JP3773721B2 - 動圧型軸受 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸受すきまに生じた動圧で回転部材を非接触状態で支持する動圧型軸受、当該動圧型軸受を用いた動圧型軸受ユニット、並びに当該動圧型軸受ユニットを装備した情報機器用ドライブユニットに関する。ここでいう、情報機器用ドライブユニットには、CD・DVDなどの光ディスク装置、MD・MOなどの光磁気ディスク装置、FDD・HDDなどの磁気ディスク装置に使用されるディスクドライブユニットや、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナドライブユニット等が含まれる。これらの中でも、例えばCD−ROMやDVD−ROMのようにディスクの交換によって、スピンドルにアンバランス荷重が作用するような情報機器用ドライブユニットに本発明は特に有益である。
【0002】
【従来の技術】
上記情報機器類のドライブユニットには、さらなる高回転精度化、高速化、低コスト化、低騒音化などが求められているが、これらの要求性能を決定づける構成要素の一つにスピンドルを支持する軸受がある。近年では、この種の軸受として、上記要求性能に優れた特性を有する動圧型焼結含油軸受の使用が検討され、あるいは実際に使用されている。
【0003】
この動圧型焼結含油軸受としては、含油焼結金属からなる円筒状の軸受本体の内周面に、動圧発生用としてへリングボーン型やスパイラル型などの動圧溝を形成したものと(動圧溝タイプ)、動圧溝を設けることなく内周面を真円としたものとが知られている(真円タイプ)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
真円タイプでは、回転数が増大すると、その遠心力が大きくなるために、油膜形成が円滑に行われず、境界潤滑状態(軸部材と軸受本体との接触が見られる状態)となって、回転トルクの上昇、摩耗の発生、耐久性の低下などを生じることが考えられる。
【0005】
これに対し、動圧溝タイプでは、回転数が増大しても油膜形成能力が大きいため、流体潤滑状態(軸部材と軸受本体が非接触となる状態)を維持することができ、従って、回転トルクが小さく、摩耗の発生が少なく、耐久性が良好であるという特徴を有する。
【0006】
しかしながら、動圧溝タイプでは、軸受本体のハウジングへの固定方法が問題となる。すなわち、固定方法としては、例えば接着が考えられるが、軸受本体の表面が油で濡れているため、油の濡れ方にばらつきが避けられず、これは接着力のバラツキとして現れる。表面の油を例えば遠心分離機などで吹き飛ばすことも考えられるが、工程が増えるためにコストアップを招き、その作業条件の設定も難しく、また、一度に大量に処理する際には塗れ具合のバラツキを揃えるのが難しくなる。さらに、当然のことながら接着設備が新たに必要となる。上記情報機器用途では、軸受本体の内径寸法はφ2〜φ4ぐらいが主流であり、極めて小さい。この種の小型軸受本体を正確に接着しようとすれば、接着設備にも特殊なものが必要となり、コストアップを招く。さらに接着後は、しばらくそのままで保持しなければならないので、サイクルタイムが悪く、量産性に劣る。
【0007】
また、他の固定方法として、圧入も考えられる。これは、例えば図6に示すように軸受本体51に圧入ピン52(矯正ピン)を挿入すると共に、軸受本体51の一端面を圧入治具53で加圧することにより行うことができるが、動圧溝タイプでは軸受の内外径の同軸度の狂い(偏り、偏肉)等の影響により、圧入時の矯正で動圧溝の一部がつぶれ、所定の溝形状や溝深さが得られないおそれがある。圧入ピンを使用せずに圧入すればこの不具合は回避できるが、その場合には、圧入後の精度がハウジング54の内周面と軸受本体51の外周面との接合面の精度にならうため、この部分の単体精度を必要とされる組立精度よりも高めなければならず、量産が難しくなるなどコストアップの要因となる。
【0008】
