JPH10147892A - 白色導電性物質及びその製造方法 - Google Patents

白色導電性物質及びその製造方法

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JPH10147892A
JPH10147892A JP30763696A JP30763696A JPH10147892A JP H10147892 A JPH10147892 A JP H10147892A JP 30763696 A JP30763696 A JP 30763696A JP 30763696 A JP30763696 A JP 30763696A JP H10147892 A JPH10147892 A JP H10147892A
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幸哉 晴山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アンチモンを含有せずとも高い導電性を得る
ことができ、かつ白色度の高い白色導電性物質及びその
製造方法並びに該白色導電性物質を含有した導電性組成
物を得る。 【解決手段】 基材の表面上に酸価錫からなる導電層を
有した白色導電性物質及びその製造方法であって、導電
層として第二錫化合物から形成される第1の酸化錫層を
形成した後、その上に第一錫化合物が形成される第2の
酸化錫層を形成し、第1の酸化錫層及び第2の酸化錫層
にアンチモン成分が実質的に含有されていないことを特
徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材の表面上に酸
化錫からなる導電層を有した白色度の高い白色導電性物
質及びその製造方法並びに該白色導電性物質を含有する
導電性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、エレクトロニクス産業の著し
い発展に伴い、導電性材料の開発が望まれている。導電
性材料として一般的に使用されているカーボンブラック
や金属粉は、電気抵抗が非常に低く、導電性において優
れているが、色調が黒色系統であるため、その用途が限
定される。
【0003】着色が可能な白色導電性物質としては、酸
化チタンの表面を酸化錫で被覆したものや、アンチモン
をドープした酸化錫で被覆した白色の導電性酸化チタン
が開示されている(特開昭53−92854号公報及び
特開昭58−209002号公報など)。
【0004】また、導電性材料の形状としては、球状で
あるより、針状や繊維状などの異方性を有する形状であ
る方が、より少ない配合割合で所望の導電性を付与でき
ることが知られている。従って、繊維状等の基材の表面
に酸化錫等の導電層を形成した白色導電性材料の開発研
究が盛んに行われている。
【0005】特公昭61−26933号公報では、表面
を酸化錫で被覆した繊維状チタン酸カリウムを主成分と
する白色導電性物質が開示されている。また、特開昭6
3−233016号公報では、高品位針状酸化チタンの
表面に、酸化錫及び酸化アンチモンを被覆した針状導電
性酸化チタンが開示されている。また、特開平6−18
3737号公報では、単斜晶系酸化チタン繊維の表面
に、酸化錫及び酸化アンチモンを被覆した導電性酸化チ
タン繊維が開示されている。
【0006】ところで、これらの従来の白色導電性物質
においては、導電層を酸化錫のみで形成すると十分な導
電性が得られないため、アンチモンをドープして、結晶
格子中に酸素欠陥を存在させ、より高い導電性を発現さ
せている。しかしながら、アンチモンは、毒性等の問題
があり、アンチモンを含有しない酸化錫被覆層で導電性
を発現させることが望まれている。
【0007】特開平6−207118号公報では、アン
チモンを用いずに錫化合物のみを基材に付着させ、その
後加熱処理を非酸化性雰囲気あるいは還元性雰囲気で行
うことにより、酸化錫中に酸素欠陥を作り、導電性を発
現させる方法が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、非酸化
性雰囲気または還元性雰囲気中で加熱処理を行うと、酸
化錫が青灰色〜黒色に着色し、高い白色度を有する白色
