JP4024007B2 - 動圧型軸受ユニット - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高回転精度、高速安定性、高耐久性などの優れた特徴を有する動圧型軸受ユニットに関し、特に各種情報機器におけるスピンドルモータ、例えば光ディスク(CD−R/RW、DVD−ROM/RAM)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク(HDD)等に装備されるディスクドライブモータ、あるいは複写機、レーザビームプリンタ(LBP)、バーコードリーダ等に装備されるスキャナモータなどのスピンドルの支持用として好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
図11は、情報機器のスピンドルモータの一種として、光ディスク装置(DVD−ROM装置用)のディスクドライブモータを例示するものである。このモータは、軸部材100を回転自在に支持する軸受ユニットUと、軸部材100の上端に取り付けられ、駆動対象である例えば光ディスク3を支持する支持部材4(ターンテーブル)と、ステータ5およびロータ6を有するモータ部Mとで構成される。ステータ5に通電すると、ステータ5との間に生じる励磁力でロータ6が回転し、ロータ6と一体となった支持部材4および軸部材100が回転する。
【0003】
この種のスピンドルモータの軸受ユニットUとしては、高回転精度、低コスト、低騒音等に優れた特徴を備える動圧型軸受の使用が検討され、あるいは実際に使用されている。図11に示す動圧型軸受ユニットUは、円筒状の軸受部材200の内周に複数の傾斜した動圧溝を有するラジアル軸受面を軸方向の二箇所に離隔形成したもので、軸部材100の外周面と両ラジアル軸受面との間に形成された微小な運転隙間(ラジアル軸受隙間)に流体動圧を発生させて、軸部材100を非接触で回転自在に支持するものである。軸受部材200は、有底筒状をなすハウジング300の内周に固定されている(特開平11−311253号公報等参照)。
【0004】
図11の動圧型軸受ユニットは、軸部材100先端の球面部をハウジング底部のスラスト支持部400に摺接させてスラスト荷重をピボット支持している。これに対し、ラジアルおよびスラストの両方向で厳しい回転精度(NRRO)を要求され、かつ運転姿勢として横向きや逆向き等が想定される用途等では、ラジアルおよびスラスト両方向の荷重を動圧型軸受によって非接触支持する軸受ユニットが存在する。このタイプの軸受ユニットでは、図13に示すように、軸部材100の端部に円盤状のフランジ部160を設け、フランジ部160の両端面に対向してそれぞれ動圧溝を有するスラスト軸受面を配し、スラスト軸受面とフランジ部160の両端面との間のスラスト軸受隙間に流体動圧を発生させて軸部材をスラスト両方向で非接触支持するものが多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した各種動圧型軸受ユニットでは、ラジアル軸受隙間の幅は一定でなければならない。なぜなら、回転する軸部材100の剛性は、理論的には運転隙間の3乗に反比例するため、仮に二箇所のラジアル軸受隙間の幅が異なるような場合には、隙間が大きい側で軸受剛性が著しく低下し、双方の軸受剛性のバランスが崩れ、軸部材の振れ回りを起こして回転精度が悪化するからである。同様の観点から、スラスト軸受隙間の幅も一定にするのが望ましい。
【0006】
ラジアル軸受隙間やスラスト軸受隙間の隙間幅を不均一にするものとして、現状では以下の二つの要因が考えられている。
【0007】
先ず、第一の要因として軸部材100の球面部がラジアル軸受隙間に入り込むことが挙げられる。すなわち、図11に示すようにスラスト荷重をスラスト支持部でピボット支持する軸受ユニットでは、軸部材100の端部が球面状に形成されているため、図12に示すように軸端の球面部130が部分的にラジアル軸受面510の対向領域無いに入り込む場合がある。そのため、ラジアル軸受隙間Crの幅が軸端側で大きくなって、隙間幅が不均一化する。
