JPH10141117A - エンジンの空燃比制御装置 - Google Patents

エンジンの空燃比制御装置

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JPH10141117A
JPH10141117A JP29276296A JP29276296A JPH10141117A JP H10141117 A JPH10141117 A JP H10141117A JP 29276296 A JP29276296 A JP 29276296A JP 29276296 A JP29276296 A JP 29276296A JP H10141117 A JPH10141117 A JP H10141117A
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JP
Japan
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fuel ratio
air
value
feedback control
catalyst
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Pending
Application number
JP29276296A
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English (en)
Inventor
Koji Ishihara
康二 石原
Mikio Matsumoto
幹雄 松本
Kenichi Sato
健一 佐藤
Takashi Ishizuka
隆史 石塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 燃料壁流特性のバラツキや燃料性状の違いが
あっても空燃比フィードバック制御定数の修正制御の開
始当初より触媒内空燃比を理論空燃比へと制御する。 【解決手段】 空燃比フィードバック制御条件の始動後
初めての成立時にバックアップメモリ38に格納されて
いる学習値PHOS0を修正値の初期値として設定手段
40が設定し、この修正値の初期値で基本制御定数を修
正して制御定数を演算したときの結果が下流側空燃比セ
ンサ32の出力に現れるときその下流側空燃比センサ3
2の出力に基づいて触媒内空燃比が理論空燃比へと収束
するように前記学習値を1回だけ更新手段41が更新す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はエンジンの空燃比
制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】排気浄化用の三元触媒の上流と下流にO
2センサを設け、上流側O2センサ出力に基づい空燃比の
フィードバック制御を行なうとともに、その空燃比フィ
ードバック制御に使用する制御定数(たとえば比例分)
を、下流側O2センサ出力に基づいて修正する、いわゆ
るダブルO2センサシステムの装置が各種提案されてい
る(特開平4−342849号、特開平3−29003
9号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、始動後でき
るだけ早く空燃比フィードバック制御に入ったほうが排
気浄化性能がよくなるので、上流側O2センサをヒータ
ー加熱などで活性化させ、触媒は活性化途中であっても
上流側O2センサが活性化したタイミングで空燃比フィ
ードバック制御に入るようにしている。
【0004】この場合に、下流側O2センサ出力を用い
た空燃比フィードバック制御定数の修正制御を行うこと
は触媒の活性化途中にも有効である(この修正制御は、
下流側O2センサ出力により常に触媒の状態をみながら
行うものであるので、触媒の活性後になってからこの修
正制御を行うより、触媒の活性化の途中であっても修正
制御を行うことで、触媒の活性化の開始から触媒の活性
化の終了までの空燃比を適正化して排気浄化性能を向上
させることができる)ことから、空燃比フィードバック
制御の開始当初から空燃比フィードバック制御定数の修
正制御についても開始することが望ましい。
【0005】比例分(空燃比フィードバック制御定数の
一つ)を修正する場合で例にとると、図6は始動からの
触媒内空燃比と比例分修正値PHOSに対する要求値の
特性である。触媒の要求空燃比は、触媒のO2ストレー
ジ能力と排気中のHC,COとのバランスで決まる。こ
れらのバランスがとれている状態が理論空燃比で、この
ときのPHOSは0となる。さらに詳述すると、始動直
後は、触媒が活性化していないため触媒のO2ストレー
ジ量が十分でなく、さらに始動増量や水温増量等の影響
を受けて排気中のHC,COが多く、触媒内がリッチ化
するためPHOSの要求値としてはマイナス側の値とな
る。そのあと触媒が活性化するにつれ徐々にバランスが
回復してしばらくは平衡状態が続き、このときPHOS
の要求値が0(つまり理論空燃比)となる。さらにその
後、触媒の温度が所定値以上となるなどして触媒のO2
ストレージ量が大きくなると、今度は触媒内空燃比がリ
ーン化し、PHOSの要求値がプラスとなる。
【0006】さて、始動増量や水温増量等の影響を受け
て、空燃比フィードバック制御を開始してからしばらく
のあいだは、図6上段に示したように触媒内空燃比がリ
ッチ気味になるので(この原因は触媒のCO吸着による
ものと考えられている)、これに対応して空燃比フィー
ドバック制御の開始当初より触媒内空燃比を理論空燃比
に制御してやるには、比例分修正値PHOSの要求値を
図6下段のように与える必要があり、したがって空燃比
フィードバック制御開始当初(つまり比例分修正制御開
始当初)のPHOS(PHOSの初期値)をリーン側の
値で設定することが考えられる。
【0007】しかしながら、燃料壁流特性のバラツキや
燃料性状の違いによりPHOSの要求値が異なり(燃料
壁流のつきかたや燃料性状が異なるために触媒へのCO
の吸着の状態が変化するため)、たとえば重質燃料の使
用時のほうが軽質燃料の使用時よりも比例分修正制御の
開始当初のPHOS初期値に対する要求が、よりリーン
側の値となるので、PHOS初期値が一定値であるので
は、燃料壁流特性のバラツキや燃料性状の違いに対応で
