JPH10158163A - 消化管障害軽減剤 - Google Patents

消化管障害軽減剤

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JPH10158163A
JPH10158163A JP33294096A JP33294096A JPH10158163A JP H10158163 A JPH10158163 A JP H10158163A JP 33294096 A JP33294096 A JP 33294096A JP 33294096 A JP33294096 A JP 33294096A JP H10158163 A JPH10158163 A JP H10158163A
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JP
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dithiobis
dimethylpropion
amide
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carboxy
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JP33294096A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Kurobe
博 黒部
Tetsuji Nunosawa
哲二 布沢
Tomokatsu Sugawara
智且 菅原
Shinji Kawai
信次 川合
Hironori Kawabata
裕徳 川端
Yoshihide Matsutani
芳英 松谷
Jiro Takahashi
二郎 高橋
Yukie Moriguchi
幸栄 森口
Takeshi Endo
武 遠藤
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Fuji Chemical Industries Co Ltd
Original Assignee
Fuji Chemical Industries Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】フルオロピリミジン系抗腫瘍剤を生体に投与す
ることにより生じる悪心、嘔吐、下痢等の消化管障害を
抑制する消化管障害軽減剤を提供する。 【解決手段】3,3’−ジチオビス(2,2−ジメチル
プロピオンアミド)誘導体が5FU等のフルオロピリミ
ジン系抗腫瘍剤の投与による体重減少を軽減し、下痢の
発現を顕著に抑えた。また、該抗腫瘍剤の抗腫瘍作用に
対しては影響しなかった。本発明の化合物はフルオロピ
リミジン系抗腫瘍剤を生体に投与することにより生ずる
消化管障害を軽減するので消化管障害軽減剤として極め
て有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ジチオビス−(2,2
−プロピオンアミド)誘導体を有効成分とすることを特
徴とする抗腫瘍剤を生体に投与することにより生じる消
化管障害を軽減する消化管障害軽減剤に関する。
【0002】
【従来の技術】5−フルオロウラシル(5FU)及びそ
の誘導体であるテガフール、’5−デオキシフルオロウ
リジン(5’DFUR)は消化器癌の治療に繁用される
薬剤である。これらの薬剤の使用に際しては、消化管障
害(悪心、嘔吐、下痢)、骨髄障害等が主な副作用とし
て知られている。骨髄障害に対しては近年G−CSFを
はじめとする骨髄機能改善剤の使用により対処可能とな
ってきている。しかしながら、消化管障害、特に下痢に
対しては有効な手段がなく、その障害が強いときは薬剤
の減量、あるいは投与の中止を余儀なくされる。このた
め臨床上ではこれらの薬剤の使用に際し、抗腫瘍効果に
影響を与えることなく消化管障害を軽減する化合物の出
現が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、フルオロピ
リミジン系抗腫瘍剤を生体に投与することにより生じる
悪心、嘔吐、下痢等の消化管障害を軽減する消化管障害
軽減剤を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
