JP5188942B2 - 流体動圧軸受装置 - Google Patents

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Description

本発明は、軸受隙間に形成される潤滑膜で、軸部材を相対回転自在に支持する流体動圧軸受装置に関し、特に、軸部材をスラスト方向に接触支持するスラスト受け面を有する流体動圧軸受装置に関する。
流体動圧軸受装置は、その高回転精度および静粛性から、情報機器(例えばHDD)の磁気ディスク駆動装置、CD・DVD・ブルーレイディスク等の光ディスク駆動装置、若しくはMD・MO等の光磁気ディスク駆動装置等のスピンドルモータ用、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ用、プロジェクタのカラーホイールモータ用、又は電気機器の冷却等に使用されるファンモータなどの小型モータ用として使用されている。
例えば特許文献1には、軸部材の下端に球面状凸部を設け、この球面状凸部をスラスト受け面で接触支持することで、軸部材をスラスト方向に支持する、いわゆるピボット軸受タイプの流体動圧軸受装置が示されている。
特開2004−340183号公報
上記のようなピボット軸受タイプの流体動圧軸受装置(以下、単にピボット軸受と言う。)では、軸部材の球面状凸部とスラスト受け面とが微小な領域で接触しているため、接触部における面圧が高い。このため、軸部材をスラスト受け面に押し付けるような荷重が加わると、スラスト受け面が塑性変形する恐れがある。特に、HDD用に使用される軸受では、軸部材にディスクハブやディスクを装着する際、軸部材に大きな荷重が加わるため、スラスト受け面が塑性変形する恐れが高い。ピボット軸受では、軸部材のガタツキを抑えるために、軸受装置内における軸の軸方向許容移動量はなるべく小さく設定されている(例えば20μm程度)。しかし、上記のようにスラスト受け面が塑性変形すると、軸部材の軸方向許容移動量が大きくなり、軸部材のガタツキが大きくなる。
本発明の課題は、軸部材をスラスト受け面で接触支持する流体動圧軸受装置において、軸部材やスラスト受け面の塑性変形を防止することにある。
前記課題を解決するために、本発明は、軸部材と、軸部材の外周面に面したラジアル軸受隙間と、軸部材と軸方向に対向し、軸部材を接触支持する支持部を有す るスラスト受け面とを備え、ラジアル軸受隙間に形成した潤滑膜で軸部材をラジアル方向で支持する流体動圧軸受装置において、支持部を除くスラスト受け面 に、軸受運転中は軸部材と非接触のストッパ部を設け、スラスト受け面側に向けて押込まれた軸部材がストッパ部と接触するまで、支持部が弾性変形可能であり、スラスト受け面およびスラスト受け面に対向する軸部材の面のうち、何れか一方の面に凹曲面を形成すると共に、他方の面に凹曲面よりも曲率半径の小さい凸曲面を形成し、スラスト受け面の中央部に凹曲面を形成すると共に、凹曲面の外周に平坦面を形成し、この平坦面をストッパ部としたことを特徴とする。また、本発明は、軸部材と、軸部材の外周面に面したラジアル軸受隙間と、軸部材と軸方向に対向し、軸部材を接触支持する支持部を有するスラスト受け面とを備え、ラジアル軸受隙間に形成した潤滑膜で軸部材をラジアル方向で支持する流体動圧軸受装置において、支持部を除くスラスト受け面に、運転中は軸部材と非接触のストッパ部を設け、スラスト受け面側に向けて押込まれた軸部材がストッパ部と接触するまで、支持部が弾性変形可能であり、スラスト受け面およびスラスト受け面に対向する軸部材の面のうち、何れか一方の面に凹曲面を形成すると共に、他方の面に凹曲面よりも曲率半径の小さい凸曲面を形成し、内周に軸部材を収容する軸受スリーブと、内周面に軸受スリーブを固定した筒状の側部、及び側部の一端開口部を閉塞する底部とを有するハウジングとを設け、 軸部材の下端部に凸曲面を形成すると共に、ハウジングの底部の内部側端面に凹曲面を形成し、軸部材が、軸部と、軸部の端部に設けられたフランジ部とを有し、フランジ部の端面に、スラスト受け面へ向けて突出した凸曲面を形成したことを特徴とする。