きない。PHOS初期値を軽質燃料に対してマッチング
している場合に、重質燃料の使用時にもその軽質燃料に
対してマッチングしているPHOS初期値を用いたので
は、PHOS初期値が不足して空燃比がリッチ側にかた
むき、この逆にPHOS初期値を重質燃料に対してマッ
チングしている場合に、軽質燃料の使用時にもその重質
燃料に対してマッチングしているPHOS初期値を用い
たのでは、PHOS初期値が過大となり空燃比がかえっ
てリーン側にかたむいてしまうのである。
【0008】また、燃料壁流特性のバラツキとは、燃料
性状の違いにより同一のエンジンでも吸気ポートや燃焼
室への壁流付着量が異なる(ひいては排気空燃比が異な
る)ことで、燃料が重質であるほど壁流付着量が増える
ため、触媒および下流側O2センサに到達する排気の空
燃比がリーンとなる。つまり、燃料壁流特性のバラツキ
があるときは、同一のエンジンでもPHOS初期値に対
する要求値が異なってくる。
【0009】そこで本発明は、空燃比フィードバック制
御の開始とほぼ同じタイミングでその空燃比フィードバ
ック制御定数の修正制御を開始する場合に、その修正制
御における修正値の初期値を学習値で構成することによ
り、燃料壁流特性のバラツキや燃料性状の違いがあって
も空燃比フィードバック制御定数の修正制御の開始当初
より触媒内空燃比を理論空燃比へと制御することを目的
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】第1の発明では、図20
に示すように、触媒の上流側と下流側の各空燃比センサ
31、32と、空燃比フィードバック制御の基本制御定
数(たとえば比例分PL、PR、積分分IL、IR、上
流側空燃比センサ出力の遅延時間、上流側空燃比センサ
出力と比較するスライスレベルSLF等)を演算する手
段33と、空燃比フィードバック制御条件の成立時であ
るかどうかを判定する手段34と、この判定結果より空
燃比フィードバック制御条件の成立時に前記下流側空燃
比センサ32の出力に基づいて前記基本制御定数に対す
る修正値(たとえば比例分修正値PHOS)を演算する
手段35と、この修正値で前記基本制御定数を修正して
制御定数を演算する手段36と、この演算した制御定数
を用いて前記上流側空燃比センサ31の出力に基づく空
燃比のフィードバック制御を行う手段37とを備えるエ
ンジンの空燃比制御装置において、学習値PHOS0を
格納するバックアップメモリ38と、前記判定結果に基
づいて空燃比フィードバック制御条件の始動後初めての
成立時であるかどうか判定する手段39と、この判定結
果より空燃比フィードバック制御条件の始動後初めての
成立時に前記バックアップメモリ38に格納されている
学習値PHOS0を前記修正値の初期値として設定する
手段40と、この修正値の初期値で前記基本制御定数を
修正して制御定数を演算したときの結果が前記下流側空
燃比センサ32の出力に現れるときその下流側空燃比セ
ンサ32の出力に基づいて前記触媒内空燃比が理論空燃
比へと収束するように前記学習値を1回だけ更新する手
段41とを設けた。
【0011】第2の発明は、図21に示すように、触媒
の上流側と下流側の各空燃比センサ31、32と、空燃
比フィードバック制御の基本制御定数(たとえば比例分
PL、PR、積分分IL、IR、上流側空燃比センサ出
力の遅延時間、上流側空燃比センサと比較するスライス
レベルSLF等)を演算する手段33と、空燃比フィー
ドバック制御条件の成立時であるかどうかを判定する手
段34と、この判定結果より空燃比フィードバック制御
条件の成立時に前記下流側空燃比センサ32の出力に基
づいて前記基本制御定数に対する修正値(たとえば比例
分修正値PHOS)を演算する手段35と、この修正値
で前記基本制御定数を修正して制御定数を演算する手段
36と、この演算した制御定数を用いて前記上流側空燃
比センサ31の出力に基づく空燃比のフィードバック制
御を行う手段37とを備えるエンジンの空燃比制御装置
において、学習値PHOS0を格納する第1のバックア
ップメモリ38と、エンジン停止時の前記修正値を格納
する第2のバックアップメモリ51と、前記判定結果に
基づいて空燃比フィードバック制御条件の始動後初めて
の成立時であるかどうか判定する手段39と、この判定
結果より空燃比フィードバック制御条件の始動後初めて
の成立時に前記第2のバックアップメモリ51に格納さ
れているエンジン停止時の修正値を前記第1のバックア
ップメモリ38に格納されている学習値PHOS0に加
算した値を前記修正値の初期値として設定する手段52
と、この修正値の初期値で前記基本制御定数を修正して
制御定数を演算したときの結果が前記下流側空燃比セン
サ32の出力に現れるときその下流側空燃比センサ32
の出力に基づいて前記触媒内空燃比が理論空燃比へと収
束するように前記学習値を1回だけ更新する手段41と
を設けた。
【0012】第3の発明では、第2の発明において空燃
比フィードバック制御条件の始動後初めての成立時に前
記第2のバックアップメモリ51に格納されているエン
ジン停止時の修正値を前記第1のバックアップメモリ3
8に格納されている学習値に加算する場合に、そのエン
ジン停止時の修正値を、ソーク時間が長くなるほど小さ
くなる側に補正する。
【0013】第4の発明では、第1から第3までのいず
れか一つの発明において前記学習値が始動時水温毎の値
である。
【0014】第5の発明では、第1から第4までのいず
れか一つの発明において前記修正値の初期値で前記基本
制御定数を修正して制御定数を演算したときの結果が前
記下流側空燃比センサ32の出力に現れるときは、前記
空燃比フィードバック制御条件の始動後初めての成立時
より所定の遅れ時間の経過後である。
【0015】
【発明の効果】たとえば、バックアップメモリに格納さ
れている学習値が軽質燃料に対応する値となっている場
合に、今回も軽質燃料を使用して始動が行われたときに
は、その学習値を用いて空燃比フィードバック制御定数
の修正制御を開始したとき、その開始当初より触媒内空
燃比が理論空燃比に制御される。このとき、学習値の値
は変わらない。
【0016】これに対して、今回は重質燃料を使用して
の始動が行われたとすれば、バックアップメモリに格納
されている学習値では不適切となり、空燃比フィードバ
