JPH10158858A - 潤滑性、耐齧り性、化成処理性に優れた冷延鋼板 - Google Patents

潤滑性、耐齧り性、化成処理性に優れた冷延鋼板

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JPH10158858A
JPH10158858A JP31721396A JP31721396A JPH10158858A JP H10158858 A JPH10158858 A JP H10158858A JP 31721396 A JP31721396 A JP 31721396A JP 31721396 A JP31721396 A JP 31721396A JP H10158858 A JPH10158858 A JP H10158858A
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zinc
film
rolled steel
chemical conversion
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Shinichi Suzuki
眞一 鈴木
Akihiro Miyasaka
明博 宮坂
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、潤滑性、齧り性、化成処理性に優
れた冷延鋼板を提供する。 【解決手段】 0価と2価の亜鉛を総量として1〜10
00mg/m2 (金属亜鉛換算)含有し、かつ0価と2
価の亜鉛からなる皮膜の鋼板表面分布率(σ/ x)50
%以下で、下層が0価亜鉛主体の極薄皮膜、上層が2価
の亜鉛と第2元素群の酸化物(但し第2元素群として
P、B、Siの1種又は2種以上の酸化物が1〜50m
g/m2 (単体換算))からなる非晶質皮膜を冷延鋼板
表面に複層形成せしめた潤滑性、耐齧り性、化成処理性
に優れた冷延鋼板である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、潤滑性、耐齧り
性、化成処理性に優れた冷延鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】亜鉛系めっき鋼板のプレス成形時の潤滑
性を向上して、成形性を高めるため鋼板表面にクロメー
ト皮膜(Cr2O3)を生成することが特開昭62ー1858
83号公報に開示されている。また、亜鉛系めっき鋼板
の潤滑性と化成処理性を高める処理として、亜鉛系めっ
き鋼板表面に、各種酸化物皮膜を処理し、化成処理性と
プレス成形性を向上するものとして、特開平4-176878号
公報などが知られている。また、冷延鋼板表面への処理
として、冷延鋼板表面にFe2O3 とFe3O4 を主体とする酸
化物皮膜を生成してプレス成形性を向上することが特開
平3−285024号公報に開示されており、また、特
開平3-236491号公報ではNi、Mn、Co、Cuなどの金属を微
細、非連続的に析出し、リン酸塩処理性と型かじり性を
向上することが開示されている。さらには、鋼板表面に
燐酸マンガンなどの化成処理結晶皮膜を形成し潤滑性を
改善することも知られている。また、鋼板表面に有機潤
滑皮膜あるいは潤滑油を塗布してプレス成形性を向上す
ることが特開平3−285024号公報に開示されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のごとき、クロメ
ート皮膜、Fe2O3 とFe3O4 を主体とする酸化物皮膜、燐
酸マンガンなどの化成処理結晶皮膜は、プレス成形性な
どの潤滑性向上に効果はあるが、プレス成形後に化成処
理を行う場合には、化成処理液でこれら皮膜がほとんど
溶解せず、化成処理皮膜がほとんど形成できない、もし
くは、極部分的にしか形成されない難点がある。また、
冷延鋼板にNi、Mn、Co、Cuなどの金属を微細、非連続的
に析出させたものは、低面圧下では型齧りに対して効果
があるものの、高面圧下では皮膜の不連続部で型かじり
を発生させる。特に、実プレスでは、1つの型の中にし
