JP2005201455A - 流体軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】組立工程が簡素で、より一層低コストで、かつ信頼性の高い流体軸受装置を提供する。
【解決手段】シール部材4は、基部4aと、基部4aから軸方向下方に一体に延びた脚部4bとを備えている。基部4aは、軸部材2の外周面2aとの間にシール空間S1を形成する内周面4a1を有する。脚部4bは、基部4aの内周面4a1よりも大径で、軸部材2の外周面2aとの間に保油空間S2を形成する内周面4b1と、軸受スリーブ8の上側端面8cと当接する当接面4b2とを有する。
【選択図】 図1
【解決手段】シール部材4は、基部4aと、基部4aから軸方向下方に一体に延びた脚部4bとを備えている。基部4aは、軸部材2の外周面2aとの間にシール空間S1を形成する内周面4a1を有する。脚部4bは、基部4aの内周面4a1よりも大径で、軸部材2の外周面2aとの間に保油空間S2を形成する内周面4b1と、軸受スリーブ8の上側端面8cと当接する当接面4b2とを有する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ラジアル軸受隙間に生じる潤滑油の油膜によって回転部材を非接触支持する流体軸受装置に関する。この軸受装置は、情報機器、例えばHDD、FDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置などのスピンドルモータ、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、あるいは電気機器、例えば軸流ファンなどの小型モータ用として好適である。
上記各種モータには、高回転精度の他、高速化、低コスト化、低騒音化などが求められている。これらの要求性能を決定づける構成要素の一つに当該モータのスピンドルを支持する軸受があり、近年では、上記要求性能に優れた特性を有する流体軸受の使用が検討され、あるいは実際に使用されている。
この種の流体軸受は、軸受隙間内の潤滑油に動圧を発生させる動圧発生手段を備えたいわゆる動圧軸受と、動圧発生手段を備えていないいわゆる真円軸受(軸受面が真円形状である軸受)とに大別される。
例えば、HDD等のディスク駆動装置のスピンドルモータやレーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータに組込まれる流体軸受装置では、軸部材をラジアル方向に回転自在に非接触支持するラジアル軸受部と、軸部材をスラスト方向に回転自在に支持するスラスト軸受部とが設けられ、ラジアル軸受部として、軸受スリーブの内周面又は軸部材の外周面に動圧発生用の溝(動圧溝)を設けた動圧軸受が用いられる。スラスト軸受部としては、例えば、軸部材の一端側端面をスラスト部材によって支持する構造の軸受(いわゆるピボット軸受)が用いられる。通常、軸受スリーブはハウジングの内周の所定位置に固定され、また、ハウジングの内部空間の潤滑油が外部に漏れるのを防止するため、ハウジングの開口部にシール部材を配設する場合が多い(例えば、特許文献1参照)。
また、シール部材と軸受スリーブの端面との間に一定の間隔を設け、該間隔部を油の保持空間とした流体軸受装置もある(例えば、特許文献2参照)。
特開2001―124057号公報
特開平11−108053号公報
上記構成の流体軸受装置は、ハウジング、軸受スリーブ、軸部材、スラスト部材、及びシール部材といった部品で構成され、情報機器の益々の高性能化に伴って必要とされる高い軸受性能を確保すべく、各部品の加工精度や組立精度を高める努力がなされている。その一方で、情報機器の低価格化の傾向に伴い、この種の流体軸受装置に対するコスト低減の要求も益々厳しくなっている。
シール部材と軸受スリーブの端面との間に一定の間隔を設けた流体軸受装置では、ハウジングに対するシール部材と軸受スリーブの固定位置によって上記間隔部の軸方向寸法が変動し、上記間隔部を一定寸法に管理するのが難しい。
本発明の課題は、組立工程が簡素で、より一層低コストで、かつ信頼性の高い流体軸受装置を提供することである。
