JP2008169944A - 流体軸受装置 - Google Patents

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JP2008169944A JP2007004784A JP2007004784A JP2008169944A JP 2008169944 A JP2008169944 A JP 2008169944A JP 2007004784 A JP2007004784 A JP 2007004784A JP 2007004784 A JP2007004784 A JP 2007004784A JP 2008169944 A JP2008169944 A JP 2008169944A
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冬木 伊藤
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Abstract

【課題】シール形成面と撥油剤供給面とが競合する事態を回避して、シール性を容易に確保しつつも装置全体の小型化を可能とする流体軸受装置を提供する。
【解決手段】ハウジング4の外周に設けられたテーパ状のシール形成面4dと、ラジアル方向に対向する筒部11の内周面11aとの間にシール隙間15が形成される。互いに軸方向に対向するベース7の第1隙間形成面7bと、ハブの筒部11の下端面11bとの間に第1隙間16が形成される。第1隙間16を形成する第1隙間形成面7bと下端面11bの一方あるいは双方には撥油剤が塗布される。これにより、第1隙間形成面7bと下端面11bの少なくとも何れか一方に撥油性が付与される。また、第1隙間16の大気開放側にあって、互いにラジアル方向に対向するベース7の第2隙間形成面7cと、筒部11の外周面11cとの間に第2隙間17が形成される。この場合、第2隙間17の半径方向隙間寸法は、第1隙間16の軸方向隙間寸法より小さい。
【選択図】図1

Description

本発明は、流体軸受装置に関する。
流体軸受装置は、軸受隙間に形成される潤滑流体の流体膜で軸を相対回転自在に支持するものである。この種の軸受装置は、特に高速回転時における回転精度、静粛性等に優れており、情報機器をはじめ種々の電気機器に搭載されるモータ用の軸受装置として好適に使用される。具体的には、HDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置等におけるスピンドルモータ用の軸受装置として、あるいはレーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、プロジェクタのカラーホイールモータ、ファンモータなどのモータ用軸受装置として好適に使用される。
また、最近では、上記情報機器等の携帯化・小型化に伴い、これらに搭載して使用される流体軸受装置にも小型化の要請が高まっている。
例えば、流体軸受装置をHDD等のディスク駆動装置に搭載して使用する場合、その軸方向寸法(厚み)を小さくすることが重要となる。この課題を解決するため、例えば特開2006−207787号公報(特許文献1)には、ハウジングの内側に固定した軸受スリーブの内周面とこれに対向する軸の外周面との間にラジアル軸受隙間を形成すると共に、ハウジングの外周面とこれに対向するハブの筒部の内周面との間に、軸受内部空間に充填した潤滑油をシールするためのシール空間を形成した構造の流体軸受装置が開示されている。このように、ラジアル軸受隙間の半径方向外側にシール空間を形成するようにすれば、シール空間をラジアル軸受隙間と軸方向に連続して形成する場合と比べて、シール空間の分の軸方向寸法(厚み)の縮小が可能となる。
特開2006−207787号公報
このように、シール空間をハウジングの外周に形成すれば、流体軸受装置全体の小型化(薄肉化)につながる一方で、シール性の観点から新たな問題が生じる恐れがある。
すなわち、ハウジングの外周面でシール空間を形成する場合、当該シール空間の形成面と隣接する箇所に撥油剤を塗布する等して、万一の油漏れに対応することになる。そのため、ハウジングの外周面に、シール空間を形成する領域以外にも撥油剤の塗布領域を確保しておく必要がある。
