JP2012193822A - 生産機器の回転軸機構及び回転軸ユニット - Google Patents

生産機器の回転軸機構及び回転軸ユニット Download PDF

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Abstract

【課題】生産機器の回転軸機構及び回転軸ユニットにおいて、微少量の潤滑剤が漏れ出すことを抑制する。
【解決手段】ロボットの関節アクチュエータは、ベアリングホルダ36と、オイルを介してベアリングホルダ36に回転可能に支持されたロータ21と、ベアリングホルダ36とロータ21との間をシールする環状のオイルシール38とを備える。関節アクチュエータは、ロータ21の軸線方向においてオイルシール38を挟んでオイルと反対側を覆うようにベアリングホルダ36から突出するとともに、ロータ21の外周面の所定部に対向する環状の小フランジ部28と、その所定部及び小フランジ部28のそれぞれに互いに対向するように設けられ、ロータ21の軸線方向においてオイルシール38側から順に配置された撥油性の第1撥油部29a,30a、親油性の親油部29b,30b、及び撥油性の第2撥油部29c,30cとを備える。
【選択図】 図4

Description

本発明は、生産機器の回転軸機構及び回転軸ユニットに関する。
従来、自動車部品の組立工場や、電子機器部品の組立工場、食品の加工工場等で、ロボット等の生産機器が用いられている。こうした工場では、部品や食品が汚染されることを防止する必要がある。
ところで、ロボットでは、関節を円滑に動作させるために、関節を構成する回転軸機構において、潤滑油やグリス等の潤滑剤が用いられている。また、これらの潤滑剤の漏れ出しによる上記部品や食品の汚染を防止するために、回転軸機構において回転軸の軸線方向で潤滑剤の近傍には、潤滑剤をシールする環状のシール部材が設けられている。
特開平9−149587号公報
しかしながら、上記のようなシール部材は、回転軸と摺動する必要があるため、潤滑剤の漏れを完全に防止することは困難である。このため、回転軸とシール部材との隙間から、微少量の潤滑剤が漏れ出すおそれがある。
なお、テープ状の記録媒体を回転軸との摩擦力で送るモータにおいて、回転軸のうち記録媒体に接する部分と、潤滑油を含む軸受との間に、撥油処理を施したものがある(例えば、特許文献1参照)。こうした構成によれば、軸受から漏れ出す潤滑油が撥油処理部ではじかれるため、潤滑油が回転軸のうち記録媒体と接する部分へ浸入することを抑制することができる。
ここで、上記ロボットの回転軸機構に、特許文献1に記載のものを適用することにより、回転軸とシール部材との隙間から漏れ出した微少量の潤滑剤を、止めることができるとも考えられる。しかしながら、ロボット等の生産機器では、その動作に伴って回転軸機構自体が移動されることが多い。このため、撥油処理部により一時的に潤滑剤を止めることができたとしても、回転軸機構自体が移動された際に、潤滑剤が撥油処理部を越えて漏れ出すおそれがある。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、生産機器の回転軸機構及び回転軸ユニットにおいて、微少量の潤滑剤が漏れ出すことを抑制することにある。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
第1の発明は、生産機器の回転軸機構であって、ボディと、親油性の潤滑剤を介して前記ボディに回転可能に支持された回転軸と、前記ボディと前記回転軸との間をシールする環状のシール部材と、前記回転軸の軸線方向において前記シール部材を挟んで前記潤滑剤の反対側を覆うように前記ボディから突出するとともに、前記回転軸の周面の所定部に対向する環状の対向部と、前記所定部及び前記対向部のそれぞれに互いに対向するように設けられ、前記回転軸の軸線方向において前記シール部材側から順に配置された撥油性の第1撥油部、親油性の親油部、及び撥油性の第2撥油部と、を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、回転軸が、潤滑剤を介してボディに回転可能に支持されている。そして、環状のシール部材により、ボディと回転軸との間がシールされている。しかしながら、回転軸の回転に伴って、回転軸とシール部材との隙間から、微少量の潤滑剤が漏れ出すおそれがある。