ック制御定数の修正制御の開始直後に触媒内空燃比がリ
ッチ側にずれ、その後は通常の修正制御により触媒内空
燃比が理論空燃比へと収束してゆく。
【0017】この場合に、学習値を用いての空燃比フィ
ードバック制御定数の修正制御の結果は下流側空燃比セ
ンサ出力に現れ、その下流側空燃比センサ出力がリッチ
側に傾くことから、触媒内空燃比を理論空燃比へと戻す
側に学習値が1回だけ更新されると、更新後の学習値が
重質燃料に対応する値になり、これがバックアップメモ
リに保持される。
【0018】このため、次回始動時に今回と同じ重質燃
料を使用して始動が行われたときには、バックアップメ
モリに格納されている学習値が重質燃料に対応したもの
となっているので、空燃比フィードバック制御定数の修
正制御の開始当初より触媒内空燃比が理論空燃比へと制
御される。
【0019】このようにして、第1の発明では空燃比フ
ィードバック制御の開始とほぼ同じタイミングでその空
燃比フィードバック制御定数の修正制御を開始する場合
に、その修正制御における修正値の初期値を学習値で構
成するので、燃料性状が異なるときでも、あるいは燃料
壁流特性にバラツキがあるときでも、空燃比フィードバ
ック制御定数の修正制御の開始当初に触媒内空燃比を理
論空燃比へと制御することができ、これによって良好な
排気浄化性能が得られる。
【0020】ところで、エンジン停止直前で触媒内空燃
比が若干リッチ側にある(これも触媒内にまだCOが残
っていることが原因と考えられる)場合にエンジンを停
止しすぐに再始動するときを考えると、この場合には、
再始動時の始動増量や水温増量により触媒に吸着される
COによるずれ分Aに、前回のエンジン停止時より触媒
内に残存しているCOによるずれ分Bが加わったものが
再始動時の触媒内空燃比の理論空燃比からのずれ分とな
るので、Bの分だけ学習値が不適切となり、空燃比フィ
ードバック制御定数の修正制御の開始当初の触媒内空燃
比がリッチ側にかたむいてしまう。また、この場合にま
で学習したあとにエンジンが長く停止され、触媒内に残
存するCOがまったくなくなった状態で再始動されたと
きは、これまた学習値が不適切となり、今度は空燃比フ
ィードバック制御定数の修正制御の開始当初の触媒内空
燃比がリーン側にかたむく。これに対して、第2の発明
では、前回のエンジン停止時の修正値を学習値に加えた
値を修正値の初期値として設定するので、前回運転時の
エンジン停止後に残っていた触媒内のCOがほぼそっく
り今回始動時に残存する場合においても、空燃比フィー
ドバック制御定数の修正制御の開始当初から触媒内空燃
比を理論空燃比へと制御でき、かつ誤学習を防止でき
る。
【0021】ソーク時間により再始動時に触媒内に残存
するCO吸着量が変化し、ソーク時間が長びけば触媒内
に残存するCO吸着量が減少することに対応して、第3
の発明では、第2のバックアップメモリに格納されてい
るエンジン停止時の修正値を、ソーク時間が長くなるほ
ど小さくなる側に補正するので、前回運転時のエンジン
停止後に残っていた触媒内のCOが今回始動時までに減
少する場合においても、空燃比フィードバック制御定数
の修正制御の開始当初から触媒内空燃比を理論空燃比へ
と制御でき、かつ誤学習を防止できる。
【0022】修正値の初期値に対する要求が始動時水温
により変化するのに、始動時水温に関係なく学習値が1
つであるのでは、始動時水温が前回運転時より変化する
たびに学習値が不適切となってしまうのであるが、第4
の発明では学習値が始動時水温毎の値であるので、さま
ざまな始動時水温に対して一度でも学習していれば、始
動時水温が前回運転時より変化しても、空燃比フィード
バック制御定数の修正制御の開始当初より触媒内空燃比
をリッチやリーンにかたよらせることなく理論空燃比へ
と制御できる。
【0023】
【発明の実施の形態】図1において、1はエンジン本体
で、その吸気通路8には吸気絞り弁5の下流に位置して
燃料噴射弁7が設けられ、コントロールユニット(図で
はC/Uで略記)2からの噴射信号により運転条件に応
じて所定の空燃比となるように、吸気中に燃料を噴射供
給する。
【0024】コントロールユニット2にはクランク角セ
ンサ4からのRef信号(基準位置信号)とPos信号
(1°信号)、エアフローメータ6からの吸入空気量信
号、水温センサ11からのエンジン冷却水温信号等が入
力され、これらに基づいて基本噴射パルス幅Tpを算出
するとともに、排気通路9の三元触媒10の上流側に設
置した酸素センサ3からの空燃比(酸素濃度)信号に基
づいて空燃比のフィードバック制御を行い、さらにその
空燃比フィードバック制御に使用する比例分を、三元触
媒10の下流側に設置した酸素センサ13からの空燃比
(酸素濃度)信号により修正する。
【0025】ここで、空燃比フィードバック制御は、排
気空燃比が理論空燃比を中心として周期的に振らすよう
にした制御であり、このとき排気通路9に設けた三元触
媒10が最大の転換効率をもって、排気中のNOxの還
元とHC、COの酸化を行う。
【0026】コントロールユニット2で実行されるこの
制御の内容を、以下のフローチャートにしたがって説明
する。
【0027】図2のフローチャートは上流側O2センサ
出力OSR1に基づいて空燃比フィードバック補正係数
αを演算するためのもので、Ref信号に同期して実行
する。Ref信号に同期させるのは、燃料噴射がRef
信号同期であり、系の乱れもRef信号同期であるた
め、これに合わせたものである。
【0028】ステップ1では、空燃比フィードバック制
御条件が成立しているかどうかをみる。冷却水温Tw
が所定値以下のとき、上流側O2センサが不活性のと
き、高負荷時等はいずれも空燃比フィードバック制御
条件が成立しない場合であり、このときはステップ2に
進み、αに1.0を入れて(αをクランプ)、図2のフ
ローを終了する。
【0029】上記の〜等のいずれでもないとき(空
燃比フィードバック制御条件の成立時)はステップ3に
進んで上流側O2センサ出力OSR1をA/D変換して
取り込み、ステップ4においてOSR1とスライスレベ
ル(たとえば500mV付近)SLFを比較する。OS
R1>SLFであれば上流側O2センサ出力がリッチ側
にあると判断し、ステップ5でフラグAFF1に“1”
を入れ、OSR1≦SLFであるときは上流側O2セン
