JPH10142958A - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置

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JPH10142958A
JPH10142958A JP29888296A JP29888296A JPH10142958A JP H10142958 A JPH10142958 A JP H10142958A JP 29888296 A JP29888296 A JP 29888296A JP 29888296 A JP29888296 A JP 29888296A JP H10142958 A JPH10142958 A JP H10142958A
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JP29888296A
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Yoshie Iwakura
良恵 岩倉
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Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 転写ドラムに転写材を安定して静電吸着させ
るための印加電圧、トナー転写電圧を低く抑制して安全
性を確保するとともに、湿度等の環境変化に影響されな
い転写部を実現する。 【解決手段】 転写ドラム9Aの転写紙Pと接触する誘
電体層26の表面に鋸歯状の凹凸26aを設けることに
より、同じ印加電圧に対して、転写紙Pと誘電体層26
間に形成される電界強度を高め、これによって、より低
い電圧で転写材を確実に誘電体層に静電吸着できるよう
にしたもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、デジタル複写機、
レーザープリンタあるいはレーザーファックス等に用い
られるカラー画像形成装置、特に転写紙等の転写材を保
持しながら複数回のトナー転写を行うための転写ドラム
の転写材保持機能の向上を図った画像形成装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】この種の画像形成装置としては、像担持
体としての感光体ドラム表面に形成された静電潜像にト
ナーを付着させて現像し、この感光体ドラム上のトナー
像を転写ドラムに巻き付けられた転写紙等の転写材に転
写する機能を備えたものが広く知られている。
【0003】図12は上記機能を備えた画像形成装置に
おける転写部の従来例を示している。この図において、
51は転写ドラム、52は感光体ドラムである。転写ド
ラム51の表面には誘電体層51aが設けられている。
また、該転写ドラム51の内部には、第1のコロナ帯電
器53と、第2のコロナ帯電器54とが一定位相を隔て
て別々に配設されており、第1の帯電器53により転写
材Pを静電吸着し、第2の帯電器54により感光体ドラ
ム52の表面に形成されたトナー像を転写材Pに転写す
るようになっている。なお、55は転写材Pを転写ドラ
ム51に導くローラガイド機構である。
【0004】ところが、上記従来例の画像形成装置の場
合、転写ドラム51の表面が誘電体層51aのみの一層
構造となっているため、前述のように該ドラム内部に、
コロナ帯電器53,54を設ける必要が生じる。このコ
ロナ帯電器の設置を減らすか、あるいは無くすことがで
きる構成として、例えば図13に示すような転写部を備
えた画像形成装置が実用化されている。
【0005】図13に示す転写部の構成では、前者と異
なり転写ドラム61の表層部分は、内層となる基材61
a上に、外層となる半導電体層61bを重層して設けた
2層構造となっている。また、転写部にはグリップ機構
62が設けられており、このグリップ機構62により、
ローラガイド機構55によって搬送された転写材Pを転
写ドラム61の表面に沿わせた状態で保持するようにな
っている。63は転写ドラム外層の半導電体層61bに
電圧を印加する電圧印加手段である。
【0006】この後者の構成では、グリップ機構62に
