JPH10148212A - 動圧流体軸受装置 - Google Patents

動圧流体軸受装置

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JPH10148212A
JPH10148212A JP30964496A JP30964496A JPH10148212A JP H10148212 A JPH10148212 A JP H10148212A JP 30964496 A JP30964496 A JP 30964496A JP 30964496 A JP30964496 A JP 30964496A JP H10148212 A JPH10148212 A JP H10148212A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 潤滑流体が蒸発して気体または微粒子状態で
流出することを防止することができる動圧流体軸受装置
を提供すること。 【解決手段】 スリーブ部材26と、スリーブ部材26
に対して相対的に回転自在である軸部材24と、軸部材
24とスリーブ部材26との間の間隙に充填された潤滑
流体45とを備えた動圧流体軸受装置。潤滑流体45と
空気との境界面56,60付近における空気の圧力を高
めるための手段が設けられている。この空気の圧力を高
める手段は螺旋状溝64,66から構成され、スリーブ
部材26と軸部材24との相対的回転によって、境界面
56,60に向かう空気流が発生する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハードディスク駆
動装置用、CD−ROM駆動装置用スピンドルモータ
や、レーザビームプリンタ用モータ等の小型精密モータ
その他に用いられる、潤滑流体を利用した動圧流体軸受
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】動圧流体軸受装置は、軸部材と、軸部材
に対して相対的に回転自在であるスリーブ部材とを備
え、軸部材の外周面とスリーブ部材の内周面との一方ま
たは双方に動圧溝が形成されている。軸部材とスリーブ
部材とが相対的に回転されると、動圧溝のポンピング作
用によって動圧溝が形成された部位の潤滑流体の圧力が
高められ、かく発生する圧力によってスリーブ部材と軸
部材とが潤滑流体を介して回転自在に軸受支持される。
【0003】この種の動圧流体軸受装置を軸固定型のモ
ータに適用する場合には、軸部材がモータのベースプレ
ート等の固定部材に装着され、スリーブ部材がロータで
ある回転部材に装着される。また、これを軸回転型のモ
ータに適用する場合には、軸部材が回転部材に装着さ
れ、スリーブ部材が固定部材に装着される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した動圧流体軸受
装置においては、潤滑流体の外部への流出を防止するた
めに、潤滑流体と空気との境界面またはその外側にテー
パシール構造が設けられている。テーパシール構造は、
軸部材およびスリーブ部材の一方または両方の対向面が
傾斜するように形成され、対向するスリーブ部材と軸部
材との間隔が上記境界面の外側に向けて直線状に大きく
なるように形成される。このようなテーパシール構造を
設けた場合には、潤滑流体と空気との境界面が上記テー
パ部に位置し、このテーパ部にて潤滑流体の表面張力に
よって潤滑流体に内方の力が作用し、この内方への力に
よって潤滑流体の流出が防止される。
【0005】また動圧流体軸受装置は、上記境界面から
外部に至る部分にラビリンス構造が設けられている。ラ
ビリンスシール構造は、軸部材に形成または装着された
第1のラビリンス部材とスリーブ部材に形成または装着
された第2のラビリンス部材を備え、第1および第2の
ラビリンス部材の相互に対向する面に設けられた突起に
よって両者間に複雑な通路を規定する。このようなラビ
リンスシール構造を設けた場合には、第1および第2の
ラビリンス部材の間に規定される通路は、その間隔が小
さく、またその形状が複雑であるので、この通路を通し
ての潤滑流体の流れが制限され、これによって潤滑流体
の流出が防止される。このように潤滑流体の流出は、テ
ーパシール構造およびラビリンスシール構造の一方また
は両方の協同作用によって防止される。
【0006】しかしながら、この種の動圧流体軸受装置