そこで、本発明は高い回転精度および耐久性を具備し、簡単な設備で精度よくかつ低コストに製造することのできる動圧型軸受、動圧型軸受ユニット、およびこれらを有する情報機器用ドライブユニットの提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明にかかる動圧型軸受は、9000rpm以上で駆動する情報機器用ドライブユニットに用いられるものであって、支持すべき軸部材の外周面と軸受すきまを介して対向する複数の軸受面を軸方向に離隔して備え、軸部材との相対回転時に軸受すきまに生じた動圧で軸部材を非接触状態で支持し、複数の軸受面のうちの何れかを動圧溝を有する溝付き軸受面とし、他の軸受面を動圧溝を有しない真円軸受面とし、軸部材のラジアル荷重負荷側に溝付き軸受面を配した。
【0010】
動圧溝を有する溝付き軸受面は、高速回転下での油膜形成能力が優れており、良好な流体潤滑状態を維持すると共に、ラジアル荷重に対して高い油膜力(油膜剛性)を有する。従って、高速回転下でも高い回転精度が得られ、軸振れやホワール等の発生を確実に防止することができる。また、真円軸受面を有するので、軸受外周面のうち、溝付き軸受面の外周領域以外の領域で、かつ真円軸受面の外周領域を含む領域をハウジング内に圧入することができ、簡易な手段を用いて能率よく動圧型軸受をハウジングに固定することができる。この場合、溝付き軸受面の外周領域と、これに対向するハウジング内周面との間の締め代を小さく、あるいは両者間にすきまをあけておくことにより、動圧溝のつぶれや変形を防止することができ、高精度の動圧溝が成形可能となる。
【0011】
上記動圧型軸受は、油を保有した焼結金属(含油焼結金属)で形成される。含油焼結金属は、例えば焼結金属素材に潤滑油や潤滑グリースを含浸させて得られる。この含油焼結金属を使用することにより、溝付き軸受面では、軸部材の回転に伴い、軸受本体に含浸された油が軸受すきまに滲み出し、さらに動圧溝によって軸受すきまの軸方向中央に向けて引き込まれる。その油の引き込み作用(動圧作用)によって軸受すきまに介在する油膜の圧力が高められ、潤滑油膜が形成される結果、軸受のラジアル剛性を高め、ホワール等の不安定振動を有効に防止することができる。軸受すきまに滲み出した油は、軸部材の回転に伴う発生圧力により、主に溝付き軸受面の表面開孔(多孔質体組織の細孔が外表面に開口した部分)から軸受本体の内部に戻り、軸受本体の内部を循環して再び軸受すきまに滲み出す。一方、真円軸受面では、上記油の引き込み作用は生じないので、その油膜剛性は一般に溝付き軸受面のそれよりも低くなる。従って、軸部材のラジアル荷重負荷側に、より高い油膜剛性を有する溝付き軸受面を配するのが望ましい。
【0012】
一般に溝付き軸受面の軸方向長さが長いほど油膜剛性が高まる。従って、軸受全体のラジアル剛性を高めるには、溝付き軸受面の軸方向長さをできるだけ長くするのがよい。一方、ラジアル荷重負荷側と反対側に位置する真円軸受面にはそれほどのラジアル荷重が作用しない。従って、真円軸受面の軸方向長を溝付き軸受面の軸方向長さよりも短くしても軸受全体のラジアル剛性が大幅に低下することはない。一方、真円軸受面の軸方向幅を短くすることにより、軸受を低トルク化したり、その薄肉化(軸方向長さの縮小)を図ることが可能となる。
【0013】
溝付き軸受面における背の部分を、真円軸受面と同等もしくはこれよりも小さい内径寸法にすれば、軸部材の振れ回りを抑制してその回転精度を高めることができる。
【0014】
上記動圧型軸受をハウジング内に収容することにより、動圧型軸受ユニットが構成される。この場合、動圧型軸受の外周面のうち、溝付き軸受面の外周領域以外の領域をハウジングの内周に圧入すれば、上述したように圧入に伴って溝付き軸受面に加圧力が作用することはなく、その変形・つぶれ等が防止される。圧入で固定するため、接着に比べて工程を簡略化でき、サイクルタイムも短く、均一品質で大量生産することができる。また、現状の圧入設備を活用することもでき、新たな設備投資を抑制することができる。
【0015】
上記動圧型軸受ユニットは、情報機器用ドライブユニットに組込むことができる。情報機器用ドライブユニットとしては、例えば情報記録媒体としてのディスクを駆動する情報機器用ディスクドライブユニットが挙げられる。
【0016】