ここで、回転軸の軸線方向においてシール部材を挟んで潤滑剤の反対側を覆うように、環状の対向部がボディから突出して回転軸の周面の所定部に対向している。このため、回転軸とシール部材との隙間からシール部材を越えて飛散する潤滑剤を、環状の対向部により遮ることができる。
さらに、所定部及び対向部のそれぞれに互いに対向するように、撥油性の第1撥油部、親油性の親油部、及び撥油性の第2撥油部が設けられている。そして、回転軸の軸線方向においてシール部材側から順に、第1撥油部,親油部,第2撥油部が配置されている。このため、回転軸とシール部材との隙間から漏れ出した親油性の潤滑剤は、まず第1撥油部によりシール部材側へはじかれる。次に、第1撥油部を越えて漏れ出した潤滑剤は、親油部に捕らえられる。その後は、親油部に捕らえられた潤滑剤により、潤滑剤を親油部に更に捕らえ易くなる。また、親油部から第2撥油部へ漏れ出そうとする潤滑剤は、第2撥油部により親油部側へはじかれる。したがって、回転軸とシール部材との隙間から漏れ出した微少量の潤滑剤を、親油部で強固に捕らえることができる。その結果、生産機器の回転軸機構において、回転軸機構自体が移動された場合であっても、微少量の潤滑剤が漏れ出すことを抑制することができる。
具体的には、第2の発明のように、前記回転軸の軸線方向において、前記第1撥油部の幅は、前記親油部の幅よりも狭くなっているといった構成を採用することができる。こうした構成によれば、潤滑剤が第1撥油部を通過する際に、潤滑剤に勢いが付くことを抑制することができるとともに、潤滑剤を捕らえる親油部の容量を増大させることができる。すなわち、潤滑剤が、親油部で捕らえられるまでに、滑り易い第1撥油部の表面で加速されることを抑制することができる。
具体的には、第3の発明のように、所定部及び前記対向部は、前記回転軸の軸線方向において前記シール部材を挟んで前記潤滑剤の反対側に、前記シール部材と隣接して設けられているといった構成を採用することができる。こうした構成によれば、シール部材に隣接して設けられた所定部及び対向部において、回転軸とシール部材との隙間から漏れ出す潤滑剤を止めることができる。したがって、より狭い範囲内に潤滑剤を留めることができ、潤滑剤がシール部材を越えて拡散することを抑制することができる。
一般に、回転軸機構のボディ及び回転軸は、金属材料で形成されることが多く、金属材料は親油性が高い。このため、第3の発明のように、前記ボディ及び前記回転軸は、金属材料で形成されており、前記親油部は、前記金属材料の表面により形成されているといった構成を採用することにより、親油部を容易に形成することができる。
第5の発明は、生産機器の回転軸ユニットであって、第1〜第4のいずれかの発明における生産機器の回転軸機構と、前記回転軸を回転駆動する回転駆動部と、前記潤滑剤を有して前記回転軸を前記ボディに回転可能に支持する軸受と、を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、生産機器において、その動作に伴って回転軸ユニットが移動された場合であっても、微少量の潤滑剤が漏れ出すことを抑制することができる。
関節アクチュエータを4方向から見た外観形状を示す図。 関節アクチュエータの要部構成を分解して示す分解図。 モータユニットの内部構造を示す断面図。 小フランジ部及びロータの外周面を拡大して示す部分断面図。 第1撥油部、親油部、及び第2撥油部でのオイルの挙動を示す部分断面図。 第1撥油部、親油部、及び第2撥油部でのオイルの挙動を示す部分断面図。
以下、一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、産業用の多関節ロボット(生産機器)に用いられる関節アクチュエータとして具体化している。
