JPH10160066A - 防食メカニカル管継手及び防食メカニカル管接続構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 差し込み型の防食メカニカル管継手におい
て、管の挿入及び接続作業が容易でロックが確実にでき
る防食メカニカル管継手を提供すること。 【解決手段】 内側先端に樹脂ライニング鋼管の外径よ
りも小径となる刃部61を、外側にＲ面62をそれぞれ形成
したロックリング６と、このロックリング６の外側Ｒ面
62に当接し継手端部側に向って縮径したテーパ内面71を
有する押輪７とを備えた管抜け止め式メカニカル接続部
と、このメカニカル接続部を除く内周面に成形した内面
樹脂被覆層３を有する金属製継手本体１と、補強筒４を
有する内径シール部21と環状コイル部材51、52を有する
外径シール部22とをコの字形に連結し、前記継手本体１
の内面樹脂被覆層３の内径側に装着したパッキン２とか
らなり、さらに前記パッキン２の外径シール部22の継手
端部側に弾性部222を設けて前記ロックリング６を前記
押輪７のテーパ内面71に押圧するようになした防食メカ
ニカル管継手である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも内面に
樹脂ライニング層を有する樹脂ライニング鋼管（以下、
ライニング鋼管あるいは単に管ということがある。）の
管端面を防食すると共に管端にねじを切ることなく接続
することができる防食メカニカル管継手に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】従来、水道及び温水配管等における赤水
対策として管端防食継手が多く使用されている。その多
くは図４に示すように継手本体90にめねじ91を設け、他
方のライニング鋼管側（図示せず）にもねじを切って両
者をねじ込み接続する、いわゆるねじ込み式のものであ
った。従って、ライニング鋼管には現場でおねじを切る
必要がある。しかもこのとき管の長さとねじの太さのば
らつきにより、シール性能と防食性能に影響を与えるの
で、この作業は熟練を要し大変面倒なものであった。

【０００３】従来の管端防食構造として、図４のように
継手本体90のめねじ91との間に管端差込部94を形成する
ように、内面樹脂被覆層92と筒状のコア部93とを予め継
手本体内に一体成形、通常射出成形したコア内蔵型と
か、ねじ込み作業の前に管端部を覆う樹脂製のおねじ付
きコア体を管端に装着するコア装着型などがあった。し
かし、いずれにしてもコア部分にはねじ込み時の回転力
と／又は推力が加わる構造であるため内面樹脂被覆層と
継手本体あるいはコア体と管との界面が剥離したり、コ
ア体が移動して残る一方の接続ができない恐れがあると
いうものであった。

【０００４】そこで、ライニング鋼管にねじを切らない
で接続するようにしたメカニカル式の管端防食管継手
（以下、防食メカニカル管継手という。）も提案されて
いる。例えば、実開平６−１４６７５号公報に開示され
た差し込み式の防食メカニカル管継手がある。このもの
は図３に示すように、継手本体70の内面を被覆する樹脂
被覆層72と端部に向って延出した筒状コア部73との間で
管端差込部74を形成したコア内蔵型の防食構造を用いて
おり、上記内面樹脂被覆層72に隣接して管外面との間を
シールするゴムリング75を、また継手本体70の端部内周
部に管外面に喰い込み係止する係止リング76をそれぞれ
設けたものである。従って、ライニング鋼管Ｐを管端差
込部74内に差し込むだけで、先ず管の内周面と筒状コア
部の外周面とが圧接され、同時に管の外周面はゴムリン
グ75と圧接して水密シールがなされる。その後、管を引
き抜き方向に引張ることにより係止リング76が管外面に
喰込み接続されるというものであった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記した従来技術の管
抜け止め式メカニカル接続構造は管を差し込むだけで接
続係止をするものであるから作業性の面では有利であ
る。しかし内圧作用や外力など管に抜け出す力が作用す
ると、管がある程度継手より抜け出した後ロックされ
る。従って複数の管継手を使用すると配管全長が組み立
て当初より伸びるという問題があった。また、このよう
な管差し込み形の場合、管をどこまで差し込めば継手本
体内に正常に管が挿入できたのか、という作業完了の確
認ができない。特に接続作業後、配管作業を監督する第
三者が目視でこれを確認することが出来ないという問題
があった。

