JPH10150958A

JPH10150958A - 酸性飲料

Info

Publication number: JPH10150958A
Application number: JP8310619A
Authority: JP
Inventors: Tsutomu Kondo; 務近藤
Original assignee: Mitsubishi Chemical Corp
Current assignee: Mitsubishi Chemical Corp
Priority date: 1996-11-21
Filing date: 1996-11-21
Publication date: 1998-06-09
Anticipated expiration: 2016-11-21
Also published as: JP3498505B2

Abstract

(57)【要約】【課題】低カロリーで優れた甘味を呈する酸性飲料。【解決手段】エリスリトール１〜６重量％、高甘味度
甘味料０．００５〜０．０３重量％含有してなるｐＨ
２．７〜４．５である酸性飲料。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は甘味料としてエリス
リトール、高甘味度甘味料を含有する、特に低カロリー
で嗜好性ある良好な酸性飲料に存する。

【０００２】

【従来の技術】酸性飲料として果汁飲料、野菜飲料等が
あるが、オレンジ、リンゴなどの１００％果汁飲料に甘
味料を加えることはないがそれ以外、例えば果汁５０％
以下の飲料は甘さを補う目的で主に蔗糖や異性化糖など
の甘味料を加え、さらに酸剤、フレーバーを加え容器に
充填したもので、そのさわやかな果汁感に特徴があり大
変好まれる飲料である。

【０００３】果汁５０％以下の飲料は嗜好性の高い飲料
である。しかし、これら飲料は甘味料を加えるので、カ
ロリーは４０〜５０ (ｋｃａｌ／１００ｇ）と高いこと
が問題になっている。このため、飲料業界では蔗糖、異
性化糖を低減した低カロリーを図った飲料が多数開発さ
れ、既に市販されているものもある。しかし、高甘味度
甘味料、例えばアスパルテーム、ステビアを主体に用い
たものは後味に長く甘味が残存し嗜好的に好ましくない
欠点がある。

【０００４】最近になってエリスリトールやマルチトー
ル等の甘味料の製造方法が開発され、低カロリー性や非
う蝕性を生かして特徴のある甘味料として販売されてき
ており、これを種々の甘味食品へ利用することが試みら
れている。エリスリトールは四炭糖の糖アルコールで、
水に溶け、非常に結晶し易く、結晶は美麗で白色であ
る。甘味の強さは蔗糖の７５〜８５％であり、食すると
爽やかな冷感を感じ、エリスリトールは天然にも存在
し、カロリーが０という特徴を有するものである。しか
し、エリスリトール主体で甘味を付与すると後味に収斂
味を感じるなど欠点があり、工業的にはぶどう糖を原料
に酵母発酵により製造されるものであり、価格は蔗糖の
４〜５倍と高いのでエリスリトールを主体として甘味を
付与する飲料の提供は実際的ではなかった。甘味をマル
チトール主体で付与すると、マルチトールは一定量（２
０〜３０ｇ）以上を食すると下痢を起こし易い欠点があ
ると言われている。

【０００５】

【発明が解決しようとしている課題】本発明の課題は、
低カロリーで優れた甘味を呈する酸性飲料を提供するに
ある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明者は飲料に関して
味覚、カロリー両面に於いて優れた飲料を検討した結
果、エリスリトールと高甘味度甘味料とマルチトールを
組み合わせることによって優れた飲料を提供できること
を見いだし本発明を完成させた。即ち本発明は、エリス
リトールと高甘味度甘味料またはこれにマルチトールを
含有する飲料であって、エリスリトールを１〜６重量
％、高甘味度甘味料を０．００５〜０．０３重量％含有
しｐＨが２．７〜４．５であることを特徴とする酸性飲
料に存する。

【０００７】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
於いて用いられるエリスリトール（ＥＲＴと略すること
がある）の含有量は、飲料の低カロリー性及び爽やかな
食感を得るために、飲料の１〜６重量％とする。甘味料
をエリスリトールだけ用いたものは後味に収斂味を感じ
好ましくない。また、エリスリトールの価格からエリス
リトール主体で甘味を付与することは実際困難である。

【０００８】本発明に於いて用いられる高甘味度甘味料
の含有量は、飲料の低カロリー性及び甘味の向上、しつ
こさの抑制を得るために、飲料の０．００５〜０．０３
重量％とする。高甘味度甘味料としては、アスパルテー
ム（ＡＳＰと略することがある）、ステビア（ＳＴＢと
略することがある）の他サッカリン、サッカリンナトリ
ウム、グリチルリチン、アセスルファムカリウム、シュ
クラロース等が挙げられ、中でもステビアが好ましい。
ステビアとしてはステビオサイド、レバウデオサイド
Ａ、α−グリコシルステビオサイドが用いられる。アス
パルテームもステビアと同様に用いることができるが、
酸性溶液中では、経日により甘味が低下することが知ら
れており長期間保存するものには不適な場合がある。し
かし、保存期間が短期の場合はアスパルテームの甘味質
は蔗糖に近いことからステビアと併用してもよい。

