JP2008157444A - 流体軸受装置およびこれを備えたスピンドルモータ、情報記録再生装置 - Google Patents

流体軸受装置およびこれを備えたスピンドルモータ、情報記録再生装置 Download PDF

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純一 中村
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薫 上之園
Toshifumi Hino
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Abstract

【課題】潤滑流体の充填時における作業効率を高めることが可能となり、かつ、潤滑流体の漏れを効果的に抑制することが可能とする流体軸受装置、およびこれを備えたスピンドルモータ、情報記録再生装置を提供する。
【解決手段】流体軸受装置30は、スリーブ1と、シャフト3と、潤滑流体4と、撥油剤塗布領域40,42と、撥油剤非塗布領域41とを備えている。スリーブ1は、軸受穴として少なくとも一方に挿入孔1cを有している。シャフト3は、スリーブ1の挿入孔1cに挿入され、スリーブ1に対して相対回転可能に支持される。潤滑流体4は、スリーブ1とシャフト3との間隙に介在する。撥油剤塗布領域40,42は、スリーブ1における開口部上面1bの挿入孔1cよりもシャフト1の半径方向における外側に、シャフト1を略中心として環状に形成されている。撥油剤非塗布領域41は、隣接する撥油剤塗布領域40,42の間に形成されている。
【選択図】図4

Description

本発明はハードディスク装置等の情報記録再生装置に使用される流体軸受装置と、この流体軸受装置を備えたスピンドルモータ、さらにはこのスピンドルモータを備えた情報記録再生装置に関するものである。
近年、ハードディスクドライブ等の情報記録再生装置において使用されるスピンドルモータの軸受部の多くには流体軸受装置が利用され始めている。流体軸受装置とは、シャフトとスリーブとの間にオイル等の潤滑流体を介在させ、その潤滑流体に生じる流体圧力を支持力とする軸受装置であり、精度よく動作させるために、潤滑流体の漏洩や蒸発を防ぐことが重要である。
一般的に、このような流体軸受装置においては、開口端からの潤滑流体の漏洩や滲み出しを防ぐために、開口端付近に撥油剤を塗布することが行われている。
ここで、流体軸受装置を備えたスピンドルモータを搭載したハードディスクドライブ用モータの一例を図11に示す。このスピンドルモータは、中心部に挿入孔を有するスリーブ901に、スリーブに対して相対的に回転するシャフト903を、所定間隙を介して挿入させ、シャフト903とスリーブ901との間の間隙に、潤滑流体904を充填させている。この挿入孔とシャフト903との間には、軸受の外側に向かって隙間が広くなる軸受シール部921を設けて、潤滑流体904の表面張力を利用することで潤滑流体904自身を軸受内部にシールする。また、このシャフト903のスリーブ901より突出した部分には、クランパ934によって磁気ディスク917が固定されるハブ920が取り付けられている。クランパ934は、シャフト903の先端部に設けたネジ穴部907にネジ933を螺合させることでハブ920の上側に固定される。
さらに、シャフト903の外周面とスリーブ901の内周面との少なくとも一方には、ヘリングボーン形状等の動圧発生溝(図示せず)が形成されたラジアル軸受部923を構成している。また、シャフト903の下端には、スラストフランジ910が固定され、さらに、スリーブ901の下端には、スラストプレート911が固定されて、スリーブ901下端を閉塞している。このスラストプレート911とスラストフランジ910との少なくとも一方、および、スラストフランジ910とスリーブ901との少なくとも一方には、ラジアル軸受部923と同様に動圧発生溝が形成されたスラスト軸受部924を構成している。また、潤滑流体904がスリーブ901の上端より漏れ出すことがないように、スリーブ901の開口部上面902には撥油剤が塗布されている。
そして、ロータマグネット926とステータ925との相互作用により、シャフト903が回転すると、ラジアル軸受部923およびスラスト軸受部924の動圧発生溝により潤滑流体904に圧力を発生させ、スリーブ901に対してシャフト903が一定量の間隙を有した姿勢で回転自在に支持される。
上記のように構成された軸受装置において軸受開口端部近傍に撥油剤を塗布する構成が複数提案されている。
構成の例としては、スリーブ901の開口部上面902全体に撥油剤905を塗布したものがある(特許文献1、特許文献2参照)。
特開2001−304263号公報 特開2004−263814号公報
しかしながら、ハードディスクドライブの薄型化によって、シャフト903の先端部で、ハブ920を接合するための部分の長さが短くなり、その結果、スリーブ901の開口部上面902より突出したシャフト903の長さが短くなっている。また、HDDの小径化に伴い、軸受ユニットの外径、すなわち、スリーブ901外径が小さくなってきており、撥油剤塗布を行うスリーブ901の開口部上面902の面積も小さくなってきている。
また、流体軸受装置930への潤滑流体の注入方法としては、気圧差を利用した真空注油方法が用いられることが多い。そして、この方法は、軸受ユニットを真空雰囲気内に放置し、潤滑流体904を開口部に滴下、もしくは、潤滑流体904に浸漬し、その後、軸受ユニット全体を大気圧に開放することにより、軸受部内部に潤滑流体904を充填する。
具体的には、潤滑流体を注油する際には、図12(a)に示すように細いディスペンサノズル916を用意して、以下の工程を踏む。
(a)ディスペンサノズル916の先端を軸受シール部921付近でシャフト903に 触れないように接近させて、ディスペンサノズル916の先端に潤滑流体の液滴 946を形成する。
(b)液滴946をゆっくりと大きくしていくと、液滴946はスリーブ上面に接触す る。
(c)さらに液滴946に圧力をかけて、液滴946サイズを大きくする。
(d)ディスペンサノズル916をスリーブ901から離間させると、液滴946は自 身の重力と、液滴946と開口部上面902との間の表面張力によって、ディス ペンサノズル916の先端から離れる。
(e)液滴946は、重力と表面張力によって広がって、軸受シール部921付近に供 給される。
ここで、3.5型HDDの様にスリーブの直径寸法が十分に大きい場合は、たとえ撥油剤905が開口部上面902全体に塗布されていても、図12(e)のように、潤滑流体904は、内周側において、シャフト903の外周円筒面に吸着するので、開口部上面902に留まることが可能である。したがって、潤滑流体904を供給した後で軸受ユニットの周囲の気圧を潤滑流体供給時よりも上げることで、潤滑流体904が軸受部隙間内部に押し込まれる。その後、開口部上面902に残った余分な潤滑流体904を拭き取って、軸受ユニットは完成する。
しかし、近年のHDDの小型化に伴い、内部に使用されるモータおよび軸受装置は、小型化が進みつつある。この小型化された軸受装置に潤滑流体を充填する際、従来のようにスリーブ901の開口部上面902に撥油剤905を全面塗布し、その撥油剤905の塗布領域に潤滑流体を滴下塗布すると、撥油剤905の塗布領域に滴下された潤滑流体904が内外周に分割される現象が発生してしまう。その結果、本来注油すべき軸受開口部に潤滑流体904が供給されなかったり、流体軸受ユニットの外周部に潤滑流体904が付着したりする課題が発生する。
具体的には、2.5型以下のHDDのように、スリーブ903の直径が小さい軸受装置の場合は、図13に示すように、3.5型HDDのときと様相が著しく異なる現象が発生する。すなわち、工程(a)から工程(c)までは、3.5型の場合と同様であるが、スリーブ903の直径が小さいので、工程(d)に示すように、液滴946は、開口部上面902で保持しきれなくなる。これは、開口部上面902全体に撥油剤905が塗布されているためである。その結果、スリーブ901外周側まで液滴946が広がってしまうと、外周部には撥油剤905が塗布されていないので、工程(e)に示すように、スリーブ901の外周側に潤滑流体904の一部が引き寄せられてしまう。さらに、潤滑流体904は、工程(f)のようにスリーブ901内周側と外周側とに分かれてしまう。
その結果、ラジアル軸受部923やスラスト軸受部924に必要量の潤滑流体904が供給されず、潤滑不足になったり、潤滑流体904がスリーブ901外周に付着してしまったりする。軸受ユニット外周部は、一般的にHDDを構成するベース部材との接着に使用される部分となるため、この部分に潤滑流体904が付着すると、その接着強度を低下させる原因となる。このため、潤滑流体904の除去工程が必要になり、作業が複雑になりコストアップになったり、潤滑流体904残渣による接着強度が低下する原因となったりしていた。
このように液滴946が内外周に分割しないようにするには、供給する液滴946のサイズを小さくすればよいが、実際は困難である。ディスペンサノズル916の先端に液滴946を形成した後に、スリーブ901上に液滴946を供給した状態でディスペンサノズル916だけを離間させるには、液滴946の表面張力により発生するディスペンサノズル916に対する液滴946の吸着力よりも、液滴946の自重及び液滴946とスリーブ901/シャフト903間の吸着力が大きくならないといけない。しかし、ディスペンサノズル916の仕様が変わらない限り、基本的には上記の吸着力の大小関係は変化がない。液滴946のサイズを小さくするには、ディスペンサノズル916の直径を小さくすることが最も効果的である。しかし、ディスペンサノズル916の直径を小さくすると、潤滑流体904の粘度の影響が非常に大きくなり、ディスペンサノズル916から必要量の潤滑流体904を供給することが困難になる。
さらに、仮に細いディスペンサノズル916の先端に小さなサイズの液滴946を形成できたとしても、その液滴946をスリーブ901上に供給できるとは限らない。それは、図14(a)のように、スリーブ901の上面に撥油剤905が塗布されているときには、同図(b)のように一旦液滴946が開口部上面902に接触しても、その後同図(c)のようにディスペンサノズル916を離間させると、液滴946はディスペンサノズル916に吸着されたままになり、開口部上面902から離れてしまう為である。したがって、ディスペンサノズル916の直径を小さくしても、液滴946自身の重量、および、スリーブ901に接触するときの面積が大きくないと、スリーブ901に液滴946が吸着できず、潤滑流体904の供給が不可能になってしまう。
さらに、潤滑流体904を供給することを最優先して、図15に示すように開口部上面902に撥油剤905を塗布する工程を後回しにして、潤滑流体904供給後に撥油剤905を塗布する方法も考えられる。しかし、潤滑流体904が充填された後に撥油剤905を塗布することになるために、撥油剤905が軸受シール部921に入り込んで軸受シール機能が働かなくなったり、ラジアル軸受部に撥油剤905が入り込んで潤滑不足から軸受部の焼き付きを発生してしまったりする危険性が残る。また、撥油剤905が開口部上面902に塗布されていない状態で、開口部上面902に残された余分な潤滑流体904を拭き取る作業が必要になる。拭き取り作業は、バキュームノズル(図示せず)を用いるか、同図d)に示すようにウェス960などによる吸い取りを行うことになる。しかし、同図e)に示すように吸い込みすぎにより潤滑流体904量が不足する事態を招きうる。
