JP2008075687A - 流体軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属部を有するハブを備えた流体軸受装置において、金属部を変形させることなく軸部材に精度良く固定する
【解決手段】芯金13(金属部)の内周面13aに凹部13a1を設ける。これにより、芯金13を軸部材2に圧入した際、嵌合面の圧入領域が縮小され、圧入抵抗を低減することができる。従って、芯金13を変形させることなく軸部材2に圧入することができるため、両者を精度良く固定することができる。
【選択図】図6
【解決手段】芯金13(金属部)の内周面13aに凹部13a1を設ける。これにより、芯金13を軸部材2に圧入した際、嵌合面の圧入領域が縮小され、圧入抵抗を低減することができる。従って、芯金13を変形させることなく軸部材2に圧入することができるため、両者を精度良く固定することができる。
【選択図】図6
Description
本発明は、軸受隙間に生じる潤滑膜で、軸部材を回転自在に支持する流体軸受装置に関する。
この種の流体軸受装置は、情報機器、例えばHDD等の磁気ディスク駆動装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク駆動装置、MD、MO等の光磁気ディスク駆動装置等のスピンドルモータ用、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、プロジェクタのカラーホイール、あるいは電気機器、例えばファンモータなどの小型モータ用として好適に使用可能である。
例えば、特許文献1には、軸部材と、軸部材の外径方向へ突出して設けたハブ(ディスクハブ)とを備え、ハブが、金属部(芯金)をインサートした樹脂の射出成形で形成された流体軸受装置が示されている。このように、樹脂製のハブに金属部をインサートすることによりハブの強度が高められ、ディスク搭載時のクランプ力等によるハブの変形を防止できる。
この金属部を軸部材の外周面に固定する場合、例えば両者の間に隙間を有した状態で嵌合すると、これらの固定精度を高めることが困難となり、軸受装置の回転精度の低下を招く恐れがある。また、両者を圧入により固定すると、金属部が圧入抵抗によって変形する恐れがある。特に、ハブを薄肉化した場合は、金属部の肉厚も薄肉となるため、圧入抵抗による変形の恐れが高まる。
本発明の課題は、樹脂製のハブにインサートされる金属部を、変形させることなく軸部材に精度良く固定することができる流体軸受装置を提供することにある。
前記課題を解決するため、本発明は、軸部材と、軸部材の外周面から外径方向へ突出させて設けたハブと、軸部材の外周面が面するラジアル軸受隙間に生じる潤滑流体の動圧作用で軸部材を回転可能に支持するラジアル軸受部とを備えた流体軸受装置において、ハブが金属部をインサート部品とした樹脂成形品であり、該金属部を軸部材の外周面に圧入固定し、且つ、金属部と軸部材の固定面のうち、少なくとも何れか一方を凹凸面としたことを特徴とする。
このように、本発明では、金属部と軸部材との固定面のうち、少なくとも何れか一方を凹凸面とした。これにより、金属部を軸部材に圧入した際、嵌合面の圧入領域が縮小され、圧入抵抗を低減することができる。従って、金属部を変形させることなく軸部材に圧入することができるため、両者を精度良く固定することができる。
上記のように、軸部材と金属部との固定面の何れか一方を凹凸面とすると、この凹凸面の凹部と対向する面との間に隙間が形成されるため、軸受内部に満たされた潤滑流体が外部へ漏れ出す恐れがある。この点に鑑み、ハブを、軸部材及び軸部材に固定した金属部をインサート部品として樹脂で射出成形すると、軸部材と金属部との間に形成された隙間に樹脂が入り込み、この隙間を埋めることができるため、潤滑油の漏れ出しを防止することができる。
また、金属部と軸部材とを溶接により固定する場合、溶出した材料が他の部分、例えば軸部材の外周面に流れ込み、軸受性能を低下させる恐れがある。本発明では、前記凹凸面の凹部と対向する面との間に形成される隙間が溶出した材料を捕捉することにより、上記のような不具合を回避することができる。
この金属部は、例えば塑性加工で形成することができる。この場合、この塑性加工と同時に、金属部の内周面に凹凸面を形成することもできる。
