JPH0742875B2 - エンジンの空燃比制御装置 - Google Patents

エンジンの空燃比制御装置

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JPH0742875B2
JPH0742875B2 JP24867689A JP24867689A JPH0742875B2 JP H0742875 B2 JPH0742875 B2 JP H0742875B2 JP 24867689 A JP24867689 A JP 24867689A JP 24867689 A JP24867689 A JP 24867689A JP H0742875 B2 JPH0742875 B2 JP H0742875B2
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明はエンジンの空燃比制御装置、特に吸気管内に
おける燃料付着部温度を用いて壁流分についての補正量
を求めるとともに、冷却水温を用いて暖機増量補正量を
求めるものにおいて、ガソリン性状を考慮するものに関
する。
(従来の技術) 公知の電子制御燃料噴射装置では、通常時の燃料噴射量
の構成が“基本噴射量+各種増量補正量”とされ、イン
ジェクタには、これにインジェクタの無効噴射時間を付
加した信号時間が与えられる((株)鉄道の日本社発行
「自動車工学」1986年1月号第109頁,110頁参照)。
このうち基本噴射量は、吸入空気量に応じて定まる噴射
量であり、エアフローメータからの吸入空気量信号によ
り決定される。
各種増量補正量には、いわゆる暖機増量補正として、水
温増量補正と始動および始動後増量補正がある。このう
ち、前者の水温増量補正は、冷却水温の低下に伴い混合
気を濃くするための補正で、たとえば第8図で示すよう
に、ほぼ70℃以下で働く。後者の始動時および始動後増
量補正は始動時および始動直後の補正で、クランキング
中は第9図の値を持ち、その後スタート信号がONからOF
Fになった始動完了後に、一定の割合で補正量を段階的
にゼロになるまで減じていくものである。なお、第8図
のKTWは水温増量補正係数、第9図のKASは始動後増量補
正数である。
(発明が解決しようとする課題) ところで、このような装置では、暖機のための増量補正
量を、ガソリン性状のバラツキによる燃焼悪化を考慮し
て、かなりリッチ側に設定している。これは、一般ガソ
リンよりも揮発性の劣る重質ガソリンが使用されると、
特に低温時に空燃比が大きくリーン化してしまうので、
これを避けるためである。
しかしながら、全体としてリッチ側に設定されると、一
般にガソリンの使用時には、逆に燃料過多の傾向を有
し、点火プラグのくすぶりに対して弱くなったり、暖機
中の燃費を低下させる。また、低温時のCOやHCの排出量
が多いので、排ガス浄化性能の点からも改良の余地があ
る。
一方、吸気管内における燃料付着部の平衡状態温度とこ
の平衡状態温度の変化速度とから燃料付着部温度を予測
し、この燃料付着部温度の予測値をパラメータとして壁
流補正量を求めるようにした装置を本出願人が先に提案
しており(特願昭63−136699号)、こうした先願装置の
ように壁流補正量を導入するものにおいても、ガソリン
性状のバラツキを考慮して、かなりリッチ側に設定して
いる場合に、一般ガソリンが用いられると、たとえば加
速時には壁流補正量が過剰となって空燃比がリッチ化す
る(減速時は空燃比がリーン化する)。
特に、冷間始動直後に加減速を行ったときは、上記の暖
機補正量と壁流補正量の両方が加わり、さらに低温のた
めに各補正量が大きく与えられるので、一般ガソリンの
使用時における空燃比のリッチ化の程度も大きくなって
しまう。
こうした空燃比のリッチ化は、ガソリン性状の相違に基
づくものであるから、ガソリン性状別の暖機増量補正量
と壁流補正量とを設定することが考えられる。KTWやKAS