導電性物質が得られず、このような傾向は、高い導電性
を得ようとすればする程顕著なものとなった。
【0009】また、当然ながら非酸化性雰囲気等で加熱
処理するためには、密閉された設備と雰囲気に応じたガ
ス及びその導入設備が必要となり、製造コスト的に不利
なものとなった。
【0010】本発明の目的は、アンチモンを含有させず
とも高い導電性を得ることができ、かつ白色度が高い白
色導電性物質及びその製造方法並びに該白色導電性物質
を含有した導電性組成物を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、基材の表面上に酸化錫からなる導電層を有した白色
導電性物質であり、導電層が、第二錫化合物から形成さ
れる第1の酸化錫層と、第一錫化合物から形成される第
2の酸化錫層とからなり、第1の酸化錫層及び第2の酸
化錫層にアンチモン成分が実質的に含有されていないこ
とを特徴としている。
【0012】ここで、「アンチモン成分が実質的に含有
されていない」とは、アンチモン成分が意図的に添加さ
れていない程度の含有量であることを意味しており、具
体的には、0.1重量%以下の含有量であることを意味
している。
【0013】請求項2に記載の発明は、第1の酸化錫層
が基材の表面上に形成されており、第2の酸化錫層が第
1の酸化錫層の上に形成されていることを特徴としてい
る。請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載
の発明の白色導電性物質を製造することができる方法で
あり、基材を水に分散して水分散液とし、該水分散液に
第二錫化合物を添加し、これを反応させることによって
析出する第二錫の水不溶性物質を前記基材表面上に堆積
させ、次に第一錫化合物を該水分散液に添加し、これを
反応させることによって析出する第一錫の水不溶性物質
を前記第二錫の水不溶性物質の上に堆積させた後、脱水
し、酸化性雰囲気で加熱処理することを特徴としてい
る。
【0014】請求項4に記載の発明においては、請求項
3に記載の発明の製造方法において、第二錫化合物及び
第一錫化合物を水分散液に添加する際、同時にアルカリ
性溶液を添加して水分散液のpHを2〜5に調整するこ
とにより、それぞれの水不溶性物質を析出させることを
特徴としている。
【0015】請求項4に記載の発明では、第二錫化合物
の添加及び第一錫化合物の添加を、いずれもpH2〜5
の酸性領域で行っている。アルカリ性領域でこれらの錫
化合物の水不溶性物質を析出させると、析出が急激に起
こるため、付着が不均一になる傾向がある。このような
析出を緩やかにするためには、多量に希釈した滴下液及
び反応系を使用する必要があり、工業的に好ましくな
い。
【0016】請求項5に記載の発明は、請求項1または
2に記載の発明の白色導電性物質または請求項3または
4に記載の方法により製造される白色導電性物質と、結
合材とからなる導電性組成物である。
【0017】以下、請求項1〜5に記載の各発明に共通
する技術的事項については、「本発明」として説明す
る。本発明において用いられる基材としては、特に限定
されるものではなく、針状もしくは繊維状物質、鱗片状
もしくは板状物質、粉末状もしくは粒状もしくはバルー
ン状物質など種々の形状のものを挙げることができる。
また、天然鉱物であってもよいし、人造物質であっても
よい。針状もしくは繊維状物質として、具体的には、ア
ルミナ繊維、二酸化チタン繊維、シリカ繊維などのセラ
ミック繊維などを挙げることができる。鱗片状または板
状物質としては、マイカ系物質が一般的であるが、タル
ク等や、アルミナフレーク、チタニアフレークなどのフ
レーク状物質などを用いてもよい。粉末状、粒状もしく
はバルーン状物質としては、二酸化チタン、シリカ粉
末、亜鉛華、硫酸バリウム、カオリナイト、シリカバル
ーン、ガラスバルーン、シリコンビーズ、ガラスビーズ
等が挙げられる。
【0018】請求項4に記載の発明においては、基材を
分散した水分散液のpHを2〜5に調整しながら製造す
るので、酸性溶液に不溶な物質であることが好ましい。
また、請求項3に記載の発明及び請求項4に記載の発明
においては、基材を水に分散させて製造するので、水中
で分散可能な基材であることが好ましい。