【０００６】従って、本発明は管を差し込むだけで接続
作業と接続確認が確実にでき、かつ内圧力や外力が作用
しても、ほとんど管が管継手から抜け出さない管抜け止
め式メカニカル接続部を有する防食メカニカル管継手及
び防食メカニカル管接続構造を提供することを目的とす
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、内側先端に樹
脂ライニング鋼管の外径よりも小径となる刃部を、外側
にＲ面をそれぞれ形成したロックリングと、このロック
リングの外側Ｒ面に当接し継手端部側に向って縮径した
テーパ内面を有する押輪とを備えた管抜け止め式メカニ
カル接続部と、このメカニカル接続部を除く金属製継手
本体の内周面に成形した内面樹脂被覆層の内径部にパッ
キンを装着し、このパッキンは補強筒を有する内径シー
ル部と環状コイル部材を有する外径シール部とをコの字
形に有し、さらにこのパッキンの外径シール部の継手端
部側に弾性部を設けて前記ロックリングを前記押輪のテ
ーパ内面に押圧するようになした防食メカニカル管継手
である。

【０００８】また本発明は、金属製継手本体の端部に管
抜け止め式メカニカル接続部を備え、この継手本体の端
部を除く内周面に内面樹脂被覆層を成形した管継手と、
樹脂ライニング鋼管とを接続する防食メカニカル管接続
構造であって、前記メカニカル接続部は、内側先端に樹
脂ライニング鋼管の外径よりも小径となる刃部を、外側
にＲ面をそれぞれ形成したロックリングと、このロック
リングの外側Ｒ面に当接し継手端部側に向って縮径した
テーパ内面を有する押輪とからなり、パッキンは、補強
筒を有する内径シール部と環状コイル部材を有する外径
シール部とをコの字形に形成し、これを前記継手本体の
内面樹脂被覆層の内径側に装着し、さらに前記外径シー
ル部の継手端部側には弾性部を設けて前記ロックリング
を前記押輪のテーパ内面に押圧するようになしたもの
で、前記樹脂ライニング鋼管は、外表面にローレット標
示部を設け、これを正常に差し込んだとき、このローレ
ット標示部が前記ロックリングの少し奥から継手端面付
近にある防食メカニカル管接続構造である。

【０００９】以上の防食メカニカル管継手によれば、組
み立て状態でロックリングは常に押輪のテーパ内面側に
押付けられているが、ライニング鋼管が継手本体内に差
し込まれると、ロックリングはパッキンの押圧力に抗し
てテーパ内面を滑り若干後退する。これによってその刃
部は若干拡径することができ管はロックリングを抜けて
前進する。そしてその奥にあるパッキンの外径シール部
には環状のコイル部材が一体的に装着されて反撥力が適
宜に保持され管外径側をシールすることができる。同時
に内径シール部には補強筒があるから管の内径及び端部
を保持することができ、さらにリップ部によって管の内
面を確実にシールすることができる。このときロックリ
ングの刃は管外面に当接しているが、パッキンの外径シ
ール部端部の弾性部が復元するとロックリングはテーパ
内面側に押されて常に縮径する方向の力がかかった状態
で置かれる。その後、配管内に流体圧が発生すると管自
体が軸方向に僅かに移動することによりロックリングの
刃部が管の外面に食込み固定される。また、樹脂ライニ
ング鋼管にはインジケータ用のローレット標示部を設け
ているので、配管作業後でも第三者が接続が完了してい
ることを目視で確認することができる。また、このロー
レット標示部は前記ロックリングの少し奥の管外面まで
設けてあり、このローレット部はロックリングの刃部を
係止し易い表面状態であるから、ロックリングの管外面
への食込みがより確実になる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面を参
照して説明する。図１は本発明の一実施例を示す防食メ
カニカル管継手Ｆの断面図で、図の右側は管接続前を、
左側は管接続後を示している。ここで管は鋼管Ｐ１の内
面にポリエチレン粉体樹脂をライニングしたポリ粉体ラ
イニング鋼管あるいは内面に前記ポリ粉体樹脂より厚い
塩化ビニル樹脂をライニングした塩ビライニング鋼管が
相当するが、ここでは総称してライニング鋼管Ｐとす
る。

【００１１】図１において、１は金属製（例えば可鍛鋳
鉄製）の管継手本体を示し、内面は図のように段部に形
成している。本例ではソケットであるが、エルボやチー
あるいは片側にメカニカル接続部を、もう一方にはねじ
接続部を備えた継手等であっても良い。３は継手本体の
端部、即ちメカニカル接続部がある部分を除く内面に射
出成形などで固着した耐水性樹脂製（例えば硬質塩化ビ
ニル，ポリブテン，架橋ポリエチレン等）の内面樹脂被
覆層で中央部には中央突条31を形成している。