の各テーブルと、壁流補正量を求めるためのマップやテ
ーブルとを重質ガソリン用と一般ガソリン用にそれぞれ
別個に設定するわけである。
しかしながら、マップやテーブルを重質ガソリン用と一
般ガソリン用にそれぞれ別個に設定するのでは、マッチ
ングの工数が倍になってしまう。
この発明は、このような課題に着目してなされたもの
で、ガソリン性状に関する学習値としての水温補正量Δ
Twfを導入し、この水温補正量ΔTwfで燃料付着部温度と
冷却水温とを低温側にそれぞれ修正し、この燃料付着部
温度の修正値からは壁流補正量を、また冷却水温の修正
値からは暖機増量補正量をそれぞれ演算するとともに、
過渡時であることが判定された場合に空燃比センサ出力
に基づいてガソリン性状を判定し、その判定結果に応じ
て前記ガソリン性状に関する学習値としての水温補正量
ΔTwfを書き換えるようにした装置を提供することを目
的とする。
(課題を解決するための手段) この発明は、第1図に示すように、エンジンの回転数Ne
と負荷をそれぞれ検出するセンサ31と、エンジンの冷却
水温Twを検出するセンサ33と、前記回転数Neおよび負荷
の検出値に基づいて基本噴射量Tpを計算する手段と34
と、燃料付着部温度を予測する手段51と、ガソリン性状
に関する学習値としての水温補正量ΔTwfを格納する手
段52と、この格納手段52より水温補正量ΔTwfを読み出
す手段53と、この読み出した水温補正量ΔTwfで前記燃
料付着部温度の予測値を低温側に修正する手段54と、こ
の修正された燃料付着部温度の予測値に基づいて壁流補
正量Vmfを演算する手段39と、前記読み出し水温補正量
ΔTwfで前記冷却水温の検出値を低温側に修正する手段5
5と、前記修正された冷却水温の検出値に基づいて暖機
増量補正量を演算する手段41と、この暖機増量補正量お
よび前記壁流補正量Vmfにて前記基本噴射量Tpを補正し
て、出力すべき燃料噴射量Tiを決定する手段42と、この
噴射量Tiを燃料噴射装置44に出力する手段43と、排気中
の空燃比を検出するセンサ35と、前記負荷の検出値に基
づいて過渡時であるかどうかを判定する手段36と、過渡
時であることが判定された場合に前記空燃比センサ35の
出力からガソリン性状を判定する手段37と、この判定結
果に応じて前記ガソリン性状に関する学習値としての水
温補正量ΔTwfを書き換える手段38とを備える。
(作用) まず、燃料付着部温度をパラメータとする壁流補正量Vm
fを一般ガソリンに対して設定している場合において重
質ガソリンが使用されたときは、特に低温状態での加速
時に空燃比が大きくリーン化(低温状態での減速時はリ
ッチ化)する。
この場合に、加速時におけるリッチ側への、あるいは減
速時のリーン側への大きな空燃比エラーから重質ガソリ
ンの使用時と判定され、ガソリン性状に関する学習値と
しての水温補正量ΔTwfが大きくなる側に書き換えられ
る。この書き換え後のΔTwfにより燃料付着部温度が修
正されると、修正後の燃料付着部温度は、一般ガソリン
のときより低温側の値になる。一般ガソリンに対して燃
料付着部温度をパラメータとする壁流補正量Vmfを設定
している場合に、重質ガソリンが用いられるときは、一
般ガソリンに対してよりも見掛け上低めの温度へと温度
予測値を修正することで、重質ガソリンに見合った壁流
補正量Vmf(一般ガソリンに対するよりも多めの壁流補
正量Vmf)を与えることができるのである。
しかも、ガソリン性状に関する学習値としては水温補正
量ΔTwfで導入しているので、重質ガソリンの使用時に
も、一般ガソリンに対して設定しているマップやテーブ
ル(壁流補正量を求めるためのマップやテーブル)をそ
のまま用いて重質ガソリン使用時の壁流補正量Vmfを求
めることができ、重質ガソリンの使用時に専用のマップ
やテーブルをあらためて設定する必要がない。
一方、冷却水温Twをパラメータとする暖機増量補正量を
