チルエステルは、酸価0.9mgKOH/gであり、色相は
うす黄色、L値88.3、a値−1.8、b値12.8
であった。この粗2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメ
チルエステル7gをクロロホルム70mlに加熱溶解後、
10分間50℃で加熱撹拌した。その後、室温20℃ま
で冷却し再結晶を2回行った。得られた精製2,6−ナ
フタレンジカルボン酸ジメチルエステルは、融点189
℃、酸価0.07mgKOH/g、色相は白色、L値95.
1、a値0.8、b値5.4であった。
タノール100mlと濃硫酸7mlを用いて130℃で加熱
下2時間エステル化した。メタノール濃縮後、析出物を
濾過、10%重炭酸ナトリウム水溶液で1回洗浄、更に
メタノールにより2回洗浄後乾燥し10.5gの固体を
得た。得られた粗2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメ
チルエステルは、酸価0.9mgKOH/gであり、色相は
うす黄色、L値88.3、a値−1.8、b値12.8
であった。この粗2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメ
チルエステル7gをクロロホルム70mlに加熱溶解後、
10分間50℃で加熱撹拌した。その後、室温20℃ま
で冷却し再結晶を2回行った。得られた精製2,6−ナ
フタレンジカルボン酸ジメチルエステルは、融点189
℃、酸価0.07mgKOH/g、色相は白色、L値95.
1、a値0.8、b値5.4であった。
【0022】実施例2 実施例1で得られた精製品に活性炭粉末3.5gを加
え、更にクロロホルム70mlを加え、25℃にて30分
間撹拌した。その後、活性炭を濾去し、濾液を濃縮して
再結晶を行った。得られた精製2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸ジメチルエステルは、融点189℃、酸価0.
05mgKOH/g、色相純白色、L値97.2、a値0.
2、b値3.1であった。
え、更にクロロホルム70mlを加え、25℃にて30分
間撹拌した。その後、活性炭を濾去し、濾液を濃縮して
再結晶を行った。得られた精製2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸ジメチルエステルは、融点189℃、酸価0.
05mgKOH/g、色相純白色、L値97.2、a値0.
2、b値3.1であった。
【0023】実施例3 実施例1で得られた粗2,6−ナフタレンジカルボン酸
ジメチルエステル7gに対して使用するクロロホルム量
をそれぞれ45ml、105mlに変更する以外は、実施例
1と同様な精製操作を行った。得られた精製2,6−ナ
フタレンジカルボン酸ジメチルエステルはそれぞれ、融
点189℃、酸価0.09mgKOH/g、色相は白色、L
値92.7、a値1.0、b値6.2であった。
ジメチルエステル7gに対して使用するクロロホルム量
をそれぞれ45ml、105mlに変更する以外は、実施例
1と同様な精製操作を行った。得られた精製2,6−ナ
フタレンジカルボン酸ジメチルエステルはそれぞれ、融
点189℃、酸価0.09mgKOH/g、色相は白色、L
値92.7、a値1.0、b値6.2であった。
【0024】実施例4 クロロホルム量を105mlとする以外は、実施例1と同
様な精製操作を行った。得られた精製2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸ジメチルエステルは融点189℃、酸価
0.06mgKOH/g、色相は白色、L値96.5、a値
−0.5、b値5.3であった。
様な精製操作を行った。得られた精製2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸ジメチルエステルは融点189℃、酸価
0.06mgKOH/g、色相は白色、L値96.5、a値
−0.5、b値5.3であった。
【0025】比較例1 クロロホルムに替えて塩化メチレン70mlを用いる以外
は実施例1と同等の精製操作を行った。ここで、精製は
耐圧性の容器に入れて行った。この際、全ての粗2,6
−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルを溶解する
ために溶媒を沸点以上の70℃に加熱しなければならな
かった。また、その際の容器内圧力は、約3kg/cm2に
上昇した。この状態で10分間加熱撹拌し、その後室温
20℃まで冷却し再結晶を2回行った。得られた精製
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルは、
融点189℃、酸価0.09mgKOH/g、色相はL値93.
1、a値−0.5、b値9.2で、若干黄白色に着色し
ていた。
は実施例1と同等の精製操作を行った。ここで、精製は
耐圧性の容器に入れて行った。この際、全ての粗2,6
−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルを溶解する
ために溶媒を沸点以上の70℃に加熱しなければならな
かった。また、その際の容器内圧力は、約3kg/cm2に
上昇した。この状態で10分間加熱撹拌し、その後室温
20℃まで冷却し再結晶を2回行った。得られた精製
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルは、
融点189℃、酸価0.09mgKOH/g、色相はL値93.