よって搬送されて来た転写材Pの端部を掴んで転写ドラ
ム61の表面に沿わせた後、該転写ドラム外層の半導電
体層61bに電圧を印加することによって、該半導電体
層61bを帯電させて、感光体ドラム52のトナー像を
転写材Pに転写するようになっている。また、後者と同
様の構成で、電圧印加手段63に代えて、帯電器(図示
せず)を転写ドラム61の内部に設けた構成のものも存
在するが、この場合、感光体ドラム52上のトナー像の
転写時に、帯電器により放電することによって転写ドラ
ム61の表面を帯電させるようにしている。
【0007】このように、図13に示すものでは、転写
ドラム51を2層構造とすることで、転写材Pにトナー
像を転写するための転写ドラム51の帯電を行うように
なっているので、転写ドラム51の表面を帯電させるた
めの構成が、前者よりも簡略化されるという利点があ
る。
【0008】上記図13に示す後者の構成を基本とする
先行技術例として、特開平5−173435号公報に開
示された転写装置が挙げられる。図14にその要部を示
すように、この先行技術例の転写装置では、転写ドラム
71を基材71a上に発泡体71bと、発泡体71bを
覆う誘電体層71cとを巻き付けた構成としている。像
担持体(感光体ドラム)72上に順次形成された各色のト
ナー像を、転写ドラム71の誘電体層71a上に担持さ
れた転写材Pの表面に順次、重ね合わせて転写すること
により、該転写材P上にカラー画像を形成するようにな
っている。73は転写材Pを転写ドラム71に搬送する
ガイド機構である。
【0009】この先行技術例では、転写ドラム71上に
転写材Pを担持するために、電荷付与手段としての吸着
ローラ74が転写ドラム71の表面に転接させており、
該吸着ローラ74に電圧を印加することにより、転写ド
ラム71上に転写材Pを静電吸着させるように構成して
いる。また、転写材Pの吸着能力を向上させるために、
誘電体層71cと発泡体層71bとの間に10μm以上の
空隙層を設けている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記先行技
術例のように、表層を構成する誘電体層71cと発泡体
層71b間に空隙が存するもののような場合、一般に、
その空隙量が大きいほど、誘電体層上に転写材を静電吸
着するために要する印加電圧を高くしなければならない
ため、安全性の面で問題があり、またコスト的にも不利
となる。
【0011】この点からも明らかなように、上記先行技
術例では、誘電体層71cと発泡体層71b間の空隙量
に関しては10μm以上という値が設定されているもの
の、空隙量があまりに大きくなると、トナー転写時にお
いて、転写ドラム71に転写材Pを安定して静電吸着さ
せるための印加電圧やトナー転写電圧を高くする必要が
生じ、安全性に問題が生じてくる。
【0012】また、上記先行技術例では、誘電体層71
cと転写材P間の空隙量に関しては規定されていない
が、転写材Pの誘電体層71cへの吸着力は、該誘電体
層71cと発泡体層71b間距離よりも、寧ろ転写材P
と誘電体層71c間距離及びこれらの間の表面性に依存
するものである。
【0013】すなわち、上記先行技術例では、その転写
装置の誘電体層71cに条件的に適合した表面性を備え
た転写材が、安定した静電吸着性を示すことがあって
も、その転写材とは表面性が異なる転写材が誘電体層7
1cに静電吸着された場合、安定して吸着する保証は全
くなく、その手段、さらには環境が変化した場合の吸着
特性も開示されていない。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような従
来の問題点を解決するためになされたもので、表面にト
ナー像が形成される像担持体と、表面に誘電体層を備え
た転写手段、前記誘電体層表面の転写位置から回転方向
上流側の表面位置に転写材を介して接触する接地された
電極部材、及び前記誘電体層に所定電圧を印加する電圧
印加手段とを備えた転写部とが設けられ、前記転写手段
の誘電体層表面に転写材を電気的に吸着保持して前記像
担持体に当接させることにより、前記像担持体のトナー
像を前記転写材表面に転写する機能を具備した画像形成
