JP2015169228A - 流体動圧軸受装置 - Google Patents

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Motohisa Fujiwara
幹久 藤原
敏幸 水谷
Toshiyuki Mizutani
敏幸 水谷
哲弥 栗村
Tetsuya Kurimura
栗村  哲弥
慎治 小松原
Shinji Komatsubara
慎治 小松原
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Abstract

【課題】流体動圧軸受装置の軸方向寸法の縮小を図ると共に、油漏れを防止する。
【解決手段】本発明の流体動圧軸受装置は、軸部材2と、内周に軸部材2が挿入された軸受部材(ハウジング7)と、ハウジング7の開口部から内径側に突出した第1シール部材8と、第1シール部材8の下方に設けられ、軸部材2の外周面21aから外径側に突出し、外径端が第1シール部材8の内径端よりも外径側に配された第2シール部材9とを備える。第2シール部材9の下側端面9dが面する第1バッファ空間S1を形成すると共に、第2シール部材9の上側端面9cと第1シール部材8の下側端面8aとの間に第2バッファ空間S2を形成し、両バッファ空間S1,S2を第2シール部材9の外径側で連通する。
【選択図】図5

Description

本発明は、流体動圧軸受装置に関する。
流体動圧軸受装置は、軸部材の外周面と軸受部材の内周面との間のラジアル軸受隙間に生じる油膜の圧力(動圧作用)により、軸部材を相対回転自在に非接触支持するものである。流体動圧軸受装置は、その高回転精度および静粛性から、情報機器(例えば、HDD等の磁気ディスク駆動装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM、ブルーレイディスク等の光ディスク駆動装置、MD、MO等の光磁気ディスク駆動装置)のスピンドルモータ、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、プロジェクタのカラーホイール、あるいは電気機器の冷却ファン等に使用されるファンモータなどの小型モータ用として好適に使用可能である。
上記の流体動圧軸受装置では、通常、軸受部材の開口部に油漏れを防止するためのシール機構が設けられる。例えば下記の特許文献1に示されている流体動圧軸受装置では、ハウジングの開口部にシール部材を設け、シール部材の内周面と軸部の外周面との間に、下方へ向けて隙間幅を徐々に狭くした断面楔形状のシール空間(いわゆるテーパシール)を形成することで、油漏れを防止している。
特開2007−24089号公報
近年、ノートパソコンやタブレット型モバイル端末の薄型化が進み、これらの情報機器に使用される冷却用ファンモータにはさらなる薄型化が要求されているため、この種のモータに組み込まれる流体動圧軸受装置に対しても薄型化(軸方向寸法の縮小)が求められている。
例えば、上記特許文献1の流体動圧軸受装置において、ラジアル軸受面(ラジアル軸受隙間を形成する面。以下同様。)が設けられる軸受スリーブの軸方向寸法を縮小すれば、その分、流体動圧軸受装置の軸方向寸法を縮小することができる。しかし、この場合、ラジアル軸受面の面積が縮小されるため、軸受剛性が低下してしまう。
あるいは、ハウジングの開口部に設けられたシール部材の軸方向寸法を縮小すれば、その分、流体動圧軸受装置の軸方向寸法を縮小することができる。しかし、上記特許文献1では、シール部材の内周面でテーパシールを形成しているため、シール部材の軸方向寸法を縮小すると、シール空間の容積が大幅に減少し、ハウジングの内部に満たされた油の体積変化を吸収できず、油漏れが生じる恐れがある。
そこで、例えば図10に示すように、軸受部材107の開口部にシール部材109を固定し、このシール部材109とスリーブ122(図10では、軸部121の外周に固定されている)との軸方向間にバッファ空間S’を設ければ、テーパシールよりも小さい軸方向寸法で所望の容積を確保することができる。これにより、バッファ空間の容積を確保しながら、流体動圧軸受装置の軸方向寸法を縮小することが可能となる。しかし、テーパシールを廃止することで油の保持機能が低下するため、流体動圧軸受装置を倒立姿勢(シール部材109が下方に配される姿勢)にしたときや、流体動圧軸受装置に衝撃が加わったとき、あるいは高温により油の粘度が低下したときに、シール部材109と軸部121との間の隙間G’から油漏れが生じる恐れがある。