このように、本発明の流体動圧軸受装置では、支持部を除くスラスト受け面に、軸受運転中は軸部材と非接触のストッパ部を設けている。軸部材がスラスト受け面に押し付けられると、スラスト受け面の支持部が弾性変形し、軸部材がストッパ部と接触する。これにより、スラスト受け面が軸部材から受ける荷重をストッパ部で受け持つことができるため、スラスト受け面における面圧を下げ、スラスト受け面の塑性変形を防止することができる。軸部材の荷重を解放すると、支持部は弾性復元し、軸部材とストッパ部とを非接触の状態に戻すことができる。このように、軸受運転中は軸部材とストッパ部とを非接触にすることで、軸受の回転トルクを低減することができる。
上記のような流体動圧軸受装置において、凸部の表面又は周囲に凹部を設ければ、この凹部が逃げ部として機能することにより、支持部の弾性変形時の内部応力が低減され、支持部の塑性変形をより確実に防止することができる。
例えば、スラスト受け面およびスラスト受け面に対向する軸部材の面のうち、何れか一方の面に凹曲面を形成すると共に、他方の面に凹曲面よりも曲率半径の小さい凸曲面を形成すれば、軸部材がスラスト受け面に押し付けられた際、凹曲面と凸曲面とを接触させることで面圧を低減することができる。また、この凹曲面の内径側に、前記凸曲面よりも曲率半径の小さい凸部を形成し、軸受運転中にこの凸部と凸曲面部とを接触させれば、軸受の回転トルクを低減することができる。尚、「凸曲面部」は、曲面状に突出した部分のことを言い、凸球面部や断面楕円弧状の曲面部を含む。同様に、「凹曲面部」は、曲面状に凹んだ部分のことを言い、凹球面部や断面楕円弧状の曲面部を含む。
以上のように、本発明によれば、軸部材をスラスト受け面で接触支持する流体動圧軸受装置において、軸部材やスラスト受け面の塑性変形を防止することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る流体動圧軸受装置1を組込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示している。このスピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、軸部材2を回転自在に支持する流体動圧軸受装置1と、軸部材2の上端部に固定されたディスクハブ3と、半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5と、モータブラケット6とを備えている。ステータコイル4はモータブラケット6の外周に取付けられ、ロータマグネット5はディスクハブ3の内周に取付けられている。流体動圧軸受装置1は、モータブラケット6の内周に固定される。ディスクハブ3には、情報記録媒体としてのディスクDが1枚又は複数枚(本実施形態では2枚)保持され、図示しないクランプ装置で固定される。ステータコイル4に通電すると、ロータマグネット5が回転し、これに伴って、ディスクハブ3およびディスクハブ3に保持されたディスクDが軸部材2と一体に回転する。
図2に示す流体動圧軸受装置1は、軸部材2と、内周に軸部材2を挿入した軸受スリーブ8と、内周面に軸受スリーブ8を固定され、軸方向一方に開口したハウジング7と、ハウジング7の開口部に配されたシール部9とを有する。尚、説明の便宜上、軸方向でハウジング7の開口側を上側、ハウジング7の閉塞側を下側と言うものとする。