サ出力がリーン側にあると判断し、ステップ6において
フラグAFF1に“0”を入れる。これによってAFF
1=0は上流側O2センサ出力がリーン側にあること
を、AFF1=1はリッチ側にあることを表す。
【0030】なお、フラグAFF1は、後述する図3、
図7のフローチャートにおいて他のフラグとともに電源
投入時のイニシャライズで“0”に初期設定し、また変
数を格納するためのメモリも電源投入時のイニシャライ
ズで0に初期設定するものであり、以下のフローチャー
トおいて、フラグ、メモリについての初期設定について
は省略する。
【0031】ステップ7ではフラグAFF0の値を読み
込む。このフラグAFF0は前回に空燃比がリッチある
いはリーンのいずれの側にあったかを示すフラグであ
り、AFF0=0は前回リーン側にあったことを、AF
F0=1は前回リッチ側にあったことを表す。
【0032】ステップ8では2つのフラグAFF0、A
FF1を比較し、両者の値が等しくないときは、OSR
1のリッチからリーンへの反転時あるいはその反対にリ
ーンからリッチへの反転時であると判断し、ステップ9
でサブルーチンを実行する。このサブルーチンの実行
(OSR1の反転毎に実行)については図3のフローチ
ャートにより説明する。
【0033】図3においてステップ25、26、27、
28を除いた残りのステップは図2においてステップ9
を除いた残りのステップと同様である。
【0034】詳細にはステップ21で下流側O2センサ
平滑化電圧MVRO2を読み込み、このMVRO2をス
テップ22においてスライスレベル(たとえば500m
V付近)SLRと比較する。
【0035】ここで、下流側O2センサ平滑化電圧MV
RO2は、図4に示したように、エンジン1回転毎に下
流側O2センサ出力OSR2をA/D変換して取り込
み、 MVRO2=MVRO2(old)×(1−n)+OSR2×n …(1) ただし、n:平滑化定数(n<1) MVRO2(old):MVRO2の前回値 の式により更新される値である。ただし、初回電源投入
時はOSR2をそのままMVRO2に入れている。
【0036】MVRO2>SLRであればステップ23
でフラグAFR1に“1”を、またMVRO2≦SLR
であるときはステップ24においてフラグAFR1に
“0”を入れる。これによってAFR1=0は下流側O
2センサ出力がリーン側に、またAFR1=1はリッチ
側にあることを表す。
【0037】ステップ25、26、27、28は後述す
る。
【0038】ステップ29ではフラグAFR0の値を読
み込む。AFR0=0は下流側O2センサ出力が前回に
リーン側にあったことを、またAFR0=1は下流側O
2センサ出力が前回にリッチ側にあったことを表すの
で、ステップ30で2つのフラグAFR0、AFR1を
比較し、両者の値が等しくないとき(つまりリッチから
リーンへの反転時あるいはその反対にリーンからリッチ
への反転時)は、ステップ31でフラグAFR1をみ
る。AFR1=0(リッチからリーンへの反転時)のと
きはステップ32でPHOS(old)(PHOSの前回
値)に比例分PHPLを加えた値をPHOSとすること
により、またAFR1=1(リーンからリッチの反転
時)のときはステップ33においてPHOS(old)よ
り比例分PHPRを差し引いた値をPHOSとすること
により、それぞれPHOSを更新する。
【0039】ステップ30でAFR0とAFR1が等し
いときはステップ34に進み、フラグAFR1の値をみ
て、AFR1=0(前回、今回ともリーン)であるとき
はステップ35でPHOS(old)に積分分DPHOS
Lを加えた値をPHOSとし、またAFR1=1(前
回、今回ともリッチ)であるときはステップ36におい
てPHOS(old)より積分分DPHOSRだけ差し引
いた値をPHOSとすることにより、それぞれPHOS
を更新する。
【0040】なお、比例分PHPL、PHPR、積分分
DPHOSL、DPHOSRは一定値である。
【0041】ステップ37では次回制御のためフラグA
FR1の値をフラグAFR0に移したあとで、図3のフ
ローを終了する。
【0042】このようにして、比例分修正値PHOSが
更新されるとき、修正値PHOSは図5に示したように
下流側O2センサ平滑化電圧MVRO2のリッチからリ
ーンへの反転時とリーンからリッチへの反転時にステッ
プ的に変化し、リーンやリッチを継続するあいだは漸増
と漸減とを繰り返す波形となる。
【0043】サブルーチンの実行を終了したら、図2の
ステップ10に戻り、フラグAFF1の値をみる。AF
F1=0(リッチからリーンへの反転時)であればステ
ップ11で α=α(old)+(PL+PHOS) …(2) ただし、α(old):αの前回値 の式により、またAFF1=1(リーンからリッチへの
反転時)であるときはステップ12において α=α(old)−(PR−PHOS) …(3) の式によりαをそれぞれ更新する。
【0044】一方、ステップ8で2つのフラグAFF
0、AFF1の値が等しいときは、反転時でないと判断
し、S13に進んでフラグAFF1の値をみる。AFF
1=0(前回、今回ともリーン)であれば、ステップ1
4でα(old)に積分分ILを加算することによって、
またAFF1=1(前回、今回ともリッチ)であるとき
はステップ15でα(old)より積分分IRを減算する
ことによってそれぞれαを更新する。
【0045】ステップ16では次回制御のためフラグA
FF1の値をフラグAFF0に移して図2のフローを終
了する。
【0046】このようにして演算される空燃比フィード
バック補正係数αを用い、図示しないフローにより、燃
料噴射弁7に与える燃料噴射パルス幅Tiが Ti={(Tp+Kathos)×Tfbya×(α+αm−1)×2} +Ts …(4) ただし、Tp:基本噴射パルス幅 Kathos:過渡補正量 Tfbya:目標燃空比相当量 αm:空燃比学習値 Ts:無効パルス幅 の式で計算される。この計算したTiの値は、これも図
示しないが噴射タイミングで出力レジスタに転送され、
エンジン2回転毎に1回、各気筒毎に噴射される。
【0047】ここで、(4)式のTpはエンジン回転数
と吸入空気量から計算される値で、このTpによりほぼ
理論空燃比の混合気が得られる。Tfbyaは水温増量
補正係数Ktwや始動後増量補正係数Kasなどの和で