以上のような事情より、本発明が解決すべき課題は、流体動圧軸受装置の軸方向寸法の縮小を図ると共に、油漏れを確実に防止することにある。
前記課題を解決するために、本発明は、軸部材と、内周に前記軸部材が挿入され、少なくとも軸方向一方側の端部に開口部を有する軸受部材と、前記軸部材の外周面と前記軸受部材の内周面との間のラジアル軸受隙間の油膜に生じる動圧作用で前記軸部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部と、前記軸受部材の開口部から内径側に突出し、前記軸部材の外周面と半径方向隙間を介して対向した第1シール部材と、前記第1シール部材の軸方向他方側に設けられ、前記軸部材の外周面から外径側に突出し、外径端が前記第1シール部材の内径端よりも外径側に配された第2シール部材と、前記第2シール部材の軸方向他方側の端面が面する第1バッファ空間と、前記第2シール部材の軸方向一方側の端面と前記第1シール部材の軸方向他方側の端面との間に形成され、前記第2シール部材の外径側で前記第1バッファ空間と連通した第2バッファ空間とを備えた流体動圧軸受装置を提供する。
このように、第1シール部材の軸方向他方側にバッファ空間(第1バッファ空間及び第2バッファ空間)を設けることにより、テーパシールと比べて小さい軸方向寸法で所望の容積を確保できるため、その分だけ流体動圧軸受装置の軸方向寸法を縮小することができる。この場合、バッファ空間に保持された油が、第1シール部材と軸部材の外周面との間の半径方向隙間から漏れ出す恐れが懸念される。そこで、上記のように、第1シール部材の軸方向他方側に、軸部材の外周面から外径に突出した第2シール部材を設けることで、第2のシール部材の外径側を回り込むラビリンスシールが形成される。具体的には、第2シール部材の軸方向他方側の端面が面する第1バッファ空間と、第1シール部材の軸方向他方側の端面と第2シール部材の軸方向一方側の端面との間の第2バッファ空間とが形成され、第1バッファ空間と第2バッファ空間とが第2シール部材の外径側連通することで、ラビリンスシールが構成される。このラビリンスシールにより、前記半径方向隙間から外部への油漏れを防止できる。
軸部材は、例えば、軸部及びその外径側に設けられたスリーブ部を備えた構成とすることができる。この場合、前記スリーブ部の外周面と前記軸受部材の内周面との間に前記ラジアル軸受隙間が形成され、前記軸部の外周面に前記第2シール部材が固定され、前記軸部の外周面と前記第1シール部材との間に前記半径方向隙間が形成され、前記スリーブ部の軸方向一方側の端面と前記第2シール部材の軸方向他方側の端面との間に前記第1バッファ空間が形成される。このように、スリーブ部の外周面にラジアル軸受面を設けることで、軸部の外周面にラジアル軸受面を設ける場合と比べて、ラジアル軸受面が大径化されて面積が拡大されるため、軸受剛性を確保しながら、スリーブ部の軸方向寸法、ひいては流体動圧軸受装置の軸方向寸法を縮小することが可能となる。しかし、この場合、衝撃荷重によりスリーブ部が第1シール部材側に軸方向移動することで、スリーブ部の端面全体で油が第1シール部材側に押し込まれるため、第1シール部材と軸部との間の半径方向隙間から油漏れが生じる恐れが高い。従って、このような構成の流体動圧軸受装置では、上記のようにラビリンスシールを形成して油漏れの防止を図ることが特に望ましい。
上記のバッファ空間のうち、第2バッファ空間は、第1シール部材と軸部材との間の半径方向隙間に隣接しているため、第2バッファ空間まで油が達すると、第1バッファ空間に油が留まっている場合と比べて、前記半径方向隙間から外部への油漏れの懸念が高まる。そこで、上記の流体動圧軸受装置において、前記軸受部材を固定側、前記軸部材を回転側とすれば、軸部材と共に第2シール部材が回転するため、前記第2バッファ空間に達した油が、遠心力により外径側、すなわち前記半径方向隙間から離反する側に誘導され、前記半径方向隙間から外部への油漏れをより確実に防止できる。この場合、第2シール部材の端面に外径側に向けて延びる溝を形成すれば、溝に入った油が遠心力で外径側に飛ばされるため、第2バッファ空間の油を外径側に誘導する効果が高められる。
