JPH10155544A - 繰出機構及びそれを有する棒状材繰出容器 - Google Patents

繰出機構及びそれを有する棒状材繰出容器

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JPH10155544A
JPH10155544A JP33017196A JP33017196A JPH10155544A JP H10155544 A JPH10155544 A JP H10155544A JP 33017196 A JP33017196 A JP 33017196A JP 33017196 A JP33017196 A JP 33017196A JP H10155544 A JPH10155544 A JP H10155544A
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Atsushi Oba
淳 大庭
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のネジ繰出機構とは発想の全く異なる新
たな繰出機構を提供する。 【解決手段】 本発明の基本態様の繰出機構は、第1の
外面螺旋係合部15及び第2の外面螺旋係合部27を有
する押棒を備える。また、第1の外面螺旋係合部15と
螺合する第1の内面螺旋係合部17を有する第1の筒体
3を備える。さらに、第2の外面螺旋係合部27と螺合
する第2の内面螺旋係合部25を有し、第1の筒体3に
回動自在に連結された第2の筒体7と、を備える。第1
の筒体3と第2の筒体7とを相対的に回動させることに
より押棒5を繰り出す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繰出機構及びそれ
を有する棒状材繰出容器に関する。
【0002】
【従来の技術】棒状化粧材繰出容器を例にとって従来技
術を説明する。棒状化粧材繰出容器においては、一般的
に螺旋係合部式の繰出機構が用いられている。ところ
で、従来の繰出機構は、外面螺旋係合部及び同期係合部
を有する押棒と、この外面螺旋係合部と螺合する内面螺
旋係合部を有する内面螺旋係合部筒と、この内面螺旋係
合部筒と回動自在に連結されており押棒の同期係合部と
係合する回り止めを有する同期係合筒と、を最低の構成
要素として有し、内面螺旋係合部筒と同期係合筒とを相
対的に回動させることによって押棒を繰り出し・引き込
みする。なお、本明細書中では、外面螺旋係合部には、
オネジや外面螺旋係合部状の突起及び外面溝を含むもの
とし、内面螺旋係合部にはメネジや内面螺旋係合部状の
突起及び内面凸条を含むものとする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の繰出
機構とは発想の全く異なる新たな繰出機構を提供するこ
とを目的とする。また、そのような繰出機構を備えた様
々な特性を有する棒状材繰出容器を提供することを目的
とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の基本態様の繰出機構は、 第1の外面螺旋
係合部及び第2の外面螺旋係合部を有する押棒と、 第
1の外面螺旋係合部と螺合する第1の内面螺旋係合部部
を有する第1の筒体と、 第2の外面螺旋係合部と螺合
する第2の内面螺旋係合部部を有し、第1の筒体に回動
自在に連結された第2の筒体と、 を備え、 第1の筒
体と第2の筒体とを相対的に回動させることにより押棒
を繰り出すことを特徴とする。
【0005】この繰出機構の動作について説明する。ま
ず諸元を以下とする。 第1の螺旋係合部のリード(単位角度当り、以下同):
1 、第2の螺旋係合部のリード:L2 押棒の回転角θ1 、第1の筒体の回転角θ2 、第2の筒
体の回転角θ3 このとき、押棒の長さが変化せず、かつ第1の筒体と第
2の筒体とが軸方向に距離が変らないとすれば、第1の
筒体中における押棒の繰り出し寸法と第2の筒体中にお