装置であって、前記転写部に設けられた誘電体層の前記
転写材と接触する表面を凹凸面状に形成することによ
り、誘電体層と転写材間に発生する電界強度を高めて、
より低い電圧で転写材を確実に誘電体層に静電吸着でき
るようにしている。
【0015】上記構成において、前記転写部の転写手段
を、所定の回転速度で回転し且つ転写材の当接面側から
誘電体層、半導電体層及び導電体層を順に同心状に重層
してなる転写ドラムにより構成し、また、電極部材を接
地された導電性ローラにより構成し、さらに電圧印加手
段を前記導電体層、半導電体層を介して誘電体層に電圧
印加するように構成することにより、従来の空中放電に
よる転写紙の吸着、転写を行うものとは異なり、電荷の
注入による転写紙の吸着、転写を行うようにして、転写
電圧の低電圧化を図ることができる。
【0016】上記転写部の転写ドラムにおいて、また、
半導電体層の転写ドラム軸方向の寸法を、誘電体層の転
写ドラム軸方向の寸法より短く形成するとともに、該半
導電体層の端部を、誘電体層によって覆うようにすれ
ば、高湿下においても各層間に水滴が生じるようなこと
もなく各環境に対して安定した静電吸着特性、トナー転
写を行うことが可能になる。
【0017】また、転写部の別の転写手段として、所定
の回転速度で回転し且つ転写材の当接面側から誘電体層
及び導電体層を順に同心状に重層してなる転写ドラムに
より構成し、また、電極部材を接地された半導電体ロー
ラにより構成し、さらに電圧印加手段を前記導電体層を
介して誘電体層に電圧印加するように構成するものとし
ても、転写電圧の低電圧化を図ることができる。
【0018】さらに、上記構成において、前記誘電体層
の凹凸表面の凸部から凹部までの高さの平均値を10μm
〜100μmとするか、誘電体層の凹凸表面を断面鋸歯状
に形成する、さらには、誘電体層の体積抵抗率を 109Ω
cm〜1015Ωcmとすれば、安定したトナー転写と転写材の
静電吸着の両方を同時に行うことが可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本実施形
態に係る画像形成装置に備えられた転写ドラム及びその
周辺の構成を模式的に示し、図2はその全体構成を示し
ている。図2に示すように、本実施形態装置は大要、ト
ナーによる画像が形成される転写材としての転写紙Pを
ストックし供給する給紙部1、トナー像を転写紙Pに転
写する転写部2、トナー像を形成する現像部3、及び転
写紙Pに転写されたトナー像を融着させて定着させる定
着部4から構成されている。
【0020】給紙部1は、転写紙Pを収容する給紙カセ
ット5、及び給紙カセット5及び手差し給紙機構6から
転写紙Pを1枚ずつ転写部2へ搬送する搬送機構7とを
備えており、該搬送機構7には転写紙Pに曲率を与える
プリカール機構8が設けられている。
【0021】転写部2には所定の回転速度で回転する転
写手段としての転写ドラム9Aが設けられている。この
転写ドラム9Aの周りには、接地された導電性ローラ
(電極部材)としてのグランドローラ10、転写ドラム9
Aから落ちないように転写紙Pをガイドするガイド部材
11、転写ドラム9Aに吸着された転写紙Pを強制的に
剥離する剥離爪12等が配設されている。なお、グラン
ドローラ10は転写ドラム9Aの誘電体層表面の転写位
置から回転方向上流側の表面に転写紙Pを介して接触す
るように設けられている。また、剥離爪12は、転写ド
ラム9A表面に離接自在に設けられている。
【0022】現像部3には、転写ドラム9Aに圧接する
像担持体としての感光体ドラム13が設けられている。
この感光体ドラム13は、アルミニウム素管等の接地さ
れた導電性金属円筒管13aの表面にOPC等の感光膜
を塗布、形成してなるものである。また、感光体ドラム
13の周りには、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラッ
クの各トナーを収納した現像器14〜17が放射状に配
設されているとともに、感光体ドラム13表面を帯電す
る帯電器18、感光体ドラム13表面の残留トナーを掻
き取り除去するクリーニングブレード19が配設されて
いる。