においては、潤滑流体と空気との境界面から潤滑流体が
蒸発し、気体または微粒子状態の潤滑流体を含む空気が
外部に流出することは防止できない。そして、従来の装
置では、このような気体または微粒子状態の潤滑流体の
漏れを防止するための構造、手段が採用されていない。
それ故に、長期に渡って動圧流体軸受装置を使用する
と、潤滑流体の上述した漏れによって潤滑流体の量が減
少し、その減少量が大きくなると動圧流体軸受装置が寿
命となる。そのような従来の動圧流体軸受装置をモータ
に適用した場合には、モータの回転中は高温となるため
に、潤滑流体は蒸発して気体または微粒子状態になり易
く、それ故に、潤滑流体の上述した漏れ量も多くなり、
動圧流体軸受装置の寿命が短くなる。
【0007】本発明は、上述したように潤滑流体が蒸発
して気体または微粒子状態で流出することを抑えること
ができる動圧流体軸受装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、スリーブ部材
と、スリーブ部材に対して相対的に回転自在である軸部
材と、軸部材とスリーブ部材との間の間隙に充填された
潤滑流体とを備えた動圧流体軸受装置において、潤滑流
体と空気との境界面付近における空気の圧力を高めるた
めの手段が設けられていることを特徴とする動圧流体軸
受装置である。本発明に従えば、潤滑流体と空気との境
界面付近の圧力を高めるための手段が設けられているの
で、かかる手段の作用によって境界面付近の圧力が高め
られ、これによって潤滑流体の蒸気圧が高めに維持さ
れ、更なる潤滑流体の蒸発が抑えられ、その結果、潤滑
流体の気体または微粒子状態での流出が抑えられる。な
お、従来から、たとえば実開平1−86454号公報お
よび米国特許第4,996,613号明細書に開示され
ているように、ボールベアリングを介して相対回転可能
に連結された、モータの軸部材とハブのような円筒部材
をボールベアリングの外側において微少隙間を介して嵌
合、対向させ、それらの対向面の一方に螺旋状の溝を形
成したのものが知られている。このようなモータにおい
ては、軸部材と円筒部材とが所定方向に相対的に回転す
ると、螺旋状溝によりモータ外部から内部への空気流が
生じ、ボールベアリングの潤滑油やその蒸気をモータ内
部に導き、モータ外に流出するのを防止している。この
公知のものは、モータの外部から内部に向かって空気流
を作る点においては、本発明と似ているものの、潤滑流
体と空気との界面付近における空気の圧力に対する配
慮、考察はなく、課題、構成、効果のいずれの点におい
ても異なるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発
明に従う動圧流体軸受装置の実施形態について説明す
る。図1は、本発明に従う動圧流体軸受装置の一実施形
態を備えたハードディスク駆動装置用スピンドルモータ
の一例を示す断面図であり、図2は、図1のモータの一
部を切欠いて断面で示す部分拡大斜視図である。
【0010】図1および図2において、図示のスピンド
ルモータは、固定部材を構成するベースプレート2を備
えている。このベースプレート2は、ハードディスク駆
動装置のベース基板(図示せず)に取付けられる。ベー
スプレート2には、動圧流体軸受装置4を介して、回転
部材を構成するロータ6が回転自在に支持されている。
ロータ6は、円筒状のハブ本体8を備えている。ハブ本
体8の下端部には、半径方向外方に突出するフランジ状
ディスク載置部10が設けられ、このディスク載置部1
0に磁気ディスクが所定の間隔を置いて複数枚取付けら
れる。ハブ本体8の内周面には、ロータマグネット12
が装着され、このロータマグネット12に対向してステ
ータ14がベースプレート2に配設されている。ステー
タ14は、複数枚のコアプレートを積層したステータコ
ア18と、このステータコア18に巻かれたコイル20
から構成され、ステータコア18がベースプレート2の
環状突壁22に固定されている。
【0011】次いで、動圧流体軸受装置4について説明
すると、図示の動圧流体軸受装置4は、軸部材24とス
リーブ部材26とを備えている。軸部材24は、断面が
円形状の細長い軸部28を有し、この軸部28の一端部
がベースプレート2に固定されている。軸部28の他端
部近傍には、円盤状部材30が一体的に設けられ、この
円盤状部材30が軸部28から半径方向外方に突出する