しかしながら、特許文献1のようにハウジングの外周面でシール空間を形成したのでは、シール容積を確保するため外周面の多くをシール空間の形成に使用することになり、その分、撥油剤の塗布面積が減少する。これでは、必要となる撥油面積を確保することが難しい。また、塗布面積の減少に伴い、厳密な塗布作業が要求されるため、塗布作業に非常に手間がかかる。
以上の事情に鑑み、本発明では、シール形成面と撥油剤供給面とが競合する事態を回避して、シール性を容易に確保しつつも装置全体の小型化を可能とする流体軸受装置を提供することを技術的課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、固定体と、回転体と、固定体の外周面と回転体の内周面との間に形成されるシール隙間とを備えたものにおいて、シール隙間の大気開放側で、固定体と回転体とが軸方向に対向する箇所に第1隙間を設け、かつ第1隙間を形成する一対の対向面の一方または双方に撥油性を有する材料を付与したことを特徴とする流体軸受装置を提供する。
このように、本発明は、固定体と回転体とが軸方向に対向する面に撥油性を有する材料を付与するようにしたことを技術的な特徴とする。このように、互いに軸方向に対向する面に撥油性材料を付与するのであれば、例えばハウジングの外周面に撥油剤を塗布する場合と比べて、かかる塗布作業が非常に容易である。また、従来(ハウジングの外周面)に比べて半径方向外側に撥油剤の供給領域を移動させることで十分な供給面積を確保することができるので、シール形成面との競合を避けて、シール形成面と撥油性付与面共に十分な面積を確保することが可能となる。
また、シール隙間の大気開放側で第1隙間が形成されているので、第1隙間を介してシール隙間との間で外気が流入・流出するのが制限される。これにより、シール隙間の気液界面を介して生じる、軸受内部に充填された潤滑流体の蒸発(揮発)を抑えることができ、潤滑流体の減少に伴い生じる軸受性能の低下を防ぐことができる。
また、第1隙間の大気開放側に位置し、かつ第1隙間より対向間隔の小さい第2隙間を固定体と回転体との間に設けることも可能である。この構成によれば、シール隙間と軸受外部空間との間での外気の出入りが一層制限されるので、シール隙間からの潤滑流体の蒸発量をより一層低減することが可能となる。
また、上述の場合、第1隙間とは隙間の延びる向きを異ならせて第2隙間を形成することで、いわゆるラビリンスシールを形成することも可能である。第1隙間より隙間寸法の小さい第2隙間を設けることで、第2隙間が、軸受内部から流体が外部に向けて流出する際、第2隙間が絞り部として作用する。そのため、例えば第2隙間を軸方向に延びる向きに形成すれば、流路(隙間)の屈曲による圧力損失と、絞り部としての作用とが相まって高いシール機能を発揮することができる。
以上のように、本発明によれば、シール形成面と撥油剤塗布面とが競合する事態を回避して、シール性を容易に確保しつつも流体軸受装置全体の小型化を図ることができる。
以下、本発明の第1実施形態を図1〜図3に基づき説明する。なお、以下の説明における『上下』方向は単に各図における向きや位置関係の理解を容易にするために用いるもので、流体軸受装置の設置方向や使用態様等を特定するものではない。後述する第2実施形態以降の説明についても同様である。
図1は、本発明の第1実施形態に係る流体軸受装置1の断面図を示す。この流体軸受装置1は、大別して固定体2と回転体3とで構成される。このうち固定体2は、ハウジング4と、ハウジング4の内周に固定される軸受スリーブ5と、ハウジング4の一端を閉塞する蓋部材6と、これら流体軸受装置1の固定側を、この流体軸受装置1を搭載すべき機器(モータなど)に固定するための部材であって、この実施形態ではハウジング4に固定されるベース7とを主に備える。また、回転体3は、軸受スリーブ5の内周に挿入される軸部8と、軸部8に固定され、固定体2の一端側に配置されるハブ9とを主に備える。
ハブ9は、この実施形態では、主にハウジング4の一端開口側に位置する円盤部10と、円盤部10の外周部から軸方向下方に延びた筒部11とで構成され、固定体2の一部(ここではハウジング4と軸受スリーブ5)の一端開口側を覆っている。また、この実施形態では、筒部11の外周から鍔部12が半径方向外側に延びており、搭載される機器に応じて適当な被回転媒体(例えば磁気ディスクなど)が鍔部12上に搭載・保持される。上記構成のハブ9は、例えば金属材料や樹脂材料など任意の材料で形成可能である。