わ押え高いところ(高面圧部)と低いところ(低面圧
部)が存在するため、かえって鋼板の流れ込みが不均一
になり実用上支障がある。一方、亜鉛系めっき鋼板に効
果の高い、化成処理性とプレス成形性を向上する特開平
4-176878号公報などは、冷延鋼板上では、ほとんどが皮
膜が形成されないか、皮膜が形成されても化成処理液で
皮膜が十分溶解せず、化成処理皮膜の形成が不十分とな
る。さらに、潤滑油によるプレス成形性向上は、プレス
成形後の脱脂工程の負荷が高く、また、プレス成形後に
油面系接着剤を用いる場合には、接着強度が低下する等
の課題がある。本発明は、このような課題を有利に解決
するためになされたものであり、冷延鋼板表面に酸化物
皮膜を生成して潤滑性、耐型かじり性を向上しプレス性
形成を高めるとともに、化成処理性、接着剤適合性を良
好にし、かつ脱脂液、化成処理液を汚染すること回避す
ることのできる冷延鋼板を提供することを目的とするも
のである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴とするとこ
ろは、0価と2価の亜鉛を総量として1〜1000mg
/m2 (金属亜鉛換算)含有し、かつ0価と2価の亜鉛
からなる皮膜の鋼板表面分布率(σ/ x)50%以下
で、下層が0価亜鉛主体の極薄皮膜、上層が2価の亜鉛
と第2元素群の酸化物(但し第2元素群としてP、B、
Siの1種又は2種以上の酸化物が1〜50mg/m2
(単体換算))からなる非晶質皮膜を冷延鋼板表面に複
層形成せしめたことを特徴とする潤滑性、耐齧り性、化
成処理性に優れた冷延鋼板である。
【0005】
【発明の実施の形態】上記のごとき酸化物を生成せしめ
る冷延鋼板としては、例えば、C:0.0001〜0.10%、Mn:
0.05 〜0.4%、Si:0.50%以下、P:0.02%以下、S:0.01%
以下、残り不可避的不純物およびFeからなり、このよう
な組成に必要に応じてTi、Nb、B 、Alなどの1種または
2種以上含有せしめて成形性を向上させる。また、P 、
Si、Mnの1種または2種以上を添加して上記P、Si、Mn
より多量に含有せしめた高強度冷延鋼板等の板厚0.6mm
〜3.2mm の冷延鋼板がある。また、表面にレーザーやエ
ッチング処理等によってマイクロパターン化して表面粗
度を調整したRa0.05〜2.0μmの粗度を形成し
た冷延鋼板を用いることができる。
【0006】このような冷延鋼板表面に亜鉛の0価と2
価からなる複層皮膜を生成するものであるが、従来技術
のように、冷延鋼板表面に直接酸化物皮膜を形成する
と、鋼板表面のFeで酸化された皮膜が形成される。この
皮膜は、化成処理液での溶解が困難となり、後工程での
化成処理において化成処理皮膜の形成がほとんどでき
ず、形成しても不均一となる。複層皮膜の下層として金
属亜鉛(0価の亜鉛)を残すことにより、酸化物皮膜形
成時の冷延鋼板のFeによる酸化を抑制して確実な化成処
理を施すことができるものである。このような作用は、
鋼板表面全面で行わなければならず、そのためには、鋼
板表面の複層皮膜の0価と2価の亜鉛の分布が、ミクロ
的に均一でなければならない。本発明者等が詳細に検討
したところ、その0価と2価の亜鉛分布は、複層皮膜の
鋼板表面分布率(σ/ x)(4μmピッチ250×25
0点の0価と2価の亜鉛付着量の標準偏差(σ)を0価
と2価の亜鉛の平均付着量(x)で除したものの100
分率で定義する)が50%以下であればスケのない均一な
化成処理を可能にできる。
【0007】即ち、複層皮膜中の0価と2価の亜鉛総量
は、上記のごとき作用を確実に発揮するためには1mg/m2
以上必要であり、さらに非晶質皮膜(酸化物皮膜)の下
層に極く微量の金属亜鉛(0価の亜鉛)主体の皮膜を生
成することで低面圧のみならず、高面圧での摺動を高め
て型齧り性を向上させることを見出した。これは、酸化
物皮膜の下層に金属亜鉛主体の皮膜があることにより、
金属亜鉛の柔らかさが高面圧下での摺動時の複層皮膜の
追従性を良好とすることができるものと推定される。し
かしながら、複層皮膜中の亜鉛総量が亜鉛として1000mg