フランジ部32を構成している。本実施形態では、軸部
28と円盤状部材30とは別体に形成しているが、両者
を一体に形成してもよい。このように構成されているの
で、軸部材24はベースプレート2に固定され、これと
ともに固定組立体を構成する。
【0012】スリーブ部材26は、中空円筒状のスリー
ブ部材本体34を備えている。スリーブ部材本体34
は、内径が小さい小内径部36、内径が上記小内径部3
6より大きい中内径部38、および内径が上記中内径部
38よりも大きい大内径部40を有している。また、ス
リーブ部材本体34の大内径部40には、これと一体的
に回転するようにキャップ部材44が装着されている。
このようなスリーブ部材26と軸部材24とは、軸部2
8の一端部近傍からフランジ部32の一面、その外周面
およびその他面に渡って連続した間隙を規定し、この間
隙に潤滑流体45としての潤滑油が充填される。このス
リーブ部材26は、ロータ6とともに回転組立体を構成
する。
【0013】この実施形態では、動圧流体軸受装置4の
ラジアル動圧溝およびスラスト動圧溝は、次のとおりに
設けられている。すなわち、ラジアル動圧溝46,48
は、スリーブ部材26の小内径部36の内周面に、その
軸線方向(図1において上下方向)に間隔を置いて設け
られ、軸部28との相対回転により発生する潤滑流体4
5の動圧によって軸部材24に作用するラジアル力を支
持する。ラジアル動圧溝46,48は、へリングボー
ン、スパイラル等の形状でよく、スリーブ部材26の内
周面に形成することに代えて、軸部材24の外周面に、
またはスリーブ部材26の内周面および軸部材24の外
周面の双方に形成することができる。また、スラスト動
圧溝50,52は、軸部材24のフランジ部32の両面
に設けられ、スリーブ部材26との相対回転より発生す
る潤滑流体45の動圧によって軸部材に作用するスラス
ト力を支持する。スラスト動圧溝50,52は、へリン
グボーン、スパイラル等の形状でよく、フランジ部32
の両面に設けることに代えて、またはこれらとともにこ
のフランジ部32の両面に対向するスリーブ部材本体3
4の接続部42の内面およびキャップ部材44の内面に
設けることもできる。
【0014】本実施形態では、軸部材24のフランジ部
32の外側の面(図1において上側の面)に対向するキ
ャップ部材44の内面には、フランジ部32の上面と協
働して、テーパシール構造を構成するテーパシール部5
4が設けられている。テーパシール部54は、半径方向
外方に向けてフランジ部32との間隔が狭くなるような
傾斜面から構成され、フランジ部32の外側の面と協働
して断面楔状環状のテーパ状空間を規定する。軸部材2
4とスリーブ部材26との間の間隙に注入される潤滑流
体45は、片側境界面56(図1にいて上側に位置する
境界面であって、潤滑流体45と空気との境界面)がこ
の断面楔状の環状空間に位置するように充填され、テー
パシール部54は、表面張力によって潤滑流体45に半
径方向外方に、換言すると環状のテーパ状空間が狭くな
る方向に力を付与し、これによって潤滑流体45の外部
への流出が防止される。テーパシール部54は、キャッ
プ部材44の内面に代えて、またはこれとともにフラン
ジ部32の外側の面に設けることもできる。
【0015】また、軸部材24の軸部28の一端部(ベ
ースプレート2に固定された部位の上側部位)の外周面
には、テーパシール構造を構成するテーパシール部58
が設けられている。テーパシール部58は、軸線方向下
方に向けてスリーブ部材本体34の小内径部36との間
隔が広くなるような傾斜面から構成され、スリーブ部材
26の小内径部36の内周面と協働して断面楔状の環状
空間を規定する。軸部材24とスリーブ部材26との間
の間隙に注入される潤滑流体45は、他側境界面60
(図1にいて下側に位置する境界面)がこの断面楔状の
環状空間に位置するように充填され、テーパシール部5
8は、表面張力によって潤滑流体45に軸線方向内方
に、換言すると環状のテーパ状空間が狭くなる方向に力
を付与し、これによって潤滑流体45の外部への流出が
防止される。テーパシール部58は、軸部材24の外周
面に代えて、またはこれとともに、スリーブ部材26の
小内径部36の内周面に設けることもできる。
【0016】このモータに適用された動圧流体軸受装置
4には、さらに、潤滑流体45と空気との境界面56,
60近傍の空気の圧力を高めるための手段が、上記境界