本発明は、上記課題を解決するため、ハウジングと、ハウジングの内部に固定された軸受スリーブと、軸受スリーブの内周面に挿入された軸部材と、軸受スリーブの内周面と軸部材の外周面との間に設けられ、軸受隙間に生じる潤滑油の油膜で軸部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部と、軸部材をスラスト方向に支持するスラスト軸受部と、ハウジングの内部をシールするシール部とを備えた流体軸受装置において、シール部は、基部と、基部から一端側に延びた脚部とを備え、基部は、軸部材の外周面との間にシール空間を形成する内周面を有し、脚部は、基部の内周面よりも大径で、軸部材の外周面との間に保油空間を形成する内周面と、軸受スリーブの端面と当接する当接面とを有する構成を提供する。
シール部の脚部の当接面と軸受スリーブの端面とを当接させると、両者の相互間の軸方向位置関係が決まる。そして、シール部の脚部の内周面と軸部材の外周面との間に保油空間が形成され、この保油空間の空間容積は脚部の内周面の内径寸法と軸方向寸法とによって決まる。したがって、脚部の内周面の寸法を管理することによって、脚部の当接面と軸受スリーブの端面とを当接させるだけで、所定の空間容積をもった保油空間を簡易に精度良く形成することができる。
特に、ハウジングの内部空間に潤滑流体を充満させる流体軸受装置では、上記保油空間を設けることにより、ハウジング内部における潤滑流体の保油量を多くして、潤滑流体の劣化を抑制し、軸受機能の長期安定化を図ることができる。また、上記保油空間を所定の空間容積に精度良く形成することができるので、ハウジングの内部空間に充満させる潤滑流体の総量管理も精度良く行うことができる。
上記のシール部は、ハウジングに一体形成することができ、あるいは、ハウジングの一端側に固定したシール部材によって構成することができる。後者の場合、シール部の基部と脚部は別体のリング部材によって構成することもできるが、部品点数を少なくする点から、基部と脚部は一体構成とするのが好ましい。また、シール部の少なくとも基部の内周面は撥油性を有することが好ましい。
また、上記構成において、ラジアル軸受部を動圧軸受で構成し、スラスト軸受部が動圧軸受で構成することができる。この場合、ラジアル軸受部は、動圧溝として軸方向溝を有するものとすることができる。
本発明によれば、組立工程が簡素で、より一層低コストで、かつ信頼性の高い流体軸受装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る流体軸受装置(流体動圧軸受装置)1を示している。この流体軸受装置1は、例えば、HDD等のディスク駆動装置のスピンドルモータやレーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータに組込まれるもので、ハウジング7と、軸受スリーブ8と、軸部材2と、スラスト部材3と、シール部材4とを構成部品して構成される。
軸受スリーブ8の内周面8aと軸部材2の外周面2aとの間に第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2とが軸方向に離隔して設けられる。また、軸部材2の下側端面2bとハウジング7の底部7cに配設されたスラスト部材3との間にスラスト軸受部Tが設けられる。尚、説明の便宜上、スラスト軸受部Tの側を下側、スラスト軸受部Tと反対の側を上側として説明を進める。
軸受スリーブ8は、例えば、焼結金属からなる多孔質体、特に銅を主成分とする燒結金属の多孔質体で円筒状に形成される。この焼結金属で形成された軸受スリーブ8の内周面8aには、第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2のラジアル軸受面となる上下2つの領域が軸方向に離隔して設けられ、該2つの領域には、例えばヘリングボーン形状の動圧溝8a1、8a2がそれぞれ形成される。尚、動圧溝の形状として、スパイラル形状や軸方向溝形状等を採用しても良い。
軸部材2は、例えば、ステンレス鋼等の金属材で形成され、その下側端部に、スラスト部材3と協働してスラスト軸受部Tを構成する凸球状の下側端面2bを備えている。
ハウジング7は、例えば、黄銅等の金属材で有底筒状に形成され、円筒状の側部7bと、側部7bと一体に設けられた下端側の底部7cとを備えている。また、側部7bの内周面7b1と底部7cの内底面7c1との間に段部7dが設けられ、段部7dは、内底面7c1から軸方向上方に所定寸法だけ高くなった位置で当接面7d1を形成する。側部7bの内周面7b1は軸受スリーブ8の外周面と適合し、段部7dの当接面7d1は軸受スリーブ8の下側端面8bと当接する。
スラスト部材3は、例えば、樹脂材料で円盤状に形成され、ハウジング7の内底面7c1に配設される。スラスト部材3は、軸部材2の下側端面2bを支持するスラスト支持面3aを有する。ハウジング7の段部7dの当接面7d1は、スラスト支持面3aから軸方向上方に所定寸法だけ高くなった位置にある。