また、第1シール部材の軸方向他方の端面(第2シール部材と対向する端面)に、外径へ向けて周方向幅が徐々に狭くなる溝を形成すれば、この半径方向溝の毛細管力により、第2バッファ空間の油を外径側に誘導することができるため、油漏れをより一層確実に防止することができる。
軸部材は、例えば、スリーブ部の内周に、これと別体に形成された軸部を固定することで形成される。この場合、スリーブ部の内周面の軸方向一方(第2シール部材側)の端部に、半径方向寸法より軸方向寸法の方が大きい面取り部を設ければ、この面取り部と軸部との間に、軸方向一方側へ向けて半径寸法を徐々に大きくした断面楔形状の空間が形成される。これにより、毛細管力で断面楔形状の空間の奥側(幅狭側)に油が引き込まれるため、第1シール部材と軸部との間の半径方向隙間からの油漏れをより確実に防止できる。
以上のように、本発明によれば、第1シール部材の軸方向他方側にバッファ空間を設けることで、流体動圧軸受装置の軸方向寸法を縮小することができる。また、バッファ空間に第2シール部材を設けてラビリンスシールを形成することにより、油漏れを確実に防止することができる。
本発明の一実施形態に係る流体動圧軸受装置が組み込まれたファンモータの断面図である。 上記流体動圧軸受装置の断面図である。 上記流体動圧軸受装置に設けられた軸部材のスリーブ部の側面図である。 上記スリーブ部の下面図である。 図2を拡大した断面図である。 他の実施形態に係る第2シール部材の上面図である。 (a)は、他の実施形態に係る流体動圧軸受装置の第1シール部材の下面図、(b)は(a)図のB−B線における断面図、(c)は(a)図のC−C線における断面図である。 他の実施形態に係る軸部材の断面図である。 他の実施形態に係る流体動圧軸受装置の断面図である。 比較例に係る流体動圧軸受装置の断面図である。
図1に、本発明の一実施形態に係る流体動圧軸受装置1が組み込まれたファンモータを示す。このファンモータは、軸部材2を回転自在に支持する流体動圧軸受装置1と、流体動圧軸受装置1の固定側(軸受部材)に取り付けられたケーシング6と、流体動圧軸受装置1の回転側(軸部材2)に取り付けられたロータ3と、半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびマグネット5とを備えている。ステータコイル4はケーシング6に取り付けられ、マグネット5はロータ3に取り付けられる。ロータ3には、複数のファン3aが一体に設けられる。ステータコイル4に通電すると、ステータコイル4とマグネット5との間の電磁力でマグネット5及びロータ3が回転し、ファン3aにより気流が発生する。このようなファンモータは、例えば情報機器、特にノートパソコンやタブレット型端末に組み込まれる冷却用ファンモータとして用いられる。尚、本実施形態のファンモータは、外径方向(例えば紙面奥側あるいは手前側)に向けて気流を発生させる遠心ファンであるが、これに限らず、軸方向の気流を発生させる軸流ファンであってもよい。
流体動圧軸受装置1は、図2に示すように、軸部材2と、軸受部材としてのハウジング7と、第1シール部材8と、第2シール部材9とを備える。尚、以下の説明では、軸方向において、軸部材2がハウジング7から突出している側を上方、その反対側を下方と言うが、これは流体動圧軸受装置1の使用態様を限定する趣旨ではない。
軸部材2は、軸部21と、軸部21の外径側に設けられたスリーブ部22とを備える。図示例では、軸部21とスリーブ部22が別体に形成され、軸部21の外周面21aとスリーブ部22の内周面22dとが、圧入、隙間接着、接着剤介在下での圧入、溶接、溶着等の適宜の手段で固定される。
軸部21は、例えばステンレス鋼等の溶製材を切削加工することにより、円柱状に形成される。軸部21の外周面21aは、平滑な円筒面とされる。
