JP2003269444A - 動圧軸受装置およびその製造方法 - Google Patents

動圧軸受装置およびその製造方法

Info

Publication number
JP2003269444A
JP2003269444A JP2002076256A JP2002076256A JP2003269444A JP 2003269444 A JP2003269444 A JP 2003269444A JP 2002076256 A JP2002076256 A JP 2002076256A JP 2002076256 A JP2002076256 A JP 2002076256A JP 2003269444 A JP2003269444 A JP 2003269444A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bearing
bearing sleeve
housing
dynamic pressure
sleeve
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002076256A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4172944B2 (ja
Inventor
Natsuhiko Mori
夏比古 森
Tetsuya Kurimura
栗村  哲弥
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp, NTN Toyo Bearing Co Ltd filed Critical NTN Corp
Priority to JP2002076256A priority Critical patent/JP4172944B2/ja
Publication of JP2003269444A publication Critical patent/JP2003269444A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4172944B2 publication Critical patent/JP4172944B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Sliding-Contact Bearings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 動圧軸受装置のさらなる低コスト化を図る。 【解決手段】 ハウジング7内に焼結金属からなる軸受
スリーブ8を配置し、その状態で軸受スリーブ8に軸方
向の加圧力を付与する。これにより、軸受スリーブ8の
外周面8dをハウジング7の内周面7dに締め代をもっ
て押し付け、軸受スリーブ8をハウジング7内周に固定
する。同時に、軸受スリーブ8の内周面を型22a,2
2bに押し付けてラジアル軸受面を成形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動圧軸受装置に関
する。この軸受装置は、情報機器のモータ類、例えばH
DD・FDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM・D
VD−ROM等の光ディスク装置、MD・MO等の光磁
気ディスク装置などのスピンドルモータ、レーザビーム
プリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、あるい
は電気機器、例えば軸流ファンなどの小型モータ用とし
て好適である。
【0002】
【従来の技術】上記各種モータには、高回転精度の他、
高速化、低コスト化、低騒音化などが求められている.
これらの要求性能を決定づける構成要素の一つに当該モ
ータのスピンドルを支持する軸受があり、近年ではこの
種の軸受として、上記要求性能に優れた特性を有する動
圧軸受の使用が検討され、あるいは実際に使用されてい
る。
【0003】例えば、HDD等のディスク装置のスピン
ドルモータに組み込まれる動圧軸受装置としては、ハウ
ジングの内周に軸受スリーブを固定すると共に、軸受ス
リーブの内周に軸部材を配置した構造が知られている。
この動圧軸受装置では、軸部材の回転により、軸受スリ
ーブの内周と軸部材の外周との間のラジアル軸受隙間に
流体動圧を発生させて、軸部材を非接触状態で支持す
る。ラジアル軸受隙間に流体動圧を発生させるための溝
(動圧溝)は、軸部材の外周、もしくは軸受スリーブの
内周の何れか一方に形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この種の動圧軸受装置
において、軸受スリーブの内周に動圧溝を形成する場