軸部材2は、略円筒状の軸部2aと、軸部2aの下端に設けられたフランジ部2bとを有し、金属材料の機械加工、例えばステンレス鋼の旋削加工により一体に形成される。フランジ部2bの下側端面2b2には、中央部に球面状の凸曲面2cが設けられ、凸曲面2cの外周に平坦面が設けられる。軸部材2は上記に限らず、例えば軸部2aとフランジ部2bとを別体に形成してもよい。あるいは、軸部2a及びフランジ部2bを一体に形成した後、別体に形成した凸曲面2cをフランジ部2bの下側端面2b2に固定してもよい。
軸受スリーブ8は、例えば銅を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成される。この他、軸受スリーブ8を他の金属や樹脂、あるいはセラミック等で形成することも可能である。
軸受スリーブ8の内周面8aには、図4に示すように、ヘリングボーン形状の動圧溝8a1、8a2が、軸方向に離隔した2箇所の領域に形成される。上側の動圧溝8a1は軸方向非対称形状に形成され、具体的には、丘部(クロスハッチングで示す)の軸方向略中央部に設けられた帯状部分より上側の溝の軸方向寸法X1が、下側の溝の軸方向寸法X2よりも大きくなっている(X1>X2)。
軸受スリーブ8の外周面8dには、軸方向に延びる溝8d1が軸方向全長に亘って任意の本数形成される。この実施形態では、3本の軸方向溝8d1を円周方向等間隔に形成している。軸受スリーブ部の上側端面8bには、図4に示すように、V字断面の周方向溝8b1が全周に亘って形成され、周方向溝8b1の内径側には任意の本数の半径方向溝8b2が形成される。この周方向溝8b1及び半径方向溝8b2により、軸受スリーブ8の上側端面8bとシール部9の下側端面9bとの間に径方向の連通路が形成される(図2参照)。
軸受スリーブ8の下側端面8cは、軸部材2のフランジ部2bの上側端面2b1と軸方向隙間δを介して対向する(図2拡大図参照)。この軸受スリーブ8の下側端面と軸部材2のフランジ部2bの上側端面2b1とが軸方向で係合することにより、軸部材2の抜け止めが行われる。このとき、上記の軸方向隙間δが、軸部材2に許容される軸方向移動量となる。
ハウジング7は、略円筒状の側部7aと、側部7aの下端開口部を閉塞する底部7bとを有する。本実施形態では、側部7a及び底部7bが樹脂材料で一体に成形される。ハウジング7の樹脂材料は特に限定されず、例えば液晶ポリマー(LCP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の結晶性樹脂、あるいはポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)等の非晶性樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物が使用可能である。この樹脂材料には、目的に応じて各種充填剤を適量配合することができ、例えば、炭素繊維やガラス繊維等の繊維状充填材、チタン酸カリウム等のウィスカ状充填材、マイカ等の鱗片状充填材、カーボン繊維、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノマテリアル、各種金属粉等の繊維状または粉末状の導電性充填材などを配合することができる。
ハウジング7の側部7aの内周面7a1は、円筒面状に形成される。この内周面7a1に、軸受スリーブ8が、接着(ルーズ接着や圧入接着を含む)、圧入、溶着等の適宜の手段で固定される。