/m2 超では、低面圧下での摺動では問題無く良好である
が、高面圧では、成形性はかえって低下する。これは、
皮膜中の金属亜鉛分が多くなり、亜鉛と金型との齧りを
生じ、高面圧下で不利となるものと推定している。同様
に、1000mg/m2 以下であっても、高面圧下での摺動性を
良好にするためには、複層皮膜の鋼板表面分布率を(σ
/x)50%以下としなければならない。このような皮膜
の分布率が50%超では、亜鉛の付着量の多いところで、
同様に金属亜鉛分が多くなり金型との齧りを生じ、高面
圧下で不利となるとともに、上記のようにスケのない均
一な化成処理が不可能となる。
【0008】亜鉛酸化物皮膜中に酸化物亜鉛(2価の亜
鉛)と共存させる第2元素群としては、P 、B 、Siの内
の1種または2種以上がよく、かつ、これらの酸化物と
酸化物亜鉛(2価の亜鉛)からなる非晶質皮膜でなけれ
ばならない。P 、B 、Siの酸化物は、りん酸塩類、ホウ
酸塩類、ケイ酸塩類であるが、これらは、硬質のガラス
状皮膜となり、潤滑性を向上する。これらと(2価の亜
鉛)の混合酸化物は、化成処理液の約pH3程度の液に溶
解しやすく、非晶質皮膜が化成処理時にほぼ全体が溶解
して、確実に化成処理ができ、金属亜鉛を含有する酸化
物皮膜であっても、従来のリン酸亜鉛皮膜のごとき結晶
性皮膜では、化成処理において、溶解が困難となり、化
成皮膜を均一に形成することができず、非晶質皮膜でな
ければならない。このように本発明による非晶質皮膜が
硬質皮膜であるのは、皮膜構造が単なるリン酸亜鉛、ホ
ウ酸亜鉛等ではなく、皮膜中にOH- 、水、CO3 2- などを
含むことによるものと推定される。非晶質皮膜中の、P
、B 、Si酸化物は、単体換算として、その合計が1 〜5
0mg/m2 でなければならず、1mg/m2未満では低面圧、高
面圧とも摺動性の向上効果がほとんどなく、耐型齧り性
が著しく劣化する。また、50mg/m2 超では、摺動性向上
効果が飽和するとともに、化成処理液での非晶質皮膜の
確実な溶解が遅くなり、化成処理工程で長時間の処理が
必要となり得策ではない。
【0009】さらに、低面圧、高面圧での潤滑性、摺動
性を向上して耐型齧り性を高めて熱延鋼板の成形性を一
層有利にするには、非晶質皮膜(酸化物皮膜)に第3元
素群としてMn、Ni、Co、Mg、Caの中の1種または2種以
上の酸化物を、その金属換算の合量で1 〜50mg/m2 以下
含有せしめることにより確実に達成することができる。
Mn、Ni、Co、Mg、Caの酸化物量は、1mg/m2未満では低面
圧、高面圧とも摺動性の特段の向上効果が乏しく、50mg
/m2 超では、摺動性向上効果が飽和するとともに、化成
処理液での皮膜の確実溶解が遅くなり、化成処理工程で
の処理時間が長くなり得策ではない。このようにMn、N
i、Co、Mg、Caの酸化物を上記非晶質皮膜(酸化物皮
膜)中に含有せしめ、低面圧、高面圧での潤滑性、摺動
性を向上し、成形性を一層向上することのできる理由は
あきらかではないが、酸化物皮膜(非晶質皮膜)の構造
および質が変わることにより、摺動時の皮膜の摺動メカ
ニズムが変わるためと推定される。本発明者らの知見に
よると、これら酸化物は酸化物皮膜中の内層に多く存在
し、摺動により皮膜が破壊されるとき、これら非晶質皮
膜(酸化物皮膜)は鋼板表面の複層皮膜の上層に残存し
て、金型との凝着防止を発揮機能する一方、非晶質皮膜
外層が内層より相対的にP 、B 、Si酸化物の多い層は微
細に破壊されて、冷延鋼板表面の塗油層(防錆油や洗浄
油)の境界潤滑層を強化し、冷延鋼板と金型の間でコロ
の役割を果たすためと考えられる。また、このような皮
膜は、非晶質皮膜(酸化物皮膜)のため、プレス前の洗
浄工程では溶解せず、洗浄油を汚染がなく、しかも、潤
滑性も低下しない。さらにプレス後、化成処理前でのア
ルカリ脱脂でもほとんど溶解せず、脱脂液を汚染するこ
とはなく、かつ、非晶質皮膜は、化成処理液成分であ
り、化成処理液で皮膜が溶解しても化成処理液の汚染に
はならず、他の工程には負荷を及ぼさない優れた皮膜で
ある。