【００１２】２は耐水性ゴム（例えばＥＰＤＭ，ＳＢＲ
等）からなるパッキンで内面樹脂被覆層３の端部側内径
面に予め嵌合装着されている。このパッキン２は、突条
リップ211を有し補強筒４によってＬ字状に形づけられ
た内径シール部21と環状コイル部材51、52を組み込んで
径方向の弾性力を補強した外径シール部22とからなり、
両者は一体成形し、全体としてコの字形に形づけられて
いる。尚、内径シール部21と外径シール部22は別体とし
全体としてコの字形としてもよい。また、外径シール部
22の外側端部には弾性部として突出部222が一体成形さ
れており、この突出部222は別途装着したリテーナ８を
組み立て基点として外方に向かう押付力を発生するよう
にしている。上記した補強筒４は、ステンレス鋼あるい
は高強度の樹脂材等からなり内径シール部21には接着材
を用いて接着するか、あるいはパッキン成形時に一体成
形する等して組み付けることが出来る。コイル部材５は
ばね鋼等からなるつる巻ばねを円環状にしたものでパッ
キンの外径シール部の内外に組付けられている。そし
て、つる巻きばね素線径と巻き径、巻きピッチを種々組
合せることにより外径シール面圧を保持さすことができ
る。

【００１３】６はステンレス鋼等からなる円環状のロッ
クリングで、図２に示すようにその内側に２山程度の刃
部61を設け、外側はＲ面状62としている。刃部61の径は
樹脂ライニング鋼管の外径よりも若干（０．５mm程度）
小径となっているが、円環の一部63を切り放して弾性的
に拡径できるようにしている。７は金属製の押輪で、内
径側に外端部側に向かって縮径するテーパ内面71を有し
ている。本例では継手本体１の端部内面に嵌合させ内面
樹脂被覆層12の端部と押輪７の端部でリテーナ８を挟む
ようにスナップリング等の止め輪９によって押輪７を継
手本体１に係止するようにしている。また、継手本隊の
端部を変形して押輪７を本体と一体に成形してもよい。
以上のメカニカル接続部の各部品はパッキン２と共に予
め継手本体内に図示のように装着されて組立っている。

【００１４】一方、樹脂ライニング鋼管Ｐには管端面か
らの所定位置に予め標示部を設けておく、即ち管が継手
本体１内に正常に差し込まれ、内径シール部21及び外径
シール部22が管を押圧してシールをなすようなロックリ
ング６の少し奥位置より継手端面付近の位置の範囲に予
めローレット目の標示部Ｒを設けている。尚、ローレッ
ト目は綾目でなくてもよく間隔の狭い円状の平行溝等の
標示でも良い。

【００１５】次に上記防食メカニカル継手Ｆとライニン
グ鋼管Ｐの接続作業について説明する。ライニング鋼管
Ｐは基本的には継手本体１内に差込むだけでよく、この
作業は内径リップ部211と管Ｐの内面Ｐ６とが圧接する
程度のゆるい嵌合に設定されているので比較的容易にか
つ正確に行える。管Ｐが差し込まれるとまずロックリン
グ６に当接するが、そのままパッキン２の突出部222の
弾性力に抗して管Ｐをロックリング４の内径Ｒ面に押付
ければロックリング４は内面テーパ71に沿って後退しな
がら、ロックリング４は拡径するので管はロックリング
４を通過する。すると管端は外径シール部22のシール内
面221に当接し、コイル部材52と51弾性力を受けながら
前進する。さらに差込むと管の内面Ｐ６は内径シール部
21のリップ211に当接し、これを軸方向に圧縮しながら
進み内径シール部21の奥底面に管端が当たり差込み量が
規定される。この管Ｐを差し込むときロックリング６が
後退することにより、パッキン２の突出部222を圧縮す
るので、その反撥力をロックリング６は受ける。

【００１６】管Ｐが奥部の正常位置まで差し込まれた
後、パッキン２の突出部222は復元しロックリング６は
テーパ面71により縮径方向に押され、その刃部61は管外
面に押付けられている。その後、配管内に水が流れて水
圧が生じると、管は軸方向に僅かに移動する。これによ
ってテーパ面71に沿ってロックリング６は更に縮径され
ロックリング６の刃部61が管の外面で丁度ローレット目
を設けた部分に食込み固定される。