スリーブ部22は、金属、例えば焼結金属、具体的には銅鉄系の焼結金属で略円筒状に形成される。この他、スリーブ部22を、他の焼結金属や、溶製材、あるいは樹脂で形成してもよい。スリーブ部22の外周面22aには、ラジアル軸受隙間の潤滑油に動圧作用を発生させるラジアル動圧発生部が形成される。本実施形態では、図3に示すように、スリーブ部22の外周面22aの軸方向に離隔した2箇所に、ラジアル動圧発生部として、ヘリングボーン形状の動圧溝22a1,22a2が形成される。動圧溝22a1,22a2は、例えば転造加工により成形される。上側の動圧溝22a1は、軸方向で非対称形状とされ、具体的には、クロスハッチングで示す丘部の軸方向中央の環状領域よりも上側領域の軸方向寸法L1が下側領域の軸方向寸法L2よりも大きくなっている(L1>L2)。これにより、ラジアル軸受隙間の潤滑油を下向きに押し込むポンピング力が発生する。一方、下側の動圧溝22a2は軸方向対称形状とされる。
スリーブ部22の下側端面22bには、スラスト軸受隙間に満たされた潤滑油に動圧作用を発生させるスラスト動圧発生部が形成される。本実施形態では、スリーブ部22の下側端面22bに、スラスト軸受隙間の油を外径側に押し出すポンプアウト型のスラスト動圧発生部が設けられる。具体的には、例えば図4に示すように、スラスト動圧発生部として、ポンプアウト型のスパイラル形状の動圧溝22b1が形成される。動圧溝22b1は、例えばプレス加工により型成形される。スリーブ部22の上側端面22cは、平滑な平坦面とされる。
スリーブ部22の内周面22dには、軸方向全長にわたって軸方向溝22d1が形成される(図2参照)。軸方向溝22d1の本数は任意であり、本実施形態では複数(例えば3本)の軸方向溝22d1が円周方向等間隔に配される(図4参照)。
ハウジング7は、図2に示すように、内周に軸部材2が挿入された円筒状の側部7aと、側部7aの下端開口部を閉塞する底部7bとを有する。本実施形態では、ハウジング7の側部7a及び底部7bが、金属あるいは樹脂で一体に形成される。ハウジング7の側部7aには、小径内周面7a1と、小径内周面7a1の上方に設けられた大径内周面7a2と、これらを連続する肩面7a3とが設けられる。
第1シール部材8は、ハウジング7の側部7aの開口部に設けられ、側部7aの大径内周面7a2から内径向きに突出して設けられる。第1シール部材8は、内孔を有する円盤状を成し、金属あるいは樹脂で形成される。本実施形態では、第1シール部材8が、外径側に設けられた厚肉部81と、内径側に設けられた薄肉部82とを有する。第1シール部材8の外周面8bは、ハウジング7の側部7aの大径内周面7a2に、圧入、接着、接着剤介在下での圧入等の適宜の手段で固定される。第1シール部材8の下側端面8aの外周部は、ハウジング7の側部7aの肩面7a3に当接している。図5に拡大して示すように、第1シール部材8の内周面8cには、円筒面8c1と、円筒面8c1の上下両側に設けられた面取り部8c2とが設けられる。第1シール部材8の内周面8cと軸部材2の軸部21の外周面21aとの間には、半径方向隙間Gが設けられる。第1シール部材8の下側端面8aと軸部材2のスリーブ部22の上側端面22cとの間には、バッファ空間Sが形成される。
第2シール部材9は、第1シール部材8と軸部材2のスリーブ部22との軸方向間(バッファ空間S)に設けられる。第2シール部材9は、軸方向と直交する方向に延びる円盤状を成す。第2シール部材9は、金属あるいは樹脂で形成される。第2シール部材9の内周面9aは、軸部材2の軸部21の外周面21aに、圧入、接着、溶接等の手段で固定される。第2シール部材9の外径端(外周面9b)は、第1シール部材8の内径端(内周面8c)よりも外径側に配される。第2シール部材9の上側端面9cは、第1シール部材8の下側端面8aと軸方向に対向している。第2シール部材9の下側端面9dは、軸部材2のスリーブ部22の上側端面22cと軸方向に対向している。第2シール部材9の上側端面9c又は下側端面9d、あるいはこれらの双方には、撥油性を有するコーティングを施してもよい。または、第2シール部材9を、撥油性を有する材料(例えばフッ素樹脂)で形成してもよい。