面56,60の外側に設けられている。軸部材24の軸
部28の他端には、プレート部材62が固定されてい
る。そして、このプレート部材62に対応して、キャッ
プ部材44の外面には、この大部分を収容するための凹
部63が形成され、この凹部63の底面に、すなわちプ
レート部材62と対向するキャップ部材44の外面に、
図2に示すように間隔を置いて複数個の螺旋溝64が形
成されている。この螺旋溝64は、外部から上記境界面
56に向けて空気流を生成する空気流発生溝として機能
する。空気流発生溝としては、螺旋形状に限定されるこ
となく、プレート部材62に対するキャップ部材44の
相対的回転によって外部から上記境界面56に向けう空
気流を発生する適宜の形状でよい。
【0017】プレート部材62とこれに対向するキャッ
プ部材44との間隔は僅かで50μm以下が望ましい。
このような構成において、軸部材24、したがって固定
組立体に対してスリーブ部材26、したがって回転組立
体が所定の方向に回動されると、螺旋状溝64の作用に
よって外部から上記境界面56に向かう空気流が生成さ
れる。そして、かかる空気流の作用によって、境界面5
6から蒸発した潤滑流体45の気体または微粒子を含む
空気が境界面56付近に封じ込まれ、潤滑流体45の外
部への流出が防止される。また、このような空気流によ
って上記境界面56付近、すなわち、境界面56から螺
旋状溝56が設けられている部位までの間の空間におけ
る空気の圧力が上昇され、これによって上記境界面56
付近の潤滑流体45の蒸気圧を高めに維持することがで
き、潤滑流体45の更なる蒸発が防止される。特に、モ
ータが回転しているときには、軸部材24とスリーブ部
材26との相対的回転によって潤滑流体45の温度も上
昇し、潤滑流体45の蒸発量も多くなる傾向にあるが、
このようにモータ回転中、境界面46付近の潤滑流体4
5の蒸気圧が高めに維持されるので、潤滑流体45の蒸
発量自体も少なくすることができる。
【0018】潤滑流体45の片側の境界面56に関連し
て、螺旋状溝64をキャップ部材44の外面、詳しくは
凹部63の底面に設けているが、これに代えて、プレー
ト部材62の内面に、またはキャップ部材44の外面お
よびプレート部材62の内面の双方に設けることもでき
る。また、実施形態では、上記境界面56から外部に至
る空気通路(その片側の面はキャップ部材44における
テーパシール部54、内周面44a、凹部63の底面お
よび凹部63の内周面63aによって規定され、それに
対向する他側の面はフランジ部30の外側の面、軸部材
24の軸部28の外周面ならびにプレート部材62の内
面および外周面によって規定されている)におけるキャ
ップ部材44の外面に螺旋溝64を設けているが、この
部位に代えて、またはこの部位に加えて、上記空気通路
のその他の部位、たとえばキャップ部材44の内周面、
これと対向す軸部材24の外周面、キャップ部材44の
凹部63の内周面、これと対向するプレート部材62の
外周面等に設けることもできる。
【0019】また、潤滑流体45の他側の境界面60に
関連して設けられた空気の圧力を高める手段は、図示し
ていないが、スリーブ部材26の小内径部36の下端面
36aに形成された螺旋状溝66により構成されてい
る。この螺旋状溝66は、外部から上記境界面60に向
けて空気流を生成する空気流発生溝として機能すれば、
螺旋形状以外の他の形状でもよい。
【0020】スリーブ部材26の小内径部36の下端面
36aとこれと対向するベースプレート2との間隔は僅
かであり、それ故に、上述したように、軸部材24、し
たがって固定組立体に対してスリーブ部材26、したが
って回転組立体が所定の方向に回動されると、上記螺旋
状溝の作用によって外部から上記境界面60に向かう空
気流が生成される。そして、かかる空気流の作用によっ
て、境界面60から蒸発した潤滑流体45の気体または
微粒子を含む空気が境界面60付近に押し込まれ、潤滑
流体45の外部への流出が防止される。また、このよう
な空気流によって上記境界面60付近、すなわち、境界
面60から上記螺旋状溝が設けられている部位までの間
の空間における空気の圧力が上昇され、これによって上
記境界面60付近の潤滑流体45の蒸気圧を高めに維持
することができ、上述したと同様の作用効果が達成され
る。
【0021】潤滑流体45の他側の境界面60に関連し
て、螺旋状溝をスリーブ部材26の小内径部36の端面
