JPH10140311A - 熱延鋼板の溶融めっき方法および溶融めっき設備 - Google Patents

熱延鋼板の溶融めっき方法および溶融めっき設備

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JPH10140311A
JPH10140311A JP8302996A JP30299696A JPH10140311A JP H10140311 A JPH10140311 A JP H10140311A JP 8302996 A JP8302996 A JP 8302996A JP 30299696 A JP30299696 A JP 30299696A JP H10140311 A JPH10140311 A JP H10140311A
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JP
Japan
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hot
steel sheet
rolled steel
dip
plating
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Pending
Application number
JP8302996A
Other languages
English (en)
Inventor
Michitaka Sakurai
理孝 櫻井
Shuji Nomura
修二 野村
Junichi Inagaki
淳一 稲垣
Masaru Sagiyama
勝 鷺山
Hiroyuki Misaki
裕之 見崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
Priority to JP8302996A priority Critical patent/JPH10140311A/ja
Publication of JPH10140311A publication Critical patent/JPH10140311A/ja
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  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】生産コストを低減すると共に、酸洗後のスマッ
ト除去の問題、還元焼鈍時の加熱温度低減の問題、熱延
時のコイル保有熱利用の問題を一挙に解決し、操業コス
ト・設備コストを低減し、安価でめっき密着性に優れた
溶融めっき鋼板を製造することが可能な熱延板の溶融め
っき方法および溶融めっき設備を提供すること。 【解決手段】熱延鋼板に亜鉛系の金属または合金を溶融
めっきするにあたり、熱延鋼板12を酸洗装置13にて脱ス
ケール酸洗処理後、該処理が施された熱延鋼板にドライ
アイス粒噴射装置14にてドライアイス粒を噴射して脱ス
マットし、引き続いて連続する連続溶融めっき装置15に
導入して溶融めっきする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱延鋼板の上に亜
鉛系金属を溶融めっきする方法および設備に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、亜鉛系金属を溶融めっきした熱
延下地めっき鋼板は、熱間圧延ラインにおいて圧延され
た熱延鋼板を、コイルに巻き取り常温まで冷却した後、
酸洗ラインにおいて80〜90℃程度の温度にて酸洗す
ることにより、熱延時に鋼板表面に生成したスケールを
除去し、連続式溶融めっきラインにおいて所定の還元性
雰囲気を保った焼鈍炉内で鋼板を700〜800℃程度
の温度にて還元焼鈍し、その雰囲気を保ったまま連続的
に溶融めっきを施して製造されている。すなわち、従来
の連続式溶融めっきラインは、図2に示すように、焼鈍
炉4と溶融めっき槽5とを備えた溶融めっき装置3を有
し、コイル1から繰り出された熱延鋼板2が、まず焼鈍
炉4で還元焼鈍され、その後、溶融めっき槽5により連
続的にめっきが施される。
【0003】これは、めっき浴浸潰時に鋼板の表面に酸
化膜が多量に存在すると、鋼板とめっき浴の反応が妨げ
られてめっきの密着性が劣化したり、亜鉛系金属がはじ