あり、冷間始動直後より空燃比フィードバック制御が開
始されるまでのあいだでTfbyaが1.0より大きい
値になって燃料増量が行われ、理論空燃比よりもリッチ
側の空燃比で運転される。
【0048】ところで、始動後できるだけ早く空燃比フ
ィードバック制御に入ったほうが排気浄化性能がよくな
るので、上流側O2センサ3をヒーター加熱などで活性
化させ、触媒10は活性化途中であっても上流側O2
ンサ3が活性化したタイミングで空燃比フィードバック
制御に入るようにしている。
【0049】また、比例分修正制御を行うことは触媒1
0の活性化途中にも有効であることから、空燃比フィー
ドバック制御を開始した当初から比例分修正制御を開始
している。
【0050】一方、始動増量(始動時の増量と始動後増
量の両方)や水温増量等の影響を受けて、空燃比フィー
ドバック制御を開始してからしばらくのあいだは、図6
上段に示したように触媒内空燃比がリッチ気味になるの
で(この原因は触媒のCO吸着によるものと考えられて
いる)、これに対応して空燃比フィードバック制御の開
始当初から触媒内空燃比を理論空燃比に制御してやるに
は、比例分修正値PHOSの要求値を図6下段のように
与える必要があり、したがって空燃比フィードバック制
御開始当初(つまり比例分修正制御開始当初)のPHO
S(つまりPHOSの初期値)をリーン化する値(数値
としてはマイナスの値)に設定することが考えられる。
【0051】しかしながら、燃料壁流特性のバラツキや
燃料性状の違いがあると、比例分修正制御開始当初のP
HOS初期値に対する要求が異なり(壁流のつきかたや
燃料性状が異なるために触媒へのCOの吸着の状態が変
化するため)、たとえば重質燃料の使用時のほうが軽質
燃料の使用時よりもPHOS初期値に対する要求がより
リーン側の値となるので、PHOS初期値を一定値とし
たのでは、燃料壁流特性のバラツキや燃料性状の違いに
対応できない。
【0052】これに対処するため本発明の第1実施形態
では、空燃比フィードバック制御の開始とほぼ同じタイ
ミングでその空燃比フィードバック制御定数の修正制御
を開始する場合に、その修正制御における修正値の初期
値を学習値で構成することにより、燃料壁流特性のバラ
ツキや燃料性状の違いがあっても比例分修正制御の開始
当初より触媒内空燃比が理論空燃比へと制御されるよう
にする。
【0053】詳細には、図3においてステップ25、2
6、27、28を追加するとともに、図7のフローチャ
ートを新たに設けている。
【0054】まず、図3においてステップ25では初回
フラグをみる。初回フラグも電源投入時のイニシャライ
ズで“0”に初期設定されるフラグであるから、空燃比
フィードバック制御が開始され、初めて上流側O2セン
サ出力が反転したときに図3のサブルーチンが起動さ
れ、ステップ25に進んできたときには初回フラグ=0
であり、ステップ26に進む。
【0055】ステップ26ではバックアップRAMに格
納されている学習値PHOS0を修正値PHOSに入
れ、ステップ27においてタイマtを起動する。タイマ
tは学習値PHOS0をPHOSに入れてからの経過時
間を計測するためのものである。ステップ28では初回
フラグに“1”を入れて図3のフローを終了する。この
初回フラグの“1”へのセットにより次回制御以降はエ
ンジン停止されるまでステップ25よりステップ29へ
と流れる。
【0056】このようにして、ステップ26が実行され
るのは空燃比フィードバック制御の開始後に上流側O2
センサ出力が反転したタイミングにおいてだけとなる。
このタイミングでは、図2のステップ11またはステッ
プ12を実行することになり、学習値PHOS0(=P
HOS)により比例分PLまたはPRが修正される。
【0057】ここで、空燃比フィードバック制御の開始
直後に上流側O2センサ出力が反転したタイミングより
比例分修正制御が開始されるのであるから、ステップ2
6において学習値PHOS0を修正値PHOSに入れる
ことで、学習値がPHOSの初期値になるわけである。
【0058】図7のフローチャートは学習値PHOS0
の更新を行うためのもので、一定時間毎(たとえば10
ms毎)に実行する。
【0059】ステップ51、52、53では次の条件、 ステップ51:空燃比フィードバック制御条件の成立時
である、 ステップ52:学習を経験していない(学習経験フラグ
=0)、 ステップ53:タイマtが遅れ時間TDLY以上である を満足するかどうかみて、すべての条件を満足するとき
は学習条件が成立したと判断し、ステップ54、55、
56で下流側O2センサ平滑化電圧MVRO2を読み込
み、スライスレベルSLRと下流側O2センサ平滑化電
圧MVRO2の差から図8を内容とするテーブルを検索
して学習値の更新量PSを求め、 PHOS0=PHOS0(old)+PS …(5) ただし、PHOS0(old):今回始動時にバックアッ
プに格納されていたPHOS0 の式により学習値PHOS0を更新し、更新後の学習値
PHOS0を改めてバックアップRAMに格納する。こ
のバックアップRAMに格納した学習値PHOS0は次
回始動後に比例分修正制御を開始するときにPHOS初
期値として使用するわけである。なお、学習値PHOS
0は修正値PHOSと同じにプラスにもマイナスにもな
る値である。
【0060】なお、更新量PSのテーブル検索は、図1
0、図14において後述する他のテーブル検索とともに
補間計算付きである。
【0061】ステップ57では、学習経験フラグに
“1”を入れて図7のフローを終了する。この学習経験
フラグの“1”へのセットにより次回制御以降ステップ
53に進むことはできない。つまり学習は空燃比フィー
ドバック制御開始後に一度行われるだけである。
【0062】上記の遅れ時間TDLYは、学習値PHO
S0を用いての比例分修正制御の結果が下流側O2セン
サに現れるのを待つ時間を与えるものである。学習値P
HOS0を用いての比例分修正制御は、空燃比フィード
バック制御開始後に上流側O2センサ出力が反転したタ
イミングで行われるが、その結果が下流側O2センサに
達するまでには所定の時間が必要となるわけである。な
お、遅れ時間TDLYは排気量(エンジン回転数×負荷
により計算可能)により変化するので、排気流量(単位
時間当たりの排気量)を始動から所定時間毎に積算した