ハウジング7の底部7bの上側端面7b1(ハウジング7の内底面7b1)は、軸部材2をスラスト方向に支持するスラスト受け面Tとして機能する。図3(a)に示すように、スラスト受け面Tのうち、軸部材2の凸曲面2cとスラスト方向で対向する位置には、球面状の凹曲面7b10が形成される。この凹曲面7b10の中央部に、上方へ向けて突出した球面状の凸部7b11が形成される。凸部7b11は、軸部材2を接触支持する支持部として機能する。凸部7b11を除くスラスト受け面Tには、ストッパ部Pが設けられ、図示例では凸部7b11の周囲にストッパ部Pが設けられる。また、図示例において、凹曲面7b10の曲率半径r2は、凸曲面2cの曲率半径r1よりも大きく設定される(r2>r1)。また、凸部7b11の曲率半径r3は、凸曲面2cの曲率半径r1よりも小さく設定される(r3<r1)。凹曲面7b10及び凸部7b11は、例えばハウジング7の型成形と同時に形成することができる。凸部7b11の表面には、耐摩耗処理として、例えばフッ素樹脂コーティングなどの表面処理を施すことが好ましい。
ハウジング7の内周面7a1と内底面7b1との境界部には、段部7cが形成される。この段部7cの上端面7c1は、軸受スリーブ8の下側端面8cと非接触であり、軸方向隙間を介して対向している。また、段部7cの内周面7c2は、軸部材2のフランジ部2bの外周面と径方向隙間を介して対向している。
このように、ハウジング7に段部7cを設けることにより、軸受の内部空間の一部を埋めることができるため、軸受内部に満たされる潤滑油の総量を減じることができる。これにより、潤滑油の体積変化を吸収するシール空間Sの容積を縮小することが可能となり、シール部材9、ひいては流体動圧軸受装置1を小型化することが可能となる。あるいは、流体動圧軸受装置1の寸法を維持しながら、シール空間Sの容積を縮小した分だけラジアル軸受隙間の軸方向寸法を拡大し、軸受剛性を高めることができる。
また、段部7cと軸受スリーブ8の下側端面8cとが非接触であることにより、軸受スリーブ8の下側端面8cと軸部材2のフランジ部2bの上側端面2b1との間の軸方向隙間δを、例えば以下のようにして設定することができる。まず、軸部材2の下端部の凸曲面2cとハウジング7の内底面7b1の凸部7b11とを接触させた状態で、軸受スリーブ8の下側端面8cと軸部材2のフランジ部2bの上側端面2b1とを接触させる。すなわち、軸方向隙間δが0の状態とする。そして、軸部材2を上方へ引っ張り、フランジ部2bの上側端面2b1と軸受スリーブ8の下側端面8cとを軸方向で係合させて、軸受スリーブ8を上方へ移動させる。軸部材2を軸方向隙間δの設定値の分だけ引き上げたら、引き上げを終了し、これにより軸方向隙間δが設定される。この方法によれば、軸部材2の引き上げ量(あるいは軸受スリーブ8の移動量)を管理することにより、軸受スリーブ8の寸法精度に関わらず、軸方向隙間δを高精度に設定することができる。
シール部9は、例えば樹脂材料で環状に形成され、ハウジング7の内周面7a1に圧入や接着等の適宜の手段で固定される。シール部9の内周面9aは、上方へ向けて漸次拡径したテーパ面状に形成される。これにより、シール部9の内周面9aと軸部材2の外周面2a1との間に、下方へ向けて径方向寸法を漸次縮小した楔状のシール空間Sが形成される。シール部9で密封されたハウジング7の内部空間には、潤滑油が注油され、ハウジング7内が潤滑油で満たされる(図2中の散点領域)。シール空間Sには、軸受内部に満たされた潤滑油の油面(気液界面)が形成され、楔状のシール空間Sの毛細管力の引き込み作用により、油面は常にシール空間Sに保持される。シール空間Sの容積は、温度変化に伴って軸受内部に充満した潤滑油が膨張、収縮した場合でも、潤滑油の油面が常にシール空間Sの範囲内に保持できるように設定される。