ける押棒の繰り出し寸法は同一であるので以下となる。 (θ1 −θ2 )×L1 =(θ1 −θ3 )×L2 ………(1) これより、θ1 は次のように表わされる。 θ1 =(L1 θ2 −L2 θ3 )/(L1 −L2 )………(2) したがって押棒の繰り出し寸法Sは以下となる。 S=(θ1 −θ2 )×L1 =(θ2 −θ3 )×L12 /(L1 −L2 ) ………(3) この式で見ると、L1 =L2 (同方向、同リード螺旋係
合部)の場合はS=∞となって繰り出し不能である。
【0006】(3)式において以下の場合を検討する。 L1 =∞、すなわち、第1の螺旋係合部が軸方向の
直線溝すなわち回り止めの場合: S=(θ2 −θ3 )×L2 (1−L2 /L1 )=(θ2 −θ3 )×L2 ………(4) 押棒の繰り出し量は、両筒の相対回転角に第2の筒体の
リードを掛けたものであり、従来の繰出機構である。
【0007】 L1 =−L2 、すなわち、第1の螺旋
係合部と第2の螺旋係合部がリードの等しい逆螺旋係合
部(左と右)の場合: S=(θ2 −θ3 )×(−L2 2)/(−2L2 )=(θ2 −θ3 )×L2 /2 ………(5) 押棒の繰り出し量(速度)は、の場合の(4)式と比
べて1/2すなわち半分となり、繰り出しリード(スピ
ード)は半分になる。
【0008】 L1 =L2 /2、すなわち、第1の螺
旋係合部のリードが第2の螺旋係合部のリードの半分の
場合: S=(θ2 −θ3 )×(L2 2/2)/(−L2 /2)=−(θ2 −θ3 )×L2 ………(6) 押棒の繰り出し量(速度)は、の場合の(4)式と比
べて絶対値は等しいがその方向は反対になる。
【0009】 L1 =2L2 、すなわち、第1の螺旋
係合部のリードが第2の螺旋係合部の倍の場合: S=(θ2 −θ3 )×2L2 2/(L2 )=(θ2 −θ3 )×2L2 ………(7) 押棒の繰り出し量(速度)は、の場合の(4)式と比
べて2倍となり、繰り出しスピードは倍になる。
【0010】式(3)を変形すると以下となる。 S=(θ2 −θ3 )×L12 /(L1 −L2 ) =(θ2 −θ3 )×L2 /(1−L2 /L1 )………(8)
【0011】これから以下が言える。 (A)L1 とL2 の符号が逆(螺旋係合部のねじれ方向
が逆)の場合:(1−L2 /L1 )>1となって、の
場合よりも繰り出し速度は遅くなる。繰り出し速度の遅
い、リードの短い螺旋係合部を成形するのは一般に手間
がかかるが、この態様では、螺旋係合部のリードは長く
ても繰り出し速度の遅い繰出機構が得られる。 (B)L1 とL2 の符号が同じで|L2 /L1 |<1
(|L1 |<|L2 |)のとき:(1−L2 /L1 )<
1となって、の場合よりも繰り出し速度は速くなる。 (C)L1 とL2 の符号が同じで2>|L2 /L1 |>
1のとき:繰り出し方向が、の場合の反対になり、繰
り出し速度は速くなる。 (D)L1 とL2 の符号が同じで|L2 /L1 |>2の
とき:繰り出し方向が、の場合の反対になり、繰り出
し速度は遅くなる。
【0012】本発明の棒状化粧材繰出容器は、 棒状材
を保持するチャックと、このチャックから垂下する押棒
と、チャックが進退する先筒スリーブと、この先筒スリ
ーブと回動自在に連結された押棒を内蔵する元筒と、を
備える棒状材繰出容器であって; チャック又は押棒の
外面には、上下2段に二種類の突起が形成されており、
先筒スリーブには、上の突起(第1の突起)と螺合す
る第1の内面螺旋係合部が設けられており、 元筒に
は、下の突起(第2の突起)と螺合する第2の内面螺旋
係合部が設けられており、 先筒スリーブと元筒とを相
対的に回動させることによりチャックを先筒スリーブ内
で進退させ、もって棒状材を先筒スリーブから繰り出し
・引き込みすることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつより詳し
く説明する。図1は、本発明の1実施例に係る繰出機構
の基本的構成を示す断面図である。この繰出機構1は、
第1の筒体3と、押棒5と、第2の筒体7とから構成さ
れている。第1の筒体3は、円筒状のものであり、その
貫通している内孔13には、内面螺旋係合部17が設け
