JP2005291452A - 流体軸受装置 - Google Patents
流体軸受装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005291452A JP2005291452A JP2004110598A JP2004110598A JP2005291452A JP 2005291452 A JP2005291452 A JP 2005291452A JP 2004110598 A JP2004110598 A JP 2004110598A JP 2004110598 A JP2004110598 A JP 2004110598A JP 2005291452 A JP2005291452 A JP 2005291452A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- thrust
- plate member
- thrust plate
- shaft
- sleeve
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Sliding-Contact Bearings (AREA)
Abstract
【課題】 スラストフランジとスラストプレート部材との間の箇所での作動流体の圧力変動が小さくなるよう調整できて作動流体が漏れ出ることを阻止できながら、加工が容易で、切削粉を生じた場合でも容易に確認できるとともに除去でき、軸の回転に支障をきたすことを防止できる流体軸受装置を提供する。
【解決手段】 スラストプレート部材4に、その厚み方向に貫通して、スラストフランジ2の外周面とスリーブ3の軸受孔太径部3bとの間の空間にその一端が連通する貫通孔4bを形成し、スラストプレート部材4における貫通孔4bの他端側に隣接させて、シール部材10をスリーブ3に固定させて配設し、シール部材10におけるスラストプレート部材4に臨む面に、前記スラストプレート部材4の貫通孔4bの他端と、軸1が外部に露出する開口部8近傍の作動流体7のシール部9とを連通させる凹部10aを形成した。
【選択図】 図1
【解決手段】 スラストプレート部材4に、その厚み方向に貫通して、スラストフランジ2の外周面とスリーブ3の軸受孔太径部3bとの間の空間にその一端が連通する貫通孔4bを形成し、スラストプレート部材4における貫通孔4bの他端側に隣接させて、シール部材10をスリーブ3に固定させて配設し、シール部材10におけるスラストプレート部材4に臨む面に、前記スラストプレート部材4の貫通孔4bの他端と、軸1が外部に露出する開口部8近傍の作動流体7のシール部9とを連通させる凹部10aを形成した。
【選択図】 図1
Description
本発明は動圧流体軸受を使用した流体軸受装置に関するものである。
近年のハードディスク装置の高容量化に伴い、ハードディスク装置のスピンドルモータなどに用いられている軸受装置として、従来用いられていた玉軸受装置に代わって、玉軸受よりも回転精度が優れ、しかも静音性にも優れる流体軸受装置が多く用いられつつある。この流体軸受装置として、高容量化に伴って多数枚の記録ディスクを使用する場合などには、一端側だけを支持する片持ちタイプのものよりも、軸心の傾きを発生し難い両端部を支持する両端支持タイプのものが用いられる。
この種の従来の流体軸受装置は、例えば、特許文献1などに開示されている。この流体軸受装置は、図3に示すように、軸51の片側に太径のスラストフランジ52が一体的に設けられ、軸51およびスラストフランジ52がスリーブ53の軸受孔53a、53bに挿入され、スラストプレート部材54が、スラストフランジ52の径方向に延びる一方の面52aに臨む姿勢で、スリーブ53に固定されている。また、軸51の外周面またはスリーブ53の内周面の少なくとも一方(図3に示す場合においては軸51の外周面)に動圧発生溝55を有するラジアル軸受面が形成され、スラストフランジ52の半径方向に延びる前記一方の面52aと、この面52bに臨むスラストプレート部材54の面54aと、スラストフランジ52の半径方向に延びる他方の面52bと、この面52aに臨むスリーブ53の面53cとの少なくとも一箇所(図3に示す場合においてはスラストフランジ52の一方の面52aと他方の面52b)に動圧発生溝56を有するスラスト軸受面が形成され、軸51とスリーブ53との間の隙間およびスラストフランジ52とスラストプレート部材54との間の隙間に潤滑油などの作動流体57が充満されている。