一般ガソリンに対して設定している場合において重質ガ
ソリンが使用されたときは、特に低温時に空燃比が大き
くリーン化する。
この場合に、上記のようにして重質ガソリンの判定によ
り書き換えられた後のΔTwfは一般ガソリンに対するよ
りも大きな値となるので、このΔTwfにより冷却水温Tw
が修正されると、修正後の冷却水温は、一般ガソリンの
ときより低温側の値になる。一般ガソリンに対して暖機
増幅補正量の特性を設定している場合に、重質ガソリン
が用いられるときは、一般ガソリンに対するよりも見掛
け上低めの温度へと冷却水温を修正することで、重質ガ
ソリンに見合った暖機増量補正量(一般にガソリンに対
するよりも多めの暖機増量補正量)を与えることができ
るのである。
しかも、重質ガソリンの使用時にも、一般ガソリンに対
して設定している暖機増量補正量の各テーブルをそのま
ま用いることができ、重質ガソリンの使用時に専用のテ
ーブルをあらためて設定する必要がない。
(実施例) 第2図は一実施例のシステム図である。
図において、吸入空気はエアクリーナ2から吸気管3を
通り、燃料は噴射信号Siに基づきインジェクタ(燃料噴
射装置)4からエンジン1の吸気ポートに向けて噴射さ
れる。シリンダ内で燃焼したガスは排気管5を通して触
媒コンバータ6に導入され、ここで燃焼ガス中の有害成
分(CO,HC,NOx)が三元触媒により清浄化されて排出さ
れる。
吸入空気の流量Qaはホットワイヤ式のエアフローメータ
7により検出され、アクセルペダルと連動する吸気絞り
弁8によってその流量が制御される。なお、エアフロー
メータ7のタイプとしては、ホットフィルム式でも良
く、要は吸入空気の流量を測定するものであればよい。
絞り弁8の開度TVOは絞り弁開度センサ9により検出さ
れ、エンジン1の回転数Neはクランク角センサ10により
検出される。また、ウォータジャケットの冷却水温Twは
水温センサ11により検出され、排気中の空燃比は空燃比
センサ12により検出される。この空燃比センサ12にはリ
ッチからリーンまで幅広く空燃比を検出し得る特性を持
つものが用いられる。さらに、スタータモータの作動は
スタートスイッチ13により検出される。
上記エアフローメータ7,絞り弁開度センサ9,クランク角
センサ10,水温センサ12およびスタートスイッチ13から
の出力はコントロールユニット20に入力される。
コンロールユニット20は第1図の手段34,36,39,41〜43,
51〜57としての全機能を有し、CPU21,ROM22,RAM23およ
びI/Oポート24により構成される。CPU21はROM22に書き
込まれているプログラムにしたがってI/Oポート24より
必要とする外部データを取り込んだり、またRAM23との
間でデータの授受を行ったりしながら燃料噴射制御に必
要な処理値を演算処理し、必要に応じて処理したデータ
をI/Oポート24へ出力する。
I/Oポート24には各種センサやスイッチからの信号が入
力されるとともに、I/Oポート24からは噴射信号Siが出
力される。ここに、I/Oポート24は第1図の出力手段43
の機能を果たす。
ROM22はCPU21における演算プログラムを格納しており、
RAM23は演算に使用するデータをテーブルやマップ等の
形で記憶している。
第3図はガソリン性状に関する学習値としての水温補正
量ΔTwfを書き換えるためのルーチンであり、同ルーチ
ンはタイマ同期で、たとえば1secごとに一度実行され
る。
S1は第1図の過渡時判定手段36の機能を果たす部分で、
ここでは学習条件にあるかどうかをみて、学習条件(た
とえば過渡時であること、空燃比センサ12の出力が安定
していること等)の総てを満たせば、S2に進む。
S2では空燃比センサ12からの出力を読み込み、S3でデー
タの読み込みが完了したことを判定した後、S4に進む。
S4は第1図のガソリン性状判定手段37の機能を果たす部