上記の流体動圧軸受装置1は、スリーブ部22の内部気孔を含めたハウジング7の内部の空間に油が充填され、バッファ空間S内に油面が形成される(図2において、細かい散点領域が油を示している。)。例えば、低圧雰囲気環境下で、第1シール部材8と軸部材2との間の半径方向隙間Gを塞ぐように油を滴下した後、流体動圧軸受装置1を常圧環境に配することで、ハウジング7の内部に油が引き込まれて充填される。流体動圧軸受装置1では、ハウジング7の開口部に設けられたバッファ空間Sにより、油の温度変化に伴う体積変化を吸収することで、油漏れが防止される。すなわち、流体動圧軸受装置1の想定温度範囲において油が体積変化したときに、油面が常にバッファ空間S内に配されるように、バッファ空間Sの容積が設定される。
また、上記の流体動圧軸受装置1では、バッファ空間Sに第2シール部材9を設けることで、ラビリンスシールが構成される。具体的には、スリーブ部22の上側端面22cと第2シール部材9の下側端面9dとの間に第1バッファ空間S1が形成され、第1シール部材8の下側端面8aと第2シール部材9の上側端面9cとの間に第2バッファ空間S2が形成される。これらの第1バッファ空間S1と第2バッファ空間S2とを、第2シール部材9の外径側で連通することで、ラビリンスシールが構成される。これにより、第1バッファ空間S1の油が半径方向隙間Gに到達するためには、第2シール部材9の外径側を回り込む複雑な経路(ラビリンスシール)を通る必要があり、これにより半径方向隙間Gからの油漏れを防止できる。尚、常温では、油面は第1バッファ空間S1内に配される。
特に、本実施形態では、軸部材2が軸部21及びスリーブ部22を有するため、軸部材2が上向きの衝撃荷重を受けた時、スリーブ部22の上側端面22c全体で油が跳ね上げられる。このとき、第2シール部材9が半径方向隙間Gの下方を覆っていることで、スリーブ部22の上側端面22cで跳ね上げられた油が、半径方向隙間Gから漏れ出すことを防止できる。さらに、第2シール部材9が軸部21の外周面21aの全周から外径に突出して設けられることで、軸部21の外周面21aを伝って上がろうとする油を第2シール部材9で堰き止めることができるため、半径方向隙間Gからの油漏れをより一層確実に防止できる。
上記の流体動圧軸受装置1において、軸部材2が回転すると、ハウジング7のラジアル軸受面(側部7aの小径内周面7a1)と軸部材2のラジアル軸受面(スリーブ部22の外周面22a)との間にラジアル軸受隙間が形成される。そして、軸部材2のスリーブ部22の外周面22aに形成されたラジアル動圧発生部(動圧溝22a1)により、ラジアル軸受隙間に形成された油膜の圧力が高められ、この圧力(動圧作用)により軸部材2をラジアル方向に回転自在に非接触支持するラジアル軸受部R1,R2が構成される(図2参照)。
これと同時に、ハウジング7のスラスト軸受面(底部7bの上側端面7b1)と軸部材2のスラスト軸受面(スリーブ部22の下側端面22b)との間にスラスト軸受隙間が形成される。そして、軸部材2のスリーブ部22の下側端面22bに形成されたラジアル動圧発生部(動圧溝22b1)により、スラスト軸受隙間に形成された油膜の圧力が高められ、この圧力(動圧作用)により軸部材2を浮上支持するスラスト軸受部Tが構成される。
このとき、図1に示すように、ロータ3に設けられたマグネット5が、ケーシング6に設けられたステータコイル4に対して、図中上方にオフセットして設けられている。このため、ステータコイル4とマグネット5との吸引力により、ロータ3及びこれに固定された軸部材2には、常に、下向きの荷重が加わっている。従って、流体動圧軸受装置1には、スラスト軸受隙間を介して対向するスリーブ部22の下側端面22bとハウジング7の底部7bの上側端面7b1とを接近させる方向の荷重が加わっている。このステータコイル4とマグネット5との吸着力により軸部材2を押し下げる力と、スラスト軸受部Tの圧力で軸部材2を押し上げる力とを調整することにより、軸部材2のハウジング7に対する軸方向位置を安定させることができる。これにより、軸部材2に図中上向きの荷重が加わった場合でも、第1シール部材8と第2シール部材9との接触を回避することができる。