合、この動圧溝は、軸受スリーブの内周に、動圧溝形状
に対応した溝型を配置した状態で軸受スリーブを加圧
し、この加圧力で軸受スリーブの内周面を成形型に押し
付けることによって形成することができる。このように
して動圧溝を形成した軸受スリーブは、ハウジングの内
周に接着や圧入等の手段で固定され、さらに軸受スリー
ブの内周に軸部材を挿入することで製品化される。
【0005】このように従来の動圧軸受装置は、軸受ス
リーブを成形する工程、軸受スリーブに動圧溝を形成す
る工程、軸受スリーブをハウジング内周に固定する工程
など多くの工程を経て製造されている。動圧軸受装置の
低コスト化を図るため、従来から上記各工程ごとにそれ
ぞれコスト削減への努力がなされているが、現状ではさ
らなる低コスト化を図ることは難しくなっている。
【0006】また動圧軸受装置の種類によっては、軸部
材をラジアル方向だけでなくスラスト方向でも非接触支
持するため、軸受スリーブの端面に複数の動圧溝を有す
るスラスト軸受面を形成する場合がある。この場合、ス
ラスト軸受面の動圧溝成形が終了した軸受スリーブを別
工程(例えば軸受スリーブのハウジング内周への固定工
程)に移送する必要があるが、この移送中などに精密に
加工されたスラスト軸受面が傷付くおそれがある。この
ような傷付きを防止するため、従来では特殊な機構や装
置を用い、細心の取り扱いで軸受スリーブを移送する必
要があり、コストが嵩む一因となっている。
【0007】また、軸受スリーブをハウジング内周に接
着して固定する場合は、接着剤の乾燥工程が必要とな
り、この点も低コスト化を阻む要因となっている。
【0008】そこで、本発明は、上述した各種弊害を解
消し、動圧軸受装置のさらなる低コスト化を図ることを
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的の達成のため、
本発明にかかる動圧軸受装置は、軸部材と、軸部材の外
周とラジアル軸受隙間を介して対向するラジアル軸受面
を備え、ラジアル軸受面に動圧溝が設けられた軸受スリ
ーブと、内周に軸受スリーブが固定されたハウジングと
を有し、軸と軸受スリーブの相対回転で少なくともラジ
アル軸受隙間に流体動圧を発生させて軸部材と軸受スリ
ーブとを非接触に保持するものにおいて、軸受スリーブ
の外周面が、ハウジング内で軸受スリーブに付与した軸
方向の加圧力により締め代をもってハウジングの内周面
に押し付けられ、ラジアル軸受面が、上記加圧力により
軸受スリーブの内周面を型(図5の符号22a,22
b)に押し付けて成形されているものである。
【0010】ハウジング内に軸受スリーブを配置した状
態で軸受スリーブに軸方向の加圧力を付与し、スリーブ
外周をハウジング内周に締め代をもって押し付けること
により、軸受スリーブがハウジング内周に固定される。
この加圧力で軸受スリーブの内周面を型22a,22b
に押し付けてラジアル軸受面を成形することにより、軸
受スリーブのハウジングへの固定と動圧溝成形とを同時
に行うことが可能となり、これらを別個の工程で行って
いた従来に比べて工程の簡略化、省略化が可能となる。
また、動圧溝成形後の軸受スリーブは、ハウジング内に
保持され、ハウジングによって保護された状態で移送さ
れるので、動圧溝を形成した軸受面が移送中に傷付く事
態を防止することができる。
【0011】さらに、軸受スリーブが、その一方の端面
を上記加圧力により型(図5の符号27)に押し付けて
成形した、動圧溝を有するスラスト軸受面を有するもの
とすることにより、特に傷付き易いスラスト軸受面がハ
ウジングによって保護され、軸受スリーブの取り扱いが
より容易なものとなる。
【0012】同様の観点から、ハウジングの内周に、内
周に動圧溝を有するラジアル軸受面が設けられた軸受ス
リーブを固定し、少なくとも支持すべき軸部材の外周と
軸受スリーブのラジアル軸受面との間のラジアル軸受隙
間に動圧溝により流体動圧を発生させて軸部材と軸受ス
リーブとを非接触に保持する動圧軸受装置を製造するに
際しては、ハウジング内に軸受スリーブを配置し、その
状態で軸受スリーブに軸方向の加圧力を付与することに
より、軸受スリーブの外周面をハウジングの内周面に締
め代をもって押し付け、かつ上記加圧力により軸受スリ
ーブの内周面を型(符号22a,22b)に押し付けて
ラジアル軸受面を成形する。
【0013】この場合、さらに軸受スリーブの一方の端
面を上記加圧力により型(符号27)に押し付けること
によって複数の動圧溝を有するスラスト軸受面を成形す
ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図1〜
図5に基づいて説明する。
【0015】図1は、この実施形態にかかる動圧軸受装