分で、ここではS2で読み込まれた空燃比センサ12の過渡
時出力からガソリン性状が重質ガソリンであるか否かを
判定する。たとえば、重質ガソリンは一般ガソリンより
も揮発しにくいので、加速時の空燃比はリーン側に大き
くエラーする。そこで、このリーン側にエラーした場合
のピーク値やリーンとなった面積のいずれかと予め定め
てある基準値との比較により、基準値を越えていれば、
重質ガソリンであると判定し、そうでなければ一般ガソ
リンであると判定することができる。減速時にも同様の
判定が可能である。
S5は第1図の水温補正量書き換え手段38の機能を果たす
部分で、S4での判定結果に応じて、ガソリン性状に関す
る学習値としての水温補正量ΔTwfを書き換える。この
場合、ΔTwfは温度補正量、詳しくは式(後述する)
のように燃料付着部の温度予測値(以下単に「温度予測
値」という)Tfに対する減量補正量として導入されてい
る。ここでいうガソリン性状は揮発性であり、この揮発
性は温度に密接に関係するので、一般ガソリンに対して
Tfをパラメータとする壁流補正量の特性を最適に設定し
ておけば、重質ガソリンに対しては、一般ガソリンに対
するよりも見掛け上低めの温度を採用することで対処で
きるからである。
第4図は過渡補正量Kathosを演算するためのルーチン
で、第1図の壁流補正量演算手段39の機能を果たす。こ
のルーチンは10msecごとに一度実行される。なお、ルー
チンの内容自体は上記の先願装置と同様であり、相違す
るのは、水温補正量ΔTwfにより修正した温度予測値T
f′の値を改めて温度予測値Tfとして用いる点である。
ただし、内容自体は同じであるため、温度予測値Tfに基
づいて過渡補正量Kathosを求める場合を概説し、その後
にTf′との関係に触れることにする。
まず、S11では吸気管3内における燃料壁流分の平衡付
着量Mfh[ms]を次式にて求める。
Mfh=Avtp×Mfhtvo … ここで、Avtpは噴射弁部の燃料流量を意味し、エアフロ
ーメータ7にて検出される空気流量Qaを一次遅れで平滑
化し、その平滑化した空気量から演算されるものであ
る。実際には、Avtpは噴射弁部流量相当パルス幅[ms]
として演算される。なお、Avtpの演算方法については上
記の先願装置と略同時期に本出願人が別出願で開示して
いる。このAvtpを求めるに際しては温度予測値Tfは関与
していない。
一方、Mfhtvoは付着倍率[単位は倍]で、これは温度予
測値Tfを用いて求められる。たとえば、温度予測値Tfの
上下各基準温度TfiとTfi+1に対する基準付着倍率データ
MfhtfiとMfhtfi+1を用い、Tf,Tfi,Tfi+1による補間計算
で求める。記号の最後に付したiは1から4(あるいは
5)までの整数であり、4つの各基準温度(Tf1〜Tf4
あるいは各基準温度に対する基準付着倍率データ(Mfht
f1〜Mfhtf4)を区別するために使用されている。
なお、温度予測値Tf[℃]の求めかたは上記の先願装置
に詳しいので省略する。
上記、Mfhtfiは次式にて求める。
Mfhtfi=Mfhqi×Mfhni … ただし、Mfhqiは基準付着倍率負荷項で、α−N流量Qh0
と温度予測値Tfを用い補間計算付きで所定のテーブルを
参照して求める。なお、Qh0は絞り弁開度TVOと回転数Ne
から求められる絞り弁部の空気流量で、既に公知のもの
である。Mfhniは基準付着倍率回転項で、回転数Neから
補間計算付きで所定のテーブルを参照して求める。
S12では分量では分量割合KmF[%]を次式にて求め
る。
Kmf=Kmfat×Kmfn … ここで、Kmfat[%]は基本分量割合で、これも温度予
測値Tfを用いて求める。たとえば、α−N流量Qh0と温
度予測値Tfとを用い、補間計算付きで所定のマップを参
照する。Kmfn[%]は分量割合回転補正率で、回転数Ne
から補間計算付きで所定のテーブルを参照する。
