JPH10147891A - 白色導電性物質及びその製造方法 - Google Patents

白色導電性物質及びその製造方法

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JPH10147891A
JPH10147891A JP30763596A JP30763596A JPH10147891A JP H10147891 A JPH10147891 A JP H10147891A JP 30763596 A JP30763596 A JP 30763596A JP 30763596 A JP30763596 A JP 30763596A JP H10147891 A JPH10147891 A JP H10147891A
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oxide layer
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Yukiya Haruyama
幸哉 晴山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 導電性及び白色度に優れ、かつ基材からのア
ルカリ金属イオンの溶出を抑制することができる白色導
電性物質及びその製造方法を得る。 【解決手段】 基材の表面上に酸化錫からなる導電層が
形成された白色導電性物質及びその製造方法であり、導
電層として、基材の表面上に形成されかつ第二錫化合物
から形成された第1の酸化錫層と、第1の酸化錫層上に
形成されかつ第一錫化合物から形成された第2の酸化錫
層とからなり、第1の酸化錫層中にアンチモン成分が含
有されていることを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材の表面上に酸
化錫からなる導電層を有した白色導電性物質及びその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、エレクトロニクス産業の著し
い発展に伴い、導電性材料の開発が望まれている。導電
性材料として一般的に使用されているカーボンブラック
や金属粉は、電気抵抗が非常に低く、導電性において優
れているが、色調が黒色系統であるため、その用途が限
定される。
【0003】着色が可能の白色導電性物質としては、酸
化チタンの表面を酸化錫で被覆したものや、アンチモン
をドープした酸化錫で被覆した白色の導電性酸化チタン
が開示されている(特開昭53−92854号公報及び
特開昭58−209002号公報など)。
【0004】また、導電性材料としての形状は球状であ
るより、針状や繊維状などの異方性を有する形状である
方が、より少ない配合割合で所望の導電性を付与できる
ことが知られている。従って、繊維状等の基材の表面に
酸化錫等の導電層を形成した白色導電性材料の開発研究
が盛んに行われている。
【0005】特公昭61−26933号公報では、表面
を酸化錫で被覆した繊維状チタン酸カリウムを主成分と
する白色導電性物質が開示されている。また、特開昭6
3−233016号公報では、高品位針状酸化チタンの
表面に、酸化錫及び酸化アンチモンを被覆した針状導電
性酸化チタンが開示されている。また、特開平6−18
3737号公報では、単斜晶系酸化チタン繊維の表面
に、酸化錫及び酸化アンチモンを被覆した導電性酸化チ
タン繊維が開示されている。
【0006】ところで、これらの従来の白色導電性物質
においては、導電層を酸化錫のみで形成すると十分な導
電性が得られないため、アンチモンをドープして、結晶
格子中に酸素欠陥を存在させ、導電性を発現させてい
る。しかしながら、アンチモンを含有させると、導電性
は向上するが、白色度が低下する傾向にある。
【0007】そこで、アンチモンを含有しない酸化錫を
導電層として有する白色導電性材料が検討されている。
特開平6−207118号公報では、アンチモンを含有
させずに錫化合物のみを基材に付着させ、その後非酸化
性雰囲気または還元性雰囲気で加熱処理し、酸化錫中に
酸素欠陥を作り、導電性を発現させる方法が開示されて