軸部8は、この実施形態ではハブ9と一体に形成される軸本体13と、軸本体13の下端側(ハブ9の側とは反対の側)に固定される抜止めとしてのフランジ部14とを備えている。フランジ部14は、金属製で軸本体13とは別体に形成され、例えばねじ結合等の手段により軸本体13に固定される。
軸受スリーブ5は、例えば焼結金属からなる多孔質体で円筒状に形成される。この実施形態では、軸受スリーブ5は、銅を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成され、ハウジング4の内周面4cに接着固定されている。ここで、軸受スリーブ5の固定手段は特に限定されず、例示の接着(ルーズ接着や圧入接着を含む)のほか、圧入、溶着など適宜の手段を使用することができる。また、軸受スリーブ5は、樹脂やセラミック等の非金属材料からなる多孔質体で形成することもでき、また焼結金属等の多孔質体以外にも、内部空孔を持たない、あるいは潤滑油の出入りができない程度の大きさの空孔を有する構造の材料で形成することもできる。
軸受スリーブ5の内周面5aの全面又は一部領域には、ラジアル動圧発生部として複数の動圧溝を配列した領域が形成される。この実施形態では、例えば図2に示すように、互いに傾斜角の異なる複数の動圧溝5a1、5a2をヘリングボーン形状に配列した領域が、軸方向に離隔して2ヶ所に形成される。なお、この実施形態では、上側および下側の動圧溝5a1、5a2形成領域共に、軸方向中心(上下の動圧溝5a1、5a2間領域の軸方向中央)に対して軸方向対称に形成されているが、軸受内部における潤滑油の循環を意図的に作り出す目的で、一方あるいは双方の動圧溝5a1、5a2形成領域を、軸方向非対称に形成することも可能である。例えば軸方向中心より上側の動圧溝5a1形成領域の軸方向寸法が、下側の動圧溝5a2形成領域の軸方向寸法よりも大きくなるように形成することもできる。
軸受スリーブ5の下端面5bの全面または一部環状領域には、スラスト動圧発生部とし
て、複数の動圧溝をスパイラル形状に配列した領域(例えば図3を参照)が形成される。この動圧溝形成領域はスラスト軸受面として、フランジ部14の上端面14aと対向し、軸部8(回転体3)の回転時には、上端面14aとの間に後述する第2スラスト軸受部T2のスラスト軸受隙間を形成する(図1を参照)。
ハウジング4は、その軸方向両端を開口した形状をなし、その他端側(ハブ9と対向しない側)を蓋部材6で閉塞している。ハブ9と対向する上端面4aの全面または一部環状領域には、スラスト動圧発生部として、例えば図3に示すように複数の動圧溝4a1をスパイラル形状に配列した領域が形成される。この動圧溝4a1形成領域は、ハブ9の円盤部10の下端面10aと対向し、回転体3の回転時には、下端面10aとの間に後述する第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間を形成する(図1を参照)。なお、ハウジング4もハブ9と同様、金属や樹脂など任意の材料で形成することが可能である。
ハウジング4の他端側を閉塞する蓋部材6は、金属材料あるいは樹脂材料で形成され、ハウジング4の下端内周に固定される。この実施形態では、蓋部材6は、ハウジング4の下端内周に設けた段部4bと軸方向に当接した状態で接着固定される。ここで、固定手段は特に限定されず、例えば接着(ルーズ接着、圧入接着を含む)、圧入、溶着(例えば超音波溶着)、溶接(例えばレーザ溶接)などの手段を、材料の組合わせや要求される組付け強度、密封性などに合わせて適宜選択することができる。
ハウジング4の外周には、ラジアル方向に対向する筒部11の内周面11aとの間にシール隙間15を形成するシール形成面4dが全周にわたって設けられている。この実施形態では、シール形成面4dはテーパ状をなし、筒部11の内周面11aとの間に、ハウジング4の閉塞側(下方)から開口側(上方)に向けて半径方向寸法が漸次縮小した環状のシール隙間15を全周にわたって形成する。このシール隙間15は、軸部8およびハブ9の回転時、第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間の外周側と連通するようになっている。