られている。内孔13内には、押棒5が収められてお
り、内面螺旋係合部17は、押棒5の上部外周に突設さ
れている第1の外面突起15と螺合する。押棒5の先端
は、先端開口11から繰り出し・引き込みされる。第1
の筒体3の下部は1段外径の細くなっている回動連結部
19となっている。この回動連結部19は、第2の筒体
7の回動連結部23の内径に嵌合しており、両者には嵌
合凹凸21が形成されている。したがって、両筒3、7
は互いに回動自在に連結されている。
【0014】押棒5は、全体として真直丸棒であり、外
周の上部に第1の外面突起15が、下部に第2の外面突
起27が形成されている。第1の外面突起15は第1の
筒体3の内面螺旋係合部17と、第2の外面突起27は
第2の筒体の内面螺旋係合部25とそれぞれ螺合してい
る。
【0015】第2の筒体7は、第1の筒体3とほぼ同じ
ものであるが、回動連結部23が第1の筒体3の回動連
結部19の外側にきている点が異なる。この回動連結部
における内外関係は、いずれが内でも外でも特に問題は
ない。第2の筒体7の内孔29の内面螺旋係合部25
は、上述のように、押棒5下部の第2の外面突起27と
螺合している。
【0016】図1の繰出機構において、第1の筒体3と
第2の筒体7とを相対的に回動させると、押棒5が各筒
3、7内で軸方向に繰り出し・引き込みされる。この図
の場合、第1の内面螺旋係合部17が右ネジで、第2の
内面螺旋係合部25が左ネジで、両者のリードは等しい
ので、上述のの場合であり、第1の筒体3に同期係合
縦溝がある場合に比べて、繰り出し方向は同じで、繰り
出し速度が半分になる。なお、繰出しの際、押棒は各筒
体内を回転しつつ進退する。
【0017】図2は、本発明の他の1実施例に係る繰出
機構の構成を示す断面図である。この繰出機構1は、第
1の筒体3と、押棒5と、第2の筒体7とから構成され
ている。第1の筒体3は、円筒状のものであり、その貫
通している内孔13の中段部には、内面突起17が内径
方向に突設されている。内孔13内には、押棒5が収め
られており、内面突起17は押棒5の上部外周に形成さ
れている第1の外面螺旋係合部15と螺合する。押棒5
の先端は、先端開口13から繰り出し・引き込みされ
る。第1の筒体3の下部は1段外径の細くなっている回
動連結部19となっている。この回動連結部19は、第
2の筒体7の回動連結部23の内径に嵌合しており、両
者には嵌合凹凸21が形成されている。したがって、両
筒3、7は互いに回動自在に連結されている。
【0018】押棒5は、全体として真直丸棒であり、外
周の上部1/3ほどに第1の外面螺旋係合部15が、下
部1/3ほどに第2の外面螺旋係合部27が形成されて
いる。第1の外面螺旋係合部15は第1の筒体3の内面
突起17と、第2の外面螺旋係合部27は第2の筒体の
内面突起25とそれぞれ螺合している。
【0019】第2の筒体7は、第1の筒体3とほぼ同じ
ものであるが、回動連結部23が第1の筒体3の回動連
結部19の外側にきている点が異なる。第2の筒体7の
内孔29の内面突起25は、上述のように、押棒5下部
の第2の外面螺旋係合部27と螺合している。
【0020】図2の繰出機構において、第1の筒体3と
第2の筒体7とを相対的に回動させると、押棒5が各筒
3、7内で軸方向に繰り出し・引き込みされる。この図
の場合、第1の外面螺旋係合部15が右ネジで、第2の
外面螺旋係合部27が左ネジで、両者のリードは等しい
ので、上述のの場合であり、第1の筒体3に同期係合
縦溝がある場合に比べて、繰り出し方向は同じで、繰り
出し速度が半分になる。図3は上半分が図1の実施例の
構造を有し、下半分が図2の実施例の構造を有する組み
合わせタイプの繰出機構の構成を示す断面図である。こ
のような、組み合わせをとることもでき、その動作は上
述の実施例と同様である。
【0021】図4は、本発明の他の1実施例(押棒一群
の突起型)の繰出機構を示す断面図である。この繰出機
構は、 選択により異なる2種類の外面螺旋係合部(第
1の外面螺旋係合部・第2の外面螺旋係合部)を構成し