【0010】また、上記のごとき化成処理性をより一層
向上させるためには、前記複層皮膜中(上層が非晶質皮
膜(酸化物皮膜)で、かつ下層が0価亜鉛(金属亜鉛)
主体の極薄皮膜)中の亜鉛量(0価亜鉛と2価亜鉛の合
量)を金属亜鉛量換算で100mg/m2未満とすることによ
り、確実に達成することができる。即ち、リン酸亜鉛系
化成処理により形成される化成処理皮膜には、ホペイト
(Zn3(PO4)2・ 4H2O)(P比率:0%)とフォスフォフィライト
(Zn2Fe(PO4)2)(P比率85%以上)があり、前者は亜鉛系
めっき鋼板で、後者は冷延鋼板およびFeリッチな上層め
っきを施した亜鉛系めっき鋼板で形成されるが、本発明
皮膜において、皮膜中の亜鉛量を金属亜鉛量換算とし
て、100mg/m2未満の皮膜とすることで、冷延鋼板と同様
の化成処理皮膜、つまり、化成処理皮膜をフォスフォフ
ィライトとすることができるので、塗装後の塗料密着性
を向上し、耐食性を高めることができる。皮膜中の亜鉛
量が100mg/m2以上になると化成処理後の皮膜は、ポペイ
トとフォスフォフィライトの混在化成処理皮膜となる。
なお前記複層皮膜の化成処理への溶解性の向上または化
成処理での化成結晶核の生成を促進する等一層の化成処
理性向上を目的として、予め冷延鋼板表面にNi、C
o、Cu等のFeより貴な金属を100mg/m2以下で点在さ
せてもよい。また、同様な目的で複層皮膜下層の0価亜
鉛主体皮膜には、金属亜鉛以外にNi、Fi、Co、P
b、Cu等の亜鉛より貴な金属及びMn、Pを15%以
下混入させ、亜鉛を主成分とする合金としてもよい。
【0011】この複層皮膜の鋼板表面への生成は、例え
ば、冷延鋼板を硫酸、塩酸等の酸に浸漬接触、または、
還元雰囲気下に曝すことにより、表面の酸化物層を除
去、還元し、表面を活性化した後、例えば亜鉛めっき層
を電気亜鉛フラッシュめっきにより亜鉛層を5〜1000mg
/m2 形成した後、水溶液中に浸漬または散布する等によ
り接触することによって確実に0価の極薄亜鉛皮膜の上
に酸化物皮膜(非結晶皮膜)を有する複層皮膜を生成す
るとともに、この複層皮膜の亜鉛(0価と2価の亜鉛)
の分布率(σ/ x)を50%以下にすることができる。
また、亜鉛めっき層生成時に、従来の酸性亜鉛めっき浴
や、アルカリ性亜鉛めっき浴中で、冷延鋼板に電気めっ
きを施すことによっても皮膜の分布率(σ/ x)を50
%以下にすることができる。さらに、皮膜分布率を有利
にするため必要に応じて、平滑剤や光沢剤等の界面活性
剤類を用いることもできる。このとき、鋼板の合金元素
成分及び水溶液中の不純物が、若干酸化物中に混入して
も障害にはならない。
【0012】上記のごとく、冷延鋼板表面に施した亜鉛
めっき層の一部とその上部を酸化亜鉛と第2元素群
(P、B、Si)の酸化物の混在した酸化物皮膜(非晶
質皮膜)にするとともに、この非晶質皮膜の下層に微量
金属亜鉛を残存生成する方法としては、例えば、リン酸
およびカリウムやナトリウムのリン酸塩類、重リン酸
(トリリン酸,メタリン酸、ポリリン酸)および塩類、
ホウ酸やホウ酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムなどの水
溶液を1g/l以上、溶解度限、さらに反応を促進、または
調整するために、硫酸、硝酸の酸または水酸化ナトリウ
ムや水酸化カリウム、亜鉛イオンを添加した浴に亜鉛め
っき鋼板を浸漬、散布、電解等によって亜鉛めっき層を
酸化亜鉛と第2元素群の酸化物を含有した酸化物皮膜
(非晶質皮膜)とすると同時に、この皮膜の下層に極薄
膜の金属亜鉛を残存生成させることができ、更に浴温、
反応時間、浴PH 調整等によって確実に複層皮膜の分布
率、即ちこの皮膜の0価と2価の亜鉛の分布率(σ/
x)が50%以下にすることができる。また、第3元素群
としてMn、Ni、Co、Mg、Caを含有する酸化物皮膜の生成
方法として、例えば、過マンガン酸カリウム、ニッケ
ル、コバルト、マグネシウム、カルシウムの燐酸溶液や
ホウ酸塩、ケイ酸塩溶液を1g/l以上溶解度限、さらに反
応を促進、または調整するために、硫酸、硝酸の酸また