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな非酸化性雰囲気または還元性雰囲気中で加熱処理を
行っても、やはり酸化錫が青灰色〜黒色に着色し、高い
白色度を有する白色導電性物質が得られないという問題
があった。また、当然ながら、非酸化性雰囲気等を作り
出すためには、密閉された設備と雰囲気に応じたガス及
びその導入設備が必要となり、製造コスト的に不利なも
のとなった。
【0009】また、基材として繊維状チタン酸カリウム
などを用いると、このような基材からカリウムイオンが
溶出するので、アルカリ金属イオンの存在が嫌がられる
エレクトロニクスの分野においては、このような基材か
らのアルカリ金属イオンの溶出を抑制しなければならな
いという問題があった。
【0010】本発明の目的は、導電性及び白色度に優
れ、かつ基材からのアルカリ金属イオンの溶出を抑制す
ることができる白色導電性物質及びその製造方法を提供
することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、基材の表面上に酸化錫からなる導電層が形成された
白色導電性物質であり、導電層が、基材の表面上に形成
されかつ第二錫化合物から形成された第1の酸化錫層
と、第1の酸化錫層上に形成されかつ第一錫化合物から
形成された第2の酸化錫層とからなり、第1の酸化錫層
中にアンチモン成分が含有されていることを特徴として
いる。
【0012】請求項1に記載の発明においては、基材表
面上に形成された第1の酸化錫層に、アンチモン成分が
含有されている。従って、基材からのカリウム及びナト
リウムなどのアルカリ金属イオンの溶出を抑制すること
ができる。
【0013】また、請求項1に記載の発明では、第2の
酸化錫層が第一錫化合物から形成されている。この第一
錫化合物は2価の錫化合物であるため、加熱処理により
酸化されて4価の錫の酸化錫層となるが、この際に酸素
欠陥を発生し易い。従って、アンチモン成分を含有せず
とも、多くの酸素欠陥が存在し、高い導電性が発現され
る。従って、表面に近い第2の酸化錫層の白色度及び導
電性を高めることができるので、白色導電性物質として
高い白色度及び高い導電性を発現することができる。な
お、請求項1に記載の発明において、第2の酸化錫層に
アンチモン成分が含有されていない場合や微量含有され
ている場合に、上述のように高い白色度とすることがで
きる。しかしながら、必要とされる白色度は、白色導電
性物質の目的及び用途等に応じて異なるので、目的及び
用途等に応じて、第2の酸化錫層中にアンチモン成分が
含有されていてもよい。
【0014】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の白色導電性物質において、第1の酸化錫層中のアン
チモン成分の含有量が、第1の酸化錫層中のSnO2
算量100重量部に対し、Sb2 3 として1〜50重
量部である。第1の酸化錫層中におけるアンチモン成分
の含有量が少なすぎると、基材からのアルカリ金属イオ
ンの溶出の抑制が不十分となる場合がある。またアンチ
モン成分の含有量が多すぎると、色調的に黒みを帯びる
傾向があり、また含有量に比して導電性の向上が期待で
きなくなり経済的に不利になる。
【0015】請求項3に記載の発明においては、基材と
して、表面からアルカリ金属イオンを溶出する基材が用
いられる。上述のように、第1の酸化錫層中にアンチモ
ン成分が含有されているので、このようなアルカリ金属
イオンの溶出を抑制することができ、アルカリ金属イオ
ンの存在によって支障をきたす用途、例えばエレクトロ
ニクス分野等の用途にも、このような基材を用いた白色
導電性物質を使用することができるようになる。
【0016】請求項4に記載の発明は、基材の表面上に
酸化錫からなる導電層を有する白色導電性物質を製造す
る方法であり、基材を水に分散して水分散液とし、該水
分散液に第二錫化合物及びアンチモン化合物を添加し、
これを反応させることによって析出する第二錫及びアン
チモンの水不溶性物質を基材表面上に堆積させ、次に第
一錫化合物を該水分散液に添加し、これを反応させるこ