かれて不めっきを生じ、外観ならびに耐食性が低下する
ため、それを防止する意図からなされるものである。
【0004】従って、熱延鋼板は酸洗ラインを経ること
によって熱延時に鋼板表面に生成したスケールを完全に
除去すること、および連続式溶融めっきラインにおいて
700〜800℃程度の高温にまで加熱し、還元焼鈍す
ることが不可欠であった。
【0005】しかしながら、酸洗ラインを経ることは、
その搬送費ならびに運転費の増大を招くことになる。そ
こで、特公昭51−40018号公報には、酸洗処理と
めっき処理を同一ラインにて連続的に処理することに着
目し、熱延鋼板を硫酸と塩酸の混酸よりなる酸洗処理液
中を通してスケールを除去し引き続いて連続するめっき
工程に通して亜鉛めっきする技術(以下、従来技術1)
というが開示されている。また、特開平4−30435
7号公報には、酸洗の後にバフロールによるブラッシン
グを施した後に、溶融めっきする技術(以下、従来技術
2という)、特開平8−81748号公報には酸洗後に
電解清浄により脱スマットし、次いで溶融亜鉛めっきす
る技術(以下、従来技術3という)が開示されている。
【0006】また、酸洗ラインを経ることは、その設備
の設置ならびに運転に莫大なコストと時間を要するこに
なる。そこで、この酸洗工程を省略するという考えに基
づいた溶融めっき鋼板の製造方法として、特開昭54−
133438号公報には熱延鋼板を圧下率40%以上の
冷間圧延を施した後に水素濃度4%以上の還元性雰囲気
内で還元焼鈍し溶融亜鉛めっきする技術(以下、従来技
術4という)が、特開平6−279967号公報には熱
延鋼板の表面酸化皮膜厚に合わせて、還元処理条件を制
御する技術(以下、従来技術5という)が開示されてい
る。
【0007】一方、めっき密着性に必要な表面清浄性を
確保するために、連続式溶融めっきラインを700〜8
00℃程度の高温に加熱することは、膨大なエネルギー
と長大な加熱炉を必要とし、操業コスト負担の増加を招
く。さらに、その後めっき浴の温度(500℃程度)近
傍まで冷却することは熱エネルギーの多大な損失とな
る。さらに、高温の水素雰囲気中では鋼板に水素が吸蔵
され、めっき後、この水素が鋼板とめっき皮膜の界面に
放出され、めっき皮膜に膨れ状欠陥を発生させる問題も
ある。
【0008】これらの問題を解決する手段として、特開
平4−346645号公報には、熱延鋼板を酸洗後Ni
プレめっきを行い、430〜500℃に加熱後、溶融亜
鉛めっきを施す技術(以下、従来技術6という)が開示
されている。
【0009】ところで、熱間圧延工程では、鋼は加熱炉
で1200℃程度まで加熱され、仕上げ圧延後、巻き取
られる時点においても、その温度は500〜600℃程
度の温度域にある。従って、熱間圧延時のコイルの保有
熱を、利用できれば熱エネルギー効率としては非常に有
利である。
【0010】そこで、特開平6−116653号公報に
は、コイルの保有熱を利用し、酸洗工程を省略して連続
的に表面清浄化、温度調整、めっきを行う技術(以下、
従来技術7という)が開示されている。
【0011】さらに、鋼片の表面に生成したスケールを
除去する方法として、特開平6−269839号公報に
は、加熱された鋼片にドライアイス粒を噴射することに
より鋼片の表面に生成するスケールを除去する技術(以
下、従来技術8という)が開示されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来技術1〜8には個々に以下のような問題点があ
る。従来技術1においては、酸洗によって熱延鋼板を脱
スケールすると、セメンタイトを主体とするスマットが
鋼板表面に残存し、還元焼鈍時に分解除去されないスマ
ットに起因するめっきはじき(いわゆる不めっき)が発
生する。
【0013】従来技術2においては、酸洗時に生成した
スマットはバフロールによる研削である程度除去される
ものの、鋼板が湾曲している場合や、鋼板表面にミクロ
凹凸が存在する場合には、均一にブラシが当たらないた
め、局部的にスマットが残存しやすい。また、ブラシロ
ールの毛抜けが、欠陥を発生させたり、ブラシロールの
不均一による線状ムラやチャーターマークなどが発生し
外観を損なうなどの問題点もある。
【0014】従来技術3においては、上記従来技術2の