は水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、亜鉛イオンを添
加した浴を上記のごとく浸漬等により、酸化亜鉛、第2
元素群の酸化物、第3元素群の酸化物を含有する酸化物
皮膜となるが、温度、反応時間、pHを調整することによ
り、極薄金属亜鉛層(例えば0.1〜700mg/m2 )を
下層に残存させ、かつ、複層皮膜の分布率、即ちこの皮
膜の0価と2価の亜鉛の分布率を(σ/ x)を50%以下
とすることができる。
【0013】このようにして、上層の非結晶皮膜(酸化
物皮膜)と下層の極薄金属亜鉛層からなる複層皮膜を生
成した冷延鋼板に例えば、簡易防錆油を塗布して製品と
して出荷する。ユーザーで、必要に応じてゴミ等を除く
ために洗浄しても、非結晶皮膜は剥離して洗浄油を汚染
することはなく、プレス成形時に潤滑性を向上し、絞り
性を高めることができ、さらに、化成処理皮膜を均一に
形成できるとともに、化成処理液も汚染しない。
【0014】しかして、このような複層皮膜を生成せし
めた冷延鋼板は、プレス成形性に優れていることから例
えば、鋼板の絞り性を向上するにはTi、Nb、B等を含有
せしめることが通例であるが、用途によってはTi、Nb、
B等の金属元素の含有を省略しても必要十分な成形性を
確保することができる。また、上記本発明鋼板の非結晶
皮膜(酸化物皮膜)による高潤滑機能をベースとしてT
i、Nb、Bなどの金属含有量を調整することによって、精
密に複数の潤滑レベルを有する冷延鋼板の造り分けがで
きることから各種用途に応じたプレス成形性に適合させ
ることができる。さらには、本発明鋼板の酸化物皮膜に
よる高潤滑機能により、軽量化のため、従来の厚手材や
軟鋼板に代わって使用される薄手化された鋼板や、ハイ
テン鋼板のプレス成形性を有利とする。また、現在の高
r値(ランクフォード値)鋼板に適用し、プレス油の省
略や一層の一体成形化によるコスト低減などができ、極
めて有意義である。
【0015】
【実施例】次に、本発明の実施例を比較例とともに挙
げ、本発明の効果を説明する。本発明のプレス成形性の
効果について述べる。実施例No.1〜15は皮膜構成として
第3元素群のないもの、実施例No.16 〜236 は第3元素
群があるものである。表のプレス成形性の高面圧深絞り
向上効果は、無処理の同板厚、同材質の冷延鋼板との円
筒絞り限界深さの差を示しており、また、r値換算向上
効果は、高面圧深絞り向上効果を、無処理の同板厚の冷
延鋼板のr値の向上代に換算したものである。No.1〜15
においてはr値換算で約0.09〜0.19程度の向上効果があ
り、No.16 〜236 では0.28〜0.38程度もの格段の向上効
果がある。これは深ぼり成形を飛躍的に向上するもので
あることがわかる。また、鋼種のAは軟鋼板、Bは440M
Pa級ハイテン、Cは780MPa級ハイテンであるが、何れの
鋼種でも効果があり、ハイテンのプレス成形性をも向上
させる。また、No.53 〜59では板厚の違いによる効果を
示しているが、プレス成形の困難な薄い板厚程、r値効
果代が大きく本発明が有用であることがわかる。さら
に、実施例のNo.1とNo.2、No.17 とNo.18 、比較例のN
o.3、No.4は通常油とプレス油の効果を示したものであ
る。無処理材にプレス油を用いた効果に対して、本発明
にプレス油を用いた場合の方が格段に効果が発揮されて
いる。この事は、本処理と高潤滑性油を組み合わせると
相乗作用があり一層のプレス成形性の向上が発現され
る。比較例のNo.12 はZn量が本発明の範囲を超えている
ものであるが、この場合は、摺動抵抗係数は低く面圧が
低いところでは良好な潤滑性を示すが、高面圧深絞りで
は、マイナス効果を示し無処理材よりも悪化している。
これは、高面圧下で金属Znが齧る為である。次に本発明
の化成処理性についてのべる。比較例No.8、9は結晶質
の燐酸化成処理皮膜であり、No10は冷延鋼板上にZnフラ
ッシュめっき無しに処理を行ったものであるが、いずれ
も化成処理皮膜が形成されないものとなる。比較例11、