上記のような流体動圧軸受装置1において、軸部材2にディスクハブ3を固定する際、あるいはディスクハブ3にディスクDを装着する際には、軸部材2の下端部がハウジング7の内底面7b1(スラスト受け面T)に押し付けられる。具体的には、軸部材2の下端面2b2に設けた凸曲面2cが、ハウジング7の内底面7b1に設けた凸部7b11に押し付けられる。そして、図3(b)に示すようにハウジング7の凸部7b11が弾性変形し、軸部材2の凸曲面2cがストッパ部Pと接触する。このように、スラスト受け面Tが軸部材2から受ける荷重をストッパ部Pで受けることにより、スラスト受け面Tの面圧が低減され、スラスト受け面Tの塑性変形を防止することができる。ディスクハブ3の装着が完了し、軸部材2に加えられていた荷重が解放されると、スラスト受け面Tの凸部7b11が弾性復元する。すなわち、図3(b)に示す状態で、凸部7b11が弾性変形範囲内となるように、ハウジング7の材料や凸部7b11の高さ等を設定すればよい。
上記構成の流体動圧軸受装置1において、軸部材2が回転すると、軸受スリーブ8の内周面8aと軸部2aの外周面2a1との間にラジアル軸受隙間が形成され、このラジアル軸受隙間の潤滑油の圧力が動圧溝8a1、8a2により高められる。このように、動圧溝8a1、8a2の動圧作用によって圧力の高められた流体膜で、軸部材2をラジアル方向に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1及び第2ラジアル軸受部R2が構成される。
また、軸部材2の下端面2b2に形成された凸曲面2cが、ハウジング内底面7b1(スラスト受け面T)に形成された凸部7b11(支持部)と接触摺動することにより、軸部材2がスラスト方向に支持される。このように、凸部7b11と凸曲面2cとを軸方向でつき合わせて接触させることにより、軸部材2とスラスト受け面Tとの接触面積を小さくすることができるため、回転トルクの低減が図られる。
また、ハウジング閉塞側の空間(軸部材2の下端面2b2とハウジング7の内底面7b1との間の隙間)と、ハウジング7の開口側に形成されるシール空間Sとの間が、軸方向溝8d1や半径方向溝8b2等を介して連通状態となる。これによれば、何らかの理由でハウジング閉塞側の空間の潤滑油の圧力が過度に高まり、あるいは低下するといった事態を避けて、軸部材2をスラスト方向に安定して支持することが可能となる。
また、この実施形態では、第1ラジアル軸受部R1の動圧溝8a1が軸方向非対称(X1>X2)に形成されているため(図4参照)、軸部材2の回転時、動圧溝8a1の上側の溝による潤滑油の引き込み力(ポンピング力)は、下側の溝の引き込み力に比べて相対的に大きくなる。そして、この引き込み力の差圧によって、軸受スリーブ8の内周面8aと軸部2aの外周面2a1との間の隙間に満たされた潤滑油が下方に流動し、軸受スリーブ8の下側端面8cが面する隙間→軸方向溝8d1→軸受スリーブ8の上側端面8bとシール部9の下側端面9bとの間の連通路という経路を循環して、再びラジアル軸受隙間に引き込まれる。このように、潤滑油がハウジング7の内部空間を流動循環するように構成することで、軸受内部の圧力バランスが適正に保たれる。これにより、潤滑油の負圧発生に伴う気泡の生成を防止し、これに伴う潤滑油の漏れや振動の発生等の問題を解消することができる。
本発明は上記の実施形態に限られない。以下、本発明の他の実施形態を説明する。尚、以下の説明において、上記の実施形態と同様の構成、機能を有する部位には、同一の符号を付して説明を省略する。
図5に示す実施形態では、ハウジング内底面7b1(スラスト受け面T)のうち、凹曲面7b10の外径側に設けられた平面部がストッパ部Pとして機能する。軸部材2に大きな下向きの荷重が加わると、図5(b)に示すように、ハウジング内底面7b1の凸部7b11(支持部)の一部又は全部が弾性変形し、軸部材2がストッパ部Pと接触する。このように、軸部材2の下端面2b2の平面部とスラスト受け面Tの平面部とを面接触させることにより、軸部材2とスラスト受け面Tとの接触部における面圧を大幅に下げることができる。軸部材の荷重を解放すると、凸部7b11が弾性復元し、図5(a)の状態に戻る。すなわち、図5(b)に示す状態で、凸部7b11が弾性変形範囲内となるようにハウジング7の材料や凸部7b11の高さ等を設計すればよい。