うる一群の突起115を外面に有する押棒105と、
第1の外面螺旋係合部と螺合する第1の内面螺旋係合部
117を有する第1の筒体103と、 第2の外面螺旋
係合部と螺合する第2の内面螺旋係合部125を有し、
第1の筒体103に回動自在に連結された第2の筒体1
07と、 を備え、 第1の筒体103と第2の筒体1
07とを相対的に回動させることにより押棒105を繰
り出す。
【0022】すなわち、押棒105の外周には、90°
振り分けで4列の一群の突起115が軸方向にあるピッ
チpで配置されている。これらの一群の突起115は、
見ようによっては、軸方向に真直ぐ延びるようにも見え
るし、一方、右ネジあるいは左ネジ状のスパイラル空間
の一部を占めるように螺旋状に配列されているようにも
見える。また、その螺旋係合部のリードも、適当に突起
115を飛ばせば、最短のリード(=2p)より大きい
値を選択可能である。
【0023】押棒105には、2つの筒(第1の筒体1
03、第2の筒体107)が嵌合している。第1の筒体
103は、その内孔に右ネジの第1の内面螺旋係合部1
17(リード2p)が切られている。一方、第2の筒体
107には、左ネジの第2の内面螺旋係合部125(リ
ード2p)が切られている。そして、両内面螺旋係合部
117、125共に押棒外面の一群の突起115と螺合
している。また、両筒103、107は、嵌合凹凸12
1を有する回動連結部119、123において回動自在
に連結されている。ここで、第1の筒体を固定して第2
の筒体を回す(相対的に回動させる)と、図1と同様
に、第1の筒体103に同期係合縦溝が切られている場
合の半分の繰り出し速度で押棒105が繰り出し・引き
込みされる。
【0024】図5は、本発明の他の1実施例(内外2重
筒型)の繰出機構を示す断面図である。この繰出機構
は、口紅の繰り出し容器に応用した場合を想定したもの
であり、 外面に突起215を有する押棒(チャック2
07)と、 この突起215と螺合する第1の内面螺旋
係合部217を有する第1の筒体(内筒203)と、こ
の突起215と螺合する第2の内面螺旋係合部225を
有し、第1の筒体203に回動自在に連結された第2の
筒体205と、 を備え、 第1の筒体203と第2の
筒体205とを相対的に回動させることにより押棒(チ
ャック207)を繰り出すことを特徴とする。つまり、
第1の筒体203と第2の筒体205が内外に重なり合
っており、内側の筒203の内面螺旋係合部217が該
筒203をスリット状に貫通しており、1種類の突起2
15が第1の内面螺旋係合部217及び第2の内面螺旋
係合部225の双方と螺合する。
【0025】すなわち、短い押棒の役目も果すチャック
207の両サイドには、比較的高さの高い外面突起21
5が当接されている。そして、このチャック207は、
嵌合した2重の筒(内筒203と外筒205)の中に収
められている。内筒203には、その側壁を貫通する内
面螺旋係合部状のスリット217が形成されており、外
筒205には、その内孔に内面螺旋係合部225が形成
されている。そして、チャック207の突起215は、
内面螺旋係合部状スリット217を貫通螺合して、その
外側の内面螺旋係合部225とも螺合している。すなわ
ち、外面突起215は、2つの内面螺旋係合部217、
225と螺合しているのである。
【0026】一方、外筒205と内筒203とは、嵌合
凹凸221、221′で回動自在に連結されている。内
筒203の下端部には、フランジ部241が形成されて
おり、同フランジ部241の外周は外筒205の外周面
とほぼ同径まで突出している。ここで、外筒205とフ
ランジ部241を相対的に回動させると、チャック20
7を両筒203、205の軸方向に繰り出し・引き込み
できる。この場合、内筒203の内面螺旋係合部217
のリードL1 に対して、外筒205の内面螺旋係合部2
25のリードL2 がL1 =−2/3L2 であるので式
(3)から以下となる。 S=(θ2 −θ3 )×(−2L2 2)/(−5L2 /3) =2/5×(θ2 −θ3 )×L2 すなわち、内面螺旋係合部(スリット)217が内筒2
