JPH10153115A - 自動車排気系用フレキシブルチューブ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 自動車用排気系のエンジン側に取り付けられ
る第１排気管とマフラ側に取り付けられる第２排気管の
相対変位を吸収するベローズを有する自動車排気系用フ
レキシブルチューブにおいて、大幅な軽量化と低コスト
化を図ったフレキシブルチューブを提供すること。 【構成】 両排気管１，２の変位を吸収するベローズ３
と、ベローズ３の両端部にそれぞれ接続された第１プロ
テクタ７’と第２プロテクタ７”とを設け、ベローズ３
の外周をバネ鋼線を伸長したユニット５０を間欠的に筒
状に覆う管軸方向に配設した外筒部材５を備え、そのユ
ニット５０の一端部を内側に曲げた屈曲部１１’と管軸
方向に並行にした並行部１２’でＳ字状を形成してか
ら、並行部１２’を第１プロテクタ７’の外周面上に固
着した第１バネ１０’を形成し、ユニット５０の他端部
を同様にして第２バネ１０を形成して成る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用排気系の
エンジン側に取り付けられる第１排気管とマフラ側に取
り付けられる第２排気管の相対変位を吸収するベローズ
を有する自動車排気系用フレキシブルチューブの技術分
野に属する。

【０００２】

【従来の技術】従来、自動車排気系用フレキシブルチュ
ーブとしては、例えば、下記に列挙するようなものが知
られている。

【０００３】(1) 実開昭６１−１８７９１６号公報 この公報に記載のフレキシブルチューブは、図６に示す
ように、排気管に接続されるベローズと、ベローズの外
周に配置されるアウタブレードと、アウタブレードの両
端部に設けられ、アウタブレードとベローズとをスポッ
ト溶接するプロテクタを備えた構成である。

【０００４】(2) 実開平２−１４４１８号公報 この公報に記載のフレキシブルチューブは、図７に示す
ように、排気管に接続されるベローズと、ベローズの両
端外周にそれぞれ配置されるばね支管と、両ばね支管の
間に架設されるばね材を備えた構成である。

【０００５】(3) 実開平４−６５２３号公報 この公報に記載のフレキシブルチューブは、図８に示す
ように、排気管に接続されるベローズと、ベローズの外
周に配置され、一端がベローズに固定されたアウタブレ
ードと、アウタブレードの他端部に固定されたクランプ
材とベローズに固定された円筒体との間に介装された圧
縮スプリングとを備えた構成である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の自動車排気系用フレキシブルチューブにあっては、
それぞれ下記に列挙するような問題がある。

【０００７】(1) 図６に記載のフレキシブルチューブ
は、アウタブレードの製造バラツキによってフレキシブ
ルチューブのバネ定数が大きく影響され、振動変位の吸
収特性にバラツキが出る。また、ステンレス鋼線を編ん
で作られるアウタブレードが高価である。よって、振動
変位の吸収特性を確保するために採用される山数の多い
ベローズにより大型化し、また、ベローズを保護するた
めに採用されるアウタブレードにより高コスト化を招
く。

【０００８】(2) 図７に記載のフレキシブルチューブ
は、ベローズの中央部が外部露出状態となるため、飛び
石等によりベローズが損傷され易く、ベローズ耐久性に
劣る。

【０００９】また、ばね材が外方に大きく突出している
ため、外径の大きなフレキシブルチューブとなる。走行
中、外方に大きく露出状態で突出しているばね材に泥等
が付着した場合、ばね特性が変化し、所望の変位吸収性
が得られなくなる。

【００１０】(3) 図８に記載のフレキシブルチューブ
は、基本的にはステンレス鋼線を編んで作られるアウタ
ブレードを用いたものであるため、上記(1) の問題点を
有する。加えて、圧縮スプリングにより引っ張り変位に
対する吸収性は高まるが、圧縮変位に対する吸収性の向
上は見込めない。

【００１１】以上のように、それぞれについて一長一短
があり、小型軽量、低コスト、高変位吸収性、高耐久性
という自動車排気系用フレキシブルチューブに要求され
る性能を全て満足するものではなく、現在最も一般的に
採用されている図５に記載のフレキシブルチューブに代
わる新たなフレキシブルチューブの出現が望まれている
ところである。