【0019】本発明において用いる第二錫化合物は、4
価の錫化合物であり、例えば、塩化第二錫、硫酸第二
錫、硝酸第二錫等を使用することができる。本発明にお
いて用いる第一錫化合物は、2価の錫化合物であり、例
えば、塩化第一錫、硫酸第一錫、硝酸第一錫等を使用す
ることができる。
【0020】本発明の白色導電性物質の導電層は、第二
錫化合物から形成される第1の酸化錫層と、第一錫化合
物から形成される第2の酸化錫層とからなることを特徴
としている。酸化錫からなる導電層が基材を被覆する量
としては、基材100重量部材に対し、SnO2 換算で
5〜100重量部であることが好ましく、さらに好まし
くは、10〜30重量部である。導電層の被覆量が少な
すぎると、発現される導電性が十分でなく、逆に多すぎ
ると、過剰分の酸化錫が付着されることになり、被覆量
に比して導電性の向上が望めないので経済的に不利なも
のとなり、さらには他の物性への悪影響が生じる場合が
ある。
【0021】また、請求項1に記載の発明では、第1の
酸化錫層及び第2の酸化錫層にアンチモン成分が実質的
に含有されていないことを特徴としている。上述のよう
に、本発明では酸素欠陥が生じやすく高い導電性を発現
することができる第2の酸化錫層が設けられているの
で、アンチモン成分を含有せずとも高い導電性を発現す
ることができる。
【0022】請求項2に記載の発明では、第1の酸化錫
層を基材の表面上に形成し、第2の酸化錫層を第1の酸
化錫層の上に形成している。この理由は、第二錫化合物
から形成する第1の酸化錫層の方が、第一錫化合物から
形成される第2の酸化錫層のよりも、一般的に、より均
一に被覆することができるからである。このような観点
から、第1の酸化錫層は、基材100重量部に対し、少
なくとも3重量部以上形成されていることが好ましい。
第1の酸化錫層の被覆量は、さらに好ましくは、5〜2
0重量部である。第一錫化合物から形成される第2の酸
化錫層は、酸化錫に酸素欠陥を導入し、より高い導電性
を付与する働きを有する。第2の酸化錫層は、2価の錫
である第一錫化合物から形成されるため、その製造プロ
セスにおいて酸化されることによって4価の酸化錫とな
る。従って、酸素欠陥が生じやすく、より高い導電性を
発現しやすい。このような第2の酸化錫層の被覆量は特
に限定されるものではなく、必要とされる物性に応じて
任意に設定することが可能であるが、基材100重量部
に対し、少なくとも、3重量部以上であることが好まし
く、さらに好ましくは、5〜20重量部である。
【0023】請求項3に記載の発明においては、まず基
材を水に分散して水分散液とする。この水分散液におけ
る基材の濃度は、使用する基材に応じて適宜設定される
ものであり、十分な混合攪拌が可能で、後工程において
基材上に付着堆積させる水不溶性物質が均一に付着でき
るような濃度であればよい。
【0024】基材の水分散液に、第1段階として、まず
第二錫化合物が添加される。この第二錫化合物は溶液の
形態、好ましくは水溶液の形態で添加される。この第二
錫化合物を、水分散液中において、例えば加水分解によ
り水酸化物とし、第二錫の水不溶性物質として、基材表
面上に付着し堆積させる。このとき、請求項4に記載の
ように、同時にアルカリ溶液を滴下し、水分散液のpH
を2〜5の酸性領域に保ちながら反応させることが好ま
しい。系内のpHを2〜5の酸性領域に保つことによ
り、析出する第二錫の水不溶性物質が、より均一に基材
を被覆できる形態で析出するので、より均一な被覆が可
能となる。滴下するアルカリ溶液としては、例えば、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭
酸カリウム、炭酸アンモニウム、アンモニア水等を使用
することができる。
【0025】上記の第1段階の反応後、第2段階とし
て、第一錫化合物を水分散液に添加する。水分散液に添
加した第一錫化合物を例えば加水分解により水酸化物と
することによって、第一錫の水不溶性物質を析出させ、
この第一錫の水不溶性物質を第二錫の水不溶性物質の上
に付着堆積させる。このとき、請求項4に記載のよう
に、第一錫化合物の添加と同時に、アルカリ溶液を添加
して、水分散液のpHを2〜5の酸性領域に保ちなが
ら、第一錫化合物を反応させることが好ましい。アルカ