置1を組み込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成
例を示している。このスピンドルモータは、HDD等の
ディスク駆動装置に用いられるもので、軸部材2を回転
自在に非接触支持する動圧軸受装置1と、軸部材2に装
着されたディスクハブ3と、半径方向のギャップを介し
て対向させたモータステータ4およびモータロータ5と
を備えている。ステータ4はケーシング6の外周に取付
けられ、ロータ5はディスクハブ3の内周に取付けられ
る。動圧軸受装置1のハウジング7は、ケーシング6の
内周に装着される。ディスクハブ3には、磁気ディスク
等のディスクDが一又は複数枚保持される。ステータ4
に通電すると、ステータ4とロータ5との間の励磁力で
ロータ5が回転し、それによってディスクハブ3および
軸部材2が一体となって回転する。
【0016】図2は、動圧軸受装置1を示している。動
圧軸受装置1は、一端に開口部7a、他端に底部7cを
有する有底円筒状のハウジング7と、ハウジング7の内
周面に固定された円筒状の軸受スリーブ8と、軸部材2
と、ハウジング7の開口部7aに固定されたシール部材
10とを主要な部材として構成される。後述するよう
に、軸受スリーブ8の内周面8aと軸部材2の軸部2a
の外周面との間に第1ラジアル軸受部R1と第2動圧軸
受部R2とが軸方向に離隔して設けられる。また、軸受
スリーブ8の下側端面8cと軸部材2のフランジ部2b
の上側端面2b1との間に第1スラスト軸受部S1が設
けられ、ハウジング7の底部7cの内底面7c1とフラ
ンジ部2bの下側端面2b2との間に第2スラスト軸受
部S2が設けられる。尚、説明の便宜上、ハウジング7
の開口部7aの側を上方向、ハウジング7の底部7cの
側を下方向とする。
【0017】ハウジング7は、例えば真ちゅう等の軟質
金属材で形成され、円筒状の側部7bと円板状の底部7
cとを別体構造として備えている。底部7cの内底面7
c1の、スラスト軸受面(第2スラスト軸受部S2の軸
受面)となる領域には、スパイラル形状等の動圧溝(図
示省略)が形成されている。ハウジング7の側部7bの
内周面7dの他端には、他所よりも大径に形成した大径
部7eが形成され、この大径部7eに底部7cとなる蓋
状部材が例えば加締め、接着等の手段で固定されてい
る。
【0018】軸部材2は、例えば、ステンレス鋼(SU
S420J2)等の金属材で形成され、軸部2aと、軸
部2aの下端に一体又は別体に設けられたフランジ部2
bとを備えている。
【0019】軸受スリーブ8は、焼結金属からなる多孔
質体、特に銅を主成分とする燒結金属の多孔質体で形成
され、内部の気孔(組織気孔)と、その気孔が表面に開
口して形成される表面開孔を備えている。また、軸受ス
リーブ8の内周面8aには、ラジアル軸受面(第1ラジ
アル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2のラジアル軸
受面)となる上下2つの領域が軸方向に離隔して設けら
れている。
【0020】図3に示すように、第1ラジアル軸受部R
1のラジアル軸受面となる領域はヘリングボーン形状の
複数の動圧溝8a1,8a2を備える。この実施形態に
おいて、図面上方側の動圧溝8a1の軸方向長さは、こ
れと反対方向に傾斜した図面下方側の動圧溝8a2より
も大きく、軸方向非対称形状になっている。第2ラジア
ル軸受部R2のラジアル軸受面となる領域も、同様に、
ヘリングボーン形状の複数の動圧溝8a3,8a4を備
え、軸方向の一方に傾斜した複数の動圧溝8a3と、軸
方向の他方に傾斜した複数の動圧溝8a4とが軸方向に
離隔して形成されている。但し、第1ラジアル軸受部R
1と異なり、両動圧溝8a3,8a4の軸方向長さは等
しく、軸方向対称形状になっている。また、第1ラジア
ル軸受部R1の軸方向長さの全長は、第2ラジアル軸受
部R2の軸方向長さの全長よりも大きい。
【0021】軸受スリーブ8の両端面8b、8cのう
ち、下側端面8cの、スラスト軸受面(第1スラスト軸
受部のスラスト軸受面)となる領域には、図3(b)に
示すように、スパイラル形状の複数の動圧溝8c1が形
成されている。
【0022】図1に示すように、シール部材10は環状
のもので、ハウジング7の開口部7aの内周面に圧入、
接着等の手段で固定される。この実施形態において、シ
ール部材10の内周面は円筒状に形成され、シール部材
10の下側端面10bは軸受スリーブ8の上側端面8b
と当接している。
【0023】軸部材2の軸部2aは軸受スリーブ8の内
周面8aに挿入され、フランジ部2bは軸受スリーブ8
の下側端面8cとハウジング7の内底面7c1との間の
空間部に収容される。軸受スリーブ8の内周面8aのラ
ジアル軸受面となる領域(上下2箇所の領域)は、それ