図6に示す実施形態では、凹曲面7b10の内部に凸部が形成されていない点で、上記の実施形態と異なる。本実施形態では、軸部材2の凸曲面2cと、スラスト受け面Tとしてのハウジング内底面7b1に形成された凹曲面7b10とが接触摺動することにより、軸部材2がスラスト方向に支持される。すなわち、凹曲面7b10が支持部として機能する。図示例では、図5の実施形態と同様に、ハウジング内底面7b1(スラスト受け面T)のうち、凹曲面7b10の外径側に設けられた平面部がストッパ部Pとして機能する。軸部材2に大きな下向き荷重が加わると、図6(b)に示すように、凹曲面7b10が弾性変形し、軸部材2がストッパ部Pと接触する。軸部材2の荷重を解放すると、凹局面7b10が弾性復元し、図6(a)の状態に戻る。すなわち、図6(b)に示す状態で、凹曲面7b10が弾性変形範囲内となるように、ハウジングの材料や凹曲面7b10の深さ等を設計すればよい。
図7及び図8に示す実施形態では、スラスト受け面Tに設けられている支持部としての凸部7b11、あるいはその周囲に、凹部が設けられている。図7は、凸部7b11の周囲に凹部として環状の溝部7d1を設けた例であり、図8は、凸部7b11の外周面の複数箇所に凹部として楔状の穴7d2を設けた例である。凸部7b11が軸部材2で上方から押圧されて弾性変形したとき、溝部7d1や穴7d2が逃げ部として機能し、凸部7b11の内部応力が低減される。これにより、凸部7b11、ひいてはスラスト受け面Tの塑性変形を防止することができる。凹部の形状や形成箇所は上記に限らず、例えば凸部7b11の外周面に球面状の凹部をランダムに設けたり、外周面に環状の溝部を設けたりしてもよい。あるいは、凸部7b11の外周面及び周囲の双方に、上記のような凹部を設けても良い。
以上の実施形態では、軸部材2の下端面2b2に凸曲面2cが設けられているが、これとは逆に、ハウジング内底面7b1に凸曲面を設けてもよい。また、以上の実施形態では、ハウジング7の内底面7b1に凹曲面7b10や凸部7b11が設けられているが、これとは逆に、軸部材2の下端面2b2に凹曲面や凸部を設けてもよい。
また、以上の実施形態では、凸曲面、凹曲面、及び凸部が何れも球面状に形成されているが、これに限らず、例えばこれらを断面楕円弧状の曲面とすることもできる。
また、以上の実施形態では、ラジアル動圧発生部としてヘリングボーン形状の動圧溝8a1、8a2が形成されているが、これに限らず、例えばスパイラル形状の動圧溝やステップ軸受、あるいは多円弧軸受を採用してもよい。また、動圧発生部を設けず、軸部2aの外周面2a1及び軸受スリーブ8の内周面8aを共に円筒面としたいわゆる真円軸受を構成してもよい。また、以上の実施形態では、ラジアル動圧発生部が軸受スリーブ8の内周面8aに形成されているが、この面とラジアル軸受隙間を介して対向する軸部2aの外周面2a1に動圧発生部を設けてもよい。
また、以上の実施形態では、ラジアル軸受部R1、R2が軸方向で離隔して設けられているが、これらを軸方向で連続的に設けてもよい。あるいは、これらの何れか一方のみを設けてもよい。
また、以上の実施形態では、流体動圧軸受装置1の内部に充満する流体として潤滑油を例示したが、それ以外にも軸受隙間に動圧作用を発生可能な流体、例えば空気等の気体や、磁性流体、あるいは潤滑グリース等を使用することもできる。
また、本発明の方法で製造された流体動圧軸受装置は、上記のようにHDD等のディスク駆動装置に用いられるスピンドルモータに限らず、光ディスクや光磁気ディスク駆動用のスピンドルモータ等の高速回転下で使用される情報機器用の小型モータや、レーザビームプリンタのポリゴンスキャナモータ、あるいは電気機器のファンモータ等に好適に使用することができる。