リ溶液としては、上記第1段階で添加するアルカリ溶液
と同様のものを使用することができる。
【0026】請求項3及び4に記載の発明では、第1段
階で第二錫化合物を添加して第二錫の水溶性物質を析出
被覆させ、第2段階で第一錫化合物を添加して第一錫の
水不溶性物質を析出させ被覆させている。これは4価の
錫である第二錫の水不溶性物質の方が基材表面をより均
一に被覆できるからである。また、pHが酸性側にある
方がより基材を均一に被覆できる傾向がある。また、反
応系のpHを酸性側にして第一錫化合物から第一錫の水
不溶性物質を析出させると、水不溶性物質の析出により
反応系の粘度が上昇する傾向があるが、既に第1段階に
おいて第二錫の水不溶性物質により基材が均一に被覆さ
れているので、第一錫化合物を添加しても、系内の粘度
はさほど上昇せず、第一錫の水不溶性物質を、第二錫の
水不溶性物質の上に均一に付着堆積することができる。
従って、請求項3及び4に記載の発明によれば、水不溶
性物質を均一に付着し、より均一な導電層を形成するこ
とができる。
【0027】上記の第二錫化合物及び第一錫化合物の添
加の際の液温は、室温でも可能であるが、好ましくは5
0〜80℃程度に加温する。このような加温により、よ
り均一な反応が可能である。
【0028】第二錫化合物及び第一錫化合物の添加量と
しては、第二錫化合物から形成される第1の酸化錫層及
び第一錫化合物から形成される第2の酸化錫層が、所望
の被覆量となるような添加量が選ばれる。
【0029】上記の第二錫化合物及び第一錫化合物の添
加による水不溶性物質の析出反応終了後は、そのままの
液温で攪拌しながら、しばらくの間、例えば0.5〜5
時間程度放置することが好ましい。これにより、より強
固な被覆層の形成を促進することができる。この際、p
Hは反応中のpHをそのまま保持してもよいし、酸性領
域の範囲内で若干pHを上げて保持してもよい。
【0030】次に、水分散液を濾過して脱水した後、乾
燥する。乾燥工程は、引き続く加熱処理工程との一連の
工程において行ってもよい。乾燥後、基材上に付着堆積
させた水不溶性物質を加熱処理し、導電性を有する酸化
錫とする。加熱温度は、基材上の被覆層を導電性を有す
る酸化錫とし得る温度であれば、特に限定されないが、
通常は350〜600℃の温度で加熱処理する。また、
加熱処理の時間は、処理温度等によって異なるが、通常
30分〜5時間、好ましくは1〜3時間程度が適当であ
る。
【0031】加熱処理の雰囲気は、2価の錫である第一
錫の水不溶性物質を酸化して4価にする必要があるた
め、酸素が含まれた酸化性雰囲気で行う。従って、大気
中で行うことができる。このため、非酸化性雰囲気や還
元性雰囲気での加熱処理のように密閉して加熱処理する
必要がない。
【0032】請求項5に記載の発明では、本発明の白色
導電性物質と結合材とを混合し、導電性組成物としてい
る。結合材としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の
合成高分子化合物、天然樹脂及びその誘導体、含金属有
機化合物、無機質結合剤、無機化合物あるいは有機化合
物のエマルジョン等を用いることができる。これらの結
合材は、導電性組成物の目的及び用途に応じて選択し、
使用することができる。主な用途としては、導電性を必
要とする樹脂成形体、塗料、フィルム、シート、インキ
等の導電性樹脂組成物が挙げられ、その他通常用いられ
る使用方法に応じて適用することができる。
【0033】白色導電性物質と結合材との配合割合は、
白色導電性物質と結合材の種類及び導電性組成物の目的
及び用途等に応じて適宜設定されるものであり、特に限
定されるものではないが、結合材100重量部に対し、
白色導電性物質1〜200重量部、好ましくは5〜10
0重量部の範囲が一般的である。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、具体的な実施例によって本
発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例
によって限定されるものではない。
【0035】実施例1 アナターゼ型酸化チタン繊維(商品名「NT−10
0」、富士チタン工業社製)250gを水2500ml