ような問題点は解決されるが、電解設備が必要となり、
操業コストの増大を招く。従来技術4においては、冷間
圧延してスケールを薄くすることで還元焼鈍時のスケー
ル還元を補助するものであるが、冷間圧延のための莫大
な設備が必要であり、材質的に不安定になる問題があ
る。
【0015】従来技術5においては、通常のスケール厚
さでの利用も可能であるが、還元処理にかかる温度・時
間・H2 濃度が増すために、操業コスト・設備コストを
上昇させる。さらに、鋼板に溶融めっき処理を施す前に
スケール厚さを測定する必要があるが、これは連続処理
を妨げ、生産性に悪影響を与える。
【0016】従来技術6においては、前処理としてNi
プレめっきを施すため、プレめっきのための設備コスト
が増大する問題点がある。従来技術7において、表面清
浄化処理は酸液を使用しないドライでのスケーリングま
たは還元によるもの、またはこれらを併用するものであ
り、具体的には、真空アーク、水素プラズマ、気相還
元、直火還元等の技術が挙げられているが、この場合、
設備的に莫大なものとなり、製造コストが増大する。そ
の他の方法として、シヨットブラスト、サンドブラス
ト、グリッドブラスト、ワイヤーブラシ、グラインダー
などの機械的デスケーリングが挙げられている。機械的
デスケーリングでは、仕上がり安定性すなわちスケール
が局部的に残存してしまう問題、シヨット・グリッドな
どが鋼板に食い込んでめっき欠陥を生じる問題などがあ
って、実用的ではない。
【0017】従来技術8は、熱間圧延工程のしかも90
0〜1200どしの高温における1次スケール除去を対
象としたものであって、本発明とは対象の分野が異な
る。しかも、この技術を本発明の対象材に適用した場合
でも、上述した従来技術7の機械的でスケーリングのシ
ョットブラスト、サンドブラストと同様の問題点が残
る。噴射するドライアイス粒が常温では液体となるた
め、ショット粒が食い込んで欠陥を生じるという問題は
解決されるが、依然として、仕上がり安定性すなわちス
ケールが局部的に残存してしまう問題は解決されない。
【0018】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであって、通常行われる熱延鋼板の脱スケール酸洗工
程を連続式溶融めっきラインに組み込んで、生産コスト
を低減すると共に、従来から問題となっていた、酸洗後
のスマット除去の問題、還元焼鈍時の加熱温度低減の問
題、熱延時のコイル保有熱利用の問題を一挙に解決し、
操業コスト・設備コストを低減し、連続式溶融めっき設
備を前提とした安価でめっき密着性に優れた溶融めっき
鋼板を製造することが可能な熱延板の溶融めっき方法お
よび溶融めっき設備を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、第1発明では、熱延鋼板に亜鉛系の金属または合
金を溶融めっきする方法であって、熱延鋼板を脱スケー
ル酸洗処理後、該処理が施された熱延鋼板に氷粒を噴射
して脱スマットし、引き続いて連続する連続めっき工程
に導入して溶融めっきすることを特徴とする、熱延鋼板
の溶融めっき方法を提供する。そして、第2発明では、
前記溶融めっき方法を実現する設備として、連続溶融め
っき装置と、その入側に配置された脱スケール酸洗装置
と、前記脱スケール酸洗装置と前記溶融めっき装置との
間に配置された、氷粒を噴射する装置とを具備すること
を特徴とする、熱延鋼板の溶融めっき設備を提供する。
【0020】また、第3発明では、熱延鋼板に亜鉛系の
金属または合金を溶融めっきする方法であって、熱延鋼
板に氷粒を噴射した後、直ちに80〜90℃の温度域に
保たれた酸液にて脱スケール酸洗処理し、引き続いて連
続する連続めっき工程に導入して溶融めっきすることを
特徴とする、熱延鋼板の溶融めっき方法を提供する。そ
して、第4発明では、その溶融めっき方法を実現する設
備として、連続溶融めっき装置と、その入側に配置さ
れ、その中の酸液を適正温度に昇温する加熱機を有する
脱スケール酸洗装置と、前記脱スケール酸洗装置の前に
配置された、氷粒を噴射する装置とを具備することを特
徴とする、熱延鋼板の溶融めっき設備を提供する。
【0021】さらに、第5発明では、熱延鋼板に亜鉛系
の金属または合金を溶融めっきする方法であって、20