そして、この流体軸受装置がスピンドルモータなどに用いられる場合には、スリーブ53やスリーブに取り付けたハブと軸を固定するベースとの対向部分にスピンドルモータ部が設けられ(図示せず)、この回転に伴ってスリーブ53または軸51が回転駆動されると、ラジアル軸受面およびスラスト軸受面の動圧発生溝55、56により潤滑油などの作動流体57が所定方向に供給されて圧力が発生し、軸51によりスリーブ53が一定量の隙間を有して浮上した非接触姿勢で回転自在に支持される。なお、図3に示すように、軸51におけるスラストフランジ52が設けられている側の端部(図3に示す場合には軸51の上端部)も外部に露出して配置され、図示していないが、両端支持タイプの場合は、軸51における前記端部および反対側の端部の両端部が、それぞれベース部材やカバーなどの所定位置に固定された部材に固定される。また、軸51におけるスラストフランジ52が設けられている側の端部が外部に露出しているので、この箇所から作動流体57が漏れないように、作動流体57を溜めることができるシール部59が設けられることが多い。
ここで、回転開始時などには、スリーブ53の回転速度が大きく変化するため、ラジアル軸受面およびスラスト軸受面の動圧発生溝55、56により作動流体57の圧力の変動が大きくなり易い。そのため、場合によっては、作動流体57が、ラジアル軸受面が設けられている軸51の中央側箇所から、スラストフランジ52の他方の面52bに臨む箇所および、スラストフランジ52の外周面に臨む箇所を介して、スラストフランジ52とスラストプレート部材54との間に流入するなどして、この箇所の圧力が極めて高くなり、この影響を受けて、シール部59から開口部58に向けて作動流体57が漏れるおそれがあった。
これに対処すべく、前記特許文献1に開示されている流体軸受装置においては、スラストプレート部材54の作動流体57に臨む外周部内面に切除部54bを形成するとともに、この切除部54bとスラストプレート部材54の内周面の内側箇所、すなわち、開口部58近傍箇所とを連通させる連通孔54cを形成している。なお、図4(a),(b)に示すように、切除部54bは連通孔54cに対応するように、外周部における所定角度範囲だけに形成されている。
この構成によれば、開口部58に臨むシール部59では作動流体57もほぼ大気圧に近い圧力であるので、連通孔54cによりシール部59に連通されている切除部54bも大気圧に近い比較的低い圧力に維持され、回転開始時などに、矢印で示すように、スラストフランジ52の外周面に臨む箇所からスラストフランジ52とスラストプレート部材54との間に作動流体57が流れ込もうとした際などに、作動流体57の一部が切除部54bに流れ込むなどして、スラストフランジ52とスラストプレート部材54との間の箇所の作動流体57の圧力が急激に高くなることがなくなり、この結果、開口部58から作動流体57が漏れ出ることを防止できる。つまり、切除部54bや連通孔54cを形成したことにより、スラストフランジ52とスラストプレート部材54との間の箇所での作動流体57の圧力変動が小さくなるよう調整されて、作動流体57が漏れ出ることが阻止され、この結果、流体軸受装置の信頼性が向上する。
特開2002−155940号公報
しかしながら上記の従来構成の流体軸受装置では、次のような課題があった。
スラストプレート部材54は直径方向の寸法に対して厚み方向の寸法が小さいため、その半径方向に延びる連通孔54cを形成する加工が困難であった。また、特にスラストプレート部材54がステンレスなどの硬い材料である場合や、流体軸受装置が小型であり、スラストプレート部材54の厚みが1〜2mmしかない場合には、その穿孔加工が極めて困難となる。
スラストプレート部材54は直径方向の寸法に対して厚み方向の寸法が小さいため、その半径方向に延びる連通孔54cを形成する加工が困難であった。また、特にスラストプレート部材54がステンレスなどの硬い材料である場合や、流体軸受装置が小型であり、スラストプレート部材54の厚みが1〜2mmしかない場合には、その穿孔加工が極めて困難となる。