【００１２】本発明が解決しようとする課題は、自動車
用排気系のエンジン側に取り付けられる第１排気管とマ
フラ側に取り付けられる第２排気管の相対変位を吸収す
るベローズを有する自動車排気系用フレキシブルチュー
ブにおいて、小型軽量、低コスト、高変位吸収性、高耐
久性という要求性能を全て満足する実用価値の高いフレ
キシブルチューブを提供することにある。

【００１３】

【課題を解決するための手段】

（解決手段１）上記課題を達成するため請求項１記載の
発明では、第１排気管と第２排気管に両端部が接続さ
れ、両排気管の変位を吸収するベローズと、前記ベロー
ズの外周を複数のバネ鋼線にて間欠的に取り囲むように
管軸方向に伸長したユニットで形成された外筒部材と、
ベローズの両端部にそれぞれ接続された第１プロテクタ
と第２プロテクタと、前記外筒部材のユニットの一端部
を内側に屈曲させてから、さらに管軸方向に伸ばしてＳ
字状に形成し、その端末を第１プロテクタ上に固着さ
せ、このＳ字状のバネ鋼線をベローズの端末外周を覆う
ように、管軸を中心にして放射的に複数配置した第１バ
ネと、前記外筒部材のユニットの他端部を内側に屈曲さ
せてから、さらに管軸方向に伸ばしてＳ字状に形成し、
その端末を第２プロテクタ上に固着させ、このＳ字状の
バネ鋼線をベローズの端末外周を覆うように、管軸を中
心にして放射的に複数配置した第２バネとを備えること
を特徴とする。

【００１４】よって、フレキシブルチューブに対し外力
が作用し、第１排気管と第２排気管とが管軸方向に変位
する場合、圧縮荷重と引張荷重はベローズと第１，第２
バネとの両方に作用する。

【００１５】このため、ベローズの板厚を薄くしてベロ
ーズのバネ定数を低く設定してもフレキシブルチューブ
のトータルバネ定数は両バネで補うことができ、フレキ
シブルチューブの小型軽量低コスト化が達成される。

【００１６】第１排気管と第２排気管に管軸方向の変位
を与えるような外力が作用した場合、ベローズと第１，
第２バネが、荷重の作用方向に追従する圧縮または引っ
張り変形することにより変位が吸収される。尚、第１排
気管と第２排気管に曲げ方向や剪断方向の変位を与える
ような外力が作用しても、変形自由度の高いベローズと
両バネが、荷重の作用方向に追従して曲げ変形や剪断変
形することにより吸収される。つまり、ベローズと第
１，第２バネとの両方を用いた変位吸収作用が達成され
る。

【００１７】さらに、第１，第２バネは圧縮荷重にも引
張荷重にも作用し、フレキシブルチューブに加わる外力
がベローズと両バネに分散されるため、ベローズの荷重
負担が軽減される。

【００１８】また、フレキシブルチューブへの圧縮荷重
を受けると、ベローズは圧縮されるが、管軸方向に固定
された外筒部材における第１，第２バネのＳ字状バネ形
成部分が反力を持ち、過度の圧縮を防止する。さらに、
フレキシブルチューブへの引張荷重を受けると、ベロー
ズは伸長するが、管軸方向に固定された外筒部材におけ
る第１，第２バネのＳ字状バネ形成部分が反力を持ち、
伸び切りを防止する。フレキシブルチューブへの引張荷
重に対しては第１，第２バネが圧縮されるため、過大な
引張荷重が作用する時には第１，第２バネのＳ字状バネ
形成部分の反力により過度の圧縮を防止できる。

【００１９】また、走行中に石跳ね等があった場合、外
筒部材による保護作用でベローズ及びＳ字状を成す第
１，第２バネの変形や損傷が防止される。

【００２０】さらに前記ベローズの両端部に、ベローズ
の内周を覆う筒状に形成された外筒部材を設けたことに
よって、排気管を流れる排気ガスの熱がベローズの内側
に配置されるインナーカバーで受けられることになり、
ベローズに対する熱影響が軽減されるし、気流音も低減
される。

