JP5101122B2 - 動圧軸受装置 - Google Patents

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Description

本発明は、軸受隙間に生じる潤滑膜の動圧作用で、軸部材を回転自在に支持する動圧軸受装置及びその製造方法に関する。
この種の動圧軸受装置は、情報機器、例えばHDD等の磁気ディスク駆動装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク駆動装置、MD、MO等の光磁気ディスク駆動装置等のスピンドルモータ、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、プロジェクタのカラーホイール用モータ、あるいは電気機器、例えばファンモータなどの小型モータ等に好適に使用可能である。
このような動圧軸受装置として、例えば特許文献1に示されている動圧軸受装置は、軸方向両端に開口した略円筒形状のハウジングと、ハウジングの内周に固定された軸受スリーブと、軸受スリーブの内周に挿入された軸部材と、軸部材に外径へ突出して設けられ、軸受スリーブの軸方向両端側に配された2個のシール部とを備える。この両シール部の外周面とハウジングの内周面との間には、それぞれシール空間が形成され、これにより軸受内部に充填された潤滑油の外部への漏れ出しを防止している。
特開2006−292013号公報
しかしながら、特許文献1の構成によると、両シール空間が軸受外部にむき出しとなる。このような動圧軸受装置を例えばHDD用のディスク駆動装置のスピンドルモータに組み込んだ際、一方のシール空間はディスクハブで覆われるが、他方のシール空間はモータの外部に露出する。このため、他方のシール空間内に保持された油面から潤滑油が飛散、蒸発したり、外部の異物が他端側の油面から軸受内部へ混入したりすることで、周辺の汚染や潤滑油不足、あるいは軸受性能の低下を招く恐れがある。これらの不具合を防止するためには、外部に露出した側のシール空間をカバー等で覆えばよいが、かかるカバーを別途形成して動圧軸受装置に取り付けると、生産効率の低下及びコストの高騰を招くことになる。
そこで、本発明は、軸受スリーブの軸方向両端側にシール空間を有する動圧軸受装置において、周辺の汚染、潤滑油不足、あるいは軸受性能の低下を低コストに防止することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の動圧軸受装置は、ハウジングと、ハウジングの内周面に固定された軸受スリーブと、軸受スリーブの内周に挿入された軸部材と、軸受スリーブの内周面と軸部材の外周面との間に形成されたラジアル軸受隙間と、軸部材から外径に突出した第1シール部及び第2シール部と、第1シール部の外周に形成され、ラジアル軸受隙間の一端に連通する第1シール空間と、第2シール部の外周に形成され、ラジアル軸受隙間の他端に連通する第2シール空間とを備え、少なくとも第2シール部の軸方向他端側の端面に撥油剤が塗布された動圧軸受装置であって、ハウジングが底部及び側部を一体に樹脂で射出成形され、第2シール空間の大気開放側をハウジング底部で覆い、ハウジングの底部の軸心に、ハウジングの外部空間と第2シール空間を連通する通気孔を設け、前記通気孔が、ハウジングの射出成形後のゲートカット跡の除去により形成されたことを特徴とする。
このように、本発明の動圧軸受装置では、ハウジングが底部及び側部を一体に有し、軸受スリーブの軸方向両端側に形成された第1及び第2シール空間のうち、一方のシール空間の大気開放側をハウジング底部で覆うことにより、軸受内部の潤滑剤(例えば潤滑油)の飛散や蒸発、あるいは軸受内部への異物の侵入を防止している。これにより、カバー等を別途装着するよりも簡易且つ低コストな方法で、周辺の汚染、潤滑油不足、及び軸受性能の低下を防止することができる。
また、この動圧軸受装置では、軸受スリーブの他端側、すなわちハウジングの底部側にもシール空間が形成されるため、シール空間内に保持される油面とハウジングの底部との間に潤滑油で満たされない空間が形成される(図2にQで示す)。この空間の分だけ軸受内部に注入される潤滑油の量を減じることができるため、潤滑油の高温時の体積膨張を吸収するシール空間の容積を縮小することができ、動圧軸受装置の軸方向寸法の縮小が図られる。あるいは、装置の軸方向寸法を拡大することなく軸方向の軸受スパンを拡大することができ、軸受剛性の向上が図られる。