1、a値−0.5、b値9.2で、若干黄白色に着色し
ていた。
【0026】以上の結果から、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸ジメチルエステルの精製において懸案となる精
製物の黄ばみ(b値に示される)が、塩化メチレンを溶
媒として用いる比較例1よりもクロロホルムを溶媒とし
て用いる実施例において改善されていることがわかる。
また、精製における操作性が比較例1と比べ、実施例に
おいて著しく有利であることがわかる。
ルボン酸ジメチルエステルの精製において懸案となる精
製物の黄ばみ(b値に示される)が、塩化メチレンを溶
媒として用いる比較例1よりもクロロホルムを溶媒とし
て用いる実施例において改善されていることがわかる。
また、精製における操作性が比較例1と比べ、実施例に
おいて著しく有利であることがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横溝 晃 埼玉県幸手市権現堂1134−2 (72)発明者 上山 宏輝 埼玉県浦和市大牧922
Claims (2)
- 【請求項1】 粗2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメ
チルエステルを再結晶することによる精製法において、
溶媒としてクロロホルムを使用することを特徴とする
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルの精
製法。 - 【請求項2】 更に、活性炭による吸着処理をする請求
項1記載の2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエ
ステルの精製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4645293A JPH06256262A (ja) | 1993-03-08 | 1993-03-08 | 2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルの精製法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4645293A JPH06256262A (ja) | 1993-03-08 | 1993-03-08 | 2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルの精製法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06256262A true JPH06256262A (ja) | 1994-09-13 |
Family
ID=12747557
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4645293A Pending JPH06256262A (ja) | 1993-03-08 | 1993-03-08 | 2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルの精製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06256262A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003042215A1 (en) * | 2001-11-16 | 2003-05-22 | Ranbaxy Laboratories Limited | Process for the preparation of crystalline imipenem |
US7154171B1 (en) | 2002-02-22 | 2006-12-26 | Amkor Technology, Inc. | Stacking structure for semiconductor devices using a folded over flexible substrate and method therefor |
JP2015078187A (ja) * | 2013-10-14 | 2015-04-23 | ゼロックス コーポレイションXerox Corporation | 相変化インクのための新規結晶性化合物 |
-
1993
- 1993-03-08 JP JP4645293A patent/JPH06256262A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003042215A1 (en) * | 2001-11-16 | 2003-05-22 | Ranbaxy Laboratories Limited | Process for the preparation of crystalline imipenem |
US7154171B1 (en) | 2002-02-22 | 2006-12-26 | Amkor Technology, Inc. | Stacking structure for semiconductor devices using a folded over flexible substrate and method therefor |
JP2015078187A (ja) * | 2013-10-14 | 2015-04-23 | ゼロックス コーポレイションXerox Corporation | 相変化インクのための新規結晶性化合物 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100282074B1 (ko) | 2,6-나프탈렌디카복실산의제조방법 | |
US7276625B2 (en) | Process for production of a carboxylic acid/diol mixture suitable for use in polyester production | |
EP0538547A2 (en) | Process for the preparation of oxydiphthalic acid and purified oxydiphthalic anhydride from crude oxydiphthalic anhydride | |
KR0137646B1 (ko) | 조악한 디메틸 나프탈렌 디카복실레이트의 정제방법 | |
JP2874223B2 (ja) | 高純度2,6‐ナフタリンジカルボン酸の製造法 | |
JPS59212495A (ja) | 1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸−1,2「い」3,4−ジ無水物の製造方法 | |
JPH06256262A (ja) | 2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルの精製法 | |
US3388156A (en) | Method of recovering crude terephthalic acid | |
JPH09151162A (ja) | ナフタレンジカルボン酸の精製法 | |
JPH07206845A (ja) | 3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の製造方法 | |
US3948956A (en) | Process for the purification of crude trimellitic anhydride | |
JP3199104B2 (ja) | 2,6−ナフタレンジカルボン酸及びそのエステルの製造法 | |
JPH07238051A (ja) | 高純度ナフタレンジカルボン酸の製造方法 | |
JP3891454B2 (ja) | 芳香族ジカルボン酸エステルの精製方法 | |
JP4626031B2 (ja) | 高純度ピロメリット酸および高純度無水ピロメリット酸の製造方法 | |
US3632830A (en) | Process for the purification of crude bis-(beta-hydroxyethyl) terephthalate | |
JPH09104654A (ja) | ナフタレンジカルボン酸の精製方法 | |
KR102601626B1 (ko) | 비스-2-하이드록시에틸 테레프탈레이트의 고순도화 정제 방법 및 이를 포함하는 폴리에스테르 수지 | |
JP2906549B2 (ja) | 2,6―ナフタリンジカルボン酸ジメチルの精製法 | |
US4550215A (en) | Process for the preparation of perylene | |
JPS60112759A (ja) | Ν−フエニルマレイミド類の製造法 | |
JPH03279347A (ja) | 4,4’―ジフェニルジカルボン酸の精製方法 | |
JP3125358B2 (ja) | ナフタレンテトラカルボン酸類の精製方法 | |
JPH05155807A (ja) | ナフタレンジカルボン酸の製造方法 | |
JPH07206763A (ja) | 精製3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸又はその酸二無水物の製造方法 |