【００２１】なお、フレキシブルチューブ取付位置によ
って特に曲げ方向の大幅な変位が予想される場合には、
インナーカバーとして本実施例のパイプの代替品として
ステンレス鋼線を編み上げたインナーブレードを用いて
もよいことはいうまでもない。

【００２２】（解決手段２）請求項２記載の発明では、
請求項１記載の自動車排気系用フレキシブルチューブに
おいて、前記外筒部材のそれぞれのユニットの管軸方向
の両端部にて、隣への渡り部分を設けながらＳ字状に連
続成形することにより、ベローズの外周の管軸方向に前
記外筒部材の複数のユニットが、１本のバネ鋼線にて配
置されたことを特徴とする。

【００２３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。

【００２４】（実施の形態１）まず、構成を説明する。

【００２５】実施の形態１は請求項１・請求項２の発明
に対応する。図１は、上部半分を切り欠いた実施の形態
１の自動車排気系用フレキシブルチューブの全体を示す
側断面図である。

【００２６】図１において、Ａはフレキシブルチュー
ブ、１は第１排気管、２は第２排気管、３はベローズで
ある。５は外筒部材で管軸方向に伸長させたユニット５
０をベローズ３の外周を間欠的に取り巻くように配設
し、５ａ，５ｂ，５ｃ，５ｄ…の端末部分を内側に屈曲
させて、ユニット５０→屈曲部１１’，１１”→管軸に
並行部１２’，１２”のＳ字状を形成し、後述のプロテ
クタ７’，７”を取り囲むようにした渡り部分１３’，
１３”を経て、並行部１２’，１２”→屈曲部１１’，
１１”からユニット５０への繰り返しを行い、外筒部材
５を形成する。７’は第１プロテクタ、７”は第２プロ
テクタ、７ａ’は第１プロテクタの端部に設けたバネ支
持部、７ａ”は第２プロテクタの端部に設けたバネ支持
部、８’は第１インナーカバー、８”は第２インナーカ
バー、１０’は第１バネ［一端がユニット５０で、屈曲
部１１’と並行部１２’とから成り、Ｓ字状の並行部１
２’の他端が、第１プロテクタ７’の外周面上に固着
（例えばスポット溶接）されたバネ］、１０”は第２バ
ネ［［一端がユニット５０で、屈曲部１１”と並行部１
２”とから成り、Ｓ字状の並行部１２”の他端が、第２
プロテクタ７”の外周面上に固着（例えばスポット溶
接）されたバネ］である。

【００２７】前記ベローズ３は、第１排気管１と第２排
気管２に両端部が接続され、両排気管１，２の変位を吸
収するために設けられる。

【００２８】このベローズ３の素材としては、厚み０．
２ｍｍ（従来は厚み０．３ｍｍ）のステンレス薄肉板を
２層重ね合わせた薄肉多層品を使用し、山数を従来より
大幅に削減し（２１〜２８山→８〜９山）、等価のバネ
定数を得ている。

【００２９】前記外筒部材５は、１本のバネ鋼線から管
軸に並行に伸長したユニット部５０とその両端部を内部
に屈曲させて構成したＳ字状部（ユニット５０→屈曲部
１１’，１１”→並行部１２’，１２”）と渡り部１
３’，１３”により、ベローズ３の外周の一部を覆い間
欠的な筒状に形成されていて、その両端部で第１・第２
プロテクタ７’，７”に固着させて、ベローズ３の伸長
・収縮に対応する第１・第２バネが形成されている。

【００３０】前記第１プロテクタ７’と第２プロテクタ
７”は、ベローズ３の両端部にそれぞれ接続（スポット
溶接）されていて、この両プロテクタ７’，７”のベロ
ーズ３側の両端部には、外筒部材５の内面に向かう第１
プロテクタ側バネ支持部７ａ’と第２プロテクタ側バネ
支持部７ａ”が形成されている。

【００３１】前記第１バネ１０’と第２バネ１０”は、
Ｓ字状部（ユニット５０→屈曲部１１’，１１”→並行
部１２’，１２”）と渡り部１３’．１３”により形成
され、ベローズ３の両端外周部を取り囲むようにして形
成されている。従って、ベローズ３の伸長・収縮の何れ
に対しても、バネ反力が働き、伸長・収縮の過大な歪み
を防止する。