ハウジング4の下端にはベース7との接着固定面が設けられる。この実施形態では、ハウジング4の下端面4eをベース7の上底面7aと当接させた状態で接着固定することで、ハウジング4がベース7に固定される。もちろん、ハウジング4の外周面下部に接着固定面を設ける余地があれば、当該領域とベース7の内周面とを接着固定するようにしてもよい。
ベース7は、ハブ9の筒部11との間に後述する第1隙間16を形成する第1隙間形成面7bと、同じく筒部11との間に後述する第2隙間17を形成する第2隙間形成面7cとを有する。この実施形態では、第1隙間形成面7bは、ハウジング4との接着固定面となる上底面7aとは段差を介してハブ9寄りに形成されている。
第1隙間16は、互いに軸方向に対向するベース7の第1隙間形成面7bと筒部11の下端面11bとの間に全周にわたって形成される。また、第2隙間17は、互いにラジアル方向に対向するベース7の第2隙間形成面7cと筒部11の外周面11cとの間に全周にわたって形成される。この場合、第2隙間17の半径方向隙間寸法(対向間隔)は、第1隙間16の軸方向隙間寸法(対向間隔)より小さい。また、これら第1隙間16と第2隙間17の隙間寸法は、共に後述するラジアル軸受部R1、R2のラジアル軸受隙間や、スラスト軸受部T1、T2のスラスト軸受隙間の隙間寸法より大きいことが望ましい。これは、軸受隙間よりも半径方向外側に位置する第1隙間16および第2隙間17の回転時の変動幅(ぶれ幅)が、当該軸受隙間のそれに比べてどうしても大きくなることから、第1隙間16や第2隙間17での接触を確実に回避するために、上述の如くその隙間寸法を定めておく必要があるためである。
第1隙間16を形成するベース7の第1隙間形成面7bと、筒部11の下端面11bの一方あるいは双方には撥油剤が塗布される。これにより、第1隙間形成面7bと下端面11bの少なくとも何れか一方に撥油性材料が付与される。もちろん、第1隙間形成面7bや下端面11bに加えて、第2隙間形成面7bやこの面と対向する筒部11の外周面11c等に撥油剤を塗布してもよい。なお、撥油性材料の付与手段としては、例示の如く撥油剤を、対象となる面に直接供給する方法の他、例えば撥油性材料を配合した樹脂で、ベース7やハブ9(あるいはその一部)を型成形する手段を挙げることができる。
撥油剤としては、例えば撥油性を有する樹脂材料を主成分とし、これを有機溶媒に溶解させたものが使用可能である。撥油性を有する樹脂材料として、例えばフッ素系樹脂やシリコーン系樹脂を使用することができる。このうちフッ素系樹脂としては、例えばパーフルオロアクリレートを主成分とする重合体や非晶質パーフルオロ樹脂(例えば旭硝子(株)製 サイトップ(登録商標))等を使用することができる。また、シリコーン系樹脂としては、例えばシロキサンやアルコキシシラン等を使用することができる。また、塗布確認の容易化のため、例えば上述の材料にさらに蛍光剤を添加したものを撥油剤として使用することも可能である。
上記構成の流体軸受装置1を組立てた後、軸受内部空間に潤滑油を充填する。この実施形態では、ベース7を除く他の構成部品間でアセンブリ化がなされた後、ハウジング4とハブ9との間のシール隙間15から注油作業を行う。この場合、潤滑油の油面が常にシール隙間15内に維持されるよう、油面位置を確認しながら注油量を調整するのがよい。潤滑油としては、種々のものが使用可能であるが、特にHDD等のディスク駆動装置用の流体軸受装置に提供される潤滑油には、低蒸発率及び低粘度性が要求されることから、エステル系の潤滑油が好適である。
上記構成の流体軸受装置1において、軸部8(回転体3)の回転時、軸受スリーブ5の動圧溝5a1、5a2形成領域は、軸部8(軸本体13)の外周面13aとラジアル軸受隙間を介して対向する。そして、軸部8の回転に伴い、上記ラジアル軸受隙間の潤滑油が動圧溝5a1、5a2の軸方向中心側に押し込まれ、その圧力が上昇する。このような動圧溝5a1、5a2の動圧作用によって、軸部8を回転自在にラジアル方向に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2とがそれぞれ構成される。
これと同時に、ハウジング4の動圧溝4a1形成領域とこれに対向するハブ9(円盤部10)の下端面10aとの間のスラスト軸受隙間、および軸受スリーブ5の下端面5b(動圧溝形成領域)とこれに対向するフランジ部14の上端面14aとの間のスラスト軸受隙間に、動圧溝の動圧作用により潤滑油の油膜がそれぞれ形成される。そして、これら油膜の圧力によって、回転体3をスラスト方向に非接触支持する第1スラスト軸受部T1と第2スラスト軸受部T2とがそれぞれ構成される。
