JP4738835B2 - 動圧型軸受装置 - Google Patents

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本発明は、動圧型軸受装置に関する。この軸受装置は、情報機器、例えばHDD、FDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、DVD−ROM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置などのスピンドルモータ、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、あるいは電気機器、例えば軸流ファンなどの小型モータ用として好適である。
上記各種モータには、高回転精度の他、高速化、低コスト化、低騒音化などが求められている。これらの要求性能を決定づける構成要素の一つに当該モータのスピンドルを支持する軸受があり、近年では、この種の軸受として、上記要求性能に優れた特性を有する動圧型軸受の使用が検討され、あるいは実際に使用されている。
例えば、HDD等のディスク装置のスピンドルモータに組込まれる動圧型軸受装置では、軸部材をラジアル方向に回転自在に非接触支持するラジアル軸受部と、軸部材をスラスト方向に回転自在に非接触支持するスラスト軸受部とが設けられ、これら軸受部として、軸受面に動圧発生用の溝(動圧溝)を有する動圧型軸受が用いられる。ラジアル軸受部の動圧溝は、ハウジングや軸受部材の内周面又は軸部材の外周面に形成され、スラスト軸受部の動圧溝は、フランジ部を備えた軸部材を用いる場合、そのフランジ部の両端面、又は、これに対向する面(軸受部材の端面やハウジングの底面等)にそれぞれ形成される。
軸部材および軸受部をハウジングの内部に収容し、ハウジングの内部空間に潤滑剤を充満する動圧型軸受装置では、例えばハウジングの開口部にシール部材を装着したり、潤滑剤の流出経路に溌油剤を塗布する等して、ハウジング内部から外部への潤滑剤の漏れ出しを防止している。しかしながら、この種の軸受装置が使用される機器分野での著しい高速化の傾向から、軸受装置に対してより高い高速回転性能が求められており、この要求への対応策の一つとして、潤滑剤の外部への漏れ出しを一層効果的に防止し得るシール手段が必要になってきた。
本発明の課題は、ハウジング内部に充満された潤滑剤の外部への漏れ出しを一層効果的に防止することである。
本発明の他の課題は、より高速回転性能に優れた動圧型軸受装置を提供することである。
本発明の更なる課題は、より低コストな動圧型軸受装置を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明は、一端に開口部を有するハウジングと、ハウジングに収容された軸部材と、ラジアル軸受隙間に生じる潤滑剤の動圧作用で軸部材をラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受部と、ハウジングの開口部に配置されたシール部材とを備えた動圧型軸受装置であって、シール部材の内周面とこれに対向する軸部材の外周面との間にシール空間を有し、このシール空間に面する、シール部材の内周面及び軸部材の外周面はそれぞれ軸線に対して反対側に傾斜したテーパ面であり、このシール空間はハウジングの外部方向に向かって漸次拡大するテーパ形状をなし、ハウジングの内部空間は潤滑剤で充満されており、この潤滑剤の油面がシール空間内にある構成を提供する。
上記シール空間内に潤滑剤の油面があることにより、シール空間内の潤滑剤はシール空間が狭くなる方向(ハウジングの内部方向)に向けて毛細管力によって引き込まれる。そのため、ハウジング内部から外部への潤滑剤の漏れ出しが効果的に防止される。また、軸部材の外周面にテーパ面を設けたことにより、軸部材の回転時、シール空間内の潤滑剤が遠心力を受け、テーパ面に沿ってシール空間が狭くなる方向(ハウジングの内部方向)に向けて引き込まれる(いわゆる遠心力シール)。従って、上記の毛細管力による引き込み作用に加え、遠心力による引き込み作用もあるので、潤滑剤の漏れ出し防止効果が一層高くなる。さらに、シール部材の内周面及び軸部材の外周面の双方に設けたテーパ面によってシール空間を構成したので、シール空間の軸方向寸法を同じとした場合、シール空間の容積を増大させることができ、また、シール空間の容積を同じとした場合、シール空間の軸方向寸法を縮小することができる。