【００３２】前記第１インナーカバー８’と第２インナ
ーカバー８”は、ベローズ３の両端部にそれぞれ接続
（スポット溶接）されていて、ベローズ３の内周を２つ
のインナーカバー８’，８”にて覆う筒状に形成されて
いる。

【００３３】図４は実施の形態１のフレキシブルチュー
ブが適用された自動車排気系を示す斜視図である。

【００３４】図４において、Ａはフレキシブルチュー
ブ、Ｂはエキゾーストパイプ、Ｃは触媒コンバータ、Ｄ
はサブマフラ、Ｅはメインマフラであり、フレキシブル
チューブＡは、図外のエンジンと触媒コンバータＣとを
連結するエキゾーストパイプＢの途中に設けられ、エン
ジンや車体等からの入力による変位を吸収する。

【００３５】次に、作用を説明する。

【００３６】［バネ定数の設定作用］フレキシブルチュ
ーブＡのバネ定数を設定するにあたっては、図５に示す
ように、ベローズ３のバネ定数をK1とし、第１バネ１
０’と第２バネ１０”のバネ定数をK2とすると、ベロー
ズ３と両バネ１０’，１０”とが並列配置なっているの
で、フレキシブルチューブバネ定数Ｋは、下記の式によ
り表される。 Ｋ＝K1＋（K2／２） このように、ベローズ３のバネ定数K1と、両バネ１
０’，１０”のバネ定数K2と、フレキシブルチューブバ
ネ定数Ｋのうち２つが明らかであれば残りの１つのバネ
定数は決まる。

【００３７】よって、フレキシブルチューブバネ定数Ｋ
として良好な変位吸収ができる値に設定する場合、ベロ
ーズ３のバネ定数K1を一定値に設定し、管理しやすく選
択自由度が高い両バネ１０’，１０”のバネ定数K2を多
数の値の中から選択して決めると、所望のフレキシブル
チューブバネ定数Ｋが得られることになる。

【００３８】このように、バネ定数調整代を、ベローズ
３のバネ定数K1の変更によるものではなく両バネ１
０’，１０”のバネ定数K2の変更に委ねることで、ベロ
ーズ３のバネ定数K1を一定値に設定することができる。

【００３９】この結果、実施の形態１のベローズ３のよ
うに、従来よりも薄肉で山数の少ない２層品をベローズ
素材として使用し、ベローズ３のバネ定数K1を低い値の
一定値に設定しても両バネ１０’，１０”のバネ定数K2
により補うことができ、フレキシブルチューブの小型軽
量低コスト化が図られる。

【００４０】［変位吸収作用］エンジンや車体等から第
１排気管１と第２排気管２に管軸方向に変位を与えるよ
うな荷重が入力された時の変位吸収作用について説明す
る。

【００４１】変位荷重のうち圧縮荷重が作用した場合に
は、ベローズ３は圧縮され第１，第２バネ１０’，１
０”は引っ張り方向に伸長されて両排気管１，２が圧縮
変位する。つまり、図５に示すように、圧縮荷重が作用
すると、ベローズ取付スパンＬ１がΔＬだけ短くなり、
バネ取付スパンＬ２はそれぞれΔＬ／２だけ長くなる。

【００４２】変位荷重のうち引張荷重が作用した場合に
は、ベローズ３は引っ張られ第１，第２バネ１０’，１
０”は圧縮方向に短縮されて両排気管１，２が引張変位
する。つまり、図５に示すように、引張荷重が作用する
と、ベローズ取付スパンＬ１がΔＬだけ長くなり、バネ
取付スパンＬ２はそれぞれΔＬ／２だけ短くなる。

【００４３】すなわち、ベローズ３の伸縮と、引っ張り
と圧縮の両方で同じバネ特性が発揮される第１，第２バ
ネ１０’，１０”により、管軸方向に振動的に引っ張り
と圧縮が繰り返される変位が整然と吸収される。

【００４４】尚、第１排気管１と第２排気管２には、管
軸方向以外にも曲げ方向や剪断方向の変位を与えるよう
な外力が作用することがあるが、この場合にも変形自由
度の高いベローズ３と両バネ１０’，１０”が、荷重の
作用方向に追従して曲げ変形や剪断変形することにより
曲げ変位や剪断変位が吸収される。