これは、スリーブ901の上面に残った潤滑流体液滴946と、軸受シール部921内に留まった液滴946とが、図15(d)に示すように連続しており、さらに、潤滑流体904の表面張力が存在しているため、ウェス960に吸い取られた開口部上面902の潤滑流体液滴946が軸受シール部921内の潤滑流体904まで一緒に吸い取ってしまうためである。
また、潤滑流体904が外周にこぼれないように、図16に示すようにスリーブ901の外周側だけに撥油剤905を円環状に塗布した場合であっても図15と同様の現象が生ずる。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、潤滑流体の充填時における作業効率を高めることを可能とし、かつ、潤滑流体が流体軸受装置の外周部へ漏れることを効果的に抑制することが可能な流体軸受装置、およびこれを備えたスピンドルモータ、情報記録再生装置を提供することを目的とする。
第1の発明に係る流体軸受装置は、スリーブと、シャフトと、潤滑流体と、複数の撥油剤塗布領域と、撥油剤非塗布領域と、を備えている。スリーブは、軸受穴として少なくとも一方に開口部を有している。シャフトは、スリーブの軸受穴に挿入され、スリーブに対して相対回転可能に支持されている。潤滑流体は、スリーブとシャフトとの間隙に介在している。撥油剤塗布領域は、スリーブおよびシャフトの少なくとも一方において、潤滑流体と空気との気液境界面よりも半径方向における外側、あるいは、軸方向における外側に、シャフトを略中心として環状に複数形成されている。撥油剤非塗布領域は、隣接する撥油剤塗布領域の間に形成されている。
ここでは、スリーブおよびシャフトの少なくとも一方において、潤滑流体と空気との気液境界面よりも半径方向における外側、あるいは、軸方向における外側に、シャフトを略中心として環状に形成された複数の撥油剤塗布領域が形成されている。そして、シャフトを略中心とした一つの撥油剤塗布領域と、その内周側あるいは外周側に形成されたシャフトを略中心としたもう一つの撥油剤塗布領域と、の間に撥油剤非塗布領域が形成されている。
なお、ここでいうシャフトには、一体または固定することによって取り付けられるハブ(軸回転型の場合)や、ベースシャーシ、モータブラケット、ベースカバー(軸固定型の場合)等の被固定部も含まれる。また、スリーブには、スリーブカバー、スリーブホルダー、さらにはベースシャーシ、モータブラケット(軸回転型の場合)等、または、ハブ(軸固定型の場合)等も含まれる。また、撥油剤塗布領域における環状形状は、真円でなくてもよく、楕円であっても多角形であってもよい。さらに、撥油剤非塗布領域は、複数形成されていてもよい。
従来、このような流体軸受装置においては、軸受部からの潤滑流体の漏れを防止するために撥油剤をスリーブ上面全体に塗布していた。これにより、軸受部から潤滑流体が漏れ出すことを防止していた。しかし、近年のHDDの小型化に伴い、小型化された流体軸受装置に潤滑流体を充填する際、従来のように全面に撥油剤が塗布されたスリーブの開口部上面に潤滑流体を滴下すると、潤滑流体が内外周に分割される現象が発生してしまう。その結果、本来充填すべき軸受部に潤滑流体が供給されなかったり、流体軸受装置の外周部(例えば、スリーブの外周面)に潤滑流体が付着したりする等の問題が発生する。また、撥油剤が塗布された面上では潤滑流体が移動しやすい状態にあるので、潤滑流体が全面塗布されたスリーブの上面に乗り上げると、モータ振動や遠心力、さらにはモータ内部の気流等によってスリーブ外周面等に移動しやすいという問題もある。
そこで、本発明の流体軸受装置においては、スリーブおよびシャフトの少なくとも一方において、潤滑流体と空気との気液境界面よりも半径方向における外側、あるいは、軸方向における外側に、シャフトを略中心として環状に形成された複数の撥油剤塗布領域と、隣接する撥油剤塗布領域の間に形成された撥油剤非塗布領域と、を備えている。
これにより、潤滑流体を充填する際にスリーブ上面に滴下された潤滑流体は、撥油剤塗布領域において撥油されるので、最内周の撥油剤塗布領域と最外周の撥油剤塗布領域との間に形成されている撥油剤非塗布領域に留めることができる。また、スリーブ上面に留まっている余分な潤滑流体を拭き取る際においても、最内周に形成されている撥油剤塗布領域によって撥油剤非塗布領域に留まっている潤滑流体と軸受部内の潤滑流体とを完全に分断することができるので、軸受部に充填された潤滑流体を誤って拭き取ることを防止することが可能となる。さらに、例えば、スリーブ上面に潤滑流体が漏れた場合であっても、潤滑流体を撥油剤塗布領域の間に形成された撥油剤非塗布領域に留めることができる。
この結果、潤滑流体の充填時における作業効率を高めることが可能となり、かつ、潤滑流体が流体軸受装置の外周部へ漏れることを効果的に抑制することが可能となる。
第2の発明に係る流体軸受装置は、第1の発明に係る流体軸受装置であって、撥油剤非塗布領域の面粗度は、撥油剤塗布領域の面粗度よりも大きい。
ここでは、スリーブあるいはシャフトにおける撥油剤非塗布領域の面粗度が撥油剤塗布領域の面粗度よりも大きくなるように形成されている。
ここで、一般的に、面粗度が大きいと撥油剤の拡散が防止される。
これにより、撥油剤塗布領域を形成したい部分の面粗度を小さく形成しておくことで、撥油剤を選択的に塗布することが可能となる。さらに、潤滑流体は、面粗度が大きい領域においては見かけ上の接触角度が小さくしようとして濡れ性が良くなる。この結果、面粗度が大きな領域、すなわち、撥油剤非塗布領域において潤滑流体を保持することが容易となる。
第3の発明に係る流体軸受装置は、第1または第2の発明に係る流体軸受装置であって、撥油剤塗布領域は、スリーブにおける開口部近傍と半径方向の外側端部近傍とに設けられている。
ここでは、撥油剤塗布領域は、スリーブにおける開口部近傍と半径方向の外側端部近傍とに設けられている。
これにより、スリーブにおける開口部近傍に設けられた撥油剤塗布領域によって、スリーブ上面の余分な潤滑流体を除去する際に、軸受部内部の潤滑流体を除去してしまうことを防止することが可能となる。また、スリーブにおける半径方向の外側端部近傍に設けられた撥油剤塗布領域によって、潤滑流体の充填時において、潤滑流体がスリーブの外周面に流出することを防止することが可能となる。
第4の発明に係る流体軸受装置は、第1から第3の発明のいずれか1つに係る流体軸受装置であって、シャフトは、固定あるいは一体的に形成されている被固定部を有している。
ここでは、例えば、シャフト回転型の流体軸受装置の場合には、シャフトに固定あるいは一体的に形成されている被固定部としてのハブを有している。また、例えば、シャフト固定型の流体軸受装置の場合には、シャフトに固定あるいは一体的に形成されている被固定部としてのベースシャーシまたはモータブラケット、さらには、両端固定のシャフトの場合などではモータの上部に配置されるベースカバーを有している。
これにより、例えば、ハブ等の被固定部にも撥油剤塗布領域、撥油剤非塗布領域を形成することができるので、設計の自由度を高めることが可能となる。
第5の発明に係る流体軸受装置は、第1から第4の発明のいずれか1つに係る流体軸受装置であって、撥油剤塗布領域および撥油剤非塗布領域は、スリーブおよびシャフトのうち回転する側に設けられている。
ここでは、撥油剤塗布領域および撥油剤非塗布領域は、スリーブおよびシャフトのうち回転する側に設けられている。
これにより、撥油剤塗布領域と撥油剤非塗布領域との境界部分において、遠心力の作用により回転部材の外周側へ移動しようとする潤滑流体をせきとめることができるので、潤滑流体が回転部材の外周側に飛散することを防止することが可能となる。
第6の発明に係る流体軸受装置は、第1から第4の発明のいずれか1つに係る流体軸受装置であって、撥油剤塗布領域および撥油剤非塗布領域は、スリーブおよびシャフトの両方に設けられている。
ここでは、撥油剤塗布領域および撥油剤非塗布領域は、スリーブおよびシャフトの両方に設けられている。
これにより、遠心力による潤滑流体の飛散と、毛管現象による滲み出しとを防止することが可能となる。
第7の発明に係る流体軸受装置は、第1から第6の発明のいずれか1つに係る流体軸受装置であって、撥油剤塗布領域および撥油剤非塗布領域は、シャフトとスリーブとが互いに対向する対向面に形成されている。
ここでは、撥油剤塗布領域および撥油剤非塗布領域は、シャフトとスリーブとが互いに対向した対向面に形成されている。
ここで、例えば、シャフトに一体または固定されたハブとスリーブとが互いに対向している面に撥油剤塗布領域および撥油剤非塗布領域が形成されている。
これにより、撥油剤塗布領域および撥油剤非塗布領域をさらに効果的に配置することが可能となる。
第8の発明に係る流体軸受装置は、第7の発明に係る流体軸受装置であって、シャフトおよびスリーブの一方に形成された撥油剤塗布領域の対向面には撥油剤非塗布領域が形成され、シャフトおよびスリーブの他方に形成された前記撥油剤塗布領域の対向面には撥油剤非塗布領域が形成されている。
ここでは、撥油剤塗布領域と撥油剤非塗布領域とは、前述した対向面に配置されている。そして、例えば、シャフトに取り付けられたハブとスリーブとが対向して配置されている場合、スリーブにおいて撥油剤塗布領域が形成されている位置に対向するハブの位置には、撥油剤非塗布領域が形成されている。また、スリーブにおいて撥油剤非塗布領域が形成されている位置に対向するハブの位置には、撥油剤塗布領域が形成されている。
なお、ハブ(シャフト)およびスリーブの一方に少なくとも2つ以上の撥油剤塗布領域を形成することによって、ハブ(シャフト)およびスリーブの一方に撥油剤非塗布領域を形成することができる。
これにより、潤滑流体をハブ(シャフト)およびスリーブの一方に形成された撥油剤非塗布領域に潤滑流体を維持することが可能となる。さらに、その撥油剤非塗布領域に対向する撥油剤塗布領域においては、潤滑流体に対して濡れ性を悪くするので、遠心力による影響を小さくすることができる。この結果、潤滑流体がスリーブ外周面側に飛散することを防止することが可能となる。
第9の発明に係る流体軸受装置は、第8の発明に係る流体軸受装置であって、シャフトおよびスリーブの一方に形成された撥油剤塗布領域と、撥油剤塗布領域の対向面に配置された撥油剤非塗布領域に隣接する撥油剤塗布領域とは、対向面に沿った方向において重なるオーバラップ部を有している。
ここでは、撥油剤塗布領域と撥油剤非塗布領域とは、前述した対向面に配置されている。そして、例えば、スリーブに形成された撥油剤塗布領域と、その撥油剤塗布領域の対向面である前述のハブに形成された撥油剤非塗布領域に隣接する撥油剤塗布領域とが、対向面に沿った方向において重なるように形成されている。
これにより、ハブ(シャフト)およびスリーブの一方に形成された撥油剤非塗布領域に潤滑流体を確実に保持し、潤滑流体の飛散を効果的に防止することが可能となる。