上記テーパ面のテーパ角θは3°≦θ≦25°の範囲に設定することが好ましい。テーパ面のテーパ角θが3°未満であると、毛細管力によるシール効果が十分に得られない。例えば、軸受装置を横向き姿勢(軸部材を水平状態)にした場合、重力の作用により、鉛直下方側の潤滑剤がシール空間から押し出されて外部に漏れる心配がある。一方、テーパ面のテーパ角θが25°を超えると、潤滑剤の油面の位置での空間隙間が大きくなりすぎ、衝撃等が加わった場合、潤滑剤が外部に飛散する可能性がある。
上記ラジアル軸受部は、ハウジングの内周面に直接形成することもできるが、焼結金属からなる多孔質の軸受部材に設けるのが好ましい。軸受部材の内部の気孔内に潤滑剤を含浸させることにより、ハウジング内部における潤滑剤の補油量を多くすることができ、また、軸受部材の内部と外部との間で潤滑剤の循環が行われるので、潤滑剤の経時劣化が少なく、高速回転で使用された場合でも、優れた軸受機能が長期にわたって維持される。また、多孔質の軸受部材を用いることにより、製造コストの低減を図ることができる。例えば、本出願人による特開平10−306827号(特願平10−47973号)に記載された製造方法を用いて、多孔質の軸受部材素材の内周面にラジアル軸受部を簡易に低コストで成形することができる。ちなみに、特開平10−306827号に記載された製造方法は、動圧溝の形状に対応した成形部を有する成形型を多孔質素材の内周面に挿入し、多孔質素材に圧迫力を加え、多孔質素材の内周面を成形型に加圧することにより、多孔質素材の内周面に動圧溝を成形するものである。動圧溝の成形後、上記圧迫力を解除することによる多孔質素材のスプリングバックを利用して、成形型を多孔質素材の内周面から離型することができる。
上記ラジアル軸受部の動圧溝形状は特に限定されないが、例えばヘリングボーン形状にすることができ、その場合、動圧溝を軸方向に非対称形状とし、かつ、軸方向長さが長い溝領域をハウジングの開口部側に位置させることができる。動圧溝を軸方向に非対称形状とすることにより、ラジアル軸受部の軸方向両側部で潤滑剤の引き込み力に違いが生じる。すなわち、軸方向長さが長い溝領域は潤滑剤の引き込み力が大きく、軸方向長さが短い溝領域は潤滑剤の引き込み力が小さくなる。従って、軸方向長さが長い溝領域をハウジングの開口部側に位置させ、軸方向長さが短い溝領域をハウジングの内部側に位置させると、両溝領域の引き込み力の差圧によって、潤滑剤をハウジング内部方向に引き込む作用が生じる。これにより、潤滑剤の漏れ出し防止効果がより一層高まる。
上記構成において、ラジアル軸受部を軸方向に間隔をあけて複数配設する場合、ラジアル軸受部間の間隔部に対向する軸部材の外周面にぬすみ溝を設けることができる。これにより、上記間隔部と軸部材の外周面との間の隙間をラジアル軸受隙間よりも大きくして、軸受トルクの低減を図ることができる。一般的には、上記間隔部をラジアル軸受部よりも大径に形成して同様の効果を得ているが、軸部材の外周面にぬすみ溝を設けることにより、ハウジング又は軸受部材の形状を簡素化できるという利点がある。特に、ラジアル軸受部間の間隔部を、ラジアル軸受部の動圧溝の溝底と段差がない状態で連続させることにより、ラジアル軸受から上記間隔部へ、また、上記間隔部からラジアル軸受部への潤滑剤の循環が円滑に行われるので、潤滑剤の経時劣化が生じにくくなる。
本発明は、以下に示す効果を奏する。
(1)テーパ形状のシール空間内に潤滑剤の油面があることにより、シール空間内の潤滑剤はシール空間が狭くなる方向(ハウジングの内部方向)に向けて毛細管力によって引き込まれる。そのため、ハウジング内部から外部への潤滑剤の漏れ出しが効果的に防止される。また、シール部材の内周面及び軸部材の外周面の双方に設けたテーパ面によってシール空間を構成したので、シール空間の軸方向寸法を同じとした場合、シール空間の容積を増大させることができ、また、シール空間の容積を同じとした場合、シール空間の軸方向寸法を縮小することができる。
(2)シール空間に面するテーパ面のテーパ角θを3°≦θ≦25°とすることにより、十分なシール効果を得ることができる。
(3)ラジアル軸受部を焼結金属からなる多孔質の軸受部材に設けることにより、軸受部材の内部の気孔にも潤滑剤を含浸させることができるので、ハウジング内部における潤滑剤の補油量が多くなり、また、軸受部材の内部と外部との間で潤滑剤の循環も行なわれる。そのため、ハウジング内部の潤滑剤の経時劣化が少なく、高速回転で使用された場合でも、優れた軸受機能が長期にわたって維持される。また、多孔質の軸受部材を用いることにより、簡易かつ低コストでラジアル軸受部を成形することが可能である。