【0005】上記の目的を達成するために、本発明者ら
は、種々の化合物を用いて、それらが抗腫瘍剤を生体に
投与することにより生じる消化管障害を軽減する作用を
見出した。本発明は、フルオロピリミジン系抗腫瘍剤を
生体に投与することにより生ずる消化管障害を軽減する
ことを特徴とする一般式
【0006】
【化4】
【0007】(式中、R1は、水素原子、アミノ基、水
酸基、直鎖又は分岐アルキル基、又はアミノ基、水酸
基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボ
ニル基、アリール基及びカルバモイル基の群から選ばれ
る少なくとも1個の置換基で置換されていても良い直鎖
又は分岐アルキル基を示し、R2は、水素原子又は低級
アルキル基を表す)で表される3,3’−ジチオビス
(2,2−ジメチルプロピオンアミド)誘導体、異性体
又は薬理学上許容される塩類を有効成分とすることを特
徴とする消化管障害軽減剤である。
【0008】また、本発明は、フルオロピリミジン系抗
腫瘍剤を生体に投与することにより生ずる消化管障害を
軽減することを特徴とする一般式
【0009】
【化5】
【0010】(式中、mは、0〜6の整数を示す。)で
表される環状のカルボン酸アミド誘導体及び薬理学上許
容される塩類を有効成分とする消化管障害軽減剤であ
る。
【0011】上記一般式(I)中、R1及びR2として
は、置換基で置換されていても良いアルキル基として
は、例えば炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖アルキル
基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、
ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチ
ル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシ
ル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシ
ル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシ
ル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、ノナ
デシル基等があげられる。好ましくは、炭素数1〜10
のアルキル基である。
【0012】アルキル基鎖上の置換基としては、アミノ
基、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキ
シカルボニル基、アリール基及びカルバモイル基の群か
ら選ばれる置換基であり、これらの置換基は保護基で保
護されていてもよい。
【0013】アルコキシ基としては、メトキシ、エトキ
シ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、
第三ブトキシ基等があげられる。
【0014】アルコキシカルボニル基としては、メトキ
シカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカ
ルボニル、イソプロポキシカルボニル、第三ブトキシカ
ルボニル、n−ブトキシカルボニル又は2,3−ジヒド
ロキシプロポキシカルボニル基等があげられる。アリー
ル基としては、フェニル基又はアルキル基、アルコキシ
基、水酸基、ハロゲン原子で置換されているフェニル、
例えばトルイル、メトキシフェニル、ヒドロキシフェニ
ル基等があげられ、好ましくはフェニル基である。
【0015】本発明において置換基の保護基とは、通常
ペプチド合成において、水酸基、カルボキシル基、アミ
ノ基、及びカルバモイル基等の保護に使用されるもので
あり、文献記載の公知の方法に従って、容易に導入又は
除去することができる(ペプチド合成の基礎と実験、泉
屋 信夫ら、丸善)ものである。保護基の導入方法、又
は保護基の除去方法は、用いる保護基の種類、カルボン
酸の反応性誘導体の調製方法、或いは反応させるアミノ
成分の種類等により異なるが、通常、容易に導入でき、
且つ接触還元又は温和な酸処理等にて容易に除去できる
保護基又は方法を適宜選択して使用することができる。
【0016】具体的には、アミノ保護基としては、例え
ば、ウレタン型、アシル型、アルキル型の保護基が知ら