以上のように、本発明によると、樹脂製のハブにインサートされる金属部を、変形させることなく軸部材に精度良く固定することができる流体軸受装置が得られる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明が適用される流体軸受装置1を組込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示している。このスピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、軸部材2を相対回転自在に非接触支持する流体軸受装置(動圧軸受装置)1と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5と、ブラケット6とを備えている。ステータコイル4はブラケット6の外周側内周面に取付けられ、ロータマグネット5は、ハブ10の外径側に設けられたヨーク12に固定されている。流体軸受装置1は、ブラケット6の内周に固定される。また、ハブ10には、図示は省略するが、情報記録媒体としてのディスクが一又は複数枚保持される。このように構成されたスピンドルモータにおいて、ステータコイル4に通電すると、ステータコイル4とロータマグネット5との間に発生する励磁力でロータマグネット5が回転し、これに伴って、ハブ10およびハブ10に保持されたディスクが軸部材2と一体に回転する。
図2は、流体軸受装置1を示している。この流体軸受装置1は、軸部材2と、軸部材2に外径方向へ突出させて設けたハブ10と、内周に軸部材2を挿入した軸受スリーブ8と、軸受スリーブ8を保持したハウジング9と、ハウジング9の一端を閉口する蓋部材11とを主に備える。なお、説明の便宜上、軸方向両端に形成されるハウジング9の開口部のうち、蓋部材11で閉口される側を下側、閉口側と反対の側を上側として以下説明する。
この流体軸受装置1では、軸部材2の外周面2aと軸受スリーブ8の内周面8aとの間に、ラジアル軸受部R1、R2が軸方向に離隔して設けられる。また、軸受スリーブ8の下側端面8bと軸部材2のフランジ部2bの上側端面2b1との間に第1スラスト軸受部T1が設けられると共に、ハウジング9の上端面9aとハブ10の円盤部10aの下側端面10a1との間に第2スラスト軸受部T2が設けられる。
軸受スリーブ8は、例えば銅を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成され、ハウジング9の内周面9cに、接着、圧入(圧入接着を含む)、溶着(超音波溶着を含む)、溶接(レーザ溶接を含む)等、適宜の手段で固定される。
軸受スリーブ8の内周面8aの全面又は一部円筒領域には、図3に示すように、複数の動圧溝8a1、8a2をヘリングボーン形状に配列した領域が軸方向に離隔して形成される。また、軸受スリーブ8の下側端面8bの全面又は一部環状領域には、図4に示すように、複数の動圧溝8b1をスパイラル状に配列した領域が形成される。
ハウジング9は、金属材料又は樹脂材料で軸方向両端を開口した略円筒状に形成され、その一端側の開口部を蓋部材11で封口している。ハウジング9の上端面9aの全面または一部環状領域には、図5に示すように、複数の動圧溝9a1をスパイラル形状に配列した領域が形成される。ハウジング9の上方部外周には、上方に向かって漸次拡径する第1テーパ面9bが形成される。ハウジング9の下方部外周には円筒面9eが形成され、この円筒面9eがブラケット6の内周に、接着、圧入、溶着、あるいは溶接等の手段で固定される。ハウジング9の下端側を封口する蓋部材11は、金属あるいは樹脂で形成され、ハウジング9の下端内周側に設けられた段部9dに、接着、圧入、溶着、あるいは溶接等の手段で固定される。
軸部材2は、例えば金属で形成される。軸部材2の下端には、抜止めとしてフランジ部2bが別体に設けられる。フランジ部2bは金属製で、例えばねじ結合、接着等の手段により軸部材2に固定される。
ハブ10は、金属部としての芯金13と、樹脂部14とからなり、その形状は、ハウジング9の上端開口部を覆う円盤部10aと、円盤部10aの外周部から軸方向下方に延びる筒状部10bと、筒状部10bから外径側に突出する鍔部10cとを備える。図示されていないディスクは、円盤部10aの外周に外嵌されると共に、鍔部10cの上側端面に形成されたディスク搭載面10dに載置される。そして、図示しない適当な保持手段(クランパなど)によってディスクがハブ10に保持される。このように、樹脂製のハブ10が芯金13を有することにより、ハブ10の強度が高められるため、ディスク搭載時のクランプ力等によるハブ10の変形を防止できる。
ハブ10の円盤部10aの下側端面10a1は、ハウジング9の上端面9aの動圧溝形成領域とスラスト軸受隙間を介して対向する。これらの面は、軸受装置の起動、停止時等の低速回転時に接触摺動するため、高い耐磨耗性が要求される。本実施形態では、ハブ10の円盤部10aの下側端面10a1に芯金13が露出することにより、樹脂と比べて耐摩耗性の向上を図ることができる。
芯金13は、例えばステンレス鋼の塑性加工(例えばプレス加工)で略円盤状に形成される。芯金13は、図6に示すように、その内周面13aが軸部材2の外周面2aに固定される。具体的には、芯金13の内周面13aに軸部材2を圧入(軽圧入を含む)し、さらにこの嵌合面を溶接することにより両者が固定される。このとき、固定面となる芯金13の内周面13aは凹凸面とされ、本実施形態では、複数の軸方向の凹部13a1をステップ状に設けることにより、内周面13aに円周方向の凹凸を形成している。この凹部13a1は、芯金13のプレス加工と同時に形成することができる。