S13では付着速度Vmf[%]を次式にしたがって演算す
る。
Vm=(Mfh−Mf)×Kmf … ここで、付着速度Vmfは壁流に取られる燃料流量を考慮
しての補正値であり、エンジン1回転当たり(1噴射当
たり)の量(つまり速度)として求められる。付着量Mf
[ms]は今回噴射終了時に壁流として流れる燃料量で、
次式にて求められる。
Mf=(Mf-1REF)+Vmf … 式中のMf-1REFは前回噴射終了時(単位回転前)の付
着量を意味させており、これに今回の噴射時に加えられ
るVmfを加算した値が今回の噴射終了時点での付着量Mf
となるわけである。これは、付着量を単位回転ごとにサ
イクリックに求めていく構成であるため、前回の値と今
回の値とを区別する必要があるからである。
S14では軽質ガソリン使用時における減速時のオーバー
リーン防止のための補正率Ghf[%]を次式にしたが
って求める。
Ghf=Ghfgen … 式中のGhfgenは減量補正率で、加速(Vmf≧0のと
き)ではGhfgen=1.0とし、そうでないときは補正率負
荷項Ghfqと補正率回転項Ghfdnとのうちいずれか大なる
値を用いる。ここに、Ghfdnは補間計算付きでNe−Nset
(ただし、Nsetはアイドル時の目標回転数)のテーブル
を参照する。GhfqはAvtpから補算計算なしで所定のテー
ブルを参照する。
S15では次式にしたがって過渡補正量Kathos[ms]を
求めてルーチンを終了する。
Kathos=Vmf×Ghf … 以上のようにしてKathosを求めるのであるが、ここで
は、次式により、ガソリン性状に関する学習値として
の水温補正量ΔTwtにて温度予測値Tfを減量側(低温
側)に修正する。
Tf′=Tf−ΔTwt … そして、この水温補正量ΔTwfにて修正された温度予測
値Tf′の値を改めてTfと置き直して、上記式の付着倍
率Mfhtvo(正確には式の基準付着倍率負荷項Mfhqi
および式の基本分量割合Kmfatを求めるのである。つ
まり、Tf′にはガソリン性状の相違が織り込まれるので
あり、Tf′によればガソリン性状に応じたVmfやKathos
が最適に求められる。
第5図はインジェクタ4に出力すべき燃料噴射パルス幅
Ti[ms]を決定するためのルーチンで、Kathosと同じく
10msecごとに一度実行される。
S21は第1図の基本噴射量計算手段34の機能を果たす部
分で、基本噴射パルスTp[ms]を次式にて計算する。
Tp=K×Qa/Ne … ただし、Kは基本空燃比を設定するための定数である。
S22〜24,26は第1図の水温修正手段55と暖機増量補正量
演算手段41の機能を果たす部分で、ここでは水温増量補
正係数KTWと始動後増量補正係数KASの2つを上記の水温
補正量ΔTwfにより修正した冷却水温から演算する。
まず、S22では次式により水温補正量ΔTwfを用い、水
温センサ11にて検出される冷却水温Twを減量側(低温
側)に修正する。
Tw′=Tw−ΔTwf×GTW … そして、この冷却水温Tw′の値を改めてTwと置き直し
て、第8図で示した特性を内容とするテーブルを参照さ
せることにより、水温増量補正係数KTW[無名数]を求
める。つまり、第8図の特性は一般ガソリンに対するも
のであるから、重質ガソリンに対しては、見掛け上冷却
水温が低いとみなすことにより、余分に燃料増量を行わ
せるのである。
ただし、式と相違して、式では水温修正ゲインGTW
[無名数]を導入している。これは、ガソリン性状に関
し、水温補正量ΔTwfを導入しているとはいえ壁流補正
量と暖機増量補正量とでは、必ずしも同じに論ずること
ができないからである。水温修正ゲインGTWの値には1
程度の値を採用する。第6図にTw′に対するKTWの特性
を示す。
S23ではスタートスイッチ13がONであるか否かを判定
し、スタートスイッチ13がONであるときはクランキング