ディスクが交換可能である場合、すなわちユーザーが複数種類のディスクの中から特定のディスクを選択してセットする場合、個々のディスクには精度のバラツキがあるため、起動時にはこれがアンバランス荷重となって作用し、軸部材の振れ(ディスクの面振れ)を生じる場合がある。上記動圧型軸受は、高いラジアル剛性を有し、軸振れ等の発生を確実に抑制することができるので、ディスク交換型の情報機器用ドライブユニットにおいても高い回転精度を確保することができる。この場合、ラジアル荷重の負荷側となるディスク側に溝付き軸受面を配しておけば、アンバランス荷重に起因する軸振れの防止により有効となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図1乃至図5に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本発明にかかる動圧型軸受ユニット1を備える情報機器用ドライブユニットの断面図で、一例として光ディスク装置に装備されるディスクドライブユニットを示す。このディスクドライブユニットは、軸部材2と、軸部材2を回転自在に支持する軸受ユニット1と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたモータステータ3およびモータロータ4からなるモータ部Mとを主体として構成される。ステータ3は、軸受ユニット1のハウジング10の外周部に取付けられ、このステータ3に通電することによってロータ4との間の励磁力が生じ、ロータ4が回転する。ロータ4の回転に伴い、軸部材2の上端に取付けたターンテーブル5がロータケース6を介して回転し、ターンテーブル5上のディスク7、さらには軸部材2が回転する。ディスク7は交換可能であり、ユーザーは複数種類のディスクの中から特定のディスクを選択してターンテーブル5上にセットする。
【0019】
軸受ユニット1は、図2に示すように、有底円筒状のハウジング10と、ハウジング10の内周に固定された円筒状の軸受本体20とで構成される。
【0020】
ハウジング10は、一端を密閉した有底筒状で、例えば図1に示すように円筒状の内周面を有する筒状体11と、その一端開口部に圧入等で固定された閉塞部材12とで構成される。筒状体11のハウジング開放側(図面上方)端部はシール装置13で密封される。閉塞部材12の軸部材2との対向部分には、樹脂等の低摩擦材料で形成された板状のスラスト受け14が装着され、このスラスト受け14に軸部材2の球面状の軸端を接触させて、軸部材2をスラスト方向でピボット支持するスラスト軸受部32が構成される。なお、スラスト軸受部32の構造は任意であり、動圧型軸受で構成することもできる。また、以上の説明では、ハウジング10の底部を別部材(閉塞部材12)で密閉した場合を例示しているが、ハウジング10として、閉塞部材12を筒状体11と一体に形成したいわゆる袋型ハウジングを使用することもできる。
【0021】
軸受本体20は、銅や真鍮などの軟質金属、あるいは焼結金属によって形成され、本実施形態では、一例として焼結金属で形成した場合を例示している。焼結金属からなる軸受本体20は、銅系あるいは鉄系、またはその双方を主成分とする焼結金属で形成され、例えば銅を20〜95重量%使用して、密度6.8g/cm3 以上、望ましくは7.0g/cm3 以上に形成される。軸受本体20の外周には、一または複数(図面では一つ)の溝22が軸方向に沿って形成されており、この溝22は図1に示すように軸受本体20をハウジング10に組込んだ際に軸受本体20およびハウジング底部(閉塞部材12)で囲まれる空間と外部との空気の出入りを確保する通気路として機能する。
【0022】
図2に示すように、軸受本体20の内周面には、複数のラジアル軸受面21a、21bが形成される。本実施形態のラジアル軸受面21a、21bは、軸受本体20の内周面の軸方向に離隔した二個所に設けられ、このうちのハウジング開口側(図面上方)の軸受面21aは複数の動圧溝21a1を有する溝付き軸受面、ハウジング密閉側の軸受面21bは、動圧溝を有しない断面真円形の真円軸受面とされる。
【0023】
溝付き軸受面21aの動圧溝形状は、各動圧溝21a1が軸方向に対して傾斜している限り任意に選択することができ、公知のへリングボーン型やスパイラル型等が使用可能である。図2はへリングボーン型を例示しており、この溝付き軸受面21aは、一方に傾斜する動圧溝21a1が配列された第一の溝領域m1と、第一の溝領域m1から軸方向に離隔し、他方に傾斜する動圧溝が配列された第二の溝領域m2と、2つの溝領域間m1、m2間に位置する環状の平滑部nとをそれぞれ備え、二つの溝領域m1、m2の動圧溝21a1は平滑部nで区画されて非連続になっている。平滑部nと動圧溝21a1間の背の部分21a2とは同一レベルにある。