(4)ラジアル軸受部の動圧溝をヘリングボーン形状にすると共に、軸方向に非対称形状とし、かつ、軸方向長さが長い溝領域をハウジングの開口部側に位置させることにより、潤滑剤の漏れ出し防止効果をより一層高めることができる。
(5)ラジアル軸受部を軸方向に間隔をあけて複数配設する場合、軸部材の外周面にぬすみ溝を設けることにより、ハウジング又は軸受部材の形状を簡素化して、製造コストの低減を図ることができる。
(6)ラジアル軸受部間の間隔部を、ラジアル軸受部の動圧溝の溝底と段差がない状態で連続させることにより、ラジアル軸受から上記間隔部へ、また、上記間隔部からラジアル軸受部への潤滑剤の循環が円滑に行われる。そのため、ハウジング内部の潤滑剤の経時劣化が少なく、高速回転で使用された場合でも、優れた軸受機能が長期にわたって維持される。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、この実施形態に係る動圧型軸受装置1を組み込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を示している。このスピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、軸部材2を回転自在に非接触支持する動圧型軸受装置1と、軸部材2に装着されたディスクハブ3と、半径方向のギャップを介して対向させたモータステータ4およびモータロータ5とを備えている。ステータ4はケーシング6の外周に取付けられ、ロータ5はディスクハブ3の内周に取付けられる。動圧型軸受装置1のハウジング7は、ケーシング6の内周に装着される。ディスクハブ3には、磁気ディスク等のディスクDが一又は複数枚保持される。ステータ4に通電すると、ステータ4とロータ5との間の励磁力でロータ5が回転し、それによって、ディスクハブ3および軸部材2が一体となって回転する。
図2は、動圧型軸受装置1を示している。動圧型軸受装置1は、一端に開口部7aを有する有底円筒状のハウジング7と、ハウジング7の内周面に固定された円筒状の軸受部材8と、軸部材2と、ハウジング7の開口部7aに固定されたシール部材10とを主要な構成要素とする。
ハウジング7は、例えば真ちゅう等の軟質金属材で形成され、円筒状の側部7bと底部7cとを備えている。底部7cの内底面7c1の、スラスト軸受面となる領域には、例えば図4に示すスパイラル形状の動圧溝7c2が形成されている。尚、この実施形態において、ハウジング7は、側部7bと底部7cとを別体構造とし、底部7cとなる蓋状部材を底部7bの他端開口部に加締め、接着等の手段で固定しているが、側部7bと底部7cとを一体構造としても良い。
軸部材2は、例えば、ステンレス鋼(SUS420J2)等の金属材で形成され、軸部2aと、軸部2aの下端に一体又は別体に設けられたフランジ部2bとを備えている。軸部2aの外周面には、ぬすみ溝2a1と、テーパ面2a2とが設けられている。テーパ面2a2は、同図で上方に向かって漸次縮径する方向のテーパ角θをもっている。また、テーパ面2a2から上方に連続して、円筒面2a3が設けられている。
軸受部材8は、例えば多孔質材、特に銅を主成分とする燒結金属で形成され、その内部の気孔に潤滑油又は潤滑グリースが含浸されて含油軸受とされる。軸受部材8の内周面8aには、上下2つのラジアル軸受面R1、R2が設けられ、ラジアル軸受面R1とR2は間隔部R3を挟んで軸方向に離隔している。
図3に示すように、ラジアル軸受面R1はヘリングボーン形状の動圧溝を備え、例えば軸方向の一方に傾斜した複数の動圧溝8a1が円周方向に配列された第1領域m1と、軸方向の他方に傾斜した複数の動圧溝8a2が円周方向に配列された第2領域m2と、第1領域m1と第2領域m2との間の環状部nとで構成される。第1領域m1の軸方向長さは第2領域m2よりも大きく、第1領域m1の動圧溝8a1と第2領域m2の動圧溝8a2とは、環状部nに対して軸方向非対称形状になっている。また、軸方向長さの長い第1領域m1が、同図で上側(ハウジング7の開口部7a側)に位置し、軸方向長さの短い第2領域m2が同図で下側(ハウジング7の底部7c側)に位置している。ラジアル軸受面R2も、同様に、ヘリングボーン形状の動圧溝を備え、軸方向の一方に傾斜した複数の動圧溝8a3が円周方向に配列された第1領域m1’と、軸方向の他方に傾斜した複数の動圧溝8a4が円周方向に配列された第2領域m2’と、第1領域m1’と第2領域m2’と間の環状部n’とで構成される。第1領域m1’の軸方向長さは第2領域m2’よりも大きく、第1領域m1’の動圧溝8a3と第2領域m2’の動圧溝8a4とは、環状部n’に対して軸方向非対称形状になっている。また、軸方向長さが長い第1領域m1’が、同図で上側(ハウジング7の開口部7a側)に位置し、軸方向長さの短い第2領域m2’が同図で下側(ハウジング7の底部7c側)に位置している。