中であると判断してS24に進み、この逆にスタートスイ
ッチ13がONでないときはクランキングが終了したと判断
してS26に進む。
S24では、KTWと同様にして、始動後増量補正係数K
AS[無名数]を求める。つまり、次式により上記の水
温補正量ΔTwfにて減量側に修正された冷却水温Tw″の
値を求めてTwと置き直して、第9図で示した特性を内容
とするテーブルを参照させる。
Tw″=Tw−ΔTwf×GAS … 式において、始動後修正ゲインGAS[無名数]も1程
度の値である。第6図にTw″に対する始動後増量補正係
数KASの特性を重ねて示す。
S25では始動性を向上させるため、通常時の噴射量より
も多目の噴射量が供給されるように始動時噴射パルス幅
TSTを計算する。ただし、TSTの計算式にS24で求めたKAS
は関与しない。
S26では次式によりKASを徐々に減少させる。
KAS=KAS-1−DKS … 式においてKAS-1は前回のKASの値を意味する。DKS
[無名数]は減少率である。
S27ではフュエルカット中かどうかを判断し、フュエル
カット中でなければ、S28に進む。S28は第1図の噴射量
決定手段42の機能を果たす部分で、ここでは次式にし
たがって、インジェクタ4に出力すべき燃料噴射パルス
幅Ti[ms]を決定する。
Ti=(Tp+Kathos)×(1+KMR+KTW+KAS) ×αTs … 式において、α[無名数]は空燃比センサ12の出力に
基づく空燃比フィードバック補正係数、KMR[無名数]
は高負荷,高回転時に増量補正に行うための空燃比補正
係数、Ts[ms]は無効パルス幅である。
この式は一般式であり、始動時には、空燃比フィード
バック制御が停止され(α=1.0)、かつ空燃比補正係
数KMRは0となるので、式は実質上次式になる。
Ti=(Tp+Kathos)×(1+KTW+KAS)×Ts …′ S27でフュエルカット中であればS29に進み、Ti=Tsとお
く。
S25,28,29で求められたTiはI/Oポート24に転送され、こ
こでTiに応じて噴射信号Siを作られる。
ここで、この例の作用を説明する。
まず壁流補正量について説明すると、Tfをパラメータと
するVmfやKathosを一般ガソリンに対して設定している
ので、重質ガソリンが使用されたときは、特に低温状態
での加速時に空燃比が大きくリーン化(低温状態での減
速時はリッチ化)する。
この場合に、加速時におけるリッチ側への大きな空燃比
エラーから重質ガソリンの使用時と判定され、水温補正
量ΔTwfがたとえば ΔTwf=ΔTwf-1+a … ただしΔTwf:書き換えの値 ΔTwf-1:書き換え前の値 a:書き換え量 の式により大きくなる側に書き換えられる。この書き換
え後のΔTwfにより温度予測値Tfが修正されると、修正
後の温度予測値(式のTf′)は、一般ガソリンのとき
より書き換え量a[℃]だけ低温側の値になる。一般ガ
ソリンに対してTfをパラメータとするVmfやKathosを設
定している場合に、重質ガソリンが用いられるときは、
一般ガソリンに対するよりも見掛け上低めの温度へと温
度予測値を修正することで、重質ガソリン見合ったVmf
やKathos(一般ガソリンに対するよりも多めのVmfやKat
hos)を与えることができるのである。
しかも、ガソリン性状に関する学習値としては水温補正
量ΔTwfで導入しているので、重質ガソリンの使用時に
も、一般ガソリンに対して設定しているマップ(基準付
着倍率負荷項Mfhqiと基本分量割合Kmfatの各マップ)と
テーブル(基準付着倍率回転項Mfhniと分量割合回転補
正率Kmfnの各テーブル)をそのまま用いて重質ガソリン
使用時のVmfとKathosを求めることができ、重質ガソリ
ンの使用時に専用のマップやテーブルをあらためて設定
する必要がない。VmfやKathosを求めるためのマップや
テーブルがガソリン性状に関係なく一種類で足りるので