れている。ウレタン型としては、ベンジルオキシカルボ
ニル(Z)基、第三ブトキシカルボニル(Boc)基、
第三アミロカルボニル(Aoc)基、4−ビフェエニル
イソプロピルオキシカルボニル基、ジイソプロピルメチ
ロキシカルボニル基等があげられる。
【0017】アシル型としては、ホルミル基、トリフル
オロ基、フタリル基、トシル基、o−ニトロスルフェニ
ル基、ベンゾイル基、4−メトキシ−2−ニトロフェニ
ルスルフェニル基、ベンゾイル基、クロロアセチル基、
アセトアセチル基等があげられる。アルキル型として
は、トリチル基、ベンジリデン基、ベンジル基、2−ベ
ンゾイル-1−メチルビニル基、トリメチルシリル基等
があげられる。
【0018】カルボキシル保護基としては、ベンジル
基、第三ブチル基、メチル及びエチル基等のアルキル基
等があげられる。
【0019】ω−カルバミド基の保護基としては、キサ
ンチル基、ビス−2,4−ジメトキシベンジル基、2,
4−ジメトキシベンジル基、4,4’−ジメトキシベン
ズヒドリル等があげられる。置換基で置換されていても
良いアルキル鎖の置換基としては、例えば、2,3−ジ
ヒドロキシプロピル基等の様に同一のものが複数置換さ
れていても良く、また、2−カルボキシ−2−ヒドロキ
シエチル基等の様に異なるものが複数個置換されていて
もよい。
【0020】本発明の化合物には、一般式(I)におい
て、R12N−基で表されるアミノ酸残基が天然のアミ
ノ酸に由来するものも含まれる。具体的には、アミノ酸
残基としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシ
ン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、
シスチン、プロリン、アスパラギン、グルタミン酸、ヒ
スチジン、リシン、オルニチン、アルギニン、フェニル
アラニン、チロシン、トリプトファン残基等があげられ
る。好ましくは、グリシン、アラニン、バリン、ロイシ
ン、イソロイシン、セリン、トレオニン、プロリン、ア
スパラギン、グルタミン酸、リシン、フェニルアラニ
ン、チロシン残基である。本発明のアミノ酸残基には当
然のことながらこれらの光学異性体も含まれる。
【0021】本発明に用いる上記一般式(I)及び(I
I)で表される代表的な化合物としては、以下の化合物
等があげられる 3,3’−ジチオビス〔2,2−ジメチルプロピオン
(N−カルボキシメチル)アミド〕、3,3’−ジチオ
ビス〔2,2−ジメチルプロピオン(N−カルボキシエ
チル)アミド〕、3,3’−ジチオビス〔2,2−ジメ
チルプロピオン(N−エトキシカルボニルメチル)アミ
ド〕、3,3’−ジチオビス〔2,2−ジメチルプロピ
オン(N−イソプロポキシカルボニルメチルアミド〕、
3,3’−ジチオビス〔2,2−ジメチルプロピオン
(N−1−カルボキシエチル)アミド〕、3,3’−ジ
チオビス〔2,2−ジメチルプロピオン(N−1−カル
ボキシ−2−メチルプロピル)アミド〕、3,3’−ジ
チオビス〔2,2−ジメチルプロピオン(N−1−カル
ボキシ−2−メチルブチル)アミド〕、3,3’−ジチ
オビス〔2,2−ジメチルプロピオン(N−1−カルボ
キシ−2−フェニルエチル)アミド〕、3,3’−ジチ
オビス〔2,2−ジメチルプロピオン(N−1,3−ジ
カルボキシプロピル)アミド〕、3,3’−ジチオビス
〔2,2−ジメチルプロピオン(N−1−カルボキシ−
2−ヒドロキシエチル)アミド〕、3,3’−ジチオビ
ス〔2,2−ジメチルプロピオン(N−2−カルボキシ
−2−ヒドロキシエチル)アミド〕、3,3’−ジチオ
ビス〔2,2−ジメチルプロピオン(N−2−エトキシ
カルボニル−2−ヒドロキシエチル)アミド〕、3,
3’−ジチオビス〔2,2−ジメチルプロピオン(N−
ヒドロキシ)アミド〕、3,3’−ジチオビス〔2,2
−ジメチルプロピオン(N−2−ヒドロキシエチル)ア
ミド〕、3,3’−ジチオビス〔2,2−ジメチルプロ
ピオン(N−2,3−ジヒドロキシプロピル)アミ
ド〕、3,3’−ジチオビス〔2,2−ジメチルプロピ
オンアミド〕、3,3’−ジチオビス〔2,2−ジメチ
ルプロピオンヒドラジド〕、3,3’−ジチオビス
〔2,2−ジメチルプロピオン(N−カルボキシメチル
−N−メチル)アミド〕、3,3’−ジチオビス〔2,
2−ジメチルプロピオン(N−メチル)アミド〕、3,