【０００９】本発明の飲料におけるｐＨは、２．７〜
４．５である。２．７に満たないと酸味が強く、又、
４．５をこえると甘味がしつこいことがあり、好ましく
ない。また、本発明に於いては、甘味の質感を出すため
にマルチトールを併用するのが好ましい。その含有量
は、飲料の低カロリー性及び甘味の質感を充実させるた
めに、飲料の１〜５重量％が良い。この際、本発明の飲
料の甘味料のカロリー由来は主にマルチトールによる。
マルチトールはその甘味質の良好なこと、また蔗糖の
０．８５倍の甘味が感じること、蔗糖の１／２のカロリ
ーから低カロリー甘味料といえるが、大量摂取は下痢を
生ずる場合もあるので、すなわち、一般に飲料１缶の重
量を３５０ｇに設定するとマルチトールを２０ｇ以下と
するのが望ましい。

【００１０】また、特に限定されるものでないが、低う
蝕性の見地から糖アルコールとしては、例えばソルビト
ール、ラクチトールのように従来から食品用に使用され
ている糖アルコールが用いられる他、デキストリン還元
物やオリゴ糖還元物を含む還元澱粉分解物などを用いて
も良い。本発明においては低カロリー性を損なわない範
囲であれば、上記の糖アルコールに代えてぶどう糖、マ
ルチトール、水飴、異性化糖などの糖類及び／又はカッ
プリングシュガー、パラチノースなどを使用することも
可能である。

【００１１】本発明を応用できる酸性飲料の種類として
は果汁入り飲料、野菜飲料、栄養飲料等があるが、特に
果汁入り飲料に用いることで、さわやかな酸味と甘味、
且つ低カロリーを同時に実現でき、好ましい。果汁１０
０％飲料は甘味料を加えることはほとんどないことから
低カロリー化は困難である。厚生省生衛第１５７号によ
れば飲用に供する食品１００ｍｌあたり５ｋｃａｌ以下
であればノンカロリー、２０ｋｃａｌ以下であれば低カ
ロリーであることが記載されており、又飲用食品にあっ
ては５ｋｃａｌ／１００ｇ以下であればノンカロリーの
表示であり、本発明の表現もこれに基づく。低カロリー
飲料は２０ｋｃａｌ／１００ｇ以下なので、例えば、ぶ
どう１００％飲料（天然果汁）は５６ｋｃａｌ／１００
ｇであるから果汁量３７％以下でノンカロリーの甘味料
を用いなければ低カロリー化は不可能であるため、本発
明における果汁入り飲料の果汁量は５０％以下、特に３
０％以下のものが好ましい。又、レモン果汁などは２０
％以下の飲料であればノンカロリーと表示することがで
きる。

【００１２】用いる果汁としては、例えば温州みかん、
夏みかん、バレンシオレンジ、レモン、ライム、グレー
プフルーツ、カボス、グレープ、アップル、なし、も
も、あんず、うめ、バナナ、パイナップル、イチゴ、メ
ロン、パッションフルーツ、プルーン、その果汁が挙げ
られる。これら酸性飲料の製造方法は果汁にノンカロリ
ー甘味料、低カロリー甘味料、フレーバー、必要に応じ
酸味料を加え常法に従って製造すればよい。

【００１３】これらの飲料は必要に応じて酸味料を用い
ても良く、具体的にはクエン酸、酒石酸、乳酸、りんご
酸、酢酸、リン酸、Ｌ−アスコルビン酸などの有機酸が
用いられる。その他調整剤としてクエン酸ナトリウム等
を用いることができる。有機酸添加量はフレーバ、果汁
の種類より異なるが果汁量が３０％以下であればｐＨは
２．７〜３．７の範囲に調整した量が風味上好ましく、
例えば、レモンなどはｐＨ２．７〜２．９、グレープフ
ルーツは２．９２〜３．０８の範囲が好ましい。果汁量
が増加すると嗜好的に好ましいｐＨは若干高くなる。

【００１４】

【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の
実施例に限定されるものでない。また、各種甘味料の甘
味度及びカロリー値は表−１の通りである。

【００１５】

【表１】表−１各種甘味料の甘味度、カロリー甘味料甘味度カロリーkcal/100g ────────────────────────── 蔗糖１４００マルチトール０．８５２００エリスリトール０．７５０アスパルテーム２００ − ステビア２００ − ──────────────────────────