第10の発明に係る流体軸受装置は、第7の発明に係る流体軸受装置であって、シャフトおよびスリーブの一方に形成された、撥油剤塗布領域の対向面には撥油剤塗布領域が形成され、撥油剤非塗布領域の対向面には撥油剤非塗布領域が形成されている。
ここでは、撥油剤塗布領域と撥油剤非塗布領域とは、前述した対向面に配置されている。そして、例えば、シャフトに取り付けられたハブとスリーブとがシャフトの軸方向に対向して配置されている場合、スリーブにおいて撥油剤塗布領域が形成されている位置に対向するハブの位置には、撥油剤塗布領域が形成されている。また、スリーブにおいて撥油剤非塗布領域が形成されている位置に対向するハブの位置には、撥油剤非塗布領域が形成されている。
なお、ハブ(シャフト)およびスリーブのそれぞれに、2つ以上の撥油剤塗布領域を形成することによって、ハブ(シャフト)およびスリーブのそれぞれに撥油剤非塗布領域を形成することができる。
これにより、ハブ(シャフト)およびスリーブに形成された対向する撥油剤塗布領域によって外周側に移動しようとする潤滑流体をせき止めることができ、潤滑流体の飛散を防止することが可能となる。
第11の発明に係る流体軸受装置は、第10の発明に係る流体軸受装置であって、撥油剤非塗布領域よりも開口部の外側に位置する撥油剤塗布領域の対向間隔は、撥油剤非塗布領域の対向間隔よりも小さくなるように形成されている。
ここでは、撥油剤塗布領域と撥油剤非塗布領域とは、前述した対向面に配置されている。そして、撥油剤非塗布領域よりも軸受部の外側に位置している撥油剤塗布領域の対向間隔は、撥油剤非塗布領域の対向間隔よりも小さくなるように形成されている。
これにより、ハブ(シャフト)およびスリーブに形成された対向する撥油剤塗布領域によって潤滑流体を効果的にせき止めることが可能となる。
第12の発明に係るスピンドルモータは、第1から第11の発明に係る流体軸受装置を備えている。
ここでは、スピンドルモータが、前述の流体軸受装置を備えている。
これにより、潤滑流体の充填時における作業効率を高めることが可能となり、かつ、潤滑流体が流体軸受装置の外周部へ漏れることを効果的に抑制することが可能なスピンドルモータを提供することが可能となる。
第13の発明に係る情報記録再生装置は、記録媒体と、ヘッドと、スピンドルモータと、スピンドルモータと、を備えている。ヘッドは、記録媒体に対して情報の記録および再生を行う。スピンドルモータは、第12の発明に係るスピンドルモータであって、記録媒体またはヘッドを回転駆動する。
ここでは、情報記録再生装置が、前述のスピンドルモータを備えている。
これにより、潤滑流体の充填時における作業効率を高めることが可能となり、かつ、潤滑流体が流体軸受装置の外周部へ漏れることを効果的に抑制することが可能な情報記録再生装置を提供することが可能となる。
第14の発明に係る流体軸受装置は、スリーブと、シャフトと、潤滑流体と、第1撥油剤塗布領域と、を備えている。スリーブは、軸受穴として少なくとも一方に開口部を有している。シャフトは、スリーブの軸受穴に挿入され、スリーブに対して相対回転自在に支持されている。潤滑流体は、スリーブとシャフトとの間隙に介在している。第1撥油剤塗布領域は、シャフトとスリーブとが互いに対向した対向面の少なくとも回転側の一方に、シャフトを略中心とした環状に撥油剤が塗布されている環状部と、相対回転方向とは逆方向に沿って軸受穴内部に向かう形状に撥油剤が環状部の内側に連続して塗布されている掻き込み部と、を有している。
ここでは、シャフトとスリーブとが互いに対向した対向面の少なくとも回転側の一方に、シャフトを略中心とした環状に撥油剤が塗布されている環状部と、相対回転方向とは逆方向に沿って軸受穴内部に向かう形状に撥油剤が環状部の内側に連続して塗布されている掻き込み部と、を有している第1撥油剤塗布領域が形成されている。また、ここでいう相対回転方向とは、回転部材においては回転する方向を言い、静止部材においては、回転部材が回転する方向とは逆の方向を言う。
なお、ここでいうシャフトには、一体または固定することによって取り付けられるハブ(軸回転型の場合)や、ベースシャーシ、モータブラケット、ベースカバー(軸固定型の場合)等の被固定部も含まれる。また、スリーブには、スリーブカバー、スリーブホルダー、ベースシャーシ、モータブラケット(軸回転型の場合)等、さらにはハブ(軸固定型の場合)等も含まれる。また第1撥油剤塗布領域における環状形状は、真円でなくてもよく、楕円であっても多角形であってもよい。また、シャフトの軸中心に向かう形状には、例えば、スパイラル形状、放射形状等がある。
従来、このような流体軸受装置においては、軸受部からの潤滑流体の漏れを防止するために撥油剤をスリーブ上面全体に塗布していた。これにより、軸受部から潤滑流体が漏れ出すことを防止していた。しかし、近年のHDDの小型化に伴い、小型化された流体軸受装置に潤滑流体を充填する際、従来のように全面に撥油剤が塗布されたスリーブの開口部上面に潤滑流体を滴下すると、潤滑流体が内外周に分割される現象が発生してしまう。その結果、本来充填すべき軸受部に潤滑流体が供給されなかったり、流体軸受装置の外周部(例えば、スリーブの外周面)に潤滑流体が付着したりする等の問題が発生する。また、撥油剤が塗布された面上では潤滑流体が移動しやすい状態にあるので、潤滑流体が全面塗布されたスリーブの上面に乗り上げると、モータ振動や遠心力、さらにはモータ内部の気流等によってスリーブ外周面等に移動しやすいという問題もある。
そこで、本発明の流体軸受装置においては、シャフトとスリーブとが互いに対向した対向面の少なくとも回転側の一方に、シャフトを略中心とした環状に撥油剤が塗布されている環状部と、相対回転方向とは逆方向に沿って軸受穴内部に向かう形状に撥油剤が環状部の内側に連続して塗布されている掻き込み部と、を有している第1撥油剤塗布領域を備えている。
これにより、潤滑流体を充填する際にスリーブ上面に滴下された潤滑流体は、第1撥油剤塗布領域に含まれる環状部において撥油されるので、環状部よりも内側に留めることができる。また、例えば、スリーブの上面に潤滑流体が漏れた場合であっても、スリーブに対してシャフト(ハブ)が相対回転した際には、掻き込み部が潤滑流体を回転軸中心、すなわち、軸受部内に掻き込むことになる。
この結果、潤滑流体の充填時における作業効率を高めることが可能となり、かつ、潤滑流体が流体軸受装置の外周部へ漏れることを効果的に抑制することが可能となる。
第15の発明に係る流体軸受装置は、第14の発明に係る流体軸受装置であって、第1撥油剤塗布領域は、対向面のうち回転側の一方に形成され、対向面のうち固定側の他方には、全面に撥油剤が塗布された第2撥油剤塗布領域をさらに備えている。
ここでは、シャフトの軸方向においてシャフトに固定あるいは一体に形成されたハブとスリーブとが互いに対向した対向面の回転側の一方に、シャフトを略中心とした環状に撥油剤が塗布されている環状部と、相対回転方向とは逆方向に沿ってシャフトの軸中心に向かう形状に撥油剤が塗布されている掻き込み部と、を有している第1撥油剤塗布領域が形成されている。そして、対向面の固定側の他方には、全面に撥油剤が塗布された第2撥油剤塗布領域が形成されている。
これにより、スリーブに対してハブが相対回転した際に、掻き込み部が潤滑流体を確実に掻き込むことができる。この結果、対向面にある潤滑流体の掻き込み効率を容易に高めることが可能となる。
第16の発明に係る流体軸受装置は、第14または第15の発明に係る流体軸受装置であって、シャフトは、固定あるいは一体的に形成されている被固定部を有している。
ここでは、例えば、シャフト回転型の流体軸受装置の場合には、シャフトに固定あるいは一体的に形成されている被固定部としてのハブを有している。また、例えば、シャフト固定型の流体軸受装置の場合には、シャフトに固定あるいは一体的に形成されている被固定部としてのベースシャーシまたはモータブラケット、さらには、両端固定のシャフトの場合などではモータの上部に配置されるベースカバーを有している。
これにより、例えば、ハブ等の被固定部にも撥油剤塗布領域、撥油剤非塗布領域を形成することができるので、設計の自由度を高めることが可能となる。
第17の発明に係るスピンドルモータは、第14から第16の発明のいずれか1つに係る流体軸受装置を備えている。
ここでは、スピンドルモータが、前述の流体軸受装置を備えている。
これにより、潤滑流体の充填時における作業効率を高めることが可能となり、かつ、潤滑流体が流体軸受装置の外周部へ漏れることを効果的に抑制することが可能なスピンドルモータを提供することが可能となる。
第18の発明に係る情報記録再生装置は、記録媒体と、ヘッドと、スピンドルモータと、を備えている。ヘッドは、記録媒体に対して情報の記録および再生を行う。スピンドルモータは、第17の発明に係るスピンドルモータであって、記録媒体またはヘッドを回転駆動する。
ここでは、情報記録再生装置が、前述のスピンドルモータを備えている。
これにより、潤滑流体の充填時における作業効率を高めることが可能となり、かつ、潤滑流体が流体軸受装置の外周部へ漏れることを効果的に抑制することが可能な情報記録再生装置を提供することが可能となる。
第19の発明に係る流体軸受装置は、スリーブと、シャフトと、潤滑流体と、第1領域と、第2領域と、を備えている。スリーブは、軸受穴として少なくとも一方に開口部を有している。シャフトは、スリーブの軸受穴に挿入され、スリーブに対して相対回転自在に支持されている。潤滑流体は、スリーブとシャフトとの間隙に介在している。第1領域は、スリーブおよびシャフトの少なくとも一方において、潤滑流体と空気との気液境界面よりも半径方向における外側、あるいは、軸方向における外側に、シャフトを略中心として環状に複数形成されている。第2領域は、隣接する第1領域の間に形成され、面粗度が第1領域よりも大きい。
ここでは、スリーブおよびシャフトの少なくとも一方において、潤滑流体と空気との気液境界面よりも半径方向における外側、あるいは、軸方向における外側に、シャフトを略中心として環状に形成された複数の第1領域が形成されている。そして、シャフトを略中心とした一つの第1領域と、その内周側あるいは外周側に形成されたシャフトを略中心としたもう一つの第1領域と、の間に第1領域よりも面粗度が大きな第2領域が形成されている。
なお、ここでいうシャフトには、一体または固定することによって取り付けられるハブ(軸回転型の場合)や、ベースシャーシ、モータブラケット、ベースカバー(軸固定型の場合)等の被固定部も含まれる。また、スリーブには、スリーブカバー、スリーブホルダー、ベースシャーシ、モータブラケット(軸回転型の場合)等、さらにはハブ(軸固定型の場合)等も含まれる。さらに、第1領域における環状形状は、真円でなくてもよく、楕円であっても多角形であってもよい。さらに、第2領域は、複数形成されていてもよい。
ここで、一般的に、潤滑流体は、面粗度が大きい領域においては見かけ上の接触角度を小さくしようとして濡れ性が良くなるという性質を有している。