3’−ジチオビス〔2,2−ジメチルプロピオン(1−
カルボキシ−3−カルバモイルプロピル)アミド〕、
3,3’−ジチオビス〔2,2−ジメチルプロピオン
(1−カルボキシ−5−アミノペンチル)アミド〕、
3,3’−ジチオビス〔2,2−ジメチルプロピオン−
N−(2,3−ジヒドロキシプロポキシカルボニルメチ
ル)アミド〕、異性体又は薬理学上許容される塩類、及
び一般式(II)で表される化合物又は薬理学上許容さ
れる塩類である。上記化合物を下記表1にまとめて示
す。
【0022】
【表1】
【0023】本発明において用いられるフルオロピリミ
ジン骨格を有する抗腫瘍剤としては、一般式
【0024】
【化6】
【0025】(式中、Ra及びRbは、同一又は異なっ
て水素原子、−CONH(CH2)n−CH3基(ここで
nは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表
す)、又024はフラニル基(ここで環の2位、3位又
は5位は、水素原子、水酸基、メチル基又はヒドロキシ
メチル基からなる群から選ばれる置換基を有していても
良い。)で表されるフルオロピリミジン系抗腫瘍剤を有
効成分として含有する抗腫瘍剤であることを特徴とする
請求項1記載の消化管障害軽減剤。
【0026】具体的には、抗腫瘍剤が5−フルオロウラ
シル、テガフール、ドキシフルリジン、5−デオキシ−
5−フルオロウリジン、カルモフール又はテガフールと
ウラシルからなる配合剤等があげられる。
【0027】一般式(III)で表される化合物におい
て、フルオロピリミジン骨格のN−1位又はN−3位の
保護基としては、生体にこれらの化合物を投与した場合
に抗腫瘍効果が発揮し得るものであれば特に制限はな
い。
【0028】本発明の一般式(I)及び一般式(II)
で表される化合物は、本発明者らが先に発明し、特許出
願した方法で合成することができる、例えば、(3,
3’−ジチオビス〔2,2−ジメチルプロピオン酸(以
下、化合物A)〕を活性化剤を用いてカルボン酸の反応
性誘導体とし、 一般式、H−NR12 (V) (式中、R1及びR2は前記に同じ)で表されるアミン成
分と反応させることにより得ることができる。
【0029】カルボン酸の反応性誘導体とは、上記化合
物Aが、臭素、塩素、ヨウ素、フッ素等のハロゲンで置
換された酸ハライド、メチル、エチル、又はp−ニトロ
フェニル等で置換された活性エステル、又は酸無水物等
の意味であり、アミド化反応に通常使用されるものであ
る。
【0030】本発明の化合物の出発原料である化合物A
は公知化合物であり、公知の方法で合成することができ
る。この化合物Aのカルボン酸の反応性誘導体は、化合
物をジオキサン等の不活性溶媒中、チオニルハライドと
反応させることにより容易に得ることができる。この反
応は、触媒量のジメチルホルムアミドが存在するとより
速やかに行うことができる。
【0031】本発明のアミド誘導体の合成方法の具体例
を以下に示す。本発明のアミド誘導体は、上記化合物A
のカルボン酸の反応性誘導体をジオキサン等の不活性溶
媒に溶かし、アミン成分と反応させることにより得るこ
とができる。例えば、(1)アンモニア水と反応させる
方法(アンモノリシス)、(2)メチルアミン水溶液に
滴下し、反応させる方法、(3)メタノール等のアルコ
ール類に滴下し、カルボン酸のエステルとし、このエス
テルとヒドラジン水和物とをメタノール等のアルコール
溶媒中、窒素雰囲気下加熱反応させる。(4)グリシ
ン、イソロイシン、イソセリン、サルコシン、エタノー
ルアミン又はε−N−Boc−リジン等のアミン成分を
ピリジン等の溶媒中、1,1,1,3,3,3−ヘキサ
メチルジシラザン等のシリル化剤と触媒量の硫酸アンモ
ニウムの存在下反応させ(加熱還流)、TMS誘導体と
し、次に上記カルボン酸の反応性誘導体と反応させる方
法。(5)D−バリンエチルエステル塩酸塩と、トリエ
チルアミンと触媒量のジメチルアミノピリジンの存在
下、ジオキサン中、室温で反応させる方法、(6)抱水
ヒドラジンと水溶液中で反応させる方法、(7)エチレ
ンジアミンを塩化メチレン中、氷冷下、反応させる方法
等を例示することができる。
【0032】本発明のアミド誘導体は、上記化合物Aと
セリンメチルエステル塩酸塩等をトリエチルアミン等の
塩基の存在下、DMF等の適宜な溶媒中、シアノリン酸