とによって析出する第一錫の水不溶性物質を第二錫及び
アンチモンの水不溶性物質の上に堆積させた後、脱水
し、酸化性雰囲気で加熱処理することを特徴としてい
る。
【0017】請求項5に記載の発明では、請求項4に記
載の発明の製造方法において、第二錫化合物とアンチモ
ン化合物及び第一錫化合物を水分散液に添加する際、同
時にアルカリ性溶液を添加して、水分散液のpHを2〜
5に調整することにより、それぞれの水不溶性物質を析
出させている。
【0018】請求項6に記載の発明によれば、第1の酸
化錫層におけるアンチモン化合物の添加量を、第二錫化
合物の添加量のSnO2 換算量100重量部に対し、S
23 として1〜50重量部としている。このような
アンチモン化合物の添加量とする理由は、請求項2に記
載の発明と同様である。
【0019】また、請求項7に記載の発明では、基材と
して、繊維状チタン酸カリウムのように、その表面から
アルカリ金属イオンを溶出する基材が用いられる。請求
項3に記載の発明と同様に、このような基材を用いた場
合にも、基材表面上に形成される第二錫化合物及びアン
チモン化合物から形成される第1の酸化錫層により、基
材表面からのアルカリ金属イオンの溶出を抑制すること
ができる。
【0020】以下、請求項1〜7に記載の各発明に共通
する技術的事項については、「本発明」として説明す
る。本発明において用いられる基材は、特に限定される
ものではなく、針状もしくは繊維状物質、鱗片状もしく
は板状物質、粉末状、粒状もくしはバルーン状物質など
種々の形状のものを用いることができる。また、天然鉱
物であってもよいし、人造物質であってもよい。繊維状
または針状物質としては、天然物であれば、アスベス
ト、ワラストナイトなどがあり、人工物としては、チタ
ン酸カリウムウイスカー、石膏繊維、ゾノトライト、炭
化珪素繊維、アルミナ繊維、酸化チタン繊維、ガラス繊
維、シリカ繊維、酸化亜鉛繊維などが挙げられる。ま
た、鱗片状または板状物質としては、マイカ系物質が一
般的であるが、タルク等や、ガラスフレーク、アルミナ
フレーク、チタニアフレークなどが挙げられる。また、
粉末状、粒状、バルーン状の物質としては、酸化チタ
ン、シリカ粉末、亜鉛華、硫酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、珪酸カルシウム、カオリナイト、シリカバルーン、
ガラスバルーン、シリコーンビーズ、ガラスビーズ等が
挙げられる。本発明において用いられる基材は、これら
の例に限定されるものではなく、その他の基材を用いる
ことができる。
【0021】請求項5に記載の発明においては、基材を
分散した水分散液のpHを2〜5に調整しながら製造す
るので、酸性溶液中で不溶な物質であることが好まし
い。また、請求項4〜7に記載の発明においては、基材
を水に分散させて製造するので、水中で分散可能な基材
であることが好ましい。
【0022】本発明において用いる第二錫化合物は、4
価の錫化合物であり、例えば、塩化第二錫、硫酸第二
錫、硝酸第二錫等を使用することができる。本発明にお
いて用いる第一錫化合物は、2価の錫化合物であり、例
えば、塩化第一錫、硫酸第一錫、硝酸第一錫等を使用す
ることができる。
【0023】本発明において用いるアンチモン化合物
は、3価のアンチモンの化合物であり、塩化物、硫酸
塩、硝酸塩など種々の形態の化合物でよいが、一般的に
入手が容易なのは、三塩化アンチモンである。
【0024】請求項1に記載の発明の白色導電性物質の
導電層は、基材表面上に形成されかつ第二錫化合物から
形成されアンチモン成分を含有している第1の酸化錫層
と、該第1の酸化錫層上に形成されかつ第一錫化合物か
ら形成された第2の酸化錫層とからなることを特徴とし
ている。酸化錫からなる導電層、すなわち第1の酸化錫
層及び第2の酸化錫層からなる導電層が基材を被覆する
量としては、基材100重量部に対し、SnO2 換算で
5〜100重量部であることが好ましく、さらに好まし
くは10〜30重量部である。導電層の被覆量が少なす
ぎると、発現される導電性が十分でなく、逆に多すぎる