また、穿孔加工を行う際の切削金属粉が連通孔54cに残る場合があるが、このように金属粉が連通孔54cに残ると、作動流体57の流れが悪くなり、調整効果が低下する。また、金属粉がラジアル軸受面やスラスト軸受面が設けられている箇所に流入すると、ラジアル軸受面やスラスト軸受面が損傷したり、軸51の回転に支障をきたしたりするおそれがある。
また、連通孔54cは細くて長い形状であるので、洗浄することが困難で、さらに、金属粉が連通孔54cに残っていた場合でも、金属粉が残っていることを視認することが困難であった。
本発明は上記課題を解決するもので、スラストフランジとスラストプレート部材との間の箇所での作動流体の圧力変動が小さくなるよう調整できて作動流体が漏れ出ることを阻止できながら、加工が容易で、切削粉を生じた場合でも容易に確認できるとともに除去でき、軸の回転に支障をきたすことを防止できる流体軸受装置を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は、軸と一体的にスラストフランジが設けられ、前記軸およびスラストフランジがスリーブの軸受孔に挿入され、スラストフランジの径方向に延びる一方の面に臨む姿勢で、スラストプレート部材がスリーブに固定され、軸外周面またはスリーブ内周面の少なくとも一方に動圧発生溝を有するラジアル軸受面が形成され、スラストフランジの半径方向に延びる前記一方の面と、この面に臨むスラストプレート部材の面と、スラストフランジの半径方向に延びる他方の面と、この面に臨むスリーブの面との少なくとも一箇所に動圧発生溝を有するスラスト軸受面が形成され、軸とスリーブとの間の隙間およびスラストフランジとスラストプレート部材との間の隙間に作動流体が充満され、軸におけるスラストフランジが設けられている側の端部が外部に露出されている流体軸受装置であって、スラストプレート部材に、軸の軸心方向に沿うその厚み方向に貫通して、スラストフランジ外周面とスリーブの軸受孔太径部との間の空間にその一端が連通する貫通孔を形成し、スラストプレート部材における貫通孔の他端側に隣接させて、隣接部材をスリーブに対して固定させて配設し、隣接部材におけるスラストプレート部材に臨む面に、前記スラストプレート部材の貫通孔の他端と、軸が外部に露出する開口部近傍の作動流体の貯留部とを連通させる凹部を形成したことを特徴とする。
また、凹部を、隣接部材におけるスラストプレート部材に臨むように配置される面の内周寄り部分の全周にわたって形成するとよく、隣接部材としては、軸との間に作動流体としての潤滑油を溜めてシールするシール部材が好適である。
この構成によれば、スラストプレート部材の貫通孔と隣接部材の凹部とを介して、スラストフランジ外周面とスリーブの軸受孔太径部との間の空間と、軸が外部に露出する箇所近傍の作動流体の貯留部とが連通されるので、スラストフランジとスラストプレート部材との間の箇所での作動流体の圧力変動が小さくなるよう調整されて、作動流体が漏れ出ることが阻止される。
また、製造工程や組付け工程において、スラストプレート部材に対して、軸の軸心方向に沿うその厚み方向に貫通する貫通孔を形成し、隣接部材の外部に露出している面に凹部を形成し、その後、スラストプレート部材と隣接部材とが隣接するようにスリーブに組付けるだけでよいので、スラストプレート部材の厚みが小さい場合などでも、各加工作業や組付け作業を容易に行うことができる。さらに、スラストプレート部材とは別の隣接部材に凹部を形成するので、隣接部材として安価な部材を用いたり、加工が容易な部材を用いたりすることができる。
また、スラストプレート部材の貫通孔や隣接部材の凹部に切削時の金属粉などが付着していた場合でも、容易に視認できるとともに、洗浄作業も極めて容易である。したがって、ラジアル軸受面やスラスト軸受面が損傷したり、軸の回転に支障をきたしたりすることも防止できる。
上記したように本発明によれば、スラストフランジとスラストプレート部材との間の箇所での作動流体の圧力変動が小さくなるよう調整されて、作動流体が漏れ出ることが阻止されるだけでなく、スラストプレート部材の厚みが小さい場合などでも、各加工作業や組付け作業を容易に行うことができ、スラストプレート部材とは別の隣接部材に凹部を形成するので、隣接部材として安価な部材を用いたり、加工が容易な部材を用いたりすることができる。また、スラストプレート部材の貫通孔や隣接部材の凹部に切削時の金属粉などが付着していた場合でも、容易に視認できるとともに、洗浄作業も極めて容易である。したがって、ラジアル軸受面やスラスト軸受面が損傷したり、軸の回転に支障をきたしたりすることも防止でき、信頼性がさらに向上する。