【００１７】本発明の他の実施例としては、上記実施例
の押輪７に代えてめねじを有する袋ナット状の押輪を用
いて継手本体側のおねじにねじ込んで係止する構造に、
また継手本体の端部を塑性加工により縮径して押輪を係
止する構造にすることが考えられる。またパッキンにお
いては端部に突出部222を設ける代わりに圧縮代を設け
てリテーナを介してロックリングを外方に押圧するよう
にすることも出来る。

【００１８】

【発明の効果】本発明によれば、パッキンの内径シール
部及び外径シール部によって管の内面及び外面を効果的
にシールすることができるようになった。また、ロック
リング部材はパッキンにより押輪のテーパ内面に常に押
圧されており、ロックリングの刃部は管外面に当接して
管の接続位置が保持され、さらに流体圧や外力が加わる
とテーパ内面でロックリングが縮径し、ロックリングの
刃部が管外面に食込んで固定できる。また、ローレット
標示部により配管作業後でも第三者が正常に接続作業が
なされていることを目視で確認することが出来る。以上
によって、管の挿入及び接続作業が容易である防食メカ
ニカル管継手及び防食メカニカル管接続構造となった。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の防食メカニカル管継手の一実施例を
示す断面図（右側は接続前、左側は接続後）である。

【図２】 実施例で用いたロックリングを示す断面正面
図である。

【図３】 従来の防食メカニカル管継手の例を示す断面
図である。

【図４】 従来のねじ込み式防食管継手の例を示す断面
図である。

【符号の説明】

１…継手本体 ２…パッキン ３
…内面樹脂被覆層 ４…補強筒 ５（51,52）…環状コイル部材 ６
…ロックリング ７…押輪 ８…リテーナ ９
…止め輪 21…内径シール部 22…外径シール部 222
…弾性突出部 61…ロックリングの刃62…ロックリングのＲ外面 63
…切り離し部 71…押輪のテーパ内面 Ｆ…防
食メカニカル管継手 Ｐ…ライニング鋼管 Ｒ…ロ
ーレット目 Ｐ６…ライニング鋼管の内面 Ｐ７…ライニング鋼管の端部外面

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内側先端に樹脂ライニング鋼管の外径よ
   りも小径となる刃部を、外側にＲ面をそれぞれ形成した
   ロックリングと、このロックリングの外側Ｒ面に当接し
   継手端部側に向って縮径したテーパ内面を有する押輪と
   を備えた管抜け止め式メカニカル接続部と、このメカニ
   カル接続部を除く金属製継手本体の内周面に成形した内
   面樹脂被覆層の内径部にパッキンを装着し、このパッキ
   ンは補強筒を有する内径シール部と環状コイル部材を有
   する外径シール部とをコの字形に有し、さらにこのパッ
   キンの外径シール部の継手端部側に弾性部を設けて前記
   ロックリングを前記押輪のテーパ内面に押圧するように
   なしたことを特徴とする防食メカニカル管継手。
2. 【請求項２】 金属製継手本体の端部に管抜け止め式メ
   カニカル接続部を備え、この継手本体の端部を除く内周
   面に内面樹脂被覆層を成形した管継手と、樹脂ライニン
   グ鋼管とを接続する防食メカニカル管接続構造であっ
   て、 前記メカニカル接続部は、内側先端に樹脂ライニング鋼
   管の外径よりも小径となる刃部を、外側にＲ面をそれぞ
   れ形成したロックリングと、このロックリングの外側Ｒ
   面に当接し継手端部側に向って縮径したテーパ内面を有
   する押輪とからなり、パッキンは、補強筒を有する内径
   シール部と環状コイル部材を有する外径シール部とをコ
   の字形に形成され、これを前記継手本体の内面樹脂被覆
   層の内径側に装着し、さらに前記外径シール部の継手端
   部側には弾性部を設けて前記ロックリングを前記押輪の
   テーパ内面に押圧するようになしたもので、前記樹脂ラ
   イニング鋼管は、外表面にローレット標示部を設け、こ
   れを正常に差し込んだとき、このローレット標示部が前
   記ロックリングの少し奥から継手端面付近にあることを
   特徴とする防食メカニカル管接続構造。