と、被覆量に比して導電性の向上が望めないので、経済
的に不利なのもとなり、また白色度も一般的に低下す
る。
【0025】第1の酸化錫層の被覆量は、基材100重
量部に対し少なくとも3重量部以上であることが好まし
い。さらに好ましくは、基材100重量部に対し5〜2
0重量部である。また、第1の酸化錫層中のアンチモン
成分の含有量は、請求項2に記載のように、第1の酸化
錫層のSnO2 換算量100重量部に対し、Sb2 3
として1〜50重量部である。
【0026】第2の酸化錫層は、上述のように、第一錫
化合物から形成され、2価の錫を酸化して、4価の酸化
錫とするものであるので、酸素欠陥がより多く存在し、
より高い導電性を付与するものである。また、アンチモ
ン成分を必須成分として含有するものではないので、第
2の酸化錫層の白色度を高め、その結果白色導電性物質
自体の白色度を向上させることができる。このような第
2の酸化錫層の被覆量は、特に限定されるものではな
く、必要とされる物性に応じて任意に設定することが可
能であるが、基材100重量部に対し、少なくとも3重
量部以上であることが好ましく、さらに好ましくは、5
〜20重量部である。
【0027】請求項4に記載の発明は、請求項1〜3に
記載の発明の白色導電性物質を製造することができる方
法である。請求項4に記載の発明においては、まず基材
を水に分散して水分散液とする。この水分散液における
基材の濃度は、使用する基材に応じて適宜設定されるも
のであり、十分な混合攪拌が可能で、後工程において基
材上に付着堆積させる水不溶性物質が均一に付着できる
ような濃度であればよい。
【0028】基材の水分散液に、第1段階として、第二
錫化合物及びアンチモン化合物が添加される。この第二
錫化合物及びアンチモン化合物は、溶液の形態で添加さ
れることが好ましく、さらに好ましくは水溶液の形態で
添加される。水分散液に添加された第二錫化合物及びア
ンチモン化合物を、加水分解反応等により、例えば第二
錫水酸化物及びアンチモン水酸化物などの水不溶性物質
とすることにより、基材の表面上に、水不溶性物質を付
着し堆積させる。第二錫化合物及びアンチモン化合物の
添加の際、請求項5に記載のように、添加と同時にアル
カリ溶液を滴下し、水分散液のpHを2〜5の酸性領域
に保ちながら反応させることが好ましい。系内のpHを
2〜5の酸性領域に保つことにより、析出する第二錫の
水不溶性物質がより均一に基材に被覆できる形態で析出
するので、より均一な被覆が可能となる。滴下するアル
カリ溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモ
ニウム、アンモニア水等を使用することができる。添加
する第二錫化合物及びアンチモン化合物は、同種の塩で
あることが好ましい。すなわち、例えば第二錫化合物と
して塩化錫を用いる場合には、アンチモン化合物として
三塩化アンチモンを用いることが好ましい。また、第二
錫化合物及びアンチモン化合物は、混合溶液として添加
することが好ましい。
【0029】上記の第1段階の後、第2段階として、第
一錫化合物を水分散液に添加する。水分散液に添加した
第一錫化合物を加水分解等することによって、水酸化第
一錫などの第一錫の水不溶性物質を析出させ、この第一
錫の水不溶性物質を第二錫及びアンチモンの水不溶性物
質の上に付着堆積させる。この第一錫化合物の添加の際
にも、請求項5に記載のように、第一錫化合物の添加と
同時に、アルカリ溶液を添加して、水分散液のpHを2
〜5の酸性領域に保ちながら、第一錫化合物を反応させ
ることが好ましい。アルカリ溶液としては、上記第1段
階で添加するアルカリ溶液と同様のものを使用すること
ができる。一般に、塩化第一錫などの第一錫化合物溶液
を添加し、酸性領域で水酸化物を析出させると、粘度が
急上昇し、基材上への均一な被覆層の形成が困難であ
る。しかしながら、請求項5に記載の発明では、基材上
に既に第二錫及びアンチモンの水不溶性物質が均一に被
覆しているため、系内の粘度上昇はほとんど見られず、
第一錫の水不溶性物質をその上に均一に形成することが
できる。
【0030】上述のように、第1の酸化錫層には、アン