【0008】
第二の要因として、軸部材に設けたヌスミ部がラジアル軸受隙間やスラスト軸受隙間に入り込むことが挙げられる。
【0009】
一般にスラスト荷重も動圧型軸受で支持する軸受ユニットでは、図13に示すように、軸部材100の加工時にフランジ部160と円筒状の軸部150との間の角部にヌスミ部170が設けられる。ヌスミ部170がないと、図14に示すように、旋削時にバイト600の先端R形状によって角部が円弧状となり、この円弧部分が組み立て時に軸受部材200の角部と干渉するからである。
【0010】
ヌスミ部を設けるにしても、図15に示すようにフランジ部160側にのみヌスミ部170を設けた場合には、軸部150の研削時に砥石700の先端Rの影響によって角部の軸部150側で半径方向のダレを生じる。これらの弊害を防止するため、図16に示すようにヌスミ部170は軸部150側およびフランジ部160側の双方に設ける必要がある。
【0011】
この場合、組み立て時には、図17に示すようにヌスミ部170が軸受部材200の面取り部210と向き合うが、面取り部210の端縁から直ぐにラジアル軸受面510やスラスト軸受面430が始まっている場合には、ヌスミ部170が部分的に両軸受面510,430に対向し、この結果、ラジアル軸受隙間Crやスラスト軸受隙間Ctの隙間幅が不均一になる。
【0012】
以上の問題点に鑑み、本発明は、ラジアル軸受隙間やスラスト軸受隙間の隙間幅の不均一に起因した軸受剛性の低下を回避し、軸受ユニットの回転精度を向上させることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的の達成のため、本発明は、軸部材と、軸部材の外周に配置され、かつ内周に、軸部材の外周面に面する複数の動圧溝が形成されたラジアル軸受面を有する軸受部材と、ラジアル軸受面と軸部材の外周面との間に形成されたラジアル軸受隙間と、軸部材の端部を接触支持するスラスト支持部とを備え、ラジアル軸受隙間に生じた流体動圧で軸部材をラジアル方向で支持する動圧型軸受ユニットにおいて、軸部材に、円筒部と、軸端に形成された球面部と、球面部と円筒部を滑らかにつなぐつなぎ部とを設けると共に、軸受部材の、スラスト支持部に対向する端面の内周に面取り部を設け、軸受部材の端面とスラスト支持部との間の寸法をH、軸受部材端部の面取り寸法をC、この面取り部とラジアル軸受面の動圧溝領域との間の寸法をL、軸部材の直径をd、軸部材の球面部半径をR、軸部材のつなぎ部の半径をrとして、
H+C+L>R−[(R−r) 2 −(d/2−r) 2 1/2
の関係を満たすことで、ラジアル軸受隙間を、少なくともラジアル軸受面の動圧溝領域で一定にしたことを特徴とするものである。
【0014】
これによりラジアル軸受隙間の幅が不均一な従来品に比べ、当該ラジアル軸受隙間での動圧効果が高まる。そのため、軸受剛性を向上させることができ、軸部材の振れ回りを防止して軸部材の回転精度を高めることができる。なお、「ラジアル軸受面の動圧溝領域」とは、ラジアル軸受面に形成した各動圧溝の軸方向両端で挟まれた領域(図1および図5のS)を意味する。
【0019】
この場合、軸受部材の端面とスラスト支持部との間の寸法をH、軸受部材端部の面取り寸法をC、この面取り部とラジアル軸受面の動圧溝領域との間の寸法をL、軸部材の直径をd、軸部材の球面部半径をR、軸部材のつなぎ部の半径をrとして、
H+C+L>R−[(R−r)2−(d/2−r)21/2
の関係を満たすようにすれば、ラジアル軸受面の動圧溝領域をその軸方向全域で軸部材の円筒部と対向させることができ、ラジアル軸受隙間が一定幅に管理することが可能となる。
【0020】