初めに、関節アクチュエータの構成を説明する。図1は、関節アクチュエータ10を4方向から見た外観形状を示す図であり、図2は、関節アクチュエータ10の主要構成を分解して示す分解図である。
図1,図2に示すように、関節アクチュエータ10は大別して、モータユニット11と、そのモータユニット11の一端側(出力端側)に設けられるトップカバー12と、モータユニット11に被せるようにしてモータユニット11の外周側に設けられる略円筒状の配線ユニット13と、モータユニット11の他端側(固定端側)に設けられるエンドカバー14とを備えている。そして、これら構成要素11〜14を軸方向に組み付けるとともに、ボルト等からなる複数の締結具15,16により締結して一体化することで、関節アクチュエータ10が構築されている。
次に、関節アクチュエータ10の各構成要素11〜14の構成を詳細に説明する。
まずは、モータユニット11の構成を説明する。図3は、モータユニット11の内部構造を示す断面図である。
同図に示すように、モータユニット11(回転軸ユニット)は、減速機付サーボモータとして構成されており、モータ回転速度を所定の減速比で減速する減速機能を有している。またこれに加え、ブレーキ機能や回転検出機能を有している。モータユニット11の回転中心にはロータ21が設けられており、そのロータ21の軸線方向に沿って出力側(図の左端側)から順に減速部22、回転駆動部23、ブレーキ部24、回転検出部25が設けられている。このうち、回転駆動部23とブレーキ部24とは、略円筒状をなすモータハウジング27に収容して設けられている。したがって、モータユニット11の外観からすれば、モータハウジング27の一端側に減速部22が設けられ、他端側に回転検出部25が設けられる構成となっている(図2参照)。
モータハウジング27は、ロータ21と同軸であってかつ真円状の外周面を有する円筒状をなしており、その一端側(減速部22側)にはハウジング外方に延びる外フランジ部27aが形成され、他端側(回転検出部25側)にはハウジング内方に延びる内フランジ部27bが形成されている。内フランジ部27bの径方向内側は開口部27cとなっている。また、外フランジ部27aも中央の円筒部分と同様、真円状の外周面を有している。
また、ロータ21(回転軸)は、断面円形状の中実構造をなしており、その軸線方向に沿って外周面が多段に形成されている。ロータ21は、ステンレス鋼等の金属材料により形成されている。回転駆動部23の構成として、ロータ21の軸方向略中央部には他よりも外径寸法が大きい大径部21aが形成されており、その大径部21aの外周側に永久磁石31が装着されている。また、永久磁石31を囲むようにしてその外周側には、ロータ21に回転力を生じさせるためのステータ32が設けられている。ステータ32は、モータハウジング27の円筒部分においてその内側に圧入により固定されている。
ロータ21は、軸方向に見て2カ所でベアリング34,35により回転可能に支持されている。ベアリング34,35(軸受)は、ロータ21の大径部21aを挟んで両側にそれぞれ設けられている。
2つのベアリング34,35のうち減速部22側のベアリング34は、モータハウジング27の外フランジ部27aに固定されたベアリングホルダ36により支持されている。ベアリングホルダ36(ボディ)は、外フランジ部27aと同じ外径寸法を有し、その中心部の貫通孔部にはベアリング34を設置する設置凹部36aが形成されている。ベアリングホルダ36は、ステンレス鋼等の金属材料により形成されている。設置凹部36aにおいて、その径方向端面(ロータ軸に対して直交する方向に延びる端面)とベアリング34との間には皿ばね37が設けられている。皿ばね37は、ベアリング34をロータ21の大径部21a側に付勢する付勢手段であり、この皿ばね37によりロータ21に対して軸方向の荷重が付加されている。かかる場合、熱の影響等に起因してロータ21が軸方向に伸びたとしても又は軸方向に縮んだとしても、その伸び分又は縮み分を皿ばね37により吸収できる。