このような動圧軸受装置の内部空間への潤滑油の注入は、例えばいわゆる滴下含油により行うことができる。具体的には、動圧軸受装置を減圧環境下に曝した状態でハウジング開口部に潤滑油を滴下し、その後大気圧に戻すことにより、潤滑油がハウジング開口側のシール空間から軸受の内部空間へ引き込まれる。このとき、ハウジング閉塞側の空間、すなわち一方のシール空間の大気開放側でハウジング底部に覆われた空間(図2にQで示す)が完全に密閉されていると、潤滑油を注入した後もこの空間が減圧状態となるため、油面(気液界面)をシール空間内に保持することが困難となる。そこで、ハウジングの底部又は軸部材にハウジングの外部空間に連通する通気孔を設けると、上記のハウジング閉塞側の空間の圧力をハウジングの外部空間と同じ圧力に保つことができ、油面をシール空間内に保持することが可能となる。
この動圧軸受装置のハウジングを、動圧軸受装置を収容するためのベースと一体成形すると、部材数及び工程数が削減され、低コスト化及び製造時間の短縮が図られる。
このような動圧軸受装置と、ステータコイルと、ロータマグネットとを有するモータは、潤滑油で周辺を汚染することなく、且つ、優れた回転精度及び軸受性能を有する。
以上のように、本発明によると、軸受スリーブの軸方向両端側にシール空間を有する動圧軸受装置において、周辺の汚染、潤滑油不足、あるいは軸受性能の低下を低コストに防止することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる動圧軸受装置1を組込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示している。この情報機器用スピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、動圧軸受装置1と、動圧軸受装置1の軸部材2に取り付けられたロータ(ディスクハブ)3と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5と、これらを収容するベース6とを備えている。本実施形態では、ベース6が動圧軸受装置1のハウジング7と一体成形されている。ステータコイル4はハウジング7の外周に取り付けられ、ロータマグネット5は、ディスクハブ3の内周に取り付けられている。ディスクハブ3は、その外周に磁気ディスク等のディスクDを一枚または複数枚保持する。ステータコイル4に通電すると、ステータコイル4とロータマグネット5との間に発生する電磁力でロータマグネット5が回転し、それに伴ってディスクハブ3、および軸部材2が一体となって回転する。
図2は、上記スピンドルモータで使用される動圧軸受装置1を示すものである。この動圧軸受装置1は、軸部材2、及び軸部材2に固定された第1シール部9および第2シール部10と、内周に軸部材2を挿入した軸受スリーブ8と、軸受スリーブ8を内周に保持したコップ状のハウジング7とで構成されている。なお、以下では、説明の便宜上、ハウジング7の開口側を上側、閉塞側を下側として説明を進める。
この動圧軸受装置1では、詳細は後述するが、軸受スリーブ8の内周面8aと軸部材2の外周面2aとの間に第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2とが軸方向に離隔して設けられる。また、軸受スリーブ8の上側端面8bと第1シール部9の下側端面9bとの間に第1スラスト軸受部T1が設けられ、軸受スリーブ8の下側端面8cと第2シール部10の上側端面10bとの間に第2スラスト軸受部T2が設けられる。また、第1シール部9の外周面9a及び第2シール部10の外周面10aとハウジング7の内周面7a1との間に、それぞれ第1シール空間S1及び第2シール空間S2が形成される。
軸部材2は、例えばステンレス鋼等の金属材料で形成される。軸部材2は全体として概ね同径の軸状をなし、その中間部分には、他所よりも僅かに小径に形成した逃げ部2bが形成されている。軸部材2の外周面2aのうち、第1および第2シール部9、10の固定位置には、凹部、例えば円周溝2cが形成されている。