値に応じて設定することが考えられる。
【0063】ここで、第1実施形態の作用を図9を参照
しながら説明する。
【0064】たとえば、バックアップRAMに格納され
ている学習値PHOS0が軽質燃料に対応する値となっ
ている場合に、今回も軽質燃料を使用して始動が行われ
たときには、その学習値PHOS0をPHOS初期値と
して用いて比例分修正制御を開始したとき、その開始当
初より触媒内空燃比が理論空燃比に制御される。このと
き、学習値の更新量PS=0となり学習値PHOS0の
値は変わらない。
【0065】これに対して、今回は重質燃料を使用して
の始動が行われたとすれば、バックアップRAMに格納
されている学習値PHOS0では不適切となり、比例分
修正制御の開始直後に触媒内空燃比がリッチ側にずれ、
その後は従来と同じの比例分修正制御により触媒内空燃
比が理論空燃比へと収束してゆく。触媒内空燃比は下流
側センサ平滑化電圧MVRO2に現れるため、MVRO
2の変化は図9の上段に示したように、比例分修正制御
の開始当初にリッチ側の値に始まり、徐々にスライスレ
ベルSLRに近づいていくわけである。
【0066】この場合に、PHOS0を用いての比例分
修正制御の結果は、SLR−MVRO2<0であること
より学習値の更新量PSが負の値で与えられ、これによ
って学習値PHOS0がマイナスの値でより小さくなる
側(つまり触媒内空燃比が理論空燃比に戻される値にな
る側)に更新されることから、更新後の学習値PHOS
0が重質燃料に対応する値になり、これがバックアップ
RAMに保持される。このため、次回始動時に今回と同
じ重質燃料を使用して始動が行われたときには、バック
アップRAMに格納されている学習値PHOS0が重質
燃料に対応したものとなっているので、比例分修正制御
の開始当初より触媒内空燃比が理論空燃比へと制御され
る。
【0067】このようにして、本発明では空燃比フィー
ドバック制御の開始とほぼ同じタイミングでその空燃比
フィードバック制御定数の修正制御を開始する場合に、
その修正制御における修正値の初期値を学習値で構成す
るので、燃料性状が異なるときでも、あるいは燃料壁流
特性にバラツキがあるときでも、比例分修正制御の開始
当初より触媒内空燃比を理論空燃比へと制御することが
でき、これにより良好な排気浄化性能が得られる。
【0068】図10、図11のフローチャートは第2実
施形態で、図10は第1実施形態の図3に、図11は第
1実施形態の図7にそれぞれ対応する。図2と図4は第
2実施形態でも使用する。
【0069】第2実施形態はPHOS初期値に対する要
求が始動時水温により変化することに対応するため、学
習値PHOS0を始動時水温毎に割り付けたものであ
る。
【0070】空燃比フィードバック制御を開始してから
しばらくのあいだの触媒内空燃比のずれ(リッチ気味な
ること)はCO吸着によるものであるから、始動時の空
燃比がリッチ側になるほど(つまり始動時の燃料増量補
正量が増えるほど)CO吸着量が大きくなり、始動時水
温が低いほど燃料増量補正量が多くなる。したがって、
触媒内空燃比と始動時水温TWINTとの間には、図1
2に示したように始動時水温TWINTが低くなるほど
触媒内空燃比がリッチ側にかたよるという関係がある。
【0071】さて、第1実施形態のように、始動時水温
に関係なく学習値が1つである場合に、たとえば20℃
で学習値をPHOS初期値として用いて比例分修正制御
を開始し、その結果をみて学習値を更新することにより
学習値が20℃に対して適正な値となり、次回運転時も
20℃で始動するのであれば、比例分修正制御の開始当
初から触媒内空燃比を理論空燃比付近へと制御すること
ができる。
【0072】しかしながら、次回運転時に50℃で始動
した場合にはそのときの学習値では不適切となり(比例
分修正制御開始当初の触媒内空燃比がリッチに傾く)、
学習することによって学習値が50℃に対して適切な値
となっても、次回の運転時に再び20℃で始動される
と、またしてもそのときの学習値では不適切となる(比
例分修正制御開始当初の触媒内空燃比がリーンに傾
く)。つまり、始動時水温が前回運転時より変化するた
びに学習値が不適切となってしまうのである。
【0073】そこで、第2実施形態では学習値PHOS
0のテーブルを始動時水温TWINTにより割り付ける
ことで、さまざまな始動時水温に対して一度でも学習し
ていれば、始動時水温が前回運転時より変化しても、比
例分修正制御の開始当初より触媒内空燃比をリッチやリ
ーンにかたよらせることなく理論空燃比へと制御でき
る。
【0074】図10において第1実施形態の図3と相違
する部分はステップ61、62である。これらのステッ
プ61、62では始動時水温TWINTを読み込み、こ
の始動時水温TWINTより図13を内容とするテーブ
ルを検索して学習値PHOS0を求め、これをステップ
26において修正値PHOSに入れる。
【0075】また、図11において第1実施形態の図7
と相違する部分はステップ63で、ここでは更新後の学
習値PHOS0を、バックアップRAMのうち今回の始
動時水温TWINTに対する場所に格納する。
【0076】図14、図16、図17のフローチャート
は第3実施形態で、図14は第2実施形態の図10に対
応する。第1実施形態の図2と図4、第2実施形態の図
11は第3実施形態でも使用する。
【0077】学習値を導入した目的は、始動増量や水温
増量により触媒に吸着されるCOにより触媒内空燃比が
リッチ側に傾く場合に、そのCOの量が燃料壁流特性の
バラツキや燃料性状の相違により異なっても、比例分修
正制御の開始当初より触媒内空燃比を理論空燃比へと制
御することにあった。
【0078】しかしながら、図18に示すように、エン
ジン停止直前で触媒内空燃比が若干リッチ側にある(こ
れも触媒内にまだCOが残っていることが原因と考えら
れる)場合にエンジンを停止しすぐに再始動するときを
考えると、この場合には、再始動時の始動増量や水温増
量により触媒に吸着されるCOによるずれ分Aに、前回
のエンジン停止時より触媒内に残存しているCOによる
ずれ分Bが加わったものが再始動時の触媒内空燃比の理
論空燃比からのずれ分となるので、Bの分だけ学習値が
不適切となり、比例分修正制御の開始当初の触媒内空燃