また、本発明は、軸部とフランジ部とを有する軸部材と、軸部材の外周に配置され、かつ内周に、軸部材の外周面に面する複数の動圧溝が形成されたラジアル軸受面を有する軸受部材と、ラジアル軸受面と軸部材の外周面との間に形成されたラジアル軸受隙間と、フランジ部の端面に面して設けられ、複数の動圧溝を有するスラスト軸受面と、スラスト軸受面とフランジ部の端面との間に設けられたスラスト軸受隙間とを備え、ラジアル軸受隙間およびスラスト軸受隙間に生じた流体動圧で軸部材をラジアル方向およびスラスト方向で支持する動圧型軸受ユニットにおいて、軸部材の軸部とフランジ部との角部にヌスミ部を形成すると共に、このヌスミ部に面する軸受部材の端部内周に面取り部を設け、面取り部とスラスト軸受面の動圧溝領域との間の寸法を0にし、ヌスミ部の半径方向寸法をB、軸受部材端部の面取り寸法をCとして、B<Cとすることで、スラスト軸受隙間を、スラスト軸受面の動圧溝領域で一定にしたことを特徴とするものである。
これにより、スラスト軸受部の軸受剛性を高めて軸部材の回転精度を高めることができる。なお「スラスト軸受面の動圧溝領域」とは、スラスト軸受面に形成した各動圧溝の半径方向両端で挟まれた領域(図6(A)(B)のT)を意味する。
【0022】
この場合、ラジアル軸受面の動圧溝領域の対向領域外にヌスミ部を形成することにより、ラジアル軸受隙間を一定幅に管理することができる。この結果、ヌスミ部がラジアル軸受面の動圧溝領域と対向することによるラジアル軸受隙間の不均一化を回避でき、軸受剛性の向上、軸部材の振れ回り防止が可能となる。
【0023】
具体的には、ヌスミ部の軸方向寸法をA、軸受部材端部の面取り寸法をC、この面取り部とラジアル軸受面の動圧溝領域との間の寸法をL1として、A<C+L1の関係を満たすことにより、ラジアル軸受面の動圧溝領域の対向領域外にヌスミ部を形成することが可能となる。
【0026】
ヌスミ部の半径方向寸法をB、軸受部材端部の面取り寸法をCとして、B<Cの関係を満たすことにより、動圧溝領域の対向領域外にヌスミ部を形成することが可能となる。
【0027】
上記各構成において、軸受部材を含油焼結金属で形成すれば、圧縮成形等によりラジアル軸受面の動圧溝加工を低コストに精度よく行うことができる。
【0028】
上記各構成の動圧型軸受ユニットを有する情報機器用のスピンドルモータであれば、軸部材(スピンドル)の触れ回りを小さくできるので、情報の記録・再生精度を高めることができ、さらなる高速化が可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図1〜図10に基づいて説明する。
【0030】
図1は、本発明にかかる動圧型軸受ユニットの断面図である。図示のように、この軸受ユニットは、軸部材10と、軸部材10を支持する軸受部材20と、軸受部材20を内周に固定したハウジング30と、軸部材10をラジアル方向で支持するラジアル軸受部50a,50bと、軸部材10をスラスト方向で支持するスラスト軸受部40(40a,40b)とを主要な構成要素とする。
【0031】
ハウジング30は、一端を開口すると共に、他端を閉じた有底円筒型をなし、一端側の開口部を上にしてベース7(図11参照)に固定される[以下の説明では、ハウジングの開口側(図面上方)を「開口側」と称し、その軸方向反対側(図面下方)を反開口側と称する]。ハウジング30の他端側は底部31によって封口されている。この底部31は、図示のように別部材で形成してハウジング30の筒状部分32の開口部に嵌合固定する他、筒状部分32と一体成形することもできる(図5参照)。
【0032】
軸部材10は、軸方向で同径に形成された円筒部11と、反開口側を徐々に縮径させた縮径部12とを具備する。図2に拡大して示すように、縮径部12は、軸端に形成された球面部13と、断面円弧型に形成されたつなぎ部14とで構成される。つなぎ部14は、球面部13と円筒部11の間にあって両者を滑らかにつないでいる。