【0024】
溝付き軸受面21aの動圧溝21a1は、圧縮成形、すなわちコアロッドの外周面に軸受面21aの動圧溝形状に対応した凹凸形状の溝型を形成し、コアロッドの外周に焼結金属を供給して焼結金属を圧迫し、焼結金属の内周部に溝型形状に対応した動圧溝21a1を転写することによって、低コストにかつ高精度に成形することができる。この溝付き軸受面21aの成形と同時に真円軸受面21bをコアロッド外周面に押しつけることにより、真円軸受面21bを所定径にサイジングすることができる。もちろん両軸受面21a、21bをそれぞれ別工程で個別に成形してもよい。
【0025】
こうして得られた軸受本体20に潤滑剤、例えば潤滑油や潤滑グリースを含浸して油を保有させることにより、動圧型焼結含油軸受が構成される。この軸受は、ハウジング10の内周面に圧入して固定される。この時、図2に示すように、軸受本体20の外周面のうち、溝付き軸受面21aの外周領域とこれに対向するハウジング10の内周面との間に環状のすきま33を設けておけば、圧入力に伴う溝付き軸受面21aの変形を防止することができる。図2ではハウジング10の内周面を肉取りしてすきま33を形成する場合を例示しているが、軸受本体20の外周面を肉取りしてすきま33を形成してもよく、あるいは両者を小さい締め代で嵌合させても同様の効果が得られる。また、図2では、軸受本体20の外周面のうち、真円軸受面21bの外周領域とこれに対向するハウジング10内周面との間にもすきま34を設けているが、このすきま34は必ずしも必要ではなく、真円軸受面21bの外周領域を他の外周面と同径に形成してハウジング10内周面に圧入してもよい。この場合、従来と同様に軸受本体20の内周に矯正ピン52(図6参照)を挿入しておけば、圧入と同時に真円軸受面21bをサイジングすることができる。
【0026】
ハウジング10の開口側には軸部材2が突出しているが、この軸部材2の突出部分にディスク7が装着されるため、当該突出部分には、軸部材2の回転時にディスクのアンバランス荷重に起因してラジアル荷重が負荷される。本発明では、ハウジング開口側、つまり軸部材2のラジアル荷重負荷側に動圧溝21a1を有する溝付き軸受面21aを配置しているが、上記のように溝付き軸受面21aは真円軸受面21bに比べて潤滑油膜のラジアル剛性が高い。一方、ラジアル荷重負荷側と反対側に位置する真円軸受面21bにはそれほどのラジアル荷重が作用せず、ここでの潤滑油膜のラジアル剛性が軸受ユニット1全体の剛性に与える影響は小さい。従って、ラジアル荷重の負荷側を溝付き軸受面21aとし、その反対側を真円軸受面21bとしても軸受ユニット1全体では十分なラジアル剛性を確保することができ、軸振れ等の少ない高い回転精度が得られる。
【0027】
真円軸受面21bに作用するラジアル荷重はごく小さいので、その軸方向長さは、この小さいラジアル荷重を支持できる程度であれば足りる。従って、図2に示すように真円軸受面21bの軸方向長さTを溝付き軸受面21aの長さSよりも短く(T<S)しても十分な軸受剛性が得られ、真円軸受面21bの過剰スペースを抑制して、軸受ユニット1のさらなる低トルク化や薄肉化(軸方向寸法の縮小)を図ることができる。
【0028】
また、溝付き軸受面21aの内径寸法D1を真円軸受面21bの内径寸法D2と同程度とし(D1=D2)、あるいは溝付き軸受面21aの内径寸法D1を真円軸受面21bの内径寸法D2よりも小さくしておけば(D1<D2)、軸振れをさらに低減させることができる。ここで溝付き軸受面21aの内径寸法D1は、図3に拡大して示すように背の部分21a2の内径寸法で表わされる(動圧溝21a1の溝深さや軸受すきまCの幅は誇張して描かれている)。なお、溝付き軸受面21aと真円軸受面21bとの間の領域の内周面23は、低トルク化を図るべく両軸受面21a、21bよりも大径に形成されている。
【0029】
本発明品のような溝付き軸受面21aと真円軸受面21bとの組合わせは、低トルク性の面でも優れた効果を発揮する。図4は、二つのラジアル軸受面の双方を真円軸受面21bとした比較品(A)、二つのラジアル軸受面の双方を動圧溝を有する溝付き軸受面21aとした比較品(B)、一方を溝付き軸受面21a、他方を真円軸受面21bとした本発明品(C)のそれぞれを図1に示すCD−ROM実機モータに組込み、回転数とトルクとの関係を求めた結果を示すものである。雰囲気温度は50℃、アンバランス荷重は1.0g・cmとしている。