シール部材4は、例えば、PTFE複合材等の樹脂材や黄銅等の金属材で形成され、ハウジング7の内周面7b1の上端部に圧入固定される。シール部材4は、基部4aと、基部4aから軸方向下方に一体に延びた脚部4bとを備えている。基部4aは、軸部材2の外周面2aとの間にシール空間S1を形成する内周面4a1を有する。脚部4bは、基部4aの内周面4a1よりも大径で、軸部材2の外周面2aとの間に保油空間S2を形成する内周面4b1と、軸受スリーブ8の上側端面8cと当接する当接面4b2とを有する。
シール部材4は、PTFE複合材等の撥油性(油をはじく性質)を有する樹脂材で形成することにより、あるいは、金属材で形成する場合は、表面に撥油処理を施すことにより、少なくとも基部4aの内周面4a1に(好ましくは上端面にも)撥油性(油をはじく性質)を与えておくのが好ましい。これにより、ハウジング7の内部空間の潤滑流体が外部に漏れ出すことを効果的に防止することができる。
この実施形態の流体軸受装置1は、例えば、次のような工程で組立てる。
まず、ハウジング7の内底面7c1にスラスト部材3を配置する。その後、軸受スリーブ8をハウジング7の側部7bの内周面7b1に挿入し、その下側端面8bをハウジング7の段部7dの当接面7d1に当接させる。これにより、軸受スリーブ8がハウジング7に対して位置決めされる。
つぎに、シール部材4をハウジング7の側部7bの内周面7bに圧入し、その脚部4bの当接面4b2が軸受スリーブ8の上側端面8cに当接するまで押し進める。これにより、シール部材4が側部7bの内周面7b1の上端部に固定されると同時に、軸受スリーブ8が、ハウジング7の段部7dの当接面7d1とシール部材4の脚部4bの当接面4b2とで軸方向両側(上下方向)から挟持され、ハウジング7の内部に固定される。
その後、軸部材2を軸受スリーブ8の内周面8aに挿入して、その下側端面2bをスラスト部材3のスラスト支持面3aに接触させる。そして、シール部材4でシールされたハウジング7の内部空間に、軸受スリーブ8の内部気孔(多孔質体の組織気孔)を含めて、潤滑流体、例えば潤滑油を充満させる。保油空間S2はシール空間S1と連通し、潤滑油は保油空間S1にも充満され、その油面はシール空間S1内に維持される。
軸部材2の回転時、軸受スリーブ8の内周面8aのラジアル軸受面となる領域(上下2箇所の領域)は、それぞれ、軸部材2の外周面2aとラジアル軸受隙間を介して対向する。そして、軸部材2の回転に伴い、上記ラジアル軸受隙間に潤滑油の動圧が発生し、軸部材2が上記ラジアル軸受隙間内に形成される潤滑油の油膜によってラジアル方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2をラジアル方向に回転自在に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2とが構成される。同時に、軸部材2の下側端面2bがハウジング7の内底面7c1に配設されたスラスト部材3のスラスト支持面3aによって接触支持される。これにより、軸部材2をスラスト方向に回転自在に支持するスラスト軸受部Tが構成される。
図2は、第2の実施形態に係る流体軸受装置(流体動圧軸受装置)11を示している。この実施形態の流体軸受装置11が、第1の実施形態の流体軸受装置1と異なる点は、ハウジング17を両端が開口した筒状に形成すると共に、ハウジング17の下端部をスラスト部材13によって閉塞した点、軸受スリーブ8の下側端面8bと当接する当接面13bをスラスト部材13に設けた点にある。
スラスト部材13は、例えば、樹脂材で形成され、ハウジング17の内周面17aの下端部に圧入固定される。スラスト部材13は、軸部材2の下側端面2bを支持するスラスト支持面13aと、スラスト支持面13aの外周に設けられた段部13bとを備え、段部13bは、スラスト支持面13aから軸方向上方に所定寸法だけ高くなった位置で当接面13b1を形成する。
この実施形態において、軸受スリーブ8は、ハウジング17の内周面17aに挿入され、スラスト部材13の当接面13b1とシール部材4の脚部4bの当接面4b2とで軸方向両側(上下方向)から挟持され、ハウジング7の内部に固定される。尚、スラスト部材13を圧入した後、該圧入部分を接着剤で封止するようにしても良い。また、この実施形態では、シール部材4と同様の形態及び寸法のシール部をハウジング17に一体形成することもできる。その他の事項は第1の実施形態に準じるので、重複する説明を省略する。