【0033】
ハウジング30内部の反開口側には、軸部材10をスラスト方向で支持するスラスト軸受部40が設けられる。図示例のスラスト軸受部40は、軸部材10の軸端をハウジング30に設けたスラスト支持部41で接触支持するもので、例えば軸部材10の軸端に設けられた球面部13をハウジング底部31に装着したスラストワッシャ33の端面でピボット支持することにより構成される。
【0034】
軸受部材20は、焼結金属に潤滑油あるいは潤滑グリースを含浸させて細孔内に油を保有させた含油焼結金属で円筒状に形成され、圧入あるいは接着によってハウジング30の内周に固定されている。焼結金属としては、例えば銅系あるいは鉄系、またはその双方を主成分とするものが使用でき、望ましくは銅を20〜95%使用して成形される。
【0035】
軸受部材20の内周には、ラジアル軸受部50a,50bを構成する二つのラジアル軸受面51a,51bが形成される。各軸受面51a,51bには、軸方向に対して傾斜した複数の動圧溝52が例えばヘリングボーン型に配列形成される。動圧溝52は、軸方向に対して傾斜して形成されていれば足り、この条件を満たす限りへリングボーン型以外の他の形状、例えばスパイラル型に動圧溝を配列することもできる。動圧溝52の溝深さは、2〜10μm程度が適当で、例えば3μmの深さに形成される。軸受部材20の外周には、一または複数(図1では二つ)の溝23が軸方向に沿って形成されており、この溝23は軸受部材20に軸部材10を挿入する際に、軸受部材20とハウジング底部31の間にある空気を軸受ユニット外に排出させ、軸部材10をスムーズに挿入可能とするための通気路として機能する。
【0036】
ハウジングの一端開口部は、リング状のシール部材61でシールされる。このシール部材61は、例えば樹脂材料(ポリアミド等)や金属材料(焼結金属も含む)で形成され、接着や圧入等の手段でハウジング30の一端開口部に固定される。シール部材61は、その内周面と軸部材10の外周面との間に微小なシール隙間を介在させた非接触シールで、シール隙間での毛細管現象によりハウジング30内部からの油漏れを防止する。
【0037】
各ラジアル軸受面51a,51bと軸部材10の外周面との間にはそれぞれ微小なラジアル軸受隙間Cra,Crbが形成される。軸部材10が回転すると、回転に伴う圧力の発生と昇温による油の熱膨張とによって軸受部材20の内部の油(潤滑油、又は潤滑グリースの基油)が軸受部材20の表面から滲み出し、動圧溝52の作用によって軸受隙間Cra,Crbに引き込まれる。ラジアル軸受隙間Cra,Crbに引き込まれた油は、軸受面51a,51bで潤滑油膜を形成して軸部材10を非接触支持する。ラジアル軸受面51a,51bに正圧が発生すると、軸受面51a,51bの表面に孔(開孔部:多孔質体組織の細孔が外表面に開口した部分をいう)があるために、油は軸受部材20の内部に還流するが、次々と新たな油が軸受面51a,51bに押し込まれ続けるので油膜力および剛性は高い状態で維持される。この場合、連続して安定した油膜が形成されるので、高回転精度が得られ、軸振れやNRRO、スキャナモータのジッタ等が低減される。また、軸部材10と軸受部材20が非接触で回転するために低騒音であり、しかも低コストである。
【0038】
軸部材10は、上述のように円筒部11と軸端の縮径部12とを備えるものであるが、本発明では、縮径部12の形状、本実施形態でいえば球面部13およびつなぎ部14の形状が、ラジアル軸受面51aの動圧溝領域(各動圧溝52の軸方向両端で挟まれた領域S)のスラスト支持部41からの軸方向距離に応じて定められる。
【0039】
具体的には、図2に示すように、軸受部材20の反開口側の端面21とスラスト支持部41との間の寸法をH、軸受部材20の反開口側端部内周の面取り寸法(軸方向長さ)をC、この面取り部22と反開口側ラジアル軸受面51aの動圧溝領域Sとの間の寸法をL、軸部材10の円筒部11の直径をd、軸部材10の球面部13の半径をR、軸部材10のつなぎ部14の曲率半径をrとして、