【0030】
図4からも明らかな通り、低速領域(概ね8000rpm以下)では、両側を真円軸受面とした比較例Aがもっとも低トルクである。但し、比較例Aは8000rpmよりも高速領域では、境界潤滑を生じるために急激にトルクが増大する。一方、本発明品は高速回転領域(9000rpm以上、望ましくは10000rpm以上)では最も低トルクである。また、低速回転領域でも比較例Aよりは高トルクであるが、比較例Bよりは低トルクである。これより、本発明品は、低速回転域から高速回転域まで広い範囲で低トルクを実現することができ、特に高速回転域において顕著な低トルク性を有することが理解される。近年のディスクドライブユニットでは、12000rpm程度が目標とされているが、かかる条件下においても本発明品は安定して高い回転精度を維持することができる。
【0031】
図5は、比較例A、Bと本発明品Cのそれぞれを図1に示すCD−ROM実機モータに組込み、耐久性を計測した結果を示す。雰囲気温度は50℃、アンバランス荷重は0.3g・cm、回転数は12000rpmとしている。図中の×印は寿命を、○印は試験打ち切りを表わす。なお、図中の横軸は対数目盛をとっている。
【0032】
図5より比較例Aは、上記高速回転下では境界潤滑を生じるために短寿命であるが、本発明品Cは目標の2000時間をクリアしており、比較例Bと同様に高速回転下でも実用上十分な耐久性を有することが確認された。
【0033】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、軸振れ等の発生を抑制することができ、高回転速度でも低トルクで高精度、かつ長寿命の動圧型軸受を提供することができる。また、その製造コストも極めて安価である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる情報機器用ドライブユニットの軸方向の断面図である。
【図2】上記ドライブユニットに組込まれる動圧型軸受の軸方向の断面図である。
【図3】上記動圧型軸受の半径方向の拡大断面図である。
【図4】回転数とトルクとの関係を示す図である。
【図5】耐久性試験の結果を示す図である。
【図6】軸受本体のハウジングへの圧入工程を示す軸方向の断面図である。
【符号の説明】
1 動圧型軸受ユニット
2 軸部材
7 ディスク
10 ハウジング
20 軸受本体(動圧型軸受)
21a 溝付き軸受面
21a1 動圧溝
21a2 背の部分
21b 真円軸受面
C 軸受すきま
Claims (9)
- 9000rpm以上で駆動する情報機器用ドライブユニットに用いられる動圧型軸受であって、
支持すべき軸部材の外周面と軸受すきまを介して対向する複数の軸受面を軸方向に離隔して備え、軸部材との相対回転時に軸受すきまに生じた動圧で軸部材を非接触状態で支持し、複数の軸受面のうちの何れかを動圧溝を有する溝付き軸受面とし、他の軸受面を動圧溝を有しない真円軸受面とし、軸部材のラジアル荷重負荷側に溝付き軸受面を配したことを特徴とする動圧型軸受。 - 油を保有した焼結金属からなる請求項1記載の動圧型軸受。
- 真円軸受面の軸方向長さを、溝付き軸受面の軸方向長さよりも短くした請求項1記載の動圧型軸受。
- 溝付き軸受面における背の部分を、真円軸受面と同等もしくはこれよりも小さい内径寸法にした請求項1〜3何れか記載の動圧型軸受。
- 請求項1〜4の何れかに記載する動圧型軸受の外周のうち、溝付き軸受面の外周領域以外の領域で、かつ真円軸受面の外周領域を含む領域をハウジングの内周に圧入した動圧型軸受ユニット。
- 請求項5に記載する動圧型軸受ユニットを組込んだ情報機器用ドライブユニット。
- 情報記録媒体としてのディスクを駆動する請求項6記載の情報機器用ドライブユニット。
- ディスクが交換可能である請求項7記載の情報機器用ドライブユニット。
- ディスク側に溝付き軸受面を配した請求項7または8記載の情報機器用ドライブユニット
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