比がリッチ側にかたむいてしまう。また、この場合にま
で学習したあとにエンジンが長く停止され、触媒内に残
存するCOがまったくなくなった状態で再始動されたと
きは、これまた学習値が不適切となり、今度は比例分修
正制御の開始当初の触媒内空燃比がリーン側にかたむ
く。
【0079】そこで、第3実施形態では、図18のよう
に前回運転時のエンジン停止時に残っていた触媒内のC
Oが今回始動時に残存する場合にも対処するため、学習
値はあくまで始動増量や水温増量により触媒に吸着され
るCOによるずれ分Aに対応させるものとし、前回のエ
ンジン停止より触媒内に残存しているCOによるずれ分
Bに対しては、初期値に対する補正量を導入する。
【0080】この場合、ソーク時間(エンジン停止から
その後の始動までの時間のこと)により再始動時に触媒
内に残存するCO吸着量が変化し、ソーク時間が長びけ
ば触媒内に残存するCO吸着量が減少するので(図19
参照)、前回のエンジン停止時の修正値PHOSとソー
ク時間に応じて補正量を算出することができる。
【0081】第2実施形態と相違する部分を主に説明す
ると、図16のフローチャートは、イグニッションキー
スイッチがONからOFFになったとき(つまりエンジ
ン停止時)に一度だけ実行するもので、ステップ81、
82ではそのときの修正値PHOSをメモリ(バックア
ップRAMで構成)PHOSEに格納し、タイマt2を
起動する。このタイマt2はソーク時間を計測するため
のもので、マイコン内部のタイマを用いる。
【0082】なお、PHOSEは、図18に示したよう
にエンジン停止直前において触媒内空燃比がリッチ側で
あるときにはマイナスの値になるものの、常にマイナス
の値をとるのでなくプラスの値にもなるので、PHOS
Eはプラス、マイナスの符号付きで保存する。
【0083】これに対して図17のフローチャートは、
イグニッションキースイッチが今度はOFFからONに
なったとき(つまりエンジン始動時)に一度だけ実行す
るもので、ステップ91、92ではそのときのタイマt
2をメモリTSOAKに移すとともに、そのときの冷却
水温をメモリTWINTに移す。これによってTSOA
Kにソーク時間が、TWINTに始動時水温がそれぞれ
サンプリングされるわけである。
【0084】図14に移ると、第2実施形態の図10と
相違する部分はステップ71、72だけである。ここで
は、ソーク時間TSOAKより図15を内容とするテー
ブルを検索してでソーク時間に対する係数KSOAKを
求め、この係数KSOAKをPHOSE(前回エンジン
停止直前のPHOS)に乗算した値を学習値PHOS0
に加算した結果(つまりPHOS0+PHOSE×KS
OAK)を修正値(このときの修正値は修正値の初期値
である)PHOSに入れる。
【0085】KSOAKの値は、図15に示したように
1.0からソーク時間TSOAKの増大とともに減少
し、たとえば8時間後には0となるものである。したが
って、ソーク時間が8時間以上になるときはPHOSE
×KSOAK=0となり、第2実施形態と同じになる。
【0086】ここで、PHOSE×KSOAKの値が、
前回のエンジン停止時より触媒内に残存しているCOに
よるずれ分Bを考慮した値である。図18のケースで再
び説明すると、図18のケースではソーク時間がごく短
い(つまりKSOAK≒1.0)ので、PHOS0+P
HOSE×KSOAK≒PHOS0+PHOSEとな
る。この場合にPHOSEがマイナスの値をとり、しか
もPHOS0もマイナスの値であるため、両者の合計は
マイナスで大きな値となり、PHOS0+PHOSEを
PHOS初期値として用いての比例分修正制御の開始当
初の触媒内空燃比が理論空燃比へと制御される。つま
り、前回運転時のエンジン停止後に残っていた触媒内の
COがそのまま今回始動時に残存していても、学習値P
HOS0が不適切となることがなく、前回と同じ値に学
習値が保持される。
【0087】このようにして第3実施形態では、前回の
エンジン停止時のPHOSとソーク時間に応じて補正量
を算出し、この補正量を学習値に加えた値をPHOS初
期値として設定するので、前回運転時のエンジン停止後
に残っていた触媒内のCOが今回始動時に残存する場合
においても、比例分修正制御の開始当初から触媒内空燃
比を理論空燃比へと制御でき、かつ誤学習を防止でき
る。
【0088】第3実施形態では、第2実施形態の学習値
(始動時水温毎に割り付けられている)を前提として説
明したが、第1実施形態の学習値(始動時水温に関係な
く1つ)を前提とするものであってもかまわない。
【0089】第3実施形態では、ソーク時間に応じた係
数KSOAKで前回のエンジン停止時の修正値を補正し
ているが、ソーク時間がごく短いときには、ソーク時間
に応じた係数KSOAKによる補正は不要で、前回のエ
ンジン停止時の修正値をそのまま学習値に加算した値を
PHOS初期値として設定すればよい。
【0090】3つの実施形態では、空燃比フィードバッ
ク制御定数が比例分である場合で説明したが、これに限
られることはなく、積分分IL、IR、上流側O2セン
サ出力の遅延時間、上流側O2センサ出力と比較するス
ライスレベルSLF等であっても同様に構成することが
できる。
【0091】学習値PHOS0は触媒の劣化度合に応じ
た値を用いるものとしてもよい。たとえば、触媒の劣化
度合が進むほどPHOS0をマイナス側で大きくする。
触媒の要求空燃比が触媒のO2ストレージ能力と排気中
のHC,COとのバランスで決まることを前述したが、
触媒の劣化が進むと、O2ストレージ能力が低下するの
で、そのぶんPHOSの要求値をマイナス側で大きくす
る必要があるからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の制御システム図である。
【図2】空燃比フィードバック補正係数αの演算を説明
するためのフローチャートである。
【図3】サブルーチン説明するためのフローチャートで
ある。
【図4】下流側O2センサ平滑化電圧MVRO2の演算
を説明するためのフローチャートである。
【図5】比例分修正値PHOSの波形図である。
【図6】冷間始動時の触媒内空燃比とPHOS要求値の
特性図である。
【図7】学習値PHOS0の更新を説明するためのフロ
ーチャートである。
【図8】学習値更新量PSの特性図である。