ベアリングホルダ36は、減速部22と回転駆動部23との間に設けられており、その減速部22側には環状のオイルシール38が配設されている。ロータ21の軸線方向において、オイルシール38を挟んで回転駆動部23と反対側には、多くのオイル(潤滑剤)が保持されている。オイルシール38(シール部材)は、ベアリングホルダ36とロータ21との間をシールする。これにより、減速部22側から回転駆動部23側へのオイルの漏れ出しが抑制される。また、ロータ21の軸線方向においてオイルシール38を挟んでオイルと反対側を覆うように、ベアリングホルダ36から環状の小フランジ部28(対向部)がハウジング内方へ突出している。
また、ブレーキ部24側のベアリング35は、ブレーキ部24として設けられたブレーキ本体41により支持されている。ブレーキ本体41(ボディ)は、モータハウジング27に対してネジ等により固定されており、ロータ21を挿通させてこれを囲むようにして設けられている。ブレーキ本体41は、ステンレス鋼等の金属材料により形成されている。そして、ブレーキ本体41の内周部とロータ21の外周部との間にベアリング35が配設されている。また、モータハウジング27の開口部27cには、ブレーキ本体41に対してネジ等により固定された押さえプレート42が設けられており、ロータ21の外周部分に形成された段差部(ベアリング保持用の段差部)と押さえプレート42とにより、ベアリング35のロータ軸方向の位置固定がなされている。
上述したロータ21の支持構造(回転軸機構)によれば、ステータ32に対向する大径部21aを挟んでその両側が大径部21aよりも小径の小径部となっており、その小径部がベアリング34,35により支持されている。これにより、ロータ21の外径寸法の大型化を抑制できる。また、2つのベアリング34,35及び皿ばね37により、ロータ21のラジアル荷重とスラスト荷重と好適に受けることができるものとなっている。
ブレーキ部24は、電磁式ブレーキ装置として構成されており、ブレーキ本体41への通電状態に応じて、ロータ21の回転を許容又は禁止するものとなっている。具体的には、ロータ21には、ロータ外周側に突き出た状態でロータ側外歯44が設けられている。また、ブレーキ部24には、ロータ側外歯44に対して係止可能であって、ブレーキ本体41への通電状態に応じてロータ軸方向に進退移動するブレーキ側内歯45が設けられている。ブレーキ部24は、ブレーキ本体41に対する非通電時には、ロータ側外歯44に対してブレーキ側内歯45が係止状態とされ(図示の状態)、ブレーキオン状態に保持されている(常時ブレーキオン)。そして、ブレーキ本体41が通電されることに伴い、ロータ側外歯44に対するブレーキ側内歯45の係止が解除され、ブレーキオフ状態に移行する構成となっている。
回転検出部25は、エンコーダを有する構成となっており、ロータ21の回転位置に応じたパルス信号を出力する。回転検出部25は、ロータ21の端部にネジにより取り付けられたエンコーダプレート47と、そのエンコーダプレート47を囲って設けられる保護カバー48とを有している。
回転駆動部23のステータ32、ブレーキ部24のブレーキ本体41、及び回転検出部25のエンコーダには、これら各々への電力供給や信号伝達を行うためのモータユニットケーブル51が接続されている。各モータユニットケーブル51は、それぞれモータハウジング27や保護カバー48からその外側に引き出されており、各ケーブル51の先端側にはモータユニットコネクタ52が取り付けられている。なお、各モータユニットケーブル51のうちステータ32及びブレーキ本体41に接続されるケーブルはモータハウジング27の内側に設けられている。
また、減速部22の構成として、ロータ21の出力先端側には減速機ユニット61が連結されている。減速機ユニット61は、ハーモニックドライブ(登録商標)構造を有する減速装置であり、ロータ21の回転を所定の減速比(例えば1/100)で減速し出力する。減速機ユニット61は、モータハウジング27の円筒部分よりも外径寸法が大きいものであり、モータハウジング27の外フランジ部27aやベアリングホルダ36と同じ外径寸法を有している。