中に分散させ、水温を70℃に保ちながら、攪拌機にて
10分間攪拌してスラリー化した。次に、このスラリー
中に塩化第二錫の水溶液(Sn換算23重量%)130
gと、12重量%の塩酸66.6gとを混合したものを
約1時間かけて滴下し、それと同時に15重量%の水酸
化ナトリウム水溶液を別個にスラリー中に滴下し、スラ
リー全体のpHが3〜4の範囲内となるように調整し
た。この第1段階の滴下反応が終了した後、そのままの
pH及び液温を保ちながら30分間攪拌した。
【0036】次に、塩化第一錫の水溶液(Sn換算23
重量%)130gに、12重量%の塩酸100gを加え
た溶液を約1時間かけて滴下し、上記第1段階の添加の
ときと同様に、同時に15重量%の水酸化ナトリウム水
溶液を別個にスラリーに滴下し、pHを3〜4の範囲内
となるように調整した。この第2段階の滴下反応が終了
した後、そのままのpH及び液温を保ちながら30分間
攪拌した。その後、室温まで放冷後、反応生成物を濾
過、水洗、脱水した後、乾燥した。得られた乾燥品を酸
化性雰囲気である大気中で、400℃で1時間加熱処理
して白色導電性物質を得た。
【0037】実施例2 基材となる繊維をルチル型酸化チタン繊維(商品名「F
TL−200」、石原産業社製)に変更する以外は、実
施例1と同様にとして、白色導電性物質を得た。
【0038】実施例3 基材を酸化珪素の球状粉末(商品名「Nipsil L
−300」、日本シリカ工業社製、平均粒径7μm)に
変更する以外は、実施例1と同様にして、白色導電性物
質を得た。
【0039】比較例1 実施例1と同様のアナターゼ型繊維を用い、このアナタ
ーゼ型繊維250gを水2500ml中に分散させ、7
0℃に保ちながら、スラリー化した。次に、このスラリ
ー中に塩化第一錫の水溶液(Sn換算23重量%)26
0gと、12重量%の塩酸66.6gとを混合したもの
を約1時間かけて滴下し、それと同時に15重量%の水
酸化ナトリウム水溶液を別個に滴下して、pHを3〜4
の範囲に保った。その後は、実施例1と同様に脱水、乾
燥、加熱処理を施し、白色導電性物質を得た。
【0040】比較例2 添加する錫原料を塩化第二錫に変更する以外は、比較例
1と同様の方法により白色導電性物質を得た。
【0041】比較例3 基材となる繊維を実施例2において用いたルチル型酸化
チタン繊維に変更する以外は、比較例2と同様の方法で
白色導電性物質を得た。
【0042】比較例4 添加する錫原料として,第1段階及び第2段階共に、塩
化第一錫を用いる以外は、実施例2と同様の方法で白色
導電性物質を得た。
【0043】比較例5 比較例4において、pH調整のために滴下する15重量
%の水酸化ナトリウム水溶液の量をやや過剰に加え、反
応中のpHを10〜11の範囲のアルカリ性領域として
反応させる以外は、比較例4と同様にして白色導電性物
質を得た。
【0044】比較例6 実施例1において、第1段階で滴下する塩化第二錫溶液
中に三塩化アンチモン12.8gを12重量%塩酸6
6.6gに溶解させた溶液を加え混合溶液として滴下す
る以外は、実施例1と同様にして白色導電性物質を得
た。
【0045】比較例7 第1段階において滴下する溶液を、比較例6と同様にア
ンチモンを含んだ溶液とし、比較例5と同様に水酸化ナ
トリウム水溶液の量をやや過剰に加え反応をアルカリ性
領域において行う以外は、比較例5と同様にして白色導
電性物質を得た。
【0046】上記実施例1〜3及び比較例1〜7におけ
る基材物質、第1段階及び第2段階の錫原料、錫原料添
加時のpH、及びアンチモン添加の有無を表1にまとめ
て示す。また、得られた白色導電性物質について、粉体
の体積抵抗率(Ω・cm)を測定した。なお、測定値
は、100kg/cm2 の荷重下で測定した値である。
【0047】さらに、得られた白色導電性物質につい
て、粉体のハンター白度を測定した。測定は、粉体に1
t/cm2 の圧力をかけて、圧粉体(直径40mm、厚
み2mm)を作成し、JIS Z−8722〜8730
に規定されたL値(明度指数)を測定し、ハンター白度
とした。
【0048】上記各実施例及び各比較例の粉体の体積抵
抗率及びハンター白度を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】表1から明らかなように、本発明に従う実