第1シール部9および第2シール部10は、金属材料の切削加工やプレス加工、あるいは樹脂材料の射出成形等により同形状のリング状に形成され、その外周面は軸方向一方に向けて拡径したテーパ面を呈する。各シール部9、10は、前記テーパ面の拡径側が軸受内部側となるように配される。第1シール部9及び第2シール部10のテーパ状外周面9a、10aとハウジング7の内周面7a1との間に、それぞれ第1シール空間S1及び第2シール空間S2が形成される。なお、第1シール空間S1及び第2シール空間S2はハウジング内周面7a1に保持された別部材との間で形成しても良い。また、第1シール部9および第2シール部10を軸部材2に対するインサート成形で形成しても良い。さらに、いずれか一方を軸部材2と一体にした構成とすることもできる。
軸受スリーブ8は、例えば、焼結金属からなる多孔質体、特に銅を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成され、ハウジング7の内周面7a1の所定位置に圧入、接着、あるいは圧入接着等の手段で固定される。なお、軸受スリーブ8は、焼結金属以外にも、樹脂等他の多孔質体材料や、多孔質体ではない銅合金等のメタル材料で形成することもできる。
軸受スリーブ8の内周面8aには、第1ラジアル軸受部R1及び第2ラジアル軸受部R2のラジアル軸受面となる上下2つの領域が軸方向に離隔して設けられ、該2つの領域には、例えば図3(a)に示すようなヘリングボーン形状の動圧溝8a1、8a2がそれぞれ形成される。また、軸受スリーブ8の外周面8dには、1箇所もしくは複数箇所(図3に示す例では円周方向等間隔位置の3本)の軸方向溝8d1が形成される。
軸受スリーブ8の上側端面8bには、第1スラスト軸受部T1の第1スラスト軸受面となる領域が設けられ、この領域には、例えば図3(b)に示すようなスパイラル形状の動圧溝8b1が形成される。また、軸受スリーブ8の下側端面8cには、第1スラスト軸受部T1の第2スラスト軸受面となる領域が設けられ、この領域には、例えば図3(c)に示すようなスパイラル形状の動圧溝8c1が形成される。
ハウジング7は、例えば、樹脂材料を射出成形して形成される。ハウジング7を形成する樹脂は主に熱可塑性樹脂であり、例えば、非晶性樹脂として、ポリサルフォン(PSU)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリエーテルイミド(PEI)等、結晶性樹脂として、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等を用いることができる。また、上記の樹脂に充填する充填材の種類も特に限定されないが、例えば、充填材として、ガラス繊維等の繊維状充填材、チタン酸カリウム等のウィスカー状充填材、マイカ等の鱗片状充填材、カーボンファイバー、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノマテリアル、金属粉末等の繊維状又は粉末状の導電性充填材を用いることができる。これらの充填材は、単独で用い、あるいは、二種以上を混合して使用しても良い。この実施形態では、ハウジング7を形成する材料として、結晶性樹脂としての液晶ポリマー(LCP)に、導電性充填材としてのカーボンファイバー又はカーボンナノチューブを2〜8wt%配合した樹脂材料を用いている。
この他、黄銅やアルミニウム合金等の軟質金属材料、その他の金属材料でハウジング7を形成することもできる。
ハウジング7は、側部7a及び底部7bを一体に有するコップ状に形成される。ハウジング7の外周面7a2には、ステータコイル4を軸方向で位置決めするための肩面7a3が形成される。ハウジング7の底部7bには、底部7bを軸方向に貫通する通気孔7b2が形成される。この通気孔7b2は、例えば、ハウジング7の射出成形後のゲートカット跡の除去と同時に形成することができる。この通気孔7b2の大きさ(内径)は、内部を空気が流通可能な範囲内で、できるだけ小さく形成することが望ましい。これは、ハウジング底部7bで閉塞される空間Qをハウジングの外部空間と連通すると共に、閉塞側のシール空間S2内に保持された油面P2からの潤滑油の蒸発や、空間Q内への異物の侵入をできるだけ抑えるためである。また、通気孔7b2の形成箇所及び数は、空間Qとハウジングの外部空間とを連通可能である限り特に限定されない。具体的には、ハウジング底部7bのうちハウジング内周面7a1よりも内径側の領域の任意箇所に任意の数だけ通気孔7b2を形成することができる。ただし、通気孔7b2からの異物の侵入をできるだけ防止したいこと、また、万が一通気孔7b2から異物が侵入したときでも、その異物が油面P2に到達して油に混入する事態を極力回避したいことを考慮すると、本実施形態のように、底部7bの軸心の一箇所に通気孔7b2を設け、油面P2と通気孔7b2とを最大限離すことが望ましい。