ぞれ、軸部2aの外周面とラジアル軸受隙間を介して対
向する。また、軸受スリーブ8の下側端面8cのスラス
ト軸受面となる領域はフランジ部2bの上側端面とスラ
スト軸受隙間を介して対向し、ハウジング7の内底面7
c1のスラスト軸受面となる領域はフランジ部2bの下
側端面とスラスト軸受隙間を介して対向する。ラジアル
軸受部R1、R2間の領域では、軸部2aの外周面2a
1と軸受スリーブ8の内周面8aとの間にラジアル軸受
隙間よりも大きな隙間が設けられる。
【0024】シール部材10の内周面に対向する軸部2
aの外周面にはテーパ面が形成されており、このテーパ
面と軸部2aの外周面との間には、ハウジング7の外部
方向(同図で上方向)に向かって漸次拡大するテーパ形
状のシール空間Sが形成される。シール部材10で密封
されたハウジング7の内部空間は、軸受スリーブ8の内
部気孔を含め、潤滑油(潤滑油)で充満され、その潤滑
油の油面はシール空間S内にある。
【0025】軸部材2と軸受スリーブ8の相対回転時、
例えば軸部材2の回転時には、上記ラジアル軸受隙間に
潤滑油の動圧が発生し、軸部材2の軸部2aが上記ラジ
アル軸受隙間内に形成される潤滑油の油膜によってラジ
アル方向に回転自在に非接触支持される。これにより、
軸部材2をラジアル方向に回転自在に非接触支持する第
1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2とが構
成される。同時に、上記スラスト軸受隙間に潤滑油の動
圧が発生し、軸部材2のフランジ部2bが上記スラスト
軸受隙間内に形成される潤滑油の油膜によって両スラス
ト方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸
部材2をスラスト方向に回転自在に非接触支持する第1
スラスト軸受部S1と第2スラスト軸受部S2とが構成
される。
【0026】上記動圧軸受装置1は、以下の手順で製造
することができる。
【0027】先ず、金属粉の圧粉・焼結により、軸受ス
リーブ8として円筒状の焼結金属を成形する。この焼結
金属8(軸受スリーブ)を図4に示すようにハウジング
7内に圧入等の手段で収容する。この場合、軸受スリー
ブ8の外周面とハウジング7の内周面7dとの間の嵌め
合いは、ハウジング7内に挿入した軸受スリーブ8が自
然に抜け落ちない程度とすれば足りる。
【0028】次いで、図5に示すように、ハウジング7
および軸受スリーブ8からなるアッセンブリ12をサイ
ジング装置に移送する。この装置は、軸受スリーブ8の
サイジングと同時に軸受スリーブ8への動圧溝成形と軸
受スリーブ8のハウジング7への固定とを行うもので、
軸受スリーブ8の内周に挿入された成形型としてのコア
ロッド21と、ハウジング7の外周に配置されたダイ2
3と、軸受スリーブを軸方向に加圧する一対のパンチ2
5,26とを備える。コアロッド21は、軸受スリーブ
8の内周において均一な外径を有し、その外周面には、
第1および第2ラジアル軸受部R1,R2の各ラジアル
軸受面を成形するための凹凸形状の溝型22a,22b
がそれぞれの動圧溝形状に対応して軸方向に離隔形成さ
れている。一対のパンチ25,26のうち、上側のパン
チ25は、コアロッド21と一体に昇降可能で、その端
面には、軸受スリーブ8の下側端面8cに動圧溝8c1
を有するスラスト軸受面を形成するための凹凸形状の溝
型27が動圧溝形状に対応して形成されている。ダイ2
3は、移送された軸受スリーブ8の外径よりも僅かに小
さい均一な内径を有する。
【0029】図5に示すように、この工程において、軸
受スリーブ8およびハウジング7からなるアッセンブリ
12は、ハウジング7の開口部7a側を下に向けてサイ
ジング装置に搬入される。軸受スリーブ8の上側端面8
bを下パンチ26で支持し、その状態で、軸受スリーブ
8内周にコアロッド21を挿入し、さらに下側端面8c
を上パンチ25で加圧すると、軸受スリーブ8がダイ2
3内に押し込まれ、一対のパンチ25,26によって軸
方向に加圧される。
【0030】この加圧力により、軸受スリーブ8の外周
肉部に外径側への塑性流動が生じる。ハウジング7の外
周面7fはダイス23の内周面で拘束されているため、
この塑性流動によって軸受スリーブ8の外周面8d全体
がハウジング7の内周面7dに締め代をもって強く押し
付けられる。これにより軸受スリーブ8がハウジング内
に固定され、軸受スリーブ8に十分な抜去力を具備させ
ることが可能となる。この場合、軸受スリーブ8の外周
面8dおよびハウジング7の外周面7fは、段差のない
ストレートな円筒形状に保持される。
【0031】また、上記軸方向の加圧力により、軸受ス
リーブ8の内周肉部は内径側へ塑性流動を生じる。この
塑性流動により軸受スリーブの内周面がコアロッド21