減速機ユニット61は、より具体的には、楕円状のカムの外周にボールベアリングが組み付けられてなるウェーブジェネレータ62と、その外側に配置される薄肉かつ弾性変形可能なフレクスプライン(弾性歯車)63と、その外側に配置される剛体環状のサーキュラスプライン(内歯車)64とを備えて構成されている。フレクスプライン63の外周部には多数の外歯が形成されるとともに、サーキュラスプライン64の内周部にはフレクスプライン63よりも所定数(例えば2つ)だけ歯数が多い内歯が形成されており、それらフレクスプライン63の外歯とサーキュラスプライン64の内歯とがウェーブジェネレータ62の長軸の部分(カム山部分)で噛み合う構成となっている。フレクスプライン63の内部には、多くのオイル(潤滑剤)が保持されている。また、サーキュラスプライン64の外側にはクロスローラベアリングからなる軸受65が一体的に設けられている。
ウェーブジェネレータ62には、その中心部に複数のネジ等の締結具66によりカップリング67が固定されており、カップリング67がロータ21の先端部に固定されている。また、軸受65はネジ等からなる複数の締結具68によりベアリングホルダ36に固定されている。
上記構成の減速部22では、ロータ21が回転すると、ロータ21と一体でウェーブジェネレータ62が回転し、その回転がフレクスプライン63を介してサーキュラスプライン64に伝達される。これにより、ロータ21の回転に対してサーキュラスプライン64が所定の減速比で減速されて回転する。
ここで、ロータ21の回転に伴って、ロータ21とオイルシール38との隙間から、微少量のオイルがベアリング34側へ漏れ出すおそれがある。本実施形態では、これを抑制すべく、上記小フランジ部28が設けられている。
次に、この小フランジ部28、及び小フランジ部28の内周面に対向するロータ21の外周面の構成について、詳細に説明する。図4は、小フランジ部28及びロータ21の外周面を拡大して示す部分断面図である。
同図に示すように、小フランジ部28の内周面は、ロータ21の外周面のうちロータ21の軸線方向においてオイルシール38を挟んでオイルと反対側近傍の部分(所定部)に対向している。小フランジ部28は、ロータ21の軸線方向においてオイルシール38を挟んでオイルと反対側(同図では右側)に、オイルシール38と隣接して設けられている。
小フランジ部28の内周面には、ロータ21の軸線方向においてオイルシール38側から順に、撥油性の第1撥油部29a、親油性の親油部29b、及び撥油性の第2撥油部29cが設けられている。これら第1撥油部29a、親油部29b、及び第2撥油部29cは、小フランジ部28の内周面に沿って環状に設けられている。
また、ロータ21の外周面には、小フランジ部28の第1撥油部29a、親油部29b、及び第2撥油部29cのそれぞれに対向するように、撥油性の第1撥油部30a、親油性の親油部30b、及び撥油性の第2撥油部30cが設けられている。これら第1撥油部30a、親油部30b、及び第2撥油部30cは、ロータ21の外周面に沿って環状に設けられている。
ロータ21の軸線方向において、第1撥油部29a,30aの幅は、第2撥油部29c,30cの幅と等しくなっている。ロータ21の軸線方向において、第1撥油部29a,30aの幅は、親油部29b,30bの幅よりも狭くなっており、略半分の幅となっている。例えば、ロータ21の軸線方向において、第1撥油部29a,30a、及び第2撥油部29c,30cの幅は2mmであり、親油部29b,30bの幅は4mmである。
第1撥油部29a,30a、及び第2撥油部29c,30cは、ロータ21の外周面にフッ素系の溶液を塗布することで形成されている。また、小フランジ部28の親油部29bは、ベアリングホルダ36の素材である金属材料の表面を露出させることで形成されている。ロータ21の親油部30bは、ロータ21の素材である金属材料の表面を露出させることで形成されている。一般に、金属材料は親油性が高くなっている。