【0023】そして、それぞれの色に対応する各トナー
毎に、感光体ドラム13上にトナー像が形成される。即
ち、上記感光体ドラム13によれば、一色毎に帯電、露
光、現像、転写を繰り返すようになっている。したがっ
て、カラー転写の場合、転写ドラム9Aに静電吸着され
た転写紙Pに対して、転写ドラム9Aが一回転する毎
に、一色ずつのトナー像が転写紙Pに転写され、最大4
回転で1つのカラー画像が得られるようになっている。
【0024】定着部4には、所定温度、圧力によりトナ
ー像を融着して転写紙Pに定着させる定着ローラ20
と、トナー像転写後、転写ドラム9Aから剥離爪12に
よって剥離された転写紙Pを定着ローラ20までガイド
する定着ガイド21とが設けられている。また、定着部
4の転写紙搬送方向の下流側には、排出ローラ22が設
けられ、トナー像定着後の転写紙Pを装置本体Sから、
排出トレイ23上に排出するようになっている。
【0025】図1に示すように、前記転写部2に設けら
れた転写ドラム9Aは、基材として導電性に優れたアル
ミニウム等の金属円筒が使用され、本実施形態では、こ
の金属円筒を導電体層24として機能させている。この
導電体層24の外表面には発泡性材料からなる半導電体
層25が設けられている。さらに、半導電体層25の外
表面には誘電体層26が設けられている。誘電体層26
にはポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)等が用いら
れ、転写紙Pと接触する面には後述するように鋸歯状の
凹凸26aが設けられている。
【0026】また、導電体層24には、電圧印加手段と
しての電源部27が接続されており、導電体層24の全
周にわたって安定した電圧が保持されるようになってい
る。なお、転写ドラム9Aの導電体層24には、電源部
27より+の電圧が印加されているものとする。
【0027】ここで、転写ドラム9Aによる転写紙Pの
吸着、転写動作について以下に説明する。まず、転写紙
Pの静電吸着機構をより具体的に述べると、転写材Pが
転写ドラム9Aに静電吸着するのは、接触帯電により導
電層26に印加した電圧と逆極性の電荷が転写材Pに付
与されるために起こることによる。この接触帯電の機構
はパッシェン放電と電荷注入からなっている。
【0028】図3に示すように、パッシェン放電はグラ
ンドローラ10と、転写ドラム表面の誘電体層26との
間が接近し、微小空隙にかかる電界強度が強くなるにつ
れて、領域a1において空中絶縁破壊が起き放電が起こ
るというものである。転写ドラム9Aの誘電体層26
と、グランドローラ10間には電源部27から+電圧が
印加されているので、放電が起きると、転写ドラム側、
つまり転写紙Pに−電荷が蓄積される。なお、電源部2
7から−電圧が印加されているときは、転写紙Pに+電
荷が蓄積されることになる。
【0029】次に、電荷注入については、さらに放電終
了後、領域a2、つまり転写ドラム9Aとグランドロー
ラ10間のニップにおいて電荷注入が起き、転写ドラム
9A側にさらに−電荷が蓄積される。図4に電荷注入の
等価回路を示す。回路中の記号は、 Va:電源部27からの印加電圧 r1:半導電体層25の抵抗 r2:半導電体層25と誘電体層26間の接触抵抗 r3:誘電体層26の抵抗 r4:転写紙Pの接触抵抗 r5:転写紙Pとグランドローラ10間の抵抗 c2:半導電体層25と誘電体層26間の静電容量 c3:誘電体層26の静電容量 c4:転写紙Pの静電容量 c5:転写紙Pとグランドローラ10間の静電容量 である。
【0030】転写紙Pに蓄積される電荷量(電位)を求
めるため、パッシェン放電により帯電した電荷量(電
位)を初期電位として、図4に示す等価回路を転写紙P
とグランドローラ10間の静電容量c5にかかる電位差
(V)について解き、パッシェン放電と電荷注入との両
方を加味した帯電電位を求める。このようにして求めた
静電容量c5の最終帯電電位Vの解析式は下記数式1に
示す通りである。
【0031】
【数1】
【0032】このようにして転写紙P上に蓄積された電
荷(電位)は、誘電体層26に印加されている電圧と逆
極性を示すため、転写紙Pと導電体層24間で静電吸着
力が働き、転写ドラム9A上に静電吸着する。