図3は、第3の実施形態に係る流体軸受装置(流体動圧軸受装置)21を示している。この実施形態の流体軸受装置21が、第1の実施形態の流体軸受装置1と異なる点は、ハウジング27を樹脂材で形成すると共に、軸部材2の下側端面2bを支持するスラスト支持面27c11と、軸受スリーブ8の下側端面8bと当接する当接面27c12とを、ハウジング27の底部27cの内底面27c1に設けた点にある。第1の実施形態に比較して、別体のスラスト部材3は配置されておらず、また、スラスト支持面27c11と当接面27c12とが同一の高さレベルにある。
この実施形態において、軸受スリーブ8は、ハウジング27の側部27bの内周面27b1に挿入され、ハウジング27の内底面27C1の当接面27c12とシール部材4の脚部4bの当接面4b2とで軸方向両側(上下方向)から挟持され、ハウジング7の内部に固定される。その他の事項は第1の実施形態に準じるので、重複する説明を省略する。
以上の実施形態の流体軸受装置は、軸部材2の下側端面2bをスラスト支持面で支持する構成になっているが、本発明は、軸部材をスラスト動圧軸受部で非接触支持する構成の流体軸受装置にも適用可能である。
1、11、21 流体軸受装置
2 軸部材
2a 外周面
4 シール部材
4a 基部
4b 脚部
7、17、27 ハウジング
8 軸受スリーブ
8a 内周面
R1 第1ラジアル軸受部
R2 第2ラジアル軸受部
T スラスト軸受部
2 軸部材
2a 外周面
4 シール部材
4a 基部
4b 脚部
7、17、27 ハウジング
8 軸受スリーブ
8a 内周面
R1 第1ラジアル軸受部
R2 第2ラジアル軸受部
T スラスト軸受部
Claims (3)
- ハウジングと、該ハウジングの内部に固定された軸受スリーブと、該軸受スリーブの内周面に挿入された軸部材と、前記軸受スリーブの内周面と前記軸部材の外周面との間に設けられ、軸受隙間に生じる潤滑油の油膜で前記軸部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部と、前記軸部材をスラスト方向に支持するスラスト軸受部と、前記ハウジングの内部をシールするシール部とを備えた流体軸受装置において、
前記シール部は、基部と、該基部から一端側に延びた脚部とを備え、
前記基部は、前記軸部材の外周面との間にシール空間を形成する内周面を有し、前記脚部は、前記基部の内周面よりも大径で、前記軸部材の外周面との間に保油空間を形成する内周面と、前記軸受スリーブの端面と当接する当接面とを有することを特徴とする流体軸受装置。 - 前記ラジアル軸受部が動圧軸受であり、前記スラスト軸受部が動圧軸受であることを特徴とする請求項1に記載の流体軸受装置。
- 前記ラジアル軸受部が、動圧溝として軸方向溝を有することを特徴とする請求項2に記載の流体軸受装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005042532A JP2005201455A (ja) | 2005-02-18 | 2005-02-18 | 流体軸受装置 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009019179A (ja) * | 2007-07-13 | 2009-01-29 | Sakagami Seisakusho Ltd | 摺動部材およびシール装置 |
JP2009180295A (ja) * | 2008-01-30 | 2009-08-13 | Mitsumi Electric Co Ltd | 油漏れ防止キャップ |
JP2011080590A (ja) * | 2009-10-12 | 2011-04-21 | Fuzhun Precision Industry (Shenzhen) Co Ltd | 軸受けシステム |
CN101747570B (zh) * | 2008-12-18 | 2013-12-18 | 株式会社阪上制作所 | 滑动部件及密封装置 |
-
2005
- 2005-02-18 JP JP2005042532A patent/JP2005201455A/ja active Pending
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A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090313 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090611 |