H+C+L>R−[(R−r)2−(d/2−r)21/2 …▲1▼
の関係を満たすように設計される。ここで▲1▼式の左辺はスラスト支持部41に対する反開口側ラジアル軸受面51aの軸方向位置を、右辺は軸部材10の縮径部12の形状をそれぞれ定めるものである。
【0040】
▲1▼式を満たす設計であれば、球面部13およびつなぎ部14からなる縮径部12が反開口側ラジアル軸受面51aの動圧溝領域Sの対向領域外に位置し、当該動圧溝領域はその軸方向全域が軸部材10の円筒部11と対向する。そのため、反開口側のラジアル軸受隙間Craが一定幅となり、反開口側と開口側のラジアル軸受部50a,50bで軸受剛性をバランスさせて、軸部材10の振れ回りを防止することが可能となる。
【0041】
なお、図2では、面取り部22とラジアル軸受面51aとの間に隙間(長さL)を介在させているが、二つのラジアル軸受面51a,51bのスパンは、軸部材10の振れ回りを抑えるべく可能な限り大きくとることが望ましいため、一般には上記隙間を省略してL=0とする場合が多い(図3参照)。
【0042】
図4は、図1および図2と同様に反開口側ラジアル軸受面51aの動圧溝領域の対向領域外に縮径部12を配置した軸受ユニットAと、当該動圧溝領域の対向領域中に縮径部12を配置した軸受ユニットB(図12参照)とについて、それぞれ起動停止耐久試験を行った結果を示すものである。同図より軸受ユニットAの場合、30万サイクルまで軸振れ量にほとんど変動は見られないが、軸受ユニットBの場合は初期から軸振れが大きく、5万サイクルで急激に軸振れが増大して10万サイクルには到達できないことが理解される。これより本発明が軸振れの防止に有効であることが確認された。
【0043】
図5は、スラスト軸受部40a,40bを動圧型軸受で構成した軸受ユニットの一実施形態を示すものである。この軸受ユニットの軸部材10は、円筒状の軸部15と軸部15の反開口側端部で半径方向に突出するフランジ部16とを備えるもので、フランジ部16の軸方向両側にそれぞれスラスト軸受部40a,40bが構成される。軸部材10は、軸部15に別部材のフランジ部16を圧入することにより、あるいは軸部15とフランジ部16を鍛造等で一体成形することによって製作することができる。
【0044】
軸部材10のフランジ部16は、ハウジング30の底部31と軸受部材20の反開口側の端面21との間に配置される。フランジ部16に対向するハウジング底部31の端面35および軸受部材20の端面21には、それぞれ複数の動圧溝を有するスラスト軸受面43a,43bが形成される。図6(A)(B)に示すように、両スラスト軸受面43a,43bの動圧溝44は、端面35,21に描いた放射状の仮想線に対して傾斜した部分を持っており、図示例ではヘリングボーン型、すなわち半径方向のほぼ中心部に屈曲部分を有するほぼV字状の動圧溝44を例示している。
【0045】
この動圧溝44を有するスラスト軸受面43a,43bと、これらに対向するフランジ部16の両端面との間に、軸部材10の回転で流体動圧を生じる微小なスラスト軸受隙間Cta,Ctbがそれぞれ形成される。
【0046】
軸部材10の軸部15とフランジ部16との間の角部には、図7に示すように、その全周にわたってヌスミ部17が形成される。このヌスミ部17は、軸部15の外周面およびフランジ部16の開口側端面に跨るようにし、例えば切削加工や鍛造加工によって形成される。
【0047】
ヌスミ部17のうち、フランジ部16の端面よりも開口側で軸部15外周に形成された軸方向部18は、反開口側ラジアル軸受面51aの動圧溝領域との対向領域を除いてこれよりも反開口側に形成され、軸部15外周よりも外径側でフランジ部16の端面に形成された半径方向部19は、軸受部材20の端面21に形成されたスラスト軸受面43bの動圧溝領域との対向領域を除いてこれよりも内径側に形成される。ここで「スラスト軸受面の動圧溝領域」とは、スラスト軸受面の各動圧溝の半径方向の両端で挟まれた領域Tをいう(図6(A)(B)参照)。