このように、芯金13の内周面13aに凹部13a1を設けることで、芯金13の内周面13aに軸部材2を圧入する際、芯金13と軸部材2との圧入面積を減少させることができる。これにより、圧入抵抗が軽減され、芯金13の変形を回避することができる。特に、本実施形態のように、凹部13a1を軸方向に設け、凹凸を円周方向に形成することにより、圧入時の軸方向の抵抗力に対する強度を高めることができる。
また、芯金13の内周面13aに凹部13a1を設けることで、芯金13と軸部材2とを溶接する際、溶出した材料を芯金13の内周面13aの凹部13a1と軸部材2の外周面2aとの間の隙間で補足することができる。これにより、溶出した材料が他の部分に流れ込むことによる不具合を防止することができる。
上記のようにして固定された芯金13及び軸部材2をインサートして樹脂で射出成形することにより、ハブ10の樹脂部14が形成される。樹脂部14は、例えば液晶ポリマー(LCP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の結晶性樹脂や、ポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)等の非晶性樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物の射出成形で成形される。また、炭素繊維やガラス繊維等の繊維状充填材、チタン酸カリウム等のウィスカ状充填材、マイカ等の鱗片状充填材、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノマテリアル、各種金属粉等の繊維状または粉末状の導電性充填材を、目的に応じて上記ベース樹脂に適量配合したものを使用することもできる。
このとき、芯金13の内周面13aに凹部13a1が形成されていることにより、軸部材2の外周面2aとの間に隙間が形成される。軸部材2とハブ10との界面は、一端が大気に開放し、他端が軸受内部の潤滑油で満たされた空間に面するため、この隙間から潤滑油が外部へ漏れ出す恐れがある。上記のように、軸部材2及び軸部材2に固定した芯金13をインサート部品として樹脂で射出成形することにより、射出した樹脂が軸部材2と芯金13との間の隙間に流れ込み、この隙間を埋めることができるため、この隙間からの潤滑油の漏れ出しを防止できる。
筒状部10bの内周面のうち、ハウジング9の外周上端に設けられた第1テーパ面9bと対向する部分には、上方へ向けて拡径した第2テーパ面10b1が形成される。この第2テーパ面10b1の軸方向に対するテーパ角は、第1テーパ面9bのテーパ角よりも小さく設定される。これにより、第1テーパ面9bと第2テーパ面10b1との間に、径方向寸法が上方に向かって漸次縮小するテーパ状のシール空間Sが形成される。このシール空間Sは、ハブ10(軸部材2)の回転時、スラスト軸受部T2のスラスト軸受隙間の外径側と連通する。後述する潤滑油を流体軸受装置1内部に充満させた状態では、潤滑油は毛細管力によりシール空間Sの幅狭側に引き込まれるため、油面は常時シール空間Sの範囲内に保持される。また、シール空間Sの外周部が第2テーパ面10b1で形成されることで、シール空間S内の潤滑油に遠心力が加わった際、潤滑油がテーパ面10b1により上方へ向けて押し込まれるため、より確実に潤滑油をシール空間Sの内部に保持することができる。
ハブ10の円盤部10aの上側端面10a2には、クランパ穴10a20が設けられる。ディスクをディスク搭載面10dに固定するためにクランパを軸部材2の上端部にねじ結合する際、このクランパ穴10a20に治具を挿入することにより、ハブ10の廻り止めが行われる。クランパ穴10a20は、ハブ10の円盤部10aの上側端面10a2であれば、形成箇所及び数は限定されず、例えば円周方向等間隔の3箇所に設けられる。このクランパ穴10a20は、例えば機械加工により、あるいは樹脂部14の射出成形と同時に型成形により形成される。
流体軸受装置1内部には、潤滑流体として例えば潤滑油が充満される。具体的には、軸部材2及びハブ10と、軸受スリーブ8、ハウジング9、及び蓋部材11との間に形成される空間のうち、シール空間Sよりも軸受内部側の空間が全て潤滑油で満たされる。このとき、油面はシール空間S内に保持される。この潤滑油としては、種々のものが使用可能であるが、HDD等のディスク駆動装置用の流体軸受装置に提供される潤滑油には、その使用時あるいは輸送時における温度変化を考慮して、基油として低蒸発率及び低粘度性に優れたエステル系潤滑油、例えばジオクチルセバケート(DOS)、ジオクチルアゼレート(DOZ)等を使用した潤滑油が好適に使用可能である。