【0033】静電吸着については、静電吸着能力(F)
は、転写紙Pの帯電電位が高いほど大きいことが一般に
数式2より確かめることができる。
【0034】
【数2】
【0035】ここで、静電吸着能力Fは、電荷密度σ、
E、Vの2乗に比例し、その値が高いほど大きい力が得
られる。
【0036】図5(A)に平板平板電極p1,p2間で生じ
る電界の相違を、図5(B)に平板電極p1と凹凸板電極
3間で生じる電界の相違を示す。図5(A)に示すよう
に、平行平板電極p1,p2間の電界は、平板に対して垂
直に平行電界が形成されることがわかる。つまり単位面
積辺りに働く平行平板電極p1,p2間の力Fは一定であ
る。
【0037】一方、図5(B)に示すように、片方が鋸歯
状凹凸板電極p3であると、電界は鋸歯の凸部aに集中
し、平行電界でなくなる。つまり局部的に電界が強い部
分と弱い部分が形成され、数式2からも明らかなよう
に、強い部分では電界の密度が増し、その2乗に比例し
てFも大きくなるため、図5(B)に示す電極p1,p3
に働く力Fの単位面積当りの平均値は、図5(A)に示す
電極p1,p2間に働く力Fより大きくなることがわか
る。つまり、同じ印加電圧に対して極板間の吸着力F
は、一方または両方の極板に鋸歯状の凹凸26aがある
方が大きいと言う結論が得られる。したがって、本実施
形態のように、誘電体層26の転写材と接触する側に鋸
歯状の凹凸26aを設けた方が、転写紙P上の同じ帯電
電位に対して高い静電吸着力が得られることになる。
【0038】次に、転写紙Pと接触する側に設けられた
誘電体層26の鋸歯状の凹凸26aについて説明する。
誘電体層26上に設けられた鋸歯状の凹凸26aの凸部
から凹部までの高さの平均距離の最適値は下記表1に示
すように、10μm〜100μmである。なお、鋸歯状の凹
凸26aの平均距離等については、後述する。
【0039】
【表1】
【0040】表1に示すように、鋸歯状の凹凸26aの
平均距離が10μm以下の場合は、帯電された記録媒体上
の電荷が減衰する速度が速くなるため、安定して転写ド
ラムに静電吸着しなくなる。一方、100μm 以上の平均
距離がある場合は、転写材の誘電体層への静電吸着に必
要な印加電圧が高くなるため、安全面及びコスト面に関
して不利となる。さらに、図1のXで示す感光体ドラム
13からのトナー転写時において、100μm 以上の平均
距離があると、転写ムラが生じ画質が悪くなることが既
に判明している。以上の理由から、誘電体層26上に設
けられた鋸歯状の凹凸26aの平均距離の最適値は10μ
m〜100μm であることがわかる。
【0041】図6は誘電体層26の表面に設けられた凹
凸26aの平均化を説明するための図である。誘電体層
表面の凹凸26aの凸部から凹部までの高さの平均距離
の意味は、その高さを平均化することにより 10μm〜1
00μmの範囲になるよう凹凸を設けるということであ
る。図6は該平均距離を50μmになるよう設定した場合
を示している。
【0042】図7は誘電体層26の凹凸26aにおける
隣り合う凸部間距離を説明する図である。誘電体層26
の凹凸26aにおける凸部への電界集中の影響を転写さ
れるトナーが受けないように、凸部から凸部までの距離
をトナー粒径より小さくする必要がある。図7では、ト
ナー粒径を10μmと仮定して、凸部から凸部までの距離
を 9μmに設定したものを示しているが、実使用するト
ナー粒径以下であれば上記数値に限定されないことは言
うまでもない。
【0043】図8は誘電体層26の表面に凹凸を形成す
る際に使用されるファイバー28(1本のみ図示)の形
状を示し、図9は該ファイバー28を複数本使用して行
う誘電体層26への凹凸26aの形成プロセスを示して
いる。ファイバー28は、端部が先鋭に形成された硝子
もしくは金属ファイバーであって、図9(B)に示すよう
に、これを複数本束ね、図9(A)に示すように、一対の
金属ローラ29の片方を回転させ、表面に傷を付ける。
【0044】ファイバー28はトナー粒径に適応する、
すなわちトナー粒径よりも小径のものが使用される。例
えばトナー粒径が10μmであると仮定すると、ファイバ
ーは9μm径のものを使用する。このように片方の表面