ジエチル(DEPC)等の縮合剤を用いて合成すること
もできる。アミン成分としては、L−、D−、DL−体
等の各異性体が用いられる。
【0033】また、本発明の化合物は、以下の方法でも
合成できる。1具体例で示すと、3−クロロ−2,2−
ジメチルプロピオニルクロライドとバリンを常法に従っ
て、適宜な溶媒中、塩基の存在下反応させ、3−クロロ
−2,2−ジメチルプロピオニル−L−バリンとし、次
にこの化合物とNaSHを反応させ、さらに触媒量の塩
化鉄等の酸化剤の存在下酸化させることにより得ること
ができる。
【0034】上記各製造法で得られた本発明の化合物
で、水酸基、カルボキシル基、アミノ基又はカルバモイ
ル基等の置換基の保護基は、常法に従って除去すること
ができる。例えば、エステル結合はアルカリ存在下での
加水分解により、またシリル基は水を作用させることに
より、容易に除去することができる。
【0035】本発明の化合物の薬理学上許容される塩類
は、常法に従って調製することができる。例えば、骨格
内にカルボキシル基を有するときは、当量のNaOH水
に溶解させ、凍結乾燥等を行なうことにより得ることが
できる。また、骨格内に塩基性の部分を有する場合に
は、適宜な溶媒中、当量の塩酸、硫酸、硝酸等の薬理学
上許容される酸類と反応させることにより得ることがで
きる。
【0036】本発明に用いる化合物の消化管障害に対す
る作用について以下に述べる 消化管障害に対する作用の試験方法 1群5匹のウイスター(Wistar)系雄性ラット
(7週齢;体重200〜230g)に抗腫瘍剤、例えば
5FUを水に溶解し、3日間(day1〜3)経口投与
した。被験薬を抗腫瘍剤の投与直前に水に溶解又は3%
アラビアゴムで懸濁して3日間経口投与した。被験薬の
投与後から体重変化及び下痢の発現の有無を観察し、下
痢の程度に関しては糞の形状から4段階でスコア化し
た。本発明の化合物は、体重減少を軽減し、下痢の発生
を顕著に抑えた。
【0037】本発明をより詳細に以下の実施例で説明す
る。
【0038】
【実施例】
(実施例1)1群5匹のウイスター(Wistar)系
雄性ラット(7週齢;体重200〜230g)に5FU
(80mg/kg)を水に溶解し、3日間(day1〜
3)経口投与した。化合物番号1の化合物を5FUの投
与直前に0.5〜2mmol/kgを重曹で中和し、水
に溶解し、3日間経口投与した。対照群には水を投与し
た。被験薬の投与後、体重変化及び下痢の発現の有無を
観察し、下痢の程度に関しては糞の形状から4段階でス
コア化した。糞便状態と4段階評価、0:正常便(水分
が少ない硬い糞塊)、1:軟便(糞型は崩れぎみ、水分
が多く軟らかい)、2:下痢便(糞型は完全に崩れ、水
分が多く軟らかい)、3:水溶性下痢便(糞型が全くな
水様便)。
【0039】(実施例2)化合物番号3の化合物を用
い、以下実施例1に準拠して行った。 (実施例3)化合物番号16の化合物を用い、以下実施
例1に準拠して行った。
【0040】その結果を表2に示す。体重変化は5FU
の投与後、最も体重減少の大きいday6におけるda
y1からの変化をその群の平均値で表し、糞便状態の0
〜3までの段階のスコアの平均値で表した。
【0041】
【表2】
【0042】5FUを30mg/kg3日間連投すると
大きく体重が減少した。これに対し、本発明に用いた化
合物を併用するとその体重減少は軽減された。また、下
痢に関してもスコア化し、その程度を調べると5FU投
与群では5日目に全例で水溶性下痢便が観察されたのに
対し、本発明に用いた化合物を併用した群では全く下痢
が認められないか或いはその程度が非常に軽かった。
【0043】CDF1マウス(体重23−25g)の腹
腔内にマウス白血病細胞L1210を107個移植した
(day0)。次いで5FU(30mg/kg)を水に
溶解しday1から5日間経口投与した。また被験薬
(化合物140)は、5FUの投与直前に1.4mmo
l/kgを水に溶解し、経口投与した。1群6匹のマウ
スを用い、対照群(control)には、水のみを投
与した。抗腫瘍効果は対照群の平均生存日数(C)及び
5FU投与群の平均生存日数(T)から、下式で生命延
長率(ILS)を算出して調べた。 ILS(%)=(T/C−1)×100 本発明の化合物は、0.5〜2mmol/kgを5FU
と併用しても抗腫瘍効果に影響はしなかった。
【0044】本発明の化合物は、患者には通常の投与法