【0048】
以上から、反開口側のラジアル軸受面51aおよび開口側のスラスト軸受面43bの各動圧溝領域S,Tがヌスミ部17と対向することはなく、これにより反開口側ラジアル軸受隙間Craおよび開口側スラスト軸受隙間Ctbの幅がその全領域(少なくとも動圧溝領域)で均一化される。そのため、二つのラジアル軸受部50a,50bでの軸受剛性をバランスさせて軸部材10の振れ回りを低減させることができ、かつ開口側スラスト軸受部40bの剛性向上を図ることができる。以上から、軸部材10の回転精度の向上を達成することができる。
【0049】
具体的には、図8に示すように、ヌスミ部17の軸方向寸法(軸方向部18の軸方向寸法)をA、ヌスミ部17の半径方向寸法(半径方向部19の半径方向寸法)をB、軸受部材20の端部内周の面取り寸法(半径方向および軸方向の寸法)をC、この面取り部22とラジアル軸受面51aの動圧溝領域との間の距離をL1、面取り部22とスラスト軸受面43bの動圧溝領域との間の距離をL2として、
A<C+L1 かつ B<C+L2
の関係を満たすように設計しなければならない。
【0050】
なお、図8では、反開口側のラジアル軸受面51a、および開口側のスラスト軸受面43b(各動圧溝領域)を軸受部材20の面取り部22からそれぞれ距離L1、L2だけ離隔させているが、一般にラジアル軸受面51a,51bのスパンは触れ回りを抑えるために可能な限り大きくすることが望ましく、また、スラスト軸受面43bも半径方向の幅を大きくした方が剛性確保の点で有利であるため、この距離はL1、L2は0とする場合が多い(図7参照)。
【0051】
図9および図10は、図7及び図8に示す本発明構造を採用した軸受ユニットAと、図17に示すようにヌスミ部17がラジアル軸受面510やスラスト軸受面430と部分的に対向するように設計した軸受ユニットBについて、軸部材10の浮上開始回転速度および軸振れを測定した結果である。図9より軸受ユニットAの場合、正置、横置、倒立等のモータ姿勢を問わず200rpm前後で完全に非接触状態で回転する一方、軸受ユニットBについては、何れの方向においても800rpmを超えるまで浮上しないことが明らかとなった。また、図10より軸振れも明らかに軸受ユニットBの方が劣ることが明らかとなった。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、ラジアル軸受隙間やスラスト軸受隙間の幅が不均一な従来品に比べ、これら軸受隙間での動圧効果が高まる。そのため、軸受剛性を向上させることができ、軸部材の振れ回りを防止して軸部材の回転精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる動圧型軸受ユニットの断面図である。
【図2】図1に示す動圧型軸受ユニットの要部拡大断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態を示す要部拡大断面図である。
【図4】起動停止耐久試験の測定結果を示す図である。
【図5】スラスト軸受部を動圧型軸受で構成した動圧型軸受ユニットの断面図である。
【図6】スラスト軸受面の平面図である。
【図7】動圧型軸受ユニットの断面図およびその要部拡大断面図である。
【図8】図5に示す軸受ユニットの要部拡大断面図である。
【図9】浮上回転速度の測定結果を示す図である。
【図10】軸振れの測定結果を示す図である。
【図11】情報機器(光ディスク装置)用のスピンドルモータの断面図である。
【図12】従来の動圧型軸受ユニットの要部拡大断面図である。
【図13】軸部材の側面図および要部拡大断面図である。