従来、このような流体軸受装置においては、軸受部からの潤滑流体の漏れを防止するために撥油剤をスリーブ上面全体に塗布していた。これにより、軸受部から潤滑流体が漏れ出すことを防止していた。しかし、近年のHDDの小型化に伴い、小型化された流体軸受装置に潤滑流体を充填する際、従来のように全面に撥油剤が塗布されたスリーブの開口部上面に潤滑流体を滴下すると、潤滑流体が内外周に分割される現象が発生してしまう。その結果、本来充填すべき軸受部に潤滑流体が供給されなかったり、流体軸受装置の外周部(例えば、スリーブの外周面)に潤滑流体が付着したりする等の問題が発生する。また、撥油剤が塗布された面上では潤滑流体が移動しやすい状態にあるので、潤滑流体が全面塗布されたスリーブの上面に乗り上げると、モータ振動や遠心力、さらにはモータ内部の気流等によってスリーブ外周面等に移動しやすいという問題もある。
そこで、本発明の流体軸受装置においては、スリーブおよびシャフトの少なくとも一方において、潤滑流体と空気との気液境界面よりも半径方向における外側、あるいは、軸方向における外側に、シャフトを略中心として環状に形成された複数の第1領域と、隣接する第1領域の間に形成され、第1領域よりも面粗度が大きな第2領域と、を備えている。
これにより、潤滑流体を充填する際にスリーブ上面に滴下された潤滑流体は、潤滑流体の濡れ性特性により、第1領域に比べて面粗度の大きな第2領域内に留めることが可能となる。また、スリーブ上面に留まっている余分な潤滑流体を拭き取る際においても、第2領域に留まっている潤滑流体と軸受部内の潤滑流体とを最内周に形成されている第1領域によって完全に分断することができるので、軸受部内に充填された潤滑流体を誤って拭き取ることを防止することが可能となる。さらに、例えば、スリーブ上面に潤滑流体が漏れた場合であっても、潤滑流体を第2領域に留めることができる。
この結果、潤滑流体の充填時における作業効率を高めることが可能となり、かつ、潤滑流体が流体軸受装置の外周部へ漏れることを効果的に抑制することが可能となる。
第20の発明に係る流体軸受装置は、第19の発明に係る流体軸受装置であって、第1領域には、撥油剤が塗布されている。
ここでは、第1領域に撥油剤が塗布されている。
ここで、一般的に、面粗度が大きいと撥油剤の塗布時において余分な拡散が防止される。
これにより、面粗度の小さい第1領域に、撥油剤を選択的に塗布することが可能となる。
第21の発明に係るスピンドルモータは、第19または第20の発明に係る流体軸受装置を備えている。
ここでは、スピンドルモータが、前述の流体軸受装置を備えている。
これにより、潤滑流体の充填時における作業効率を高めることが可能となり、かつ、潤滑流体が流体軸受装置の外周部へ漏れることを効果的に抑制することが可能なスピンドルモータを提供することが可能となる。
第22の発明に係る情報記録再生装置は、記録媒体と、ヘッドと、スピンドルモータと、を備えている。ヘッドは、記録媒体に対して情報の記録および再生を行う。スピンドルモータは、第21の発明に係るスピンドルモータであって、記録媒体またはヘッドを回転駆動する。
ここでは、情報記録再生装置が、前述のスピンドルモータを備えている。
これにより、潤滑流体の充填時における作業効率を高めることが可能となり、かつ、潤滑流体が流体軸受装置の外周部へ漏れることを効果的に抑制することが可能な情報記録再生装置を提供することが可能となる。
第23の発明に係る流体軸受装置は、シャフトと、スリーブと、潤滑流体と、軸受部と、カバーと、内周側撥油剤塗布領域と、外周側撥油剤塗布領域と、撥油剤非塗布領域と、を備えている。スリーブは、シャフトが相対的に回転可能に挿入される軸受孔を有しており、一端が閉塞している。潤滑流体は、スリーブとシャフトとの間に形成される隙間に充填されている。軸受部は、潤滑流体を介してスリーブとシャフトとをシャフトの半径方向および軸方向に支持する。カバーは、スリーブにおける開放側の端面に配置され、シャフト近傍に形成された少なくとも1つの開口部と、スリーブとの間に形成される潤滑流体溜まり部と、潤滑流体溜まり部と軸受部外部とを連通する少なくとも1つの通気口と、を有している。内周側撥油剤塗布領域は、カバーの軸受部外側面において、通気口よりもシャフトの半径方向内側にシャフトを略中心として環状に形成されている。外周側撥油剤塗布領域は、カバーの軸受部外側面において、通気口よりもシャフトの半径方向外側にシャフトを略中心として環状に形成されている。撥油剤非塗布領域は、内周側撥油剤塗布領域と外周側撥油剤塗布領域との間に形成されている。
ここでは、スリーブの開口端側に配置された通気口を有するカバーにおいて、通気口の内周側と外周側とにそれぞれ内周側・外周側撥油剤塗布領域が形成され、内周側撥油剤塗布領域と外周側撥油剤塗布領域との間に撥油剤非塗布領域が形成されている。
なお、内周側・外周側撥油剤塗布領域における環状形状は、真円でなくてもよく、楕円であっても多角形であってもよい。さらに、内周側撥油剤塗布領域、外周側撥油剤塗布領域、撥油剤非塗布領域は、複数形成されていてもよい。また、スリーブにおける開放側とは、スリーブの閉塞された一端とは反対側の一端をいう。
従来、このような流体軸受装置においては、軸受部からの潤滑流体の漏れを防止するために撥油剤をスリーブ上面全体に塗布していた。これにより、軸受部からシャフトの半径方向における外側に潤滑流体が漏れ出すことを防止している。ここで、前述したような通気口を有するカバーを備えた流体軸受装置においては、軸受部内部に気泡が入るリスクを低減するために、通気口全体を覆うように真空中にて充填する。しかし、従来のようにカバー上面に撥油剤を全面塗布し、その撥油剤の塗布領域に潤滑流体を滴下塗布すると、撥油剤の塗布領域に滴下された潤滑流体が通気口の内外周に分割される現象が発生してしまう。その結果、本来注油すべき軸受部に潤滑流体が供給されなかったり、流体軸受装置の外周部(例えば、カバーおよびスリーブの外周面)に潤滑流体が付着したりする等の問題が発生する。また、撥油剤が塗布された面上では潤滑流体が移動しやすい状態にあるので、潤滑流体が全面塗布されたカバー上面に乗り上げると、モータ振動やモータ内部の気流等によってカバー外周面等に移動しやすいという問題もある。
そこで、本発明の流体軸受装置においては、スリーブの軸受部外側端面、すなわち、潤滑流体が充填される端面において、通気口よりも内周側と外周側とにそれぞれ形成された内周側・外周側撥油剤塗布領域と、内周側撥油剤塗布領域と外周側撥油剤塗布領域との間に形成された撥油剤非塗布領域とを備えている。
これにより、潤滑流体を充填する際にスリーブ上面に滴下された潤滑流体は、内周側・外周側撥油剤塗布領域において撥油されるので、内周側撥油剤塗布領域と外周側撥油剤塗布領域との間に形成されている撥油剤非塗布領域に留め、通気口に導くことができる。また、カバー上面に留まっている余分な潤滑流体を拭き取る際においても、撥油剤非塗布領域に留まっている潤滑流体と軸受部内の潤滑流体とを内周側撥油剤塗布領域によって完全に分断することができるので、軸受部に充填された潤滑流体を誤って拭き取ることを防止することが可能となる。さらに、例えば、カバー上面に潤滑流体が漏れた場合であっても、潤滑流体を内周側・外周側撥油剤塗布領域の間に形成された撥油剤非塗布領域に留めることができる。
この結果、潤滑流体の充填時における作業効率を高めることが可能となり、かつ、潤滑流体が流体軸受装置の外周部へ漏れることを効果的に抑制することが可能となる。
第24の発明に係るスピンドルモータは、第23の発明に係る流体軸受装置を備えている。
ここでは、スピンドルモータが、前述の流体軸受装置を備えている。
これにより、潤滑流体の充填時における作業効率を高めることが可能となり、かつ、潤滑流体が流体軸受装置の外周部へ漏れることを効果的に抑制することが可能なスピンドルモータを提供することが可能となる。
第25の発明に係る情報記録再生装置は、記録媒体と、ヘッドと、スピンドルモータと、を備えている。ヘッドは、記録媒体に対して情報の記録および再生を行う。スピンドルモータは、第24の発明に係るスピンドルモータであって、記録媒体またはヘッドを回転駆動する。
ここでは、情報記録再生装置が、前述のスピンドルモータを備えている。
これにより、潤滑流体の充填時における作業効率を高めることが可能となり、かつ、潤滑流体が流体軸受装置の外周部へ漏れることを効果的に抑制することが可能な情報記録再生装置を提供することが可能となる。
本発明に係る流体軸受装置、およびこれを備えたスピンドルモータ、情報記録再生装置によれば、潤滑流体の充填時における作業効率を高めることが可能となり、かつ、潤滑流体が流体軸受装置の外周部へ漏れることを効果的に抑制することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
本発明におけるスピンドルモータ9の構成は、図1に示すように、中央部に挿入孔1cを有するスリーブ1に、所定間隙を介してシャフト3を挿入させ、このシャフト3には磁気ディスク17が固定されるハブ(被固定部)20が取り付けられている流体軸受装置30に適用することができる。
この流体軸受装置30の組立方法は、以下のようにして行われる。図4(b)に示すように、まずシャフト3を組み付けていない状態のスリーブ1の開口部上面1bの撥油剤塗布領域に撥油剤5を刷毛や撥油剤用ディスペンサノズル116などにより、内周側の撥油剤塗布領域40と外周側の撥油剤塗布領域42の2箇所に塗布する。この時、内外周の撥油剤塗布領域40,42の半径方向幅W1,W3は0.2mm以上(より好ましくは0.6mm以上)としている。また、2カ所の撥油剤塗布領域40,42の間には、撥油剤5を塗布しない撥油剤非塗布領域41を設ける。その半径方向幅W2として0.2mm以上(より好ましくは0.6mm以上)としている。なお、撥油剤5としては、例えば、パーフルオロトリブチルアミンを溶媒として不揮発成分であるパーフルオロ樹脂を混入したもの等が使用可能であり、溶媒を揮発させた後に不揮発成分が撥水性/撥油性を帯びた薄膜コーティング可能な材料が好ましい。撥水性の目処としては、水との接触角度が90度以上である事が好ましい。また、潤滑流体4としては、エステル系オイル、エーテル系オイル、フッ素系オイル、高流動性グリス、イオン性液体などを使用することが可能である。ここで、潤滑流体4の表面張力は、シール性を考慮して常温で25〜35mN/mのものが望ましい。このような条件のもとでは、潤滑流体4は、撥油剤5面上で凝集したときに0.2mm程度の直径の液滴状態になる。したがって、0.2mm以上の半径方向幅を有する撥油剤塗布領域40,42を設けておけば、撥油剤塗布領域40,42上で潤滑流体4が凝集しても撥油剤塗布領域40,42の内外間(例えば、スリーブ外周部1aと撥油剤非塗布領域41との間)で互いに潤滑流体4がブリッジしてしまうことはない。また、撥油剤非塗布領域41の半径方向幅を0.2mm以上(より好ましくは0.6mm以上)にしてあるので、安定的に潤滑流体4を開口部上面1bに乗せることが可能になる。
次に、スリーブ1に、スラストフランジ10を取り付けたシャフト3等を組付けるとともに、スリーブ1にスラストプレート11をカシメ、接着、圧入、溶接などで固定して流体軸受装置30を形成し、この流体軸受装置30を、図2(a)に示すように、真空に近い雰囲気が維持された真空室12内に所定時間以上放置して、スリーブ1とシャフト3、さらにはスラストフランジとスリーブ、スラストフランジとスラストプレートなどとの間の隙間に残っている空気を排気して真空に近い状態とする。なお、真空室12は、真空バルブ13を有する真空用連通路を介して図示しない真空ポンプに接続されており、また、この真空室12には、内部を大気圧に戻すことができるように、大気バルブ14を有する大気連通路も接続されている。また、真空室12には、複数の流体軸受装置30をテーブル15上に、スリーブ1の開口部および開口部上面1bが上方になる姿勢で配置できるとともに、各流体軸受装置30に対して、潤滑流体4を供給するディスペンサノズル16などの給液用治具が移動自在に配置されている。