【００４５】［ベローズ耐久性確保作用］ベローズ３の
耐久性は、後述するように、荷重負担の分担と、伸び切
りの防止と、飛び石等からの保護と、熱影響遮断により
確保される。

【００４６】フレキシブルチューブＡに加わる外力は、
ベローズ３に加わる力と、両バネ１０’，１０”に加わ
る力とに分散されるため、ベローズ３の荷重負担が軽減
される。

【００４７】引張荷重に対しては第１，第２バネ１
０’，１０”が圧縮されるため、過大な引張荷重が作用
する時には第１，第２バネ１０’，１０”のＳ字状を保
持しようとする反力が変位規制ストッパとなり、ベロー
ズ３の伸び切りが防止される。

【００４８】フレキシブルチューブＡは車両の底部に露
出して配置されるため、車両走行中にタイヤにより石等
を跳ねるような場合、この跳ね石等がフレキシブルチュ
ーブＡに衝突することがあるが、ベローズ３の全外周を
間欠的に覆う外筒部材５による保護作用でベローズ３の
変形や損傷が防止されるが、そのような走行中に跳ね石
等が多い場合は、ユニット部５０及びＳ字状バネ部５
ａ，５ｂ，５ｃ，５ｄ…の個数を増加して対処すること
も可能である。

【００４９】ベローズ３の内側には第１インナーカバー
８’と第２インナーカバー８”を配置しているため、両
排気管１，２を流れる排気ガスの熱は先に両インナーカ
バー８’，８”で受けられることになり、ベローズ３に
対する熱影響が軽減される。尚、この両インナーカバー
８’，８”は、排気ガスの流れが、ベローズ３の凹凸で
乱れることにより発生する気流音を、低減する作用も示
す。

【００５０】次に、効果を説明する。

【００５１】（１）第１排気管１と第２排気管２に両端
部が接続され、両排気管１，２の変位を吸収するベロー
ズ３と、プレート材により前記ベローズ３の外周の一部
を覆う筒状に形成された外筒部材５と、ベローズ３の両
端部にそれぞれ接続された第１プロテクタ７’と第２プ
ロテクタ７”と、前記外筒部材５の一端部がその内側の
第１プロテクタ７’との間でＳ字状のバネを形成し、そ
のバネの一端部は外筒部材５のユニット５０であり他端
部は第１プロテクタ７’に固定結合させて成る第１バネ
１０’と、前記外筒部材５の他端部がその内側の第２プ
ロテクタ７”との間でＳ字状のバネを形成し、そのバネ
の一端部は外筒部材５のユニット５０であり他端部は第
２プロテクタ７”に固定結合させて成る第２バネ１０”
と、を備えた構成としたため、特に小型でかつ大幅な軽
重量化となり、低コスト、高変位吸収性、高耐久性とい
う要求性能を全て満足する実用価値の高いフレキシブル
チューブＡを提供することができる。

【００５２】（２）ベローズ３の両端部に、ベローズ３
の内周を覆う筒状に形成された第１インナーカバー８’
と第２インナーカバー８”を設けたため、ベローズ３に
対する熱影響の軽減と気流音の低減を達成することがで
きる。

【００５３】また、この実施の形態１のフレキシブルチ
ューブＡは、第１バネ１０’と第２バネ１０”として、
一端側（内側）の内径がプロテクタ外径と一致し、他端
側（外側）の外径が外筒部材５の内径と一致するＳ字状
バネを使用していると見ることができる。

【００５４】このバネ変更に伴い外筒部材５は、１本の
バネ鋼線から管軸方向に伸長したユニット部５０と両端
末部に形成したＳ字状の第１・第２バネから成る。外筒
部材５の管軸方向のユニット部５０の両端部のＳ字状部
を、支持・位置決めするように形成される、第１プロテ
クタ７’の第１プロテクタバネ支持部７ａ’と第２プロ
テクタ７”の第２プロテクタバネ支持部７ａ”とは、端
部をわずかに外側に屈曲させることにより形成すること
も可能である。