間隔部R3は軸部2aのぬすみ溝2a1と対向し、両者の間の隙間はラジアル軸受隙間よりも大きくなる。また、間隔部R3は、ラジアル軸受面R1の動圧溝8a2の溝底およびラジアル軸受面R2の動圧溝8a3の溝底と段差がない状態で連続している。
軸受部材8の上側端面8bには、上下方向を識別するマークとしての円周溝8b1が形成されている。また、軸受部材8の下側端面8cにはスパイラル形状の動圧溝8c1が形成されている。
軸受部材8のラジアル軸受面R1、R2および間隔部R3は、例えば本出願人による特開平10−306827号(特願平10−47973号)に記載された製造方法を用いて簡易に低コストで成形することができる。例えば、円筒状の軸受部材素材に対して、ラジアル軸受面R1、R2および間隔部R3の形状に対応した成形部を有する成形型(コアロッド)を用いて、ラジアル軸受面R1、R2および間隔部R3を同時成形することができる。また、成形後、軸受部材素材のスプリングバックを利用して、成形型(コアロッド)を離型することができる。
図1に示すように、シール部材10は環状のもので、ハウジング7の開口部7aの内周面に圧入、接着等の手段で固定される。この実施形態において、シール部材10の内周面10aは円筒状に形成され、シール部材10の下側端面10bは軸受部材8の上側端面8bと当接している。
軸部材2の軸部2aは軸受部材8の内周面8aに挿入され、フランジ部2bは軸受部材8の下側端面8cとハウジング7の内底面7c1との間の空間部に収容される。軸受部材8のラジアル軸受面R1、R2は、それぞれ、軸部2aの外周面とラジアル軸受隙間を介して対向する。また、軸受部材8の下側端面8cはフランジ部2bの上側端面とスラスト軸受隙間を介して対向し、ハウジング7の内底面7c1(動圧溝7c2が形成されている領域)はフランジ部2bの下側端面とスラスト軸受隙間を介して対向する。軸部2aのぬすみ部2a1と軸受部材8の間隔部R3との間には、ラジアル軸受隙間よりも大きな隙間が設けられる。
軸部2aのテーパ面2a2はシール部材10の内周面10aと所定の隙間を介して対向し、これにより、両者の間に、ハウジング7の外部方向(同図で上方向)に向かって漸次拡大するテーパ形状のシール空間Sが形成される。シール部材10で密封されたハウジング7の内部空間(軸受部材8の内部の気孔も含む。)には潤滑剤(潤滑油)が充満され、その潤滑剤の油面はシール空間S内にある。シール空間Sの容積は、ハウジング7の内部空間に充満された潤滑剤の、使用温度範囲内の温度変化に伴う容積変化量よりも大きくなるように設定される。これにより、温度変化に伴う潤滑剤の容積変化があった場合でも、潤滑剤の油面を、常に、シール空間S内に維持することができる。
軸部材2が回転すると、上記ラジアル軸受隙間に潤滑剤の動圧が発生し、軸部材2の軸部2aが上記ラジアル軸受隙間内に形成される潤滑剤の油膜によってラジアル方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2をラジアル方向に回転自在に非接触支持するラジアル軸受部が構成される。同時に、上記スラスト軸受隙間に潤滑剤の動圧が発生し、軸部材2のフランジ部2bが上記スラスト軸受隙間内に形成される潤滑油の油膜によって両スラスト方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2をスラスト方向に回転自在に非接触支持するスラスト軸受部が構成される。
また、シール空間S内に潤滑剤の油面があることにより、シール空間S内の潤滑剤が、毛細管力によってシール空間Sが狭くなる方向(ハウジング7の内部方向:下方向)に向けて引き込まれる。そのため、ハウジング7の内部から外部への潤滑剤の漏れ出しが効果的に防止される。さらに、軸部2aの外周面にテーパ面2a2を設けていることにより、軸部材2の回転時、シール空間S内の潤滑剤が遠心力を受けて、テーパ面2a2に沿ってシール空間Sが狭くなる方向(ハウジング7の内部方向:下方向)に向けて引き込まれる。従って、上記の毛細管力による引き込み作用に加え、遠心力による引き込み作用もあるので、潤滑剤の漏れ出し防止効果が一層高くなる。