真空室12内が大気圧より低い第1の圧力状態になって、所定時間経過した後に、図2(b)に示すように、外周側の撥油剤塗布領域42よりも内周側で、シャフト3の外周面に近い領域に、ディスペンサノズル16などの給液用治具を用いるなどして、潤滑流体4を軸受サイズに応じた所定量(寸法誤差を考慮したマージン分を含む)(計0.5〜15μL)を給液する(潤滑流体給液工程)。
そして、最後に、大気バルブ14をゆっくりと開放して、真空室12内を第1の圧力より高い第2の圧力にする。これにより、スリーブ1とシャフト3との隙間(軸受シール部21)から潤滑流体4が毛細管圧力と大気圧によってラジアル軸受部23側に吸引されて流れ込む。(潤滑流体充填工程)。
ここで、本発明における、スリーブ1における開口部上面への撥油剤5塗布について説明を行う。撥油剤5が乾燥硬化する前に液体状であるときの粘度は、潤滑流体4の粘度とほぼ同等であるが、表面張力は、潤滑流体4の約2/3乃至それ以下である。このため、撥油剤5は、金属表面に塗布すると、表面状態が同一な範囲にたやすく拡散していく。従って、図3に示すように旋盤加工などによって加工された軸受部材のように、加工挽目35の影響により半径方向と円周方向とで表面粗さなどの状態が異なる場合は、一般に表面粗さが小さい方向(旋盤加工の場合は一般に円周方向)に容易に拡散していく。
従って、撥油剤5の塗布において極細のノズルを用いると、円周方向に細く伸びた状態で塗布することが可能になる。なお、潤滑流体4は、表面張力が大きいために、自らが球状になることで表面積を小さくしようとする力が大きいために、撥油剤5のように薄く広がることは困難である。
ここで、図4(a),(b)に示すように、スリーブ1の開口部上面1bの一部に撥油剤非塗布領域41を設けて、撥油剤非塗布領域41の内周側および外周側は、撥油剤5で囲まれるようにする。具体的には、次のような塗布方法が考えられるが、これに限定されるものではない。
(a)島状の撥油剤非塗布領域41を設ける。
(図4では3カ所の撥油剤非塗布領域41を設けているが、1つの撥油剤非塗布領域 41でも良いし、より多く撥油剤非塗布領域41を設けても良い)
(b)円環状の撥油剤非塗布領域41を設け、その内周側と外周側に撥油剤塗布領域40 ,42を設ける。
このような構成をとることにより、図5に示すように、スリーブ外周部1aへの潤滑流体4の付着を防ぐことができる。また、開口部上面1bの内周側にも撥油剤5を塗布しているので、潤滑流体4は、軸受開口部と撥油剤非塗布領域41とに分断されるので、余分な潤滑流体4を拭き取る際に、軸受開口部内の潤滑流体4をウェス60などで吸い取ってしまうことを防ぐことができる。
以下、順に説明する。図5(a)は、真空雰囲気中でのスリーブ1における開口部上面1bへの潤滑流体液滴46を滴下する直前の状態であり、同図(b)は、真空雰囲気中でスリーブ1の開口部上面1bに潤滑流体液滴46を滴下した瞬間の状態を示している。同図(c)は、真空雰囲気中での潤滑流体液滴46を滴下した後でディスペンサノズル16から潤滑流体液滴46が離間して、開口部上面1b上に潤滑流体液滴46が安定的に静止している状態を示している。ここで、開口部上面1bの内周側と外周側にそれぞれ設けた撥油剤塗布領域40,42に撥油剤5が円周状に塗布されているため、撥油効果によりスリーブ外周部1aへの潤滑流体液滴46の流れ出しを防ぐことができる。同図(d),(e)は、真空環境から通常大気圧環境に徐々に戻す途中の工程を示しており、ラジアル軸受部23,スラスト軸受部24内部と周囲環境の気圧差を利用して、ラジアル軸受部23,スラスト軸受部24内部へ潤滑流体4が供給される。同図(f),(g)は、残留潤滑流体液滴47の拭き取り工程を示している。ここでは、開口部上面1bの内周側に設けた撥油剤塗布領域40に撥油剤5が塗布されているため、例えば、ウェス60などで拭き取る際に軸受部23,24内部の潤滑流体4を過剰に拭き取ることを防止できる。
なお、上記軸受シール部21の形状は、必ずしもラジアル軸受部23,スラスト軸受部24の外部に向けて半径隙間が大きくなるようなテーパ形状に限定されるものではない。例えば、軸受シール部21の途中で半径隙間を小さくして、衝撃荷重などが流体軸受装置30に印加された時でも潤滑流体4が軸受シール部21から漏れないようにした構成であっても良い。
また、流体軸受装置30の構成は、ここに記載したものだけに限定されるものではなく、他の構成でも適用が可能である。例えば、スラストフランジ10を用いることなく、シャフト3の先端部とスラストプレート11との間でスラスト軸受部24を構成したものでも良い。
こうして得られた流体軸受装置30を搭載したスピンドルモータ9には、記録媒体である磁気ディスク17がハブ20に固定される。さらに、このスピンドルモータ9を、磁気ディスク17に対して信号の記録および再生を行うヘッド(図示せず)を有する情報記録再生装置に搭載することで、必要な潤滑流体が十分に充填され、かつ、潤滑流体からの発ガスなどを低く抑えることが可能な信頼性の高い情報記録再生装置を得ることが可能になる。
上記実施形態の流体軸受装置9によれば、開口部上面1bの外周部に撥油剤5が塗布されているので、潤滑流体4を供給する際に、潤滑流体4が撥油され潤滑流体4がスリーブ外周部1aへこぼれ落ちることはない。なお、スリーブ外周部1aは、一般的にHDDを構成するベースプレート等に接着等によって固定される。本構成の流体軸受装置9においては、スリーブ外周部1aへの潤滑流体4の付着を防止できるため、接着強度の低下を防ぐことができる。
また、開口部上面1bにおける内周側にも撥油剤5が塗布されているので、潤滑流体4が撥油され、開口部上面1bの余分な潤滑流体4を拭き取る際に、軸受部23,24内の潤滑流体4がウェス60等で吸い取られることを防ぐことができる。さらに、潤滑流体4がスリーブ1の開口部上面1bから滲み出して蒸発表面積が増大することを抑制するので、蒸発を効果的に抑制できる。その結果、流体軸受装置9における寿命の低下、発ガス成分増加も抑制できる。そして、流体軸受装置9の組み込まれるHDDの機能、主にヘッドとディスク面への悪影響を低減して、書き込みエラーなどの不良の原因を取り除くことができる。
(実施の形態2)
上記実施の形態1の効果をさらに向上させるために、図6に示すように、撥油剤5を塗布しない半径方向中央部分(撥油剤非塗布領域41と同じ)51の面粗度を、撥油剤5を塗布する部分(撥油剤塗布領域40,42)の面粗度に比べて大きくしてもよい。
具体的には、撥油剤5は、開口部上面1bにおいて面粗度が小さい撥油剤塗布領域40,42にのみ塗布される。例えば、内外周部の撥油剤塗布領域40,42は、表面粗さをRz<3とし、半径方向中央部分51の面粗度をその2倍以上にする。なお、ここでRzは最大高さ粗さであり、JIS B0601:2001(ISO4287:1997)の表記に従う。これにより、面粗度が大きいところでは、撥油剤5の拡散が防止されるので、面粗度が小さい撥油剤塗布領域40,42だけに選択的に撥油剤5を塗布することが容易になる。なお、本実施の形態における撥油剤塗布領域40,42と撥油剤非塗布領域41の半径方向幅は、上記実施の形態1と同じく0.2mm以上(より望ましくは0.6mm以上)にすれば良い。
ここで、潤滑流体液滴46は、面粗度が大きい領域(半径方向中央部分51)にてさらに見かけ上の接触角度が小さくなろうとして濡れ性が良くなる。その結果、潤滑流体液滴46は、スリーブ1における開口部上面1bの半径方向中央部分51に確実に保持されるようになる。
(実施の形態3)
図7に示すように、スリーブ1における開口部上面1bの内周近傍(第1領域)と外周近傍(第1領域)の面粗度を小さくし、かつ、開口部上面1bの半径方向中央部分(第2領域)51の面粗度を大きくして、開口部上面1bの全体に撥油剤55を塗布した構成としても、上記実施の形態2と同様な効果が期待することができる。
このように、スリーブ1における開口部上面1bの面粗度を変えるだけですむので、撥油剤55の塗布が容易となる。さらに、半径方向中央部分51は潤滑流体液滴46の濡れ性がよいので、潤滑流体液滴46がスリーブ1の外周側にこぼれることもなく、また、内周側の面粗度の小さい領域(第1領域)40では潤滑流体4がラジアル軸受部23やスラスト軸受部24内部と分断されるので、ウェスによる拭き取りなどにおける従来の課題を解決することができる。
なお、上記実施の形態1,2,3において、説明の簡単化のために撥油剤塗布領域40,42をスリーブ1における開口部上面1b上とした例を用いたが、本願発明はこれに限定されるものではない。例えば、スリーブ1における開口部上面1bの内外周部に面取り部やテーパ面を設けて、そこに撥油剤55を塗布した構成としても良い。
上記実施形態の流体軸受装置9によれば、開口部上面1bの外周部に面粗度が小さい領域(第1領域)42が形成されているので、潤滑流体4を供給する際に、潤滑流体4が撥油され潤滑流体4がスリーブ外周部1aへこぼれ落ちることはない。なお、スリーブ外周部1aは、一般的にHDDを構成するベースプレート等に接着等によって固定される。本構成の流体軸受装置9においては、スリーブ外周部1aへの潤滑流体4の付着を防止できるため、接着強度の低下を防ぐことができる。
また、開口部上面1bの内周側にも面粗度が小さい領域40が形成されているので、潤滑流体4が撥油され、開口部上面1bの余分な潤滑流体4を拭き取る際に、軸受部23,24内の潤滑流体4がウェス60等で吸い取られることを防ぐことができる。さらに、潤滑流体4の蒸発を効果的に抑制できるので、流体軸受装置9における寿命の低下、発ガス成分増加も抑制できる。このため、流体軸受装置9の組み込まれるHDDの機能、主にヘッドとディスク面への悪影響を低減して、書き込みエラーなどの不良の原因を取り除くことができる。
(実施の形態4)
第1の実施形態のスピンドルモータ9では、開口部上面1bに2つの撥油剤塗布領域40,42が形成されている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図17に示すように、開口部上面1bに2つ以上の撥油剤塗布領域241,243,245を設けてもよい。この場合、撥油剤非塗布領域242,244は、撥油剤塗布領域241と撥油剤塗布領域243との間、撥油剤塗布領域243と撥油剤塗布領域245との間に形成される。
一般的に、潤滑流体4は、撥油剤塗布領域241,243,245に乗り上げにくいことから、撥油剤塗布領域を複数設けることによって、潤滑流体4がスリーブ外周部1a側に飛散することを防止することが可能となる。
(実施の形態5)