【００５５】（３）第１バネ１０’と第２バネ１０”と
を、一端側の渡り部１３’，１３”が成す円周の一部の
径がプロテクタ外径と一致し、他端側が成す円周が外筒
部材を形成するようにしたため、２分割の外筒部材５を
連結する溶接や深絞り加工によるバネ固定部の形成を要
さず、フレキシブルチューブＡの製造コストを低く抑え
ることができる。

【００５６】（実施の形態２）まず、構成を説明する。

【００５７】図１ないし図３において渡り部を削除した
形態が請求項１記載の発明に対応する実施の形態２の自
動車排気系用フレキシブルチューブ及びそれに適用する
外筒部材と引張・収縮を吸収するバネを示す説明図であ
る。

【００５８】すなわち、実施の形態２は図１〜図３にお
いて、外筒部材５の両端部に作る渡り部１３’，１３”
を形成しない形態である。従って、複数のバネ鋼線を適
用し、管軸方向にベローズ３を覆う長さを持ち伸長され
たユニット５０の、各々の両端部において図３に示すＳ
字状の第１・第２バネ１０’，１０”を形成し、それら
の各部材を、第１・第２プロテクター７’，７”の外周
面上に、例えば等間隔に適当な間隔で配設して、ベロー
ズ３を取り囲むように、スポット溶接にて固着させて、
第１・第２バネ１０’，１０”を備えた外筒部材５を構
成する［不図示］。

【００５９】この実施の形態２は、渡り部の材料費が節
減できるが、各ユニットの位置決めに工数が掛かること
と、バネの強度において実施の形態１に比し弱い。た
だ、ベローズ３の外周を取り囲む密度の選定に渡り部に
よる制約がない。

【００６０】そして、その他の作用効果については実施
の形態１に等しい。

【００６１】実施の形態１，２では、ベローズ３の両端
部にそれぞれインナーカバー８’，８”を設ける例を示
したが、ベローズ３の一端部のみにベローズ３の内周を
覆う筒状に形成されたインナーカバーを設けるようにし
ても良い。

【００６２】さらに、実施の形態１・２では、外筒部材
と第１排気管断面形状が円形であるフレキシブルチュー
ブの例を示したが、楕円形のフレキシブルチューブにお
いても同様の作用効果が得られる。

【００６３】

【発明の効果】請求項１記載の自動車排気系用フレキシ
ブルチューブにあっては、第１排気管と第２排気管に両
端部が接続され、両排気管の変位を吸収するベローズ
と、プレート材により前記ベローズの外周を部分的・間
欠的に覆う伸長したバネ鋼線で筒状に形成された外筒部
材と、ベローズの両端部にそれぞれ接続された第１プロ
テクタと第２プロテクタと、前記外筒部材の一端部を内
側に屈曲させてＳ字状にして第１プロテクタの外周面上
に固着させて第１バネを形成し、前記外筒部材の他端部
を内側に屈曲させてＳ字状にして第２プロテクタの外周
面上に固着させて第２バネを形成したため、小型で特に
軽重量化と成り、低コスト、高変位吸収性、高耐久性と
いう要求性能を全て満足する実用価値の高いフレキシブ
ルチューブを提供することができるという効果が得られ
る。

【００６４】さらに、請求項１・２記載の発明にあって
は、バネの一端部がベローズを覆う管軸方向に伸長され
たユニット部であり、他端部が第１・第２プロテクタに
固定結合させて管軸方向に作用するＳ字状の第１・第２
バネを形成しているから、ベローズの伸長・収縮の過大
な歪みに対向する反力が強く、１本のバネ鋼線から一つ
の連続した形状の外筒を作成でき、工数の節減と共に、
線状金属特有のバネ定数から自在にバネ圧を調整可能と
なる。

【００６５】さらにまた、請求項１・２記載の発明にあ
っては、バネ端部にその一方の限界を越えて弾性移動し
ないストッパを形成する必要がなく、このバネを適用す
る機器の伸縮限界から破壊の防止ができ、ワイヤメッシ
ュを用いない低コストで小型軽量の構成としながら、安
定した伸び変位規制量の管理とベローズの耐久性向上と
曲げ方向及び剪断方向の変位吸収の向上を達成すること
ができるという効果が得られる。