15は皮膜のZnの表面分布率が高く、Znのミクロ分布が不
均一のものであるが、このため化成処理皮膜形成が不均
一でスケのあるものとなっている。比較例No.13 、14は
皮膜量が本発明の範囲を超えるものであるが、通常の化
成処理条件内では皮膜が溶解せず、化成処理皮膜が形成
されない。尚実施例No.1〜4、12、28〜30、48を除く実
施例はいずれもZn量が100mg/m2以下であり、化成処理皮
膜結晶はP比率85%以上を示し、冷延鋼板の化成処理結
晶と同じフォスフォフライトである。以上のように本発
明は、高面圧下においてもプレス成形性(潤滑性、耐型
齧り性)を格段に向上させ、かつ化成処理性が良好な非
常に優れたものである。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
【表3】
【0019】
【表4】
【0020】
【表5】
【0021】
【表6】
【0022】
【表7】
【0023】
【表8】
【0024】
【表9】
【0025】注1)鋼板 板厚:0.35〜2.0mmの冷延鋼板。 鋼種:Aは通常の軟鋼板(TS:290MPa)。Bは45キロ
ハイテン材(TS:440MPa) 。Cは80キロハイテン材(TS:
780MPa)。r値:ランクフォード値。 注2)皮膜量および構成 生成方法 ZnSO4・7H2O:300g/l、NaSO4:50g/l のめっき浴に、表面
分布率を調整するため必要に応じて界面活性剤(ノニオ
ン系、アニオン系、カチオン系、両イオン系)を適宜加
え、通常の方法でZnフラッシュめっきを5〜2000mg/m2
の範囲で行った。尚、(Ni:10%)などの表示は、合金めっ
きを施したものである。その後、以下の各液で浸漬、塗
布または電解方法で無機酸化物皮膜の形成した。P酸化
物は、リン酸、またはリン酸ナトリウム、リン酸カリウ
ム、リン酸アンモニウムを、B酸化物は、ホウ酸、また
はホウ酸ナトリウムを、Si酸化物は、ケイ酸ナトリウム
を、Mn酸化物は、過マンガン酸カリウムまたは炭酸マン
ガンを、Ni酸化物は、炭酸ニッケル、硝酸ニッケルを、
Mg酸化物は、炭酸マグネシウム、硝酸マグネシウムを、
Co酸化物は、炭酸コバルト、硝酸コバルトを、Ca酸化物
は、炭酸カルシウム、硝酸カルシウムを、元素濃度とし
て0.1g/l〜50g/1の範囲で混合し、浸漬または散布し
て、更にエアーナイフまたはロール絞りにより塗布量を
調節し、酸化物を生成し、乾燥した。また、浸漬または
散布後水洗、さらには電解も必要に応じて行った。さら
に、上記元素の溶解度確保のために、場合に応じては、
硫酸、硝酸や炭酸亜鉛、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、でpH調整また錯化剤(EDTA塩など)で溶解度調整
を行った。皮膜生成量は、何れも測定元素量。 総Zn量 無機酸化物系皮膜の酸化物系Znと金属Znの合計量。Znと
して蛍光X線で測定。 金属Zn残量 無機系酸化物皮膜形成した鋼板を、5%CrO3溶液(70 ℃)
に10min 浸漬し、上層の無機系酸化物皮膜を溶解した
後、鋼板上に残った微量金属Znを蛍光X線により測定し
た。 皮膜分布率(σ/x) 皮膜を形成した鋼板の0価と2価のZnの付着量を、電子
プローブX線マイクロアナライザー(EPMA)で、4
μm ピッチの250 ×250 点分析し、その0価と2価のZn
付着量の標準偏差(σ)を0価と2価のZnの平均付着量
(x)で除したものを100 分率で示した。 皮膜構造 X線回折を用い、結晶ピークの有無で判定した。(金属
Znピークは除く) 注3)塗油 Nは通常防錆油。ノックスラスト530F40(パーカー興産
株式会社製)。塗油量は1g/m2。 Pはプレス油。G-632P(日本工作油社製)。粘度120cS
t。塗油量は1g/m2 。 注4)プレス成形性 摺動抵抗係数 サンプルサイズ:17mm×300mm 、引張り速度:500mm/mi
n 、角ビード肩R:0.8/2.0mm、摺動長:200mm 、およ
び上記塗油条件で、面圧を100 〜600kgfの間で数点試験