に傷を付けたローラ29間に誘電体層26を挟み込むこ
とによって、誘電体層の片面に所定の凹凸を形成するこ
とができる。また、上記凹凸形成プロセスは一例に過ぎ
ず、仕様を満たす凹凸形状が得られるものであれば、例
えば図示してはいないが、ヤスリ状の平板上に誘電体層
26を載置し、ヤスリ状の平板または誘電体層26を一
定の方向に移動させ、誘電体層26に凹凸26aを設け
る等、他の方法でも適用できることは言うまでもない。
【0045】次に、誘電体層26及び半導電体層25の
体積抵抗率について説明する。誘電体層26の体積抵抗
率の最適値は下記表2に示すように、 109Ωcm〜1015Ω
cmであることがわかる。
【0046】
【表2】
【0047】表2に示すように、誘電体層26の体積抵
抗率が 109Ωcm未満の場合は、誘電体層26の体積抵抗
率が低いため、誘電体層26に静電吸着した転写紙P上
の電荷減衰速度が速くなり、転写紙Pの誘電体層26に
対する吸着特性が著しく悪くなる。一方、1015Ωcm以上
の場合は、体積抵抗率が高すぎるため、転写紙Pが誘電
体層26に静電吸着するために必要な帯電電位を得るた
めに、高い印加電圧32が必要となり、安全面及びコス
ト面においても不利となる。以上の理由から、誘電体層
26の体積抵抗率は 109Ωcm〜1015Ωcmが最適であると
言う結果が得られた。
【0048】半導電体層25の最適体積抵抗率は、下記
表3より 106Ωcm〜1011Ωcmであることがわかる。
【0049】
【表3】
【0050】表3に示すように、半導電体層の体積抵抗
率が 106Ωcm以下の場合は、トナー転写時に電流が流れ
過ぎて逆転写を起こしてしまう。一方1011Ωcm以上の場
合はトナー転写に必要な電流が流れず、転写不良を起こ
してしまう。つまり半導電体層の体積抵抗率は 106Ωcm
〜1011Ωcmが最適であることがわかる。
【0051】図10は転写ドラム9Aの軸方向の断面を
示している。この図に示すように、半導電体層25の転
写ドラム軸方向の寸法を、誘電体層26の転写ドラム軸
方向の寸法より短く形成し、該半導電体層25の端部
を、誘電体層26によって被覆し、外気が誘電体層26
と導電体層24間に入らないように固定部材30を用い
て固定することにより、誘電体層26による半導電体層
25の端部を密閉することができる。これにより、高湿
下においても各層24〜26間に水滴が生じるようなこ
ともなく、種々の環境に影響されることなく、安定した
静電吸着特性、トナー転写を行うことが可能となる。
【0052】なお、上記実施形態において、転写ドラム
9Aの周囲には図2に示すように、誘電体層26を除電
する除電装置31と、誘電体層26上の残存トナーを除
去するクリーニング装置32とが設けられている。
【0053】図11は本発明の他の実施形態に係る画像
形成装置に備えられた転写ドラム及びその周辺の構成を
模式的に示している。なお、本実施形態において、前記
実施形態と構成及び作用が共通する部分には、共通の符
号を付してその説明を省略する。図11に示す転写ドラ
ム9Bは、基材として導電性に優れたアルミニウム等の
金属円筒が使用され、本実施形態では、この金属円筒を
導電体層24として機能させている。そして、導電体層
24の外表面に誘電体層26が設けられている。誘電体
層26にはポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)等が
用いられ、転写紙Pと接触する面には後述するように鋸
歯状の凹凸26aが設けられている。
【0054】また、転写ドラム9Bの誘電体層表面の転
写位置から回転方向上流側の表面に転写紙Pを介して接
触するように設けらる電極部材として、接地された半導
電体ローラ33が使用されている。この半導電体ローラ
33の最適体積抵抗率は、下記表4より1011Ωcm以下で
あることがわかる。
【0055】
【表4】
【0056】表4に示すように、半導電体ローラ33の
体積抵抗率が1011Ωcm以上の場合は、体積抵抗率が高過
ぎるため、転写紙Pが誘電体層26に静電吸着するため
に必要な帯電電位を得るために、電源部27からは高電
圧を印加する必要が生じ、安全面及びコスト面において