0℃以上の温度域にある熱延鋼板に氷粒を噴射して前記
熱延鋼板の表層温度を適正温度に降温させた後、直ち
に、脱スケール酸洗処理し、引き続いて連続する連続め
っき工程に、前記脱スケール酸洗処理が施された熱延鋼
板を導入して溶融めっきすることを特徴とする、熱延鋼
板の溶融めっき方法を提供する。そして、第6発明で
は、その溶融めっき方法を実現するために、連続溶融め
っき装置と、その入側に配置され、高温状態にある鋼板
を適正温度に降温させる冷却機能を有する氷粒噴射装置
と、その直後に配置された脱スケール酸洗装置とを具備
することを特徴とする、熱延鋼板の溶融めっき装置を提
供する。
【0022】以下、本発明についてより具体的に説明す
る。一般に、熱延鋼板を脱スケール酸洗すると、部分的
にスケールが残存したり、セメンタイトを主成分とする
スマットが付着していることがあり、このような場合に
は、溶融めっきの際に、ピンホール状の不めっきを生じ
やすく、品質および歩留まりの低下を招いていた。スケ
ールは、熱間圧延時に鋼の酸化しやすい部分に優先的に
成長するため、鋼とスケールの界面は平坦な面ではな
い。このような状況で脱スケール酸洗が行われるため、
酸洗後の鋼板表面には、大きな凹凸が存在する。
【0023】また、最近の脱スケール酸洗では、鋼の歩
留まりを考慮して、スケールは溶解するが、鋼は溶解さ
せないインヒビターが添加されるようになり、一層この
傾向を助長している。
【0024】したがって、凹部の奥深い部分では、スケ
ールが取り残されたり、マットが付着して脱落しにくい
傾向にある。このような、残存スケールやスマットを除
去するために、現状では電解清浄法やブラシ研削などの
機械的除去法が採用されている。電解清浄法は、設備が
莫大で製造コストが増大するという問題があった。ブラ
シ研削などの機械的除去法では、ブラシの毛抜けにより
欠陥を生じたり、鋼板の凹凸によってブラシがあたらな
い部分が存在するなどにより、除去安定性に欠けるとい
う問題があった。
【0025】本発明者らは、機械的除去方法の中で、安
定した除去が期待される方法として、ショットブラスト
法に着目した。しかしながら、使用するショットが鋼板
に食い込んだまま、脱落せずにめっきされることがあ
り、欠陥の原因となった。そこで、ショットの種類につ
いて検討し、鋼板に付着しても、その後の加熱により、
蒸発し無害化されるドライアイス粒について調査検討
し、上記第1および第2の発明に至った。
【0026】すなわち、熱延鋼板を脱スケール酸洗処理
後、前記処理を施された熱延鋼板にドライアイス粒を噴
射して脱スマットし、引き続いて連続する連続めっき工
程に導入して、溶融めっきすることにより、安価で確実
に良好なめっき品質を得ることができる。
【0027】また、この方法の採用により、これまでは
十分なめっき密着性を得るために、連続溶融めっき装置
の中で700〜800℃の高温に鋼板を加熱し、還元焼
鈍を行っていたが、残存スケール、残存スマットが減少
したため、めっき金属の浴温程度までの加熱で、十分な
めっき密着性が得られることを知見した。また、従来
は、還元焼鈍に必要な温度と時間を確保するため、低速
での操業を余儀なくされていたが、高速での操業を行っ
ても十分なめっき密着性が得られることと、反面、酸洗
時間が短くなるために、脱スケール能力が低下すること
が判明した。
【0028】次に、本発明者らは、上記脱スケール能力
の低下を補うため、酸洗速度向上に着目して検討を行っ
た。従来から、酸洗速度向上のため、スケールブレーク
処理として、レベラー加工やスキンパス圧延、シヨット
ブラストなどの方法が採用されていた。しかしながら、
レベラーや圧延装置は、大きくかつ高価な設備を必要と
した。また、ショットブラストにおいては、ショットが
鋼板に食い込む上述の問題を有していた。
【0029】そこで、本発明者らは、スケールブレーク
にドライアイス粒噴射を適用することを試み、上記発明
に至った。ドライアイス粒噴射は、単にスケールに機械
的損傷を導入するだけでなく、鋼板表面のスケールが0
℃付近にまで冷却されることにより、熱歪みが導入され
ること、スケールが低温脆化することなどが判明した。
【0030】一方、表面が0℃付近にまで冷却された鋼
板が導入されることから、酸洗液はどんどん冷却され、