によって経口又は非経口で投与することができる。その
投与は、用いるフルオロピリミジン系抗腫瘍剤の投与前
後であっても又は同時投与であっても良く特に制限はさ
れない。本発明の消化管障害軽減剤の投与量は抗腫瘍剤
の種類、投与量、投与方法等により異なり特に限定され
ないが好ましくは抗腫瘍剤1モルに対し、0.01〜2
0モル、より好ましくは0.01〜6モルである。
【0045】本発明の化合物は単独、又は適合性のある
医薬担体とともに処方することにより使用することがで
きる。担体物質としては、水、ゼラチン、アラビアゴ
ム、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、タル
ク、植物油、ポリアルキレングリコール、ワセリン等の
腸管、経皮又は非経口投与に適した有機又は無機の不活
性担体物質である。製剤としては、錠剤、糖衣錠、腸溶
錠、顆粒剤、散剤、坐剤、カプセル、腸溶カプセル等の
固形製剤又は例えば溶液、懸濁剤又は乳剤等の液体製剤
等がある。上記各製剤は常法に従って製造することがで
きる。又、保存剤、安定化剤、セッティング剤、乳化
剤、風味改善剤、塩類、緩衝剤等の補助剤を添加するこ
ともできる。
【0046】本発明の化合物は、医薬として使用する場
合にはそれぞれ単独で又は2種以上の異なった化合物を
組み合わせて使用することができる。使用量は医薬組成
物の全重量当たり約0.1から99.5%好ましくは
0.5から95%である。
【0047】本発明の化合物の患者に対する1日当たり
の投与量は、使用する用途、体重、年齢、治療を受ける
状態により変化するが、一般的には一人当たり0.5〜
3000mgの範囲であり好ましくは約3〜1000m
gである。
【0048】製剤例1 常法により次の組成により錠剤を作成する。 実施例1の化合物 25mg 乳糖 60mg バレイショデンプン 40mg ポリビニルアルコール 2mg ステアリン酸マグネシウム 1mg
【0049】製剤例2 常法により次の組成により顆粒剤を作成する。 実施例1の化合物 50mg 乳糖 15mg トウモロコシデンプン 10mg ヒドロキシプロピルセルロース 20mg ポリビニルアルコール 5mg
【0050】製剤例3 常法により次の組成により散剤を作成する。 実施例1の化合物 25mg 乳糖 275mg
【0051】製剤例4 製剤例3で得られた散剤をカプセル容器に充填してカプ
セル剤とする。 実施例1の化合物 25mg 乳糖 275mg
【0052】
【発明の効果】本発明に用いた3,3’−ジチオビス
(2,2−ジメチルプロピオンアミド)誘導体は、5F
U等のフルオロピリミジン系抗腫瘍剤の投与による体重
減少を軽減し、下痢の発現を顕著に抑えた。また、該抗
腫瘍剤の抗腫瘍作用に対しては影響しなかった。本発明
の化合物はフルオロピリミジン系抗腫瘍剤を生体に投与
することにより生ずる消化管障害を軽減するので消化管
障害軽減剤として極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 31/505 ADU A61K 31/505 ADU // C07C 323/60 C07C 323/60 C07D 285/00 C07D 285/00 (72)発明者 川合 信次 富山県中新川郡上市町横法音寺55番地 富 士化学工業株式会社内 (72)発明者 川端 裕徳 富山県中新川郡上市町横法音寺55番地 富 士化学工業株式会社内 (72)発明者 松谷 芳英 富山県中新川郡上市町横法音寺55番地 富 士化学工業株式会社内 (72)発明者 高橋 二郎 富山県中新川郡上市町横法音寺55番地 富 士化学工業株式会社内 (72)発明者 森口 幸栄 富山県中新川郡上市町横法音寺55番地 富 士化学工業株式会社内 (72)発明者 遠藤 武 富山県中新川郡上市町横法音寺55番地 富 士化学工業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フルオロピリミジン系抗腫瘍剤を生体に投
    与することにより生ずる消化管障害を軽減することを特
    徴とする一般式 【化1】 (式中、R1は、水素原子、アミノ基、水酸基、直鎖又
    は分岐アルキル基、又はアミノ基、水酸基、アルコキシ
    基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリー
    ル基及びカルバモイル基の群から選ばれる少なくとも1
    個の置換基で置換されていても良い直鎖又は分岐アルキ
    ル基を示し、R2は、水素原子又は低級アルキル基を表
    す)で表される3,3’−ジチオビス(2,2−ジメチ
    ルプロピオンアミド)誘導体、異性体又は薬理学上許容
    される塩類を有効成分とする消化管障害軽減剤。
  2. 【請求項2】誘導体が、3,3’−ジチオビス〔2,2
    −ジメチルプロピオン(N−カルボキシメチル)アミ
    ド〕、3,3’−ジチオビス〔2,2−ジメチルプロピ
    オン(N−カルボキシエチル)アミド〕、3,3’−ジ
    チオビス〔2,2−ジメチルプロピオン(N−エトキシ
    カルボニルメチル)アミド〕、3,3’−ジチオビス
    〔2,2−ジメチルプロピオン(N−イソプロポキシカ
    ルボニルメチルアミド〕、3,3’−ジチオビス〔2,
    2−ジメチルプロピオン(N−1−カルボキシエチル)
    アミド〕、3,3’−ジチオビス〔2,2−ジメチルプ
    ロピオン(N−1−カルボキシ−2−メチルプロピル)
    アミド〕、3,3’−ジチオビス〔2,2−ジメチルプ
    ロピオン(N−1−カルボキシ−2−メチルブチル)ア
    ミド〕、3,3’−ジチオビス〔2,2−ジメチルプロ
    ピオン(N−1−カルボキシ−2−フェニルエチル)ア
    ミド〕、3,3’−ジチオビス〔2,2−ジメチルプロ
    ピオン(N−1,3−ジカルボキシプロピル)アミ
    ド〕、3,3’−ジチオビス〔2,2−ジメチルプロピ
    オン(N−1−カルボキシ−2−ヒドロキシエチル)ア
    ミド〕、3,3’−ジチオビス〔2,2−ジメチルプロ
    ピオン(N−2−カルボキシ−2−ヒドロキシエチル)
    アミド〕、3,3’−ジチオビス〔2,2−ジメチルプ
    ロピオン(N−2−エトキシカルボニル−2−ヒドロキ
    シエチル)アミド〕、3,3’−ジチオビス〔2,2−
    ジメチルプロピオン(N−ヒドロキシ)アミド〕、3,
    3’−ジチオビス〔2,2−ジメチルプロピオン(N−
    2−ヒドロキシエチル)アミド〕、3,3’−ジチオビ
    ス〔2,2−ジメチルプロピオン(N−2,3−ジヒド
    ロキシプロピル)アミド〕、3,3’−ジチオビス
    〔2,2−ジメチルプロピオンアミド〕、3,3’−ジ
    チオビス〔2,2−ジメチルプロピオンヒドラジド〕、
    3,3’−ジチオビス〔2,2−ジメチルプロピオン
    (N−カルボキシメチル−N−メチル)アミド〕、3,
    3’−ジチオビス〔2,2−ジメチルプロピオン(N−
    メチル)アミド〕、3,3’−ジチオビス〔2,2−ジ
    メチルプロピオン(1−カルボキシ−3−カルバモイル
    プロピル)アミド〕、3,3’−ジチオビス〔2,2−
    ジメチルプロピオン(1−カルボキシ−5−アミノペン
    チル)アミド〕、3,3’−ジチオビス〔2,2−ジメ
    チルプロピオン−N−(2,3−ジヒドロキシプロポキ
    シカルボニルメチル)アミド〕、異性体又は薬理学上許
    容される塩類であることを特徴とする請求項1記載の消
    化管障害軽減剤。
  3. 【請求項3】フルオロピリミジン系抗腫瘍剤を生体に投
    与することにより生ずる消化管障害を軽減することを特
    徴とする一般式 【化2】 (式中、mは、0〜6の整数を示す。)で表される環状
    のカルボン酸アミド誘導体及び薬理学上許容される塩類
    を有効成分とする消化管障害軽減剤。
  4. 【請求項4】抗腫瘍剤が一般式 【化3】 (式中、Ra及びRbは、同一又は異なって水素原子、
    −CONH(CH2)n−CH3基(ここでnは水素原子
    又は炭素数1〜10のアルキル基を表す)、又はフラニ
    ル基(ここで環の2位、3位又は5位は、水素原子、水
    酸基、メチル基又はヒドロキシメチル基からなる群から
    選ばれる置換基を有していても良い。)で表されるフル
    オロピリミジン系抗腫瘍剤であることを特徴とする請求
    項1記載の消化管障害軽減剤。
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