も不利となる。また、1011Ωcm以下の場合は、低い印加
電圧で多くの帯電電位が転写紙P上に得られ、安定して
転写ドラム9Bに静電吸着するため、体積抵抗率は低い
ほど有利となる。
【0057】なお、本実施形態において、静電吸着機構
等、その他の構成、作用は前記実施形態と共通してい
る。すなわち、接触帯電については、同様のパッシェン
放電及び電荷注入の等価回路が成立するため、転写紙P
の静電吸着機能も前述と同様である。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
によれば、誘電体層に所定電圧を印加し、電極部材が転
写材を介して転写ドラムに接触すると、前記印加電圧と
逆極性の電荷が転写材上に発生し、誘電体層に静電吸着
させることができる。また、転写部誘電体層の転写材と
接触する表面を凹凸面状に形成したことにより、該誘電
体層と転写材間に発生する電界強度を高めることがで
き、より低い電圧で転写材を確実に誘電体層に静電吸着
できるという効果を奏する。
【0059】請求項2によれば、転写ドラムを転写材の
当接面側から誘電体層、半導電体層及び導電体層を順に
同心状に重層してなるものとし、前記誘電体層表面の転
写位置から回転方向上流側の表面に転写材を介して接触
する接地された導電性ローラを設けているので、導電体
層に電圧を印加し、導電性ローラが転写材を介して転写
ドラムに接触すると、導電体層に印加された電圧と逆極
性の電荷が転写材上に発生し、誘電体層に静電吸着させ
ることができる。しかも導電体層に電圧印加しているた
め、転写材の静電吸着と同一の電源でトナー転写も行う
ことができる。
【0060】請求項4によれば、転写ドラムを、転写材
の当接面側から誘電体層及び導電体層を順に同心状に重
層してなるものとし、前記誘電体層表面の転写位置から
回転方向上流側の表面に、転写材を介して接触する接地
された半導電体ローラを設けているので、導電体層に電
圧を印加し、半導電体ローラが転写材を介して転写ドラ
ムに接触すると、導電体層に印加された電圧と逆極性の
電荷が転写材上に発生し、誘電体層に静電吸着させるこ
とができる。しかも、導電体層に電圧印加しているの
で、転写材の静電吸着と同一の電源でトナー転写も行う
ことができる。
【0061】上記請求項2または4のいずれにおいて
も、従来のように空中放電による転写紙の吸着、転写を
行うものとは異なり、電荷の注入による転写紙の吸着、
転写を行うため、そのために要する電圧も低くて済み、
それ故に電圧のコントロールも容易に行うことができ、
さらに、オゾンの発生も比較的少なく抑制することがで
きるという副次的効果も発揮する。また、トナー転写と
転写材の静電吸着も単一の電源で行うことができるた
め、小型化を図ることができるうえ、有効なコストダウ
ンも可能となる。
【0062】請求項3によれば、半導電体層の転写ドラ
ム軸方向の寸法を、誘電体層の転写ドラム軸方向の寸法
より短く形成するとともに、該半導電体層の端部を誘電
体層によって被覆しているので、高湿下においても各層
間に水滴が生じるようなこともなく各環境に対して安定
した静電吸着特性、トナー転写を行うことができる。
【0063】請求項5によれば、誘電体層の凹凸表面の
凸部から凹部までの高さの平均値を、10μm〜100μm
としているので、安定したトナー転写と転写材の静電吸
着の両方を同時に行うことができ、さらに平均距離を 1
0μm〜100μmと限定することにより、より一層の高画
質に画像を再現することができる。
【0064】請求項6によれば、誘電体層の凹凸表面
を、断面鋸歯状に形成しているので、同じ印加電圧に対
して、転写材と誘電体層間に形成される電界強度を高め
ることができ、これによって、より低い電圧で転写材を
確実に誘電体層に静電吸着できる。
【0065】請求項7によれば、誘電体層の体積抵抗率
を、 109Ωcm〜1015Ωcmとしているので、安定したトナ
ー転写、及び転写材の静電吸着の両方を同時に行うこと
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る画像形成装置に備
えられた転写ドラム及びその周辺の構成を模式的に示す
構成図
【図2】 装置全体の構成を示す縦断面図