【００１６】＜実施例１〜７、比較例１〜５＞レモン果
汁２重量部、レモンフレーバ０．１５重量部、下記記載
の甘味料を水で１００重量部に調整した後、温度８５℃
に加熱した後、金属缶容器に充填、冷水で冷却する。ｐ
Ｈは２．９２であった。実験にあたり各実施例及び比較
例の甘味度は表−１から算出し同じ甘味度９であり、甘
味料混合による甘味の相乗効果は配慮していない。官能
評価は長く食品開発研究に従事した３名のパネルで評価
した。カロリーと官能評価結果は表−２の通りである。

【００１７】

【表２】

【００１８】

【表３】カロリーはｋｃａｌ／１００ｇ評価説明 ○；甘味質良好後味残らない ×；後味まずい ××；後味長く残る好ましくない

【００１９】実施例１〜７は甘味質良好、カロリーは０
〜９．２ (ｋｃａｌ／１００ｇ）とノンカロリー及び低
カロリーな飲料である。甘味をステビア主体で付与した
比較例２、３は後味に甘味が残存し好ましくない。また
エリスリトール主体で甘味を付与した比較例４は後味に
収斂味を感じ好ましくない。マルチトール主体のものは
甘味質はやや劣り３５０ｍｌを想定するとマルチトール
は３７ｇ存在することになり下痢を生じる可能性は高
い。

【００２０】＜実施例８〜１５＞レモン果汁１．６重量
部、レモンフレーバ０．１５重量部、表−３記載の甘味
料を加え水で１００重量部に調整した後、実施例１と同
様金属缶に充填、冷却後官能評価を行った。ｐＨは３．
０である。官能評価結果は表−３の通りである。

【００２１】

【表４】

【００２２】実施例８〜１５はｐＨ３．０で甘味質良
好、甘味料のカロリーは０である。＜実施例１６〜１８、比較例６、７＞レモン果汁０〜６
重量部、レモンフレーバ０．１５重量部、エリスリトー
ル６重量部、ステビア０．０２７５重量部を水で１００
重量部に調整した後、実施例１と同様金属缶に充填、殺
菌、冷却後官能評価を行った。官能評価結果は表−４の
通りである。

【００２３】

【表５】

【００２４】レモン果汁でｐＨを調整したものは果汁を
加えないものはステビアの味が後味に残りまずい。また
ｐＨが２．７未満であると酸味がつよく酸っぱい。＜実施例１９〜２３＞グレープフルーツ果汁５重量部、
フレーバー１重量部、エリスリトール２．５重量部、ス
テビア０．０１５重量部を水で１００重量部に調整した
後、実施例１と同様金属缶に充填、冷却後官能評価を行
った。官能評価結果は表−５の通りである。

【００２５】

【表６】

【００２６】グレープフルーツ果汁５％飲料の場合、特
に好ましいｐＨの範囲は２．９７〜３．０２である。ｐ
Ｈが３．０９以上あると甘味に重点をおいた商品とな
り、又、ｐＨが２．９以下では酸味を強調したものとな
り、嗜好にあわせて処方を調整できる。＜実施例２４〜２８＞グレープフルーツ果汁１０重量
部、フレーバー０．１重量部、エリスリトール２．５重
量部、ステビア０．０１５重量部を水で１００重量部に
調整した後、実施例１と同様金属缶に充填、冷却後官能
評価を行った。官能評価結果は表−６の通りである。

【００２７】

【表７】

【００２８】グレープフルーツ果汁１０％飲料の場合、
特に好ましいｐＨの範囲は２．９６〜３．０５である。
ｐＨが３．０５以上あると甘味に重点をおいたものとな
り、又、ｐＨが２．９２以下は酸味が強調されたものと
なるので、嗜好にあわせて処方を調整すればよい。材料説明エリスリトール三菱化学フーズ（株）結晶エリスリトールマルチトール東京化成（株）試薬純度９８％レモン果汁東京果汁（株）フレーバ長谷川香料（株）レモンＢＦ−５０７グレープフルーツＭ−６３２協和香料化学（株）ヨーグルトフレーバＦＫＹ−４４０ステビア守田化学（株）レバウディオＡ９−９０ＣＴアスパルテーム味の素（株）

【００２９】

【発明の効果】本発明の酸性飲料は低う蝕性であり、低
カロリーまたはノンカロリーで嗜好性の高い良好な酸性
飲料である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号ＦＩＡ２３Ｌ 1/236 Ａ２３Ｌ 1/236 Ｂ 2/00 ＤＣ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】エリスリトールを１〜６重量％、高甘味
度甘味料を０．００５〜０．０３重量％含有してなる、
ｐＨ２．７〜４．５である酸性飲料。
【請求項２】マルチトールを１〜５重量％、を含有し
てなる請求項１に記載の酸性飲料。
【請求項３】高甘味度甘味料がステビア又はアスパル
テームであることを特徴とする請求項１に記載の酸性飲
料。
【請求項４】果汁量が５０％以下の飲料であることを
特徴とする請求項１に記載の酸性飲料。