例えば、第1撥油部29a,30a及び第2撥油部29c,30cの厚みは0.01mm、小フランジ部28の内周面(親油部29b)とロータ21の外周面(親油部30b)との間隔は0.03mm、第1撥油部29a(第2撥油部29c)と第1撥油部30a(第2撥油部30c)との間隔は0.01mmである。なお、同図では、これらの厚み及び間隔を誇張して示している。
次に、上記第1撥油部29a,30a、親油部29b,30b、及び第2撥油部29c,30cの作用効果について説明する。図5は、第1撥油部29a,30a、親油部29b,30b、及び第2撥油部29c,30cでのオイルの挙動を示す部分断面図である。
同図に示すように、まず、ロータ21の回転に伴って、ロータ21とオイルシール38との隙間からオイルシール38を越えて(同図では右側へ)オイルが漏れ出そうとする。そのオイルは、撥油性の第1撥油部29a,30aによって、オイルシール38側へはじかれる。このため、ロータ21とオイルシール38との隙間から、オイルシール38を越えてオイルが漏れ出すことを抑制することができる。
第1撥油部29a,30aを越えてオイルOが漏れ出した場合には、そのオイルOは親油性の親油部29b,30bによって捕らえられる。すなわち、オイルOは、親油部29b,30bに付着して、親油部29b,30bの表面で膜状に広がることとなる。このため、親油部29b,30bからオイルOが移動しにくくなる。なお、親油部29b,30bに捕らえられたオイルOにより、オイルOを親油部29b,30bに更に捕らえ易くなる。このとき、親油部29b,30bの全周のうち一部にオイルOが付着すると考えられるが、この付着したオイルOを親油部29b,30bの全周で保持することができる。したがって、オイルOを保持する親油部29b,30bの容量を十分に確保することができる。
また、親油部29b,30bからオイルOが漏れ出そうとすると、そのオイルOは撥油性の第2撥油部29c,30cによって、親油部29b,30b側へはじかれる。このため、親油部29b,30bにおいてオイルOを一層強固に保持することができ、オイルOが漏れ出すことを効果的に抑制することができる。したがって、ロボットにおいて、関節アクチュエータ10自体が移動された場合であっても、微少量の潤滑剤が漏れ出すことを抑制することができる。
さらに、第1撥油部29a,30aの幅は、親油部29b,30bの幅よりも狭くなっており、略半分の幅となっている。このため、オイルが第1撥油部29a,30aを通過する際に、オイルに勢いが付くことを抑制することができる。すなわち、オイルが、親油部29b,30bで捕らえられるまでに、滑り易い第1撥油部29a,30aの表面で加速されることを抑制することができる。
続いて、図6を参照して、親油部29b,30bで保持されるオイルOの量が多くなった状態を説明する。図6は、第1撥油部29a,30a、親油部29b,30b、及び第2撥油部29c,30cでのオイルOの挙動を示す部分断面図である。
同図に示すように、親油部29b,30bで保持されるオイルOの量が多くなると、ロータ21の親油部30bで保持されるオイルと、小フランジ部28の親油部29bで保持されるオイルとが繋がることとなる。この状態であっても、オイルOの両側に位置する第1撥油部29a,30a及び第2撥油部29c,30cによって、オイルOが親油部29b,30b側へはじかれるため、オイルOを適切に保持することができる。
さらに、ロータ21の親油部30bと小フランジ部28の親油部29bとの間の空間を、全てオイルOを保持する容積として利用することができる。なお、ロータ21とオイルシール38との隙間から漏れ出すオイルの量は微少であるため、この点からも、オイルOを保持する親油部29b,30bの容量を十分に確保することができる。
以上詳述した本実施形態は以下の利点を有する。
・ロータ21の軸線方向においてオイルシール38を挟んでオイルと反対側を覆うように、環状の小フランジ部28がベアリングホルダ36から内方へ突出して、ロータ21の外周面の所定部に対向している。このため、ロータ21とオイルシール38との隙間からオイルシール38を超えて飛散するオイルを、環状の小フランジ部28により遮ることができる。