このように、固定体2と回転体3とが軸方向に対向する面(第1隙間形成面7b、下端面11b)に撥油剤を供給するのであれば、塗布すべき面を目視で確認しながら撥油剤の塗布作業を行うことができる。また、軸方向端面であれば、塗布作業自体も容易に行うことができるため好ましい。また、半径方向外側に塗布領域を移動することで十分な塗布面積を確保することができ、これにより、ハウジング4の外周面をシール隙間15の形成面(シール形成面4d)として広く使用することができる。従い、流体軸受装置1の小型化、特に軸方向寸法の縮小を図りつつも、撥油剤の塗布面積を確保し、かつ、シール隙間15の軸方向寸法を十分に採ることができる。
また、シール隙間15の大気開放側に第1隙間16が形成されているので、第1隙間16を介してシール隙間15との間での外気の出入りが制限される。これにより、シール隙間15の気液界面を介して生じる、軸受内部空間に充填された潤滑油の蒸発(揮発)を抑えることができ、潤滑油の減少に伴い生じる軸受性能の低下を防ぐことができる。
また、この実施形態のように、ハウジング4をベース7に接着固定する場合、撥油剤の供給箇所によっては(例えば接着固定面となる下端面4eとシール形成面4dとの間など)、接着強度の低下を招く恐れがあるが、上述のように、接着固定面とは離れた箇所に撥油剤を供給することで、この種の不具合を解消することができる。
また、この実施形態では、第1隙間16の大気開放側に位置し、かつ第1隙間16より隙間寸法の小さい第2隙間17を固定体2(ベース7)と回転体3(ハブ9の筒部11)との間に設けたので、シール隙間15と軸受外部空間との間での外気の出入りが一層制限される。これにより、シール隙間15からの潤滑油の揮発量をより一層低減することが可能となる。
また、この実施形態では、軸方向に対向する第1隙間形成面7bと下端面11bとの間に第1隙間16を形成すると共に、ラジアル方向に対向する第2隙間形成面7cと外周面11cとの間に第2隙間17を形成した。そのため、これら第1隙間16と第2隙間17とがいわゆるラビリンスシールを構成し、第2隙間17の絞り部としての作用と相まって高いシール機能を発揮することが可能となる。特に、この実施形態のように、動圧発生部(動圧溝5a1、5a2)による潤滑油の動圧作用で軸部8を回転支持するラジアル軸受部R1、R2が形成される場合には、回転体3のラジアル方向へのぶれが非常に小さく(回転精度が高く)なるため、第2隙間17の半径隙間寸法を小さく設定することができ、非常に好適である。
以上、本発明の第1実施形態を説明したが、本発明は、この実施形態に限定されることなく、上記以外の構成をなす流体軸受装置にも適用可能である。ここで、既述の構成要素と同一の構成、作用を有するものについては、同一の符号を付して当該要素に係る説明を省略する。
例えば上記実施形態(第1実施形態)では、固定体2を構成するハウジング4、軸受スリーブ5、蓋部材6、およびベース7を何れも別体としたが、これら固定体2の構成部品群から選択される2以上の部品同士を一体化(同一材料で一体に形成)することも可能である。
図4はその一例を示すもので、この実施形態(第2実施形態)に係る流体軸受装置21は、主に、固定体2を構成するハウジング4とベース7とを一体に形成した点で、第1実施形態に係る流体軸受装置1とその構成を異にする。すなわち、この実施形態では、固定体22は、軸受スリーブ23と、軸受スリーブ23を内周に保持すると共に、他部材との固定部位となるベース部25を一体に形成したハウジング24と、ハウジング24の一端を閉塞する蓋部材26とを構成部品として備える。
ハウジング24の外周には、ラジアル方向に対向する筒部11の内周面11aとの間にシール隙間28を形成するシール形成面24cが設けられている。この実施形態では、シール形成面24cはテーパ状をなし、筒部11の内周面11aとの間に、ハウジング24の閉塞側(下方)から開口側(上方)に向けて半径方向寸法が漸次縮小した環状のシール隙間28を形成する。