また、凹部を、隣接部材の片面における内周寄り部分の全周にわたって形成しているので、隣接部材をスラストプレート部材に隣接させて組付ける際に、その隣接部材の周方向の組付け位置を考慮しなくても、スラストプレート部材の貫通孔と隣接部材の凹部内の空間とが良好に連通し、作業能率がよい。さらに、凹部が内周寄り部分の全周にわたって形成されているので、スラストプレート部材の貫通孔の数や断面積を変更することで、これらの流路に流れる作動流体の量も容易に変更できる利点がある。
以下、本発明の実施の形態に係る流体軸受装置を図面に基づき説明する。
この流体軸受装置は、図1(a)に示すように、軸1と一体的に結合されるように、軸1よりも太径のスラストフランジ2が片側(図1(a)に示す場合には軸1の下部)に外嵌されて固定され、これらの軸1およびスラストフランジ2はスリーブ3の軸受孔に挿入されている。スリーブ3の軸受孔は、軸1が挿入されている軸受孔細径部3aと、スラストフランジ2が挿入されている軸受孔太径部3bとから構成されている。また、スラストフランジ2の径方向に延びる一方の面2aに臨む姿勢で、スラストプレート部材4がスリーブ3の内周凹部に圧入されて固定されている。
この流体軸受装置は、図1(a)に示すように、軸1と一体的に結合されるように、軸1よりも太径のスラストフランジ2が片側(図1(a)に示す場合には軸1の下部)に外嵌されて固定され、これらの軸1およびスラストフランジ2はスリーブ3の軸受孔に挿入されている。スリーブ3の軸受孔は、軸1が挿入されている軸受孔細径部3aと、スラストフランジ2が挿入されている軸受孔太径部3bとから構成されている。また、スラストフランジ2の径方向に延びる一方の面2aに臨む姿勢で、スラストプレート部材4がスリーブ3の内周凹部に圧入されて固定されている。
軸1の外周面またはこれに対向するスリーブ3の内周面の少なくとも一方(図1(a)に示す場合においてはスリーブ3の内周面)には螺旋状や魚骨状などの動圧発生溝5を有するラジアル軸受面が形成されている。また、スラストフランジ2の半径方向に延びる前記一方の面2aと、この面2aに臨むスラストプレート部材4の面4aと、スラストフランジ2の半径方向に延びる他方の面2bと、この面2bに臨むスリーブ3の面3cとの少なくとも一箇所(図1(a)に示す場合においてはスラストフランジ2の一方の面2aおよび他方の面2b)に螺旋状や魚骨状などの動圧発生溝6を有するスラスト軸受面が形成されている。そして、軸1とスリーブ3との間の隙間およびスラストフランジ2とスラストプレート部材4との間の隙間に潤滑油などの作動流体7が充満されている。
そして、この流体軸受装置がスピンドルモータなどに用いられる場合には、スリーブ3やスリーブ3に取り付けたハブと軸1を固定するベースとの対向部分にスピンドルモータ部が設けられ(図示せず)、この回転に伴ってスリーブ3が回転駆動されると、ラジアル軸受面およびスラスト軸受面の動圧発生溝5、6により潤滑油などの作動流体7が所定方向に供給されて圧力が発生し、軸1によりスリーブ3が一定量の隙間を有して浮上した非接触姿勢で回転自在に支持される。
図1に示すように、軸1におけるスラストフランジ2が設けられている側の端部(図1(a)に示す場合には軸1の下端部)も外部に露出して配置され、図示していないが、軸1における前記端部(下端部)および反対側の端部(上端部(図示せず))の両端部が、それぞれベース部材やカバーなどの所定位置に固定された部材に固定される。また、軸1におけるスラストフランジ2が設けられている側の端部が開口部8から外部に露出しているので、この箇所から作動流体7が漏れないように、作動流体7を溜めることができるシール部9が設けられている。シール部9はスラストプレート部材4に隣接させて配設された隣接部材としてのシール部材10の内周面と、軸1の外周面との間に形成され、シール部材10は、スラストプレート部材4とともにスリーブ3に固定されている。また、シール部材10はその内周面が開口部8側(この実施の形態では下方)ほど広がるように傾斜されて形成されており、温度変動などにより作動流体7の量が変動した場合でもシール部9において、この作動流体7の量の変動を吸収できるように、比較的多くの量の作動流体7を貯留可能に構成されている。