あるから、マッチングの工数やメモリ容量を増加させる
ことががないのである。
一方、暖機増量補正量についても、冷却水温Twをパラメ
ータとするTTWとKASとを一般ガソリンに対して設定して
いるので、重質ガソリンが使用されたときは、特に低温
時に空燃比が大きくリーン化する。
この場合に、上記式による書き換え後のΔTwfは一般
ガソリンに対するよりも大きな値となっているので、こ
のΔTwfにより冷却水温Twが修正されると、修正後の冷
却水温(式のTw′と式のTw″)は、一般ガソリンの
ときより所定量だけ低温側の値になる。一般ガソリンに
対してKTTWとKASの特性を設定している場合に、重質ガ
ソリンが用いられるときは、一般ガソリンに対するより
も見掛け上低めの温度へと冷却水温を修正することで、
重質ガソリンに見合ったKTWとKAS(一般ガソリンに対す
るよりも多めのKTWとKAS)を与えることができるのであ
る。
しかも、重質ガソリンの使用時にも、一般ガソリンに対
して設定しているKTWとKASの各テーブルをそのまま用い
ることができ、重質ガソリンの使用時に専用のテーブル
をあらためて設定する必要がないので、KTWとKASの各テ
ーブルがガソリン性状に関係なく一種類で足り、マッチ
ングの工数とメモリ容量が増加することがない。
第7図は冷却水温に対するエンジンの安定度限界と水温
増量補正係数KTWを用いての設計空燃比(図では空燃比
をA/Fで示す)の特性図である。同図において、重質ガ
ソリンに対する安定度限界(破線で示す)は、一般ガソ
リンに対するそれ(細実線で示す)よりもリッチ側にく
る。このため、一般ガソリンに対しては細実線に近付け
て(たとえば一点鎖線で示す位置に)、重質ガソリンに
対しては破線に近付けて(たとへば太実線の位置に)設
計空燃比を定めてやれば、燃費が良くなる。なお、安定
度限界とのあいだに所定の幅を設けてあるのは、空燃比
センサ12やアクチュエータ(インジェクタ4)のバラツ
キを考慮したものである。しかしながら、ガソリン性状
がいずれにあるかを判定できない場合には、重質ガソリ
ンの使用時のことを考慮にいれ、太実線の位置を全体と
しての設計空燃比とせざるを得ないので、一般ガソリン
の使用時には太実線と一点鎖線との空燃比差だけ不要に
リッチ側に設定されることになる。
これに対してこの例ではガソリン性状の判定により、重
質ガソリンの使用されていることが分かると、太実線の
位置が設計空燃比とされ、燃費の悪化が防止される。
この逆に、一般ガソリンが使用されているときは、設計
空燃比が一点鎖線の位置とされている。この結果、一般
ガソリンの使用時には、よりリーンリミットに近い空燃
比にすることができるのであり、これにてプラグのくす
ぶり、暖機中の燃費およびCO,HCの排出量を改良するこ
とができる。
実施例では、一般ガソリンと重質ガソリンの2種類で説
明したが、これに限られるものでなく、重質度さらに細
かく判定することもできる。また、暖機増量として、K
TWとKASの両方を備えるものを示したが、いずれか一方
だけを備えるものでも構わない。
(発明の効果) この発明によれば、エンジンの回転数と負荷をそれぞれ
検出するセンサと、エンジンの冷却水温を検出するセン
サと、前記回転数および負荷の検出値に基づいて基本噴
射量を計算する手段と、燃料付着部温度を予測する手段
と、ガソリン性状に関する学習値としての水温補正量を
格納する手段と、この格納手段より水温補正量を読み出
す手段と、この読み出した水温補正量で前記燃料付着部
温度の予測値を低温側に修正する手段と、この修正され
た燃料付着部温度の予測値に基づいて壁流補正量を演算
する手段と、前記読み出した水温補正量で前記冷却水温
の検出値を低温側に修正する手段と、前記修正された冷
却水温の検出値に基づいて暖房増量補正量を演算する手
段と、この暖機増量補正量および前記壁流補正量にて前
記基本噴射量を補正して、出力すべき燃料噴射量を決定