流体動圧軸受装置を組み込んだモータの断面図である。 流体動圧軸受装置の断面図である。 (a)は、図2のA部分の拡大図であり、(b)は、(a)図の軸部材とストッパ部を接触させた状態を示す拡大断面図である。 軸受スリーブの断面図である。 (a)は、他の実施形態に係る流体動圧軸受装置の拡大断面図であり、(b)は、(a)図の軸部材とストッパ部を接触させた状態を示す拡大断面図である。 (a)は、他の実施形態に係る流体動圧軸受装置の拡大断面図であり、(b)は、(a)図の軸部材とストッパ部を接触させた状態を示す拡大断面図である。 凸部の周囲に凹部を形成した例を示す断面図である。 凸部の外周面に凹部を形成した例を示す断面図である。
符号の説明
1 流体動圧軸受装置
2 軸部材
2a 軸部
2b フランジ部
2c 凸曲面
3 ディスクハブ
7 ハウジング
7b1 内底面(スラスト受け面T)
7b10 凹曲面
7b11 凸部(支持部)
8 軸受スリーブ
9 シール部
R1、R2 ラジアル軸受部
S シール空間
D ディスク
P ストッパ部

Claims (6)

  1. 軸部材と、軸部材の外周面に面したラジアル軸受隙間と、軸部材と軸方向に対向し、軸部材を接触支持する支持部を有するスラスト受け面とを備え、ラジアル軸受隙間に形成した潤滑膜で軸部材をラジアル方向で支持する流体動圧軸受装置において、
    支持部を除くスラスト受け面に、運転中は軸部材と非接触のストッパ部を設け、スラスト受け面側に向けて押込まれた軸部材がストッパ部と接触するまで、支持部が弾性変形可能であり、
    スラスト受け面およびスラスト受け面に対向する軸部材の面のうち、何れか一方の面に凹曲面を形成すると共に、他方の面に前記凹曲面よりも曲率半径の小さい凸曲面を形成し、
    スラスト受け面の中央部に前記凹曲面を形成すると共に、前記凹曲面の外周に平坦面を形成し、この平坦面を前記ストッパ部とした流体動圧軸受装置。
  2. 軸部材と、軸部材の外周面に面したラジアル軸受隙間と、軸部材と軸方向に対向し、軸部材を接触支持する支持部を有するスラスト受け面とを備え、ラジアル軸受隙間に形成した潤滑膜で軸部材をラジアル方向で支持する流体動圧軸受装置において、
    支持部を除くスラスト受け面に、運転中は軸部材と非接触のストッパ部を設け、スラスト受け面側に向けて押込まれた軸部材がストッパ部と接触するまで、支持部が弾性変形可能であり、
    スラスト受け面およびスラスト受け面に対向する軸部材の面のうち、何れか一方の面に凹曲面を形成すると共に、他方の面に前記凹曲面よりも曲率半径の小さい凸曲面を形成し、
    内周に軸部材を収容する軸受スリーブと、内周面に軸受スリーブを固定した筒状の側部、及び側部の一端開口部を閉塞する底部とを有するハウジングとを設け、 軸部材の下端部に前記凸曲面を形成すると共に、ハウジングの底部の内部側端面に前記凹曲面を形成し、
    軸部材が、軸部と、軸部の端部に設けられたフランジ部とを有し、フランジ部の端面に、スラスト受け面へ向けて突出した前記凸曲面を形成した流体動圧軸受装置。
  3. 前記凹曲面の内径側に、前記凸曲面よりも曲率半径の小さい凸部を形成した請求項1又は2記載の流体動圧軸受装置。
  4. 前記凸部の表面に凹部を形成した請求項3記載の流体動圧軸受装置。
  5. 前記凸部の周囲に凹部を設けた請求項3記載の流体動圧軸受装置。
  6. 軸部材をステンレス鋼で形成すると共に、スラスト受け面を樹脂で形成した請求項1又は2記載の流体動圧軸受装置。
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