03の軸方向に延びる縦スリットの場合と比較して繰り
出し速度が2/5(=40%)となる。
【0027】図6は、本発明の1実施例に係る棒状化粧
材繰出容器を示す側面断面図である。図6の棒状化粧材
繰出容器301は、図の上から下方に向かって、キャッ
プ303、先筒スリーブ305、チャック307、押棒
309、内面螺旋係合部筒311、本体筒313の各
部、部品からなる。この図の棒状化粧材繰出容器は、外
面に突起(突起335、突起341)を有する押棒(チ
ャック307、押棒309)と、 突起335と螺合す
る第1の内面螺旋係合部329を有する第1の筒体(先
筒スリーブ305)と、 突起341と螺合する第2の
内面螺旋係合部339を有し、第1の筒体305に回動
自在に連結された第2の筒体(内面螺旋係合部筒31
1)と、 を備え、 第1の筒体305と第2の筒体3
11とを相対的に回動させることにより押棒309を繰
り出すことを特徴とする。つまり、突起が2つあり、第
1の筒体305と螺合する突起335と第2の筒体31
1と螺合する突起341から構成される。
【0028】以下、各部を説明する。キャップ303
は、有頂筒状をしており、先筒スリーブ305の外周及
び上部を覆う。キャップ303の頂部320の下にはフ
ック321が下方に突設されており、このフック321
は、先筒スリーブ305先端内側の内突部323と係合
して、キャップ303を先筒スリーブ305に係止す
る。
【0029】先筒スリーブ305の内孔327には、2
条の第1の内面螺旋係合部329が形成されている。第
1の内面螺旋係合部329は、先筒スリーブ305の下
端面から始まり、先筒スリーブ305の上端近くで終っ
ている。先筒スリーブ305の中段部には、嵌合凹凸3
37が形成されており、本体筒313と回動自在に連結
されている。この本体筒313には、内面螺旋係合部筒
311が一体に(あるいは組立てて)固定されているの
で、内面螺旋係合部筒311も先筒スリーブ305に回
動自在に連結されている。先筒スリーブ305の下半部
338は、長く下方に延びて本体筒313の内面に嵌合
している。
【0030】チャック307は有底筒状であり、その内
面凹部331に棒状化粧材304の尾部をくわえて保持
している。チャック307の外面には左右一対の突起
(第1外面突起)335が突設されている。この突起3
35は、先筒スリーブ305内孔の第1の内面螺旋係合
部329と螺合している。チャック307には、下方に
延びる押棒309が一体に接続されている。押棒309
の下端外面には左右一対の突起(第2外面突起)341
が突設されている。この突起341は、内面螺旋係合部
筒311の内孔の第2の内面螺旋係合部339と螺合し
ている。
【0031】内面螺旋係合部筒311は、前述のように
その内孔に第2の内面螺旋係合部339が切られてい
る。第2の内面螺旋係合部339は内面螺旋係合部筒3
11の上下に抜けている(貫通している)。内面螺旋係
合部筒311と本体筒313とは、尾端部343で一体
に接続する。本体筒313は、棒状化粧材繰出容器30
1の下半部外面を覆っている。
【0032】図6の棒状化粧材繰出容器で、先筒スリー
ブ305と本体筒313とを相対的に回動させると、第
1外面突起335は第1の内面螺旋係合部329に沿っ
て移動し、第2外面突起341は第2の内面螺旋係合部
339に沿って移動する。そして、第1の内面螺旋係合
部329のリードL1 は第2の内面螺旋係合部339の
リードL2 に対して、L1 =−1.5L2 であるので式
(3)から以下となる。なお、繰出しの際押棒は先筒ス
リーブ内を回転しながら進退する。 S=(θ2 −θ3 )×L12 /(L1 −L2 )=(θ
2 −θ3 )×(−1.5L2 2)/(−2.5L2 )=3
/5×(θ2 −θ3 )×L2 すなわち、先筒スリーブに同期係合縦溝がある場合に比
べて繰り出し速度が3/5(=60%)となる。なお、
この図の棒状化粧材繰出容器では、ストローク限は、上
限は突起335と329内面螺旋係合部のエンドが当接
して、下限は内面螺旋係合部筒311の上端とチャック