を行い、引き抜き荷重を測定し、面圧と引き抜き荷重の
傾きから摩擦係数(傾きの1/2)を求めた。 高面圧深絞り向上効果 ポンチ速度:30mm/min、ポンチ径60mm、ダイス径:70m
m、しわ押え圧:2.ton 、上記塗油条件、円形ブランク
の径:150mm で、割れが発生する直前の限界絞り深さを
求め、同一板厚、同一材質、同一塗油の無処理材限界絞
り深さとの差で示した。 r値換算向上効果 高面圧深絞り向上効果を、同板厚の無処理材の冷延鋼板
のr値の向上代に換算した。 注5)化成処理性 均一性 化成処理液にはSD5000(日本ペイント社製)を用い、処
方通り脱脂、表面調整を行った後、化成処理を行った。
化成処理皮膜の判定は、SEM (2次電子線像)により、
均一に皮膜が形成されているものは○、部分的に皮膜形
成されているものは△、皮膜が形成されていないものは
×と判定した。 P比率 化成処理液にはSD5000(日本ペイント社製)を用い、処
方通り脱脂、表面調整を行った後、化成処理を行った。
化成処理皮膜のP比率は、X線回折を行い、フォスフォ
フィライトのX線回折強度(P)とホペイトのX線回折
強度(H)を求め、フォスフォライト比率(P比率)=
P/(H+P)×100で示した。
【0026】
【発明の効果】本発明の冷延鋼板によれば、プレス性
(潤滑性、耐型齧り性)、化成処理性を向上するととも
に、洗浄油、脱脂液や化成処理液の汚染を防止し、これ
らの機能低下を回避することができ、処理液寿命を縮め
ることなく、コストを低減できる。また、非晶質皮膜
(酸化物皮膜)と金属Zn主体皮膜の複層皮膜による高
潤滑機能をベースとして、精密に複数の潤滑レベルを有
する冷延鋼板の造りわけができることから各種の用途に
応じたプレス成形性に適合させることができる、軽量化
のため、従来の厚手材や軟鋼板に代わって使用される薄
手化された鋼板や、ハイテン鋼板のプレス成形性を有利
とする、さらには、プレス油の省略や一層の一体成形化
によるコスト低減などができる、等工業的に極めて大き
な効果をもたらすことができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0価と2価の亜鉛を総量として1〜10
    00mg/m2 (金属亜鉛換算)含有し、かつ0価と2
    価の亜鉛からなる皮膜の鋼板表面分布率(σ/ x)50
    %以下で、下層が0価亜鉛主体の極薄皮膜、上層が2価
    の亜鉛と第2元素群の酸化物(但し第2元素群として
    P、B、Siの1種又は2種以上の酸化物が1〜50m
    g/m2 (単体換算))からなる非晶質皮膜を冷延鋼板
    表面に複層形成せしめたことを特徴とする潤滑性、耐齧
    り性、化成処理性に優れた冷延鋼板。
  2. 【請求項2】 非晶質皮膜に第3元素群としてMn、N
    i、Co、Mg、Caの1種又は2種以上の酸化物を1
    〜50mg/m2 (金属換算)含有せしめたことを特徴
    とする請求項1に記載の潤滑性、耐齧り性、化成処理性
    に優れた冷延鋼板。
  3. 【請求項3】 0価と2価の亜鉛を総量として100m
    g/m2 (金属亜鉛換算)未満生成せしめた請求項1ま
    たは請求項2に記載の潤滑性、耐齧り性、化成処理性に
    優れた冷延鋼板。
JP31721396A 1996-11-28 1996-11-28 潤滑性、耐齧り性、化成処理性に優れた冷延鋼板 Withdrawn JPH10158858A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013151762A (ja) * 2013-05-17 2013-08-08 Jfe Steel Corp 表面処理鋼板およびその製造方法
JP5733980B2 (ja) * 2008-09-17 2015-06-10 株式会社放電精密加工研究所 亜鉛又は亜鉛合金表面を有する金属部材の黒色化成皮膜形成方法及び黒色化防錆皮膜形成方法

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