の溝型22a,22bに押し付けられ、軸受スリーブ8
の内周面に溝型22a,22bの形状が転写されて、第
1および第2ラジアル軸受部R1,R2の各ラジアル軸
受面が形成される。同時に軸受スリーブ8の下側端面8
cが上パンチ25の溝型27に押し付けられ、第一スラ
スト軸受部S1のスラスト軸受面が形成される。
【0032】その後、軸受スリーブ8を脱型させると、
軸受スリーブ8のスプリングバックにより軸受スリーブ
8のラジアル軸受面とコアロッド21の溝型22a,2
2bとの凹凸係合が外れるので、ラジアル軸受部R1,
R2の動圧溝8a1〜8a4を崩すことなく、コアロッ
ド21を軸受スリーブ8の内周から抜き取ることができ
る。軸受スリーブ8の肉厚が薄すぎたり厚すぎたりした
場合、スプリングバック量が不足してコアロッド2の抜
き取りに支障を来たす懸念がある(この他、軸受スリー
ブ8の肉厚が薄すぎると強度面でも不安が生じる)が、
軸受スリーブ8の外径寸法φDと内径寸法φd(何れも
図3参照)の比D/dを、D/d=1.4〜3.0の範
囲に設定すれば、これらの不具合を解消することができ
る。
【0033】以上の動圧溝成形と同時に軸受スリーブ8
の内周面8aのサイジングがなされ、その内径寸法と表
面開孔率(単位面積当たりに占める表面開孔の面積割
合)とが調整される。ラジアル軸受部R1のラジアル軸
受面、およびラジアル軸受部R2のラジアル軸受面の表
面開孔率は、動圧溝8a1〜8a4の領域も含め、例え
ば2〜10%未満、好ましくは2〜5%に設定される。
また、軸受スリーブ8の下側端面8cは、上記サイジン
グ装置に搬入するより以前に、バニシング処理(擦過処
理)等によって内周面との直角度と表面開孔率とが調整
される。下側端面8c(第1スラスト軸受部S1のスラ
スト軸受面)の表面開孔率は、動圧溝8c1の領域も含
め、例えば2〜10%未満、好ましくは2〜5%に設定
される。
【0034】その後、アッセンブリ12の軸受スリーブ
8に潤滑油や潤滑グリースを含浸させた上で、軸受スリ
ーブ8の内周に軸部材2を挿入し、次いでハウジング7
の大径部7eに底部7cを固定して封口し、さらにハウ
ジング7の一端開口部にシール部材10を装着すること
により、図2に示す動圧軸受装置1が得られる。
【0035】このように、本発明では、ハウジング7の
内に軸受スリーブ8を配置した状態で、軸受スリーブ8
の動圧溝成形とハウジング7への固定を同時に行ってい
るので、従来では別に行われていたこれらの工程を一つ
に纏めることができ、加工工数を削減して低コスト化を
図ることができる。また、軸受スリーブ8のハウジング
7への固定後は、ハウジング7の端部がスラスト軸受面
を有する軸受スリーブ8の端面8cよりも軸方向に突出
している。この突出部分により各軸受面(特にスラスト
軸受面)が保護されるため、その後アッセンブリ12を
次工程に移送する際などにも、これら軸受面の傷付きを
回避することができ、このような傷付き防止対策が不要
となって、製造ラインの簡略化、延いては低コスト化を
図ることができる。
【0036】また、従来のように軸受スリーブ8をハウ
ジング7に接着固定する場合に比べると、接着剤の乾燥
工程が不要となるので、生産効率を高めることができ、
さらなる低コスト化が可能となる。
【0037】従来のように軸受スリーブをハウジングの
内周に圧入固定する場合、ハウジング内周と軸受スリー
ブ外周との間の締め代(圧入代)は、これが過大である
と軸受スリーブ8の変形によって動圧溝形状が崩れるお
それがあるため、一定の制限が課されていたが、本発明
によれば、動圧溝成形と同時に軸受スリーブの固定を行
うので、このような観点から締め代を制限する必要はな
く、より大きな締め代を設定することができ、軸受スリ
ーブ8の抜去力をさらに高めることが可能である。
【0038】なお、以上に説明した動圧軸受装置1の構
成は、全て例示にすぎない。例えば各軸受面に形成した
動圧溝形状は、例示したものに限らず、スパイラル形や
ヘリングボーン形などを必要に応じて選択使用すること
ができる。また、本実施形態では、スラスト軸受部S
1,S2をラジアル軸受部R1,R2と同様に動圧軸受
で構成した場合を説明しているが、スラスト軸受部S
1,S2に動圧溝を有しない軸受(例えば軸部材2を接
触支持するピボット軸受等)を使用する場合でも、同様
に本発明を適用することができる。
【0039】また、図4および図5に示す工程では、軸
受スリーブ8を予めハウジング7内に収容した上で(図
4)、このアッセンブリを型内に押し込むようにしてい
るが(図5)、この他にも例えば図5(a)(b)に示
す段階でかかるアッセンブリ化を行うこともできる。例
えば、コアロッド21の外周に軸受スリーブ8を配置す
ると共に、下パンチ26上にハウジング7を配置し、そ