307下端段部が当接して定まる。
【0033】図7は、図6の棒状化粧材繰出容器の変形
例(繰り出し速度変化型)の棒状化粧材繰出容器を示す
側面断面図である。なお、図7の符号のうち下2桁が図
6の符号と同じ符号は、以下に特記しない限り、図6と
同じ部位を表す。(A)は全体の側面断面図であり、
(B)は(A)から90°回した方向から見た内面螺旋
係合部筒部の側面断面図である。この棒状化粧材繰出容
器は、 第1の内面螺旋係合部529又は第2の内面螺
旋係合部539の螺旋係合部谷の一端に、筒体の軸方向
に延びる縦溝540が形成されており、この内面螺旋係
合部539と螺合する外面螺旋係合部が外面突起541
であり、この外面突起541は、該縦溝540とも係合
する。そして、外面突起541が縦溝540と係合して
いる時は繰り出し速度が速く、外面突起541が内面螺
旋係合部529と螺合する時は繰り出し速度が遅い。
【0034】すなわち、内面螺旋係合部筒511の内孔
には、その下半部に縦溝540が、その上半部に第2の
内面螺旋係合部539が切られており、両者540、5
39はスムーズに連続している。なお、第2の内面螺旋
係合部539は内面螺旋係合部筒511の上端まで抜け
るように切られており、縦溝540は内面螺旋係合部筒
511の下端まで抜けるように切られている。
【0035】縦溝540の下端部には、下方が空間で抜
けている横行段部542が連なっている。この横行段部
542に沿って突起541が横向きに進む。横行段部5
42には、小突起であるロック突起544が突設されて
おり、横行する突起541に対して軽い抵抗を与える。
そして、押棒509の下降限で押棒の動きをロックし、
人為的な回動操作がない限り、自然の振動で押棒509
が上に繰り出されないようになっている。
【0036】図7の棒状化粧材繰出容器で先筒スリーブ
505と本体筒513とを相対的に回動させると、ま
ず、押棒509の下端の第2の外面突起541が横行段
部542を抜けて縦溝540に入る。そして、突起54
1は、縦溝540を上昇する。この時は、押棒509と
内面螺旋係合部筒511(本体筒513)が同期係合
し、先筒505の第1の内面螺旋係合部529のリード
と同じ繰り出し速度で繰り出される。
【0037】次に、押棒509が上昇して突起541が
第2の内面螺旋係合部539に入ると、L2 =−2L1
/3であるので、繰出速度は以下となる。 S=(θ2 −θ3 )×L12 /(L1 −L2 )=(θ
2 −θ3 )×(−2L1 2/3)÷(5L1 /3)=−2
/5(θ2 −θ3 )L1
【0038】一方、L2 =∞(縦溝540)のときのS
は以下である。 S=(θ2 −θ3 )×L1 /(L1 /L2 −1)=−
(θ2 −θ3 )×L1 従って、突起541が第2の内面螺旋係合部539に入
ると繰り出し速度が40%に減速される。
【0039】つまり、図7の実施例の棒状化粧材繰出容
器501は、押棒509を下から上に繰り出していく際
に、始めの半分のストロークは早く、後の半分のストロ
ークは遅く繰り出すことができる。内面螺旋係合部53
9と縦溝540の上下関係を逆にすると、始めの半分の
ストロークは遅く後の半分のストロークは早く繰り出す
ことができ、可変の繰出を部品点数を増やすことなく可
能にしたものである。
【0040】図7の棒状化粧材繰出容器では、キャップ
503と本体筒513が、嵌合凹凸532の形成された
係止部530、534で係止される。
【0041】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
は以下の効果を発揮する。 従来の繰出機構とは発想の全く異なる新たな繰出機
構を提供することができ、様々な特性を有する繰出容器
を提供することができる。 従来のオネジや同期係合部、メネジ、回転止から構
成された繰出機構といった常識を、リード角の違った内
面螺旋係合部、外面螺旋係合部の組合せによって、外面
螺旋係合部、内面螺旋係合部が同期係合部と回転止をそ
れぞれ兼ね合うので、同期係合部に回転止をつける必要
がなくなった。 順ネジと逆ネジの組合せにおいては、繰出ピッチは