流体動圧軸受装置1の運転中、油が第2バッファ空間S2に達する場合があるが、軸部材2と共に第2シール部材9が回転することにより、第2バッファ空間S2の油を遠心力で外径側に誘導することで、半径方向隙間Gからの油漏れを防止できる。
本発明は上記の実施形態に限られない。尚、以下の実施形態において、上記の実施形態と同様の機能を有する部位には、同一の符号を付して重複説明を省略する。
図6に示す実施形態では、第2シール部材9の上側端面9cに外径側に延びる溝を形成している。図示例では、複数(例えば8本)の半径方向溝9c1が、円周方向等間隔に配されている。半径方向溝9c1は、第2シール部材9の上側端面9cの外径端まで達している。軸部材2と共に第2シール部材9が回転すると、半径方向溝9c1に入った油が遠心力により外径側に飛ばされる。これにより、第2バッファ空間S2の油を外径側に誘導する効果が高められ、半径方向隙間Gからの油漏れをより一層確実に防止できる。尚、この溝は、半径方向に対して傾斜させてもよく、例えば、外径側に向けて軸回転方向後方側に傾斜させた、ポンプアウト型のスパイラル形状としてもよい。また、上記のような溝は、第2シール部材9の下側端面9dに設けてもよいし、あるいは第2シール部材9の両側端面9c,9cに設けてもよい。
図7に示す実施形態では、第1シール部材8の下側端面8aに溝を形成している。図示例では、第1シール部材8の下側端面8aに、複数(例えば4本)の半径方向溝8a1が円周方向等間隔に配されている。半径方向溝8a1は、外径へ向けて円周方向幅が徐々に狭まっている{図7(a)参照}。これにより、第2バッファ空間S2に達した油が、半径方向溝8a1の毛細管力により外径側に引き込まれるため、半径方向隙間Gからの油漏れをより一層確実に防止できる。また、半径方向溝8a1は、下方へ向けて円周方向幅が徐々に広がっている{図7(c)参照}。尚、本実施形態では、図7(a)に示す平面視において、半径方向溝8a1の円周方向両側の側壁が直線状であるが、これを曲線状にしてもよい。また、本実施形態では、図7(c)に示す断面において、半径方向溝8a1の断面形状が台形であるが、これを三角形や円弧形としてもよい。
図8に示す実施形態では、軸部材2のスリーブ部22の内周面22dの上端に、半径方向寸法Xよりも軸方向寸法Yが大きい面取り部22eを設けている。これにより、スリーブ部22の面取り部22eと軸部21の外周面21aとの間に、下方へ向けて半径方向幅を徐々に狭めた断面楔形状の空間Pが形成される。この空間Pの毛細管力により空間Pの内部に油が引き込まれるため、油漏れをより一層確実に防止できる。
図9に示す実施形態では、軸部材2が軸部21のみで構成されると共に、軸受部材が、ハウジング7とその内周面7a1に固定された軸受スリーブ10とで構成される。軸部21の下端には、球面状の凸部21bが形成される。軸受スリーブ10の内周面10aには、ラジアル動圧発生部としての動圧溝10a1,10a2が形成される。軸部21が回転すると、軸部21の外周面21aと軸受スリーブ10の内周面10aとの間のラジアル軸受隙間に生じる油膜の圧力が動圧溝10a1,10a2により高められ、軸部21をラジアル方向に支持するラジアル軸受部R1,R2が構成される。また、軸部21の下端の凸部21bとハウジング7の底部7bの上側端面7b1とが接触摺動することで、軸部21を下方から支持するスラスト軸受部Tが構成される。
この他、図9に示す軸部21の下端にフランジ部を設けてもよい(図示省略)。この場合、フランジ部の上側端面と軸受スリーブ10の下側端面10bとの間、及び、フランジ部の下側端面とハウジング7の底部の上側端面7b1との間に、それぞれスラスト軸受隙間が形成される。
以上の実施形態では、軸部21とスリーブ部22とを別体に形成した場合を示したが、これに限らず、軸部21及びスリーブ部22を同一材料(例えば焼結金属)で一体成形してもよい。
また、以上の実施形態では、軸受部材が軸方向一方のみに開口した場合を示したが、これに限らず、例えば軸受部材を軸方向両側に開口させてもよい。この場合、軸方向他方の開口部には、上記と同様の第1バッファ空間S1及び第2バッファ空間S2を形成してもよいし、テーパシールを設けてもよい。