上記構成の流体軸受装置1において、軸部材2の回転時、軸受スリーブ8の内周面8aに形成された動圧溝8a1、8a2形成領域は、対向する軸部材2の外周面2aとの間にラジアル軸受隙間を形成する。そして、軸部材2の回転に伴い、上記ラジアル軸受隙間の潤滑油が動圧溝8a1、8a2の軸方向中心側に押し込まれ、その圧力が上昇する。このように、第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2に設けられた動圧溝8a1、8a2によって生じる潤滑油の動圧作用によって、軸部材2をラジアル方向に非接触支持する。
これと同時に、軸受スリーブ8の下側端面8bの動圧溝8b1形成領域とフランジ部2bの上側端面2b1との間、およびハウジング9の上端面9aの動圧溝9a1形成領域とハブ10の下側端面10a1との間に、それぞれスラスト軸受隙間が形成される。これらのスラスト軸受隙間に形成される潤滑油膜の圧力が、第1スラスト軸受部T1と第2スラスト軸受部T2に形成された動圧溝8b1、9a1の動圧作用により高められることにより、軸部材2及びハブ10をスラスト方向に非接触支持する。
また、この実施形態では、軸受スリーブ8の外周面8dに軸方向溝8d1が形成される。これにより、軸受内部に充満された潤滑油を循環させることが可能となり、局所的な負圧の発生に伴う気泡の生成等を回避できる。具体的には、ハブ10の円盤部10aの下側端面10a1と軸受スリーブ8の上側端面8cとの間の隙間、第1、第2ラジアル軸受部R1、R2の軸受隙間、および第1スラスト軸受部T1の軸受隙間にそれぞれ充填された潤滑油が循環可能となる。この実施形態では、軸受スリーブ8の内周面8aに形成された動圧溝8a1が軸方向で上下非対称に形成されることで、第1ラジアル軸受部R1の軸受隙間の潤滑油を下方へ押し込み、軸受内部の潤滑油を強制的に循環させる構成となっている(図3を参照)。このような強制的な循環が特に必要なければ、動圧溝8a1を軸方向で上下対称に形成してもよい。
本発明は、上記の実施形態に限られない。以下、本発明の他の実施形態を説明する。尚、以下の説明において、上記の実施形態と同様の構成、機能を有する箇所には同一符号を付し、説明を省略する。
上記の実施形態では、軸部材2と芯金13との固定面のうち、芯金13の内周面13aに軸方向の凹部13a1を設け、この面を凹凸面としているが、これに限られない。例えば、これとは逆に、芯金13の内周面13aを円筒面とし、軸部材2の外周面2aのうち、芯金13との固定面となる部分に凹部2a1を設け、この部分を凹凸面としてもよい(図7参照)。あるいは、軸部材2と芯金13の双方の固定面を凹凸面としてもよい(図示省略)。このとき、対向する固定面の凹凸が円周方向で係合することにより、軸部材2と芯金13との相対的な廻り止めとして機能することができる。また、これらの凹部13a1、2a1の形状は、図6、図7に示すような断面矩形に限らず、断面三角形、半円形、あるいは波形等にしてもよい。また、上記では、凹部13a1、2a1が軸方向に設けられているが、これに限らず、例えば点状、らせん状、あるいはローレット状に設けても良い。
また、上記の実施形態では、軸部材2の下端に設けられたフランジ部2bで、軸部材2の抜け止めを行っていたが、これに限られない。例えば、図8に示す流体軸受装置21では、ハブ10の内周に抜け止め部材15を固定し、この抜け止め部材15とハウジングとが軸方向で係合することにより、軸部材2及びハブ10の抜け止めが行われる。この抜け止め部材15は、例えば金属材料のプレス加工で断面略L字型に形成され、ハブ10の筒状部10bの内周面の上端に設けられた段部10eに固定される。抜け止め部材15の内周面15aは、対向するハウジング9の外周面上方の第1テーパ面9bとの間にシール空間Sを形成する。この内周面15aは、上方へ向けて拡径したテーパ状に形成され、上記実施形態の第2テーパ面10b1と同様の機能を果たす。
この流体軸受装置21では、スラスト軸受部は一箇所のみに設けられ、具体的には、ハブ10の円盤部10aの下側端面10a1とハウジング9の上端面9aとの間にスラスト軸受部Tが設けられる。ハウジング9はコップ状に形成され、その内底面9fには、径方向溝9f1が設けられる。この径方向溝9f1と、軸受スリーブ8の外周面8dに設けられた軸方向溝8d1とで、軸部材2の下端面2cとハウジング9の内底面9fとの間の隙間と、ハブ10の円盤部10aの下側端面10a1と軸受スリーブ8の上側端面8cとの間の隙間とを連通している。