ここで、軸部2aのテーパ面2a2のテーパ角θは、上述した理由により、3°≦θ≦25°の範囲に設定することが好ましい。
さらに、この実施形態では、ラジアル軸受面R1、R2の動圧溝(8a1と8a2、8a3と8a4)を軸方向に非対称形状とし、かつ、軸方向長さが長い溝領域(m1、m1’)をハウジング7の開口部7a側(上側)に位置させているので、次のような効果も得られる。すなわち、特にハウジング7の開口部7a側(上側)のラジアル軸受面R1において、軸方向長さが長い溝領域m1をハウジング7の開口部7a側(上側)に位置させることにより、潤滑剤の引き込み力の差圧によって(軸方向長さが長い溝領域m1は潤滑剤の引き込み力が大きく、軸方向長さが短い溝領域m2は潤滑剤の引き込み力が小さくなる。)、シール空間S内の潤滑剤をハウジング7の内部方向(下方)に向けて引き込む作用が得られる。これにより、潤滑剤の漏れ出し防止効果がより一層高くなる。
また、軸受部材8の下側端面8cおよびハウジング7の内底面7c1に設けられているスパイラル形状の動圧溝8c1、7c2により、潤滑剤が内径方向に向けて引き込まれて上方に向いた圧力が発生するが、この上方への圧力は、ラジアル軸受面R1における上記の下向きの差圧、および、ラジアル軸受面R2における同様の下向きの差圧によってバランスされる。
尚、シール空間Sに隣接する軸部2aの外周面およびシール部材10の表面のうち少なくとも一方に溌油剤を塗布することによって、潤滑剤の漏れ出し防止効果を一層高めることができる。図2(b)に拡大して示す例では、軸部2aのテーパ面2a2の上側に位置する円筒面2a3の一部領域、および、シール部材10の上側端面10cの内径側領域(同図に破線で示す領域)に溌油剤fを塗布している。
また、テーパ状のシール空間を形成するテーパ面は、シール部材10の内周面に設けても良い。あるいは、シール部材10の内周面と軸部2aの外周面の双方に設けても良い。
本発明の実施形態に係る動圧型軸受装置を有するスピンドルモータの断面図である。 本発明の実施形態に係る動圧型軸受装置を示す断面図である。 軸受部材の断面図{図3(a)}、下側端面を示す図{図3(b)}である。 ハウジングの内底面を示す図である。
符号の説明
1 動圧型軸受装置
2 軸部材
2a 軸部
2a2 テーパ面
2b フランジ部
7 ハウジング
8 軸受部材
R1 ラジアル軸受部
R2 ラジアル軸受部
R3 間隔部
8a1 動圧溝
8a2 動圧溝
8a3 動圧溝
8a4 動圧溝
10 シール部材
10a 内周面
S シール空間

Claims (6)

  1. 一端に開口部を有するハウジングと、該ハウジングに収容された軸部材と、ラジアル軸受隙間に生じる潤滑剤の動圧作用で前記軸部材をラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受部と、前記ハウジングの開口部に配置されたシール部材とを備えた動圧型軸受装置であって、
    前記シール部材の内周面とこれに対向する前記軸部材の外周面との間にシール空間を有し、該シール空間に面する、前記シール部材の内周面及び軸部材の外周面はそれぞれ軸線に対して反対側に傾斜したテーパ面であり、該シール空間は前記ハウジングの外部方向に向かって漸次拡大するテーパ形状をなし、前記ハウジングの内部空間は潤滑剤で充満されており、該潤滑剤の油面が前記シール空間内にあることを特徴とする動圧型軸受装置。
  2. 前記テーパ面のテーパ角θが3°≦θ≦25°であることを特徴とする請求項1記載の動圧型軸受装置。
  3. 前記ラジアル軸受部が、焼結金属からなる多孔質の軸受部材に設けられていることを特徴とする請求項1記載の動圧型軸受装置。
  4. 前記ラジアル軸受部はヘリングボーン形状の動圧溝を有し、該動圧溝は軸方向に非対称形状であり、軸方向長さが長い溝領域が前記ハウジングの開口部側に位置することを特徴とする請求項1記載の動圧型軸受装置。
  5. 前記ラジアル軸受部が軸方向に間隔をあけて複数配設されており、前記ラジアル軸受部間の間隔部に対向する軸部材の外周面にぬすみ溝が設けられていることを特徴とする請求項1記載の動圧型軸受装置。
  6. 前記ラジアル軸受部間の間隔部は、前記ラジアル軸受部の動圧溝の溝底と段差がない状態で連続していることを特徴とする請求項5記載の動圧型軸受装置。
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