また、以上の実施形態では、ラジアル動圧発生部としてヘリングボーン形状の動圧溝22a1,22a2を形成した場合を示したが、これに限らず、ラジアル動圧発生部としてスパイラル形状等の他の形状の動圧溝を形成してもよい。この他、複数の部分円筒面を円周方向につなげたいわゆる多円弧軸受や、円周方向等間隔に複数の軸方向溝を形成してなるステップ軸受で、ラジアル動圧発生部を構成してもよい。また、軸部材の外周面を円筒面とし、これと対向する軸受部材の内周面にラジアル動圧発生部を形成してもよい。あるいは、軸部材の外周面及び軸受部材の内周面の双方を円筒面として、いわゆる真円軸受を構成してもよい。
また、以上の実施形態では、スラスト動圧発生部としてスパイラル形状の動圧溝22b1を形成した場合を示したが、これに限らず、ヘリングボーン形状等の他の形状の動圧溝や、ステップ軸受で、スラスト動圧発生部を構成してもよい。また、軸部材の下側端面を平坦面とし、これと対向する面にスラスト動圧発生部を形成してもよい。
また、以上の実施形態では、軸部材を回転側とし、軸受部材を固定側とした場合を示したが、これに限らず、軸部材を固定側とし、軸受部材を回転側とした流体動圧軸受装置や、軸部材及び軸受部材の双方が回転する流体動圧軸受装置に本発明を適用してもよい。
また、上記の流体動圧軸受装置1は、冷却ファンモータに限らず、HDD等の情報機器のスピンドルモータや、レーザビームプリンタのポリゴンスキャナモータ、プロジェクタのカラーホイール等に適用することができる。
1 流体動圧軸受装置
2 軸部材
21 軸部
22 スリーブ部
7 ハウジング(軸受部材)
8 第1シール部材
9 第2シール部材
R1,R2 ラジアル軸受部
T スラスト軸受部
G 半径方向隙間
S バッファ空間
S1 第1バッファ空間
S2 第2バッファ空間

Claims (6)

  1. 軸部材と、内周に前記軸部材が挿入され、少なくとも軸方向一方側の端部に開口部を有する軸受部材と、前記軸部材の外周面と前記軸受部材の内周面との間のラジアル軸受隙間の油膜に生じる動圧作用で前記軸部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部と、前記軸受部材の開口部から内径側に突出し、前記軸部材の外周面と半径方向隙間を介して対向した第1シール部材と、前記第1シール部材の軸方向他方側に設けられ、前記軸部材の外周面から外径側に突出し、外径端が前記第1シール部材の内径端よりも外径側に配された第2シール部材と、前記第2シール部材の軸方向他方側の端面が面する第1バッファ空間と、前記第2シール部材の軸方向一方側の端面と前記第1シール部材の軸方向他方側の端面との間に形成され、前記第2シール部材の外径側で前記第1バッファ空間と連通した第2バッファ空間とを備えた流体動圧軸受装置。
  2. 前記軸部材が、軸部と、前記軸部の外径側に設けられたスリーブ部とを備え、
    前記スリーブ部の外周面と前記軸受部材の内周面との間に前記ラジアル軸受隙間を形成し、前記軸部の外周面に前記第2シール部材を固定し、前記軸部の外周面と前記第1シール部材との間に前記半径方向隙間を形成し、前記スリーブ部の軸方向一方側の端面と前記第2シール部材の軸方向他方側の端面との間に前記第1バッファ空間を形成した請求項1記載の流体動圧軸受装置。
  3. 前記軸受部材を固定側、前記軸部材を回転側とした請求項1又は2に記載の流体動圧軸受装置。
  4. 前記第2シール部材の端面に、外径側に向けて延びる溝を形成した請求項3記載の流体動圧軸受装置。
  5. 前記第1シール部材の軸方向他方側の端面に、外径側へ向けて円周方向幅が徐々に狭くなる溝を形成した請求項1〜4の何れかに記載の流体動圧軸受装置。
  6. 前記スリーブ部の内周に、これと別体に形成された前記軸部が固定され、前記スリーブの内周面の軸方向一方の端部に、半径方向寸法より軸方向寸法の方が大きい面取り部を設けた請求項2に記載の流体動圧軸受装置。
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