短くなるため、微妙な繰出速度が必要な時でもこれに対
応する繰出容器が提供できる。
【0042】 図7の実施例においては、内面螺旋係
合部溝と種類の違った溝穴(縦溝又は逆内面螺旋係合部
溝)を組合せることにより、使用目的において変速繰出
容器が提供できる。 図4の実施例において、一群の突起を設けた押棒に
おいては、順螺旋係合部筒と逆螺旋係合部筒の螺合する
突起を共有することが可能であり、また、容器の選択に
おいて順ネジの螺旋係合部筒同士を組合せることもでき
るため、細径の繰出容器が使用目的によって提供でき
る。 通常繰出ピッチの短い螺旋筒の製作(射出成形)に
おいては、コアピンの回転抜き出しを行わなければなら
ないが、逆螺旋係合部、順螺旋係合部を使用することに
よりリード角の大きい螺旋係合部でも繰出ピッチを短く
することが可能なため、従来のものよりコアピン回転抜
出を使用する必要性が少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例に係る繰出機構の基本的構成
を示す断面図である。
【図2】本発明の他の1実施例に係る繰出機構の基本的
構成を示す断面図である。
【図3】上半分が図1の実施例の構造を有し、下半分が
図2の実施例の構造を有する組み合わせタイプの繰出機
構の構成を示す断面図である。
【図4】本発明の他の1実施例(押棒一群の突起型)の
繰出機構を示す断面図である。
【図5】本発明の他の1実施例(内外2重筒型)の繰出
機構を示す断面図である。
【図6】本発明の1実施例に係る棒状化粧材繰出容器を
示す側面断面図である。
【図7】図5の棒状化粧材繰出容器の変形例(繰り出し
速度変化型)の棒状化粧材繰出容器を示す側面断面図で
ある。
【符号の説明】
1 繰出機構 3 第1の筒体 5 押棒 7 第2の筒体 11、31 先端開口 13、29 内孔 15、27 外面突起、外面螺旋係合部 17、25 内面螺旋係合部、内面突起 19、23 回動連結部 21 嵌合凹凸 101 繰出機構 103 第1の筒体 105 押棒 107 第2の筒体 115 外面突起 117 第1の内面
螺旋係合部(右) 119、123 回動連結部 121 嵌合凹凸 125 第2の内面螺旋係合部(左) 201 繰出機構 203 第1の筒体
(内筒) 205 第2の筒体(外筒) 207 押棒(チャ
ック) 215 外面突起 217 内面螺旋係
合部状スリット 221 嵌合凹凸 225 内面螺旋係
合部 241 下フランジ部 301 棒状化粧材繰出容器 303 キャップ 304 棒状化粧材 305 先筒スリー
ブ 307 チャック 309 押棒 311 内面螺旋係合部筒 313 本体筒 320 頂部 321 フック 323 内突部 325 先端開口 327 内孔 329 第1の内面
螺旋係合部 331 凹部 335 第1外面突
起 337 嵌合凹凸 339 第2の内面
螺旋係合部 341 第2外面突起343 尾端部 450 鉢巻き部 530、534 係止部 532 嵌合凹凸 540 縦溝 542 横行段部 544 ロック突起

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外面に第1の突起及び第2の突起を有す
    る押棒と、 第1の突起と螺合する第1の内面螺旋係合部を有する第
    1の筒体と、 第2の突起と螺合する第2の内面螺旋係合部を有し、第
    1の筒体に回動自在に連結された第2の筒体と、 を備え、 第1の筒体と第2の筒体とを相対的に回動させることに
    より押棒を繰り出す繰出機構。
  2. 【請求項2】 外面に第1の外面螺旋係合部及び第2の
    外面螺旋係合部を有する押棒と、 第1の外面螺旋係合部と螺合する第1の内面突起を有す
    る第1の筒体と、 第2の外面螺旋係合部と螺合する第2の内面突起を有
    し、第1の筒体に回動自在に連結された第2の筒体と、 を備え、 第1の筒体と第2の筒体とを相対的に回動させることに
    より押棒を繰り出す繰出機構。
  3. 【請求項3】 外面に突起及び外面螺旋係合部を有する