図1(a),(b)、図2(a)に示すように、スラストプレート部材4には、軸1の軸心方向に沿うその厚み方向に貫通して貫通孔4bが複数形成されている。この貫通孔4bの一端(この実施の形態では上端)は、スラストフランジ2の外周面とスリーブ3の軸受孔太径部3bとの間の空間に連通するように、より詳しくは、スラストフランジ2の外周面とスリーブ3の軸受孔太径部3bとの間の空間と、スラストフランジ2とスラストプレート部材4との間の空間との接続部分の箇所に連通するように形成されている。また、シール部材10におけるスラストプレート部材4に臨む面に、このスラストプレート部材4の貫通孔4bの他端(この実施の形態では下端)と、作動流体7の貯留部であるシール部9とを連通させる凹部10aが内周寄り部分の全周にわたって形成されている。ここで、シール部材10の凹部10aにおける外周縁部分は、図1(b)に拡大して示すように、貫通孔4bに近づく側ほど外周側に広がるテーパ面形状に形成されている。
なお、軸1、スラストフランジ2、スリーブ3、スラストプレート部材4は、回転時に動圧発生溝5、6により良好に圧力が発生するように、ステンレスなどの剛性の大きな材料で構成されている一方、シール部材10は、樹脂などの成形しやすい材料で構成されている。
上記構成によれば、スラストプレート部材4の貫通孔4bとシール部材10の凹部10aとを介して、スラストフランジ2の外周面とスリーブ3の軸受孔太径部3bとの間の空間と、開口部8に臨むシール部9とが連通されるので、スラストプレート部材4の貫通孔4bや、スラストフランジ2の外周面とスリーブ3の軸受孔太径部3bとの間の空間と、スラストフランジ2とスラストプレート部材4との間の空間との接続部分での作動流体7の圧力が、大気圧に近づいて圧力変動が小さくなるよう調整される。したがって、回転開始時などに、矢印で示すように、スラストフランジ2の外周面に臨む箇所からスラストフランジ2とスラストプレート部材4との間に作動流体7が流れ込もうとした際などに、作動流体7の一部がスラストプレート部材4の貫通孔4b側に流れ込むなどして、スラストフランジ2とスラストプレート部材4との間の箇所の作動流体7の圧力が急激に高くなることがなくなり、この結果、開口部8から作動流体7が漏れ出ることが防止される。これにより、流体軸受装置の信頼性が向上する。
なお、シール部材10の凹部10aにおける外周縁部分が、図1(b)に拡大して示すように、貫通孔4bに近づく側ほど外周側に広がるテーパ面形状に形成されているので、スラストプレート部材4の貫通孔4bに流れ込んだ作動流体7が凹部10aにおける外周縁部分のテーパ面に沿って積極的に凹部10aの内周側に案内され、作動流体7の貫通孔4bと凹部10aとの接続部での流れ状態が良好となる。
また、スラストプレート部材4は、その厚み方向に貫通する貫通孔4bが形成されているだけの簡単な構造であるので、スラストプレート部材4としてステンレスなどの剛性の大きな材料を用いる場合でも、貫通孔4bをプレス成形などにより容易に行うことができる。また、貫通孔4bはその厚み方向に貫通するので、流体軸受装置が小型であり、スラストプレート部材4の厚みが1〜2mmしかない場合でも、その穿孔加工は容易である。
さらに、シール部材10の凹部10aは簡単な形状であるため、容易に成形できる上に、スラスト軸受面が形成されているスラスト軸受部を構成するスラストプレート部材4とは別部品であるので、シール部材10として加工精度はあまり高くなくても支障をきたすことがなく、樹脂形成などにより形成でき、製造コストを低く抑えることができると同時に加工も極めて容易である。