以上のように、本実施形態の動圧軸受装置1は、フランジ部を有さないストレート形状の軸部材2、円筒形状の軸受スリーブ8、同一形状を有する第1及び第2シール部9、10を備える。このように、動圧軸受装置1を構成する部材の形状が単純化されることにより、製造コストの低減が図られる。また、モータを収容するベース6をハウジング7と一体成形することにより、モータの部品数及び製造工程数が削減され、製造コストの低減及び生産性の向上が図られる。
この動圧軸受装置1の内部空間に、潤滑剤として例えば潤滑油が注入され、第1シール空間S1及び第2シール空間S2にそれぞれ油面(気液界面)P1及びP2が形成される。第1および第2シール空間S1、S2は、ハウジング7の内部空間に充填された潤滑油の温度変化に伴う容積変化量を吸収するバッファ機能を有する。想定される温度変化の範囲内では、油面は常時両シール空間S1、S2内にある。これを実現するために、両シール空間S1、S2の容積の総和は、少なくとも内部空間に充満された潤滑油の温度変化に伴う容積変化量よりも大きく設定される。
この動圧軸受装置1において、軸部材2が回転すると、軸受スリーブ8の内周面8aのラジアル軸受面(動圧溝8a1、8a2形成領域)と軸部材2の外周面2aとの間に、ラジアル軸受隙間が形成される。また、軸受スリーブ8の上側端面8bのスラスト軸受面(動圧溝8b1形成領域)と第1シール部9の下側端面9bとの間、及び軸受スリーブ8の下側端面8cのスラスト軸受面(動圧溝8c1形成領域)と第2シール部10の上側端面10bとの間に、それぞれスラスト軸受隙間が形成される。そして、軸部の回転に伴い、動圧溝8a1、8a2が上記ラジアル軸受隙間の潤滑油に動圧作用を発生させ、軸部材2をラジアル方向に回転自在に非接触支持するラジアル軸受部R1、R2が構成される。同時に、動圧溝8b1、8c1が上記スラスト軸受隙間の潤滑油に動圧作用を発生させ、軸部材2およびシール部9、10をスラスト方向に回転自在に非接触支持するスラスト軸受部T1、T2が構成される。
これと同時に、第1シール部9の外周面9aとハウジング7の上端開口部の内周面7a1との間に、所定の容積をもった第1シール空間S1が形成されると共に、第2シール部10の外周面10aとハウジング7の下端開口部の内周面7a1との間に、所定の容積をもった第2シール空間S2が形成される。この実施形態において、第1シール部9の外周面9aおよび第2シール部10の外周面10aは、それぞれ軸受装置の内部側に向けて漸次拡径したテーパ面状に形成されるため、両シール空間S1、S2は、互いに接近する方向に漸次縮小したテーパ形状を呈する。軸部材2の回転時、両シール空間S1、S2内の潤滑油は毛細管力による引き込み作用と、回転時の遠心力による引き込み作用とにより、シール空間が狭くなる方向に向けて引き込まれる。これにより、ハウジング7の内部からの潤滑油の漏れ出しが効果的に防止される。油漏れをより確実に防止するため、ハウジング7の上側端面7a4、内底面7b1、第1シール部9の上側端面9c、および第2シール部10の下側端面10cにそれぞれ撥油剤の被膜を形成することもできる。
本発明では、上記のように、第2シール空間S2の大気開放側(図中下側)をハウジング7の底部7bで覆っている。これにより、動圧軸受装置1をモータに組み込んだ際に、第2シール空間S2内に保持された油面がモータの外部に露出することを防ぎ(図1参照)、この油面からの潤滑油の飛散や蒸発、あるいは軸受内部への異物の侵入を防止することができるため、長期間に亘って優れた潤滑性及び軸受性能を維持することができる。
また、ハウジング7の底部7bに通気孔7b2を形成することにより、ハウジング7の底部7bで覆われた空間(図2にQで示す)の圧力をハウジングの外部空間と同じ圧力に保つことができる。これにより、軸受の内部空間に潤滑油を注入した際、シール空間S2内に油面P2を保持することができる。