チモン成分が必須成分として含有されているが、第2の
酸化錫層にはアンチモン成分は必須成分として含有され
ていない。従って、第2段階においては、第一錫化合物
のみの溶液を添加すればよいが、上述のように第2の酸
化錫層にもアンチモン成分が任意成分として含有されて
もよい。従って、このような場合には、第一錫化合物と
アンチモン化合物の混合溶液を添加してもよい。上述の
ように、第2の酸化物層中にアンチモン成分を存在させ
ると、導電性は向上するが、色調が黒みを帯びてくる。
従って、白色導電性物質として導電性のほかに、色調の
白さを要求される場合には、第2の酸化錫層にアンチモ
ン成分が存在しないことが好ましく、従って、第2段階
においては、アンチモン化合物を混合して添加しないこ
とが好ましい。
【0031】上記の第1段階及び第2段階における水分
散液の液温は、室温でも可能であるが、好ましくは、5
0〜80℃程度に加温する。このような加温により、よ
り均一な反応が可能である。
【0032】上記第1段階及び第2段階における第二錫
化合物、アンチモン化合物、及び第一錫化合物の添加量
は、第1の酸化錫層及び第2の酸化錫層並びに第1の酸
化錫層中のアンチモン成分が、所望の被覆量及び含有量
となるような添加量が選ばれる。
【0033】上記の第1段階及び第2段階の析出反応終
了後は、そのままの液温において、攪拌しながら、しば
らくの間、例えば、0.5〜5時間程度放置しておくこ
とが好ましい。このような放置により、より強固な被覆
層の形成を促進することができる。この際、pHは反応
中のpHをそのまま保持してもよいし、酸性領域の範囲
内で若干pHを上げて保持してもよい。
【0034】次に、水分散液を濾過し脱水した後、付着
処理した基材を乾燥する。乾燥工程は、引き続く加熱処
理工程への一連の工程において行ってもよい。乾燥後、
基材上に付着堆積させた水不溶性物質を加熱処理し、酸
化錫を主成分とする導電層を形成する。加熱温度は、基
材上の被覆層を導電性を有する酸化錫とし得る温度であ
れば、特に限定されないが、通常は350〜600℃程
度の温度で加熱処理する。また、加熱処理の時間は、処
理温度等によって異なるが、通常30分〜5時間、好ま
しくは1〜3時間程度が適当である。
【0035】加熱処理の雰囲気は、2価の錫である第一
錫の水不溶性物質を酸化して4価の酸化錫とする必要が
あるため、酸素が含まれた酸化性雰囲気で行う。従っ
て、大気中で加熱処理を行うことができる。このため、
非酸化性雰囲気や還元性雰囲気での加熱処理のように密
閉して加熱処理する必要がない。
【0036】本発明の白色導電性物質は、基材の表面上
に形成される第1の酸化錫層と、第1の酸化錫層上に形
成される第2の酸化錫層を有しており、第2の酸化錫層
は第一錫化合物から形成される酸化錫であり、酸素欠陥
が存在し易く、アンチモン成分が存在しなくても高い導
電性を発現することができる。従って、白色度が高く、
かつ導電性に優れた白色導電性物質とすることができ
る。また、基材表面上に形成される第1の酸化錫層中に
アンチモン成分が含有されているので、基材として繊維
状チタン酸カリウムなどのようにアルカリ金属イオンを
溶出し易い基材を用いた場合にも、基材表面からのアル
カリ金属イオンの溶出を抑制することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、具体的な実施例によって本
発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例
によって限定されるものではない。
【0038】実施例1 チタン酸カリウム繊維(商品名「ティスモ−N」、大塚
化学社製)250gを水2500ml中に分散させ、水
温を70℃に保ちながら、攪拌機にて10分間攪拌して
スラリー化した。次に、このスラリー中に塩化第二錫の
水溶液(Sn換算23重量%)130gと、三塩化アン
チモン12.8gとを12重量%の塩酸66.6gに溶
解させた混合溶液を約1時間かけて滴下し、それと同時
に15重量%の水酸化ナトリウム水溶液を別個に滴下さ
せ、全体の反応液のpHを3〜4の範囲に保った。第1