なお、これらの部品の組立ては、まず、軸1にスラストフランジ2を外嵌させた後、このスラストフランジ2を組付けた軸1をスリーブ3の軸受孔細径部3a,軸受孔太径部3bに挿入し、次に、スリーブ3にスラストプレート部材4とシール部材10とを順次組付けることで簡単に行える。また、この場合に、シール部材10の凹部10aは内周寄り部分の全周にわたって形成されているので、シール部材10の周方向の位置を考慮しなくても、スラストプレート部材4の貫通孔4bとシール部材10の凹部10a内の空間とが良好に連通し、作業能率がよい。さらに、シール部材10の凹部10aがスラストプレート部材4に臨む面における内周寄り部分の全周にわたって形成されているので、スラストプレート部材4の貫通孔4bとシール部材10の凹部10a内との連通する面積も、スラストプレート部材4の貫通孔4bの数や断面積を調整することで容易に行うことができ、これにより、この箇所の流路に流れる作動流体7の量も容易に変更できる利点がある。なお、各部品を組立てた後には、真空注油法などにより作動流体7を充填するとよい。
また、上記構成によれば、スラストプレート部材4の貫通孔4bやシール部材10の凹部10aを切削加工により形成した場合などに切削時の金属粉や樹脂粉などが付着していた場合に、スラストプレート部材4の貫通孔4bはその厚み方向に貫通しているので内面に付着した金属粉などを容易に見つけることができ、また、シール部材10の凹部10aは単体では外部に露出しているので凹部10aに付着した樹脂粉などを容易に見つけることができる。このように、切削粉などを生じても容易に視認できるとともに、洗浄作業も極めて容易である。したがって、製造時に発生した切削粉などを確実に除去できて、ラジアル軸受面やスラスト軸受面が損傷したり、軸1の回転に支障をきたしたりすることも防止でき、これによっても信頼性が向上する。また、長期使用の間に、軸受部などで金属粉を生じていた場合でも流体軸受装置を分解した際に容易に洗浄して除去できる。
なお、上記実施の形態では、作動流体7を溜めるシール部9を設けるためのシール部材10に凹部10aを設けたことにより、部品点数の増加を最小限に抑えることができる利点があるが、これに限るものではなく、凹部10aを形成する隣接部材(スラストプレート部材4に隣接して配設する部材)を、シール部材10と別部品で構成することも可能である。
また、上記実施の形態においては、シール部材10の形状をその内周面が開口部8側ほど広がるように傾斜させた場合を述べたが、これに限るものではなく、その内周面が開口部8側ほど広がるように段付き形状に形成してもよい。
また、上記実施の形態では、スラストフランジ2が軸1の下部に設けられている場合を示したが、これに限るものではなく、スラストフランジが軸の上部に設けられている場合や、軸1自体が横方向や斜め方向に配置される場合でも適用可能である。
また、上記実施の形態では、軸1およびスラストフランジ2が固定され、スリーブ3側が回転する場合を述べたが、この構造を、スリーブ側が固定され、軸およびスラストフランジが回転する構成のものにも適用可能である。
本発明は、ハードディスク装置やその他の装置のスピンドルモータなどに特に適した流体軸受装置に適用できるが、送風機やその他の機器にも適用可能である。
1 軸
2 スラストフランジ
3 スリーブ
3a 軸受孔細径部
3b 軸受孔太径部
4 スラストプレート部材
4b 貫通孔
5 動圧発生溝(ラジアル軸受面)
6 動圧発生溝(スラスト軸受面)
7 作動流体
8 開口部
9 シール部
10 シール部材(隣接部材)
10a 凹部
2 スラストフランジ
3 スリーブ
3a 軸受孔細径部
3b 軸受孔太径部
4 スラストプレート部材
4b 貫通孔
5 動圧発生溝(ラジアル軸受面)
6 動圧発生溝(スラスト軸受面)
7 作動流体
8 開口部
9 シール部
10 シール部材(隣接部材)
10a 凹部
Claims (3)
- 軸と一体的にスラストフランジが設けられ、
前記軸およびスラストフランジがスリーブの軸受孔に挿入され、
スラストフランジの径方向に延びる一方の面に臨む姿勢で、スラストプレート部材がスリーブに固定され、
軸外周面またはスリーブ内周面の少なくとも一方に動圧発生溝を有するラジアル軸受面が形成され、
スラストフランジの半径方向に延びる前記一方の面と、この面に臨むスラストプレート部材の面と、スラストフランジの半径方向に延びる他方の面と、この面に臨むスリーブの面との少なくとも一箇所に動圧発生溝を有するスラスト軸受面が形成され、
軸とスリーブとの間の隙間およびスラストフランジとスラストプレート部材との間の隙間に作動流体が充満され、
軸におけるスラストフランジが設けられている側の端部が外部に露出されている流体軸受装置であって、