【図9】第1実施形態の作用を説明するための波形図で
ある。
【図10】第2実施形態のサブルーチンを説明するため
のフローチャートである。
【図11】第2実施形態の学習値PHOS0の更新を説
明するためのフローチャートである。
【図12】第2実施形態の始動時水温TWINTに対す
る触媒内空燃比の特性図である。
【図13】第2実施形態の学習値のテーブル特性図であ
る。
【図14】第3実施形態のサブルーチンを説明するため
のフローチャートである。
【図15】第3実施形態の係数KSOAKのテーブル特
性図である。
【図16】第3実施形態のイグニッションキースイッチ
のONからOFFへの切換時の処理を説明するためのフ
ローチャートである。
【図17】第3実施形態のイグニッションキースイッチ
のOFFからONへの切換時の処理を説明するためのフ
ローチャートである。
【図18】第3実施形態のエンジン停止後すぐの再始動
時の触媒内空燃比の特性図である。
【図19】ソーク時間に対する触媒内CO濃度の特性図
である。
【図20】第1の発明のクレーム対応図である。
【第21】第2の発明のクレーム対応図である。
【符号の説明】
2 コントロールユニット 3 上流側O2センサ(上流側空燃比センサ) 4 クランク角センサ 6 エアフローメータ 7 燃料噴射弁 9 排気通路 10 三元触媒 13 下流側O2センサ(下流側空燃比センサ)
フロントページの続き (72)発明者 石塚 隆史 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】触媒の上流側と下流側の各空燃比センサ
    と、 空燃比フィードバック制御の基本制御定数を演算する手
    段と、 空燃比フィードバック制御条件の成立時であるかどうか
    を判定する手段と、 この判定結果より空燃比フィードバック制御条件の成立
    時に前記下流側空燃比センサ32の出力に基づいて前記
    基本制御定数に対する修正値を演算する手段と、 この修正値で前記基本制御定数を修正して制御定数を演
    算する手段と、 この演算した制御定数を用いて前記上流側空燃比センサ
    の出力に基づく空燃比のフィードバック制御を行う手段
    とを備えるエンジンの空燃比制御装置において、 学習値を格納するバックアップメモリと、 前記判定結果に基づいて空燃比フィードバック制御条件
    の始動後初めての成立時であるかどうか判定する手段
    と、 この判定結果より空燃比フィードバック制御条件の始動
    後初めての成立時に前記バックアップメモリに格納され
    ている学習値を前記修正値の初期値として設定する手段
    と、 この修正値の初期値で前記基本制御定数を修正して制御
    定数を演算したときの結果が前記下流側空燃比センサの
    出力に現れたとき、その下流側空燃比センサの出力に基
    づいて前記触媒内空燃比が理論空燃比へと収束するよう
    に前記学習値を1回だけ更新する手段とを設けたことを
    特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
  2. 【請求項2】触媒の上流側と下流側の各空燃比センサ
    と、 空燃比フィードバック制御の基本制御定数を演算する手
    段と、 空燃比フィードバック制御条件の成立時であるかどうか
    を判定する手段と、 この判定結果より空燃比フィードバック制御条件の成立
    時に前記下流側空燃比センサの出力に基づいて前記基本
    制御定数に対する修正値を演算する手段と、 この修正値で前記基本制御定数を修正して制御定数を演
    算する手段と、 この演算した制御定数を用いて前記上流側空燃比センサ
    の出力に基づく空燃比のフィードバック制御を行う手段
    とを備えるエンジンの空燃比制御装置において、 学習値を格納する第1のバックアップメモリと、 エンジン停止時の前記修正値を格納する第2のバックア
    ップメモリと、 前記判定結果に基づいて空燃比フィードバック制御条件
    の始動後初めての成立時であるかどうか判定する手段
    と、 この判定結果より空燃比フィードバック制御条件の始動
    後初めての成立時に前記第2のバックアップメモリに格
    納されているエンジン停止時の修正値を前記第1のバッ
    クアップメモリに格納されている学習値PHOS0に加
    算した値を前記修正値の初期値として設定する手段と、 この修正値の初期値で前記基本制御定数を修正して制御
    定数を演算したときの結果が前記下流側空燃比センサの
    出力に現れるときその下流側空燃比センサの出力に基づ
    いて前記触媒内空燃比が理論空燃比へと収束するように
    前記学習値を1回だけ更新する手段とを設けたことを特
    徴とするエンジンの空燃比制御装置。
  3. 【請求項3】空燃比フィードバック制御条件の始動後初
    めての成立時に前記第2のバックアップメモリに格納さ
    れているエンジン停止時の修正値を前記第1のバックア
    ップメモリに格納されている学習値に加算する場合に、
    そのエンジン停止時の修正値を、ソーク時間が長くなる
    ほど小さくなる側に補正することを特徴とする請求項2
    に記載のエンジンの空燃比制御装置。
  4. 【請求項4】前記学習値は始動時水温毎の値であること
    を特徴とする請求項1から3までのいずれか一つに記載
    のエンジンの空燃比制御装置。
  5. 【請求項5】前記修正値の初期値で前記基本制御定数を
    修正して制御定数を演算したときの結果が前記下流側空
    燃比センサ32の出力に現れるときは、前記空燃比フィ
    ードバック制御条件の始動後初めての成立時より所定の
    遅れ時間の経過後であることを特徴とする請求項11か
    ら4までのいずれか一つに記載のエンジンの空燃比制御
    装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2010106842A1 (ja) * 2009-03-19 2010-09-23 日立オートモティブシステムズ株式会社 エンジンの制御装置
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