さらに、ロータ21の外周面の所定部及び小フランジ部28のそれぞれに互いに対向するように、撥油性の第1撥油部29a,30a、親油性の親油部29b,30b、及び撥油性の第2撥油部29c,30cが設けられている。そして、ロータ21の軸線方向においてオイルシール38側から順に、第1撥油部29a,30a,親油部29b,30b,第2撥油部29c,30cが配置されている。
このため、ロータ21とオイルシール38との隙間から漏れ出したオイルOは、まず第1撥油部29a,30aによりオイルシール38側へはじかれる。次に、第1撥油部29a,30aを越えて漏れ出したオイルOは、親油部29b,30bに捕らえられる。その後は、親油部29b,30bに捕らえられたオイルOにより、オイルOを親油部29b,30bに更に捕らえ易くなる。また、親油部29b,30bから第2撥油部29c,30cへ漏れ出そうとするオイルOは、第2撥油部29c,30cにより親油部29b,30b側へはじかれる。したがって、ロータ21とオイルシール38との隙間から漏れ出した微少量のオイルOを、親油部29b,30bで強固に捕らえることができる。その結果、ロボットの関節アクチュエータ10において、関節アクチュエータ10自体が移動された場合であっても、微少量のオイルOが漏れ出すことを抑制することができる。
・ロータ21の軸線方向において、第1撥油部29a,30aの幅は、親油部29b,30bの幅よりも狭くなっている。こうした構成によれば、オイルOが第1撥油部29a,30aを通過する際に、オイルOに勢いが付くことを抑制することができるとともに、オイルOを捕らえる親油部29b,30bの容量を増大させることができる。すなわち、オイルが、親油部29b,30bで捕らえられるまでに、滑り易い第1撥油部29a,30aの表面で加速されることを抑制することができる。
・ロータ21の所定部及び小フランジ部28は、ロータ21の軸線方向においてオイルシール38を挟んでオイルと反対側に、オイルシール38と隣接して設けられている。こうした構成によれば、オイルシール38に隣接して設けられたロータ21の所定部及び小フランジ部28において、ロータ21とオイルシール38との隙間から漏れ出すオイルOを止めることができる。したがって、より狭い範囲内にオイルOを留めることができ、オイルOの外部への拡散を抑制することができる。
・ベアリングホルダ36及びロータ21は、ステンレス鋼等の金属材料で形成されており、親油部29b,30bは、ベアリングホルダ36及びロータ21の素材である金属材料の表面を露出させることで形成されている。このため、親油部29b,30bを容易に形成することができる。
・第1撥油部29a,30aを越えるオイルは、フレクスプライン63内部の圧力が上昇した時にのみ押し出されるごく微少量である。そして、ごく微少量オイルが相対的に大きな面積を持つ親油部29b,30bに付着することになり、新油性に基づいて円周方向へ拡散させられ、平面状に広がる。その上で更に第2撥油部29c,30cがあることで、薄く平面状に広がったオイルは第2撥油部29c,30c側に集まることができず、第2撥油部29c,30cを越えることができないため、これ以上漏れることを効果的に抑制することができる。
なお、上記実施形態を、以下のように変形して実施することもできる。
・親油部29b,30bを、ベアリングホルダ36及びロータ21の表面に、界面活性剤や有機溶媒を塗布することで形成してもよい。こうした構成によれば、親油部29b,30bの親油性を更に向上させることができ、親油部29b,30bでオイルをより強固に保持することができる。
・親油部29b,30bを、親油処理された部材を取り付けることで形成したり、撥油部29a,30a,29c,30cを、撥油処理された部材を取り付けることで形成したりすることもできる。また、親油性の素材で形成された部材や、撥油性の素材で形成された部材を用いることもできる。
・シール部材として、オイルシール38に代えてOリングを用いることもできる。
・上記実施形態では、ロータ21の所定部及び小フランジ部28を、ロータ21の軸線方向においてオイルシール38を挟んでオイルと反対側に、オイルシール38と隣接して設けるようにした。しかしながら、ロータ21の所定部及び小フランジ部28を、ロータ21の軸線方向において、オイルシール38を挟んでオイルと反対側の離れた位置に設けることもできる。