酸洗速度に影響するまでに低下することが判明した。そ
こで、この酸液を80〜90℃の温度域に保つような加
熱装置が必要であることが明らかとなった。逆に、0℃
付近にまで冷却されたスケールが、80〜90℃の温度
に保たれた酸液に浸潰される際には、スケールの温度が
急上昇することによる熱歪みが発生し、酸洗速度を向上
させる効果があり、酸洗後の脱スマット処理が不要であ
ることも判明し、上記第3および第4の発明に至った。
すなわち、熱延鋼板にドライアイス粒を噴射した後、直
ちに80〜90℃の温度域に保たれた酸液にて脱スケー
ル酸洗処理し、引き続いて連続する連続めっき工程に導
入して、溶融めっきすることにより、短時間かつ安価で
確実に良好なめっき品質を得ることができる。なお、こ
の場合においても、酸洗後、念のために脱スマットのた
めのドライアイス粒ショットを行っても本発明の目的を
達成することができることは言うまでもない。
【0031】さらに、本発明者らは、熱間圧延後巻き取
られた高温状態にあるコイルを長時間かけて100℃以
下の温度にまで自然冷却し、酸洗ラインにおいてデスケ
ーリングした後、再び加熱溶融めっきする従来の製造方
法では、熱エネルギーロスの観点と時間がかかりすぎる
観点から、改善策を模索していた。高温状態にあるコイ
ルを100℃以下の温度に冷却する理由は、高温の鋼板
が酸液に導入されると、沸騰して酸洗できなくなること
にあり、デスケーリング方法としては酸洗以外のドライ
デスケーリング方法を採用する他はなかった。
【0032】しかしながら、ドライデスケーリング方法
はコスト高となる傾向があり、比較的安価なショットブ
ラスト法ではシヨットが鋼板に食い込んで欠陥を生じる
問題があった。さらに、デスケーリングの安定性という
点では、化学的な反応を利用する酸洗法に優るデスケー
リング技術はない。
【0033】そこで、本発明者らは、高温状態にある巻
き取り直後の熱延鋼板の熱の有効利用と酸洗技術の活用
の観点から、鋭意検討を行った結果、上記第5および第
6の発明に至った。
【0034】すなわち、200℃以上の温度域にある熱
延鋼板にドライアイス粒を噴射して前記熱延鋼板の表層
温度を適正温度に降温させた後、直ちに、脱スケール酸
洗処理し、引き続いて連続する連続めっき工程に、前記
処理が施された熱延鋼板を導入して溶融めっきすること
により、熱延鋼板の持つ熱エネルギーをも有効活用し、
かつ、短時間に安価で確実に良好なめっき品質を得るこ
とができる。これは、高温状態にある熱延鋼板に、ドラ
イアイス粒を噴射して表層のスケールおよび内層の鋼の
一部を所定の温度に冷却した後に、酸液に導入すること
により、酸液の沸騰を抑え、かつ、酸洗の後半では、内
層の鋼の持つ潜熱による復熱により、酸液を加熱する状
態となり、酸洗速度の向上と加熱装置なしに酸液の温度
を保つことができることによる。また、ドライアイス粒
による冷却で、スケールは200℃以上の温度差で急冷
されることになり、ここで導人される熱歪みは、スケー
ルと鋼との界面を大きく脆化させ、ドライアイス粒噴射
によるスケールの機械的脱落効果も向上する。さらに、
酸洗後半における鋼板の復熱により、鋼板表面が100
℃を超え、酸液が沸騰に転じるため、残存スケールやス
マットの除去効果を発揮し、酸洗後のドライアイス粒噴
射が不要となるうえ、その復熱が連続めっき装置におけ
る加熱を補助するため、ライン全体としてはさらに高速
化を達成することができ、生産性が向上する。なお、こ
の場合においても、酸洗後、念のために脱スマットのた
めの氷粒ショットを行っても、本発明の目的を達成する
ことができることは言うまでもない。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。図1の(a)は、第1の実施形態に係る溶
融めっき設備を示す概略構成図である。この装置は、上
記第2の発明に対応するものであり、連続溶融めっき装
置15と、その入側に配置された脱スケール酸洗装置1
3と、脱スケール酸洗装置13および溶融めっき装置1
5の間に配置されたドライアイス粒噴射装置14とを備
えている。連続溶融めっき装置15は、焼鈍装置16と
溶融めっき槽17とを有している。
【0036】この設備において亜鉛系金属または合金を
溶融めっきする際には、コイル11から繰り出された熱