また、この動圧軸受装置1では、軸受スリーブ8の外周面8dに軸方向溝8d1を設けている。これにより、この軸方向溝8d1を介して、第1スラスト軸受部T1の外径端と第2スラスト軸受部T2の外径端とを連通することができるため、軸受内部における潤滑油の偏在、あるいは局部的な負圧の発生に伴う気泡の生成を防止することができる。尚、本実施形態では、図3(a)に示すように、軸受スリーブ8の内周面8aに形成された動圧溝8a1、8a2がそれぞれ軸方向で対称形状に形成されているが、これらの一方又は双方を軸方向で非対称形状に形成してもよい。例えば、図示は省略するが、動圧溝8a1を、その中間部に形成された環状平滑部よりも上側の溝を下側の溝よりも長く形成すれば、下向きのポンピング力が上向きのポンピング力よりも大きくなり、ラジアル軸受隙間の潤滑油が下方に押込まれる。これにより、軸受内部の潤滑油が、第2スラスト軸受部T2のスラスト軸受隙間→軸方向溝8d1→第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間という経路を介して、再びラジアル軸受隙間に引き込まれる。このように、軸受内部の潤滑油を強制的に循環させることにより、潤滑油の偏在等をより確実に防止することができる。
また、この動圧軸受装置1では、ハウジング7の内底面7b1はスラスト軸受部を構成しないため、内底面7b1に要求される面精度はそれ程高くない。従って、例えば樹脂の成形収縮による内底面7b1の寸法変化が大幅に許容されるため、例えばハウジング底部7bを厚肉化してハウジング7の強度向上を図ることができる。一方、この動圧軸受装置1では、軸部材2に固定されたシール部9、10と軸受スリーブ8とが係合することで軸部材2の軸方向移動が規制されるため、軸部材2がハウジング7の底部7bに突き当たることがない。従って、底部7bにはそれ程高い強度が要求されないため、底部7bを薄肉化して軽量化及び低コスト化を図ることもできる。
以下に、動圧軸受装置1の組立方法を、図4を用いて説明する。
まず、軸部材2の外周面2aのうち、第2シール部材10が固定される予定領域に熱硬化性接着剤を塗布し、この部分に第2シール部材10を嵌合する。この第2シール部10の下側端面10c及び軸部材2の下端面2dを基台11の上に載置し、これらの面を面一の状態とする。この状態で、軸受スリーブ8を軸部材2の上方(基台11と軸方向反対側)より嵌合し、第2シール部10の上側端面10bに軸受スリーブ8の下側端面8cを当接させる。そして、軸部材2の外周面2aのうち、第1シール部材9が固定される予定領域に熱硬化性接着剤を塗布し、この部分に第1シール部材9を上方より嵌合する。このとき、軸受スリーブ8の上側端面8bと第1シール部9の下側端面9bとの間の隙間δが、第1及び第2スラスト軸受部のスラスト軸受隙間の隙間幅の合計量と等しくなるように設定する。この状態で、軸部材2を加熱処理(ベーキング)することで接着剤を硬化させ、シール部9、10を軸部材2に固定することにより、各スラスト軸受隙間の隙間幅を設定することができる。このとき、軸部材2に塗布した接着剤が、接着剤溜まりとしての円周溝2cに充填されて固化することにより、シール部9、10の軸部材2に対する接着強度が向上する。以上により、軸部材2、シール部9、10、及び軸受スリーブ8のサブアッシ品が組み立てられる。
上記のサブアッシ品をハウジング7の内周面7a1に挿入し、軸受スリーブ8の外周面をハウジング7の内周面7a1に固定する。軸受スリーブ8のハウジング7に対する固定は、接着、圧入、接着と圧入の併用、溶着(超音波溶着)等の適宜の手段によって行うことができる。このようにして組み立てられた動圧軸受装置1の内部空間に、軸受スリーブ8の内部気孔も含め、例えば滴下含油により潤滑油が注入される。このとき、ハウジング底部7bに通気孔7b2が設けられていることにより、ハウジング閉塞側の空間Qをハウジングの外部空間と同じ圧力に保つことができるため、油面P2をシール空間S2内に保持することができる。また、注油方法はこれに限らず、例えば減圧環境下で動圧軸受装置1全体を潤滑油中に浸漬することで注油する、いわゆる浸漬含油を採用することもできる。このとき、ハウジング閉塞側の空間Qに侵入した不要な潤滑油は、通気孔7b2を介して外部へ排出される。以上により、動圧軸受装置1が完成する。