【図3】 パッシェン放電、電荷注入の領域を示す図
【図4】 図1の構成の電荷注入の等価回路を示す図
【図5】 (A)平板平板電極間、及び(B)平板電極と凹
凸電極板間のそれぞれで生じる電界の相違を示す図
【図6】 誘電体層表面の凹凸の平均化を説明するため
の図
【図7】 誘電体層表面の凹凸における隣り合う凸部間
距離を説明する図
【図8】 誘電体層表面に凹凸を形成する際に使用され
るファイバーの形状を示す図
【図9】 ファイバーを複数本使用して行う誘電体層へ
の凹凸形成プロセスを示し、(A)は凹凸形成途中を示す
図、(B)は複数本束ねられたファイバーの配置を示す図
【図10】 半導電体層を誘電体層で固定する構造を示
す断面図
【図11】 本発明の他の実施形態に係る画像形成装置
に備えられた転写ドラム及びその周辺の構成を模式的に
示す構成図
【図12】 転写部の従来例を示す概略構成図
【図13】 転写部の他の従来例を示す概略構成図
【図14】 転写部の別の先行技術例を示す概略構成図
【符号の説明】
2 転写部 9A,9B 転写ドラム 10 グランドローラ 13 感光体ドラム 24 導電体層 25 半導電体層 26 誘電体層 27 電源部 30 固定部材 33 半導電体ローラ P 転写紙

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面にトナー像が形成される像担持体
    と、 表面に誘電体層を備えた転写手段、前記誘電体層表面の
    転写位置から回転方向上流側の表面位置に転写材を介し
    て接触する接地された電極部材、及び前記誘電体層に所
    定電圧を印加する電圧印加手段とを備えた転写部とが設
    けられ、 前記転写手段の誘電体層表面に転写材を電気的に吸着保
    持して前記像担持体に当接させることにより、前記像担
    持体のトナー像を前記転写材表面に転写する機能を具備
    した画像形成装置であって、 前記転写部に設けられた誘電体層は、前記転写材と接触
    する表面が凹凸面状に形成されていることを特徴とする
    画像形成装置。
  2. 【請求項2】 転写部の転写手段は、所定の回転速度で
    回転し、且つ、転写材の当接面側から誘電体層、半導電
    体層及び導電体層を順に同心状に重層してなる転写ドラ
    ムにより構成され、 電極部材は、接地された導電性ローラにより構成され、 電圧印加手段は、前記導電体層、半導電体層を介して誘
    電体層に電圧印加するように構成されている請求項1に
    記載の画像形成装置。
  3. 【請求項3】 半導電体層の転写ドラム軸方向の寸法
    は、誘電体層の転写ドラム軸方向の寸法より短く形成さ
    れているとともに、該半導電体層の端部は、誘電体層に
    よって被覆されている請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 【請求項4】 転写部の転写手段は、所定の回転速度で
    回転し、且つ、転写材の当接面側から誘電体層及び導電
    体層を順に同心状に重層してなる転写ドラムにより構成
    され、 電極部材は、接地された半導電体ローラにより構成さ
    れ、 電圧印加手段は、前記導電体層を介して誘電体層に所定
    電圧を印加するように構成されている請求項1に記載の
    画像形成装置。
  5. 【請求項5】 誘電体層の凹凸表面の凸部から凹部まで
    の高さの平均値は、10μm〜100μmである請求項1〜
    4のいずれかに記載の画像形成装置。
  6. 【請求項6】 誘電体層の凹凸表面は、断面鋸歯状に形
    成されている請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成
    装置。
  7. 【請求項7】 誘電体層の体積抵抗率は、 109Ωcm〜10
    15Ωcmである請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成
    装置。
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