に設けているが、これに代えて、ベースプレート2の内
面に、またはベースプレート2の内面および小内径部3
6の端面の双方に設けることもできる。また、実施形態
では、上記境界面60から外部に至る空気通路(その片
側面はベースプレート2の内面および環状壁部22の内
周面によって規定され、その他側面はスリーブ部材26
の小内径部36の端面36aおよび外周面によって規定
されている)における上記端面36aに螺旋溝を設けて
いるが、この部位に代えて、またはこの部位に加えて、
上記空気通路のその他の部位、たとえば環状壁部22の
内周面、これと対向する小内径部36の外周面等にに設
けることもできる。
【0022】以上、本発明に従う動圧流体軸受装置の第
1の実施形態を軸固定型のモータに適用して説明した
が、このような動圧軸受装置は軸回転型のモータにも同
様に適用することができる。
【0023】図3は、本発明に従う動圧流体軸受装置を
軸回転型のモータに適用した第2の実施形態を示してい
る。図3において、図示のスピンドルモータは、固定部
材を構成するベースプレート102を備えている。この
ベースプレート102は、ハードディスク駆動装置のベ
ース基板(図示せず)に取付けられる。ベースプレート
102には、動圧流体軸受装置104を介して、回転部
材を構成するロータ106が回転自在に支持されてい
る。ロータ106は、カップ状のハブ本体108を備え
ている。ハブ本体108の下端部には、半径方向外方に
突出するフランジ状ディスク載置部110が設けられ、
このディスク載置部110に磁気ディスクが所定の間隔
を置いて複数枚取付けられる。ハブ本体108の内周面
には、ロータマグネット112が装着され、このロータ
マグネット112に対向してステータ114が配設され
ている。ステータ114は、ステータコア116と、こ
のステータコア116に巻かれたコイル118から構成
されている。
【0024】図示の動圧流体軸受装置104は、軸部材
120とスリーブ部材122とを備えている。軸部材1
20は、断面が円形状の細長い軸本体124を有し、こ
の軸本体124の上端部は、スリーブ部材122から上
方に突出しており、軸本体124のこの突出端部にハブ
本体108が固定されている。スリーブ部材122は、
中空円筒状のスリーブ部材本体124を備えている。ス
リーブ部材本体124は、中空円筒状の部材から構成さ
れ、その一端(下端)には、閉塞部材126が固定され
ており、かく閉塞部材126を固定することによってス
リーブ部材122は、上面が開放された円筒状の収容凹
部128を規定する。軸部材120の先端側は収容凹部
128に収容され、このようなスリーブ部材122と軸
部材120とは、軸本体124の先端面(下端面)から
その基部(上端部)に渡って連続した間隙を規定し、こ
の間隙に潤滑流体130が充填される。
【0025】この実施形態では、スリーブ部材122の
一端部がベースプレート102に固定され、このスリー
ブ部材122はベースプレート102とともに固定組立
体を構成する。また、軸部材120はハブ本体108に
固定され、ハブ本体108とともに回転組立体を構成す
る。
【0026】この実施形態では、動圧流体軸受装置10
4のラジアル動圧溝およびスラスト動圧溝は、次のとお
りに設けられている。すなわち、ラジアル動圧溝13
2,134は、軸本体124の外周面にその軸線方向
(図3において上下方向)に間隔を置いて設けられ、ス
リーブ部材122との相対的回転により発生する潤滑流
体130の動圧によって軸部材120に作用するラジア
ル力を支持する。ラジアル動圧溝132,134は、へ
リングボーン、スパイラル等の形状でよく、軸部材12
0の外周面に形成することに代えて、またはこれととも
に、スリーブ部材本体124の内周面に形成することも
できる。また、スラスト動圧溝(図示せず)は、閉塞部
材126の内面(軸部材120の先端面と対向する面)
に設けられ、軸部材120との相対的回転により発生す
る潤滑流体130の動圧によって軸部材120に作用す
るスラスト力を支持する。このスラスト動圧溝は、へリ
ングボーン、スパイラル等の形状でよく、閉塞部材12
6の内面に代えて、またはこれとともに軸部材120の
先端面に設けることもできる。
【0027】本実施形態では、軸部材120の基部の外
周面に、テーパシール構造を構成するテーパシール部1
38が設けられている。テーパシール部138は、軸線