する手段と、この噴射量を燃料噴射装置に出力する手段
と、排気中の空燃比を検出するセンサと、前記負荷の検
出値に基づいて過渡時であるかどうかを判定する手段
と、過渡時であることが判定された場合に前記空燃比セ
ンサの出力からガソリン性状を判定する手段と、この判
定結果に応じて前記ガソリン性状に関する学習値として
の水温補正量を書き換える手段とを備えるので、ガソリ
ン性状が相違しても、ガソリンの重質度に応じたよりリ
ーンリミットに近い空燃比にすることができ、プラグの
くすぶり,暖機中の燃費およびCO,HCの排出量を改良す
ることができるほか、壁流補正量や暖機増量補正量を求
めるためのマップやテーブルがガソリン性状に関係なく
一種類で足り、マッチングの工数やメモリ容量を増加さ
せることがない。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明のクレーム対応図、第2図は一実施例
の制御システム図、第3図ないし第5図はこの実施例の
制御動作を説明するための流れ図、第6図はこの実施例
のTw′(=Tw−ΔTwt×GTW)に対するKTWとTw″(=Tw
−ΔTwf×GAS)に対するKASの特性を重ねて示す図、第
7図はこの実施例の冷却水温に対する安定度限界と設計
空燃比との関係を示す図である。 第8図と第9図はそれぞれ従来例のKTWとKASの特性図で
ある。 1……エンジン、3……吸気管、4……インジェクタ
(燃料噴射装置)、7……エアフローメータ(エンジン
負荷センサ)、9……絞り弁開度センサ、10……クラン
ク角センサ(エンジン回転数センサ)、11……冷却水温
センサ、12……空燃比センサ、20……コントロールユニ
ット、31……エンジン回転数センサ、32……エンジン負
荷センサ、33……冷却水温センサ、34……基本噴射量計
算手段、35……空燃比センサ、36……過渡時判定手段、
37……ガソリン性状判定手段、38……水温補正量書き換
え手段、39……壁流補正量演算手段、41……暖機増量補
正量演算手段、42……噴射量決定手段、43……出力手
段、44……燃料噴射装置、51……燃料付着部温度予測手
段、52……水温補正量格納手段、53……水温補正量読み
出し手段、54……温度修正手段、55……水温修正手段。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンの回転数と負荷をそれぞれ検出す
    るセンサと、 エンジンの冷却水温を検出するセンサと、 前記回転数および負荷の検出値に基づいて基本噴射量を
    計算する手段と、 燃料付着部温度を予測する手段と、 ガソリン性状に関する学習値としての水温補正量を格納
    する手段と、 この格納手段より水温補正量を読み出す手段と、 この読み出した水温補正量で前記燃料付着部温度の予測
    値を低温側に修正する手段と、 この修正された燃料付着部温度の予測値に基づいて壁流
    補正量を演算する手段と、 前記読み出した水温補正量で前記冷却水温の検出値を低
    温側に修正する手段と、 前記修正された冷却水温の検出値に基づいて暖機増量補
    正量を演算する手段と、 この暖機増量補正量および前記壁流補正量にて前記基本
    噴射量を補正して、出力すべき燃料噴射量を決定する手
    段と、 この噴射量を燃料噴射装置に出力する手段と、 排気中の空燃比を検出するセンサと、 前記負荷の検出値に基づいて過渡時であるかどうかを判
    定する手段と、 過渡時であることが判定された場合に前記空燃比センサ
    の出力からガソリン性状を判定する手段と、 この判定結果に応じて前記ガソリン性状に関する学習値
    としての水温補正量を書き換える手段と を備えることを特徴とするエンジンの空気量制御装置。
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