互いに軸方向に対向するベース部25の第1隙間形成面25bと、筒部11の下端面11bとの間に第1隙間30が形成される。これら第1隙間30を形成する第1隙間形成面25bと下端面11bの一方あるいは双方には撥油剤が塗布され、これにより当該塗布面に撥油性が付与される。また、第1隙間30の大気開放側であって、互いにラジアル方向に対向するベース部25の第2隙間形成面25cと、筒部11の外周面11cとの間に第2隙間31が形成される。この場合、第2隙間31の半径方向隙間寸法は、第1隙間30の軸方向隙間寸法より小さい。
このように、固定体22と回転体3とが軸方向に対向する面(第1隙間形成面25b、下端面11b)に撥油剤を供給することにより、塗布すべき面を目視で確認しながら容易に撥油剤を塗布することができる。また、半径方向外側に塗布領域を移動することで十分な塗布面積を確保することができるので、これにより、ハウジング24の外周面をシール隙間28の形成面(シール形成面24c)で大きく占めることができる。従い、流体軸受装置21の小型化、特に軸方向寸法の縮小を図りつつも、撥油剤の塗布面積を確保し、かつ、シール隙間28の軸方向寸法を十分に採ることができる。
また、第1隙間30の大気開放側に、第1隙間30よりもその隙間寸法を小さくし、かつ隙間の延びる向きを第1隙間30と異ならせた第2隙間31を設けたので、これら第1隙間30および第2隙間31とがラビリンスシールとして機能し、潤滑油の漏れあるいは蒸発が効果的に抑制される。
また、この実施形態のように、ベース部25を一体に形成したハウジング24であれば、組立精度(例えば接着精度)の影響を受けて、ハブ9(実際には筒部11)とベース部25との間に形成される第1隙間30および第2隙間31の大きさにばらつきが出る可能性が小さい。そのため、より厳密に第1隙間30および第2隙間31の大きさを設定して、一層優れたシール機能を流体軸受装置21に付与することができる。
また、この実施形態では、軸部8を構成するフランジ部27の外周面27bをテーパ状に形成し、この面27bと対向するハウジング24の内周面24bとの間に、その半径方向寸法が軸方向下方に向かうにつれて拡大する形状をなすシール隙間29を設けるようにした。このように、ハウジング24とハブ9(の筒部11)との間に形成されるシール隙間28とは別に、シール隙間29を設けることで、例えば本実施形態のように、ハウジング24と一体に形成したベース部25によって、シール隙間28の気液界面が覆われてしまう場合であっても、目視でその界面位置を確認しながら潤滑油の注油作業を行うことができる。
また、2つのシール隙間28、29を設けることで、シール隙間1つ当りの容積(バッファ容積)を小さくすることができる。従い、この実施形態のように、シール隙間28、29が軸方向に向けて延びる構造の場合、その軸方向寸法を小さくして、流体軸受装置21全体のさらなる小型化・薄肉化を図ることが可能となる。
なお、ハウジング24の下端内周側にシール隙間29を設けた場合、外部からの異物の侵入を回避する目的で、図示の如く、蓋部材26でハウジング24の下端開口側を閉塞することもできる。もちろん、この場合、シール隙間29と大気とを連通する目的で、蓋部材26に連通孔26aを設けても構わない。これにより、シール隙間29と接する閉塞された空間の圧力バランスを適正に保つことができるためである。
また、この実施形態では、潤滑油の内部移動を円滑かつ迅速に行うために、軸受スリーブ23の外周面に軸方向溝23dを形成し、併せて、ハウジング24の内周に位置する軸受スリーブ23の上端面23cと円盤部10の下端面10aとの間に第1スラスト軸受部T1を形成するようにした(上端面23cに図3に示す動圧発生部を設け、ハウジング24の上端面24aは平坦状とした)。このような構成とすることで、軸方向溝23dにより軸受内部空間における油圧状態の異常を早期に回復することができる。また、第1実施形態の如く、スラスト動圧発生部の動圧溝配列態様をポンプイン効果の高いスパイラル形状とした場合であっても、この軸方向溝23dを介した半径方向内側のシール隙間29への油の流れが過大となるのを防ぎ、このシール隙間29の側から油漏れが生じる事態を極力回避することができる。なお、軸受スリーブ23が、その内周面23aに図2に示す形状の動圧発生部を、その下端面23bに図3に示す形状の動圧発生部ををそれぞれ有する点においては、第1実施形態に係る軸受スリーブ5と同じである。