・上記実施形態では、ロータ21の軸線方向においてオイルシール38を挟んでオイルと反対側を覆うように、環状の小フランジ部28がベアリングホルダ36から突出して、ロータ21の外周面の所定部に対向するようにした。しかしながら、このような形状の小フランジ部を、ベアリングホルダ36に取り付けるようにすることもできる。
・上記実施形態では、ロータ21の軸線方向において、第1撥油部29a,30a、及び第2撥油部29c,30cの幅を2mmとし、親油部29b,30bの幅を4mmとした。しかしながら、これらの幅は適宜変更可能であり、第1撥油部29a,30aや、第2撥油部29c,30cの幅よりも、親油部29b,30bの幅が狭い構成等を採用することもできる。
・上記実施形態では、ロータ21の外周面がベアリング34,35により回転可能に支持される構成を採用したが、ロータが中空状に形成され、ロータの内周面がベアリングにより回転可能に支持される構成を採用することもできる。この場合には、ロータの軸線方向においてオイルシールを挟んでオイルと反対側を覆うように、環状の小フランジ部をベアリングホルダから突出させ、ロータの内周面の所定部に対向させる。そして、ロータの内周面の所定部及び小フランジ部のそれぞれに互いに対向するように、撥油性の第1撥油部、親油性の親油部、及び撥油性の第2撥油部を設けるようにすればよい。こうした構成によっても、上記実施形態に準じた作用効果を奏することができる。
・多関節ロボットに用いられる関節アクチュエータに限らず、その他の生産機器に用いられるアクチュエータ(回転軸ユニット、回転軸機構)に具体化することもできる。
10…関節アクチュエータ、11…モータユニット(回転軸ユニット)、21…ロータ(回転軸)、22…減速部、23…回転駆動部、24…ブレーキ部、25…回転検出部、28…小フランジ部(対向部)、29a,30a…第1撥油部、29b,30b…親油部、29c,30c…第2撥油部、34,35…ベアリング(軸受)、36…ベアリングホルダ(ボディ)、38…オイルシール(シール部材)。

Claims (5)

  1. ボディと、
    親油性の潤滑剤を介して前記ボディに回転可能に支持された回転軸と、
    前記ボディと前記回転軸との間をシールする環状のシール部材と、
    前記回転軸の軸線方向において前記シール部材を挟んで前記潤滑剤と反対側を覆うように前記ボディから突出するとともに、前記回転軸の周面の所定部に対向する環状の対向部と、
    前記所定部及び前記対向部のそれぞれに互いに対向するように設けられ、前記回転軸の軸線方向において前記シール部材側から順に配置された撥油性の第1撥油部、親油性の親油部、及び撥油性の第2撥油部と、
    を備えることを特徴とする生産機器の回転軸機構。
  2. 前記回転軸の軸線方向において、前記第1撥油部の幅は、前記親油部の幅よりも狭くなっている請求項1に記載の生産機器の回転軸機構。
  3. 前記所定部及び前記対向部は、前記回転軸の軸線方向において前記シール部材を挟んで前記潤滑剤と反対側に、前記シール部材と隣接して設けられている請求項1又は2に記載の生産機器の回転軸機構。
  4. 前記ボディ及び前記回転軸は、金属材料で形成されており、
    前記親油部は、前記金属材料の表面により形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の生産機器の回転軸機構。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の生産機器の回転軸機構と、
    前記回転軸を回転駆動する回転駆動部と、
    前記潤滑剤を有して前記回転軸を前記ボディに回転可能に支持する軸受と、
    を備えることを特徴とする生産機器の回転軸ユニット。
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