    押棒と、 突起と螺合する内面螺旋係合部を有する第1の筒体と、 外面螺旋係合部と螺合する内面突起を有し、第1の筒体
    に回動自在に連結された第2の筒体と、 を備え、 第1の筒体と第2の筒体とを相対的に回動させることに
    より押棒を繰り出す繰出機構。
  4. 【請求項4】 第1の外面螺旋係合部及び第2の外面螺
    旋係合部を有する押棒と、 第1の外面螺旋係合部と螺合する第1の内面螺旋係合部
    を有する第1の筒体と、 第2の外面螺旋係合部と螺合する第2の内面螺旋係合部
    部を有し、第1の筒体に回動自在に連結された第2の筒
    体と、 を備え、 第1の筒体と第2の筒体とを相対的に回動させることに
    より押棒を繰り出す繰出機構。
  5. 【請求項5】 選択により異なる2種類の外面螺旋係合
    部(第1の外面螺旋係合部、第2の外面螺旋係合部)を
    構成しうる一群の突起を外面に有する押棒と、 第1の外面螺旋係合部と螺合する第1の内面螺旋係合部
    を有する第1の筒体と、 第2の外面螺旋係合部と螺合する第2の内面螺旋係合部
    を有し、第1の筒体に回動自在に連結された第2の筒体
    と、 を備え、 第1の筒体と第2の筒体とを相対的に回動させることに
    より押棒を繰り出す繰出機構。
  6. 【請求項6】 外面に突起を有する押棒と、 この突起と螺合する第1の内面螺旋係合部を有する第1
    の筒体と、 この突起と螺合する第2の内面螺旋係合部を有し、第1
    の筒体に回動自在に連結された第2の筒体と、 を備え、 上記第1の筒体と第2の筒体が内外に重なり合ってお
    り、 内側の筒の内面螺旋係合部が該筒をスリット状に貫通し
    ており、 上記押棒の突起が、第1の内面螺旋係合部及び第2の内
    面螺旋係合部の双方と螺合し、 第1の筒体と第2の筒体とを相対的に回動させることに
    より押棒を繰り出す繰出機構。
  7. 【請求項7】 上記螺旋係合部のリードが途中から変化
    している請求項1〜6いずれか1項記載の繰出機構。
  8. 【請求項8】 上記螺旋係合部の一端に、筒体の軸方向
    に延びる縦溝又は縦リブが形成されており、この螺旋係
    合部と螺合する螺旋係合部が該縦溝又は縦リブとも係合
    する請求項1〜7いずれか1項記載の繰出機構。
  9. 【請求項9】 棒状材を保持するチャックと、このチャ
    ックから垂下する押棒と、チャックが進退する先筒スリ
    ーブと、この先筒スリーブと回動自在に連結された押棒
    を内蔵する元筒と、を備える棒状材繰出容器であって;
    チャック又は押棒の外面には、上下2段に二種類の突起
    が形成されており、 先筒スリーブには、上の突起(第1の突起)と螺合する
    第1の内面螺旋係合部が設けられており、 元筒には、下の突起(第2の突起)と螺合する第2の内
    面螺旋係合部が設けられており、 先筒スリーブと元筒とを相対的に回動させることにより
    チャックを先筒スリーブ内で進退させ、もって棒状材を
    先筒スリーブから繰り出し・引き込みする棒状材繰出容
    器。
  10. 【請求項10】 上記第1の内面螺旋係合部又は第2の
    内面螺旋係合部の螺旋係合部谷の一端に、筒体の軸方向
    に延びる縦溝が形成されており、上記押棒外面の突起
    は、該縦溝とも係合する請求項9記載の棒状材繰出容
    器。
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JP2005061627A (ja) * 2003-08-11 2005-03-10 Luk Lamellen & Kupplungsbau Beteiligungs Kg 並進的な作動運動を生ぜしめるための作動伝動装置
JP2018183464A (ja) * 2017-04-27 2018-11-22 株式会社吉野工業所 操出容器

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