の状態でハウジング7内にコアロッド21を挿入すれ
ば、アッセンブリ化と軸受スリーブ8の加圧とを連続し
て(あるいは同時に)行うことができる。
【0040】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、動圧溝
成形と軸受スリーブのハウジングへの固定とを同時に行
うことができるので、これを別工程で行っていた従来に
比べて、工数を削減して製造コストの低廉化を図ること
ができ、特に軸受スリーブを接着固定する場合に比べる
と、より顕著なコスト低廉効果を得ることができる。ま
た、ハウジングへの固定後は、軸受スリーブがハウジン
グによって保護されるため、その後の工程における軸受
面(特にスラスト軸受面)の傷付きを回避することがで
き、そのような傷付き対策の省略による製造コストの低
廉化や、製品の信頼性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の動圧軸受装置を有するスピンドルモー
タの断面図である。
【図2】本発明の動圧軸受装置を示す断面図である。
【図3】(a)図は軸受スリーブの断面図、(b)図は
その下側端面の平面図である。
【図4】軸受スリーブとハウジングをアッセンブリ化す
る工程を示す断面図である。
【図5】軸受スリーブのサイジング工程を示す断面図で
ある。
【符号の説明】
1 動圧軸受装置 2 軸部材 2a 軸部 2b フランジ部 7 ハウジング 7a ハウジング開口部 7b ハウジング側部 7c ハウジング底部 7d ハウジング内周面 7f ハウジング外周面 8 軸受スリーブ 8a スリーブ内周面 8b スリーブ端面(ハウジング開口側) 8c スリーブ端面(ハウジング閉塞側) 8d スリーブ外周面 10 シール部材 21 コアロッド 22a,22b 型(溝型) 23 ダイ 25 上パンチ 26 下パンチ 27 型(溝型)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸部材と、軸部材の外周とラジアル軸受
    隙間を介して対向するラジアル軸受面を備え、ラジアル
    軸受面に動圧溝が設けられた軸受スリーブと、内周に軸
    受スリーブが固定されたハウジングとを有し、軸と軸受
    スリーブの相対回転で少なくともラジアル軸受隙間に流
    体動圧を発生させて軸部材と軸受スリーブとを非接触に
    保持する動圧軸受装置において、 軸受スリーブの外周面が、ハウジング内で軸受スリーブ
    に付与した軸方向の加圧力により締め代をもってハウジ
    ングの内周面に押し付けられ、ラジアル軸受面が、上記
    加圧力により軸受スリーブの内周面を型に押し付けて成
    形されている動圧軸受装置。
  2. 【請求項2】 さらに、軸受スリーブが、その一方の端
    面を上記加圧力により型に押し付けて成形した、動圧溝
    を有するスラスト軸受面を有する請求項1記載の動圧軸
    受装置。
  3. 【請求項3】 ハウジングの内周に、内周に動圧溝を有
    するラジアル軸受面が設けられた軸受スリーブを固定
    し、少なくとも、支持すべき軸部材の外周と軸受スリー
    ブのラジアル軸受面との間のラジアル軸受隙間に流体動
    圧を発生させて軸部材と軸受スリーブとを非接触に保持
    する動圧軸受装置を製造するに際し、 ハウジング内に軸受スリーブを配置し、その状態で軸受
    スリーブに軸方向の加圧力を付与することにより、軸受
    スリーブの外周面をハウジングの内周面に締め代をもっ
    て押し付け、かつ上記加圧力により軸受スリーブの内周
    面を型に押し付けてラジアル軸受面を成形することを特
    徴とする動圧軸受装置の製造方法。
JP2002076256A 2002-03-19 2002-03-19 動圧軸受装置およびその製造方法 Expired - Lifetime JP4172944B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002076256A JP4172944B2 (ja) 2002-03-19 2002-03-19 動圧軸受装置およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002076256A JP4172944B2 (ja) 2002-03-19 2002-03-19 動圧軸受装置およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003269444A true JP2003269444A (ja) 2003-09-25
JP4172944B2 JP4172944B2 (ja) 2008-10-29