以上の実施形態では、ラジアル軸受部R1、R2、及びスラスト軸受部T1、T2(あるいはスラスト軸受部T、以下省略)として、へリングボーン形状やスパイラル形状の動圧溝により潤滑油の動圧作用を発生させる構成を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、ラジアル軸受部R1、R2として、図示は省略するが、軸方向の溝を円周方向の複数箇所に形成した、いわゆるステップ状の動圧発生部、あるいは、円周方向に複数の円弧面を配列し、対向する軸部材2の真円状外周面2aとの間に、くさび状の径方向隙間(軸受隙間)を形成した、いわゆる多円弧軸受を採用してもよい。
あるいは、軸受スリーブ8の内周面8aを、動圧発生部としての動圧溝や円弧面等を設けない真円内周面とし、この内周面8aと対向する軸部材2の真円状外周面2aとで、いわゆる真円軸受を構成することができる。
また、第1スラスト軸受部T1と第2スラスト軸受部T2の一方又は双方は、同じく図示は省略するが、動圧発生部が形成される領域(例えば軸受スリーブ8の下側端面8b、ハウジング9の上端面9a)に、複数の半径方向溝形状の動圧溝を円周方向所定間隔に設けた、いわゆるステップ軸受、あるいは波型軸受(ステップ型が波型になったもの)等で構成することもできる。
また、以上の実施形態では、軸受スリーブ8の側にラジアル動圧発生部(動圧溝8a1、8a2)が、また、軸受スリーブ8やハウジング9の側にスラスト動圧発生部(動圧溝8b1、9a1)がそれぞれ形成される場合を説明したが、これら動圧発生部が形成される領域は、例えばこれらに対向する軸部材2の外周面2aやフランジ部2bの上側端面2b1、あるいはハブ10の下側端面10a1の側に設けることもできる。なお、ラジアル動圧発生部は2箇所が連続的に設けられても良く、また、1箇所であっても良い。
また、以上の説明では、流体軸受装置1の内部に充満し、ラジアル軸受隙間や、スラスト軸受隙間に動圧作用を生じる流体として、潤滑油を例示したが、それ以外にも各軸受隙間に動圧作用を発生可能な流体、例えば空気等の気体や、磁性流体等の流動性を有する潤滑剤、あるいは潤滑グリース等を使用することもできる。
また、上記の実施形態では、ハブ10にディスクを載置し、流体軸受装置1をHDD等のディスク駆動装置に用いられるスピンドルモータとして使用しているが、これに限られない。例えば、ハブ10にポリゴンミラーを装着し、流体軸受装置1をレーザビームプリンタのポリゴンスキャナモータの回転軸支持用に使用することもできる。あるいは、ハブ10にカラーホイールを装着し、流体軸受装置1をプロジェクタのカラーホイールの回転軸支持用に使用することもできる。あるいは、ハブ10にファンを設置(一体化)し、流体軸受装置1をファンモータとして使用することもできる。
1 流体軸受装置
2 軸部材
7 軸受部材
8 軸受スリーブ
9 ハウジング
10 ハブ
13 芯金(金属部)
13a 内周面
13a1 凹部
14 樹脂部
11 蓋部材
12 ヨーク
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部
S シール空間
2 軸部材
7 軸受部材
8 軸受スリーブ
9 ハウジング
10 ハブ
13 芯金(金属部)
13a 内周面
13a1 凹部
14 樹脂部
11 蓋部材
12 ヨーク
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部
S シール空間
Claims (4)
- 軸部材と、軸部材の外周面から外径方向へ突出させて設けたハブと、軸部材の外周面が面するラジアル軸受隙間に生じる潤滑流体の動圧作用で軸部材を回転可能に支持するラジアル軸受部とを備えた流体軸受装置において、
ハブが金属部をインサート部品とした樹脂成形品であり、該金属部を軸部材の外周面に圧入固定し、且つ、金属部と軸部材の固定面のうち、少なくとも何れか一方を凹凸面としたことを特徴とする流体軸受装置。 - ハブが、軸部材及び金属部をインサート部品とした樹脂成形品である請求項1記載の流体軸受装置。
- 金属部と軸部材とを溶接により固定した請求項1記載の流体軸受装置。
- 金属部を塑性加工により形成した請求項1記載の流体軸受装置。
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Cited By (2)
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JP2016041958A (ja) * | 2014-08-18 | 2016-03-31 | シナノケンシ株式会社 | 軸受装置及びモータ |
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2006
- 2006-09-19 JP JP2006252918A patent/JP2008075687A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20091201 |