第1の実施形態のスピンドルモータ9では、開口部上面1bに撥油剤塗布領域40,42が形成されている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図18(a)に示すように、スリーブ1とシャフト3の軸方向において対向するハブ20との対向面1b,20bに撥油剤塗布領域341,343,345,347,349,351を形成し、そして、撥油剤塗布領域どうし(具体的には、撥油剤塗布領域341と撥油剤塗布領域347、撥油剤塗布領域343と撥油剤塗布領域349、撥油剤塗布領域345と撥油剤塗布領域351)、撥油剤非塗布領域どうし(撥油剤非塗布領域342と撥油剤非塗布領域348、撥油剤非塗布領域344と撥油剤非塗布領域350)が対向するように配置してもよい。
これにより、ハブ20およびスリーブ1に形成された対向する撥油剤塗布領域によって潤滑流体4をせき止めることができ、潤滑流体4がスリーブ外周部1a側に飛散することを防止することが可能となる。
また、図18(b)に示すように、撥油剤塗布領域353,355,357,359が形成されている対向面どうしのシャフト3の軸方向における間隔は、シャフト3の半径方向における内側よりも外側の方が小さくなるように形成されている。具体的には、撥油剤塗布領域353と撥油剤塗布領域357とが形成されている位置の対向面1b,20bの間隔よりも撥油剤塗布領域355と撥油剤塗布領域357とが形成されている位置の対向面1b,20bの間隔の方が小さい。これにより、ハブ20およびスリーブ1に形成された対向する撥油剤塗布領域353,355,357,359によって潤滑流体4を効果的にせき止めることが可能となる。
(実施の形態6)
第1の実施形態のスピンドルモータ9では、開口部上面1bに撥油剤塗布領域40,42が形成されている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図19(a)に示すように、スリーブ1とシャフト3の軸方向において対向するハブ20との対向面1b,20bに撥油剤塗布領域441,443,445,447,449を形成し、そして、撥油剤塗布領域と撥油剤非塗布領域とが対向するように(具体的には、撥油剤塗布領域443と撥油剤非塗布領域448、撥油剤塗布領域447と撥油剤非塗布領域442、撥油剤塗布領域449と撥油剤非塗布領域444)配置してもよい。
これにより、非回転部材である開口部上面1bに形成された撥油剤非塗布領域442,444に潤滑流体4を保持することが可能となる。さらに、撥油剤非塗布領域442,444に保持されている潤滑流体4は、回転部材であるハブ20における対向面20bと接触しても、その面は撥油剤塗布領域447,449であるので濡れ性が悪く、回転により与えられる遠心力の影響を小さくすることができる。また、回転部材であるハブ20における対向面20bに付着した潤滑流体4においても、潤滑流体4の液滴が小さいと遠心力よりもアンカー効果が強く、飛散させられることはない。また、潤滑流体4の液滴が大きいと、遠心力によってハブ20の外周側に移動しようとするが、スリーブ上面1bに設けられた撥油剤非塗布領域442,444にて保持される。これにより、潤滑流体4がスリーブ外周部1a側に飛散することを防止することができる。
また、図19(b)に示すように、ハブ20およびスリーブ1の一方に形成された撥油剤塗布領域443,447,449と、撥油剤塗布領域443,447,449の対向面に配置された撥油剤非塗布領域442,444,448に隣接する撥油剤塗布領域441,443,445,447,449とは、シャフト3の半径方向において重なるオーバラップ部Aを有していてもよい。
これにより、ハブ20およびスリーブ1に形成された撥油剤非塗布領域442,444,448に潤滑流体4を確実に保持し、潤滑流体4がスリーブ外周部1aに飛散することを効果的に防止することが可能となる。
(実施の形態7)
第1の実施形態のスピンドルモータ9では、開口部上面1bに撥油剤塗布領域40,42が形成されている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図20(a)に示すように、シャフト3の軸方向においてスリーブ1とハブ20とが互いに対向した対向面1b,20bのうち、回転側部材であるハブ20側の対向面20bに、シャフト1を略中心として環状に撥油剤5が塗布されている環状部501aと、ハブ20の回転方向(相対回転方向)とは逆方向に沿ってシャフト1の軸中心に向かう形状に撥油剤5が塗布されている掻き込み部501bと、を有している第1撥油剤塗布領域501が形成されていてもよい。
また、例えば、図20(b)に示すように、シャフト3の軸方向においてスリーブ1とハブ20とが互いに対向した対向面1b,20bのうち、スリーブ1側の対向面1bに、シャフト1を略中心として環状に撥油剤5が塗布されている環状部502aと、ハブ20の回転方向と逆方向(相対回転方向)とは逆方向に沿ってシャフト1の軸中心に向かう形状に撥油剤5が塗布されている掻き込み部502bと、を有している第1撥油剤塗布領域502が形成されていてもよい。
なお、図20(a)と図20(b)は、両方とも撥油剤5を塗布した面から見た平面図である。
例えば、ハブ20とスリーブ1とが互いに対向した対向面20b,1bにそれぞれ、第1撥油剤塗布領域501,502が形成されている場合、潤滑流体4は、第1撥油剤塗布領域501によって、回転軸中心方向に移動させられる。具体的には、例えば、図21(a)に示す位置に潤滑流体4が位置する場合において、ハブ20が矢印方向(相対回転方向)に回転すると、図21(b)に示すように、回転中心方向に移動させられる。これは、ハブ20に形成された回転方向(相対回転方向)とは逆方向に沿って回転軸中心方向へと伸びる掻き込み部501bの撥油効果によるものであり、ハブ20の回転により潤滑流体4を回転軸中心方向に導いている。
また、潤滑流体4は、第1撥油剤塗布領域502によって、回転軸中心方向に移動させられる。具体的には、例えば、図21(a)に示す位置に潤滑流体4が位置する場合において、ハブ20が矢印方向(相対回転方向)に回転すると、図21(b)に示すように、回転中心方向に移動させられる。これは、開口部上面1bに形成された相対回転方向(ハブ20の回転方向とは逆方向)とは逆方向に沿って回転軸中心方向へと伸びる掻き込み部502bの撥油効果によるものであり、ハブ20の回転により潤滑流体4を回転軸中心方向に導いている。
なお、このような第1撥油剤塗布領域501,502は、スリーブ1とハブ20との対向面1b,20bの両方に形成されていなくてもよく、少なくとも、回転側部材であるハブ20側に形成されていればよい。
(実施の形態8)
第1の実施形態のスピンドルモータ9では、開口部上面1bに形成される撥油剤塗布領域40,42がフラットな面に形成されている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図22に示すように、スリーブ1における開口部上面1b、あるいは、ハブ20における開口部上面1bとの対向面20bに凹凸部を設け、その凹凸部に撥油剤塗布領域601、あるいは、撥油剤非塗布領域602を設けてもよい。図22は、開口部上面1bおよび対向面20bの凸部に撥油剤塗布領域601を形成し、凹部に撥油剤非塗布領域602が形成された実施の形態を示している。
この場合も、効果的に潤滑流体4がスリーブ外周部1a側に飛散することを防止することができる。
(実施の形態9)
図8に本発明の実施の形態9のスピンドルモータ109の横断面図を示す。本実施の形態は、シャフト103の外周部にディスク(図示せず)を搭載するためのハブ120を構成している。シャフト103の中心の円柱面103cは、スリーブ101の内周面に嵌合されてラジアル軸受部123を構成する。また、シャフト103は、シャフト半径方向延伸部103aと、さらにその外周にシャフト垂下円筒部103bとを有している。そして、シャフト103は、スリーブ101の開口部上面101bとの間で、スラスト軸受部124と軸受シール部121とを構成する。ここで、軸受シール部121の近傍のシャフト垂下円筒部103bの端面には、図9(a)に示すように、撥油剤塗布領域140,142と、撥油剤非塗布領域141とを設けている。
この構成のスピンドルモータに潤滑流体4を給液するには、まず、図9(a)に示すように、シャフト103とスリーブ101とを倒立させた状態にする。そして、真空に近い雰囲気が維持された真空室内に放置することで軸受内部の空気を排出して、軸受シール部121近傍の撥油剤非塗布領域141を狙って潤滑流体4を図示しないディスペンサノズルを用いて潤滑流体4を給液する。その後、真空室内の気圧をゆっくりと大気圧に近づけることによって、軸受部隙間内に潤滑流体4が充填される。このように給液する箇所の近傍に撥油剤非塗布領域141と撥油剤塗布領域140,142とを構成することで、上記実施の形態1〜8と同様に、潤滑流体4を給液する箇所から潤滑流体4がこぼれ落ちる事を防止することができる。
なお、上記撥油剤非塗布領域141の面粗度を、撥油剤塗布領域140,142の面粗度よりも大きくして、撥油剤非塗布領域141に撥油剤55が塗布されにくいようにしても良い。さらに、図9(b)に示すように、シャフト垂下円筒部103bの端面の半径方向中央部151の面粗度を大きくして、撥油剤55をシャフト垂下円筒部103bの端面全体に塗布した構成としても良い。
なお、上記説明においてシャフト103は、シャフト半径方向延伸部103a,シャフト垂下円筒部103b,円柱面103c,ハブ120が一体に構成された例を用いて説明した。しかし、本願発明はこれに限定されるものではなく、シャフト半径方向延伸部103aと円柱面103cとの間で分割された部品を接着や溶接などで一体化した構成であっても良い。
また、上記説明においては、ハブ120側に撥油剤を塗布した例を示したが、変形例として図30(a),(b),(c)に示すように、軸受シール部121近傍のスリーブ101の外周に軸方向の複数箇所に撥油剤塗布領域160,162および撥油剤非塗布領域161を設けても良い。この場合も上記と同様の効果を得ることが可能になる。
(実施の形態10)
本発明におけるスピンドルモータ709の構成は、図24に示すように、スリーブ701と、シャフト703と、連通孔708と、カバー707とを備えている流体軸受装置730に適用することができる。
スリーブ701は、中央部に挿入孔701cを有しており、所定間隙を介してシャフト703が挿入されている。また、スリーブ701は、焼結材料等よりなるインナースリーブ701dと、ステンレスやアルミなどの金属材料製のスリーブホルダー701eの2つの部材からなり、両者は圧入接着により互いに固定されている。さらに、インナースリーブ701dの外周には、半円弧状もしくはDカット形状の溝が軸方向に延伸して形成されている。この溝は、インナースリーブ701dがスリーブホルダー701eと固定されることで、連通孔708として構成される。
シャフト703には、磁気ディスク(図示せず)が固定されるハブ720が取り付けられている。スリーブ701とシャフト703との間には、潤滑流体704を介してスリーブ701とシャフト703とをシャフト703の軸方向あるいは半径方向に支持する軸受部710が形成されている。
連通孔708は、スリーブ701の軸方向における両端面を連通している。