方向上方に向けてスリーブ部材本体124との間隔が広
くなるような傾斜面から構成され、スリーブ部材本体1
24の内周面と協働して断面楔状の環状空間を規定す
る。軸部材120とスリーブ部材122との間の間隙に
注入される潤滑流体130は、境界面140がこの環状
のテーパ状空間に位置するように充填され、テーパシー
ル部140は、表面張力によって潤滑流体130に軸線
方向内方に、換言すると環状のテーパ状空間が狭くなる
方向に力を付与し、これによって潤滑流体130の外部
への流出が防止される。テーパシール部138は、軸部
材120の外周面に代えて、またはこれとともに、スリ
ーブ部材122の内周面に設けることもできる。
【0028】この動圧流体軸受装置104には、さら
に、潤滑流体130と空気との境界面140近傍の空気
の圧力を高めるための手段が、上記境界面140の外側
に設けられている。この実施形態においては、ハブ本体
108の端壁部144の内周部に間隔を置いて複数個の
螺旋状溝142が設けられている。この螺旋状溝142
は、外部から上記境界面140に向けて空気流を生成す
る空気流発生溝として機能する。空気流発生溝として
は、スリーブ部材124に対するハブ本体108の相対
的回転によって外部から上記境界面140に向けう空気
流を発生する適宜の形状でよい。
【0029】ハブ本体108の端壁部144とこれに対
向するスリーブ部材本体124の端面124aとの間隔
は僅かであり、それ故に、スリーブ部材122、したが
って固定組立体に対して軸部材120、したがって回転
組立体が所定の方向に回動されると、螺旋状溝142の
作用によって外部から上記境界面140に向かう空気流
が生成される。そして、かかる空気流の作用によって、
境界面140から蒸発した潤滑流体130の気体または
微粒子を含む空気が境界面140付近に封じ込まれ、潤
滑流体130の外部への流出が防止される。また、この
ような空気流によって上記境界面140付近、すなわ
ち、境界面140から螺旋状溝142が設けられている
部位までの間の空間における空気の圧力が上昇され、こ
れによって上記境界面124a付近の潤滑流体130の
蒸気圧を高めに維持することができ、潤滑流体130の
更なる蒸発が防止される。したがって、上述した第1の
実施形態と同様の効果が達成される。
【0030】潤滑流体130の境界面140に関連し
て、螺旋状溝142をハブ本体108の端壁部144の
内面に設けているが、これに代えて、またはこれととも
にスリーブ部材本体124の端面124aに設けること
もできる。なお、この形態では、上記境界面140から
外部に至る空気通路は、その片側がハブ本体108の端
壁部144の内面によって規定され、その他側がスリー
ブ部材本体124の端面124aによって規定されてい
る。
【0031】図4は、本発明に従う動圧流体軸受装置の
第3の実施形態を示している。図4において、図示の動
圧流体軸受装置202は、軸部材204とスリーブ部材
206とを備えている。軸部材204は、断面が円形状
の軸本体208を有している。軸本体208の両端部に
は、外に行くに従って外径が小さくなっていくテーパ部
210,212が設けられ、テーパ部210,212の
外側にはさらに短軸部214,216が設けられ、この
短軸部214,216には円形状のカバー部材215,
217が固着されている。スリーブ部材206は、中空
円筒状のスリーブ部材本体218を有し、このスリーブ
部材本体218の両端部には、内径が大きくなっている
大内径部220,222が設けられ、これら大内径部2
20,222にキャップ部材224,226が装着され
ている。キャップ部材224,226の内周部は軸本体
208の両端面の外側に位置してこの両端面を覆ってい
る。本実施形態では、キャップ部材224,226の外
面の内周側部に収容凹部228,230が設けられ、こ
の収容凹部228,230に上記カバー部材215,2
17が収容され、カバー部材215,217は軸部材2
04とキャップ部材224,226との間隙を覆ってい
る。
【0032】この実施形態では、ラジアル動圧溝および
スラスト動圧溝は、次のとおりに設けられている。すな
わち、ラジアル動圧溝232,234は、スリーブ部材
本体218の内周面にその軸線方向(図4において上下
方向)に間隔を置いて設けられ、軸部材204との相対
的回転により発生する潤滑流体236の動圧によって軸