スラストプレート部材に、軸の軸心方向に沿うその厚み方向に貫通して、スラストフランジ外周面とスリーブの軸受孔太径部との間の空間にその一端が連通する貫通孔を形成し、
スラストプレート部材における貫通孔の他端側に隣接させて、隣接部材をスリーブに対して固定させて配設し、
隣接部材におけるスラストプレート部材に臨む面に、前記スラストプレート部材の貫通孔の他端と、軸が外部に露出する開口部近傍の作動流体の貯留部とを連通させる凹部を形成した流体軸受装置。 - 凹部が隣接部材におけるスラストプレート部材に臨むように配置される面の内周寄り部分の全周にわたって形成されている請求項1記載の流体軸受装置。
- 隣接部材が、軸との間に作動流体としての潤滑油を溜めてシールするシール部材である請求項1または2に記載の流体軸受装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004110598A JP2005291452A (ja) | 2004-04-05 | 2004-04-05 | 流体軸受装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004110598A JP2005291452A (ja) | 2004-04-05 | 2004-04-05 | 流体軸受装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005291452A true JP2005291452A (ja) | 2005-10-20 |
Family
ID=35324598
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004110598A Pending JP2005291452A (ja) | 2004-04-05 | 2004-04-05 | 流体軸受装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005291452A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8144423B2 (en) | 2008-03-11 | 2012-03-27 | Nidec Corporation | Fluid dynamic pressure bearing device, spindle motor and disk drive apparatus |
US8191232B2 (en) | 2007-11-26 | 2012-06-05 | Nidec Corporation | Method of manufacturing spindle motor |
US8284513B2 (en) | 2008-03-11 | 2012-10-09 | Nidec Corporation | Fluid dynamic pressure bearing device, spindle motor and disk drive apparatus |
WO2015133563A1 (ja) * | 2014-03-05 | 2015-09-11 | Ntn株式会社 | 流体動圧軸受装置及びこれを備えたモータ |
JP2015169228A (ja) * | 2014-03-05 | 2015-09-28 | Ntn株式会社 | 流体動圧軸受装置 |
CN112131771A (zh) * | 2020-09-18 | 2020-12-25 | 重庆长安汽车股份有限公司 | 一种汽车发动机的气门油封机油泄漏量的预测方法 |
-
2004
- 2004-04-05 JP JP2004110598A patent/JP2005291452A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8191232B2 (en) | 2007-11-26 | 2012-06-05 | Nidec Corporation | Method of manufacturing spindle motor |
US8144423B2 (en) | 2008-03-11 | 2012-03-27 | Nidec Corporation | Fluid dynamic pressure bearing device, spindle motor and disk drive apparatus |