延鋼板12を脱スケール酸洗装置13にて脱スケール酸
洗処理した後、処理後の熱延鋼板にドライアイス粒噴射
装置14からドライアイス粒を噴射して脱スマットし、
引き続き連続溶融めっき装置15により溶融めっき処理
を行う。
【0037】図1の(b)は、第2の実施形態に係る溶
融めっき設備を示す概略構成図である。この装置は、上
記第4の発明に対応するものであり、連続溶融めっき装
置15と、その入側に配置され、その中の酸液を適正温
度に昇温する加熱機18を有する脱スケール酸洗装置1
3´と、脱スケール装置の前に配置されたドライアイス
粒噴射装置14を備えている。連続溶融めっき装置15
は、第1の実施形態と同様、焼鈍装置16と溶融めっき
槽17とを有している。
【0038】この設備において、亜鉛系金属または合金
を溶融めっきする際には、コイル11から繰り出された
熱延鋼板12にドライアイス粒噴射装置14からドライ
アイス粒を噴射した後、直ちに、脱スケール酸洗装置1
3´において、加熱機18により80〜90℃の温度域
に保たれた酸液にて脱スケール酸洗処理し、引き続き連
続溶融めっき装置15により溶融めっき処理を行う。
【0039】図1の(c)は、第3の実施形態に係る溶
融めっき設備を示す概略構成図である。この装置は、上
記第6の発明に対応するものであり、連続溶融めっき装
置15と、その入側に配置され、高温状態にある鋼板を
適正温度に降温させる冷却機能を有するドライアイス粒
噴射装置19と、その直後に配置された脱スケール酸洗
装置13とを備えている。連続溶融めっき装置15は、
第1の実施形態と同様、焼鈍装置16と溶融めっき槽1
7とを有している。
【0040】この設備において、亜鉛系金属または合金
を溶融めっきする際には、コイル11から繰り出された
200℃以上の温度域にある熱延鋼板12にドライアイ
ス粒噴射装置14からドライアイス粒を噴射して熱延鋼
板の表層温度を適正温度に高温させた後、直ちに、脱ス
ケール酸洗装置13より脱スケール酸洗処理し、引き続
き連続溶融めっき装置15により溶融めっき処理を行
う。なお、熱延鋼板が200℃以下の場合には加熱処理
を行ってもよく、コイル11とドライアイス粒噴射装置
14の間に加熱装置を設けてもよい。
【0041】
【実施例】本発明の効果を確認するために、連続式溶融
めっきラインで製造実験を行った。その実機試験条件を
表1に示す。ここでは、めっき母材には通常の低炭素A
lキルド鋼板を使用した。板厚は3.0mmである。め
っき浴組成はAlが0.16wt%で残部Znであり、
めっき浴温465℃、侵入板温475℃、めっき付着量
は両面で150g/m2 以上とした。表1に記載されて
いない製造条件は、連続式溶融めっきラインにて同等材
を通板するときの標準的なものとした。酸洗は、塩酸1
00g/L、塩化第1鉄250g/L、塩化第2鉄5g
/L、インヒビターとしてヒビロンA−5を3g/Lを
含む酸液を用い、液温85℃で行った。ドライアイス
は、ぺレタイザーにより、液体CO2 よりドライペレッ
トを作り、ホッパーへ切り出した。コンプレッサー(流
量11m3 /min、圧力22kg/cm2 )のエアー
とドライペレットをフイーダーで混流し、ブラストノズ
ルより噴射させた。
【0042】鋼板としては、実験の安定性を考慮し、熱
延コイルを室温まで冷却したものを、インダクションヒ
ーターにて所定の温度まで加熱して行った。なお、表1
のNo.1〜3および11は本発明の範囲から外れる比
較例であり、No.4〜10は本発明例である。本発明
例のうちNo.4〜6は上記第1の実施形態に対応する
もの、No.7,8は上記第2の実施形態に対応するも
の、No.9,10は上記第3の実施形態に対応するも
のである。
【0043】これらの実験材に対して、めっき後に2t
曲げを行い、曲げ部外側のテープ剥離を行ってめっき密
着性を評価した。ここでは皮膜が剥離しなかったものを
○、剥離したものを×とした。
【0044】また、目視観察により、不めっきの程度を
評価した。ここでは不めっきが不めっきがなかったもの
を○、不めっきが存在し、それが少なかったものを△、
多かったものを×とした。これらの結果も表1に併記す
る。
【0045】
【表1】 この表から、本発明の範囲に属するNo.4〜10は、