部材204に作用するラジアル力を支持する。ラジアル
動圧溝は、へリングボーン形状でよい。また、スラスト
動圧溝238,240は、キャップ部材224,226
の内面に設けられ、軸部材204との相対的回転により
発生する潤滑流体236の動圧によって軸部材204に
作用するスラスト力を支持する。このスラスト動圧溝
も、へリングボーンでよい。
【0033】この動圧流体軸受装置202では、軸部材
204のテーパ部210,212にテーパシール構造を
構成するテーパシール部242,244が設けられてい
る。テーパシール部242,244は、軸線方向外側に
向けてキャップ部材224,226との間隔が広くなる
ような傾斜面から構成され、キャップ部材224,22
6の内周面と協働して環状のテーパ状空間を規定する。
軸部材204とスリーブ部材206との間の間隙に注入
される潤滑流体236は、境界面248,250がこれ
らの環状のテーパ状空間に位置するように充填され、テ
ーパシール部242,244は、表面張力によって潤滑
流体236に軸線方向内方に、換言すると環状のテーパ
状空間が狭くなる方向に力を付与し、これによって潤滑
流体236の外部への流出が防止される。テーパシール
部242,244は、軸部材204の外周面に代えて、
またはこれとともに、キャップ部材224,226の内
周面に設けることもできる。
【0034】動圧流体軸受装置202においては、軸部
材204の軸本体208に軸線方向に貫通する圧力調整
貫通孔252,254が形成され、さらに圧力調整貫通
孔252,254と、軸部材204とスリーブ部材20
6との間の間隔とを連通する連通孔256,258が形
成されている。そして、このことに関連して、一対のラ
ジアル動圧溝232,234および一対のスラスト動圧
溝238,240がそれぞれアンバランスに構成され、
潤滑流体236が矢印で示すように循環されるように構
成されている。すなわち、潤滑流体236は、ラジアル
動圧溝232,234から軸線方向内方に流動し、連通
孔256,258を通り、圧力調整貫通孔252,25
4を軸線方向外方に流れ、スラスト動圧溝238,24
0を通ってラジアル動圧溝232,234に戻るように
循環される。なお、潤滑流体236の上述した循環は、
ラジアル動圧溝232,234およびスラスト動圧溝2
38,240のいずれか一方をアンバランスにすること
によって達成できる。
【0035】この動圧流体軸受装置202には、さら
に、潤滑流体236と空気との境界面260,262近
傍の空気の圧力を高めるための手段が、上記境界面26
0,262の外側に設けられている。この形態では、カ
バー部材215,217の内面に間隔を置いて複数個の
螺旋溝264,266が設けられている。螺旋溝26
4,266は、外部から上記境界面260,262に向
けて空気流を生成する空気流発生溝として機能する。
【0036】カバー部材215,217とこれに対向す
るキャップ部材224,226(詳しくは収容凹部22
8,230の底面)との間隔は僅かであり、それ故に、
スリーブ部材206に対して軸部材204が所定の方向
に回動されると、螺旋状溝264,266の作用によっ
て外部から上記境界面260,262に向かう空気流が
生成される。そして、かかる空気流の作用によって、境
界面260,262から蒸発した潤滑流体236の気体
または微粒子を含む空気が境界面260,262付近に
封じ込まれ、潤滑流体236の外部への流出が防止され
る。また、このような空気流によって上記境界面26
0,262付近、すなわち、境界面260,262から
螺旋状溝264,266が設けられている部位までの間
の空間における空気の圧力が上昇され、これによって上
記境界面260,262付近の潤滑流体236の蒸気圧
を高めに維持することができ、潤滑流体236の更なる
蒸発が防止される。したがって、上述した第1の実施形
態と同様の効果が達成される。
【0037】潤滑流体236の境界面260,262に
関連して、螺旋状溝264,266をカバー部材21
5,217の内面に設けているが、これに代えて、また
はこれとともにキャップ部材224,226の収容凹部
228,230の底面に設けることもできる。また、実
施形態では、上記境界面264,266から外部に至る
空気通路(その片側はカバー部材215,217の内面
および外周面によって規定され、その他側はキャップ部
材224,226の収容凹部228,230の底面およ