【図14】軸部材の加工状況(旋削)を示す断面図である。
【図15】軸部材の加工状況(研削)を示す断面図である。
【図16】軸部材の加工状況(研削)を示す断面図である。
【図17】従来の動圧型軸受ユニットの要部拡大断面図である。
【符号の説明】
10 軸部材
11 円筒部
12 縮径部
13 球面部
14 つなぎ部
20 軸受部材
21 端面
22 面取り部
30 ハウジング
31 底部
40 スラスト軸受部(ピボット支持)
41 スラスト支持部
40a スラスト軸受部(動圧型軸受)
40b スラスト軸受部(動圧型軸受)
43a スラスト軸受面(反開口側)
43b スラスト軸受面(開口側)
44 動圧溝
50a ラジアル軸受部(反開口側)
50b ラジアル軸受部(開口側)
51a ラジアル軸受面(反開口側)
51b ラジアル軸受面(開口側)
52 動圧溝
Cra ラジアル軸受隙間(反開口側)
Crb ラジアル軸受隙間(開口側)
Cta スラスト軸受隙間(反開口側)
Ctb スラスト軸受隙間(開口側)
S 動圧溝領域(ラジアル軸受面)
T 動圧溝領域(スラスト軸受面)

Claims (6)

  1. 軸部材と、軸部材の外周に配置され、かつ内周に、軸部材の外周面に面する複数の動圧溝が形成されたラジアル軸受面を有する軸受部材と、ラジアル軸受面と軸部材の外周面との間に形成されたラジアル軸受隙間と、軸部材の端部を接触支持するスラスト支持部とを備え、ラジアル軸受隙間に生じた流体動圧で軸部材をラジアル方向で支持する動圧型軸受ユニットにおいて、
    軸部材に、円筒部と、軸端に形成された球面部と、球面部と円筒部を滑らかにつなぐつなぎ部とを設けると共に、軸受部材の、スラスト支持部に対向する端面の内周に面取り部を設け、軸受部材の端面とスラスト支持部との間の寸法をH、軸受部材端部の面取り寸法をC、この面取り部とラジアル軸受面の動圧溝領域との間の寸法をL、軸部材の直径をd、軸部材の球面部半径をR、軸部材のつなぎ部の半径をrとして、
    H+C+L>R−[(R−r) 2 −(d/2−r) 2 1/2
    の関係を満たすことで、ラジアル軸受隙間を、少なくともラジアル軸受面の動圧溝領域で一定にしたことを特徴とする動圧型軸受ユニット。
  2. 軸部とフランジ部とを有する軸部材と、軸部材の外周に配置され、かつ内周に、軸部材の外周面に面する複数の動圧溝が形成されたラジアル軸受面を有する軸受部材と、ラジアル軸受面と軸部材の外周面との間に形成されたラジアル軸受隙間と、フランジ部の端面に面して設けられ、複数の動圧溝を有するスラスト軸受面と、スラスト軸受面とフランジ部の端面との間に設けられたスラスト軸受隙間とを備え、ラジアル軸受隙間およびスラスト軸受隙間に生じた流体動圧で軸部材をラジアル方向およびスラスト方向で支持する動圧型軸受ユニットにおいて、
    軸部材の軸部とフランジ部との角部にヌスミ部を形成すると共に、このヌスミ部に面する軸受部材の端部内周に面取り部を設け、面取り部とスラスト軸受面の動圧溝領域との間の寸法を0にし、ヌスミ部の半径方向寸法をB、軸受部材端部の面取り寸法をCとして、B<Cとすることで、スラスト軸受隙間を、スラスト軸受面の動圧溝領域で一定にしたことを特徴とする動圧型軸受ユニット。
  3. ラジアル軸受面の動圧溝領域の対向領域外にヌスミ部を形成した請求項記載の動圧型軸受ユニット。
  4. ヌスミ部の軸方向寸法をA、軸受部材端部の面取り寸法をC、この面取り部とラジアル軸受面の動圧溝領域との間の寸法をL1として、
    A<C+L1
    の関係を満たすようにした請求項記載の動圧型軸受ユニット。
  5. 軸受部材を含油焼結金属で形成した請求項1〜何れか記載の動圧型軸受ユニット。
  6. 請求項1〜の何れかに記載した動圧型軸受ユニットを有する情報機器用のスピンドルモータ。
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