いずれもめっき密着性が良好であり、不めっきも存在し
ないか、存在しても少ないものであった。
【0046】
【発明の効果】以上に示したように、本発明によれば、
通常行われる熱延鋼板の脱スケール酸洗工程を連続式溶
融めっきラインに組み込んで、生産コストを低減すると
共に、従来から問題となっていた、酸洗後のスマット除
去の問題、還元焼鈍時の加熱温度低減の問題、熱延時の
コイルの保有熱利用の問題を一挙に解決し、操業コスト
・設備コストを低減し、連続式溶融めっき設備において
安価でめっき密着性に優れた溶融めっき鋼板を製造する
ことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る溶融めっき設備を示
す概略構成図。
【図2】従来の溶融めっき設備を示す概略構成図。
【符号の説明】 11……コイル 12……熱延鋼板 13,13´……脱スケール酸洗装置 14……ドライアイス粒噴射装置 15……連続溶融めっき装置 16……焼鈍炉 17……めっき槽 18……加熱機 19……冷却機能を有するドライアイス粒噴射装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鷺山 勝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 見崎 裕之 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱延鋼板に亜鉛系の金属または合金を溶
    融めっきする方法であって、熱延鋼板を脱スケール酸洗
    処理後、該処理が施された熱延鋼板にドライアイス粒を
    噴射して脱スマットし、引き続いて連続する連続めっき
    工程に導入して溶融めっきすることを特徴とする、熱延
    鋼板の溶融めっき方法。
  2. 【請求項2】 連続溶融めっき装置と、その入側に配置
    された脱スケール酸洗装置と、前記脱スケール酸洗装置
    と前記溶融めっき装置との間に配置された、ドライアイ
    ス粒を噴射する装置とを具備することを特徴とする、熱
    延鋼板の溶融めっき設備。
  3. 【請求項3】 熱延鋼板に亜鉛系の金属または合金を溶
    融めっきする方法であって、熱延鋼板にドライアイス粒
    を噴射した後、直ちに80〜90℃の温度域に保たれた
    酸液にて脱スケール酸洗処理し、引き続いて連続する連
    続めっき工程に導入して溶融めっきすることを特徴とす
    る、熱延鋼板の溶融めっき方法。
  4. 【請求項4】 連続溶融めっき装置と、その入側に配置
    され、その中の酸液を適正温度に昇温する加熱機を有す
    る脱スケール酸洗装置と、前記脱スケール酸洗装置の前
    に配置された、ドライアイス粒を噴射する装置とを具備
    することを特徴とする、熱延鋼板の溶融めっき設備。
  5. 【請求項5】 熱延鋼板に亜鉛系の金属または合金を溶
    融めっきする方法であって、200℃以上の温度域にあ
    る熱延鋼板にドライアイス粒を噴射して前記熱延鋼板の
    表層温度を適正温度に降温させた後、直ちに、脱スケー
    ル酸洗処理し、引き続いて連続する連続めっき工程に、
    前記脱スケール酸洗処理が施された熱延鋼板を導入して
    溶融めっきすることを特徴とする、熱延鋼板の溶融めっ
    き方法。
  6. 【請求項6】 連続溶融めっき装置と、その入側に配置
    され、高温状態にある鋼板を適正温度に降温させる冷却
    機能を有するドライアイス粒噴射装置と、その直後に配
    置された脱スケール酸洗装置とを具備することを特徴と
    する、熱延鋼板の溶融めっき設備。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008138412A1 (de) * 2007-05-11 2008-11-20 Voestalpine Stahl Gmbh Verfahren zum erzeugen und entfernen einer temporären schutzschicht für eine kathodische beschichtung
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