段階の滴下反応が終了した後、そのままのpH及び液温
を保ちながら30分間攪拌した。
【0039】次に、塩化第一錫の水溶液(Sn換算23
重量%)130gと、12重量%の塩酸100gの混合
溶液を約1時間かけて滴下し、第1段階と同様に、同時
に15重量%の水酸化ナトリウム水溶液を別個に滴下し
て、pHを3〜4の範囲に保った。第2段階の滴下反応
が終了した後、そのままのpH及び液温を保ちながら3
0分間攪拌した。その後、室温まで放冷した後、反応生
成物を濾過、水洗、脱水し、乾燥した。得られた乾燥品
を酸化性雰囲気中である大気中で450℃、1時間加熱
処理して白色導電性物質を得た。
【0040】実施例2 基材となる繊維を酸化チタン(ルチル)繊維(商品名
「FTL−200」、石原産業社製)に変更する以外
は、実施例1と同様にして白色導電性物質を得た。
【0041】実施例3 基材として、酸化珪素の球状粉末(商品名「Nipsi
l L−300」、日本シリカ工業社製、平均粒径7μ
m)を用いる以外は、実施例1と同様にして白色導電性
粉末を得た。
【0042】実施例4 反応中に添加する15重量%の水酸化ナトリウム水溶液
をやや過剰に加えて、反応中のpHを10〜11の範囲
のアルカリ性に保つ以外は、実施例1と同様にして白色
導電性物質を得た。
【0043】実施例5 実施例4と同様に水酸化ナトリウム水溶液をやや過剰に
し、反応中のpHを10〜11のアルカリ性に保つ以外
は、実施例2と同様にして白色導電性物質を得た。
【0044】比較例1 実施例1と同様のチタン酸カリウム繊維250gを水2
500ml中に分散させ、70℃に保ちながら、スラリ
ー化した。次に、このスラリー中に塩化第一錫の水溶液
(Sn換算23重量%)260gと、三塩化アンチモン
12.8gとを12重量%の塩酸66.6gに溶解させ
た混合溶液を約1時間かけて滴下し、それと同時に15
重量%の水酸化ナトリウム水溶液を別個に滴下して、p
Hを3〜4の範囲に保った。その後、実施例1と同様に
そのままのpH及び液温を保ちながら30分間攪拌し、
室温まで放冷した後、実施例1と同様に乾燥し、加熱処
理して白色導電性物質を得た。
【0045】比較例2 錫原料を塩化第二錫に変更する以外は、比較例1と同様
にして白色導電性物質を得た。
【0046】比較例3 第1段階に塩化第一錫の水溶液と三塩化アンチモンと塩
酸との混合溶液を使用し、第2段階に塩化第二錫の水溶
液と塩酸の混合溶液を使用する以外は、実施例1と同様
にして白色導電性物質を得た。
【0047】比較例4 錫原料として、第1段階及び第2段階ともに塩化第一錫
を用いる以外は、比較例3と同様にして白色導電性物質
を得た。
【0048】比較例5 錫原料として、第1段階及び第2段階ともに塩化第二錫
を用いる以外は、比較例3と同様にして白色導電性物質
を得た。
【0049】比較例6 基材として、実施例2において用いた酸化チタン繊維を
用いる以外は、比較例1と同様にして白色導電性物質を
得た。
【0050】比較例7 基材として、実施例2において用いた酸化チタン繊維を
用いる以外は、比較例2と同様にして白色導電性物質を
得た。
【0051】比較例8 基材として、実施例2において用いた酸化チタン繊維を
用いる以外は、比較例4と同様にして白色導電性物質を
得た。
【0052】比較例9 基材として、実施例2において用いた酸化チタン繊維を
用いる以外は、比較例5と同様にして白色導電性物質を
得た。
【0053】比較例10 第1段階において三塩化アンチモンを添加せず、塩化第
二錫のみを添加する以外は、実施例1と同様にして白色
導電性物質を得た。
【0054】上記実施例1〜5及び比較例1〜10にお
ける基材物質、第1段階及び第2段階の原料、原料添加
時のpHを表1にまとめて示す。また、得られた白色導
電性物質について、粉体の体積抵抗率(Ω・cm)を測
定した。なお、測定値は、100kg/cm2 の荷重下
での測定値である。
【0055】さらに、得られた白色導電性物質につい
て、粉体のハンター白度を測定した。測定は、粉体に1
t/cm2 の圧力をかけて、 粉体(直径40mm、厚
み2mm)を作製し、JIS Z−8722〜8730