び周側面によって規定されている)におけるカバー部材
215,217の内面に螺旋状溝264,266を設け
ているが、この部位に代えて、またはこの部位に加え
て、上記空気通路のその他の部位、たとえばカバー部材
215,217の外周面、これと対向するキャップ部材
224,226の収容凹部228,230の周側面等に
設けることもできる。
【0038】なお、この第3の実施形態においては、軸
受装置部のみをユニットとして示しているが、これをモ
ータに使用する場合、軸部材204がモータの固定部材
および回転部材の一方に装着または連結され、スリーブ
部材206がモータの回転部材および固定部材の他方に
装着または連結される。
【0039】
【発明の効果】本発明の請求項1の動圧流体軸受装置に
よれば、潤滑流体と空気との境界面付近の圧力を高める
ための手段が設けられているので、かかる手段の作用に
よって境界面付近の圧力が高められ、これによって潤滑
流体の蒸気圧が高めに維持され、更なる潤滑流体の蒸発
が抑えられ、その結果、潤滑流体の気体または微粒子状
態での流出が防止される。
【0040】また本発明の請求項2の動圧流体軸受装置
によれば、空気を高めるための手段は、空気流を生成す
る手段であるので、発生される空気流によって潤滑流体
の気体および微粒子を含む空気は潤滑流体と空気との境
界面付近に封じ込まれるようになり、これによって潤滑
流体の漏れが一層確実に防止される。
【0041】さらに本発明の請求項3の動圧流体軸受装
置によれば、固定組立体と回転組立体との間に規定され
る空気通路に空気流発生溝設けられているので、この空
気通路を通しての潤滑流体の流出が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う動圧流体軸受装置の第1の実施形
態を備えたモータの例を示す断面図である。
【図2】図1のモータにおけるキャップ部材およびその
近傍を一部切欠いて断面で示す斜視図である。
【図3】本発明に従う動圧流体軸受装置の第2の実施形
態を備えたモータの他の例を示す断面図である。
【図4】本発明に従う動圧流体軸受装置の第3の実施形
態を示す断面図である。
【符号の説明】
2,102 ベースプレート 4,104,202 動圧流体軸受装置 6,106 ロータ 24,120,204 軸部材 26,122,206 スリーブ部材 28 軸部 32 フランジ部 34,124,218 スリーブ部材本体 44,224,226 キャップ部材 45,130,236 潤滑流体 46,48,132,134,232,234 ラジア
ル動圧溝 50,52,238,240 スラスト動圧溝 56,60,140,260,262 境界面 62,224,226 キャップ部材 64,66,142,264,266 螺旋状溝 124,208 軸本体 215,217 カバー部材

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スリーブ部材と、スリーブ部材に対して
    相対的に回転自在である軸部材と、軸部材とスリーブ部
    材との間の間隙に充填された潤滑流体とを備えた動圧流
    体軸受装置において、 潤滑流体と空気との境界面付近における空気の圧力を高
    めるための手段が設けられていることを特徴とする動圧
    流体軸受装置。
  2. 【請求項2】 前記空気を高めるための手段は、軸部材
    とスリーブ部材との相対的回転によって空気流を生成す
    る手段であり、該空気流を生成する手段は、潤滑流体と
    空気との境界面に向けて空気を押し込むことを特徴とす
    る請求項1記載の動圧流体軸受装置。
  3. 【請求項3】 前記軸部材と前記スリーブ部材のいずれ
    か一方は固定部材に装着され、それらの他方は回転部材
    に装着され、前記軸部材と前記スリーブ部材の一方と前
    記固定部材は固定組立体を構成し、それらの他方と回転
    部材とは回転組立体を構成し、前記固定組立体と前記回
    転組立体との間には、前記潤滑流体と空気との境界面か
    ら延びる空気通路が規定されており、この空気通路を規
    定する面に空気流生成溝が形成されていることを特徴と
    する請求項2記載の動圧流体軸受装置。
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