カバー707は、シャフト703の軸方向においてスリーブ701の軸受部710外側に対向して配置されており、スリーブ701との間に形成される潤滑流体溜まり部707cと、潤滑流体溜まり部707cと軸受部710外部とを連通する通気口707dと、開口部707eとを有している。そして、カバー707の上面707bにおいて、通気口707dの内周側に内周側撥油剤塗布領域740が、通気口707dの外周側に外周側撥油剤塗布領域742が、内周側撥油剤塗布領域740と外周側撥油剤塗布領域742との間に撥油剤非塗布領域741が形成されている。
このような流体軸受装置730において、潤滑流体704の充填方法は、以下のようにして行われる。なお、潤滑流体704の特性は、第1の実施形態において説明したものと同様である。
最初に、流体軸受装置730を、図2(a)に示すように、真空に近い雰囲気が維持された真空室12内に所定時間以上放置して、スリーブ701とシャフト703との間の隙間に残っている空気を排気して真空に近い状態とする。なお、真空室12は、真空バルブ13を有する真空用連通路を介して図示しない真空ポンプに接続されており、また、この真空室12には、内部を大気圧に戻すことができるように、大気バルブ14を有する大気連通路も接続されている。また、真空室12には、複数の流体軸受装置730をテーブル15上に、カバー707が上方になる姿勢で配置できるとともに、各流体軸受装置730に対して、潤滑流体704を供給するディスペンサノズル16などの給液用治具が移動自在に配置されている。
次に、真空室12内が大気圧より低い第1の圧力状態になって、所定時間経過した後に、図2(b),図25(a)に示すように、通気口707dを覆うように、潤滑流体704を軸受サイズに応じた所定量(寸法誤差を考慮したマージン分を含む)(計0.5〜15μL)を給液する。第1の圧力状態を維持した状態で数分間程度経過すると、図25(b)に示すように、潤滑流体704とスリーブ701,シャフト703との間に作用する毛管力によって、潤滑流体704は軸受部710内部のより隙間が狭いところへと入り込んでいく。そして、軸受部710内部において、それ以上隙間が狭くならず逆に大きくなるところでは、毛管力によって潤滑流体704が浸透する作用がなくなる。その結果、軸受部710内部に小さなキャビティ725が複数箇所残った状態で定常状態に達する。このキャビティ725内部は、ほぼ第1の圧力と同じ圧力と考えて良い(潤滑流体給液工程)。これにより、次工程において、大気圧に戻す際に軸受部710内部に気泡が入るリスクを軽減することが可能となる。
そして、最後に、大気バルブ14をゆっくりと開放して、真空室12内を第1の圧力より高い第2の圧力にする。これにより、潤滑流体704は、さらに、大気圧によって軸受部710に流れ込み、図25(c)に示すように、軸受部710内部に潤滑流体704が充填された状態となる。(潤滑流体充填工程)。なお、大気圧下での潤滑流体704の充填が終了するまで、通気口707dは潤滑流体704で塞がれていることが望ましい。
上記実施形態の流体軸受装置730によれば、カバー上面707bの外周部に外周側撥油剤塗布領域742が形成されているので、潤滑流体704を充填する際に、潤滑流体704は外周側撥油剤塗布領域742によって撥油され、カバー外周部707a,スリーブ外周部701aへこぼれ落ちることを防止できる。また、カバー上面707bの内周面には、内周側撥油剤塗布領域740が形成されているため、例えば、ウェス60などで拭き取る際に、軸受部710内部の潤滑流体704を過剰に拭き取ることを防止できる。さらに、内周側撥油剤塗布領域740によって、潤滑流体704の蒸発、すなわち、軸受部710からの漏れ出しを効果的に抑制できるので、流体軸受装置730における寿命の低下、発ガス成分増加も抑制することができる。このため、流体軸受装置730が組み込まれるHDDの機能、主にヘッドとディスク面への悪影響を低減して、書き込みエラーなどの不良の原因を取り除くことができる。
(その他の変形例)
上記各実施の形態において、スリーブ1の内周面にラジアル軸受部を、その一端面にスラスト軸受部を、また、その開口部近傍に軸受シール部を構成した図面を用いて説明を行った。しかし、本願発明はこれに限定されるものではないことは言うまでもない。
例えば、図10に示すように、円筒状のラジアルメタル軸受72と、シャフト73の先端位置に設けたリング状のスラスト軸受部74と、ラジアルメタル軸受72をベース83に固定するスリーブホルダー70と、軸受開口部近傍でカバー75上に軸受シール部71を設けた流体軸受装置82であっても良い。この例においては、カバー75上の内周側に撥油剤塗布領域76を設け、外周側には撥油剤塗布領域78を設けている。さらに撥油剤塗布領域76、78に隣接して撥油剤非塗布領域77が設けられている。そして、シャフト73の先端にはハブ81が搭載されている。このハブ81の内周部には、撥油剤塗布領域80が形成されている。この様な構成においても上記実施の形態1〜10と同様の効果を得ることができる。
また、上記実施の形態1等のスピンドルモータ9においては、シャフト3が回転し、かつ、スリーブ1の一方が閉塞され、また、円筒形状のロータマグネット26の内周にステータ25が対向配置された構成を用いて説明したが、本願発明はこれに限定されるものではない。例えばシャフト3が、ベース8などに固定されてスリーブ1が回転する構成でも適用可能であることは言うまでもない。
例えば、図23に示すような、スリーブ801の両端に軸受シール部820を構成した両端開放軸受構成の流体軸受装置800でも良い。このとき、撥油剤塗布領域840,842、844,846と撥油剤非塗布領域841、843とは、被固定部であるベースシャーシ850やトップカバー851に形成されていても上記実施の形態1〜10と同様の効果を得ることができる。
さらには、ステータ25がロータマグネット26の外周面に対向配置するいわゆるインナーロータ型の構成でも良い。
さらに、実施の形態7においては、第1撥油剤塗布領域501,502が、スリーブ1とハブ20との対向面1b,20bの両方に形成されている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、回転部材であるハブの対向面20bには、図26(a)に示すような第1撥油剤塗布領域501が形成され、静止部材であるスリーブ1の対向面1bには、図26(b)に示すように、撥油剤5が全面に塗布された第2撥油剤塗布領域503が形成されていてもよい。この場合も、上記と同様の効果を得ることが可能である。
なお、図26(a)と図26(b)は、両方とも撥油剤5を塗布した面から見た平面図である。
また、実施の形態7においては、第1撥油剤塗布領域501,502に含まれる掻き込み部501b、502bが、いわゆるスパイラル形状に形成されている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
掻き込み部の形状は、ハブが回転した際に回転軸中心に掻き込むことができる形状であればよく、例えば、図27に示すような放射形状の撥油剤塗布領域504であってもよい。
また、上記実施の形態1〜10の大半においては、シャフトとスリーブとの対向面が平行なもの、あるいは、シャフトの軸方向に対向するものを用いて説明したが、本願発明はこれだけに限定されるものではない。例えば、図29に示すように、対向面1bが対向面20bに対して角度θ(但しθ<90°)で傾斜して構成され、撥油剤塗布領域641,643,653,655、および、撥油剤非塗布領域642,652を設けたものであっても良い。さらに、対向面1bも対向面20bも中心軸に平行なもの、あるいは、傾斜したものであっても良い。
なお、上記実施の形態5は、回転部材と固定部材の撥油剤塗布領域どうしが対向し、上記実施の形態6は、撥油剤塗布領域と撥油剤非塗布領域とが対向する構成であったが、これらは同時に満足されるものであっても良い。例えば、図28に示すように、スリーブ1の対向面1bにおける撥油剤塗布領域641は、ハブの対向面20bの撥油剤塗布領域651,653と撥油剤非塗布領域650,652とに対向している。また、対向面1b上の撥油剤非塗布領域644は、対向面20b上の撥油剤非塗布領域654に対向している。さらに、対向面1b上の撥油剤塗布領域645は、対向面20b上の撥油剤塗布領域655に対向している。このように、実施の形態5と実施の形態6とを併せた構成であっても撥油剤の飛散を防止することが出来る。
また、撥油剤を塗布した事が明確に判るように、例えば、撥油剤にカーボンブラックや蛍光剤などを混合した状態で塗布しておいても良い。これによって、撥油剤が硬化した状態において、通常の光源もしくはブラックライトなどを照射することで、撥油剤を塗布した場所を容易に特定できるようになる。その結果、潤滑流体を給液する際に位置を間違えることもなく潤滑流体がスリーブ外にこぼれることを確実に防止することが可能になる。
さらに、上記実施の形態1〜10は、いずれもハードディスクドライブ用のスピンドルモータを例にとって説明した。しかし、本願発明はこれだけに限定されるものではない。例えば、光ディスクドライブ用スピンドルモータや、レーザビームプリンタなどに搭載されるポリゴンミラースピンドルモータや、ビデオテープレコーダの回転ヘッド装置用モータ等にも有用である。
本発明は、軸受隙間内部に安定的に、かつ、軸受部以外を汚染することなく必要な体積の潤滑流体を給液できる。このため、ハードディスクドライブ、光ディスク装置、ビデオテープレコーダ等、情報記録再生装置における流体軸受装置に対して広く適用することが可能である。さらには、その他の回転部を支持する流体軸受装置にも使用することができる。
本発明の実施の形態1における流体軸受装置の断面図。 (a)本発明の流体軸受装置における潤滑流体の給液方法の説明図その1、(b)本発明の流体軸受装置における潤滑流体の給液方法の説明図その2。 本発明の流体軸受装置における撥油剤塗布概念図。 (a)本発明の形態1における流体軸受装置の斜視図その1、(b)本発明の実施例1における流体軸受装置の斜視図その2。 (a)〜(g)本発明の実施の形態1における潤滑流体充填方法の概念図。 (a)〜(e)本発明の実施の形態2における潤滑流体充填方法の概念図。 (a)〜(e)本発明の実施の形態3における潤滑流体充填方法の概念図。 本発明の実施の形態9におけるスピンドルモータの断面図。 (a),(b)本発明の実施の形態9における流体軸受装置の断面図。 本発明の実施の形態1の変形例における流体軸受装置の断面図。 従来の流体軸受装置の断面図。 (a)〜(e)従来の3.5型流体軸受潤滑流体充填概念図。 (a)〜(f)従来工法による小径流体軸受潤滑流体充填概念図その1。 (a)〜(c)従来工法による小径流体軸受潤滑流体充填概念図その2。 (a)〜(e)従来工法による小径流体軸受潤滑流体充填概念図その3。 (a)〜(e)本発明の流体軸受装置における潤滑流体充填方法の説明図 本発明の実施の形態4における撥油剤塗布領域の配置を示した断面図。 (a)本発明の実施の形態5における撥油剤塗布領域の配置を示した断面図、(b)本発明の実施の形態5の変形例における撥油剤塗布領域の配置を示した断面図。 (a)本発明の実施の形態6における撥油剤塗布領域の配置を示した断面図。(b)は、本発明の実施の形態6の変形例における撥油剤塗布領域の配置を示した断面図。 (a)本発明の実施の形態7におけるハブに形成された撥油剤塗布領域の配置を示した平面図。(b)本発明の実施の形態7におけるスリーブに形成された撥油剤塗布領域の配置を示した平面図。 (a),(b)本発明の実施の形態7における撥油メカニズムを示した説明図。 本発明の実施の形態8における撥油剤塗布領域の配置を示した断面図。 本発明の実施の形態1の変形例における流体軸受装置を示した断面図。 本発明の実施の形態10における撥油剤塗布領域の配置を示した断面図。 (a)〜(c)本発明の実施の形態10における潤滑流体充填方法の概念図。 (a)本発明の実施の形態7の変形例におけるハブに形成された撥油剤塗布領域の配置を示した平面図。(b)本発明の実施の形態7の変形例におけるスリーブに形成された撥油剤塗布領域の配置を示した平面図。 本発明の実施の形態7の変形例におけるハブあるいはスリーブに形成された撥油剤塗布領域の配置を示した平面図。 本発明の他の変形例におけるハブとスリーブの対向面の断面図 本発明の他の変形例におけるハブとスリーブの対向面の断面図 (a)〜(c)本発明の実施の形態9の変形例における流体軸受装置の断面図。