図5に、参考例として、軸部材2に、軸部材2を軸方向に貫通する通気孔2eを形成した構成を示す。尚、図5に示す参考例に係る動圧軸受装置1のその他の構成は、図2に示す実施形態に係る動圧軸受装置1と同様であるため、説明を省略する。
以上の実施形態では、ラジアル軸受部R1、R2及びスラスト軸受部T1、T2の動圧発生部がそれぞれ軸受スリーブ8の内周面8a、上側端面8b、及び下側端面8cに形成されているが、これらの面と軸受隙間を介して対向する面、すなわち軸部材2の外周面2a、第1シール部9の下側端面9b、及び第2シール部10の上側端面10bに形成してもよい。
また、以上の実施形態では、ラジアル軸受部R1、R2およびスラスト軸受部T1、T2として、ヘリングボーン形状やスパイラル形状の動圧溝により潤滑油の動圧作用を発生させる構成を例示しているが、ラジアル軸受部R1、R2として、いわゆるステップ軸受や、波型軸受、あるいは多円弧軸受を採用することもでき、スラスト軸受部T1、T2としてステップ軸受や波型軸受を採用することもできる。さらには、ラジアル軸受部R1、R2として、動圧発生部を有しない、いわゆる真円軸受を採用することもできる。
また、以上の実施形態では、ラジアル軸受部R1、R2が軸方向に離隔して設けられているが、これらを軸方向で連続的に設けても良い。あるいは、これらの何れか一方のみを設けてもよい。
また、以上の実施形態では、動圧軸受装置の内部空間に充満される潤滑剤として潤滑油が使用されているが、これに限らず、潤滑グリース、あるいは磁性流体等任意の潤滑流体を使用することもできる。
また、本発明の動圧軸受装置は、上記のようにHDD等のディスク駆動装置に用いられるスピンドルモータに限らず、光ディスクの光磁気ディスク駆動用のスピンドルモータ等、高速回転下で使用される情報機器用の小型モータ、レーザビームプリンタのポリゴンスキャナモータ等における回転軸支持用、あるいは電気機器の冷却用のファンモータとしても好適に使用することができる。
本発明にかかる動圧軸受装置を組込んだHDD用スピンドルモータの断面図である。 本発明にかかる動圧軸受装置の断面図である。 (a)は、軸受スリーブの断面図、(b)は、軸受スリーブを(a)図のb方向から見た図、(c)は、軸受スリーブを(a)図のc方向から見た図である。 軸部材、シール部、及び軸受スリーブの組み付け方法を示す断面図である。 参考例にかかる動圧軸受装置を示す断面図である。
符号の説明
1 動圧軸受装置
2 軸部材
3 ディスクハブ
4 ステータコイル
5 ロータマグネット
6 ベース
7 ハウジング
7a 側部
7b 底部
7b2 通気孔
8 軸受スリーブ
9 第1シール部
10 第2シール部
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部
S1 第1シール空間
S2 第2シール空間

Claims (3)

  1. ハウジングと、ハウジングの内周面に固定された軸受スリーブと、軸受スリーブの内周に挿入された軸部材と、軸受スリーブの内周面と軸部材の外周面との間に形成されたラジアル軸受隙間と、軸部材から外径に突出した第1シール部及び第2シール部と、第1シール部の外周に形成され、ラジアル軸受隙間の一端に連通する第1シール空間と、第2シール部の外周に形成され、ラジアル軸受隙間の他端に連通する第2シール空間とを備え、少なくとも第2シール部の軸方向他端側の端面に撥油剤が塗布された動圧軸受装置であって、
    ハウジングが底部及び側部を一体に樹脂で射出成形され、第2シール空間の大気開放側をハウジング底部で覆い、ハウジングの底部の軸心に、ハウジングの外部空間と第2シール空間を連通する通気孔を設け、前記通気孔が、ハウジングの射出成形後のゲートカット跡の除去により形成されたことを特徴とする動圧軸受装置。
  2. ハウジングを、動圧軸受装置を収容するためのベースと一体成形した請求項1記載の動圧軸受装置。
  3. 請求項1又は2に記載の動圧軸受装置と、ステータコイルと、ロータマグネットとを有するモータ。
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