US8284513B2 (en) | 2008-03-11 | 2012-10-09 | Nidec Corporation | Fluid dynamic pressure bearing device, spindle motor and disk drive apparatus |
WO2015133563A1 (ja) * | 2014-03-05 | 2015-09-11 | Ntn株式会社 | 流体動圧軸受装置及びこれを備えたモータ |
JP2015169228A (ja) * | 2014-03-05 | 2015-09-28 | Ntn株式会社 | 流体動圧軸受装置 |
CN112131771A (zh) * | 2020-09-18 | 2020-12-25 | 重庆长安汽车股份有限公司 | 一种汽车发动机的气门油封机油泄漏量的预测方法 |
CN112131771B (zh) * | 2020-09-18 | 2022-10-11 | 重庆长安汽车股份有限公司 | 一种汽车发动机的气门油封机油泄漏量的预测方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7589934B2 (en) | Hydrodynamic bearing device and disk rotating apparatus | |
US7391139B2 (en) | Spindle motor and rotation apparatus | |
US7265467B2 (en) | Fluid dynamic pressure bearing and spindle motor | |
US6672767B2 (en) | Dynamic bearing device and motor having the same | |
JP4084843B2 (ja) | 動圧軸受装置およびその製造方法 | |
US7401979B2 (en) | Dynamic pressure bearing device | |
JP2004019705A (ja) | スピンドルモータ及びこれを備えたディスク駆動装置 | |
JP2011208701A (ja) | スピンドルモータおよびディスク駆動装置 | |
JP2007024267A (ja) | 流体軸受装置およびこれを備えたモータ | |
JP2007092799A (ja) | 流体軸受装置 | |
US20070183698A1 (en) | Fluid dynamic bearing, spindle motor, disk drive, and manufacturing method of fluid dynamic bearing | |
US20100166346A1 (en) | Dynamic bearing device | |
JP2007107641A (ja) | スピンドルモータおよび回転装置 | |
JP2005291452A (ja) | 流体軸受装置 | |
JP2006353058A (ja) | スピンドルモータおよび該スピンドルモータを搭載した記録ディスク駆動装置 | |
JP2005337490A (ja) | 動圧軸受装置 | |
JP3760128B2 (ja) | スピンドルモータ及びこのスピンドルモータを用いたディスク駆動装置 | |
JP3984449B2 (ja) | 流体動圧軸受及びこれを用いたスピンドルモータ並びにこのスピンドルモータを用いたディスク駆動装置 | |
JP2007060731A (ja) | スピンドルモータおよび回転装置 | |
JP3828464B2 (ja) | スピンドルモータ及びこれを備えたディスク駆動装置 | |
JP2000245104A (ja) | 動圧軸受モータ | |
JP2007092783A (ja) | 動圧流体軸受の製造方法、動圧流体軸受およびスピンドルモータ | |
JP4005825B2 (ja) | 動圧軸受、スピンドルモータ及び記録ディスク駆動装置 | |
JP5064083B2 (ja) | 流体軸受装置の製造方法 | |
US8958174B1 (en) | Spindle motor and disk drive apparatus |