符号の説明
1 スリーブ
1a スリーブ外周部
1b 開口部上面,対向面
1c 挿入孔
3 シャフト
4 潤滑流体
5 撥油剤
8 ベース
9 スピンドルモータ
20 ハブ(被固定部)
20b 対向面
21,121 軸受シール部
30 流体軸受装置
35 加工挽目
40,42 撥油剤塗布領域
41 撥油剤非塗布領域
46 潤滑流体液滴
47 残留潤滑流体液滴
51 半径方向中央部分
55 撥油剤
60 ウェス
101 スリーブ
101a スリーブ外周部
101b 開口部上面
103 シャフト
103a シャフト半径方向延伸部
103b シャフト垂下円筒部
103c 円柱面
109 スピンドルモータ
116 撥油剤用ディスペンサノズル
120 ハブ
121 軸受シール部
123 ラジアル軸受部
124 スラスト軸受部
140,142 撥油剤塗布領域
141 撥油剤非塗布領域
151 半径方向中央部
241,243,245 撥油剤塗布領域
242,244 撥油剤非塗布領域
341,343,345,347,349,351 撥油剤塗布領域
353,355,357,359 撥油剤塗布領域
342,344,348,350 撥油剤非塗布領域
441,443,445,447,449 撥油剤塗布領域
442,444,448 撥油剤非塗布領域
501,502 第1撥油剤塗布領域
501a,502a 環状部
502a,502b 掻き込み部
601 撥油剤塗布領域
602 撥油剤非塗布領域
641,643,645,651,653,655 撥油剤塗布領域
642,644,650,652,654 撥油剤非塗布領域
701 スリーブ
701a スリーブ外周部
701c 挿入孔
701d インナースリーブ
701e スリーブホルダー
703 シャフト
704 潤滑流体
707 カバー
707a カバー外周部
707b カバー上面
707c 潤滑流体溜まり部
707d 通気口
707e 開口部
708 連通孔
709 スピンドルモータ
710 軸受部
720 ハブ
725 キャビティ
730 流体軸受装置
740 内周側撥油剤塗布領域
741 撥油剤非塗布領域
742 外周側撥油剤塗布領域
800 流体軸受装置
801 スリーブ
820 軸受シール部
840,842 撥油剤塗布領域
841 撥油剤非塗布領域
850 ベースシャーシ
851 トップカバー
A オーバラップ部

Claims (25)

  1. 軸受穴として少なくとも一方に開口部を有するスリーブと、
    前記スリーブの前記軸受穴に挿入され、前記スリーブに対して相対回転可能に支持されるシャフトと、
    前記スリーブと前記シャフトとの間隙に介在する潤滑流体と、
    前記スリーブおよび前記シャフトの少なくとも一方において、前記潤滑流体と空気との気液境界面よりも半径方向における外側、あるいは、軸方向における外側に、前記シャフトを略中心として環状に形成された複数の撥油剤塗布領域と、
    隣接する前記撥油剤塗布領域の間に形成された撥油剤非塗布領域と、
    を備えている、流体軸受装置。
  2. 前記撥油剤非塗布領域の面粗度は、前記撥油剤塗布領域の面粗度よりも大きい、
    請求項1に記載の流体軸受装置。
  3. 前記撥油剤塗布領域は、前記スリーブにおける前記開口部近傍と前記半径方向の外側端部近傍とに設けられている、
    請求項1または2に記載の流体軸受装置。
  4. 前記シャフトは、固定あるいは一体的に形成されている被固定部を有している、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の流体軸受装置。
  5. 前記撥油剤塗布領域および前記撥油剤非塗布領域は、前記スリーブおよび前記シャフトのうち回転する側に設けられている、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の流体軸受装置。
  6. 前記撥油剤塗布領域および前記撥油剤非塗布領域は、前記スリーブおよび前記シャフトの両方に設けられている、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の流体軸受装置。
  7. 前記撥油剤塗布領域および前記撥油剤非塗布領域は、前記シャフトと前記スリーブとが互いに対向する対向面に形成されている、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の流体軸受装置。
  8. 前記シャフトおよび前記スリーブの一方に形成された、前記撥油剤塗布領域の対向面には前記撥油剤非塗布領域が形成され、前記シャフトおよび前記スリーブの他方に形成された前記撥油剤塗布領域の対向面には前記撥油剤非塗布領域が形成されている、
    請求項7に記載の流体軸受装置。
  9. 前記シャフトおよび前記スリーブの一方に形成された前記撥油剤塗布領域と、前記撥油剤塗布領域の対向面に配置された前記撥油剤非塗布領域に隣接する前記撥油剤塗布領域とは、前記対向面に沿った方向において重なるオーバラップ部を有している、
    請求項8に記載の流体軸受装置。
  10. 前記シャフトおよび前記スリーブの一方に形成された、前記撥油剤塗布領域の対向面には前記撥油剤塗布領域が形成され、前記撥油剤非塗布領域の対向面には前記撥油剤非塗布領域が形成されている、
    請求項7に記載の流体軸受装置。
  11. 前記撥油剤非塗布領域よりも前記開口部の外側に位置する前記撥油剤塗布領域の対向間隔は、前記撥油剤非塗布領域の対向間隔よりも小さくなるように形成されている、
    請求項10に記載の流体軸受装置。
  12. 請求項1から11に記載の流体軸受装置を備えている、スピンドルモータ。
  13. 記録媒体と、
    前記記録媒体に対して情報の記録および再生を行うヘッドと、
    前記記録媒体または前記ヘッドを回転駆動する請求項12に記載のスピンドルモータと、
    を備えている、情報記録再生装置。
  14. 軸受穴として少なくとも一方に開口部を有するスリーブと、
    前記スリーブの前記軸受穴に挿入され、前記スリーブに対して相対回転自在に支持されるシャフトと、
    前記スリーブと前記シャフトとの間隙に介在する潤滑流体と、
    前記シャフトと前記スリーブとが互いに対向した対向面の少なくとも回転側の一方に、前記シャフトを略中心とした環状に撥油剤が塗布されている環状部と、前記相対回転方向とは逆方向に沿って前記軸受穴内部に向かう形状に前記撥油剤が前記環状部の内側に連続して塗布されている掻き込み部と、を有している第1撥油剤塗布領域と、
    を備えている、流体軸受装置。
  15. 前記第1撥油剤塗布領域は、前記対向面のうち回転側の一方に形成され、
    前記対向面のうち固定側の他方には、全面に前記撥油剤が塗布された第2撥油剤塗布領域をさらに備えている、
    請求項14に記載の流体軸受装置。
  16. 前記シャフトは、固定あるいは一体的に形成されている被固定部を有している、
    請求項14または15に記載の流体軸受装置。
  17. 請求項14から16のいずれか1項に記載の流体軸受装置を備えている、
    スピンドルモータ。
  18. 記録媒体と、
    前記記録媒体に対して情報の記録および再生を行うヘッドと、
    前記記録媒体または前記ヘッドを回転駆動する請求項17に記載のスピンドルモータと、
    を備えている、情報記録再生装置。
  19. 軸受穴として少なくとも一方に開口部を有するスリーブと、
    前記スリーブの前記軸受穴に挿入され、前記スリーブに対して相対回転自在に支持されるシャフトと、
    前記スリーブと前記シャフトとの間隙に介在する潤滑流体と、
    前記スリーブおよび前記シャフトの少なくとも一方において、前記潤滑流体と空気との気液境界面よりも半径方向における外側、あるいは、軸方向における外側に、前記シャフトを略中心として環状に形成された複数の第1領域と、
    隣接する前記第1領域の間に形成され、面粗度が前記第1領域よりも大きな第2領域と、
    を備えている、流体軸受装置。
  20. 前記第1領域には、撥油剤が塗布されている、
    請求項19に記載の流体軸受装置。
  21. 請求項19または20に記載の流体軸受装置を備えている、スピンドルモータ。
  22. 記録媒体と、
    前記記録媒体に対して情報の記録および再生を行うヘッドと、
    前記記録媒体または前記ヘッドを回転駆動する請求項21に記載のスピンドルモータと、
    を備えている、情報記録再生装置。
  23. シャフトと、
    前記シャフトが相対的に回転可能に挿入される軸受孔を有する一端が閉塞されたスリーブと、
    前記スリーブと前記シャフトとの間に形成される隙間に充填される潤滑流体と、
    前記潤滑流体を介して前記スリーブと前記シャフトとを前記シャフトの半径方向および軸方向に支持する軸受部と、
    前記スリーブにおける開放側の端面に配置され、前記シャフト近傍に形成された少なくとも1つの開口部と、前記スリーブとの間に形成される潤滑流体溜まり部と、前記潤滑流体溜まり部と前記軸受部外部とを連通する少なくとも1つの通気口と、を有するカバーと、
    前記カバーの前記軸受部外側面において、前記通気口よりも前記シャフトの半径方向内側に前記シャフトを略中心として環状に形成された内周側撥油剤塗布領域と、
    前記カバーの前記軸受部外側面において、前記通気口よりも前記シャフトの半径方向外側に前記シャフトを略中心として環状に形成された外周側撥油剤塗布領域と、
    前記内周側撥油剤塗布領域と前記外周側撥油剤塗布領域との間に形成された撥油剤非塗布領域と、
    を備えている、流体軸受装置。
  24. 請求項23に記載の流体軸受装置を備えている、スピンドルモータ。
  25. 記録媒体と、
    前記記録媒体に対して情報の記録および再生を行うヘッドと、
    前記記録媒体または前記ヘッドを回転駆動する請求項24に記載のスピンドルモータと、
    を備えている、情報記録再生装置。
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