Family

ID=29205087

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002076256A Expired - Lifetime JP4172944B2 (ja) 2002-03-19 2002-03-19 動圧軸受装置およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4172944B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008025657A (ja) * 2006-07-19 2008-02-07 Hitachi Powdered Metals Co Ltd 軸受ユニットの製造方法
JP2008164023A (ja) * 2006-12-27 2008-07-17 Ntn Corp 流体動圧軸受装置の製造方法
JP2008256087A (ja) * 2007-04-04 2008-10-23 Ntn Corp 流体軸受装置の製造方法
JP2008261396A (ja) * 2007-04-11 2008-10-30 Ntn Corp 流体軸受装置およびその製造方法
CN103692170A (zh) * 2013-12-30 2014-04-02 浙江双飞无油轴承股份有限公司 两端带锥度复合轴套的制造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008025657A (ja) * 2006-07-19 2008-02-07 Hitachi Powdered Metals Co Ltd 軸受ユニットの製造方法
JP2008164023A (ja) * 2006-12-27 2008-07-17 Ntn Corp 流体動圧軸受装置の製造方法
JP4675880B2 (ja) * 2006-12-27 2011-04-27 Ntn株式会社 流体動圧軸受装置の製造方法
JP2008256087A (ja) * 2007-04-04 2008-10-23 Ntn Corp 流体軸受装置の製造方法
JP2008261396A (ja) * 2007-04-11 2008-10-30 Ntn Corp 流体軸受装置およびその製造方法
CN103692170A (zh) * 2013-12-30 2014-04-02 浙江双飞无油轴承股份有限公司 两端带锥度复合轴套的制造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4172944B2 (ja) 2008-10-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2003239951A (ja) 動圧軸受装置及びその製造方法
JP3981564B2 (ja) 動圧軸受装置及びその製造方法
JP5207657B2 (ja) 動圧軸受装置の製造方法
JP2000291648A (ja) 動圧型軸受ユニット
JP2003269444A (ja) 動圧軸受装置およびその製造方法
JP2002061637A (ja) 動圧型軸受装置
JP2005337490A (ja) 動圧軸受装置
JP2011047005A (ja) 軸受スリーブの製造方法及び流体軸受装置
US7789565B2 (en) Fluid dynamic bearing apparatus
JP4661014B2 (ja) 動圧軸受装置および当該動圧軸受装置を備えたスピンドルモータ
JP2005201455A (ja) 流体軸受装置
JP2003314538A (ja) 動圧軸受装置の製造方法
JP2006342975A (ja) 動圧型軸受装置
JP2005163903A (ja) 動圧軸受装置
JP2004176815A (ja) 流体軸受装置
JP3773721B2 (ja) 動圧型軸受
JP2005164048A (ja) 流体軸受装置
JP2005265180A (ja) 動圧軸受装置
JP3942372B2 (ja) 動圧型軸受ユニット及びその製造方法
JP2010091004A (ja) 流体動圧軸受装置及びその製造方法
JP2000220633A (ja) 動圧型軸受装置およびその製造方法
JP2003314533A (ja) 流体軸受装置
JP2001271829A (ja) 動圧型軸受ユニットおよびその製造方法
JP4675880B2 (ja) 流体動圧軸受装置の製造方法
JP2007100803A (ja) 含油焼結軸受の製造方法およびこの方法に使用されるサイジングピン

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041124

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070914

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070919

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071119

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080111

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080311

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080728

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080812

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4172944

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110822

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110822

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120822

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120822

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130822

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term