施例1〜3の白色導電性物質は、体積抵抗率が低く、優
れた導電性を有していることがわかる。また、ハンター
白度が高く、高い白色度を有することがわかる。また、
アンチモンを含有させた比較例6及び比較例7は高い導
電性を有するものの、ハンター白度が低く、白色度にお
いて劣ることがわかる。
【0051】次に、上記各実施例及び各比較例の白色導
電性物質を表2に示す各種樹脂と混練し、導電性樹脂組
成物を作製した。配合割合は樹脂100重量部に対し、
白色導電性物質40重量部となるように混練配合した。
樹脂としては、ウレタン樹脂(商品名「Vトップ」、大
日本塗料社製)、アクリル樹脂(商品名「アクローゼス
ーパー」、大日本塗料社製)、及びフェノール樹脂(商
品名「フェノライト」、大日本インキ化学社製)を用い
た。
【0052】得られた樹脂組成物をシート状に成形し、
その表面抵抗率を測定した。サンプルとしては、一辺1
0cm、厚み2mmの正方形のシートを作成し、JIS
K−6911法に準拠し、次式に基づいて算出した。
【0053】
【数1】
【0054】ここで、Dは表面の環状電極の内径(c
m)、dは表面電極の内円の外径(cm)、Rsは測定
抵抗値(Ω)、πは円周率(≒3.14)を表す。以上
のようにして測定した表面抵抗率(Ω)を表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】表2から明らかなように、本発明に従う実
施例1〜3の白色導電性物質を配合した樹脂組成物は、
いずれも優れた導電性を示すことがわかる。
【0057】
【発明の効果】本発明の白色導電性物質は、アンチモン
を含有せずとも高い導電性を発揮することができる白色
導電性物質であり、かつ高い白色度を有するものであ
る。
【0058】本発明の製造方法によれば、本発明の白色
導電性物質を効率よく製造することができる。本発明の
導電性組成物は、上記本発明の白色導電性物質を含有し
ているので、導電性に優れ、かつ白色度の高い導電性組
成物とすることができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の表面上に酸化錫からなる導電層を
    有した白色導電性物質であって、 前記導電層が、第二錫化合物から形成される第1の酸化
    錫層と、第一錫化合物から形成される第2の酸化錫層と
    からなり、前記第1の酸化錫層及び前記第2の酸化錫層
    にアンチモン成分が実質的に含有されていないことを特
    徴とする白色導電性物質。
  2. 【請求項2】 前記第1の酸化錫層が前記基材の表面上
    に形成されており、前記第2の酸化錫層が前記第1の酸
    化錫層の上に形成されていることを特徴とする請求項1
    に記載の白色導電性物質。
  3. 【請求項3】 基材の表面上に酸化錫からなる導電層を
    有する白色導電性物質を製造する方法であって、 前記基材を水に分散して水分散液とし、該水分散液に第
    二錫化合物を添加し、これを反応させることによって析
    出する第二錫の水不溶性物質を前記基材表面上に堆積さ
    せ、次に第一錫化合物を該水分散液に添加し、これを反
    応させることによって析出する第一錫の水不溶性物質を
    前記第二錫の水不溶物質の上に堆積させた後、脱水し、
    酸化性雰囲気で加熱処理することを特徴とする白色導電
    性物質の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第二錫化合物及び第一錫化合物を前
    記水分散液に添加する際、同時にアルカリ性溶液を添加
    して、前記水分散液のpHを2〜5に調整することによ
    り、それぞれの水不溶性物質を析出させることを特徴と
    する請求項3に記載の白色導電性物質の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1または2に記載の白色導電性物
    質または請求項3または4に記載の方法により製造され
    る白色導電性物質と、結合材とからなる導電性組成物。
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