に規定したL値(明度指数)を測定し、ハンター白度と
した。
【0056】さらに、得られた白色導電性物質につい
て、アルカリ金属イオンの溶出度を評価した。各実施
例、比較例において得られた試料1gを脱イオン水10
0ml中に分散し、室温にて10時間攪拌した後、フィ
ルターペーパーにて濾過した濾液を、原子吸光測定装置
にて、K(カリウム)イオン量(ppm)として測定し
た。
【0057】上記各実施例及び各比較例の粉体の体積抵
抗値、ハンター白度、及び溶出カリウムイオン量を表1
に示す。
【0058】
【表1】
【0059】表1から明らかなように、本発明に従う実
施例1〜5の白色導電性物質は、体積抵抗率が低く、優
れた導電性を有していることがわかる。また、ハンター
白度が高く、高い白色度を有することがわかる。さら
に、基材からのアルカリ金属イオンの溶出が抑制されて
いることがわかる。
【0060】
【発明の効果】本発明の白色導電性物質は、導電性及び
白色度に優れ、かつ基材からのアルカリ金属イオンの溶
出を抑制することができる白色導電性物質である。
【0061】本発明の製造方法によれば、本発明の白色
導電性物質を効率よく製造することができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の表面上に酸化錫からなる導電層が
    形成された白色導電性物質であって、 前記導電層が、前記基材の表面上に形成されかつ第二錫
    化合物から形成された第1の酸化錫層と、前記第1の酸
    化錫層上に形成されかつ第一錫化合物から形成された第
    2の酸化錫層とからなり、前記第1の酸化錫層中にアン
    チモン成分が含有されていることを特徴とする白色導電
    性物質。
  2. 【請求項2】 前記第1の酸化錫層中のアンチモン成分
    の含有量が前記第1の酸化錫層中のSnO2 換算量10
    0重量部に対し、Sb2 3 として1〜50重量部であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の白色導電性物質。
  3. 【請求項3】 前記基材がその表面からアルカリ金属イ
    オンを溶出する基材である請求項1または2に記載の白
    色導電性物質。
  4. 【請求項4】 基材の表面上に酸化錫からなる導電層を
    有する白色導電性物質を製造する方法であって、 前記基材を水に分散して水分散液とし、該水分散液に第
    二錫化合物及びアンチモン化合物を添加し、これを反応
    させることによって析出する第二錫及びアンチモンの水
    不溶性物質を前記基材表面上に堆積させ、次に第一錫化
    合物を該水分散液に添加し、これを反応させることによ
    って析出する第一錫の水不溶性物質を前記第二錫及びア
    ンチモンの水不溶性物質の上に堆積させた後、脱水し、
    酸化性雰囲気で加熱することを特徴とする白色導電性物
    質の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記第二錫化合物とアンチモン化合物及
    び前記第一錫化合物を前記水分散液に添加する際、同時
    にアルカリ性溶液を添加して、前記水分散液のpHを2
    〜5に調整することにより、それぞれの水不溶性物質を
    析出させることを特徴とする請求項4に記載の白色導電
    性物質の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記アンチモン化合物を、前記第二錫化
    合物の添加量のSnO2 換算量100重量部に対し、S
    2 3 として1〜50重量部となる量添加することを
    特徴とする請求項4または5に記載の白色導電性物質の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 前記基材が、その表面からアルカリ金属
    イオンを溶出する基材である請求項4〜6の何れか1項
    に記載の白色導電性物質の製造方法。
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