なお、第2実施形態では、ハウジング24の外周面(シール形成面24c)とこれに対向するハブ9の筒部11の内周面11aとの間のシール隙間28とは別に、シール隙間29を設け、この隙間から注油を行うようにしたが、ベース部25に目視のための孔を貫通形成して、かかる孔からシール隙間28に注油を行うようにしても構わない。このようにすれば、フランジ部27とハウジング24との間にシール隙間29を設けずとも、例えば図1に示すように、蓋部材6でハウジング4の下端開口部を完全に閉塞する場合であっても確実に注油を行うことができる。
また、第1および第2実施形態で例示の流体軸受装置1、21において、スラスト軸受部は1つのみであってもよい。少なくとも回転体3を固定体2、22によって浮上支持し得る形態であればよい。図1や図4に示す形態でいえば、上側のスラスト軸受部(第1スラスト軸受部T1)を構成するものであればよい。その場合、フランジ部14、27は必ずしも必要でない。他の手段により抜け止めを図り得る限りにおいて、軸部8を軸本体13のみの形状とすることも可能である。
また、第1および第2実施形態では、ラジアル軸受部R1、R2およびスラスト軸受部T1、T2として、へリングボーン形状やスパイラル形状の動圧溝により潤滑油の動圧作用を発生させる構成を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、ラジアル軸受部R1、R2として、図示は省略するが、軸方向の溝を円周方向の複数箇所に形成した、いわゆるステップ状の動圧発生部、あるいは、円周方向に複数の円弧面を配列し、対向する軸部8(軸本体13)の外周面13aとの間に、くさび状の半径方向隙間(軸受隙間)を形成した、いわゆる多円弧軸受を採用してもよい。
あるいは、ラジアル軸受面となる軸受スリーブ5、23の内周面5a、23aを、動圧発生部としての動圧溝や円弧面等を設けない真円状内周面とし、この内周面と対向する軸部8の真円状外周面13aとで、いわゆる真円軸受を構成することができる。
また、スラスト軸受部T1、T2の一方又は双方は、同じく図示は省略するが、スラスト軸受面となる領域に、複数の半径方向溝形状の動圧溝を円周方向所定間隔に設けた、いわゆるステップ軸受、あるいは波型軸受(端面が調和波形などの波型になったもの)等で構成することもできる。
また、以上の実施形態では、動圧発生部を何れも固定体2、22(ハウジング4、24や軸受スリーブ5、23など)の側に設けた場合を説明したが、その一部あるいは全てを回転体3(軸部8やハブ9など)の側に設けることも可能である。具体的には、軸本体13の外周面13aや、ハブ9の円盤部10の下端面10a、フランジ部14の上端面14aのうち1ヶ所以上に既述の動圧発生部を設けることが可能である。
また、以上の実施形態では、流体軸受装置1、21の内部に充満し、ラジアル軸受隙間やスラスト軸受隙間に流体膜を形成するための流体として潤滑油を例示したが、これ以外にも流体膜を形成可能な流体、例えば空気等の気体や、磁性流体等の流動性を有する潤滑剤、あるいは潤滑グリース等を使用することもできる。
本発明の第1実施形態に係る流体軸受装置の縦断面図である。 軸受スリーブの縦断面図である。 ハウジングをハブ配置側から見た平面図である。 第2実施形態に係る流体軸受装置の縦断面図である。
符号の説明
1、21 流体軸受装置
2、22 固定体
3 回転体
4、24 ハウジング
7 ベース
9 ハブ
11 筒部
15、28 シール隙間
16、30 第1隙間
17、31 第2隙間
21 流体軸受装置
25 ベース部
29 シール隙間
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部

Claims (3)

  1. 固定体と、回転体と、固定体の外周面と回転体の内周面との間に形成されるシール隙間とを備えた流体軸受装置において、
    シール隙間の大気開放側で、固定体と回転体とが軸方向に対向する箇所に第1隙間を設け、かつ第1隙間を形成する一対の対向面の一方または双方に撥油性を有する材料を付与したことを特徴とする流体軸受装置。
  2. 第1隙間の大気開放側に位置し、かつ第1隙間より対向間隔の小さい第2隙間を固定体と回転体との間に設けた請求項1記載の流体軸受装置。
  3. 第1隙間とは隙間の延びる向きを異ならせて第2隙間を形成した請求項2記載の流体軸受装置。
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