【００６６】請求項１・２記載の発明にあっては、外筒
部材を複数のバネ鋼線を管軸方向に伸長させてユニット
部を作り、ベローズの外周を間欠的に覆うように配設し
て外筒を形成すると共に、その両端部にＳ字状の第１バ
ネと第２バネとを構成して、各一端側のバネ外径がプロ
テクタ外径と一致し、他端側のバネがアウタカバー内径
と一致するＳ字状バネとしたため、上記効果に加え、２
分割の外筒部材を連結する溶接や深絞り加工によるバネ
固定部の形成を要さず、フレキシブルチューブの製造コ
ストを低く抑えることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施の形態１の自動車排気系用フレキシ
ブルチューブを示す半側断面図である。

【図２】図１の正面図である。

【図３】図１の一部（外筒部材）の構成を示す斜視図で
ある。

【図４】実施の形態１・２のフレキシブルチューブが適
用された自動車排気系を示す斜視図である。

【図５】実施の形態１・２の自動車排気系用フレキシブ
ルチューブのバネ吸収作用説明図である。

【図６】従来例１の自動車排気系用フレキシブルチュー
ブを示す半断面図である。

【図７】従来例２の自動車排気系用フレキシブルチュー
ブを示す正面図（イ）及び側面図（ロ）である。

【図８】従来例３の自動車排気系用フレキシブルチュー
ブを示す半断面図である。

【符号の説明】

Ａ フレキシブルチューブ １ 第１排気管 ２ 第２排気管 ３ ベローズ ５ 外筒部材 ７’ 第１プロテクタ ７” 第２プロテクタ ７ａ’ 第１プロテクタに設けたバネ支持部 ７ａ” 第２プロテクタに設けたバネ支持部 ８’ 第１インナーカバー ８” 第２インナーカバー １０’ 第１バネ １０” 第２バネ １１’ 第１バネの屈曲部 １１” 第２バネの屈曲部 １２’ 第１バネの管軸に並行部 １２” 第２バネの管軸に並行部 １３’ 第１バネの渡り部 １３” 第２バネの渡り部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 第１排気管（１）と第２排気管（２）に
   両端部が接続され、両排気管（１），（２）の変位を吸
   収するベローズ（３）と、 前記ベローズ（３）の外周を複数のバネ鋼線にて間欠的
   に取り囲むように管軸方向に伸長したユニット（５０）
   で形成された外筒部材（５）と、 ベローズ（３）の両端部にそれぞれ接続された第１プロ
   テクタ（７’）と第２プロテクタ（７”）と、 前記外筒部材（５）のユニット（５０）の一端部を内側
   に屈曲させてから、さらに管軸方向に伸ばしてＳ字状
   （５０→１１’→１２’）に形成し、その端末を第１プ
   ロテクタ（７’）上に固着させ、このＳ字状のバネ鋼線
   をベローズ（３）の端末外周を覆うように、管軸を中心
   にして放射的に複数（５ａ，５ｃ，５ｅ…）配置した第
   １バネ（１０’）と、 前記外筒部材（５）のユニット（５０）の他端部を内側
   に屈曲させてから、さらに管軸方向に伸ばしてＳ字状
   （５０→１１”→１２”）に形成し、その端末を第２プ
   ロテクタ（７”）上に固着させ、このＳ字状のバネ鋼線
   をベローズ（３）の端末外周を覆うように、管軸を中心
   にして放射的に複数（５ｂ，５ｄ，５ｆ…）配置した第
   ２バネ（１０”）とを備えることを特徴とする自動車排
   気系用フレキシブルチューブ。
2. 【請求項２】 請求項１記載の自動車排気系用フレキシ
   ブルチューブにおいて、 前記外筒部材（５）のそれぞれのユニット（５０）の管
   軸方向の両端部にて、隣への渡り部分（１３’，１
   ３”）を設けながらＳ字状（５０→１１’→１２’，５
   ０→１１”→１２”）に連続成形することにより、ベロ
   ーズ（３）の外周の管軸方向に前記外筒部材（５）の複
   数のユニット（５０）が、１本のバネ鋼線にて配置され
   たことを特徴とする自動車排気系用フレキシブルチュー
   ブ。